説明

技術成熟レベルに基づいて商品についての金額的指標をモデル化するためのシステム、方法およびコンピュータプログラム製品

商品の金額的指標、たとえば商品に関連するコストまたは収益をモデル化するために、システム、方法およびコンピュータプログラム製品が提供される。方法は、商品に関連する少なくとも1つの技術について、成熟度の少なくとも1つの定性的指標を選択することによって始まり、成熟度の各定性的指標は、各技術が分布に対応して関連付けられるように、分布に関連付けられる。次に、金額的ポイントが各技術に関連付けられ、その後、それぞれの金額的ポイントおよびそれぞれの分布に基づいて、各技術について金額的分布が判断される。それぞれの金額的分布に基づいて、各技術について複数の金額的値をランダムに選択することによって、複数の金額的値が選択される。最後に、各技術について選択された金額的値に基づいて、商品についての金額的指標がモデル化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
この発明は一般に、商品の製造および販売のためのプロジェクトに関連するコストおよび関連収益をモデル化するためのシステム、方法およびコンピュータプログラム製品に関し、より特定的には、プロジェクトに関連するコストおよび関連収益を少なくとも1つの技術成熟レベルに基づいてモデル化するためのシステム、方法およびコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
多くの業界では、商品の製造および販売のためのプロジェクトについての決断は、プロジェクトについての成功確率および投資レベルを正確に判断するために、プロジェクトの発展状況に関連する技術的リスクまたは技術的成熟度を推定することを製造業者らに要求する。この点に関し、プロジェクトの発展は、異なる発展段階にある1つ以上の異なる技術を含む場合がある。たとえば、あるプロジェクトは、商品の製造に利用される材料に関連する、ある発展段階にある技術と、商品の生産中に利用されるある特定の製造プロセスに関連する、別の発展段階にある技術とを含む場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
技術的リスクに関する情報は製造業者らにとって有用であり得るが、そのような情報はしばしば定性的である。そのため、プロジェクトの成功に対するリスクの影響を確かめることはしばしば困難である。たとえば、技術的リスクまたは技術的成熟度の定性的指標のそのような1グループは、米国航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration:NASA)によって開発された技術準備状態レベル(Technology Readiness Level:TRL)である。以下の表に示すように、NASAのTRLは、プロジェクトの発展状態の定性的指標を表わす。示されているように、NASAのTRLは、さまざまな発展段階を表わす9つのレベルからなる。より特定的には、TRL1は技術成熟の最低レベルに対応している。次に、技術のレベルはTRL1からTRL9にかけて高くなり、TRL9は、十分発展したプロジェクトをそのプロジェクトについての適用可能な環境で実際に首尾よく使用することに対応している。TRL9では、プロジェクトの発展は通常、TRL8で通常起こる、テスト中に発見されたトラブルシューティングの問題の点を越えて成熟している。
【0004】
【表1】

【0005】
理解されるように、プロジェクトに関連した技術の発展状況は、商品の製造および販売のコストおよび/または収益に関連した不確実性、たとえばリスクに直接影響を与える場合がある。この点に関し、プロジェクトに対する技術的リスクの影響を正確に推定する能力により、製造業者らは、投資、およびプロジェクトリスクのレベルに対する投資の釣合いに関してより良い決断を下すことができるようになる。従来、限定された情報を広範囲な不確実性として有し、新しい市場または技術に関連し、または明確な範囲もしくは仕様をまだ持っていないプロジェクト案の技術的リスクを確実に定量化する能力を、製造業者らはまだ持っていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
前述の背景に鑑みて、この発明は、商品に関連するコストおよび/または収益といった、商品の金額的指標をモデル化するためのシステム、方法およびコンピュータプログラム製品を提供し、モデルは少なくとも1つの、より典型的には複数の技術成熟レベルに基づく。この発明の実施例のシステム、方法およびコンピュータプログラム製品は、定量的リスク/リターンを成熟度の定性的指標の関数としてモデル化し、それにより商品に関連する技術の成熟レベルに基づいて商品の技術的リスクを確実に定量化することができる。有利なことには、この発明の実施例は、多数の異なる発展レベルにある技術についての定量的リスク/リターンをモデル化することができ、各発展レベルは、関連する技術的リスクまたは不確実性を有する。加えて、この発明の実施例は、ある特定の金額的指標、商品、プロジェクトなどに適合するようにモデルを修正することなく、多数の異なる状況において金額的指標をモデル化するよう、定量的リスク/リターンをロバストな方法でモデル化することができる。この発明の実施例はこのため、代表的な資本市場および業界市場の分布統計パラメータ特性の抽出を通して、リスクおよびリターンの正確な定量的評価を容易に付与することができる。さらに、この発明の実施例は、コストおよび収益の不確実性の正確、迅速かつ標準化された特徴付けを可能にし、モンテカルロ手法といった手法を適用
するビジネス事例シミュレーションの迅速な試作を可能にすることができる。
【0007】
この発明の一局面によれば、システム、方法およびコンピュータプログラム製品は、定量的リスク/リターンを、成熟度の複数の定性的指標、たとえば技術準備状態レベルの関数としてモデル化するために提供される。一実施例の方法は、複数のリスク値の各々についてリスク/リターン分布を判断することによって始まり、リスク値は最低リスク値から最高リスク値へと配列可能である。リスク/リターン分布を判断した後で、それぞれのリスク値に基づいて成熟度の定性的指標が複数のリスク/リターン分布の各々に割当てられ、それにより定量的リスク/リターンは、成熟度の複数の指標の関数としてモデル化される。リスク値と同様に、成熟度の指標は成熟度の最高指標から成熟度の最低指標へと配列可能である。そのため、成熟度の指標は、成熟度のより高い指標をより低いリスク値についてのリスク/リターン分布に割当てることによって割当てられ得る。
【0008】
有利なことには、リスク/リターン分布は、資本資産評価モデル(Capital Asset Pricing Model:CAPM)に従ったような、資本市場のそれぞれのリスクおよびリターンパターンを反映する対数正規確率密度の対数平均および対数標準偏差に基づいて、複数のリスク値の各々について判断可能である。そのため、各リスク/リターン分布は通常、対数正規分布を含む。様々な実施例において、リスク/リターン分布の各々は最頻値1に正規化され得る。加えて、またはこれに代えて、リスク/リターン分布の各々の上限および下限は予め規定された百分率で切捨て可能である。他の実施例では、リスク/リターン分布を正規化し、切捨てることに代えて、または加えて、各対数正規リスク/リターン分布は対応する三角分布に変換可能である。また、そのような実施例では、定性的指標を割当てるステップは、成熟度の定性的指標を各三角分布に割当てるステップを含み得る。
