説明

把手付きボトル

【課題】製作が容易で安価に製造でき、また、その構造も簡単な把手付きボトルを提案する。
【解決手段】胴部2の外面に固定帯Bを固定して、胴部2外面と固定帯B内面との間に上下端を開口した把手装着用の隙間xを画成したボトルAを備えている。隙間xは胴部に凹部や一対の突条を縦設することにより形成できる。また、隙間xに挿通した取付基板20と、取付基板の一端部に一端部を連結し、固定帯外方に把持可能に位置してその他端部を取付基板の他端部に嵌着固定した把持部21とからなる把手Cを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は把手付きボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
ペットボトルに代表されるような合成樹脂製のボトルがには通常把手はないが、必要に応じて把手の付いたものも使用されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
把手はボトルと一体に形成されたものや、把手と別体に形成されたものが種々使用されているが、前者は製造コストが高くなる傾向があり、その点を考慮して上記特許文献1の如く別体の把手を備えたものが提案されている。このボトルは、ボトル首部に装着可能なC型先端開口を有する横方向延在アーム部と、それと一体に成形されている縦方向延在基部と、縦方向延在基部に同様に一体成形され、並列に縦方向に延在する把手部と、ボトル胴部をかかえ込み挟持する2腕アーム部とを有しており、縦方向延在基部と2腕アーム部とは嵌合により連結されている。
【特許文献1】特開2003−312672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ボトルは把手を一体に形成せずに別体に形成しているため製作が容易であり、また、包装小箱などに収納する場合に把手を分解して一緒に収納することにより収納スペースも小さくなるという効果を発揮するものである。
【0005】
本発明は、別体に形成した把手をボトルに固定しているために製作が容易であり、しかも把手自体の構造も極めてシンプルで、固定手段も同様であるため、更に製造コストの削減を図れる把手付きボトルを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の把手付きボトルは、ボトルと、固定帯と、把手とを備えている。
【0007】
ボルトは合成樹脂により成形されたもので、筒状胴部から縮径した口頸部を起立した形態のものが使用される。胴部の形状は筒状であれば円筒状であっても角柱状であっても、楕円筒状であってもよい。胴部には把手の取付基板を挿通するための隙間を形成するために、凹部や対の突条を縦設する。取付基板は一枚の場合も二枚の場合もあるため、それに対応して凹部や対の突条を縦設する。
【0008】
固定帯は合成樹脂により形成されたもので、把手をボトルに固定させるためのものであり、胴部外面との間に上下を貫通する把手装着用の隙間を画成して胴部外周に固定する。具体的には胴部に形成された凹部や対の突条部分に、上下端を開口した状態で被覆する如く固着し、胴部との間に隙間を形成する。固定帯のボトルへの固定手段としては、固定帯をシュリンクシート又はフィルムで環状に形成し、所定の手段により収縮固定させるのが好ましく採用できるが、通常の合成樹脂シート或いはフィルムを用いて融着固定、接着固定することも可能である。その際にはシート又はフィルムが開環状のものを使用しても良い。また、固定帯を紙,合成紙或いはそれらと合成樹脂の積層構造のもので形成しても良い。その場合には融着固定,接着固定する。
【0009】
把手は合成樹脂により形成され、取付基板と把持部とから構成している。取付基板と把持部とは、取付基板の一端部と把持部の一端部とを一体に連結し、他端部相互を嵌着固定している。また、装着する際には取付基板をボトルと固定帯で形成された隙間に下方から挿通し、下端部を取付基板の下端部と連結した把持部を固定帯外方に把持可能に位置させてその上端部を取付基板の上端部に嵌着して固定している。或いは、取付基板を前記隙間に上方から挿通し、上端部を取付基板の上端部と連結した把持部を固定帯外方に把持可能に位置させてその下端部を取付基板の下端部に嵌着して固定している。両者の嵌着手段は種々の手段を採用できるが、一端嵌着したら取り外し難い手段が好ましく採用できる。
【0010】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、胴部2外面との間に上下端を開口した把手装着用の隙間xを画成して固定帯Bを胴部2外周に固定したボトルAと、ボトルに固定した把手Cとを備え、把手Cは、隙間xに挿通した取付基板20と、取付基板20の一端部に一端部を連結するとともに、固定帯B外方に把持可能に位置してその他端部を取付基板の他端部に嵌着固定した把持部21とから構成している。
