投写型映像表示装置
【課題】幾何補正回路の入力解像度を超える映像データおよびOSDデータを取り扱える投写型映像表示装置を提供する。
【解決手段】映像データが入力される入力処理部と、画面情報データを有し、入力処理部から入力した映像データおよび画面情報データの解像度を処理する画像処理部と、画像処理部によって処理された映像データおよび画面情報データを投写するための出力処理部を備える。画像処理部は、入力処理部から入力した映像データおよび画面情報データに対して幾何補正を行なう幾何補正部と、映像データおよび画面情報データの解像度を幾何補正部への入力解像度の範囲内にする第1の変換をさせ、第1の変換が行なわれた映像データおよび画面情報データを合成して幾何補正部へ出力する第1のスケーリング部と、幾何補正部からの出力解像度を出力処理部への入力解像度の範囲内にする第2の変換をさせ、第2の変換が行なわれた映像データおよび画面情報データを合成して出力処理部へ出力する第2のスケーリング部とを含む。
【解決手段】映像データが入力される入力処理部と、画面情報データを有し、入力処理部から入力した映像データおよび画面情報データの解像度を処理する画像処理部と、画像処理部によって処理された映像データおよび画面情報データを投写するための出力処理部を備える。画像処理部は、入力処理部から入力した映像データおよび画面情報データに対して幾何補正を行なう幾何補正部と、映像データおよび画面情報データの解像度を幾何補正部への入力解像度の範囲内にする第1の変換をさせ、第1の変換が行なわれた映像データおよび画面情報データを合成して幾何補正部へ出力する第1のスケーリング部と、幾何補正部からの出力解像度を出力処理部への入力解像度の範囲内にする第2の変換をさせ、第2の変換が行なわれた映像データおよび画面情報データを合成して出力処理部へ出力する第2のスケーリング部とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写型映像表示装置に関し、特に、幾何補正回路の入出力解像度を超える映像信号を取り扱える投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクタ等の投写型映像表示装置には、高解像度な映像が入力され、解像度を落とすことなく、スクリーン等に投写させる技術が開発されている。
【0003】
高解像度の映像を正確に表示する技術として、たとえば、特開2009−75646号公報(特許文献1)に記載された技術が知られている。特開2009−75646号公報(特許文献1)は、映像品質の劣化を抑えながらも、より低いコストで、魚眼レンズ等を用いて撮影した映像を表示することのできる映像表示システムおよび該システムのパラメータ生成方法を提供することを目的としている。
【0004】
特開2009−75646号公報(特許文献1)の発明は、撮像パラメータに基づく条件で生成された画像である入力画像を供給する画像供給部と、抽出パラメータに基づいて、入力画像の一部分を成す矩形領域を切り出して、切り出し画像として出力する画像切り出し部と、幾何補正パラメータに基づいて切り出し画像に対して幾何学的な補正を施して出力する補正部と、補正部が出力した画像を表示する表示部とを備え、幾何補正パラメータは、表示部の設計値に基づく投影パラメータに基づいて生成された画像を補正して出力したときに表示部で所望の映像が得られるような補正パラメータである第1の補正パラメータと、撮像パラメータおよび抽出パラメータに基づいて生成される画像と投影パラメータに基づいて生成される画像との差異を補正するための補正パラメータである第2の補正パラメータとを合成した補正パラメータとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−75646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特開2009−75646号公報(特許文献1)に開示された発明は、幾何補正回路の入力解像度の制限を超える映像信号が入力された場合に、この映像信号は、Scaler回路等により入力可能な解像度に変換され、幾何補正回路に入力される。しかしながら、幾何補正回路からの出力については、幾何補正回路の出力解像度の制約に従うため、必ずしも、入力映像信号の解像度と出力解像度が同一にならず、解像度が劣化した映像が出力される問題があった。
【0007】