【0009】
この発明の別の局面によれば、システム、方法およびコンピュータプログラム製品は、商品の金額的指標、たとえば商品に関連するコストまたは収益をモデル化するために提供される。一実施例の方法は、商品に関連する少なくとも1つの技術について、成熟度の少なくとも1つの定性的指標を選択することによって始まる。この点に関し、成熟度の各定性的指標は、各技術が成熟度のそれぞれの定性的指標の分布に関連付けられるように分布に関連付けられる。そのため、成熟度の定性的指標は、上述のように判断されるように、定量的リスク/リターンのモデルから選択可能である。
【0010】
次に、最も見込みがあるコストまたは収益値といった金額的ポイントが、各技術に関連付けられる。次に、それぞれの金額的ポイントおよびそれぞれの分布に基づいて、各技術について金額的分布が判断される。それぞれの金額的分布に基づいて、各技術について複数の金額的値をモンテカルロ手法などに従ってランダムに選択することによって、複数の金額的値が選択される。最後に、各技術について選択された金額的値に基づいて、商品についての金額的指標がモデル化される。
【0011】
したがって、この発明の実施例のシステム、方法およびコンピュータプログラム製品は、商品に関連するコストおよび/または収益といった商品の金額的指標を、技術成熟レベルに基づいてモデル化することができる。この点に関し、この発明の実施例は、定量的リスク/リターンを成熟度の定性的指標の関数としてモデル化し、それにより商品に関連する技術の成熟レベルに基づいて商品の技術的リスクを確実に定量化することができる。有利なことには、この発明の実施例は、多数の異なる発展レベルにある技術についての定量的リスク/リターンをモデル化することができ、各発展レベルは、関連する技術的リスクまたは不確実性を有する。加えて、この発明の実施例は、ある特定の金額的指標、商品、プロジェクトなどに適合するようにモデルを修正することなく、多数の異なる状況において金額的指標がモデル化され得るよう、定量的リスク/リターンをロバストな方法でモデル化することができる。
【0012】
このようにこの発明を一般的な用語で説明してきたが、ここで添付図面を参照する、図面は必ずしも縮尺に従って描かれてはいない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
発明の詳細な説明
以下、この発明を、この発明の好ましい実施例を示す添付図面を参照してより十分に説明する。しかしながら、この発明は多くの異なる形で実現されてもよく、ここに述べる実施例に限定されるとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施例は、この開示が完全かつ完璧であり、当業者にこの発明の範囲を十分に伝えるよう提供されている。全体を通して、同じ番号は同じ要素を指す。
【0014】
図1を参照すると、定量的リスク/リターンを成熟度の少なくとも1つの定性的指標の関数としてモデル化する方法が、この発明の一実施例に従って示されている。示されているように、この実施例の方法は、市場への商品の投入に関連するリスクまたは不確実性の関数としてリターンをモデル化することによって始まることができる。リターンは多数の異なるあらゆる態様で、たとえば推定器などによってモデル化され得る。一実施例では、たとえば、リターンは推定器によって判断されるような2つのリターン値および関連するリスク値からモデル化される。次に、リスクとリターンとの間のほぼ線形の関係を仮定すると、リターンは、これら2つのリターン値および関連するリスク値に基づいて、リスクの線形関数としてモデル化され得る。たとえば、一実施例によれば、2つのリターン値が10.0%および12.5%を含み、関連するリスク値が20%および30%をそれぞれ含む場合がある。そのような値では、リターンは、以下のようなリスクの線形関数としてモデル化され得る。
【0015】
リターン(リスク)=0.25×リスク+5
式中、リターンおよびリスクは百分率として表わされる。理解されるように、以下に説明するようにリターンモデルを利用することに加え、リターンモデルは商品の将来の収益をモデル化するために利用することができ、将来の収益は不確実性の量に左右される。そのような用途の説明については、この発明と同時に出願された「不確実な将来の利益をモデル化するためのシステム、方法およびコンピュータプログラム製品」(Systems, Methods and Computer Program Products for Modeling Uncertain Future Benefits)と題された米国特許出願第 号を参照されたい。その内容はその全体がここに引用により援用される。
【0016】
リターンがリスクの関数としてモデル化される前、後、または最中、ブロック12に示すように、異なるリスク値についてリスク/リターン分布が判断される。リスク/リターン分布は任意の数の異なるリスク値について判断可能であるが、一実施例では、以下に説明するように、異なるリスク値の数は成熟度の異なる定性的指標の数に対応している。この点に関し、成熟度の異なる定性的指標の数は通常、予め規定されている。たとえば、成熟度の定性的指標の数が9に等しい場合、異なるリスクまたは不確実性の値の数は表1に示されるものを含むことができ、また、リスク/リターン分布は、資本市場のリスクおよびリターンパターンを反映する対数正規確率密度の百分率標準偏差によっても規定され得る。資本市場のリスクおよびリターンパターンに基づいてリスク/リターン分布を判断することにより、リスク/リターン分布は、ある特定の金額的指標、商品、プロジェクトなどに適合するよう修正される必要なく、多数の異なるあらゆる金額的指標にロバストな方法で適用可能である。
【0017】
ブロック12に示すようにリスク/リターン分布を判断した後で、ブロック14に示すように、各リスク/リターン分布は最頻値1に正規化され得る。可能なリスク/リターン
の最高限度で、商品が通常断念されるかまたは異なる商品へと再度調べられることは、当業者には理解されるであろう。同様に、
【0018】
【表2】

【0019】
可能なリスク/リターンの最低限度では、競合他社が市場に参入し市場の容量に達しつつあるといったいくつかの要因が、リターンを限定するよう作用する。この点に関し、可能なリスク/リターンの範囲全体を規定するようリスク/リターン分布が判断され得る一方、一実施例では、ブロック16に示すように、各リスク/リターン分布の最低限度および最高限度が切捨てられる。たとえば、各限度は、最も見込みがあるリスク/リターンの範囲をリスク/リターン分布が規定するよう、予め規定された百分率(たとえば2.5%)で切捨てられ得る。例示的な一実施例によれば、この場合、リスク/リターン分布は、以下の表2に示すように、多数の異なるリスク値について集約され得る。
【0020】
より特定的には、表2に示す対数正規標準偏差(LogStdDev)、対数正規平均(LogMean)、最頻値(Mode)および%値(97.5%値および2.5%値)は、以下の式に従って求めることができる。
【0021】
【数1】

【0022】
前述の値を求める方法のさらに詳細な情報については、「不確実な将来の利益をモデル化するためのシステム、方法およびコンピュータプログラム製品」と題された米国特許出願第 号を参照されたい。
【0023】
