抄紙用プレスフェルト及びその製造方法
【課題】圧縮回復性及び厚み保持性に優れた抄紙用プレスフェルト及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】抄紙用プレスフェルト10は、基体20、繊維集合体30、及び立体編物の層40からなる。この抄紙用プレスフェルト10は、湿紙接触面11と、機械接触面12とを具えている。立体編物の層40は、2枚の編地44,46と、2枚の編地44,46を連結する連結糸48からなり、湿紙接触面11と機械接触面12のいずれとも間隔を置いて配置される。この連結糸48の少なくとも一部が2枚の編地44,46を筋交いに連結する筋交い構造とすることにより、連結糸が筋交いに配列されていない立体編物の層を設ける場合と比べ、圧縮回復性に優れ、且つ長期間にわたり、厚みを保持できる抄紙用プレスフェルトを提供することができる。
【解決手段】抄紙用プレスフェルト10は、基体20、繊維集合体30、及び立体編物の層40からなる。この抄紙用プレスフェルト10は、湿紙接触面11と、機械接触面12とを具えている。立体編物の層40は、2枚の編地44,46と、2枚の編地44,46を連結する連結糸48からなり、湿紙接触面11と機械接触面12のいずれとも間隔を置いて配置される。この連結糸48の少なくとも一部が2枚の編地44,46を筋交いに連結する筋交い構造とすることにより、連結糸が筋交いに配列されていない立体編物の層を設ける場合と比べ、圧縮回復性に優れ、且つ長期間にわたり、厚みを保持できる抄紙用プレスフェルトを提供することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抄紙機械に使用される、抄紙用プレスフェルト(以下、単に「フェルト」と称することがある。)に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、抄紙工程のプレスパートにおいては、湿紙からの水分を搾水すべく、抄紙用プレスフェルトが使用されている。
抄紙工程のプレスパートにおけるプレス部の概略を、図14乃至図16を参照して説明する。
【0003】
図14に示す装置は、一対のプレスロールPR,PRにより構成されるプレス部PP内において、単一のフェルト10Aにより湿紙WWからの水分を搾水する。
一方、図15に示す装置は、プレス部PP内において、2枚のフェルト10A,10Aにより湿紙WWを挟持することにより、湿紙WWからの水分を搾水する構造である。
さらに、図16には、プレスロールPRと、樹脂製ベルトSBを介したプレスシューPSとによりプレス部PPを構成した装置を示す。この場合も、このプレス部PP内において、2枚のフェルト10A,10Aにより、湿紙WWからの水分を搾水する。
【0004】
上記図14乃至図16のいずれの場合であっても、フェルト10Aは、回転するプレスロールPRに連れ回りすることにより駆動され、プレス部PP内で加圧される。
【0005】
次に、図17に基づいて、一般的なフェルトの構成を説明する。
フェルト10Aは無端状に形成されている。そして、フェルト10Aは、織布等によりフェルト全体の強度を発現させる基体20Aと、基体20Aに連結された繊維集合体30Aとにより構成される。
【0006】
このように構成されたフェルト10Aは、前述のとおり、湿紙と接触した状態でプレス部PP内へ突入する。そして、フェルト10Aは、プレス部PPにおける加圧により圧縮され、プレス部脱出後、再び圧縮される前の状態に回復する。
【0007】
ここで、仮にフェルト10Aがプレス部PPに突入する際、圧縮されないと、湿紙WWがプレス圧力を強く受け、破断等が生ずることとなる。
従って、フェルトに要求される機能として、圧縮性及び圧縮回復性が要求されていた。
【0008】
特に、近年の抄紙速度の高速化に伴い、フェルトの駆動速度や、プレス圧力がそれぞれ高速、高圧化してきている。従って、フェルトの使用環境がますます苛酷なものとなっている。
このような状況において、フェルトの長寿命化を図るために、前述の圧縮回復機能を持続させ、厚みを保持させることが、課題となっていた。
【0009】
そこで、圧縮回復性を持続させ、厚みを保持させることを目的とした構造の提案が従来より行われている。
その1つに、糸材を織成してなる基布と、基布にステープルファイバーをニードルパンチング連結することにより構成した抄紙用プレスフェルトがある(例えば、特許文献1参照。)。
これは、基布の糸材又はステープルファイバーとして、弾性を有する繊維を使用する。具体的な弾性繊維としては、ポリアミド成分からなるハードセグメントと、ポリエーテル成分からなるソフトセグメントとを有するポリアミド系ブロックコポリマーからなる繊維が用いられる。
【0010】
一方、圧縮回復性を向上させる目的で、基布とステープルファイバー以外の構成を抄紙用プレスフェルト内に配置する構成も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
このフェルトにおいては、図18に示すように、基体20Aが織布20A1のみならず、熱可塑性樹脂網目状成形体シート20A2と、合成ゴム材料により完全に包囲されたマルチフィラメントからなる補強ヤーン20A3とにより構成されている。
【0011】
さらに、図19に示すような、2枚の編地44A,46Aと、2枚の編地44A,46Aを連結する連結糸48Aからなる立体編物の層を設けた、抄紙用プレスフェルトがある。
この連結糸48Aは、2枚の編地44A,46Aの相対する表編目と裏編目を連結しており、2枚の編地44A,46Aは、この連結糸48Aに支持されている構成となっている。
このような構成の立体編物を設けることで、負荷により立体編物が圧縮された場合であっても、負荷が取除かれれば、連結糸48Aが厚み方向の元の形状に復帰するので、抄紙用プレスフェルトの圧縮回復性及び厚み保持性を向上させることができるとされている。
【特許文献1】実用新案登録第2514509号公報
【特許文献2】特表2001−504167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、特許文献1に開示されているような構造では、基布とステープルファイバーからなる抄紙用プレスフェルトの構造自体が、従来から一般的に使用されているものと同一であるため、十分な効果を得ることができなかった。
すなわち、プレス圧力による圧縮が繰返されるにつれ、ステープルファイバー同士の間に形成された空隙が押し潰されてしまい、ひいては圧縮回復性が低下していた。
【0013】
また、図18に示す特許文献2の構成にあっては、弾性のある構成(シート20A2、補強ヤーン20A3)を有することで厚み保持性の向上を図っている。 しかし、この「弾性のある構成」は比較的圧縮されづらい性質を有しているため、「圧縮回復性」という意味では、「弾性のある構成」が形成されていない図17の構成とあまり変わりは無かった。
【0014】
また、図19に示すような立体編物を設けた抄紙用プレスフェルトは、圧縮回復性及び厚み保持性を或る程度向上させることができるものの、図19の連結糸48Aは2枚の編地44A,46Aの間で単に相対する表編目と裏編目を連結しているのみであるため、加圧された際に連結糸を編目列に対し直角の方向へ倒そうとする力が働いて連結糸が一方向に倒れこむ現象が生じ、充分な弾性が得られず、フェルトの圧縮回復性及び厚み保持性を十分満足できるものではなかった。また、この連結糸の倒れ込みがフェルトの巾方向に生じた場合、プレスロールの回転軸方向へのブレを生じる問題が認められた。
【0015】
本発明は、上述した問題点に鑑み、圧縮回復性及び厚み保持性に優れた抄紙用プレスフェルト及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、基体と繊維集合体とを有し、湿紙接触面と機械接触面とを具えた抄紙用プレスフェルトにおいて、2枚の編地と、該2枚の編地を連結する連結糸からなる立体編物の層を、前記湿紙接触面と機械接触面のいずれとも間隔を置いて有し、前記連結糸の少なくとも一部が前記2枚の編地を筋交いに連結していることを特徴とする抄紙用プレスフェルトによって、前記の課題を解決した。