また、幾何補正回路は、入出力解像度を自由に変更することができず、入力される映像の解像度が幾何補正回路の最大入力解像度よりも大きい場合には、映像は正確な表示がされないまま出力されていた。
【0008】
さらに、プロジェクタ等の投写型映像表示装置の画面情報データであるOSD(On-Screen Display)データについても、同じ問題が生じている。
【0009】
本発明の目的は、幾何補正回路の入力解像度を超える映像データおよびOSDデータを取り扱える投写型映像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、投写型映像表示装置であって、映像データが入力される入力処理部と、画面情報データを有し、入力処理部から入力した映像データおよび画面情報データの解像度を処理する画像処理部と、画像処理部によって処理された映像データおよび画面情報データを投写するための出力処理部を備える。画像処理部は、入力処理部から入力した映像データおよび画面情報データに対して幾何補正を行なう幾何補正部と、映像データおよび画面情報データの解像度を幾何補正部への入力解像度の範囲内にする第1の変換をさせ、第1の変換が行なわれた映像データおよび画面情報データを合成して幾何補正部へ出力する第1のスケーリング部と、幾何補正部からの出力解像度を出力処理部への入力解像度の範囲内にする第2の変換をさせ、第2の変換が行なわれた映像データおよび画面情報データを合成して出力処理部へ出力する第2のスケーリング部とを含む。
【0011】
好ましくは、第1のスケーリング部は、画面情報データを有する第1の変換部と、画面情報データおよび映像データを合成して幾何補正部へ出力する第2の変換部とを含む。
【0012】
好ましくは、第1および第2のスケーリング部のいずれかは、映像データが格納されるラインメモリと、映像データの解像度変換をするスケーリング処理部と、ラインメモリを制御し、スケーリング処理部へラインメモリに格納された映像データを出力させるラインメモリ制御部と、画面情報データおよびスケーリング処理部から出力された映像データを合成する合成処理部とを含む。
【0013】
好ましくは、合成処理部は、映像データの上に画面情報データを上書きすることによって、映像データおよび画面情報データの合成を行なう。
【0014】
好ましくは、幾何補正部は、幾何補正をせず、第1のスケーリング部から出力されたデータを通過させる機能を有する。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、幾何補正部の最大入力解像度を超えた高解像度な映像信号をスクリーン上に適切に表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】検討例の投写型映像表示装置100の構成を示すブロック図である。
【図2】画像処理部2の構成を示すブロック図である。
【図3】検討例の投写型映像表示装置100で表示された映像を説明するための図である。
【図4】実施の形態の投写型映像表示装置100Aの構成を示すブロック図である。
【図5】画像処理部2Aの構成を示すブロック図である。
【図6】スケーリング部20の構成を示すブロック図である。
【図7】ラインメモリM0に格納される1水平ライン分の映像データと出力解像度に合わせた1画素の映像データとの関係を説明するための図である。
【図8】ラインメモリM1に格納される1水平ライン分の映像データ、出力解像度に合わせた1画素の映像データ、OSDデータの関係を説明するための図である。
【図9】実施の形態の投写型映像表示装置100Aの動作例Aについて説明をするための図である。
【図10】実施の形態の投写型映像表示装置100Aの動作例Bについて説明をするための図である。
【図11】実施の形態の投写型映像表示装置100Aの動作例Cについて説明をするための図である。
【図12】実施の形態の投写型映像表示装置100Aの動作例Dについて説明をするための図である。
【図13】幾何補正が必要な場合の映像データの変換を説明するためのフローチャートである。
【図14】幾何補正が不要な場合の映像データの変換を説明するためのフローチャートである。
【図15】OSDデータが幾何補正部30に入力され、かつ、幾何補正が必要な場合を説明するためのフローチャートである。
【図16】OSDデータが幾何補正部30に入力され、かつ、幾何補正が不要な場合を説明するためのフローチャートである。
【図17】OSDデータが幾何補正部30に入力されない場合を説明するためのフローチャートである。