示されているように、表2は、各リスク/リターン分布についての平均値を含む。当業者には理解されるように、平均値は、直接求めることはできないが、代わりに、2つの制約、つまり(1)X%の標準偏差、および(2)1に等しい最頻値を有する対数正規分布を一意的に満たすその値として求められてもよい。より特定的には、前述の式からわかるように、標準偏差がわかっているものの平均値が(対数正規平均値および対数正規標準偏差値と同様に)わからない場合、平均値を求めることは循環することになる。そのため、平均値について解く唯一の方法は、制約を有するサーチアルゴリズムを利用することによってである。
【0024】
リスク/リターン分布を規定した後で、またはリスク/リターン分布を正規化した、および/または切捨てた後で、ブロック18に示すように、リスク/リターン分布はほぼ同等の三角分布に変換され得るが、変換されなくてもよい。リスク/リターン分布を三角分布に変換することによって、その後の分析が、対数正規分布とは対照的に、より簡略化された三角分布に対して実行可能である。そしてリスク/リターン分布の限度が切捨てられているため、リスク/リターン分布は、変換中に精度を大幅に犠牲にすることなく、三角分布に変換可能である。リスク/リターン分布および対応する三角分布の一例については、図2を参照されたい。しかしながら、この発明を実践するためにリスク/リターン分布を三角分布に変換する必要はないことが理解されるべきである。
【0025】
リスク/リターン分布は、多数の異なるあらゆる手法に従って、三角分布に変換可能である。一手法によれば、
【0026】
【表3】

【0027】
たとえば、各三角分布の最小値および最大値は、それぞれのリスク/リターン分布の切捨てられた低い方の限度および高い方の限度にそれぞれ等しいように選択可能である。その場合、リスク/リターン分布と同様、三角分布は1に等しい最頻値に正規化され得る。したがって、上述の表2の例を続けると、表2のそれぞれのリスク/リターン分布に関連する三角分布は、以下の表3にあるように集約され得る。当業者には理解されるように、リスク/リターン分布も三角分布も最頻値1に正規化される必要はない。この点に関し、以下に説明するように、ポイント、もしくは最も見込みがあるコストまたは収益が、まだ正規化されていないそれぞれの三角分布にマッピングされ得る。そのような場合、それぞれの三角分布は1に等しくない最頻値を有する場合があり、それは、最も見込みがあるコス
トまたは収益をそれぞれの三角分布にマッピングする際に、当業者には公知であるとして説明され得る。
【0028】
リスク/リターン分布を対応する三角分布に変換した後、ブロック20に示すように、三角分布は成熟度の異なる定性的指標に割当てられ、それによりリスク/リターンを成熟度の指標の関数としてモデル化することができる。成熟度の定性的指標は、発端から十分に発展するまでの技術の成熟度の多数のレベルを通常説明する任意の数の異なる指標を含み得る。成熟度の指標の数は要望通りに変えることができ、各レベルは成熟度の異なる一レベルを示す。三角分布は成熟度の多数の異なるあらゆる指標に割当て可能である一方、
【0029】
【表4】

【0030】
有利な一実施例では、三角分布は、当業者には公知の、背景の項で上述したようなNASAのTRLに割当てられる。
【0031】
三角分布は、多数の異なるあらゆる態様の成熟度の指標に割当て可能である。有利な一実施例では、リスク/リターン分布の各百分率標準偏差は、等しい百分率の不確実性またはリスクに関連付けられる。たとえば、上述の表2からの20%という百分率標準偏差は、表1に示すような20%の不確実性に関連付けられ得る。引続き、次に、表2からの30%という百分率標準偏差は、表1に示すような30%の不確実性に関連付けられることができ、その他同様である。各不確実性は、次に、成熟度の異なる指標に関連付けられ得る。理解されるように、通常、技術がより成熟すると、リスクはより低くなる。したがって、各不確実性は、不確実性のより低いレベルが発展のより高いレベルを示す成熟度のより高い指標に関連付けられた状態で、成熟度の指標に関連付けられ得る。たとえば、レベル1が発展の最低レベルに対応し、レベル2〜9が発展の高まるレベルに対応しているNASAのTRLを考慮されたい。表2からの百分率標準偏差に関連付けられた百分率の不確実性を挙げると、その場合、レベル1は最大の不確実性、つまり100%の不確実性に関連付けられ、一方、レベル9は最小の不確実性、つまり20%の不確実性に関連付けられることができ、その他も同様である。
【0032】
成熟度の指標がリスク/リターン分布の対応する百分率標準偏差を有する不確実性の百
分率に関連付けられているため、成熟度の各指標はリスク/リターン分布に、したがって三角分布に関連付けられ得る。表1および表2からのリスク/リターン分布および三角分布それぞれの例を続けると、成熟度の指標は、以下の表4に集約される態様で三角分布に関連付けられ得る。表4に示すように、各不確実性は、上述のように求められるようなリターン値に、およびNASAのTRLに関連付けられる。次に、NASAの各TRLは、最小値、最大値および最頻値によって規定される三角分布に関連付けられ、最大/最小および平均も示される。なお、不確実性の各百分率は、不確実性の百分率に等しい百分率標準偏差を有するリスク/リターン分布の切捨てられた限度に等しい最大値および最小値を有する三角分布に関連付けられる。このため、20%の不確実性は、20%の標準偏差を有するリスク/リターン分布の2.5%限度および97.5%限度に等しい最大値1.50および最小値0.72を有する三角分布に関連付けられる。
【0033】
三角分布を成熟度の指標に関連付けた後で、三角分布および関連付けられた成熟度の指標は、ある特定の技術に関連する金額的指標をモデル化するために利用可能である。そこで、商品に関連するコストまたは収益分布といった金額的分布を判断する方法の一実施例を示す図4を参照する。ブロック22に示すように、この方法は、科学技術者などによって割当てられるように、成熟度の指標ひいては三角分布を技術に割当てることによって始まる。その後、ブロック24に示すように、技術に関連するポイントコスト(経常的または非経常的)もしくは収益値、またはより典型的には最も見込みがあるコストまたは収益値が、推定器などによって規定され、または他の態様で提供される。以下に説明するように、最も見込みがあるコストまたは収益値はその後、コストまたは収益分布の最頻値として指定される。
【0034】
三角分布を割当てて最も見込みがあるコストまたは収益を規定した後で、
【0035】
【表5】

【0036】
技術に関連するコストまたは収益、およびしたがって商品が、コストまたは収益分布に基づいてモデル化され得る。この点に関し、コストまたは収益分布は、ブロック26に示す
ように、最も見込みがあるコストまたは収益をそれぞれの三角分布にマッピングすることなどによって判断可能である。たとえば、コストまたは収益分布は、コストまたは収益分布を規定する最小値および最大値、または、より典型的には切捨てられた最小値および最大値を求めることによって判断可能である。この点に関し、三角分布が通常最頻値1に正規化されているため、最小値および最大値は、最も見込みがあるコストまたは収益にそれぞれの三角分布の最小値および最大値を単に乗算することによって求めることができる。その後、コストまたは収益分布は、最小値および最大値、ならびに最も見込みがあるコストまたは収益によって規定可能である。
【0037】