本発明のポイントは、フェルト内に配置された立体編物の層において、表、裏の編目を連結する連結糸に、斜め方向に配置された連結糸が存在し、この傾斜した連結糸が、相対する編目を連結する連結糸が外力によって倒されるのを防ぐ筋交いとして作用することにある。このような立体編物の層をフェルト内に配置することで圧縮回復性及び厚み保持性に優れた抄紙用プレスフェルトを得ることを可能とした。
また、請求項11〜13は、このような抄紙用プレスフェルトの製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、フェルト内に配置する立体編物の連結糸の少なくとも一部を、表、裏編地の相対する編目から離れたウエール又はコース列の編目を筋交いに連結する筋交い構造とすることにより連結糸の倒れこみを防止することで、連結糸が筋交いに配列されていない場合と比べ、圧縮回復性に優れ、且つ長期間にわたり、厚みを保持できる抄紙用プレスフェルトを提供することができる。また、連結糸の倒れこみを防止することにより、連結糸が筋交いに配列されていない場合に認められたプレスロールの回転軸方向へのブレも抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
まず、図6乃至図9を参照して、本発明の核心をなす立体編物の構成を説明する。
図6(a)は立体編物の斜視図、図6(b)は図6(a)を矢印bから見た側面図、図6(c)は図6(a)を矢印cから見た側面図である。立体編物42は、第1の編地44と、第2の編地46と、第1の編地44と第2の編地46を連結する連結糸48を有している。すなわち、立体編物42においては、連結糸48が、第1の編地44と第2の編地46の間で配列されている。ここで、立体編物42を構成する第1の編地44と第2の編地46とは、それぞれ布の長さ方向の編目列(ウエール)と、布の巾方向の編目列(コース)とで編まれている。
連結糸48は、2枚の編地44,46の相対する表編目と裏編目を連結する連結糸48Aと、表、裏編地の相対する編目から離れたウエール又はコース列の編目を筋交いに連結する連結糸(筋交い糸)48Bで構成されている。
なお、便宜上、図6においては、第1の編地44を連続する黒丸で、第2の編地46を連続する白丸で表現している。
【0019】
なお、立体編物42の構造そのものは、連結糸48の一部が第1の編地44と第2の編地46の間で筋交いに配列されているものであれば、例えば、特開昭61−31241号、特開平2−74648号、特開平2−229247号、特開2001−234456号等に記載されている周知の構成を採用することが可能である。
すなわち、第1又は第2の編地としては、図8に示す六角メッシュや、図9に示す菱形メッシュ等を適宜選択することができる。また、筋交いに連結する連結糸の配置等についても適宜選択することができ、図7に示すように、連結糸48を筋交いに連結する連結糸のみで構成することも可能である。
【0020】
このような構成の立体編物の層40を、抄紙用プレスフェルト内に設けることにより、圧縮回復性及び厚み保持性を向上させることが可能となる。
何故なら、立体編物42は、厚み方向に筋交いに配列された連結糸48が第1及び第2の編地44,46を支持する構成であって、負荷により立体編物42が圧縮された場合であっても、負荷が取除かれれば、連結糸48が厚み方向の元の形状に復帰するので、圧縮回復性及び厚み保持性に優れているからである。
【0021】
特に、連結糸48の一部を第1及び第2の編地44,46の間で筋交いに配列することで、連結糸を筋交いに配列しない場合と比べて、圧縮回復性及び厚み保持性を格段に向上させることができることが確認されている。
すなわち、この立体編物の層40が配置された抄紙用プレスフェルトは、フェルト全体における「圧縮回復効果の高い構成が占める割合」が、従来の構成に比して増す。従って、本発明の抄紙用プレスフェルトは圧縮回復性に優れた効果を有する。
【0022】
また、連結糸48の一部を筋交いに配列し、第1及び第2の編地44,46を連結させることで、圧縮時における連結糸の倒れこみを防止することにより、連結糸を筋交いに配列しない立体編物を配置したフェルトで見られたプレスロールの軸方向へのブレを抑えることができる。
【0023】
ここで、連結糸48としては、耐屈曲疲労性に優れたナイロンのモノフィラメントが好適であり、また、50〜500dtexの繊度を有するものが好ましい。
なお、立体編物は100〜800g/m2、好ましくは300〜600g/m2の坪量を有するものが好ましい。
【0024】
次に、図1乃至図5に基づき、抄紙用プレスフェルトに対する具体的な立体編物の層40の配置形態を説明する。
本発明の抄紙用プレスフェルト10は、基体20、繊維集合体30、及び立体編物の層40からなる。そして、抄紙用プレスフェルト10は、湿紙接触面11と、機械接触面12とを具えている。
この場合、立体編物の層40の配置形態としては、様々な構成を適宜選択することができる。
【0025】
例えば、図1に示すように、基体20と湿紙接触面11との間に、立体編物の層40を配置することができる。
この際、図1(a)に示すように、基体20と立体編物の層40とを接触させても、図1(b)に示すように、基体20と立体編物の層40との間に繊維集合体30を介在させてもよい。
【0026】
また、図2に示すように、基体20と機械接触面12との間に、立体編物の層40を配置することができる。
この際、図2(a)に示すように、基体20と立体編物の層40とを接触させても、図2(b)に示すように、基体20と立体編物の層20との間に繊維集合体30を介在させてもよい。
【0027】
さらに、図3に示すように、2つの基体20,20を有する抄紙用プレスフェルト10においても、立体編物の層40を配置することができる。この際、一方の基体20と湿紙接触面11との間、又は他方の基体20と機械接触面12との間に立体編物の層40を配置する場合には、前述の図1及び図2で説明した構成を適宜選択することができる、
【0028】
一方、基体20,20の間に立体編物の層40を配置する場合には、図3に示した構成を採用することができる。
すなわち、図3(a)に示すように、それぞれの基体20と立体編物の層40とを接触させる構造とすることができる。一方、図3(b)に示すように、基体20と立体編物の層40との間に、それぞれ繊維集合体30を介在させることもできる。
さらに、図3(c)に示すように、湿紙接触面11側の基体20と立体編物の層40との間には繊維集合体30を介在させ、機械接触面12側の基体20と立体編物の層40とは接触させる構造とすることもできる。
【0029】
これとは逆に、図3(d)に示すように、湿紙接触面11側の基体20と立体編物の層40とを接触させ、機械接触面12側の基体20と立体編物の層40との間に繊維集合体30を介在させる構造とすることもできる。
【0030】
さらに、図4に示すように、基体20と湿紙接触面11との間、及び基体20と機械接触面12との間にそれぞれ立体編物の層40を配置することができる。 この際、図4(a)に示すように、基体20とそれぞれの立体編物の層40とを接触させる構造とすることができる。一方、図4(b)に示すように、基体20とそれぞれの立体編物の層40との間に、それぞれ繊維集合体30を介在させることもできる。
【0031】
さらに、図4(c)に示すように、湿紙接触面11側の立体編物の層40と基体20との間には繊維集合体30を介在させ、機械接触面12側の立体編物の層40と基体20とは接触させる構造とすることもできる。
これとは逆に、図4(d)に示すように、湿紙接触面11側の立体編物の層40と基体20とを接触させ、機械接触面12側の立体編物の層40と基体20との間に繊維集合体30を介在させる構造とすることもできる。
【0032】
一方、図5に示すように、基体20と湿紙接触面11又は基体20と機械接触面12との間に、立体編物の層を複数配置することも勿論可能である。この際、基体20と立体編物の層40の間や、立体編物の層40同士の間を接触させるか、又は繊維集合体30を介在させるかは適宜選択できる。