【図18】実施の形態の投写型映像表示装置100Aで表示された映像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0018】
[検討例]
図1は、検討例の投写型映像表示装置100の構成を示すブロック図である。図1を参照して、画像が入力される入力処理部1と、画像処理部2と、出力処理部3と、制御部4と、記憶部5と、操作部6とを含む。
【0019】
入力処理部1は、外部の入力画像供給装置等から出力された信号が与えられる。画像処理部2は、入力処理部1により入力された映像データ等を処理し、出力処理部3に映像を入力する。
【0020】
出力処理部3は、図示はしていないが投写レンズ装置を含み、投写レンズ装置によってスクリーン上に拡大投写される。
【0021】
この投写レンズ装置は、投写光をスクリーンに結像させるためのレンズ群(図示せず)と、これらレンズ群の一部を光軸方向に変化させて投写映像のズーム状態およびフォーカス状態を調整するためのアクチュエータ(図示せず)を備えている。
【0022】
また、制御部4は、制御プログラムを実行することにより、プロジェクタの各部の動作を制御する。記憶部5には、制御部4が投写型映像表示装置100の各処理をさせるためのプログラムやOSDデータ等が記憶されている。なお、OSDデータは、後に説明するScaler10においても記憶されている。
【0023】
操作部6は、プロジェクタ内部でも、リモコンのように外部に備えてもよいが、ユーザによって操作され、操作に応じた制御が行なわれる。なお、投写型映像表示装置100は、映像を表示する以外に、各種設定情報であるOSDデータを重畳して表示することができる機能を有している。
【0024】
図2は、画像処理部2の構成を示すブロック図である。図2を参照して、画像処理部2は、Scaler10と幾何補正部30とを含む。
【0025】
Scaler10は、図示していない記憶部を有し、記憶部にOSDデータが記憶される。Scaler10は、OSDデータの制御を行なう機能を有し、入力処理部1により入力された映像データおよびOSDデータを出力する。
【0026】
幾何補正部30は、入力解像度が制限されている映像(たとえば水平解像度1920画素、垂直解像度1080画素)に対して幾何補正を行なう。
【0027】
Scaler10と幾何補正部30とは、制御部4によってそれぞれ制御される。また、幾何補正部30へOSDデータを入力させるか否かや入力解像度の変更等は図1の操作部6を介して設定され、その設定情報は制御部4に読み込まれる。
【0028】
図3は、検討例の投写型映像表示装置100で表示された映像を説明するための図である。
【0029】
図3を参照して、スクリーン400は、入力された映像信号に基づく画像を、スクリーン400の投写映像面410上に投写する。この投写映像面410上には、投写型映像表示装置100によって投写された映像(以下、投写画像という)が映し出される。この投写映像は、画像D1,D2A,D2B,D3を含む。
【0030】
検討例の投写型映像表示装置100では、画像処理部2がScaler10と幾何補正部30から構成されるため、入力映像の解像度が幾何補正部30の最大入力解像度を超えている場合や幾何補正部30から出力された解像度が出力処理部3の解像度より超えていた場合に、何ら補正がされないあるいは入力解像度が不適切なため、たとえば画像D1のように映像面の端側が切れてしまい、正確に表示されない。
【0031】
[実施の形態]
図4は、実施の形態の投写型映像表示装置100Aの構成を示すブロック図である。図1、図4を参照して、検討例の投写型映像表示装置100との比較しつつ、実施の形態の投写型映像表示装置100Aを説明する。
【0032】
実施の形態の投写型映像表示装置100Aは、検討例の投写型映像表示装置100の構成に、画像処理部2に代えて、画像処理部2Aを加える。
【0033】
図5は、画像処理部2Aの構成を示すブロック図である。図5を参照して、画像処理部2Aは、検討例の画像処理部2の構成に、幾何補正部30が適切に画像処理が可能なように、入力処理部1からの映像データ等の解像度を幾何補正部30の最大入力解像度の範囲内に収まるように、解像度変換をおこなうスケーリング部20を含む。さらに、画像処理部2Aは、幾何補正部30から出力された映像データ等の解像度が出力処理部3の最大出力解像度の範囲内に収まるように、解像度変換をおこなうスケーリング部40を含む。
【0034】