ブロック28に示すように、それぞれの技術の成熟度の定性的指標と、そのため、それぞれの技術に関連するリスクおよびリターンとを勘案するコストまたは収益が、コストまたは収益分布から選択可能である。コストまたは収益は、多数の異なるあらゆる態様で選択可能である。たとえば、コストまたは収益値は、コストまたは収益値をランダムに選択するための方法、たとえばモンテカルロ手法に従って選択可能である。当業者には公知であるように、モンテカルロ手法とは、不定の変数について値をランダムに生成し、モデルをシミュレートする方法である。
【0038】
ブロック28および30に示すように、コストまたは収益値を選択した後で、多数の他のコストまたは収益値がモンテカルロ手法などに従って選択可能である。多数のコストまたは収益値、たとえばN個の値を選択した後で、ブロック32に示すように、それらの値に基づいて感度分布が判断可能である。この点に関し、感度分布は、選択されたコストまたは収益値から平均および標準偏差を求め、その後、平均および標準偏差に基づいて感度分布を規定することによって、判断可能である。感度分布は多数の異なるあらゆるタイプの分布を含むよう規定可能であるが、一実施例では、感度分布は対数正規分布を含む。
【0039】
コストおよび収益に関してより特定的には、選択された値がたとえば経常的なコスト値である場合、このコスト値からコスト感度分布が判断可能である。また、これに代えて、たとえば、選択された値が収益値である場合、この収益値から価格感度分布が判断可能である。この点に関し、コスト感度分布は一般に、商品の一ユニットを生産する確率を、製造業者が商品を生産する際の各それぞれの経常コストに割当てる。同様に、価格感度分布は一般に、商品のユニット購入の確率を、消費者がユニットを購入する際の各それぞれの価格に割当てる。価格感度分布および/またはコスト感度分布は次に、この発明と同時に出願された「商品の需要および関連する収益性をモデル化するためのシステム、方法およびコンピュータプログラム製品」(Systems, Methods and Computer Program Products for Modeling Demand and Associated Profitability of A Good)と題された米国特許出願第 号、および、この発明と同時に出願された「学習曲線値を求め、商品の関連する収益性およびコストをモデル化するためのシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品」(Systems, Methods and Computer Program Products for Determining A Learning Curve Value and Modeling an Associated Profitability and Costs of A Good)と題された米国特許出願第 号に記載されているように、商品の需要および関連する収益性をモデル化するためなどに使用可能であり、両出願の内容はその全体がここに引用により援用される。
【0040】
理解されるように、条件付き請求権を行使する前に、商品の収益性が確実かどうか、たとえばプロジェクトを開始または継続するかどうかを判断することがしばしば望ましい。また、これに代えて、条件付き請求権を行使する前に、商品の収益性が予め定められたしきい値を超えているかどうかを判断することが望ましい。条件付き請求権はしばしば、商品の生産を開始または継続するためにある金額または追加の金額を投資する選択肢を製造業者が有する履行請求権の形で現れる。そのため、商品の生産および販売の初期段階が不成功に終わった場合、および/または商品の収益性についての将来展望が暗いと思われる
場合、製造業者は資金または追加資金の投資を辞退し、それにより履行請求権の行使を差し控え、したがって商品の生産を辞退するかまたは商品の生産を終了するであろう。また、これに代えて、商品の生産および販売の初期段階が成功した場合、および/または商品の収益性の展望が明るい場合、製造業者はおそらく、商品の生産を開始または継続するために必要な投資を行なうであろう。
【0041】
条件付き請求権のタイプにかかわらず、現時点での商品および特に条件付き請求権の価値を判断することが望ましい。条件付き請求権の価値を判断することにより、製造業者は、条件付き請求権の過大評価の結果として商品の生産に過剰投資することを回避できる。逆に、製造業者は、条件付き請求権の価値が過小評価されてきた商品を識別し、これらの商品が価値のある投資機会をおそらく表わしているためにこれらの商品の生産への投資を強く考慮することができる。そのため、コストおよび価格感度分布を判断する際などにおいてコストおよび収益リスクを正確に捉えることによって、商品の需要およびコスト、およびしたがって商品の収益性が正確にモデル化され得る。この点に関し、この発明のシステム、方法およびコンピュータプログラム製品は、現時点での商品および特に条件付き請求権の価値を判断することを容易にし得る。プロジェクトの価値を判断することについてのより詳細な情報は、「一般化された条件付き請求権の評価を行なうためのシステム、方法およびコンピュータプログラム製品」(Systems, Methods and Computer Program Products for Performing a Generalized Contingent Claim Valuation)と題された米国特許出願第09/902,021号を参照されたい、その内容は全体がここに引用により援用される。
【0042】
当業者には理解されるように、多くの商品は、異なる発展レベルまたは成熟度指標を有するかもしれない2つ以上の技術に関連している。そのような場合、商品に関連するそのような各技術について、コストまたは収益分布が判断可能である。たとえば、商品を市場に投入するのに計12の技術が利用され、各技術が、関連する成熟度の指標と最も見込みがある経常コスト値とを有している商品を例示した表5を参照されたい。次に、成熟度の指標および最も見込みがある経常コスト値に関連する三角分布から、経常コスト分布などのコストまたは収益分布が、各技術について判断可能である。加えて、個々の技術の最も見込みがあるコストまたは収益値の合計と、個々の技術の最小値および最大値それぞれの合計とに基づいて、総コストまたは収益分布が商品に関連付けられ得る。
【0043】
【表6】

【0044】
商品が複数の技術に関連している場合にコストまたは収益を選択するには、コストまたは収益は、各技術について、それぞれのコストまたは収益分布に基づいて、モンテカルロ手法などに従って選択可能である。その後、個々の選択されたコストまたは収益は、商品についての総コストまたは収益へと合計され得る。また、これに代えて、商品についてのコストまたは収益は、上述のように判断されるような総コストまたは収益分布に基づいて、モンテカルロ手法などに従って選択可能である。以前と同様、コストまたは収益値を選択した後で、多数の他のコストまたは収益値が、モンテカルロ手法などに従って選択可能である。次に、感度分布、たとえばコスト感度または価格分布が、値に基づいて判断可能である。
【0045】
したがって、この発明の実施例は、商品に関連するコストおよび/または収益といった商品の金額的指標を、技術成熟レベルに基づいてモデル化することができる。この点に関し、この発明の実施例は、定量的リスク/リターンを成熟度の定性的指標の関数としてモデル化し、それにより商品に関連する技術の成熟レベルに基づいて商品の技術的リスクを確実に定量化することができる。有利なことには、この発明の実施例は、多数の異なる発展レベルにある技術についての定量的リスク/リターンをモデル化することができ、各発展レベルは、関連する技術的リスクまたは不確実性を有する。加えて、この発明の実施例は、ある特定の金額的指標、商品、プロジェクトなどに適合するようにモデルを修正することなく、多数の異なる状況において金額的指標がモデル化され得るよう、定量的リスク/リターンをロバストな方法でモデル化することができる。