【0033】
上記の通り、本発明の抄紙用プレスフェルトにおいては、種々の構成を選択・採用することが可能となる。
ここで先ず、機械接触面12側に立体編物の層40が形成されている場合の問題点と対策を説明する。
例えば、抄紙用プレスフェルトの機械接触面12に当接する機械構成として溝付きロール(グルーブドロール)等が存在する場合がある。このような状況下において使用される抄紙用プレスフェルトにあっては、機械接触面12側の摩耗に留意した構成とすべきである。すなわち、機械接触面12を構成する繊維集合体の繊維量を増加させる等により、摩耗による立体編物の層40の露出・破壊を防止する必要がある。
【0034】
一方、湿紙接触面11側に立体編物の層40を形成した場合は、上述のような問題点は生ぜず、好適なものとなる。しかし、この場合は、立体編物42の編地が湿紙へ転写するおそれが生ずる。
従って、湿紙接触面11側に立体編物の層40を配置する場合は、湿紙接触面11を構成する繊維集合体の繊維量を増加させる、編地の目を細かくする等の構成を選択すべきである。
好適な構成としては、表編地の開孔率が50%以下であり、且つ、繊維に囲まれた一つの孔の大きさが0.03cm2以下である。
【0035】
ここで、例えば、図3のように、立体編物の層40における湿紙接触面11側及び機械接触面12側に、それぞれ基体20を配置した場合には、機械接触面12側の摩耗問題や、湿紙接触面11側の転写問題が発生しにくいため、より好適な構成となる。
【0036】
また、立体編物の層40と基体20との間に繊維集合体30を配置した構成にあっては、この繊維集合体30により立体編物42と基体20とが強固に連結される。
すなわち、立体編物の層40と基体20との間に繊維集合体30が配置されている構成は、この箇所に繊維集合体30が配置されていない構成に比して、より強度の高い構成となる。
【0037】
なお、基体20は抄紙用プレスフェルト全体の強度を発現させるための構成であって、MD方向糸材とCMD方向糸材とを織成して得られた織布や、MD方向糸材とCMD方向糸材とを織成せずに重ねて得られた構成、有端状の布体を巻回して得られた構成等、種々の構成を含む。
【0038】
一方、繊維集合体30は、ステープルファイバーの集合体である。
この繊維集合体30の抄紙用プレスフェルト10への具体的な配置形態にあっては、基体20又は立体編物の層40上にカーディング装置により、ステープルファイバーを積層し、ニードルパンチングにより絡合一体化させることができる。この際、ステープルファイバーの集合体のみをニードルパンチングにより絡合一体化させた不織布を基体20又は立体編物の層40上に載置し、この不織布と基体20又は立体編物の層40とをニードルパンチングにより絡合一体化させることもできる。
【0039】
また、繊維集合体30を、接着により、基体20又は立体編物の層40に連結させることもできる。
しかし、基体20、繊維集合体30及び立体編物42間の連結強度等を考慮すると、ニードルパンチングによる連結がより好ましい。
【0040】
なお、立体編物42と繊維集合体30とをニードルパンチングにより連結した場合には、立体編物内に繊維が入り込むこととなる。この際、立体編物内に入り込んだ繊維量が多いと立体編物42の連結糸48が奏する作用・効果が減少し、結果としてフェルト全体が奏する圧縮回復性及びその持続性(厚み保持性)といった作用・効果が減少する。
従って、立体編物42内に入り込む繊維量につき留意すべきである。ここで、具体的には、繊維が入り込んだ状態の立体編物42であっても、その密度が0.1g/cm3以上、0.4g/cm3以下となるように構成することが望ましい。
【0041】
また、立体編物42と繊維集合体30とをニードルパンチングにより連結させる場合は、連結糸48が著しく湾曲したり、折れ曲ったりしないように注意すべきである。
【0042】
また、製造工程における、立体編物の層40の配置形態であるが、抄紙用プレスフェルトの幅と同幅の有端状立体編物を、巻回することにより配置することができる。
一方、抄紙用プレスフェルトの幅よりも狭い幅を有する有端状の立体編物42を使用することもできる。
【0043】
この場合、図10に示すように、二本のロール上に張られた無端状の基体20又は繊維集合体30上に、立体編物42をスパイラル状に配置し、隣合う立体編物42同士を連結させることにより、抄紙用プレスフェルトの幅方向に立体編物の層40を配置することができる。
一方、図11に示すように、立体編物42を同軸上に巻回して無端状としたものを、並列することにより、抄紙用プレスフェルトの幅方向に立体編物42を配置することもできる。
【0044】
なお、上述した例は、立体編物42を単独で配置する構造である。従って、立体編物42を配置した工程の後に、この立体編物42上に繊維集合体30を連結させる工程を有する。
一方、立体編物42を基体20等に配置する前の工程として、立体編物42へ繊維集合体30を連結して複合体を得る工程を選択することもできる。この工程を選択した場合、複合体を基体等の上側へ配置、連結させることができる。この場合は、この複合体上への繊維集合体30の連結作業が省略又は簡素化されることとなる。
【実施例】
【0045】
本発明の実施例を、図12及び図13に基づき説明する。
図12に、実施例及び比較例を示す。
図12(a)は、本発明の実施例1の断面図である。本発明の実施例1のフェルト10は、MD方向糸材とCMD方向糸材とを織成して得られた織布からなる基体20と、基体20に接触して連結された立体編物の層40と、基体20及び立体編物の層40にニードルパンチングにより絡合一体化されたステープルファイバー30により構成した。また、立体編物の層40を、2枚の編地と、2枚の編地を連結する連結糸で構成し、連結糸の一部を2枚の編地の間で筋交いに配列し、2枚の編地をマルチフィラメントで構成し、連結糸をモノフィラメントで構成した。なお、連結糸のうち、表、裏編地の相対する編目を連結したものと筋交いに連結したものの本数の比率は、ほぼ1対1であった。
【0046】
本発明の実施例2は、基本的なフェルトの構成は実施例1と同じとし、立体編物の層の2枚の編地及び連結糸を、何れもモノフィラメントで構成した。
【0047】
比較例1は、基本的なフェルトの構成は実施例1と同じとし、立体編物の層の連結糸のすべてを2枚の編地の間で筋交いに連結させずほぼ平行に配列し、2枚の編地をマルチフィラメントで構成した。
【0048】
図12(b)は、比較例2の断面図である。比較例2のフェルト10Bは、重ねられた2枚の基体20、20と、基体20、20の両面側にニードルパンチングにより連結されたステープルファイバー30により構成した。また、ニードルパンチングにより打込まれたステープルファイバーにより、2枚の基布を連結させた。
【0049】
ここで、実施例1,2、比較例1,2の条件を統一すべく、全てのフェルトの坪量(g/m2)を同一にした。
また、比較例2のフェルト10Bにおいては、一方の基体20及び繊維集合体30の坪量を調整することにより、実施例1,2、比較例1の坪量と同一にした。
なお、実施例1,2、比較例1,2において、基体20と、繊維集合体30を構成するステープルファイバーとしては、全て同一の構成を用いた。
【0050】
ここで、図13に示す実験装置により実験を行った。すなわち、この実験においては、実施例1,2、比較例1,2のフェルトの圧縮回復性能、厚み保持性、プレスロールの加圧方向及び軸方向の振動、及び濾水性を調べた。
図13の実験装置は、一対のプレスロールPR,PRと、フェルトに一定の張力を掛けて支持する複数のガイドロールGRと、一対のプレスロールPR、PRによる圧力の直下におけるフェルトの厚みを計測する第1のセンサSE1と、この圧力を脱した直後のフェルトの厚みを計測する第2のセンサSE2とを有している。
【0051】
なお、一対のプレスロールPR,PRにおいて、上側のプレスロールPRは、回転するとともに、下側のプレスロールPRに対して圧力を加えることができる。この構成により、フェルト10,10BはガイドロールGRに支持されるとともに、プレスロールPR,PRの回転に伴い駆動されることとなる。
