技術的装置のための通信システム、とりわけ自動車用の通信システム
次のような技術的装置のための通信システム（１）を提供する。すなわち、とりわけ自動車用の通信システムであり、それぞれ技術的装置の相互に異なる機能を監視および制御するために使用される複数の機能システムを有し、該複数の機能システムはそれぞれ、評価ユニットと、信号交換のために該評価ユニットに結合された少なくとも１つの機能コンポーネントとを有する通信システム（１）を提供する。前記機能システム（１０；２０；３０）のうち少なくとも１つは、別の機能システム（１０；２０；３０）のうち少なくとも１つの機能システムの機能障害および／または機能欠落を検出し、該少なくとも１つの別の機能システム（１０；２０；３０）の機能障害および／または機能欠落の場合には、該少なくとも１つの別の機能システム（１０；２０；３０）の機能の少なくとも一部を引き継ぐように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は技術的装置のための通信システム、とりわけ自動車用の通信システムと、通信システムを有する自動車とに関する。
【０００２】
多くの技術的装置は、該技術的装置の相互に異なる機能をそれぞれ監視および制御するために使用される複数の機能システムを有する。機能システムは最も一般的な形態では、評価装置と、信号交換のために該評価装置に結合された少なくとも１つの機能コンポーネントとを有する。自動車ではこのような機能システムは、たとえば人間保護システムによって構成される。このようなシステムは、評価ユニットに接続されたセンサ系の他に、１つまたは複数の保護システムに対する駆動制御ユニットも有する。自動車に通常は設けられている別の機能システムにたとえば、同様に評価ユニットを有する通信装置および／または娯楽装置に関するものがあり、この評価装置はたとえば、受信ユニットと、通信機能および／または娯楽機能を制御する機能ユニットとに接続されている。さらに、たとえば電動ウィンドウレギュレータの操作、電動シートアジャスタ、空調装置またはＥＳＰ（Electronic Stability Programm）等に関する別の機能システムも存在する。
【０００３】
多くの機能システムでは、他の機能システムとセンサ系のオーバーラップが生じることがある。すなわち１つの機能システムが、別の機能システムによってたとえばバス上で供給されたセンサ値を使用するのである。
【０００４】
このような個別の機能システムは相互に独立して動作し、相互に何らかの接触点を有することがない。このことは、機能システムの機能コンポーネントまたは評価ユニットの故障時に別の機能システムが巻き添えになることがないという利点をもたらす。他方では、機能コンポーネントの機能欠落に見舞われた機能システムの性能は、少なくとも大きく制限されるか、または完全に欠落してしまうこともある。
【０００５】
機能システムの完全な欠落を回避するためには、機能システム内に存在する機能コンポーネントを高い頻度で冗長的に実行する。このことに相応する相互間の結合により、機能システムの動作が制限される前に、双方の冗長的な機能コンポーネントの欠落が必要になる。コスト上の理由から、通常はセーフティ関連の機能システムのコンポーネントのみが冗長的に構成される。
【０００６】
したがって本発明の課題は、個々の機能コンポーネントの欠落時のより良好なセーフティを簡単に保証する、技術的装置のための通信システム、とりわけ自動車用の通信システムを提供することである。
【０００７】
この課題は、請求項１の特徴部分に記載の構成を有する通信システムによって解決される。従属請求項に有利な実施形態が記載されている。
【０００８】
技術的装置のための本発明の通信システム、とりわけ自動車用の通信システムは、それぞれ該技術的装置の相互に異なる機能を監視および制御するために使用される複数の機能システムを有し、該複数の機能システムはそれぞれ、評価ユニットと、信号交換のために該評価ユニットに結合された少なくとも１つの機能コンポーネントとを有する。前記機能システムのうち少なくとも１つは、別の機能システムのうち少なくとも１つの機能システムの機能障害および／または機能欠落を検出し、該少なくとも１つの別の機能システムの機能障害および／または機能欠落の場合には、該少なくとも１つの別の機能システムの機能の少なくとも一部を引き継ぐように構成されている。
【０００９】
通信システムの概念は本発明の枠内では、異なるタスクを有する複数の機能システムを含む機能システム複合体を指す。この異なるタスクは、通信タスクの種類でも非通信の種類でもある。
【００１０】
したがって本発明では、異なる技術的機能に割り当てられた機能システムが相互にネットワーク接続されることにより、機能システムの機能コンポーネントの欠落が別の機能システムによって引き継がれるように構成された通信システムを提案する。機能を引き継ぐ側の機能システムの本来の機能は、本発明の思想によれば、欠落する側の機能システムの機能と全くオーバーラップする必要はない。このことはもちろん、同様の機能を有する機能システムによって機能が引き継がれるケースも含む。
【００１１】
したがって本発明の通信システムは、技術的装置の相互に異なる機能を制御および監視するために使用される機能システム間に従来は設けられていた厳格な分け目を取り払うことにより、通信システムのフェールトレラントなアーキテクチャを実現する。このようなアーキテクチャによって、個々の機能システムの相互間のネットワーク接続および整合が可能になり、少なくともセーフティ上重要な機能は、未だ動作可能な他の機能システムのうち少なくとも１つによって引き継がれるようになる。
【００１２】
このようなプロセスによってさらには、特別な種類のエラー診断も可能になる。というのも、このようなエラー診断をもっぱら１つの機能システム内で実行するだけでなく、複数の機能システムにわたって包括的に実行できるからである。このことにより、使用されるリソースをさらに最適化することができる。というのも、コストを著しく上昇させる機能システム内における冗長性がもはや必要なくなるからである。そのために必要とされる、このようなプロセスの前提条件は、通信システムの個々の機能システムが結合され、これらが、機能システムの機能障害および／または機能欠落の機能を引き継げるように構成されていることである。
【００１３】
本発明の１つの実施形態では、１つまたは複数の機能システムが機能コンポーネントとしてそれぞれ少なくとも１つのセンサユニットと少なくとも１つの駆動制御ユニットとを有し、該少なくとも１つのセンサユニットは出力信号を評価ユニットへ供給し、該駆動制御ユニットは、該評価ユニットによって生成された駆動制御信号を受信する。この実施形態では、１つまたは複数の機能システムは、機能をセンシングと、判定／計算／評価と、たとえばアクチュエータ系の駆動制御とに分割する古典的な分類を有する。機能システムのこのような分類はとりわけ、自動車で使用される場合に見られる。
