説明

抄紙機ドライヤ用カンバスのクリーニング装置

【課題】抄紙機ドライヤによるウエブの加熱乾燥作業を連続して行うことができるクリーニング装置の提供。
【解決手段】水平方向に互いに並列に配置された一対の巻上げシャフト15、15と、巻上げシャフトの回転により周回移動する無端のスパイラルネット39と、巻上げシャフトの回転駆動手段とを備え、スパイラルネットが周回走行するカンバス7に上方から接触してカンバスの付着物を掻き取ることで自身に付着物が付いて汚れると、その汚れた面が回転駆動手段により周回移動されるので、カンバスには綺麗な面が接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抄紙機で製造したウエブ(湿紙)をドライヤロールに押し当てて加熱乾燥させるのに使用されるカンバスのクリーニング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
抄紙機用ドライヤは、抄紙機で製造したウエブを加熱乾燥させるものであり、カンバスによりウエブをドライヤロールの外周面に押し当てて加熱乾燥している。そのため、カンバスにはどうしても粕や塵が付着してしまうが、それらの付着物が堆積していくと、カンバスの通気性を著しく低下させて乾燥能力の低下を招いたり、紙の品質の低下を招いたりしてしまう。従って、カンバスにクリーニング処理を施してコンスタントに付着物を除去することが求められている。
【0003】
例えば、特許文献1では、有端状のクリーニングベルトの表面を周回走行するカンバスの表面に接触させて付着物を除去するクリーニング装置が記載されているが、この装置ではクリーニングベルト自身に付着した付着物の処理のことは言及されていない。しかしながら、クリーニングベルトを持ち上げてそこに堆積した付着物を洗浄除去しなければ、クリーニング能力が劣化してしまう。
従って、特許文献1のクレーニング装置でも、クリーニングベルトを支持フレームなどから取り外して洗浄し、洗浄後には再び取り付けなければならないが、抄紙機用ドライヤの設置場所は、高温でしかも狭いので、人力によりこのような作業をするのはかなり危険であり、時間も掛かる。従って、ウエブの乾燥作業をかなりの時間中断することにもなる。
【0004】
【特許文献1】特開平9−296385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に着目して為されたものであり、抄紙機ドライヤによるウエブの加熱乾燥作業を実質的に連続して行うことができる、新規且つ有用なクリーニング装置を提供することを目的とする。
また、本発明のクリーニング装置によれば、クリーニングベルトの洗浄作業を安全でしかも手間をかけずに行うことができる、新規且つ有用なクリーニング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、水平方向に互いに並列に配置された一対の巻上げシャフトと、前記一対の巻上げシャフトの間に巻き掛けられて吊下げられ、前記巻上げシャフトの回転により周回移動する無端のネット状クリーニングベルトと、前記巻上げシャフトの回転駆動手段とを備え、前記クリーニングベルトが周回走行するカンバスに上方から接触してカンバスの付着物を掻き取ることで自身に付着物が付いて汚れると、その汚れた面が前記回転駆動手段により周回移動されることを特徴とする抄紙機ドライヤ用カンバスのクリーニング装置である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した抄紙機ドライヤ用カンバスのクリーニング装置において、さらに、クリーニングベルトの汚れた面を洗浄するベルト洗浄手段を備えることを特徴とするクリーニング装置である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した抄紙機ドライヤ用カンバスのクリーニング装置において、ベルト洗浄手段は、クリーニングベルトの汚れた面に上方からエアや水を吹き付けて洗浄するもので構成され、さらに、ベルト洗浄手段の吹付け口に前記クリーニングベルトを介して対向して開口したセーブオールを備えることを特徴とするクリーニング装置である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載した抄紙機ドライヤ用カンバスのクリーニング装置において、セーブオールには回収された付着物の吸引排出路が接続されていることを特徴とするクリーニング装置である。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載した抄紙機ドライヤ用カンバスのクリーニング装置において、さらに、一対の巻付けシャフトを同期して回転させる同期手段を備えることを特徴とする抄紙機ドライヤ用カンバスのクリーニング装置である。
【0011】