【0046】
図4に示すように、この発明のシステムは通常、処理要素および関連する記憶装置によって実現され、それらは双方とも一般にコンピュータ40などによって構成される。この
点に関し、上述のように、この発明の実施例の方法は、商業的に入手可能な多数のコンピュータソフトウェアプログラムのいずれかを用いて記憶装置によって記憶されたデータを操作する処理要素によって実行可能である。一実施例では、この方法は、スプレッドシートの形態で操作および/または提示され得るデータを用いて実行可能である。たとえば、この方法は、コロラド(Colorado)州デンバー(Denver)のデシジョニアリング社(Decisioneering, Inc.)によって供給されているモンテカルロシミュレーションソフトウェアプログラムであるクリスタルボール(Crystal Ball)を含む、ワシントン(Washington)州レッドモンド(Redmond)のマイクロソフト社(Microsoft Corporation)によって供給されているスプレッドシートソフトウェアプログラムであるエクセル(Excel)を用いて記憶装置によって記憶されたデータを操作する処理要素によって、実行可能である。コンピュータは、この発明の実施例に従って判断されたようなさまざまな分布、モデルおよび/または結論を含む、この発明の方法の実施例を実行することに関する情報を提示するためのディスプレイ42を含み得る。この発明の方法の実施例を実行することに関する情報をプロットするために、コンピュータはプリンタ44をさらに含み得る。
【0047】
また、コンピュータ40は、この発明の方法の実施例を実行することに関する情報をローカルにまたは遠隔で転送するための手段を含み得る。たとえば、コンピュータは、他のファクシミリ機、コンピュータなどに情報を送信するためのファクシミリ機46を含み得る。加えて、またはこれに代えて、コンピュータは、他のコンピュータなどに情報を転送するモデム48を含み得る。さらに、コンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)および/または広域ネットワーク(WAN)といったネットワークへのインターフェイス(図示せず)を含み得る。たとえば、コンピュータは、LAN、WANなどとの間で情報を送受信するよう構成されたイーサネット(登録商標)パーソナルコンピュータメモリカード国際協会(Personal Computer Memory Card International Association:PCMCIA)カードを含み得る。
【0048】
この発明の実施例に適用可能な有利な一手法では、この発明の実施例に従った方法は、エクセルなどのスプレッドシートソフトウェアプログラム内で操作され、または他の態様で実行され得るソフトウェアまたはデータモジュール、構成要素、ポートフォリオなどに具体化されてもよい。そのような手法は、金額的モデル化および分析という状況などの多数の異なる状況において有利な場合がある。この点に関し、金額的状況のより完全な理解を得るために、さまざまな金額的モデル化機能を行なうモジュール、構成要素および/またはポートフォリオを組合せることができる。ここで、この発明に適用されるようなそのような手法の簡単な説明を以下に述べる。
【0049】
そのような手法によれば、この発明の方法の少なくとも一部を実行するために操作され得るデータは、モジュールに具体化可能であり、それはその後、構成要素を作るために、他のモジュールに具体化されたこの発明の方法の他の部分にリンクされ、または他の態様で関連付けられることができる。次に、所望すれば、構成要素は、他の関連する方法を実行可能な他の構成要素にリンクされ、または他の態様で関連付けられ、それによりポートフォリオを形成することができる。たとえば、この発明の実施例に従った、価格感度分布を判断する方法は、1つのモジュールに具体化され得る。このモジュールは次に、需要をモデル化するための別のモジュールに、価格感度モジュールによって判断された価格感度分布に基づいて需要モジュールが需要をモデル化できるようにリンクされ、または他の態様で関連付けられることができる。需要モジュールは次に、コストをモデル化するためのモジュールにリンクされ、または他の態様で関連付けられ、それにより需要およびコストモデルに基づいて収益性をモデル化することが可能な構成要素を作ることができる。次に、所望すれば、収益性をモデル化するための構成要素は、別の機能を行なう別の構成要素にリンクされ、または他の態様で関連付けられることができる。たとえば、収益性をモデル化するための構成要素は、長期にわたって収益を予測することができる構成要素にリン
クされ、または他の態様で関連付けられて、それにより商品のビジネス事例を作成することができる。この点に関し、長期にわたって収益を予測することができるような構成要素は、「不確実な将来の利益をモデル化するためのシステム、方法およびコンピュータプログラム製品」と題された米国特許出願第 号に従って機能してもよい。
【0050】
この発明の一局面によれば、この発明のシステムは一般に、この発明の別の局面に従ったコンピュータプログラム製品の制御下で作動する。この発明の実施例の方法を実行するためのコンピュータプログラム製品は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体、たとえば不揮発性記憶媒体と、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に具体化される、一連のコンピュータ命令といったコンピュータ読み取り可能なプログラムコード部分とを含む。
【0051】
この点に関し、図1および図3は、この発明に従った方法、システムおよびプログラム製品のフローチャートである。フローチャートの各ブロックまたはステップ、およびフローチャートにおけるブロックの組合せは、コンピュータプログラム命令によって実現され得ることが理解されるであろう。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置上で実行される命令がフローチャートのブロックまたはステップに特定された機能を実現するための手段を作り出すように、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置にロードされてマシンを生成してもよい。これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ読み取り可能なメモリに記憶された命令が、フローチャートのブロックまたはステップに特定された機能を実現する命令手段を含む製造物品を作り出すように、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置にある特定の態様で機能するよう命令できるコンピュータ読み取り読出可能なメモリに記憶されてもよい。コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置上で実行される命令がフローチャートのブロックまたはステップに特定された機能を実現するためのステップを提供するように、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置にロードされて、一連の動作ステップがコンピュータまたは他のプログラム可能な装置で実行されて、コンピュータにより実現されるプロセスを作成するようにしてもよい。