【0011】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、前記隙間xを一対並設し、前記把手Cが、両隙間xにそれぞれ挿通させた一対の取付基板20を備えている。
【0012】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段又は第2の手段のいずれかの手段に於いて、前記固定帯Bがシュリンクシート又はフィルムで形成されてなる。
【0013】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第3の手段のいずれかの手段に於いて、上記嵌着固定が、取付基板20又は把持部21のいずれか一方の上端部に設けた透孔22と、他方の上端部に設けるとともに、透孔22内に弾性変形させつつ強制的に嵌入した後広がってその係合片23a を透孔22縁部に係合する一対の突片より形成された係合突起23との嵌着固定である。
【0014】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第4の手段のいずれかの手段に於いて、胴部2に固定帯Bの抜け出しを防止する係止突条5を設けた。
【発明の効果】
【0015】
本発明の把手付きボトルは、ボトルAに隙間xを形成して固定帯Bを固定し、隙間に挿通した取付基板20と、固定帯B外方に延設した把持部21とを嵌着固定するという簡単な構造であるため、製造が容易で安価に形成でき、しかも把手CはしっかりとボトルAに固定される。また、把手Cは後から装着することができるため、保管,運搬等の際にボトルと別々に取り扱うことができるという取り扱い上の便利もある。
【0016】
前記隙間xを一対並設し、両隙間xにそれぞれ挿通させた一対の取付基板20を備えた把手Cを採用した場合には、ボトルAに固定される部分をより広くすることができ、より安定した把手Cの固定が行える。
【0017】
前記固定帯Bがシュリンクシート又はフィルムで形成されている場合には、ボトルAへの固定帯Bの固定及び隙間xの形成が簡単に行える利点がある。
【0018】
上記嵌着固定が、取付基板20又は把持部21のいずれか一方の上端部に設けた透孔22と、他方の上端部に設けるとともに、透孔22内に弾性変形させつつ強制的に嵌入した後広がってその係合片23a を透孔22縁部に係合する一対の突片より形成された係合突起23との嵌着固定である如く構成した場合には、確実な嵌着固定が行えて、一端嵌着すれば通常の操作で外れる虞がない。
【0019】
胴部2に固定帯Bの抜け出しを防止する係止突条5を設けた場合には、固定帯Bの胴部2からの抜け出しをより確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1乃至図3は本発明把手付きボトルの一例を示し、図中1は把手付きボトルを示す。該把手付きボトル1は、ボトルAと、固定帯Bと、把手Cとを備えている。
【0022】
ボトルAは合成樹脂により形成されたもので、四角筒状の胴部2の上面より縮径した口頸部3を起立し、口頸部3にはキャップDを着脱可能に嵌合している。胴部2の側面には隙間を形成するための凹部4を縦設している。また、凹部4の両側上部及び下部にそれぞれ二箇所ずつ、固定帯Bの抜け出し防止を図るための係止突条5を突設している。係止突条5は胴部2の他の側面の対向位置にも同様に四箇所設けている。尚、抜け出しの防止手段としては係止突条に限らず、凹凸形態の係止手段を採用することができる。
【0023】
固定帯Bは合成樹脂を材質としたシュリンクフィルムにより形成されたもので、所定形状に形成したフィルムを所定の装置でシュリンクして、図3に示す如く、固定帯Bの上端縁より上方に凹部4の上端部が、下端縁より下方に凹部4の下端部が突出した状態で固定している。固定帯Bの固定により、凹部4が形成されている部位の固定帯Bと胴部2との間に把手装着用の隙間xが画成される。
【0024】
把手Cは合成樹脂により形成され、図3に示す如く取付基板20と把持部21とを備えている。取付基板20は縦長帯状をなし、上端部に係合用の透孔22を穿設している。また、把持部21は取付基板20の下端縁に下端縁を一体に連結して上方に延びる縦長帯状であり、ボトルAに装着した際に指を挿入して把持できるように全体的に外方に湾曲形成されている。また、その上端部の取付基板対向面には透孔22内に係合する係合突起23を突設している。係合突起23は図2に示す如く、先端外面より互いに外方に係合片23a を突設した一対の突片より形成され、透孔22内に弾性変形させつつ強制的に押し込み、各係合片23a を透孔22を貫通して取付基板20の裏面に係合する如く構成している。
【0025】