請求項11の発明は、請求項1から5のいずれかに記載したドライヤ用カンバスのクリーニング装置において、巻付けシャフトの外周面に係止爪が設けられていることを特徴とする抄紙機ドライヤ用カンバスのクリーニング装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のクリーニング装置によれば、クリーニングベルトの汚れた面を移動することで、抄紙機ドライヤによるウエブの加熱乾燥作業を実質的に連続して行うことができる。
また、本発明のクリーニング装置によれば、洗浄作業の際、クリーニングベルトを支持フレームなどから取り外すことなく洗浄位置まで移動でき、そのままそこで洗浄できるので、安全でしかも手間がかからない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態に係るクリーニング装置を備えた抄紙機用ドライヤ1を、図面にしたがって説明する。
先ず、抄紙機用ドライヤ1について簡単に説明する。
図1に示すように、抄紙機用ドライヤ1は脱水したウエブWの乾燥に使用する一般的なものであり、上下の二段に分かれて複数のドライヤロール3が交互に配置され、上段および下段の各ドライヤロール3の間や上下方向に多数のガイドロール5が配置されている。
ロール3、5は、上段のロール群と下段のガイド群に分けられており、上段のロール群3、5には無端帯状のカンバス7が一定の張力を保ちながら巻き掛けられてカンバス7の周回走行路が形成されており、下段のロール群3、5にも別の無端帯状のカンバス7が一定の張力を保ちながら巻き掛けられてカンバス7の周回走行路が形成されている。
符号9は一対の搬送ロールを示す。
【0014】
ドライヤロール3の回転によりカンバス7が矢印に示す方向に周回走行すると、ウエブWは、カンバス7に帯動し、上段と下段の加熱されたドライヤロール3に対してカンバス7によって交互に押圧されて加熱乾燥されながら、上下のロール群間を矢印に示す方向に搬送される。
【0015】
次に、上記の抄紙機用ドライヤ1に備えられたクリーニング装置13について詳細に説明する。
先ず、クリーニング装置13の構成について説明する。
クリーニング装置13は上下段のロール群3、5にそれぞれ巻き掛けられたカンバス7用に2つ設置されているが、構成が同じなので、図1に示す、上段のロール群3、5に巻き掛けられたカンバス7のクリーニング用に設置されたものについて説明する。
【0016】
図2、図3はクリーニング装置13の全体を示す。
図4は一対の同形状の巻上げシャフト15、15を示す。巻上げシャフト15は円柱状をしており、その軸方向の寸法は、カンバス7の幅寸法より若干大きく設定されている。一対の巻上げシャフト15、15は、水平方向に互いに並列に配置される。
図5に示すように、巻上げシャフト15の外周面には、一定間隔をおいて複数の係合リング17が設けられている。この係合リング17の外周縁には一定のピッチで多数の係合爪19が形成されている。係合爪19は径方向外方に向かって先細りになった断面山状に形成されており、矢印に示す回転方向前側の傾斜面は後側の傾斜面より急勾配になっている。
【0017】
符号21、21はガイドリングを示し、各ガイドリング21は巻上げシャフト15の軸方向両端部側の外周面に設けられている。ガイドリング21は径方向外方に向かって張り出しており、上記した係合リング17より外方に張り出している。
符号23は回転軸を示し、この回転軸23、23が巻上げシャフト15の軸方向両端から突出している。
【0018】
符号25、25は同形状の一対の支持フレームを示し、この一対の支持フレーム25、25は水平方向に互いに並列に配置されている。この一対の支持フレーム25、25の間に一対の巻上げシャフト15、15が支持フレーム25、25に対して垂直方向に並列に配置される。支持フレーム25は断面コの字状をしており、一対の支持フレーム25、25は凹部がそれぞれ外方を向いている。
符号27、27は同形状の一対のピロー形軸受ユニットを示し、軸受ユニット27、27はそれぞれ支持フレーム25、25にブラケット26、26を介して取り付けられている。この軸受ユニット27、27に、巻上げシャフト15の両端から突出している回転軸23が回転自在に支持される。各巻上げシャフト15の回転軸23の両端部は軸受ユニット27を超えて延長している。延長部のうち一端側(図2の左下方側)が操作側、他端側(図2の右上方側)が駆動側になっている。
【0019】
符号29、29は一対の同期用スプロケットを示し、この同期用スプロケット29、29は並列して配置された回転軸23、23の操作側の延長部に取り付けられている。図2では省略されているが、図4に示すように、一対の同期用スプロケット29、29の間にはチェーンベルト31が掛け渡されて同期連結されている。また、回転軸23、23の駆動側の延長部にも同様に一対の同期用スプロケット29、29が取り付けられ、その間にはチェーンベルト31が掛け渡されて同期連結されている。従って、一対の巻上げシャフト15、15は同期して同じ回転速度で回転する。
同期用スプロケット29、29と、チェーンベルト31とより同期手段が構成されている。
【0020】