【００１４】
本発明の別の実施形態では、前記機能システムのうち少なくとも２つの機能システムの各評価ユニット間に通信接続が形成されている。こうすることにより、機能障害および／または機能欠落に該当する評価ユニットの機能または機能の一部の引継ぎが可能になる。
【００１５】
別の実施形態では本発明は、機能システムの評価ユニットと別の機能ユニットのうち少なくとも１つの機能システムの機能コンポーネントとの間に通信接続が形成され、またその逆にも通信接続が形成されている構成を有する。このような構成により、たとえば欠落した機能システムのセンサ系のセンサ信号を、機能可能な機能システムの評価ユニットによって検出することができる。この評価ユニットが、欠落した機能システムのアクチュエータ系に接続されている場合には、センサ系によって検出された信号に応答して該アクチュエータ系の適正な駆動制御を行うことができる。このような本発明の変形形態により、機能システムの評価ユニットの欠落を補償することができる。
【００１６】
通信接続部は、１つの実施形態ではそれぞれの離散的な線路によって形成され、別の実施形態ではデータバスによって形成される。後者の手段では、データバスを介して伝送されたメッセージの適切な変換を行うことにより、機能システムの包括的なアーキテクチャを特に簡単に実現することができる。
【００１７】
別の実施形態では、別の機能システムの機能妨害および／または機能欠落の場合に、引き継ぐ側の機能システムによって、該別の機能システムの機能のどの部分が維持されて該別の機能システムの機能のどの部分が引き継がれないかが決定される。このようなプロセスにより、引き継ぐ側の機能システムのたとえばメモリまたはプロセッサ性能等のリソースは、異なる機能システムの複数の機能を同時に引き継いで実行できるほど大きく構成しなくてもよいという利点が得られる。とりわけセーフティ上重要な機能をこのように選択的に実行継続することにより、場合によっては、既存の引継ぎ側の機能システムのオーバーサイジングまたは変更（上記の付加的な通信接続は除外して）を行う必要が全くなくなる。このことにより、本発明による通信システムをコスト面でも有利に実現することができる。
【００１８】
欠落した機能システムの機能の引き継ぎを引継ぎ側の機能システムが行えるようにするため、別の実施形態では、次のような中央記憶手段が設けられる。すなわち、機能システムすべてがアクセスでき、該中央記憶手段のデータを通信システムの機能システム（とりわけ該機能システムの評価ユニット）が読み出すことができる中央記憶手段が設けられる。この中央記憶手段内のデータは、機能システムのコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードを含む。このような構成により、所定の機能の実行に必要なコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードを通信システムに多重に設ける必要を無くすことができる。このようなデータを中央で記憶し、これらのデータにアクセスするための該当の機能システムの手段を使用することにより、１回の記憶で十分となり、これによって、通信システムのトポロジーを簡単にし、ひいてはコストを低く抑えることができる。
【００１９】
記憶手段は、機能妨害および／または機能欠落の場合に機能が前記機能システムのうち１つによって引き継がれる機能システムのコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードのみを有することによって、さらなる改善が実現される。これは、たとえば自動車における人間保護手段等であるセーフティ上重要な機能に該当するデータとすることができる。たとえば車両の快適フィーチャに該当し車両の安全運転には必ずしも重要でないデータは、この実施形態ではメモリに保持する必要がないので、メモリを小さく構成することができる。
【００２０】
１つの実施形態では、記憶手段としてＣＤ（コンパクトディスク）またはＤＶＤ（デジタル多目的ディスク）が設けられる。これによって、機能の引継ぎに必要なデータを特に簡単かつ低コストで供給することができる。とりわけ、記憶手段がナビゲーションＣＤまたはナビゲーションＤＶＤであり、このナビゲーションＣＤまたはナビゲーションＤＶＤが、自動車のナビゲーションシステムのためのナビゲーションデータの他に機能システムのうち幾つかまたはすべての機能システムのコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードを含むことで、特に効率的な解決手段が実現される。このような記憶手段を使用することによってさらに、更新されたコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードを簡単に供給できる手段が実現される。
【００２１】
別の変形形態では、機能システムのうち少なくとも１つの機能システムは記憶手段を有し、該記憶手段のデータは該当の機能システムによって読み出し可能であり、該記憶手段内のデータは、機能妨害および／または機能欠落の場合に機能が別の機能システムによって引き継がれる１つまたは複数の機能システムのコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードを有する。この変形形態では、機能の引き継ぎのために選択されたそのつどの機能システムに、機能の引継ぎに必要である適切なデータが設けられるように構成されている。
【００２２】
本発明の通信システムは、自動車で使用されるために構成されている。
【００２３】
本発明の対象はまた、上記の形態の通信システムを有する自動車でもある。
【００２４】
したがって本発明の思想は、機能システムを包括して実現される冗長性を設けることと考えることができる。その時点で冗長性を提供する機能システムは第一に相互に異なるタスクを実行するので、同一の機能コンポーネントを２重に設けることによらない冗長性が実現される。
【００２５】
次に、本発明およびその利点を各図に基づいて詳細に説明する。
【００２６】
図面
図１ 本発明による通信システムの第１の実施例を示す。
【００２７】
図２ 本発明による通信システムの第２実施例を示す。
【００２８】
図１は、本発明による通信システム１の第１の実施例を示す。通信システム１は、たとえば３つの機能システム１０，２０，３０を有する。機能システム１０，２０，３０は、通信システム１のそれぞれ相互に異なる機能を監視および制御するために使用される。通信システム１は、たとえば自動車内に構成される。
【００２９】
各機能システム１０，２０，３０は評価ユニット１１，２１，３１と、該評価ユニットに接続された機能コンポーネント１２，１３ないしは２２，２３ないしは３２，３３を有する。機能コンポーネント１２，２２，３２は、たとえばセンサユニット１４，２４，３４として構成される。機能コンポーネント１３，２３，３３は、たとえば駆動制御ユニット１５，２５，３５を構成する。機能システムの機能コンポーネントは、それぞれ線路１６，１７ないしは２６，２７ないしは３６，３７を介して各機能システム１０，２０，３０の評価ユニット１１ないしは２１ないしは３１に接続されている。
