説明

投与デバイス

本発明は粉末状物質(2)、特に、医薬特性を有する粉末状物質を吸入するための投与装置(1)に関し、それは、トレーリング底部の上にある貯蔵室内に配置され、そして、該貯蔵室から、空の待機位置へ移動することができ、そして、デバイス壁面(17)の領域における実際の充填レベルに関連する表示部(A)を有している。問題になっているタイプの投与デバイスの開発、特に、有利な方法で改良された表示部に関する開発のために、表示部(A)は、底部に沿って、そして、180°の偏向で運ばれるストリップテープ(19)より成り、ここで、ストリップテープ(19)の偏向領域は透明なデバイス壁(17)の後部に位置することが提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状物質、特に医薬特性を有する粉末状物質を吸入するための投与デバイスに関し、それは、追随する底部の上にある貯蔵室内に配置され、そして、該貯蔵室から、空の待機位置へ持って行くことができ、そして、デバイス壁面の領域で実際の充填レベルに関連する表示部を有している。
【背景技術】
【0002】
議論されているタイプの投与デバイスは公知である。これらは、貯蔵室に収納されている粉末状物質の所定の部分量の投与吸入のために、更に、経口、及び/又は、鼻孔吸入のために使用される。準備段階において、吸入過程で適切な場合、所定の部分量は、この目的のため貯蔵室から取り出され、そして、空の待機位置に持って行かれ、そこから分割された量は、吸入過程中、吸引空気流の中へ移動される。取り出された粉末量に対応して、貯蔵室の底部は、粉末取り出し後、おそらくスプリングの助けにより、追随する(trail)。従って、吸入操作次第で、底部は徐々に貯蔵室の天井方向に動き、貯蔵室の充填用量は減少していく。既に実施された吸入操作数、又は未だ残存している数に関する情報を使用者に提供するために、実際の充填レベルに割り当てられた表示部を提供することは更に公知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
公知の従来技術を考慮して、本発明の技術的課題は、議論されているタイプの投与デバイスの開発、更に、有利な方法、特に、改良された表示部に関して見られる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本課題は、第一に、そして、実質的に、請求項1の主題により解決され、ここで、表示部は、底部によって運ばれ且つ180°だけ偏向したストリップテープから成り、そして、ストリップテープの偏向領域は、透明なデバイス壁の後方に存在することが提案される。この構成の結果として、改良された表示部が作り出され、特に、使用者により改良された方法で読み取ることができる表示部が作り出される。吸入操作を準備するために、貯蔵室から取り出される粉末量は、一般的には、少ないので、そのために対応する低い底部の追随する移動(trailing movement)が、これよりもたらされる。底部の移動由来の即時の表示は、上記の問題点の結果として、ほとんど読み取ることができないか、又は読み取ることが困難となる。この場合、吸入操作が実施される前の、以前の位置に対して表示位置の人目につく差異は検出することができない。底部によって運ばれ且つ180°だけ偏向したストリップテープの配置によって、機械的効率が達成され、そして、単純な180°偏向を有する表示部領域において、底部移動進行(displacement travel)に対して、2倍のストリップテープ移動進行が行われる。従って、表示の移動は使用者により、より容易に検出可能となる。運ばれるストリップテープの偏向領域は、加えて、透明なデバイス壁を通して使用者により、目で見て検出することができる実際の状態に対する表示領域である。好ましい改良において、ストリップテープの180°の偏向は、底部移動進行の対応する2:1の機械的効率を提供する。更なる改良において、2つ又はそれ以上の180°の偏向が、また、機械的効率比の対応する更なる増加、及びそれからもたらされる表示部の増加した感度を提供することが出来る。更にその上、ストリップテープは、視界窓に面したマーキング、又は透明なデバイスの壁、及び/又は、色変動が備わっており、ここで、偏向領域におけるマーキング、又は色は表示値に対応し、更に対応して、なお、実施すべき吸入操作の数、或いは、既に実施された吸入操作の数を表わしている。