把手Cは、図3に示す如く、固定帯Bを固定したボトルAに対して装着する。隙間xの下端部から隙間x内に取付基板20を挿通させ上端を隙間xの上端部より上方に突出し、次いで係合突起23を透孔22に嵌合して図1の如く把手CをボトルAに固定する。
【0026】
図4乃至図6は他の例を示し、図1の例に於いて、隙間xを形成するための凹部に代えて、一対の縦突条6を縦設している。固定帯Bは合成樹脂を材質としたシュリンクフィルムにより形成されたもので、所定形状に形成したフィルムを所定の装置でシュリンクして、図6に示す如く、固定帯Bの上端縁より各縦突条6の上端部が、下端縁より各縦突条6の下端部がそれぞれ突出した状態で固定し、隙間xを形成している。そして、図1の例と同様の把手Cを同様に装着固定している。その他の構成は図1の例と同様である。
【0027】
図7及び図8は更に他の例を示し、本例では胴部2の後面に隙間xを形成するための凹部4を一対形成している。そして、固定帯Bの上端縁より各凹部4の上端部が、下端縁より各凹部4の下端部がそれぞれ突出した状態で固定帯Bを固定し、一対の並列した隙間xを形成している。また、胴部2の両側面の上下所定位置にそれぞれ係止突条5を突設している。把手Cは、各隙間xにそれぞれ挿通させる一対の取付基板20を備え、各取付基板20の上面から上方にそれぞれ図1の例と同様の係合突起23が突設されている。また、把持部21は、下端部を幅広に形成して各取付基板20の下端部と一体に連結して上方に延びた縦長帯状であり、ボトルAに装着した際に指を挿入して把持できるように全体的に外方に湾曲形成されている。また、把持部21の上端部は幅広に形成され、両側に一対の係合用の透孔22を穿設している。また、上端の幅広部分の下方位置にヒンジ24を設けている。
【0028】
そして、図8の状態から、各取付基板20を各隙間xに挿通し、各上端を固定帯B上方に突出した後、把持部21の上端部をヒンジ24部分から折り曲げて各透孔22内に各係合突起23を嵌合係止して把手CをボトルAに装着する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明把手付きボトルの斜視図である。(実施例1)
【図2】本発明に於ける係合突起部分の要部拡大断面図である。(実施例1)
【図3】本発明把手付きボトルの組み立て途中の斜視図である。(実施例1)
【図4】本発明把手付きボトルの斜視図である。(実施例2)
【図5】本発明に於ける突条部分の要部拡大断面図である。(実施例2)
【図6】本発明把手付きボトルの組み立て途中の斜視図である。(実施例2)
【図7】本発明把手付きボトルの斜視図である。(実施例3)
【図8】本発明把手付きボトルの組み立て途中の斜視図である。(実施例3)
【符号の説明】
【0030】
1…把手付きボトル
A…ボトル
2…胴部,3…口頸部,4…隙間を形成するための凹部,5…係止突条,
6…縦突条 B…固定帯
C…把手
20…取付基板,21…把持部,22…透孔,23…係合突起,23a …係合片,24…ヒンジ D…キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部2外面との間に上下端を開口した把手装着用の隙間xを画成して固定帯Bを胴部2外周に固定したボトルAと、ボトルに固定した把手Cとを備え、把手Cは、隙間xに挿通した取付基板20と、取付基板20の一端部に一端部を連結するとともに、固定帯B外方に把持可能に位置してその他端部を取付基板の他端部に嵌着固定した把持部21とから構成していることを特徴とする把手付きボトル。
【請求項2】
前記隙間xを一対並設し、前記把手Cが、両隙間xにそれぞれ挿通させた一対の取付基板20を備えている請求項1記載の把手付きボトル。
【請求項3】
前記固定帯Bがシュリンクシート又はフィルムで形成されてなる請求項1又は請求項2のいずれかに記載の把手付きボトル。
【請求項4】
上記嵌着固定が、取付基板20又は把持部21のいずれか一方の上端部に設けた透孔22と、他方の上端部に設けるとともに、透孔22内に弾性変形させつつ強制的に嵌入した後広がってその係合片23a を透孔22縁部に係合する一対の突片より形成された係合突起23との嵌着固定である請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の把手付きボトル。
【請求項5】
胴部2に固定帯Bの抜け出しを防止する係止突条5を設けた請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の把手付きボトル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−87788(P2008−87788A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−268515(P2006−268515)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】