【００３０】
機能システム１０がたとえば別の機能システム２０，３０の機能または機能の少なくとも一部を引き継げるようにするため、機能ユニット１２は線路１６ａ，１６ｂを介して機能システム２０，３０の評価ユニット２１ないしは３１に接続されている。このことに相応して、機能コンポーネント１３は線路２７ａ，３７ｂを介して機能システム２０，３０の評価ユニット２１ないしは３１に接続されている。機能システム１０，３０の機能の引き継ぎを機能システム２０が行えるようにするため、機能システム２０の機能ユニット２２および２３は各線路２６ａ，２６ｂないしは１７ａ，３７ａを介して、機能システム１０および３０の評価ユニット１１ないしは３１に接続されている。このことに相応して、機能システム３０の機能コンポーネント３２，３３の線路３６ｂ，３６ａおよび１７ｂ，２７ｂを介して機能システム１０，２０の評価ユニット１１，２１との直接的な接続部が設けられている。
さらに付加的に、機能システム１０，２０，３０の評価ユニット１１，２１，３１間にそれぞれ接続部が存在する。こうするためには、これらは各線路６０，６１，６２を介して相互に接続されている。
さらに、各評価ユニット１１，２１，３１に記憶手段１８ないしは２８ないしは３８が設けられている。評価ユニット１１の記憶手段１８には、機能システム２０，３０のコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードが含まれている。記憶手段２８には、機能システム１０，３０のコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードが記憶されている。記憶手段３８は、機能システム１０，２０のコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードを含む。その他に、各記憶手段１８，２８，３８（または、図中に示されていない付加的な記憶手段）に、該当の機能システム１０，２０，３０自体のコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードも含まれる。
機能システムの個々のコンポーネントの上記の通信トポロジーによって、個々のコンポーネントの機能欠落を識別および補償することができる。
たとえば機能システム２０の機能コンポーネント２２が欠落した場合、機能システム２０は、該機能システム２０に割り当てられた機能を提供することができなくなる。機能コンポーネント２２がたとえば減速度センサであり、機能システム１０も加速度センサである場合には、評価ユニット２１によって予測される情報を、たとえば機能システム１０の機能コンポーネント１２によって供給することもできる。このセンサが機能システム１０の枠内において別の機能を果たすために使用される場合であっても、評価ユニット２１は機能コンポーネント１２によって供給されるデータを別の処理のために使用して、機能システム２０の機能コンポーネント２３を適切に駆動制御できるようにすることができる。
【００３１】
たとえば機能システム３０の評価ユニット３１が欠落した場合、機能コンポーネント３２，３３が機能しているにもかかわらず、機能システム３０の機能をもはや維持できなくなる。本発明の思想ではその代わりに、機能コンポーネント３２によって供給されたデータの判定および評価は、機能システム１０，２０の評価ユニット１１および／または２１によって処理することができる。こうするためにはこれらの評価ユニットは、たとえば、評価ユニット３１までの線路６１，６２上にメッセージが伝送されないことを監視することにより、評価ユニット３１の欠落を検出する。評価ユニット３１のメモリ１８，２８内の該評価ユニット３１のコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードへのこのようなアクセス手段により、機能コンポーネント３２によって供給されたデータを評価することができる。場合によっては、機能コンポーネント３３の駆動制御は前記評価ユニット１１または２１のうち１つによって行われる。
【００３２】
このことに相応して、機能コンポーネント１３，２３，３３の欠落に対応することもできる。
【００３３】
機能システムの機能コンポーネントまたは評価ユニットの機能を引き継ぐためには、これらのユニットの欠落の診断が少なくとも別の機能システムによって検出されるように構成する必要がある。このことはたとえば、各機能ユニット間の適切な通信プロシージャによって行われる。
【００３４】
通信システム１の本発明のアーキテクチャによって、各機能システム１０，２０，３０を、該機能システムの１つにおいてそれぞれ冗長性を有さずに構成することができる。その代わりこの冗長性は、それ自体で相互に独立する機能システム間の包括的な通信によって提供される。
【００３５】
図１の図表示とは逆に、すべての機能システム１０，２０，３０の相互間に通信接続する必要は必ずしも存在しない。通信システムのアーキテクチャは、機能システムのうち幾つかのみが相互間に通信接続部を有し、その他の機能システムとは通信接続部を有さないように構成することもできる。機能システムのうちどれを相互に結合しなければならないかを選択することはここでは、機能システムのそれぞれで提供される機能の観点で、とりわけ監視機能および制御機能の観点で行うことができる。とりわけ、技術的装置内でセーフティ上重要なタスクを果たす機能システムのネットワーク接続は設けなければならない。
【００３６】
図２は、本発明による通信システム１の第２の実施例を示す。これは上記の実施例と同様に、単なる一例として３つの機能システム１０，２０，３０を有する。各機能システム１０，２０，３０は上記の実施例のように、２つの機能コンポーネント１２，１３ないしは２２，２３ないしは３２，３３を有し、これらの機能コンポーネントはそれぞれの評価ユニット１１，２１，３１に通信接続されている。このことも単なる一例である。
【００３７】
機能システムのコンポーネント内の通信接続は、この実施例によればバス線路４０，５０を介して行われる。このことは、別の機能システムのコンポーネントとの通信接続にも当てはまる。これらのバス線路には、機能コンポーネント１２，２２，３２が各線路４１，４２，４３を介して接続されている。このことに相応して、評価ユニット１１，２１，３１は両バス線路４０，５０との間に線路４４，５１ないしは４５，５２ないしは４６，５３を介して接続部を有する。線路５４，５５，５６を介してバス線路５０は、各機能コンポーネント１３，２３，３３に接続されている。
【００３８】