スケーリング部20,40は、汎用ICおよびFPGA(Field Programmable Gate Array)で構成される。またスケーリング部20,40は、入力処理部1からの映像データやScaler10の記憶部(図示せず)に記憶されているOSDデータに対してアップスケーリング処理またはダウンスケーリング処理を行なう。
【0035】
なお、アップスケーリング処理とは、映像の画面サイズをより大きなものに変換する処理することをいい、一方、ダウンスケーリング処理とは、映像の画面サイズをより小さなものに変換する処理することをいう。
【0036】
さらに、スケーリング部20,40は、Scaler10から出力されたOSDと入力処理部1からの入力された映像データとを含む画像データを合成することができ、一方、合成されたデータ幅に基づき、OSDデータあるいは映像データを判別して出力することもできる。
【0037】
ここで、Scaler10とスケーリング部20との関係について説明する。Scaler10とスケーリング部20とは似た機能を有する。しかしながら、検討例のようにScaler10は、様々な品種が存在し、その機能も品種よって異なるため、実施の形態の投写型映像表示装置100Aのように、常に幾何補正部30の最大入力解像度を超えた映像データを取り扱い、適切に出力させることは難しい。
【0038】
従って、Scaler10の機能に係らず、このスケーリング部20,40を有することにより、円滑な解像度変換を同時に処理することができる。
【0039】
なお、Scaler10がスケーリング部20の機能を有する場合には、スケーリング部20は不要で、Scaler10からの出力は幾何補正部30に直接入力する。
【0040】
図6は、スケーリング部20の構成を示すブロック図である。図6を参照して、スケーリング部20は、ラインメモリ制御部22と、スケーリング処理部24、OSD処理部26と、ラインメモリM0,M1とを含む。
【0041】
ラインメモリ制御部22は、入力処理部1から出力される画像データを1水平ライン分の画像データを交互にラインメモリM0,M1に格納するように制御する。そして、ラインメモリM0,M1に保存されている映像データを読み出し、スケーリング処理部24に入力する。
【0042】
スケーリング処理部24は、たとえば、ラインメモリ制御部22から出力されたラインメモリM0に格納されている1水平ラインの映像データの解像度を変換する。変換された映像データは、OSD処理部26へ入力され、OSD処理部26においてOSDデータと合成される。スケーリング処理部24の変換方法として、後に説明するスケーリング則を用いて、ラインメモリに記憶されている1水平ライン分の映像データの複数画素に基づき、出力解像度に合わせた1画素の画像データを生成する。
【0043】
次に、入力映像を変換する方法(スケーリング則)について説明する。入力画像水平座標x、出力画像水平座標X、倍率Zxとすると、これらの関係は、x=X/ZxまたはZx=X/xとして表される。また、入力画像水平座標xの整数部分をmとし、その小数部分をαとすると、それぞれm=[x](xを越えない最大の整数)、α=x−[x]として表される。これらを用いて、出力座標の画像データ値f(X)は、f(X)=(1−α)*f(m)+α*f(m+1)(式1)として表される。この(式1)を用いて、複数の入力画素から出力される映像の1画素分が生成される。なお、入力映像を変換する方法は上記に限られず、他の補間方法を用いてもよい。
【0044】
なお、Scaler10が映像データにOSDデータを重畳させる機能を有する場合は、スケーリング部20のOSD処理は不要で、Scaler10によりOSDデータを重畳させた映像がスケーリング部20のラインメモリ制御部22に入力する。
【0045】
図7は、ラインメモリM0に格納される1水平ライン分の映像データと出力解像度に合わせた1画素の映像データとの関係を説明するための図である。
【0046】
図6、図7を参照して、たとえば、ラインメモリM0には、入力処理部1から入力された1水平ライン分の1920画素が記憶されている。ここで、図6のスケーリング処理部24は、複数の画素P0,P1に基づいて、上記のスケーリング則に従い、出力された1画素D00を生成する。この処理の間、ラインメモリM1には、ラインメモリ制御部22の制御によって次の1水平ライン分の映像データが記憶される。
【0047】