【0052】
したがって、フローチャートのブロックまたはステップは、特定された機能を実行するための手段の組合せ、特定された機能を実行するためのステップの組合せ、および特定された機能を実行するためのプログラム命令手段をサポートする。フローチャートの各ブロックまたはステップ、およびフローチャートにおけるブロックまたはステップの組合せが、特定された機能またはステップ、もしくは特定用途ハードウェアおよびコンピュータ命令の組合せを実行する特殊用途ハードウェアベースのコンピュータシステムによって実現され得ることも理解されるであろう。
【0053】
この発明の多くの修正および他の実施例が、前述の説明および関連図面に提示された教示の利益を有する、この発明が属する技術分野の当業者の脳裏に浮かぶであろう。したがって、この発明は開示された特定の実施例に限定されるべきではないことと、修正および他の実施例は添付された特許請求の範囲内に含まれるよう意図されていることとが理解されるべきである。ここでは特定の用語が採用されているが、それらは汎用的かつ説明的な意味でのみ使用されており、限定の目的では使用されていない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】この発明の一実施例に従った、リスク/リターンを成熟度の指標の関数としてモデル化する方法におけるさまざまなステップを示すフローチャートである。
【図2】この発明の一実施例に従ったリスク/リターン分布および対応する三角分布の図である。
【図3】この発明の一実施例に従った、商品の金額的指標をモデル化する方法におけるさまざまなステップを示すフローチャートである。
【図4】コンピュータにより具体化されたこの発明の一実施例のシステムの概略的なブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定量的リスク/リターンを、成熟度の複数の定性的指標の関数としてモデル化する方法であって、
複数のリスク値の各々についてリスク/リターン分布を判断するステップを含み、前記複数のリスク値は最低リスク値から最高リスク値へと配列可能であり、前記方法はさらに、
定量的リスク/リターンを成熟度の前記複数の指標の関数としてモデル化するために、それぞれのリスク値に基づいて成熟度の定性的指標を前記複数のリスク/リターン分布の各々に割当てるステップを含み、成熟度の前記指標は成熟度の最高指標から成熟度の最低指標へと配列可能であり、成熟度の前記複数の指標を割当てるステップは、成熟度のより高い指標をより低いリスク値についてのリスク/リターン分布に割当てるステップを含む、方法。
【請求項2】
前記複数のリスク/リターン分布の各々を最頻値1に正規化するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リスク/リターン分布の各々の上限および下限を予め規定された百分率で切捨てるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
各リスク/リターン分布は対数正規リスク/リターン分布を含み、前記方法はさらに、各対数正規リスク/リターン分布を対応する三角分布に変換するステップを含み、定性的指標を割当てるステップは、成熟度の定性的指標を各三角分布に割当てるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
成熟度の複数の指標を提供するステップをさらに含み、成熟度の前記複数の指標は技術準備状態レベルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
各リスク/リターン分布は対数正規リスク/リターン分布を含み、前記方法はさらに、
前記複数のリスク/リターン分布の各々を最頻値1に正規化するステップと、
前記リスク/リターン分布の各々の上限および下限を予め規定された百分率で切捨てるステップと、
各対数正規リスク/リターン分布を対応する三角分布に変換するステップとを含み、定性的指標を割当てるステップは、成熟度の定性的指標を各三角分布に割当てるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
リスク/リターン分布を判断するステップは、資本市場のそれぞれのリスクおよびリターンパターンを反映する対数正規確率密度の対数平均および対数標準偏差に基づいて、複数のリスク値の各々についてリスク/リターン分布を判断するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
商品の金額的指標をモデル化する方法であって、
前記商品に関連付けられた少なくとも1つの技術について、成熟度の少なくとも1つの定性的指標を選択するステップを含み、成熟度の各定性的指標は、各技術が成熟度の前記それぞれの定性的指標の分布に関連付けられるように、前記分布に関連付けられ、前記方法はさらに、
各技術に関連する金額的ポイントを規定するステップと、
前記それぞれの金額的ポイントおよび前記それぞれの分布に基づいて、各技術について金額的分布を判断するステップと、
前記それぞれの金額的分布に基づいて、各技術について複数の金額的値をランダムに選
択することによって、前記複数の金額的値を選択するステップと、
各技術について前記選択された金額的値に基づいて、前記商品についての前記金額的指標をモデル化するステップとを含む、方法。
【請求項9】
少なくとも1つの定性的指標を選択するステップは、定量的リスク/リターンのモデルから少なくとも1つの定性的指標を選択するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
定量的リスク/リターンをモデル化するステップをさらに含み、定量的リスク/リターンをモデル化するステップは、
複数のリスク値の各々について分布を判断するステップを含み、前記複数のリスク値は最低リスク値から最高リスク値へと配列可能であり、前記ステップはさらに、
定量的リスク/リターンを成熟度の前記複数の指標の関数としてモデル化するために、それぞれのリスク値に基づいて成熟度の定性的指標を前記複数の分布の各々に割当てるステップを含み、成熟度の前記指標は成熟度の最高指標から成熟度の最低指標へと配列可能であり、成熟度の前記複数の指標を割当てるステップは、成熟度のより高い指標をより低いリスク値に関連する分布に割当てるステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は商品を生産するコストをモデル化する方法を含み、金額的ポイントを規定するステップはコストポイントを規定するステップを含み、金額的分布を判断するステップは、各技術についてのコスト分布をそれぞれのコストポイントおよび前記それぞれの分布に基づいて判断するステップを含み、複数の金額的値を選択するステップは複数のコスト値を選択するステップを含み、金額的指標をモデル化するステップは、各技術について前記選択されたコスト値に基づいてコスト感度分布を判断し、それにより前記商品を生産する前記コストをモデル化するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は商品に関連する収益をモデル化する方法を含み、金額的ポイントを規定するステップは収益ポイントを規定するステップを含み、金額的分布を判断するステップは、各技術についての収益分布を前記それぞれの収益ポイントおよび前記それぞれの分布に基づいて判断するステップを含み、複数の金額的値を選択するステップは複数の収益値を選択するステップを含み、金額的指標をモデル化するステップは、各技術について前記選択された収益値に基づいて価格感度分布を判断し、それにより前記商品に関連する前記収益をモデル化するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