この実施例で図示されている通信構造によって、ハードウェアコンポーネントの比較的大きな変更を行う必要なく、とりわけ多数の機能システム１０，２０，３０の通信を簡単に行うことができる。相応の通信は、バス線路４０，５０を介して伝送されたメッセージの変換ないしは適合によって行われるか、ないしは、そのために使用されるプロトコルの適合によって行われる。たとえばこのことによって、所定の機能システムの機能コンポーネントによって供給されたデータを別の機能システムのうち１つが、通常の動作の枠内で処理のために使用することができる。具体的には、所定のセンサによって供給された測定値を複数の機能システムによって処理することができる。
【００３９】
欠落した機能システムの機能を引き継ぐために必要なコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードは、図２に示された実施例では中央記憶手段７０に保持される。この中央記憶手段７０はバス線路５０に通信接続されている。記憶手段７０は、たとえばハードディスクまたは別の不揮発性メモリ等の任意の種類のメモリとすることができる。自動車では記憶手段としてとりわけ、たとえば自動車のナビゲーションシステム用のナビゲーションデータを含むＣＤまたはＤＶＤが考えられる。このようにして、付加的なハードウェアコンポーネントを通信システムに設けることにより、複数の機能コンポーネントの相互間の監視および制御を行う必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【００４０】
【図１】本発明による通信システムの第１の実施例を示す。
【図２】本発明による通信システムの第２実施例を示す。
【技術分野】
【０００１】
本発明は技術的装置のための通信システム、とりわけ自動車用の通信システムと、通信システムを有する自動車とに関する。
【０００２】
多くの技術的装置は、該技術的装置の相互に異なる機能をそれぞれ監視および制御するために使用される複数の機能システムを有する。機能システムは最も一般的な形態では、評価装置と、信号交換のために該評価装置に結合された少なくとも１つの機能コンポーネントとを有する。自動車ではこのような機能システムは、たとえば人間保護システムによって構成される。このようなシステムは、評価ユニットに接続されたセンサ系の他に、１つまたは複数の保護システムに対する駆動制御ユニットも有する。自動車に通常は設けられている別の機能システムにたとえば、同様に評価ユニットを有する通信装置および／または娯楽装置に関するものがあり、この評価装置はたとえば、受信ユニットと、通信機能および／または娯楽機能を制御する機能ユニットとに接続されている。さらに、たとえば電動ウィンドウレギュレータの操作、電動シートアジャスタ、空調装置またはＥＳＰ（Electronic Stability Programm）等に関する別の機能システムも存在する。
【０００３】
多くの機能システムでは、他の機能システムとセンサ系のオーバーラップが生じることがある。すなわち１つの機能システムが、別の機能システムによってたとえばバス上で供給されたセンサ値を使用するのである。
【０００４】
このような個別の機能システムは相互に独立して動作し、相互に何らかの接触点を有することがない。このことは、機能システムの機能コンポーネントまたは評価ユニットの故障時に別の機能システムが巻き添えになることがないという利点をもたらす。他方では、機能コンポーネントの機能欠落に見舞われた機能システムの性能は、少なくとも大きく制限されるか、または完全に欠落してしまうこともある。
【０００５】
機能システムの完全な欠落を回避するためには、機能システム内に存在する機能コンポーネントを高い頻度で冗長的に実行する。このことに相応する相互間の結合により、機能システムの動作が制限される前に、双方の冗長的な機能コンポーネントの欠落が必要になる。コスト上の理由から、通常はセーフティ関連の機能システムのコンポーネントのみが冗長的に構成される。
【０００６】
したがって本発明の課題は、個々の機能コンポーネントの欠落時のより良好なセーフティを簡単に保証する、技術的装置のための通信システム、とりわけ自動車用の通信システムを提供することである。
【０００７】
この課題は、請求項１の特徴部分に記載の構成を有する通信システムによって解決される。従属請求項に有利な実施形態が記載されている。
【０００８】
技術的装置のための本発明の通信システム、とりわけ自動車用の通信システムは、それぞれ該技術的装置の相互に異なる機能を監視および制御するために使用される複数の機能システムを有し、該複数の機能システムはそれぞれ、評価ユニットと、信号交換のために該評価ユニットに結合された少なくとも１つの機能コンポーネントとを有する。前記機能システムのうち少なくとも１つは、別の機能システムのうち少なくとも１つの機能システムの機能障害および／または機能欠落を検出し、該少なくとも１つの別の機能システムの機能障害および／または機能欠落の場合には、該少なくとも１つの別の機能システムの機能の少なくとも一部を引き継ぐように構成されている。
【０００９】
通信システムの概念は本発明の枠内では、異なるタスクを有する複数の機能システムを含む機能システム複合体を指す。この異なるタスクは、通信タスクの種類でも非通信の種類でもある。
【００１０】
したがって本発明では、異なる技術的機能に割り当てられた機能システムが相互にネットワーク接続されることにより、機能システムの機能コンポーネントの欠落が別の機能システムによって引き継がれるように構成された通信システムを提案する。機能を引き継ぐ側の機能システムの本来の機能は、本発明の思想によれば、欠落する側の機能システムの機能と全くオーバーラップする必要はない。このことはもちろん、同様の機能を有する機能システムによって機能が引き継がれるケースも含む。
【００１１】
したがって本発明の通信システムは、技術的装置の相互に異なる機能を制御および監視するために使用される機能システム間に従来は設けられていた厳格な分け目を取り払うことにより、通信システムのフェールトレラントなアーキテクチャを実現する。このようなアーキテクチャによって、個々の機能システムの相互間のネットワーク接続および整合が可能になり、少なくともセーフティ上重要な機能は、未だ動作可能な他の機能システムのうち少なくとも１つによって引き継がれるようになる。
【００１２】
このようなプロセスによってさらには、特別な種類のエラー診断も可能になる。というのも、このようなエラー診断をもっぱら１つの機能システム内で実行するだけでなく、複数の機能システムにわたって包括的に実行できるからである。このことにより、使用されるリソースをさらに最適化することができる。というのも、コストを著しく上昇させる機能システム内における冗長性がもはや必要なくなるからである。そのために必要とされる、このようなプロセスの前提条件は、通信システムの個々の機能システムが結合され、これらが、機能システムの機能障害および／または機能欠落の機能を引き継げるように構成されていることである。
【００１３】