符号33は巻上げ用スプロケットを示し、この巻上げ用スプロケット33は巻上げシャフト15、15の回転軸23、23の延長部のうち操作側のいずれかの端部に取り付けられている。符号35は駆動ユニットを示し、この駆動ユニット35の駆動モーターには減速機が取り付けられている。この減速機の出力軸と巻上げ用スプロケット33の間にはチェーンベルト37が掛け渡されて駆動連結されている。従って、駆動ユニット35の駆動モーターの駆動に伴って巻上げスプロケット33が回転し、それに伴って一対の巻上げシャフト15、15が同期しながら回転する。
巻上げ用スプロケット33と、駆動ユニット35と、チェーンベルト37とによって巻上げシャフト15、15の回転駆動手段が構成されている。
【0021】
符号39は無端のクリーニングベルトとしてのスパイラルネットを示し、このスプイラルネット39が巻上げシャフト15、15に巻き掛けられて吊下げられている。巻上げシャフト15、15間では、スパイラルネット39の下側部分は弛緩している。
スパイラルネット39の隙間には係合リング17の係合爪19が入り込んでスパイラルネット39が係止されている。従って、スパイラルネット39が走行するカンバス7と接触しても引きずられることはない。
また、スパイラルネット39の幅方向両端部はガイドリング21に当接している。
【0022】
図3中、符号41はベルト洗浄手段としてのエア吹付け手段を示し、このエア吹付け手段41に設けられた複数のエア吹付けノズル43、43、‥‥は一対の巻上げシャフト15、15に巻き掛けられたスパイラルネット39の上側部分に上方から対向している。従って、エアはスパイラルネット39の上側部分に向かって上方から吹き付ける。エア吹付けノズル43、43、‥‥はスパイラルネット39の幅方向及び長手方向に沿って配列されている。なお、エア吹付けノズル43は、長手方向に対して2つの群に分けられており、図3の左側の群のエア吹付けノズル43(A)からは比較的高圧のエアが噴出され、右側の群のエア吹付けノズル43(B)からは比較的低圧のエアが噴出される。エア吹付けノズル43(A)が配置されている箇所が第1の洗浄処理の位置(A)、エア吹付けノズル43(B)が配置されている箇所が第2の洗浄処理の位置(B)となっている。
符号45はセーブオールを示し、このセーブオール45は上部に向かって開口した矩形の容器状に構成されており、エア吹付け手段41のエア吹付けノズル43、43、‥‥にスパイラルネット39の上側部分を挟んで対向している。セーブオール45のスパイラルネット39の幅方向側の寸法はスパイラルネット39の幅寸法より大きく、スパイラルネット39の長手方向側の寸法はエア吹付けノズル43、43、‥‥の両端側より十分にはみ出るよう大きく設定されている。
このセーブオール45の一端側の底部には図示しない吸引手段と連結された吸引排出路47の一端が接続されている。
【0023】
符号49、49は同形状の一対の取付けフレームを示し、この一対の取付けフレーム49、49は支持フレーム25、25に対して垂直方向に並列に配置されており、その両端は支持フレーム25、25に連結されて固定されている。セーブオール45はこの取付けフレーム49、49に下側から支持されて固定されている。
【0024】
次に、クリーニング装置13の動作について説明する。
ウエブWの加熱乾燥時には、巻上げシャフト15、15は回転駆動しない。周回走行しているカンバス7にスパイラルネット39が接触して、カンバス7の付着物を掻き取ることで除去、即ちクリーニング作業をする。従って、カンバス7は、加熱乾燥中は逐次クリーニング作業を受ける。
抄紙機用ドライヤ1は、効率的な生産を図るために予め作られた生産計画に従って1週間またはそれ以上にわたって連続的に稼動し、その生産計画が終了すると、次の生産計画に備えてウエブの品種を変更したり、マシーンのメンテナンスをしたりするための稼動を一旦停止する。
クリーニング作業の際には、スプイラルネット39にカンバス7から掻き取った付着物が付いて汚れるが、抄紙機用ドライヤ1の上記したドライヤ1の稼動停止期間のタイミングを利用して、巻上げシャフト15、15を回転駆動させて図3の矢印に示す方向にスパイラルネット39を周回移動させる。これにより、カンバス7に接触する面を交替させる。
【0025】
スパイラルネット39の折込みパターンに合わせて係止爪19の形状が形成されているので、スパイラルネット39の周回移動により係止爪19がスムーズにスパイラルネット39の隙間に入り込み且つ分離する。従って、巻上げシャフト15の回転によりスパイラルネット39の送り込み、即ち周回移動がスムーズになっている。また、スパイラルネット39の幅方向への移動がガイドリング21により規制されているので、スパイラルネット39が巻上げシャフト15から外れたり蛇行したりすることはない。
【0026】
カンバス7に接触させる面はスパイラルネット39上の3つの面(x1)、(y1)、(z1)と設定されている。これらの3つの面は同じ長手方向の長さを有しており、互いに所定距離ずつ離間している。