【0052】
実験装置の駆動条件は、プレス圧力が100kg/cm、フェルト駆動速度が1000m/分で、120時間継続して行われた。
そして、次の式より実施例及び比較例のフェルトの圧縮回復性能を算出した。 (t2−t1)/t1×100
上式で、t1はセンサSE1による、ニップ加圧下でのフェルトの厚み(mm)であり、t2はセンサSE2による、ニップ加圧を脱した直後のフェルトの厚み(mm)である。
【0053】
実験で計測された数値を上記の式に代入することで、実施例1,2及び比較例1,2のフェルトの圧縮回復性能を算出した。なお、計測に当たっては、実験開始直後の数値と、実験終了時の数値とをそれぞれ求めた。
そして、実験開始時における比較例1の数値を100とし、この数値を基準に、実施例1,2及び比較例2の圧縮回復性能を相対的に評価した。そして、この100を基準に、数値が高い程良好とし、数値が低い程不良とした。
【0054】
また、次の式より実施例及び比較例のフェルトの厚み保持性を算出した。
u2/u1×100
上式で、u1は実験開始時のフェルトの厚み(mm)であり、u2は実験終了時のフェルトの厚みセンサSE2による、ニップ加圧を脱した直後のフェルトの厚み(mm)である。
実験で計測された数値を上記の式に代入することで、実施例1,2及び比較例1,2のフェルトの厚み保持性を算出した。
そして、比較例1の数値を100とし、この数値を基準に、実施例1,2及び比較例2の厚み保持性を相対的に評価した。そして、この100を基準に、数値が高い程良好とし、数値が低い程不良とした。
【0055】
さらに、プレスパートにおける実施例及び比較例のフェルトの振動を測定した。なお、測定は、実験開始時に、振動測定装置(川鉄アドバンテック製、Mk−300型)を用いてなされ、フェルトの振動として、プレスロールの加圧方向及び軸方向の2つの振動値(重力加速度G)を測定した。
【0056】
また、加圧下において一定の水量がフェルトを透過する時間を計測し、その逆数を求め、実施例及び比較例のフェルトの濾水性を算出した。なお、計測に当たっては、実験開始直後の数値と、実験終了時の数値とをそれぞれ求めた。
そして、比較例1の濾水性を100とし、この数値を基準に実施例1,2及び比較例2の濾水性を相対的に評価した。
【0057】
これらの結果を、表1に示す。
【表1】
【0058】
これらの実験により、実施例1,2においては、圧縮回復性能も高いレベルで維持でき、繰返し加圧に対する厚み保持性に優れ、抄紙用プレスフェルトとして最適な特性を有することが確認された。また実施例1,2の加圧方向及び軸方向への振動値は比較例1,2と比較し小さく良好であることが確認された。
なお、実施例2が濾水性に優れていることが確認されたが、これは、実施例2の立体編物の層の2枚の編地及び連結糸を、モノフィラメントで構成したからであると判断される。
【0059】
以上説明したように、連結糸の少なくとも一部を2枚の編地の間で筋交いに配列した立体編物の層を設けることによって、連結糸が筋交いに配列されていない立体編物の層を設ける場合と比べ、圧縮回復性に優れ、且つ長期間にわたり、厚みを保持できる抄紙用プレスフェルトを提供することができる。
また、連結糸の少なくとも一部を筋交いに配列し、2枚の編地を斜めに連結させることで、圧縮時における連結糸の倒れこみが防止され、筋交いに配列した連結糸を有さない立体編物を配置したフェルトにおいて見られたプレスロールの軸方向へのブレを抑えるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の抄紙用プレスフェルトの立体編物の配置形態の説明図。
【図2】本発明の抄紙用プレスフェルトの立体編物の配置形態の説明図。
【図3】本発明の抄紙用プレスフェルトの立体編物の配置形態の説明図。
【図4】本発明の抄紙用プレスフェルトの立体編物の配置形態の説明図。
【図5】本発明の抄紙用プレスフェルトの立体編物の配置形態の説明図。
【図6】(a)は立体編物の斜視図、(b)は(a)を矢印bから見た側面図、(c)は(a)を矢印cから見た側面図
【図7】立体編物の側面図。
【図8】立体編物の編地の平面図。
【図9】立体編物の編地の平面図。
【図10】立体編物の配置方法の説明図。
【図11】立体編物の配置方法の説明図。
【図12】本発明の実施例及び比較例の断面図。
【図13】実施例及び比較例の抄紙用プレスフェルトについて、圧縮回復性及び厚み保持性を評価するための装置の概要図。
【図14】抄紙工程のプレスパートにおけるプレス部の概略図。
【図15】抄紙工程のプレスパートにおけるプレス部の概略図。
【図16】抄紙工程のプレスパートにおけるプレス部の概略図。
【図17】従来の抄紙用プレスフェルトの断面図。
【図18】従来の抄紙用プレスフェルトの斜視図。
【図19】従来の抄紙用プレスフェルトに設けられる立体編物の側面図。
【符号の説明】
【0061】
10:抄紙用プレスフェルト
11:湿紙接触面
12:機械接触面
20:基体
30:繊維集合体
40:立体編物の層
42:立体編物
44,46:編地
48,48A,48B:連結糸
【技術分野】
【0001】
本発明は、抄紙機械に使用される、抄紙用プレスフェルト(以下、単に「フェルト」と称することがある。)に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、抄紙工程のプレスパートにおいては、湿紙からの水分を搾水すべく、抄紙用プレスフェルトが使用されている。
抄紙工程のプレスパートにおけるプレス部の概略を、図14乃至図16を参照して説明する。
【0003】
図14に示す装置は、一対のプレスロールPR,PRにより構成されるプレス部PP内において、単一のフェルト10Aにより湿紙WWからの水分を搾水する。
一方、図15に示す装置は、プレス部PP内において、2枚のフェルト10A,10Aにより湿紙WWを挟持することにより、湿紙WWからの水分を搾水する構造である。
さらに、図16には、プレスロールPRと、樹脂製ベルトSBを介したプレスシューPSとによりプレス部PPを構成した装置を示す。この場合も、このプレス部PP内において、2枚のフェルト10A,10Aにより、湿紙WWからの水分を搾水する。
【0004】
上記図14乃至図16のいずれの場合であっても、フェルト10Aは、回転するプレスロールPRに連れ回りすることにより駆動され、プレス部PP内で加圧される。
【0005】
次に、図17に基づいて、一般的なフェルトの構成を説明する。
フェルト10Aは無端状に形成されている。そして、フェルト10Aは、織布等によりフェルト全体の強度を発現させる基体20Aと、基体20Aに連結された繊維集合体30Aとにより構成される。
【0006】
このように構成されたフェルト10Aは、前述のとおり、湿紙と接触した状態でプレス部PP内へ突入する。そして、フェルト10Aは、プレス部PPにおける加圧により圧縮され、プレス部脱出後、再び圧縮される前の状態に回復する。
【0007】
ここで、仮にフェルト10Aがプレス部PPに突入する際、圧縮されないと、湿紙WWがプレス圧力を強く受け、破断等が生ずることとなる。
従って、フェルトに要求される機能として、圧縮性及び圧縮回復性が要求されていた。
【0008】
特に、近年の抄紙速度の高速化に伴い、フェルトの駆動速度や、プレス圧力がそれぞれ高速、高圧化してきている。従って、フェルトの使用環境がますます苛酷なものとなっている。
このような状況において、フェルトの長寿命化を図るために、前述の圧縮回復機能を持続させ、厚みを保持させることが、課題となっていた。
【0009】
そこで、圧縮回復性を持続させ、厚みを保持させることを目的とした構造の提案が従来より行われている。
その1つに、糸材を織成してなる基布と、基布にステープルファイバーをニードルパンチング連結することにより構成した抄紙用プレスフェルトがある(例えば、特許文献1参照。)。