本発明の１つの実施形態では、１つまたは複数の機能システムが機能コンポーネントとしてそれぞれ少なくとも１つのセンサユニットと少なくとも１つの駆動制御ユニットとを有し、該少なくとも１つのセンサユニットは出力信号を評価ユニットへ供給し、該駆動制御ユニットは、該評価ユニットによって生成された駆動制御信号を受信する。この実施形態では、１つまたは複数の機能システムは、機能をセンシングと、判定／計算／評価と、たとえばアクチュエータ系の駆動制御とに分割する古典的な分類を有する。機能システムのこのような分類はとりわけ、自動車で使用される場合に見られる。
【００１４】
本発明の別の実施形態では、前記機能システムのうち少なくとも２つの機能システムの各評価ユニット間に通信接続が形成されている。こうすることにより、機能障害および／または機能欠落に該当する評価ユニットの機能または機能の一部の引継ぎが可能になる。
【００１５】
別の実施形態では本発明は、機能システムの評価ユニットと別の機能ユニットのうち少なくとも１つの機能システムの機能コンポーネントとの間に通信接続が形成され、またその逆にも通信接続が形成されている構成を有する。このような構成により、たとえば欠落した機能システムのセンサ系のセンサ信号を、機能可能な機能システムの評価ユニットによって検出することができる。この評価ユニットが、欠落した機能システムのアクチュエータ系に接続されている場合には、センサ系によって検出された信号に応答して該アクチュエータ系の適正な駆動制御を行うことができる。このような本発明の変形形態により、機能システムの評価ユニットの欠落を補償することができる。
【００１６】
通信接続部は、１つの実施形態ではそれぞれの離散的な線路によって形成され、別の実施形態ではデータバスによって形成される。後者の手段では、データバスを介して伝送されたメッセージの適切な変換を行うことにより、機能システムの包括的なアーキテクチャを特に簡単に実現することができる。
【００１７】
別の実施形態では、別の機能システムの機能妨害および／または機能欠落の場合に、引き継ぐ側の機能システムによって、該別の機能システムの機能のどの部分が維持されて該別の機能システムの機能のどの部分が引き継がれないかが決定される。このようなプロセスにより、引き継ぐ側の機能システムのたとえばメモリまたはプロセッサ性能等のリソースは、異なる機能システムの複数の機能を同時に引き継いで実行できるほど大きく構成しなくてもよいという利点が得られる。とりわけセーフティ上重要な機能をこのように選択的に実行継続することにより、場合によっては、既存の引継ぎ側の機能システムのオーバーサイジングまたは変更（上記の付加的な通信接続は除外して）を行う必要が全くなくなる。このことにより、本発明による通信システムをコスト面でも有利に実現することができる。
【００１８】
欠落した機能システムの機能の引き継ぎを引継ぎ側の機能システムが行えるようにするため、別の実施形態では、次のような中央記憶手段が設けられる。すなわち、機能システムすべてがアクセスでき、該中央記憶手段のデータを通信システムの機能システム（とりわけ該機能システムの評価ユニット）が読み出すことができる中央記憶手段が設けられる。この中央記憶手段内のデータは、機能システムのコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードを含む。このような構成により、所定の機能の実行に必要なコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードを通信システムに多重に設ける必要を無くすことができる。このようなデータを中央で記憶し、これらのデータにアクセスするための該当の機能システムの手段を使用することにより、１回の記憶で十分となり、これによって、通信システムのトポロジーを簡単にし、ひいてはコストを低く抑えることができる。
【００１９】
記憶手段は、機能妨害および／または機能欠落の場合に機能が前記機能システムのうち１つによって引き継がれる機能システムのコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードのみを有することによって、さらなる改善が実現される。これは、たとえば自動車における人間保護手段等であるセーフティ上重要な機能に該当するデータとすることができる。たとえば車両の快適フィーチャに該当し車両の安全運転には必ずしも重要でないデータは、この実施形態ではメモリに保持する必要がないので、メモリを小さく構成することができる。
【００２０】
１つの実施形態では、記憶手段としてＣＤ（コンパクトディスク）またはＤＶＤ（デジタル多目的ディスク）が設けられる。これによって、機能の引継ぎに必要なデータを特に簡単かつ低コストで供給することができる。とりわけ、記憶手段がナビゲーションＣＤまたはナビゲーションＤＶＤであり、このナビゲーションＣＤまたはナビゲーションＤＶＤが、自動車のナビゲーションシステムのためのナビゲーションデータの他に機能システムのうち幾つかまたはすべての機能システムのコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードを含むことで、特に効率的な解決手段が実現される。このような記憶手段を使用することによってさらに、更新されたコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードを簡単に供給できる手段が実現される。
【００２１】
別の変形形態では、機能システムのうち少なくとも１つの機能システムは記憶手段を有し、該記憶手段のデータは該当の機能システムによって読み出し可能であり、該記憶手段内のデータは、機能妨害および／または機能欠落の場合に機能が別の機能システムによって引き継がれる１つまたは複数の機能システムのコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードを有する。この変形形態では、機能の引き継ぎのために選択されたそのつどの機能システムに、機能の引継ぎに必要である適切なデータが設けられるように構成されている。
【００２２】
本発明の通信システムは、自動車で使用されるために構成されている。
【００２３】
本発明の対象はまた、上記の形態の通信システムを有する自動車でもある。
【００２４】
したがって本発明の思想は、機能システムを包括して実現される冗長性を設けることと考えることができる。その時点で冗長性を提供する機能システムは第一に相互に異なるタスクを実行するので、同一の機能コンポーネントを２重に設けることによらない冗長性が実現される。
【００２５】
次に、本発明およびその利点を各図に基づいて詳細に説明する。
【００２６】
図面
図１ 本発明による通信システムの第１の実施例を示す。
【００２７】
図２ 本発明による通信システムの第２実施例を示す。
【００２８】