図6(1)に示す状態で、面(x1)がクリーニング位置(C)でカンバス7に接触してクリーニング作業をして汚れると、上記のタイミングを利用して、スパイラルネット39を周回移動させて、図6(2)に示すように、面(x1)をクリーニング位置(C)から、第1の洗浄位置(A)まで移動させると共に、面(y1)をクリーニング位置(C)に移動させる。
汚れた面(x1)は、第1の洗浄位置(A)で、上方のエア吹付け手段41のエア吹付けノズル43(A)から比較的高圧のエアが吹き付けられる。従って、エアの勢いにより、付着物Fは殆ど吹き落とされてセーブオール45上に落下する。付着物Fはセーブオール45により回収されるので、カンバス7上への落下は阻止される。セーブオール45に溜まった付着物は吸引排出路47から排出される。
汚れた面(x1)が上記した第1の洗浄処理を受けている間、交替してクリーニング位置(C)に移動した面(y1)がカンバス7に接触してクリーニング作業を行える。従って、ドライヤ1の加熱乾燥作業は生産計画の遂行の途中で中断する必要はない。
【0027】
次の抄紙機用ドライヤ1の稼動停止のタイミングを利用して、再びスパイラルネット39が図3の矢印に示すように周回移動させると、カンバス7に接触して汚れた面(y1)は、図6(3)に示すように、第1の洗浄位置(A)に移動する。ここで、汚れた面(y1)は上述の面(x1)と同様に第1の洗浄処理を受ける。
汚れた面(y1)が上記した第1の洗浄処理を受けている間、交替してクリーニング位置(C)に移動した面(z1)がカンバス7に接触してクリーニング作業を行える。
【0028】
面(y1)が第1の洗浄位置(A)まで移動すると、既に第1の洗浄処理を受けて綺麗になった面(x1)は、さらに第2の洗浄位置(B)まで移動し、そこで仕上げの洗浄処理を受ける。即ち、上方のエア吹付け手段41のエア吹付けノズル43(B)から比較的低圧のエアが吹き付けられて、残っていた付着物Fが除去される。なお、付着物Fは第1の洗浄処理と同様に、エアの勢いにより、付着物Fは吹き落とされてセーブオール45上に落下する。付着物Fはセーブオール45により回収されるので、カンバス7上への落下は阻止される。セーブオール45に溜まった付着物は吸引排出路47から排出される。
第2の洗浄処理を受けた面(x1)は、その次の抄紙機用ドライヤ1の稼動停止のタイミングで再びスパイラルネット39を図3の矢印に示すように周回移動させると、図6(4)に示すようにクリーニング位置(C)に移動するので、カンバス7に接触して再びクリーニング作業を行う。
【0029】
このように、スパイラルネット39上の3つの面(x1)、(y1)、(z1)がカンバスのクリーニング作業→第1の洗浄処理→第2の洗浄処理→カンバスのクリーニング作業を順に繰り返す。3つの面(x1)、(y1)、(z1)は視認し易いように色マークが付されており、手動で巻上げシャフト15を回転させてスパイラルネット39を周回移動させる際にはその色を見ながら移動距離を調整する。なお、自動でスパイラルネット39を周回移動させてもよい。
3つの面(x1)、(y1)、(z1)は互いに所定の間隔を配置されており、カンバス7に接触した汚れた面は一回の移動動作でクリーニング位置(C)から第1の洗浄位置(A)まで移動する。このように配置設定されないと、カンバス7のクリーニング作業中に、その汚れた面が第1の洗浄位置(A)の手前で留まってしまい、そこからカンバス7上に付着物Fが落下してしまうからである。
【0030】
3つの面(x1)、(y1)、(z1)だけを交替して使用していると、それらの面がその余の面より磨耗してしまうので、ある程度磨耗した時点で、図7に示すように、使用する3つの面を(x1)、(y1)、(z1)から(x2)、(y2)、(z2)に交替する。
このように使用する面を順次替えていくことで、スパイラルネット39をその全周にわたって無駄なく耐久限界まで使用できる。
【0031】
クリーニング装置13は上記のように動作するので、抄紙機ドライヤによるウエブの加熱乾燥作業を連続して行うことができる。また、スパイラルネット39の洗浄作業の際、スパイラルネット39を支持フレーム25から取り外すことなく洗浄位置まで移動でき、そのままそこで洗浄できるので、安全でしかも手間がかからない。
【0032】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の調整などがあっても本発明に含まれる。
例えば、上記の実施の形態では、駆動モーターを用いて巻上げシャフト15を自動的に回転させるように構成されているが、駆動ユニット25に手動用ハンドルを取り付けて巻上げシャフト15を手動操作で回転させるように構成してもよい。なお、その場合には、適正な手動操作が可能な位置に駆動ユニット25を取り付ける必要がある。また、逆転しないように逆転防止用ストッパーを取り付けたり、手動用ハンドルの側のスプロケットは安全カバーで覆ったりすることが好ましい。
【0033】