スケーリング処理部24は、ラインメモリM0に記憶されている1920画素分の映像データが2048画素分の映像データに変換され、OSD処理部26へ出力する。一方、この変換処理の間に、次の1水平ライン分の1920画素がラインメモリM1に記憶される。
【0048】
上記ラインメモリM0からの出力が終了すると、ラインメモリM1に対して、ラインメモリM0と同様な処理が行なわれる。この処理の間に、ラインメモリM0にはさらに次の映像データの取り込み、記憶される。このようにして、ラインメモリM0,M1を交互に切換えて使用することにより、変換されたデータが遅延なく円滑にスケーリング処理部24へ出力される。
【0049】
スケーリング処理部24において変換された映像データがOSD処理部26に入力される。OSD処理部26は、スケーリング処理部24から出力された映像データに表示座標の情報を含むOSDデータを上書きする。この上書きされたデータが、たとえば幾何補正部30に入力される。
【0050】
図8は、ラインメモリM1に格納される1水平ライン分の映像データ、出力解像度に合わせた1画素の映像データ、OSDデータの関係を説明するための図である。
【0051】
図6、図8を参照して、たとえば、ラインメモリM1には、入力処理部1から入力された1水平ライン分の1920画素が記憶されている。ここで、図6のスケーリング処理部24は、複数の画素Q0,Q1に基づいて、上記のスケーリング則に従い、出力された1画素D01を生成する。この処理の間、ラインメモリM0には、ラインメモリ制御部22の制御によって次の1水平ライン分の映像データが記憶される。
【0052】
スケーリング処理部24は、ラインメモリM1に記憶されている1920画素分の映像データが2048画素分の映像データに変換され、OSD処理部26へ出力する。
【0053】
上記ラインメモリM1からの出力が終了すると、OSD処理部26において、位置情報を含む複数のOSDデータR0,R1,R2がOSDデータS0,S1,S2として上書きされる。この入力されたOSDデータR0,R1,R2と出力されたOSDデータS0,S1,S2との関係は、同一であっても良いし、OSDデータR0,R1,R2を上記スケーリング則で変換されたOSDデータでもよい。この処理が終了すると、再度ラインメモリM0に対して、ラインメモリM1と同様な処理が行なわれる。この処理の間に、ラインメモリM1にはさらに次の映像データの取り込み開始する。このようにして、ラインメモリM0,M1を交互に切換えて使用することにより、変換されたデータとOSDデータが遅延なく円滑にOSD処理部26で合成され出力される。
【0054】
以上図6〜図8を用いてラインメモリM0,M1の2つの場合を説明したが、これに限られることなく、スケーリング部20は、複数のラインメモリを設けることもでき、かつ、ラインメモリ制御部22は複数個のラインメモリを制御できる。
【0055】
なお、スケーリング部40は、スケーリング部20と構成が同様なため、説明は繰り返さない。
【0056】
以下に実施の形態の動作例について説明する。ここで、説明の便宜のために解像度について、(水平解像度、垂直解像度)=(2048,1080)の場合を解像度2Kとし、(水平解像度、垂直解像度)=(1920,1080)の場合を解像度1080pとする。また、図9〜12を用いて説明する動作例A〜Dは、入力処理部1に解像度2Kの映像データが入力される。また、Scaler10の記憶部(図示せず)に格納されている解像度2KのOSDデータが用いられる。また幾何補正部30の最大入出力解像度が1080pという制限があり、出力処理部3の出力解像度は解像度2Kとして説明する。
【0057】
図9は、実施の形態の投写型映像表示装置100Aの動作例Aについて説明をするための図である。図9を参照して、入力処理部1に解像度2Kの映像データが入力され、この映像データとScaler10の記憶部(図示せず)に格納されている解像度2KのOSDデータとがScaler10によって解像度2Kから解像度1080pにするダウンスケーリング処理を行い、ダウンスケーリング処理されたこれらのデータはスケーリング部20に入力される。この解像度変換により、すでに幾何補正部30の最大入力解像度(1080p)以下の解像度であるため、スケーリング部20は、この変換された映像データおよびOSDデータをさらにダウンスケーリング処理を行なうことなく、これらのデータは幾何補正部30に入力される。
【0058】