図１は、本発明による通信システム１の第１の実施例を示す。通信システム１は、たとえば３つの機能システム１０，２０，３０を有する。機能システム１０，２０，３０は、通信システム１のそれぞれ相互に異なる機能を監視および制御するために使用される。通信システム１は、たとえば自動車内に構成される。
【００２９】
各機能システム１０，２０，３０は評価ユニット１１，２１，３１と、該評価ユニットに接続された機能コンポーネント１２，１３ないしは２２，２３ないしは３２，３３を有する。機能コンポーネント１２，２２，３２は、たとえばセンサユニット１４，２４，３４として構成される。機能コンポーネント１３，２３，３３は、たとえば駆動制御ユニット１５，２５，３５を構成する。機能システムの機能コンポーネントは、それぞれ線路１６，１７ないしは２６，２７ないしは３６，３７を介して各機能システム１０，２０，３０の評価ユニット１１ないしは２１ないしは３１に接続されている。
【００３０】
機能システム１０がたとえば別の機能システム２０，３０の機能または機能の少なくとも一部を引き継げるようにするため、機能ユニット１２は線路１６ａ，１６ｂを介して機能システム２０，３０の評価ユニット２１ないしは３１に接続されている。このことに相応して、機能コンポーネント１３は線路２７ａ，３７ｂを介して機能システム２０，３０の評価ユニット２１ないしは３１に接続されている。機能システム１０，３０の機能の引き継ぎを機能システム２０が行えるようにするため、機能システム２０の機能ユニット２２および２３は各線路２６ａ，２６ｂないしは１７ａ，３７ａを介して、機能システム１０および３０の評価ユニット１１ないしは３１に接続されている。このことに相応して、機能システム３０の機能コンポーネント３２，３３の線路３６ｂ，３６ａおよび１７ｂ，２７ｂを介して機能システム１０，２０の評価ユニット１１，２１との直接的な接続部が設けられている。
さらに付加的に、機能システム１０，２０，３０の評価ユニット１１，２１，３１間にそれぞれ接続部が存在する。こうするためには、これらは各線路６０，６１，６２を介して相互に接続されている。
さらに、各評価ユニット１１，２１，３１に記憶手段１８ないしは２８ないしは３８が設けられている。評価ユニット１１の記憶手段１８には、機能システム２０，３０のコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードが含まれている。記憶手段２８には、機能システム１０，３０のコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードが記憶されている。記憶手段３８は、機能システム１０，２０のコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードを含む。その他に、各記憶手段１８，２８，３８（または、図中に示されていない付加的な記憶手段）に、該当の機能システム１０，２０，３０自体のコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードも含まれる。
機能システムの個々のコンポーネントの上記の通信トポロジーによって、個々のコンポーネントの機能欠落を識別および補償することができる。
たとえば機能システム２０の機能コンポーネント２２が欠落した場合、機能システム２０は、該機能システム２０に割り当てられた機能を提供することができなくなる。機能コンポーネント２２がたとえば減速度センサであり、機能システム１０も加速度センサである場合には、評価ユニット２１によって予測される情報を、たとえば機能システム１０の機能コンポーネント１２によって供給することもできる。このセンサが機能システム１０の枠内において別の機能を果たすために使用される場合であっても、評価ユニット２１は機能コンポーネント１２によって供給されるデータを別の処理のために使用して、機能システム２０の機能コンポーネント２３を適切に駆動制御できるようにすることができる。
【００３１】
たとえば機能システム３０の評価ユニット３１が欠落した場合、機能コンポーネント３２，３３が機能しているにもかかわらず、機能システム３０の機能をもはや維持できなくなる。本発明の思想ではその代わりに、機能コンポーネント３２によって供給されたデータの判定および評価は、機能システム１０，２０の評価ユニット１１および／または２１によって処理することができる。こうするためにはこれらの評価ユニットは、たとえば、評価ユニット３１までの線路６１，６２上にメッセージが伝送されないことを監視することにより、評価ユニット３１の欠落を検出する。評価ユニット３１のメモリ１８，２８内の該評価ユニット３１のコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードへのこのようなアクセス手段により、機能コンポーネント３２によって供給されたデータを評価することができる。場合によっては、機能コンポーネント３３の駆動制御は前記評価ユニット１１または２１のうち１つによって行われる。
【００３２】
このことに相応して、機能コンポーネント１３，２３，３３の欠落に対応することもできる。
【００３３】
機能システムの機能コンポーネントまたは評価ユニットの機能を引き継ぐためには、これらのユニットの欠落の診断が少なくとも別の機能システムによって検出されるように構成する必要がある。このことはたとえば、各機能ユニット間の適切な通信プロシージャによって行われる。
【００３４】
通信システム１の本発明のアーキテクチャによって、各機能システム１０，２０，３０を、該機能システムの１つにおいてそれぞれ冗長性を有さずに構成することができる。その代わりこの冗長性は、それ自体で相互に独立する機能システム間の包括的な通信によって提供される。
【００３５】
図１の図表示とは逆に、すべての機能システム１０，２０，３０の相互間に通信接続する必要は必ずしも存在しない。通信システムのアーキテクチャは、機能システムのうち幾つかのみが相互間に通信接続部を有し、その他の機能システムとは通信接続部を有さないように構成することもできる。機能システムのうちどれを相互に結合しなければならないかを選択することはここでは、機能システムのそれぞれで提供される機能の観点で、とりわけ監視機能および制御機能の観点で行うことができる。とりわけ、技術的装置内でセーフティ上重要なタスクを果たす機能システムのネットワーク接続は設けなければならない。
【００３６】
図２は、本発明による通信システム１の第２の実施例を示す。これは上記の実施例と同様に、単なる一例として３つの機能システム１０，２０，３０を有する。各機能システム１０，２０，３０は上記の実施例のように、２つの機能コンポーネント１２，１３ないしは２２，２３ないしは３２，３３を有し、これらの機能コンポーネントはそれぞれの評価ユニット１１，２１，３１に通信接続されている。このことも単なる一例である。
【００３７】