また、図8に示すように、巻上げシャフト15、15の一方、例えば左側のものを水平方向に移動可能に構成しておけば、その左側の巻上げシャフト15を移動することで巻上げシャフト15、15間の距離を変更できる。カンバス7と接触するスパイラルネット39の接触距離L1を短い方向にも長い方向にも変更できる。接触距離がL2のように短くなれば、スパイラルネット39に対してカンバス7が接触しながら周回走行する距離が短くなるので、カンバス7の単位面積に対するクリーニング処理の時間が短くなる。一方、接触距離がL3のように長くなれば、スパイラルネット39に対してカンバス7が接触しながら周回走行する距離が長くなるので、カンバス7の単位面積に対するクリーニング処理の時間が長くなる。
カンバス7への付着物Fの量が少ない場合には、接触距離をL2のように短くしても十分にクレーニング効果は得られるが、カンバス7への付着物Fの量が多い場合には、接触距離をL3のように長くする必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明のクリーニング装置によれば、ウエブの乾燥効率が上がるだけでなく、クリーニングベルトの洗浄作業を安全に且つ手間を掛けずに行うことができ、作業効率が飛躍的に増大する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態に係るクリーニング装置を備えた抄紙機用ドライヤの模式的構成図である。
【図2】図1のクリーニング装置の斜視図である。
【図3】図2のクリーニング装置の断面図である。
【図4】図2のクリーニング装置の巻上げシャフトの上面図である。
【図5】図3の巻上げシャフトの斜視図である。
【図6】図2のクリーニング装置の動作の説明図である。
【図7】図2のクリーニング装置の動作の説明図である。
【図8】カンバスとスパイラルネットとが種々の接触距離で接触した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1…抄紙機用ドライヤ 3…ドライヤロール
5…ガイドロール 7…カンバス
9…搬送ロール
13…クリーニング装置 15…巻上げシャフト
17…係合リング 19…係止爪
21…ガイドリング 23…回転軸
25…支持フレーム 26…ブラケット
27…軸受ユニット
29…同期用スプロケット 31…チェーンベルト
33…巻上げ用スプロケット 35…駆動ユニット
37…チェーンベルト 39…スパイラルネット
41…エア吹付け手段 43…エア吹付けノズル
45…セーブオール 47…吸引排出路
49…取付けフレーム
F…付着物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に互いに並列に配置された一対の巻上げシャフトと、前記一対の巻上げシャフトの間に巻き掛けられて吊下げられ、前記巻上げシャフトの回転により周回移動する無端のネット状クリーニングベルトと、前記巻上げシャフトの回転駆動手段とを備え、前記クリーニングベルトが周回走行するカンバスに上方から接触してカンバスの付着物を掻き取ることで自身に付着物が付いて汚れると、その汚れた面が前記回転駆動手段により周回移動されることを特徴とする抄紙機ドライヤ用カンバスのクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1に記載した抄紙機ドライヤ用カンバスのクリーニング装置において、さらに、クリーニングベルトの汚れた面を洗浄するベルト洗浄手段を備えることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載した抄紙機ドライヤ用カンバスのクリーニング装置において、ベルト洗浄手段は、クリーニングベルトの汚れた面に上方からエアや水を吹き付けて洗浄するもので構成され、さらに、ベルト洗浄手段の吹付け口に前記クリーニングベルトを介して対向して開口したセーブオールを備えることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項4】
請求項3に記載した抄紙機ドライヤ用カンバスのクリーニング装置において、セーブオールには回収された付着物の吸引排出路が接続されていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載した抄紙機ドライヤ用カンバスのクリーニング装置において、さらに、一対の巻付けシャフトを同期して回転させる同期手段を備えることを特徴とする抄紙機ドライヤ用カンバスのクリーニング装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載したドライヤ用カンバスのクリーニング装置において、巻付けシャフトの外周面に係止爪が設けられていることを特徴とする抄紙機ドライヤ用カンバスのクリーニング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−24590(P2010−24590A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189530(P2008−189530)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(305055552)株式会社淀川芙蓉 (2)
【Fターム(参考)】