定量的リスク/リターンを、成熟度の複数の定性的指標の関数としてモデル化するためのシステムであって、
複数のリスク値の各々についてリスク/リターン分布を判断可能な処理要素を含み、前記複数のリスク値は最低リスク値から最高リスク値へと配列可能であり、前記処理要素は、定量的リスク/リターンを成熟度の前記複数の指標の関数としてモデル化するために、それぞれのリスク値に基づいて成熟度の定性的指標を前記複数のリスク/リターン分布の各々に割当てることも可能であり、成熟度の前記指標は成熟度の最高指標から成熟度の最低指標へと配列可能であり、前記処理要素は、成熟度のより高い指標をより低いリスク値についてのリスク/リターン分布に割当てることによって、成熟度の前記複数の指標を割当てることができる、システム。
【請求項14】
前記処理要素は、前記複数のリスク/リターン分布の各々を最頻値1に正規化することも可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記処理要素は、前記リスク/リターン分布の各々の上限および下限を予め規定された百分率で切捨てることも可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
各リスク/リターン分布は対数正規リスク/リターン分布を含み、前記処理要素は、各対数正規リスク/リターン分布を対応する三角分布に変換することも可能であり、前記処理要素は、成熟度の定性的指標を各三角分布に割当てることによって定性的指標を割当てることが可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記処理要素は、成熟度の複数の指標を提供することも可能であり、成熟度の前記複数の指標は技術準備状態レベルを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
各リスク/リターン分布は対数正規リスク/リターン分布を含み、前記処理要素は、前記複数のリスク/リターン分布の各々を最頻値1に正規化することも可能であり、前記処理要素は加えて、前記リスク/リターン分布の各々の上限および下限を予め規定された百分率で切捨てることが可能であり、前記処理要素はさらに、各対数正規リスク/リターン分布を対応する三角分布に変換することが可能であり、前記処理要素は、成熟度の定性的指標を各三角分布に割当てることによって定性的指標を割当てることが可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記処理要素は、資本市場のそれぞれのリスクおよびリターンパターンを反映する対数正規確率密度の対数平均および対数標準偏差に基づいて、複数のリスク値の各々についてリスク/リターン分布を判断することによって、リスク/リターン分布を判断することが可能である、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
商品の金額的指標をモデル化するためのシステムであって、
前記商品に関連する少なくとも1つの技術について、成熟度の少なくとも1つの定性的指標を選択可能な処理要素を含み、成熟度の各定性的指標は、各技術が成熟度の前記それぞれの定性的指標の分布に関連付けられるように前記分布に関連付けられ、前記処理要素は、各技術に関連付けられた金額的ポイントを規定し、その後、前記それぞれの金額的ポイントおよび前記それぞれの分布に基づいて、各技術について金額的分布を判断することも可能であり、前記処理要素は加えて、前記それぞれの金額的分布に基づいて、各技術について複数の金額的値をランダムに選択することによって、前記複数の金額的値を選択可能であり、前記処理要素はさらに、各技術について前記選択された金額的値に基づいて、前記商品についての前記金額的指標をモデル化することが可能である、システム。
【請求項21】
前記処理要素は、定量的リスク/リターンのモデルから少なくとも1つの定性的指標を選択することによって、少なくとも1つの定性的指標を選択可能である、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記処理要素は、定量的リスク/リターンをモデル化することも可能であり、前記処理要素は、以下のステップによって定量的リスク/リターンをモデル化することが可能であり、前記以下のステップは、
複数のリスク値の各々について分布を判断するステップを含み、前記複数のリスク値は最低リスク値から最高リスク値へと配列可能であり、前記以下のステップはさらに、
定量的リスク/リターンを成熟度の前記複数の指標の関数としてモデル化するために、それぞれのリスク値に基づいて成熟度の定性的指標を前記複数の分布の各々に割当てるステップを含み、成熟度の前記指標は成熟度の最高指標から成熟度の最低指標へと配列可能であり、前記処理要素は、成熟度のより高い指標をより低いリスク値に関連する分布に割当てることによって、成熟度の前記複数の指標を割当てることができる、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記システムは商品を生産するコストをモデル化するためのシステムを含み、前記処理要素は、コストポイントを規定することによって金額的ポイントを規定し、前記処理要素
は、各技術についてのコスト分布を前記それぞれのコストポイントおよび前記それぞれの分布に基づいて判断することによって金額的分布を判断し、前記処理要素は、複数のコスト値を選択することによって複数の金額的値を選択し、前記処理要素は、各技術について前記選択されたコスト値に基づいてコスト感度分布を判断し、それにより前記商品を生産する前記コストをモデル化することによって、金額的指標をモデル化する、請求項20に記載のシステム。
【請求項24】
前記システムは商品に関連する収益をモデル化するためのシステムを含み、前記処理要素は、収益ポイントを規定することによって金額的ポイントを規定可能であり、前記処理要素は、各技術についての収益分布を前記それぞれの収益ポイントおよび前記それぞれの分布に基づいて判断することによって金額的分布を判断可能であり、前記処理要素は、複数の収益値を選択することによって複数の金額的値を選択可能であり、前記処理要素は、各技術について前記選択された収益値に基づいて価格感度分布を判断し、それにより前記商品に関連する前記収益をモデル化することによって、金額的指標をモデル化することが可能である、請求項20に記載のシステム。
【請求項25】
定量的リスク/リターンを、成熟度の複数の定性的指標の関数としてモデル化するためのコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、コンピュータ読み取り可能なプログラムコード部分が内部に記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含み、前記コンピュータ読み取り可能なプログラム部分は、
複数のリスク値の各々についてリスク/リターン分布を判断するための第1の実行可能な部分を含み、前記複数のリスク値は最低リスク値から最高リスク値へと配列可能であり、前記コンピュータ読み取り可能なプログラム部分はさらに、