これは、基布の糸材又はステープルファイバーとして、弾性を有する繊維を使用する。具体的な弾性繊維としては、ポリアミド成分からなるハードセグメントと、ポリエーテル成分からなるソフトセグメントとを有するポリアミド系ブロックコポリマーからなる繊維が用いられる。
【0010】
一方、圧縮回復性を向上させる目的で、基布とステープルファイバー以外の構成を抄紙用プレスフェルト内に配置する構成も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
このフェルトにおいては、図18に示すように、基体20Aが織布20A1のみならず、熱可塑性樹脂網目状成形体シート20A2と、合成ゴム材料により完全に包囲されたマルチフィラメントからなる補強ヤーン20A3とにより構成されている。
【0011】
さらに、図19に示すような、2枚の編地44A,46Aと、2枚の編地44A,46Aを連結する連結糸48Aからなる立体編物の層を設けた、抄紙用プレスフェルトがある。
この連結糸48Aは、2枚の編地44A,46Aの相対する表編目と裏編目を連結しており、2枚の編地44A,46Aは、この連結糸48Aに支持されている構成となっている。
このような構成の立体編物を設けることで、負荷により立体編物が圧縮された場合であっても、負荷が取除かれれば、連結糸48Aが厚み方向の元の形状に復帰するので、抄紙用プレスフェルトの圧縮回復性及び厚み保持性を向上させることができるとされている。
【特許文献1】実用新案登録第2514509号公報
【特許文献2】特表2001−504167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、特許文献1に開示されているような構造では、基布とステープルファイバーからなる抄紙用プレスフェルトの構造自体が、従来から一般的に使用されているものと同一であるため、十分な効果を得ることができなかった。
すなわち、プレス圧力による圧縮が繰返されるにつれ、ステープルファイバー同士の間に形成された空隙が押し潰されてしまい、ひいては圧縮回復性が低下していた。
【0013】
また、図18に示す特許文献2の構成にあっては、弾性のある構成(シート20A2、補強ヤーン20A3)を有することで厚み保持性の向上を図っている。 しかし、この「弾性のある構成」は比較的圧縮されづらい性質を有しているため、「圧縮回復性」という意味では、「弾性のある構成」が形成されていない図17の構成とあまり変わりは無かった。
【0014】
また、図19に示すような立体編物を設けた抄紙用プレスフェルトは、圧縮回復性及び厚み保持性を或る程度向上させることができるものの、図19の連結糸48Aは2枚の編地44A,46Aの間で単に相対する表編目と裏編目を連結しているのみであるため、加圧された際に連結糸を編目列に対し直角の方向へ倒そうとする力が働いて連結糸が一方向に倒れこむ現象が生じ、充分な弾性が得られず、フェルトの圧縮回復性及び厚み保持性を十分満足できるものではなかった。また、この連結糸の倒れ込みがフェルトの巾方向に生じた場合、プレスロールの回転軸方向へのブレを生じる問題が認められた。
【0015】
本発明は、上述した問題点に鑑み、圧縮回復性及び厚み保持性に優れた抄紙用プレスフェルト及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、基体と繊維集合体とを有し、湿紙接触面と機械接触面とを具えた抄紙用プレスフェルトにおいて、2枚の編地と、該2枚の編地を連結する連結糸からなる立体編物の層を、前記湿紙接触面と機械接触面のいずれとも間隔を置いて有し、前記連結糸の少なくとも一部が前記2枚の編地を筋交いに連結していることを特徴とする抄紙用プレスフェルトによって、前記の課題を解決した。
本発明のポイントは、フェルト内に配置された立体編物の層において、表、裏の編目を連結する連結糸に、斜め方向に配置された連結糸が存在し、この傾斜した連結糸が、相対する編目を連結する連結糸が外力によって倒されるのを防ぐ筋交いとして作用することにある。このような立体編物の層をフェルト内に配置することで圧縮回復性及び厚み保持性に優れた抄紙用プレスフェルトを得ることを可能とした。
また、請求項11〜13は、このような抄紙用プレスフェルトの製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、フェルト内に配置する立体編物の連結糸の少なくとも一部を、表、裏編地の相対する編目から離れたウエール又はコース列の編目を筋交いに連結する筋交い構造とすることにより連結糸の倒れこみを防止することで、連結糸が筋交いに配列されていない場合と比べ、圧縮回復性に優れ、且つ長期間にわたり、厚みを保持できる抄紙用プレスフェルトを提供することができる。また、連結糸の倒れこみを防止することにより、連結糸が筋交いに配列されていない場合に認められたプレスロールの回転軸方向へのブレも抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
まず、図6乃至図9を参照して、本発明の核心をなす立体編物の構成を説明する。
図6(a)は立体編物の斜視図、図6(b)は図6(a)を矢印bから見た側面図、図6(c)は図6(a)を矢印cから見た側面図である。立体編物42は、第1の編地44と、第2の編地46と、第1の編地44と第2の編地46を連結する連結糸48を有している。すなわち、立体編物42においては、連結糸48が、第1の編地44と第2の編地46の間で配列されている。ここで、立体編物42を構成する第1の編地44と第2の編地46とは、それぞれ布の長さ方向の編目列(ウエール)と、布の巾方向の編目列(コース)とで編まれている。
連結糸48は、2枚の編地44,46の相対する表編目と裏編目を連結する連結糸48Aと、表、裏編地の相対する編目から離れたウエール又はコース列の編目を筋交いに連結する連結糸(筋交い糸)48Bで構成されている。
なお、便宜上、図6においては、第1の編地44を連続する黒丸で、第2の編地46を連続する白丸で表現している。
【0019】
なお、立体編物42の構造そのものは、連結糸48の一部が第1の編地44と第2の編地46の間で筋交いに配列されているものであれば、例えば、特開昭61−31241号、特開平2−74648号、特開平2−229247号、特開2001−234456号等に記載されている周知の構成を採用することが可能である。
すなわち、第1又は第2の編地としては、図8に示す六角メッシュや、図9に示す菱形メッシュ等を適宜選択することができる。また、筋交いに連結する連結糸の配置等についても適宜選択することができ、図7に示すように、連結糸48を筋交いに連結する連結糸のみで構成することも可能である。
【0020】
このような構成の立体編物の層40を、抄紙用プレスフェルト内に設けることにより、圧縮回復性及び厚み保持性を向上させることが可能となる。
何故なら、立体編物42は、厚み方向に筋交いに配列された連結糸48が第1及び第2の編地44,46を支持する構成であって、負荷により立体編物42が圧縮された場合であっても、負荷が取除かれれば、連結糸48が厚み方向の元の形状に復帰するので、圧縮回復性及び厚み保持性に優れているからである。
【0021】
特に、連結糸48の一部を第1及び第2の編地44,46の間で筋交いに配列することで、連結糸を筋交いに配列しない場合と比べて、圧縮回復性及び厚み保持性を格段に向上させることができることが確認されている。
すなわち、この立体編物の層40が配置された抄紙用プレスフェルトは、フェルト全体における「圧縮回復効果の高い構成が占める割合」が、従来の構成に比して増す。従って、本発明の抄紙用プレスフェルトは圧縮回復性に優れた効果を有する。
【0022】
また、連結糸48の一部を筋交いに配列し、第1及び第2の編地44,46を連結させることで、圧縮時における連結糸の倒れこみを防止することにより、連結糸を筋交いに配列しない立体編物を配置したフェルトで見られたプレスロールの軸方向へのブレを抑えることができる。
【0023】
ここで、連結糸48としては、耐屈曲疲労性に優れたナイロンのモノフィラメントが好適であり、また、50〜500dtexの繊度を有するものが好ましい。