機能システムのコンポーネント内の通信接続は、この実施例によればバス線路４０，５０を介して行われる。このことは、別の機能システムのコンポーネントとの通信接続にも当てはまる。これらのバス線路には、機能コンポーネント１２，２２，３２が各線路４１，４２，４３を介して接続されている。このことに相応して、評価ユニット１１，２１，３１は両バス線路４０，５０との間に線路４４，５１ないしは４５，５２ないしは４６，５３を介して接続部を有する。線路５４，５５，５６を介してバス線路５０は、各機能コンポーネント１３，２３，３３に接続されている。
【００３８】
この実施例で図示されている通信構造によって、ハードウェアコンポーネントの比較的大きな変更を行う必要なく、とりわけ多数の機能システム１０，２０，３０の通信を簡単に行うことができる。相応の通信は、バス線路４０，５０を介して伝送されたメッセージの変換ないしは適合によって行われるか、ないしは、そのために使用されるプロトコルの適合によって行われる。たとえばこのことによって、所定の機能システムの機能コンポーネントによって供給されたデータを別の機能システムのうち１つが、通常の動作の枠内で処理のために使用することができる。具体的には、所定のセンサによって供給された測定値を複数の機能システムによって処理することができる。
【００３９】
欠落した機能システムの機能を引き継ぐために必要なコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードは、図２に示された実施例では中央記憶手段７０に保持される。この中央記憶手段７０はバス線路５０に通信接続されている。記憶手段７０は、たとえばハードディスクまたは別の不揮発性メモリ等の任意の種類のメモリとすることができる。自動車では記憶手段としてとりわけ、たとえば自動車のナビゲーションシステム用のナビゲーションデータを含むＣＤまたはＤＶＤが考えられる。このようにして、付加的なハードウェアコンポーネントを通信システムに設けることにより、複数の機能コンポーネントの相互間の監視および制御を行う必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【００４０】
【図１】本発明による通信システムの第１の実施例を示す。
【図２】本発明による通信システムの第２実施例を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
技術的装置のための通信システム（１）であって、
とりわけ自動車用の通信システム（１）であり、
・該技術的装置の相互に異なる機能をそれぞれ監視および制御するために使用される複数の機能システム（１０；２０；３０）を有し、該機能システム（１０；２０；３０）はそれぞれ、評価ユニット（１１；２１；３１）と、信号交換のために該評価ユニット（１１；２１；３１）に結合された少なくとも１つの機能コンポーネント（１２，１３；２２；２３；３２；３３）とを有し、
・該機能システム（１０；２０；３０）のうち少なくとも１つは、
・別の機能システム（１０；２０；３０）のうち少なくとも１つの機能システムの機能妨害および／または機能欠落を検出し、
・該少なくとも１つの別の機能システム（１０；２０；３０）の機能妨害および／または機能欠落の場合に、該少なくとも１つの別の機能システム（１０；２０；３０）の機能の少なくとも一部を引き継ぐ
ように構成されていることを特徴とする、通信システム。
【請求項２】
１つまたは複数の前記機能システム（１０；２０；３０）が機能コンポーネントとしてそれぞれ少なくとも１つのセンサユニット（１４；２４；３４）と少なくとも１つの駆動制御ユニット（１５；２５；３５）とを有し、
該少なくとも１つのセンサユニット（１４；２４；３４）はセンサ出力信号を前記評価ユニット（１１；２１；３１）へ供給し、
該少なくとも１つの駆動制御ユニット（１５；２５；３５）は、該評価ユニット（１１；２１；３１）によって生成された駆動制御信号を受信する、請求項１記載の通信システム。
【請求項３】
前記機能システム（１０；２０；３０）のうち少なくとも２つの機能システムの各評価ユニット（１１；２１；３１）間に通信接続部（６０，６１，６２）が設けられている、請求項１または２記載の通信システム。
【請求項４】
前記機能システム（１０；２０；３０）のうち１つの機能システムの評価ユニット（１１；２１；３１）と別の機能システム（１０；２０；３０）のうち少なくとも１つの機能システムの機能コンポーネント（１２，１３；２２；２３，３２；３３）との間に通信接続部が設けられており、かつその逆にも設けられている、請求項１から３までのいずれか１項記載の通信システム。
【請求項５】
前記通信接続部は、それぞれの離散的な線路（１６ａ，１６ｂ，１７ａ，１７ｂ；２６ａ，２６ｂ，２７ａ，２７ｂ；３６ａ，３６ｂ，３７ａ，３７ｂ）またはデータバス（４０；５０）によって形成されている、請求項４記載の通信システム。
【請求項６】
前記別の機能システム（１０；２０；３０）の機能妨害および／または機能欠落の場合に、引き継ぐ側の機能システム（１０；２０；３０）によって、該別の機能システム（１０；２０；３０）の機能のどの部分が維持されて該別の機能システムの機能のどの部分が引き継がれないかが決定される、請求項１から５までのいずれか１項記載の通信システム。
【請求項７】
前記機能システム（１０；２０；３０）のすべてがアクセスできる中央記憶手段（７０）が設けられており、
該中央記憶手段（７０）のデータを、該機能システム（１０；２０；３０）が読み出すことができ、
該中央記憶手段（７０）内のデータは、該機能システム（１０；２０；３０）のコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードを含むように構成されている、請求項１から６までのいずれか１項記載の通信システム。
【請求項８】
前記中央記憶手段（７０）は、機能妨害および／または機能欠落の場合に機能が前記機能システム（１０；２０；３０）のうち１つによって引き継がれる機能システムのコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードのみを有する、請求項７記載の通信システム。
【請求項９】
前記中央記憶手段はＣＤ（コンパクトディスク）またはＤＶＤ（デジタル多目的ディスク）である、請求項７または８記載の通信システム。
【請求項１０】
前記機能システム（１０；２０；３０）のうち少なくとも１つの機能システムは記憶手段（１８；２８；３８）を有し、
該記憶手段（１８；２８；３８）のデータは該当の機能システム（１０；２０；３０）によって読み出し可能であり、
該記憶手段（１８；２８；３８）内のデータは、機能妨害および／または機能欠落の場合に機能が別の機能システム（１０；２０；３０）によって引き継がれる１つまたは複数の機能システム（１０；２０；３０）のコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードを有する、請求項１から６までのいずれか１項記載の通信システム。