幾何補正部30において入力されたデータは幾何補正され、スケーリング部40へ出力される。出力処理部3の出力解像度が解像度2Kであるため、スケーリング部40は、幾何補正部30から出力された映像データおよびOSDデータを解像度1080pから解像度2Kにするアップスケーリング処理が行なわれ、合成出力された映像データおよびOSDデータは、出力処理部3からスクリーン等へ出力される。
【0059】
図10は、実施の形態の投写型映像表示装置100Aの動作例Bについて説明をするための図である。図10を参照して、入力処理部1に解像度2Kの映像データが入力され、この映像データとScaler10の記憶部(図示せず)に格納されている解像度2KのOSDデータとがScaler10では解像度変換されず、スケーリング部20に入力される。幾何補正部30の最大入力解像度(1080p)以下の解像度にするために、スケーリング部20は、Scaler10から出力された映像データおよびOSDデータを解像度1080pへダウンスケーリング処理を行なう。ダウンスケーリング処理されたこれらのデータは幾何補正部30に入力される。
【0060】
幾何補正部30において入力されたデータは幾何補正されず、そのままスケーリング部40へ入力される(スルー処理)。出力処理部3の出力解像度が解像度2Kであるため、スケーリング部40は、幾何補正部30から出力された映像データおよびOSDデータを解像度1080pから解像度2Kにするアップスケーリング処理が行なわれ、合成して出力される。合成出力された映像データおよびOSDデータは、出力処理部3からスクリーン等へ出力される。
【0061】
図11は、実施の形態の投写型映像表示装置100Aの動作例Cについて説明をするための図である。図11を参照して、入力処理部1に解像度2Kの映像データが入力され、この映像データとScaler10の記憶部(図示せず)に格納されている解像度2KのOSDデータとがScaler10では解像度変換されず、スケーリング部20に入力される。幾何補正部30の最大入力解像度(1080p)以下の解像度にするために、スケーリング部20は、Scaler10から出力された映像データおよびOSDデータを解像度2Kから解像度1080pへダウンスケーリング処理を行なう。ダウンスケーリング処理されたこれらのデータは幾何補正部30に入力される。
【0062】
幾何補正部30において入力されたデータは幾何補正され、スケーリング部40へ入力される。出力処理部3の出力解像度が映像データの場合には解像度2K、OSDデータの場合には解像度1080pと制限されているため、スケーリング部40は、幾何補正部30から出力された映像データについて解像度1080pから解像度2Kにするアップスケーリング処理を行い、一方OSDデータについてアップスケーリング処理を行なわない。スケーリング部40において変換された映像データおよびOSDデータは合成して出力される。合成出力された映像データ(解像度2K)およびOSDデータ(1080p)は、出力処理部3からスクリーン等へ出力される。
【0063】
図12は、実施の形態の投写型映像表示装置100Aの動作例Dについて説明をするための図である。図12を参照して、入力処理部1に解像度2Kの映像データが入力され、この映像データとScaler10の記憶部(図示せず)に格納されている解像度2KのOSDデータとがScaler10では解像度変換されないまま、スケーリング部20に入力される。この動作例Dでは、OSDデータは、幾何補正部30を通過させず、スケーリング部40へ直接入力させる。一方、映像データは、幾何補正部30を通過(バイパス)させるとすると、幾何補正部30の最大入力解像度(1080p)以下の解像度にするために、スケーリング部20は、Scaler10から出力された映像データを解像度2Kから解像度1080pにするダウンスケーリング処理を行なう。一方、OSDデータは、スケーリング部20において、ダウンスケーリング処理されず、出力される。
【0064】
ダウンスケーリング処理された映像データは幾何補正部30に入力され、一方OSDデータは、幾何補正部30を介さず、スケーリング部40へ直接入力される。
【0065】
幾何補正部30において入力された映像データは幾何補正され、スケーリング部40へ入力される。ここで、出力処理部3の映像データおよびOSDデータの出力解像度が解像度2Kと制限されているため、スケーリング部40は、出力された映像データを解像度1080pから解像度2Kにするアップスケーリング処理を行い、一方OSDデータはアップスケーリング処理を行なわず、OSDデータおよび変換された映像データは合成して出力される。合成出力された映像データ(解像度2K)およびOSDデータ(解像度2K)は、出力処理部3からスクリーン等へ出力される。