なお、立体編物は100〜800g/m2、好ましくは300〜600g/m2の坪量を有するものが好ましい。
【0024】
次に、図1乃至図5に基づき、抄紙用プレスフェルトに対する具体的な立体編物の層40の配置形態を説明する。
本発明の抄紙用プレスフェルト10は、基体20、繊維集合体30、及び立体編物の層40からなる。そして、抄紙用プレスフェルト10は、湿紙接触面11と、機械接触面12とを具えている。
この場合、立体編物の層40の配置形態としては、様々な構成を適宜選択することができる。
【0025】
例えば、図1に示すように、基体20と湿紙接触面11との間に、立体編物の層40を配置することができる。
この際、図1(a)に示すように、基体20と立体編物の層40とを接触させても、図1(b)に示すように、基体20と立体編物の層40との間に繊維集合体30を介在させてもよい。
【0026】
また、図2に示すように、基体20と機械接触面12との間に、立体編物の層40を配置することができる。
この際、図2(a)に示すように、基体20と立体編物の層40とを接触させても、図2(b)に示すように、基体20と立体編物の層20との間に繊維集合体30を介在させてもよい。
【0027】
さらに、図3に示すように、2つの基体20,20を有する抄紙用プレスフェルト10においても、立体編物の層40を配置することができる。この際、一方の基体20と湿紙接触面11との間、又は他方の基体20と機械接触面12との間に立体編物の層40を配置する場合には、前述の図1及び図2で説明した構成を適宜選択することができる、
【0028】
一方、基体20,20の間に立体編物の層40を配置する場合には、図3に示した構成を採用することができる。
すなわち、図3(a)に示すように、それぞれの基体20と立体編物の層40とを接触させる構造とすることができる。一方、図3(b)に示すように、基体20と立体編物の層40との間に、それぞれ繊維集合体30を介在させることもできる。
さらに、図3(c)に示すように、湿紙接触面11側の基体20と立体編物の層40との間には繊維集合体30を介在させ、機械接触面12側の基体20と立体編物の層40とは接触させる構造とすることもできる。
【0029】
これとは逆に、図3(d)に示すように、湿紙接触面11側の基体20と立体編物の層40とを接触させ、機械接触面12側の基体20と立体編物の層40との間に繊維集合体30を介在させる構造とすることもできる。
【0030】
さらに、図4に示すように、基体20と湿紙接触面11との間、及び基体20と機械接触面12との間にそれぞれ立体編物の層40を配置することができる。 この際、図4(a)に示すように、基体20とそれぞれの立体編物の層40とを接触させる構造とすることができる。一方、図4(b)に示すように、基体20とそれぞれの立体編物の層40との間に、それぞれ繊維集合体30を介在させることもできる。
【0031】
さらに、図4(c)に示すように、湿紙接触面11側の立体編物の層40と基体20との間には繊維集合体30を介在させ、機械接触面12側の立体編物の層40と基体20とは接触させる構造とすることもできる。
これとは逆に、図4(d)に示すように、湿紙接触面11側の立体編物の層40と基体20とを接触させ、機械接触面12側の立体編物の層40と基体20との間に繊維集合体30を介在させる構造とすることもできる。
【0032】
一方、図5に示すように、基体20と湿紙接触面11又は基体20と機械接触面12との間に、立体編物の層を複数配置することも勿論可能である。この際、基体20と立体編物の層40の間や、立体編物の層40同士の間を接触させるか、又は繊維集合体30を介在させるかは適宜選択できる。
【0033】
上記の通り、本発明の抄紙用プレスフェルトにおいては、種々の構成を選択・採用することが可能となる。
ここで先ず、機械接触面12側に立体編物の層40が形成されている場合の問題点と対策を説明する。
例えば、抄紙用プレスフェルトの機械接触面12に当接する機械構成として溝付きロール(グルーブドロール)等が存在する場合がある。このような状況下において使用される抄紙用プレスフェルトにあっては、機械接触面12側の摩耗に留意した構成とすべきである。すなわち、機械接触面12を構成する繊維集合体の繊維量を増加させる等により、摩耗による立体編物の層40の露出・破壊を防止する必要がある。
【0034】
一方、湿紙接触面11側に立体編物の層40を形成した場合は、上述のような問題点は生ぜず、好適なものとなる。しかし、この場合は、立体編物42の編地が湿紙へ転写するおそれが生ずる。
従って、湿紙接触面11側に立体編物の層40を配置する場合は、湿紙接触面11を構成する繊維集合体の繊維量を増加させる、編地の目を細かくする等の構成を選択すべきである。
好適な構成としては、表編地の開孔率が50%以下であり、且つ、繊維に囲まれた一つの孔の大きさが0.03cm2以下である。
【0035】
ここで、例えば、図3のように、立体編物の層40における湿紙接触面11側及び機械接触面12側に、それぞれ基体20を配置した場合には、機械接触面12側の摩耗問題や、湿紙接触面11側の転写問題が発生しにくいため、より好適な構成となる。
【0036】
また、立体編物の層40と基体20との間に繊維集合体30を配置した構成にあっては、この繊維集合体30により立体編物42と基体20とが強固に連結される。
すなわち、立体編物の層40と基体20との間に繊維集合体30が配置されている構成は、この箇所に繊維集合体30が配置されていない構成に比して、より強度の高い構成となる。
【0037】
なお、基体20は抄紙用プレスフェルト全体の強度を発現させるための構成であって、MD方向糸材とCMD方向糸材とを織成して得られた織布や、MD方向糸材とCMD方向糸材とを織成せずに重ねて得られた構成、有端状の布体を巻回して得られた構成等、種々の構成を含む。
【0038】
一方、繊維集合体30は、ステープルファイバーの集合体である。
この繊維集合体30の抄紙用プレスフェルト10への具体的な配置形態にあっては、基体20又は立体編物の層40上にカーディング装置により、ステープルファイバーを積層し、ニードルパンチングにより絡合一体化させることができる。この際、ステープルファイバーの集合体のみをニードルパンチングにより絡合一体化させた不織布を基体20又は立体編物の層40上に載置し、この不織布と基体20又は立体編物の層40とをニードルパンチングにより絡合一体化させることもできる。
【0039】
また、繊維集合体30を、接着により、基体20又は立体編物の層40に連結させることもできる。
しかし、基体20、繊維集合体30及び立体編物42間の連結強度等を考慮すると、ニードルパンチングによる連結がより好ましい。
【0040】
なお、立体編物42と繊維集合体30とをニードルパンチングにより連結した場合には、立体編物内に繊維が入り込むこととなる。この際、立体編物内に入り込んだ繊維量が多いと立体編物42の連結糸48が奏する作用・効果が減少し、結果としてフェルト全体が奏する圧縮回復性及びその持続性(厚み保持性)といった作用・効果が減少する。
従って、立体編物42内に入り込む繊維量につき留意すべきである。ここで、具体的には、繊維が入り込んだ状態の立体編物42であっても、その密度が0.1g/cm3以上、0.4g/cm3以下となるように構成することが望ましい。
【0041】
また、立体編物42と繊維集合体30とをニードルパンチングにより連結させる場合は、連結糸48が著しく湾曲したり、折れ曲ったりしないように注意すべきである。
【0042】
また、製造工程における、立体編物の層40の配置形態であるが、抄紙用プレスフェルトの幅と同幅の有端状立体編物を、巻回することにより配置することができる。
一方、抄紙用プレスフェルトの幅よりも狭い幅を有する有端状の立体編物42を使用することもできる。
【0043】
この場合、図10に示すように、二本のロール上に張られた無端状の基体20又は繊維集合体30上に、立体編物42をスパイラル状に配置し、隣合う立体編物42同士を連結させることにより、抄紙用プレスフェルトの幅方向に立体編物の層40を配置することができる。