【0005】
更なる本発明の特徴は、また、以下の図及び説明において、そして、しばしば、請求項1の主題、又は、更なる請求項の特徴と、その好ましい関連性において説明される。しかしながら、それらは、また、請求項1若しくは個々の更なる請求項の個別の特徴との関連性において、又は独立してそれぞれの場合において重要となることがある。
【0006】
このように、1つの好ましい改良において、偏向点が内側上に面取りした表面を形成すること、及び透明なデバイス壁に面した偏向点が、比較的、より多く縁取りされるように構成されることが、提供される。この改良の結果として、全体的になだらかな180°の偏向が達成される。偏向縁に亘って運ばれるストリップテープの応力は、硬い180°の偏向に比較して、実質的に低下する。この目的のため、特に、透明なデバイス壁からみて外に向く偏向縁の偏向点は面取りされ、そのため、これをもとに、硬い90°の偏向の代わりに、好ましくは、2回の45°の細分割された偏向を達成することができる。貯蔵室の充填レベルの実際の状態を明確に表示するため、透明なデバイス壁に面する偏向点は、内側に面する偏向点と比較して、より角度をもって構成され、更に、直接の90°の偏向を提供し、例えば、ここで、更に、好ましくは、ストリップテープの材質を守る(look after)目的で、この偏向点を断面が丸味を帯びるように、又は面取りして動く(run)ように形成することである。透明なデバイス壁に面する偏向点に割り当てられたストリップテープの断面は、表示値を表わすので、偏向点で適切な丸味付けを行う例示的な場合において、表示の明確性がそれに応じて提供されるように、ミリメートルの10分の1の半径が選択される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次の本文では、本発明は、添付の図面を用いることによりより詳細に説明されるが、それは、単に、1つの例示的な実施態様を表わすものであり、そしてそれにおいて:
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】初めての使用前の投与デバイスの基本位置に関連して、投与デバイスの部分的断面を示す。
【図2】図1における領域IIの拡大図を示す。
【図3】中間位置に関連して、図1の投与デバイスの断面の領域の概略断面図を示す。
【図4】図3の矢印IV記載の投与デバイス領域に向かっての図を示す。
【図5】図2に対応する詳細な断面図を示すが、多数回の吸入操作を実施した後、及び貯蔵室から対応する物質を取り出した後の更なる中間位置に関連する断面図である。
【図6】図4に対応する図を示すが、図5に記載の位置に関連する図である。
【0009】
粉末状物質2、特に医薬特性を有する物質を吸入するために図示された投与デバイス1は、都合よく運ぶことができ、形状を決定する円筒状ケーシングを有する短いロッド形状のポケットデバイスとして実現される。
【0010】
円筒のチューブ形状のケーシング3は、頂部は外円筒状であり、その自由端はマウスピース5を形成する。後者は、口に適した、例えば、扁平状に形成される。マウスピース5は、図示されていないが、ビーカー状の閉鎖キャップによる保護手法で覆うことができる。
【0011】
物質2は、ケーシング3(おそらく再充填可能な)の貯蔵室6内に収納される。投与デバイスを経由して、図示されていないが、吸入操作の準備のために、物質の部分量が、貯蔵室6の外側に位置する移動点に運ばれ、それに応じて、部分量は空の待機位置へ持ち込まれる。
【0012】
投与可能な物質は、(通常は医療用の)粉末状物質2である。それは、例えば、表面に付着する微粉末の薬物粒子用のラクトース賦形剤などの、吸引流で輸送可能な基本形体であり得る。
【0013】
貯蔵室6の下端は、ポット状の底部7で形成され、それは、圧縮ばね8によりマウスピース5の方向にばね押しされている。圧縮ばね8は、そこで、ケーシング3を密封するボトムキャップ9上の底部の座巻(end turn)で支えられている。ここで、後者は壁の内側上に拡大断面を有するケーシング3の断面とラッチング係合し、ここで、ボトムキャップ9の対応するラッチングカラー10は、ケーシング3の合致する環状ノッチに係合する。