定量的リスク/リターンを成熟度の前記複数の指標の関数としてモデル化するために、それぞれのリスク値に基づいて成熟度の定性的指標を前記複数のリスク/リターン分布の各々に割当てるための第2の実行可能な部分を含み、成熟度の前記指標は成熟度の最高指標から成熟度の最低指標へと配列可能であり、前記第2の実行可能な部分は、成熟度のより高い指標をより低いリスク値についてのリスク/リターン分布に割当てることによって、成熟度の前記複数の指標を割当てる、コンピュータプログラム製品。
【請求項26】
前記複数のリスク/リターン分布の各々を最頻値1に正規化するための第3の実行可能な部分をさらに含む、請求項25に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項27】
前記リスク/リターン分布の各々の上限および下限を予め規定された百分率で切捨てるための第3の実行可能な部分をさらに含む、請求項25に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項28】
各リスク/リターン分布は対数正規リスク/リターン分布を含み、前記方法は、各対数正規リスク/リターン分布を対応する三角分布に変換するための第3の実行可能な部分をさらに含み、前記第2の実行可能な部分は、成熟度の定性的指標を各三角分布に割当てることによって定性的指標を割当てる、請求項25に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項29】
成熟度の複数の指標を提供するための第3の実行可能な部分をさらに含み、成熟度の前記複数の指標は技術準備状態レベルを含む、請求項25に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項30】
各リスク/リターン分布は対数正規リスク/リターン分布を含み、前記コンピュータプログラム製品はさらに、
前記複数のリスク/リターン分布の各々を最頻値1に正規化するための第3の実行可能な部分と、
前記リスク/リターン分布の各々の上限および下限を予め規定された百分率で切捨てるための第4の実行可能な部分と、
各対数正規リスク/リターン分布を対応する三角分布に変換するための第5の実行可能な部分とを含み、前記第2の実行可能な部分は、成熟度の定性的指標を各三角分布に割当てることによって定性的指標を割当てる、請求項25に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項31】
前記第1の実行可能な部分は、資本市場のそれぞれのリスクおよびリターンパターンを反映する対数正規確率密度の対数平均および対数標準偏差に基づいて、複数のリスク値の各々についてリスク/リターン分布を判断する、請求項25に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項32】
商品の金額的指標をモデル化するためのコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、コンピュータ読み取り可能なプログラムコード部分が内部に記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含み、前記コンピュータ読み取り可能なプログラム部分は、
前記商品に関連する少なくとも1つの技術について、成熟度の少なくとも1つの定性的指標を選択するための第1の実行可能な部分を含み、成熟度の各定性的指標は、各技術が成熟度の前記それぞれの定性的指標の分布に関連付けられるように前記分布に関連付けられ、前記コンピュータ読み取り可能なプログラム部分はさらに、
各技術に関連付けられた金額的ポイントを規定するための第2の実行可能な部分と、
前記それぞれの金額的ポイントおよび前記それぞれの分布に基づいて、各技術について金額的分布を判断するための第3の実行可能な部分と、
前記それぞれの金額的分布に基づいて、各技術について複数の金額的値をランダムに選択することによって、前記複数の金額的値を選択するための第4の実行可能な部分と、
各技術について前記選択された金額的値に基づいて、前記商品についての前記金額的指標をモデル化するための第5の実行可能な部分とを含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項33】
前記第4の実行可能な部分は、定量的リスク/リターンのモデルから少なくとも1つの定性的指標を選択する、請求項32に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項34】
定量的リスク/リターンをモデル化するための第6の実行可能な部分をさらに含み、前記第6の実行可能な部分は、以下のステップによって定量的リスク/リターンをモデル化し、前記以下のステップは、
複数のリスク値の各々について分布を判断するステップを含み、前記複数のリスク値は最低リスク値から最高リスク値へと配列可能であり、前記以下のステップはさらに、
定量的リスク/リターンを成熟度の前記複数の指標の関数としてモデル化するために、それぞれのリスク値に基づいて成熟度の定性的指標を前記複数の分布の各々に割当てるステップを含み、成熟度の前記指標は成熟度の最高指標から成熟度の最低指標へと配列可能であり、前記第6の実行可能な部分は、成熟度のより高い指標をより低いリスク値に関連する分布に割当てることによって、成熟度の前記複数の指標を割当てる、請求項33に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項35】
前記コンピュータプログラム製品は、商品を生産するコストをモデル化するためのコンピュータプログラム製品を含み、前記第2の実行可能な部分はコストポイントを規定し、前記第3の実行可能な部分は、各技術についてのコスト分布を前記それぞれのコストポイントおよび前記それぞれの分布に基づいて判断し、前記第4の実行可能な部分は複数のコスト値を選択し、前記第5の実行可能な部分は、各技術について前記選択されたコスト値に基づいてコスト感度分布を判断し、それにより前記商品を生産する前記コストをモデル化することによって、金額的指標をモデル化する、請求項32に記載のコンピュータプロ
グラム製品。
【請求項36】
前記コンピュータプログラム製品は、商品に関連する収益をモデル化するためのコンピュータプログラム製品を含み、前記第2の実行可能な部分は収益ポイントを規定し、前記第3の実行可能な部分は、各技術についての収益分布を前記それぞれの収益ポイントおよび前記それぞれの分布に基づいて判断し、前記第4の実行可能な部分は複数の収益値を選択し、前記第5の実行可能な部分は、各技術について前記選択された収益値に基づいて価格感度分布を判断し、それにより前記商品に関連する前記収益をモデル化することによって、金額的指標をモデル化する、請求項32に記載のコンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−526530(P2007−526530A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515079(P2006−515079)
【出願日】平成16年6月1日(2004.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/017310
【国際公開番号】WO2004/109457
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company