一方、図11に示すように、立体編物42を同軸上に巻回して無端状としたものを、並列することにより、抄紙用プレスフェルトの幅方向に立体編物42を配置することもできる。
【0044】
なお、上述した例は、立体編物42を単独で配置する構造である。従って、立体編物42を配置した工程の後に、この立体編物42上に繊維集合体30を連結させる工程を有する。
一方、立体編物42を基体20等に配置する前の工程として、立体編物42へ繊維集合体30を連結して複合体を得る工程を選択することもできる。この工程を選択した場合、複合体を基体等の上側へ配置、連結させることができる。この場合は、この複合体上への繊維集合体30の連結作業が省略又は簡素化されることとなる。
【実施例】
【0045】
本発明の実施例を、図12及び図13に基づき説明する。
図12に、実施例及び比較例を示す。
図12(a)は、本発明の実施例1の断面図である。本発明の実施例1のフェルト10は、MD方向糸材とCMD方向糸材とを織成して得られた織布からなる基体20と、基体20に接触して連結された立体編物の層40と、基体20及び立体編物の層40にニードルパンチングにより絡合一体化されたステープルファイバー30により構成した。また、立体編物の層40を、2枚の編地と、2枚の編地を連結する連結糸で構成し、連結糸の一部を2枚の編地の間で筋交いに配列し、2枚の編地をマルチフィラメントで構成し、連結糸をモノフィラメントで構成した。なお、連結糸のうち、表、裏編地の相対する編目を連結したものと筋交いに連結したものの本数の比率は、ほぼ1対1であった。
【0046】
本発明の実施例2は、基本的なフェルトの構成は実施例1と同じとし、立体編物の層の2枚の編地及び連結糸を、何れもモノフィラメントで構成した。
【0047】
比較例1は、基本的なフェルトの構成は実施例1と同じとし、立体編物の層の連結糸のすべてを2枚の編地の間で筋交いに連結させずほぼ平行に配列し、2枚の編地をマルチフィラメントで構成した。
【0048】
図12(b)は、比較例2の断面図である。比較例2のフェルト10Bは、重ねられた2枚の基体20、20と、基体20、20の両面側にニードルパンチングにより連結されたステープルファイバー30により構成した。また、ニードルパンチングにより打込まれたステープルファイバーにより、2枚の基布を連結させた。
【0049】
ここで、実施例1,2、比較例1,2の条件を統一すべく、全てのフェルトの坪量(g/m2)を同一にした。
また、比較例2のフェルト10Bにおいては、一方の基体20及び繊維集合体30の坪量を調整することにより、実施例1,2、比較例1の坪量と同一にした。
なお、実施例1,2、比較例1,2において、基体20と、繊維集合体30を構成するステープルファイバーとしては、全て同一の構成を用いた。
【0050】
ここで、図13に示す実験装置により実験を行った。すなわち、この実験においては、実施例1,2、比較例1,2のフェルトの圧縮回復性能、厚み保持性、プレスロールの加圧方向及び軸方向の振動、及び濾水性を調べた。
図13の実験装置は、一対のプレスロールPR,PRと、フェルトに一定の張力を掛けて支持する複数のガイドロールGRと、一対のプレスロールPR、PRによる圧力の直下におけるフェルトの厚みを計測する第1のセンサSE1と、この圧力を脱した直後のフェルトの厚みを計測する第2のセンサSE2とを有している。
【0051】
なお、一対のプレスロールPR,PRにおいて、上側のプレスロールPRは、回転するとともに、下側のプレスロールPRに対して圧力を加えることができる。この構成により、フェルト10,10BはガイドロールGRに支持されるとともに、プレスロールPR,PRの回転に伴い駆動されることとなる。
【0052】
実験装置の駆動条件は、プレス圧力が100kg/cm、フェルト駆動速度が1000m/分で、120時間継続して行われた。
そして、次の式より実施例及び比較例のフェルトの圧縮回復性能を算出した。 (t2−t1)/t1×100
上式で、t1はセンサSE1による、ニップ加圧下でのフェルトの厚み(mm)であり、t2はセンサSE2による、ニップ加圧を脱した直後のフェルトの厚み(mm)である。
【0053】
実験で計測された数値を上記の式に代入することで、実施例1,2及び比較例1,2のフェルトの圧縮回復性能を算出した。なお、計測に当たっては、実験開始直後の数値と、実験終了時の数値とをそれぞれ求めた。
そして、実験開始時における比較例1の数値を100とし、この数値を基準に、実施例1,2及び比較例2の圧縮回復性能を相対的に評価した。そして、この100を基準に、数値が高い程良好とし、数値が低い程不良とした。
【0054】
また、次の式より実施例及び比較例のフェルトの厚み保持性を算出した。
u2/u1×100
上式で、u1は実験開始時のフェルトの厚み(mm)であり、u2は実験終了時のフェルトの厚みセンサSE2による、ニップ加圧を脱した直後のフェルトの厚み(mm)である。
実験で計測された数値を上記の式に代入することで、実施例1,2及び比較例1,2のフェルトの厚み保持性を算出した。
そして、比較例1の数値を100とし、この数値を基準に、実施例1,2及び比較例2の厚み保持性を相対的に評価した。そして、この100を基準に、数値が高い程良好とし、数値が低い程不良とした。
【0055】
さらに、プレスパートにおける実施例及び比較例のフェルトの振動を測定した。なお、測定は、実験開始時に、振動測定装置(川鉄アドバンテック製、Mk−300型)を用いてなされ、フェルトの振動として、プレスロールの加圧方向及び軸方向の2つの振動値(重力加速度G)を測定した。
【0056】
また、加圧下において一定の水量がフェルトを透過する時間を計測し、その逆数を求め、実施例及び比較例のフェルトの濾水性を算出した。なお、計測に当たっては、実験開始直後の数値と、実験終了時の数値とをそれぞれ求めた。
そして、比較例1の濾水性を100とし、この数値を基準に実施例1,2及び比較例2の濾水性を相対的に評価した。
【0057】
これらの結果を、表1に示す。
【表1】
【0058】
これらの実験により、実施例1,2においては、圧縮回復性能も高いレベルで維持でき、繰返し加圧に対する厚み保持性に優れ、抄紙用プレスフェルトとして最適な特性を有することが確認された。また実施例1,2の加圧方向及び軸方向への振動値は比較例1,2と比較し小さく良好であることが確認された。
なお、実施例2が濾水性に優れていることが確認されたが、これは、実施例2の立体編物の層の2枚の編地及び連結糸を、モノフィラメントで構成したからであると判断される。
【0059】
以上説明したように、連結糸の少なくとも一部を2枚の編地の間で筋交いに配列した立体編物の層を設けることによって、連結糸が筋交いに配列されていない立体編物の層を設ける場合と比べ、圧縮回復性に優れ、且つ長期間にわたり、厚みを保持できる抄紙用プレスフェルトを提供することができる。
また、連結糸の少なくとも一部を筋交いに配列し、2枚の編地を斜めに連結させることで、圧縮時における連結糸の倒れこみが防止され、筋交いに配列した連結糸を有さない立体編物を配置したフェルトにおいて見られたプレスロールの軸方向へのブレを抑えるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の抄紙用プレスフェルトの立体編物の配置形態の説明図。
【図2】本発明の抄紙用プレスフェルトの立体編物の配置形態の説明図。
【図3】本発明の抄紙用プレスフェルトの立体編物の配置形態の説明図。
【図4】本発明の抄紙用プレスフェルトの立体編物の配置形態の説明図。
【図5】本発明の抄紙用プレスフェルトの立体編物の配置形態の説明図。
【図6】(a)は立体編物の斜視図、(b)は(a)を矢印bから見た側面図、(c)は(a)を矢印cから見た側面図
【図7】立体編物の側面図。
【図8】立体編物の編地の平面図。
【図9】立体編物の編地の平面図。
【図10】立体編物の配置方法の説明図。
【図11】立体編物の配置方法の説明図。
【図12】本発明の実施例及び比較例の断面図。