【0014】
事前に偏動させた(biased)圧縮ばねの頂部での座巻は、ピストン様の装置(contrivance)7/12の中空ピストン12の内部ショルダー上に装着する方式で作動する。特に図1の説明から分かるように、段付きのポット状の底部7は、内部ショルダー11の領域における中空ピストン12とラッチング方式で接続される。
【0015】
底部7のポットの縁は、ゴム状弾性材料のため、貯蔵室6の壁をロスなく拭き取る環状のリップ13を提供する。
【0016】
図示した例示的な実施態様における圧縮ばね8は、応力を与えない状態で測定された、最大プレス長さの約10倍に相当する長さを有する円筒状スプリングである。プレス長さは、充填位置に対応する図1に記載の下部位置、と貯蔵室6内の止め具で限定された底部17の上部位置の間の、底部7の軸方向の移動の範囲(extent)で定義される。このように、図示した例示的な実施態様において、15mmのプレス長さが提供される。スプリング構造の結果として、特に、選択されたスプリング長さの結果として、底部7上の一定のスプリング圧は、完全なプレス長さで達成され、それは、デバイス1の全使用期間中に物質の一定の圧密(compaction)に導く。
【0017】
ラッチ方式で底部7に接続した中空ピストン12は、底部で放射状アウトリガー14を有する。底部7の面の軸方向に整列した指状の突起物15は、一体的に形成され、そして貯蔵室壁の外部に到達する。突起物15を中空ピストン12へ取り付けた結果、突起物15の軸方向の位置、特に、突起物15の自由端の軸方向の位置は、直接、底部7の軸方向の位置に依存する。
【0018】
突起部15の自由端16と関連して、ケーシング3のデバイス壁17は透明になるよう構成され、その結果、視界窓18を形成することになる。投与デバイスの軸方向の範囲で見られる、視界窓18の高さは、該底面の下部位置と止め具で制限された上部位置の間の、貯蔵室6における底部7の軸方向の移動の最大範囲に合致している。止め具で制限された、底部7のこの上部位置は、貯蔵室6の空位置、即ち、更なる吸入が行われなくなる位置に対応し、しかし、もはや抽出できない残留物質が貯蔵室6内に残留することは、全く可能である。
【0019】
突起部15はストリップテープ19と相互作用する。後者は、突起部15と、例えば、プラスチック材料からのストリップテープ19の構成の場合、貯蔵室壁に接着剤で結合された、あるいは、溶着された貯蔵室壁との重なり領域の自由端領域における取り付けられる。
【0020】
このテープ取り付け部20から出発して、ストリップテープ19は、先ず、貯蔵室壁に面する突起部15の表面に沿って伸びる。突起部15の自由端16の周囲の180°偏向に続いて、ストリップテープ19は、放射状に外側方向に向いた突起部15の表面に沿って、投与デバイス1の底部セクションの方向に、下方に動く。ストリップテープ19は、該テープの滑り移動のため、突起部15の、それぞれに関連した表面上に緩く置かれる。
【0021】
この配置の結果として、貯蔵室6の充填レベルの目に見える移動用の表示部Aが達成される。底部7の軸方向の移動から生じる突起部15の直接移動は、ケーシングに固定され、その結果軸方向に移動することができない領域に、一端で固定され、そして、突起部15の周囲180°を通して緩やかに置かれたストリップテープ19に間接的に伝達される。貯蔵室6からの一部の物質の取り出しに続く底部7の移動に起因する突起部15の軸方向の移動は、突起部の軸方向の移動とストリップテープの軸方向移動の間の機械的効率比1:2が、突起部15の外側に自由にあるセクションの領域において達成されるように、滑車装置の原理に従って、ストリップテープ19に伝達される。
【0022】
貯蔵室6から物質の一部が取り出される機能として徐々に行われる突起部15の漸進的な軸方向の移動過程において、突起部15の自由端は、視界窓18の後で目に見えるように上部方向に動き、これは、機械的倍率で、ストリップテープ19上の表示値を定義する視界窓18に面した突起部15の偏向点21を備えたストリップテープ19の、対応する運搬を伴う。図示した例示的な実施態様において、この偏向点21は、断面において、半径がミリメートル範囲の1/10である丸味を帯びた部分でのみ提供された、比較的鋭い端を有する形状である。このように、角のある偏向点21が形成され、それによって、表示部Aを明確に読み取る能力が達成される。