【請求項１１】
請求項１から１０までのいずれか１項記載の通信システムを自動車において使用する使用方法。
【請求項１２】
請求項１から１０までのいずれか１項記載の通信システム（１）を有することを特徴とする自動車。
【請求項１】
技術的装置のための通信システム（１）であって、
とりわけ自動車用の通信システム（１）であり、
・該技術的装置の相互に異なる機能をそれぞれ監視および制御するために使用される複数の機能システム（１０；２０；３０）を有し、該機能システム（１０；２０；３０）はそれぞれ、評価ユニット（１１；２１；３１）と、信号交換のために該評価ユニット（１１；２１；３１）に結合された少なくとも１つの機能コンポーネント（１２，１３；２２；２３；３２；３３）とを有し、
・該機能システム（１０；２０；３０）のうち少なくとも１つは、
・別の機能システム（１０；２０；３０）のうち少なくとも１つの機能システムの機能妨害および／または機能欠落を検出し、
・該少なくとも１つの別の機能システム（１０；２０；３０）の機能妨害および／または機能欠落の場合に、該少なくとも１つの別の機能システム（１０；２０；３０）の機能の少なくとも一部を引き継ぐ
ように構成されていることを特徴とする、通信システム。
【請求項２】
１つまたは複数の前記機能システム（１０；２０；３０）が機能コンポーネントとしてそれぞれ少なくとも１つのセンサユニット（１４；２４；３４）と少なくとも１つの駆動制御ユニット（１５；２５；３５）とを有し、
該少なくとも１つのセンサユニット（１４；２４；３４）はセンサ出力信号を前記評価ユニット（１１；２１；３１）へ供給し、
該少なくとも１つの駆動制御ユニット（１５；２５；３５）は、該評価ユニット（１１；２１；３１）によって生成された駆動制御信号を受信する、請求項１記載の通信システム。
【請求項３】
前記機能システム（１０；２０；３０）のうち少なくとも２つの機能システムの各評価ユニット（１１；２１；３１）間に通信接続部（６０，６１，６２）が設けられている、請求項１または２記載の通信システム。
【請求項４】
前記機能システム（１０；２０；３０）のうち１つの機能システムの評価ユニット（１１；２１；３１）と別の機能システム（１０；２０；３０）のうち少なくとも１つの機能システムの機能コンポーネント（１２，１３；２２；２３，３２；３３）との間に通信接続部が設けられており、かつその逆にも設けられている、請求項１から３までのいずれか１項記載の通信システム。
【請求項５】
前記通信接続部は、それぞれの離散的な線路（１６ａ，１６ｂ，１７ａ，１７ｂ；２６ａ，２６ｂ，２７ａ，２７ｂ；３６ａ，３６ｂ，３７ａ，３７ｂ）またはデータバス（４０；５０）によって形成されている、請求項４記載の通信システム。
【請求項６】
前記別の機能システム（１０；２０；３０）の機能妨害および／または機能欠落の場合に、引き継ぐ側の機能システム（１０；２０；３０）によって、該別の機能システム（１０；２０；３０）の機能のどの部分が維持されて該別の機能システムの機能のどの部分が引き継がれないかが決定される、請求項１から５までのいずれか１項記載の通信システム。
【請求項７】
前記機能システム（１０；２０；３０）のすべてがアクセスできる中央記憶手段（７０）が設けられており、
該中央記憶手段（７０）のデータを、該機能システム（１０；２０；３０）が読み出すことができ、
該中央記憶手段（７０）内のデータは、該機能システム（１０；２０；３０）のコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードを含むように構成されている、請求項１から６までのいずれか１項記載の通信システム。
【請求項８】
前記中央記憶手段（７０）は、機能妨害および／または機能欠落の場合に機能が前記機能システム（１０；２０；３０）のうち１つによって引き継がれる機能システムのコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードのみを有する、請求項７記載の通信システム。
【請求項９】
前記中央記憶手段はＣＤ（コンパクトディスク）またはＤＶＤ（デジタル多目的ディスク）である、請求項７または８記載の通信システム。
【請求項１０】
前記機能システム（１０；２０；３０）のうち少なくとも１つの機能システムは記憶手段（１８；２８；３８）を有し、
該記憶手段（１８；２８；３８）のデータは該当の機能システム（１０；２０；３０）によって読み出し可能であり、
該記憶手段（１８；２８；３８）内のデータは、機能妨害および／または機能欠落の場合に機能が別の機能システム（１０；２０；３０）によって引き継がれる１つまたは複数の機能システム（１０；２０；３０）のコンフィギュレーションデータおよび／または実行コードを有する、請求項１から６までのいずれか１項記載の通信システム。
【請求項１１】
請求項１から１０までのいずれか１項記載の通信システムを自動車において使用する使用方法。
【請求項１２】
請求項１から１０までのいずれか１項記載の通信システム（１）を有することを特徴とする自動車。
【図１】
【図２】
【図２】
【公表番号】特表２００９−５０９８３９（Ｐ２００９−５０９８３９Ａ）
【公表日】平成２１年３月１２日（２００９．３．１２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−５３２７３０（Ｐ２００８−５３２７３０）
【出願日】平成１８年９月２０日（２００６．９．２０）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＥＰ２００６／０６６５５６
【国際公開番号】ＷＯ２００７／０３６４７２
【国際公開日】平成１９年４月５日（２００７．４．５）
【出願人】（５０８０２９９５２）ヴィディーオー オートモーティヴ アクチエンゲゼルシャフト (27)
【氏名又は名称原語表記】ＶＤＯ Ａｕｔｏｍｏｔｉｖｅ ＡＧ
【住所又は居所原語表記】Ｓｉｅｍｅｎｓｓｔｒａｓｓｅ １２， Ｄ−９３０５５ Ｒｅｇｅｎｓｂｕｒｇ， Ｇｅｒｍａｎｙ
【公表日】平成２１年３月１２日（２００９．３．１２）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年９月２０日（２００６．９．２０）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＥＰ２００６／０６６５５６
【国際公開番号】ＷＯ２００７／０３６４７２
【国際公開日】平成１９年４月５日（２００７．４．５）
【出願人】（５０８０２９９５２）ヴィディーオー オートモーティヴ アクチエンゲゼルシャフト (27)
【氏名又は名称原語表記】ＶＤＯ Ａｕｔｏｍｏｔｉｖｅ ＡＧ
【住所又は居所原語表記】Ｓｉｅｍｅｎｓｓｔｒａｓｓｅ １２， Ｄ−９３０５５ Ｒｅｇｅｎｓｂｕｒｇ， Ｇｅｒｍａｎｙ
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