【図13】実施例及び比較例の抄紙用プレスフェルトについて、圧縮回復性及び厚み保持性を評価するための装置の概要図。
【図14】抄紙工程のプレスパートにおけるプレス部の概略図。
【図15】抄紙工程のプレスパートにおけるプレス部の概略図。
【図16】抄紙工程のプレスパートにおけるプレス部の概略図。
【図17】従来の抄紙用プレスフェルトの断面図。
【図18】従来の抄紙用プレスフェルトの斜視図。
【図19】従来の抄紙用プレスフェルトに設けられる立体編物の側面図。
【符号の説明】
【0061】
10:抄紙用プレスフェルト
11:湿紙接触面
12:機械接触面
20:基体
30:繊維集合体
40:立体編物の層
42:立体編物
44,46:編地
48,48A,48B:連結糸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と繊維集合体とを有し、湿紙接触面と機械接触面とを具えた抄紙用プレスフェルトにおいて、
2枚の編地と、該2枚の編地を連結する連結糸からなる立体編物の層を、前記湿紙接触面と機械接触面のいずれとも間隔を置いて有し、
前記連結糸の少なくとも一部が前記2枚の編地を筋交いに連結していることを特徴とする、抄紙用プレスフェルト。
【請求項2】
前記連結糸がモノフィラメントである、請求項1の抄紙用プレスフェルト。
【請求項3】
前記2枚の編地がモノフィラメントからなる、請求項1又は2の抄紙用プレスフェルト。
【請求項4】
前記立体編物の層が、前記基体から見て前記湿紙接触面側に配置されている、請求項1から3のいずれかの抄紙用プレスフェルト。
【請求項5】
前記立体編物の層が、前記基体から見て前記機械接触面側に配置されている、請求項1から3のいずれかの抄紙用プレスフェルト。
【請求項6】
前記基体を複数具え、前記立体編物の層が前記複数の基体の間に配置されている、請求項1から5のいずれかの抄紙用プレスフェルト。
【請求項7】
前記立体編物の層と前記基体とが接触している、請求項1から6のいずれかの抄紙用プレスフェルト。
【請求項8】
前記立体編物の層と前記基体との間に前記繊維集合体が配置されている、請求項1から6のいずれかの抄紙用プレスフェルト。
【請求項9】
前記立体編物の層と前記繊維集合体とが接着されている、請求項1から8のいずれかの抄紙用プレスフェルト。
【請求項10】
前記立体編物の層と前記繊維集合体とがニードルパンチングによって一体化されている、請求項1から8のいずれかの抄紙用プレスフェルト。
【請求項11】
基体と繊維集合体とを有し、湿紙接触面と機械接触面とを具え、2枚の編地と該2枚の編地を連結する連結糸からなる立体編物の層を、前記湿紙接触面と機械接触面のいずれとも間隔を置いて有し、前記連結糸の少なくとも一部が前記2枚の編地を筋交いに連結していることを特徴とする抄紙用プレスフェルトの製造方法であって、
前記抄紙用プレスフェルトよりも狭い幅の立体編物をスパイラル状に巻回することにより前記立体編物の層を形成することを特徴とする、
抄紙用プレスフェルトの製造方法。
【請求項12】
基体と繊維集合体とを有し、湿紙接触面と機械接触面とを具え、2枚の編地と該2枚の編地を連結する連結糸からなる立体編物の層を、前記湿紙接触面と機械接触面のいずれとも間隔を置いて有し、前記連結糸の少なくとも一部が前記2枚の編地を筋交いに連結していることを特徴とする抄紙用プレスフェルトの製造方法であって、
前記抄紙用プレスフェルトよりも狭い幅の立体編物を同軸状に巻回することにより前記立体編物の層を形成することを特徴とする、
抄紙用プレスフェルトの製造方法。
【請求項13】
基体と繊維集合体とを有し、湿紙接触面と機械接触面とを具え、2枚の編地と該2枚の編地を連結する連結糸からなる立体編物の層を、前記湿紙接触面と機械接触面のいずれとも間隔を置いて有し、前記連結糸の少なくとも一部が前記2枚の編地を筋交いに連結していることを特徴とする抄紙用プレスフェルトの製造方法であって、
前記抄紙用プレスフェルトと同幅の立体編物を同軸状に巻回することにより前記立体編物の層を形成することを特徴とする、
抄紙用プレスフェルトの製造方法。
【請求項1】
基体と繊維集合体とを有し、湿紙接触面と機械接触面とを具えた抄紙用プレスフェルトにおいて、
2枚の編地と、該2枚の編地を連結する連結糸からなる立体編物の層を、前記湿紙接触面と機械接触面のいずれとも間隔を置いて有し、
前記連結糸の少なくとも一部が前記2枚の編地を筋交いに連結していることを特徴とする、抄紙用プレスフェルト。
【請求項2】
前記連結糸がモノフィラメントである、請求項1の抄紙用プレスフェルト。
【請求項3】
前記2枚の編地がモノフィラメントからなる、請求項1又は2の抄紙用プレスフェルト。
【請求項4】
前記立体編物の層が、前記基体から見て前記湿紙接触面側に配置されている、請求項1から3のいずれかの抄紙用プレスフェルト。
【請求項5】
前記立体編物の層が、前記基体から見て前記機械接触面側に配置されている、請求項1から3のいずれかの抄紙用プレスフェルト。
【請求項6】
前記基体を複数具え、前記立体編物の層が前記複数の基体の間に配置されている、請求項1から5のいずれかの抄紙用プレスフェルト。
【請求項7】
前記立体編物の層と前記基体とが接触している、請求項1から6のいずれかの抄紙用プレスフェルト。
【請求項8】
前記立体編物の層と前記基体との間に前記繊維集合体が配置されている、請求項1から6のいずれかの抄紙用プレスフェルト。
【請求項9】
前記立体編物の層と前記繊維集合体とが接着されている、請求項1から8のいずれかの抄紙用プレスフェルト。
【請求項10】
前記立体編物の層と前記繊維集合体とがニードルパンチングによって一体化されている、請求項1から8のいずれかの抄紙用プレスフェルト。
【請求項11】
基体と繊維集合体とを有し、湿紙接触面と機械接触面とを具え、2枚の編地と該2枚の編地を連結する連結糸からなる立体編物の層を、前記湿紙接触面と機械接触面のいずれとも間隔を置いて有し、前記連結糸の少なくとも一部が前記2枚の編地を筋交いに連結していることを特徴とする抄紙用プレスフェルトの製造方法であって、
前記抄紙用プレスフェルトよりも狭い幅の立体編物をスパイラル状に巻回することにより前記立体編物の層を形成することを特徴とする、
抄紙用プレスフェルトの製造方法。
【請求項12】
基体と繊維集合体とを有し、湿紙接触面と機械接触面とを具え、2枚の編地と該2枚の編地を連結する連結糸からなる立体編物の層を、前記湿紙接触面と機械接触面のいずれとも間隔を置いて有し、前記連結糸の少なくとも一部が前記2枚の編地を筋交いに連結していることを特徴とする抄紙用プレスフェルトの製造方法であって、
前記抄紙用プレスフェルトよりも狭い幅の立体編物を同軸状に巻回することにより前記立体編物の層を形成することを特徴とする、
抄紙用プレスフェルトの製造方法。
【請求項13】
基体と繊維集合体とを有し、湿紙接触面と機械接触面とを具え、2枚の編地と該2枚の編地を連結する連結糸からなる立体編物の層を、前記湿紙接触面と機械接触面のいずれとも間隔を置いて有し、前記連結糸の少なくとも一部が前記2枚の編地を筋交いに連結していることを特徴とする抄紙用プレスフェルトの製造方法であって、
前記抄紙用プレスフェルトと同幅の立体編物を同軸状に巻回することにより前記立体編物の層を形成することを特徴とする、
抄紙用プレスフェルトの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−37270(P2006−37270A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−217489(P2004−217489)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000180597)イチカワ株式会社 (99)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000180597)イチカワ株式会社 (99)
【Fターム(参考)】
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