【0023】
内側に面する、即ち、外部偏向点21からみて外に向く偏向点22は、偏向点21と比較して鈍くなり(blunted)、これは面取りした表面23を形成することによりなされる。この構成の結果として、図示した例示的な実施態様において、突起部15の自由端16上に導かれたストリップテープ19は、互いにストリップテープの縦方向の長さに続く2回の45°の偏向領域の内側に導かれる。これはストリップテープ19の材料を保護する(take care of)ことになる。別の改良において、偏向点22は、外部偏向点21と同様に断面を丸味付けすることができ、これは、更に、偏向点21と比較して実質的に拡大した半径を有して好ましい。
【0024】
図に示した通り、ストリップテープ19は、目に見える側上で、即ち、偏向点21の領域における視界窓18に面した側に、スケール24を備えている。これは、未だ行うことができる吸入の数、間接的に、さらに貯蔵室6から分離されるべき物質量の数を示す。あるいは、表示部Aを経由して、又はスケール24を経由して、すでに行われた吸入の数も、また、表示することができる。
【0025】
更に、代替として、ストリップテープ19は、目に見える側で色の変化をもたらして提供される。例えば、最上の位置における底部7の停止の直前で、視界窓の領域に進入し、更に、偏向点21へ進入する、ストリップテープ19の緩やかな自由端25は、警告色、例えば、赤色を備えており、一方、ストリップテープ19の残留する目に見える領域は、対照的に、黄色などの中性色を有する。
【0026】
開示した全ての特徴は、(それ自体)本発明に対して重要である。同様に、関連した/添付の優先権書類(先行出願のコピー)の開示の完全な内容は、本出願の請求項におけるこれらの書類の特徴を組み込む目的を含めて、本出願の開示に組み込まれている。
【0027】
呼称のリスト:
1.投与デバイス;
2.物質;
3.ケーシング;
4.外部シリンダー;
5.マウスピース;
6.貯蔵室;
7.底部;
8.圧縮ばね;
9.ボトムキャップ;
10.ラッチングカラー;
11.内部ショルダー;
12.中空ピストン;
13.環状リップ;
14.放射状アウトリガー;
15.突起物;
16.自由端;
17.デバイス壁;
18.視界窓;
19.ストリップテープ;
20.テープ取り付け部; テープ取り付け
21.偏向点;
22.偏向点;
23.表面;
24.スケール;
25.自由端;

A 表示部;

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末状物質(2)、特に、医薬特性を有する粉末状物質を吸入するための投与デバイスであって、ここで、トレーリング底部(7)の上部の貯蔵室に配置され、そして、該貯蔵室から空の待機位置へ持って行くことができ、そして、デバイス壁(17)の領域における実際の充填レベルと関連する表示部(A)を有し、表示部(A)は、底部によって運ばれ且つ180°だけ偏向されたストリップテープ(19)から成り、ここで、ストリップテープ(19)の偏向領域が透明デバイス壁(17)の後部に位置することを特徴とする投与デバイス。
【請求項2】
偏向点(22)が、内側に、面取り表面(23)を形成し、そして、透明デバイス壁(17)に面する偏向点(21)が比較的多く縁取りされるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の、又は、特にそれに記載の投与デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−513853(P2012−513853A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544039(P2011−544039)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067948
【国際公開番号】WO2010/076302
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(511152979)サノフィ・ソシエテ・アノニム (3)