【0066】
以上図9〜図12を用いて説明した動作例A〜Dは、これに限らず、他の動作例も考えられる。たとえば、図示はしないが、Scaler10において、解像度2KのOSDデータを水平方向に縮小し、解像度1080pの水平方向幅を合わせる。このとき水平方向幅は、1920/2048=0.9375倍に縮小される。この縮小されたOSDデータと入力された解像度2Kの映像データとをScaler10またはスケーリング部20がダウンスケーリング処理を行い、幾何補正部30に入力する。幾何補正後、スケーリング部40によって、入力された映像データおよびOSDデータは水平方向にアップスケーリングされる。スケーリング部40から出力された解像度2Kの映像データおよびOSDデータが出力処理部3よりスクリーン等へ出力される。
【0067】
また、幾何補正部30の最大入出力解像度は同じ解像度1080pとして、説明したが、最大入力解像度と最大出力解像度とが異なる幾何補正部を利用してもよい。この場合であっても、最大入出力解像度が制限されているため、実施の形態の構成を有することにより、最大入出力解像度以上の映像データやOSDデータを取り扱えることができる。また、スケーリング部40の機能を幾何補正部30に含ませてもよい。
【0068】
なお、ここでは、水平方向に解像度変換を行なうことを説明しているが、垂直方向にも適用できる。出力処理部3の出力解像度は解像度2Kとして説明してきたが、これに限定されるものではなく、幾何補正部30の最大入出力解像度を超える解像度にも適用できる。
【0069】
以下、実施の形態の投写型映像表示装置100Aに入力された映像データおよびOSDデータの流れについて図13〜17を用いて説明をする。
【0070】
図13は、幾何補正が必要な場合の映像データの変換を説明するためのフローチャートである。幾何補正が必要か否かの判断は、操作部6によりユーザによって設定される。図13を参照して、たとえば、入力処理部1に映像データの入力が開始されると、ステップS1では、制御部4は、入力された映像データのヘッダ部分を読み取り、入力された映像データの解像度情報を取得する。また、操作部6により入力された幾何補正部30の設定情報を取得する。
【0071】
そして、ステップS2では、制御部4は、ステップS1によって取得した入力映像データの解像度と幾何補正部30の最大入力解像度との大小を判断する。制御部4によって、ステップS2では入力映像データの解像度が幾何補正部30の最大入力解像度より大きいと判断されれば、ステップS4に処理が進み、幾何補正部30に映像データを入力させるためにScaler10がダウンスケーリング処理を行なうか否かが判断される。一方、ステップS2では入力映像データの解像度が幾何補正部30の最大入力解像度より小さいと判断されれば、ステップS3に処理が進む。
【0072】
ステップS3では、入力された映像データは、Scaler10、スケーリング部20によってダウンスケーリング処理されることなく、幾何補正部30へ入力され、幾何補正処理が行なわれ、ステップS7に処理が進む。
【0073】
一方、ステップS4では、幾何補正部30に映像データを入力させるためにScaler10によってダウンスケーリング処理が行なわれるか否かが判断される。ステップS4では、Scaler10によってダウンスケーリング処理が行なわれると判断されれば、ステップS5に処理が進む。一方、ステップS4によってScaler10によってダウンスケーリング処理が行なわないと判断されれば、スケーリング部20によってダウンスケーリング処理が行なわれるステップS6に処理が進む。
【0074】
ステップS5では、Scaler10によって映像データのダウンスケーリング処理が行なわれる。そして、ステップS6では、制御部4は、スケーリング部20によって映像データのダウンスケーリング処理が行なわれる。
【0075】
ステップS3、ステップS5、ステップS6の処理の次には、ステップS7について、ダウンスケーリング処理されたあるいはダウンスケーリング処理されていない映像データが幾何補正部30に入力され、ステップS8へ処理が進む。
【0076】
そして、ステップS8では、幾何補正部30から出力された映像データの解像度と出力処理部3の出力解像度とが同一か否かが判断される。映像データの解像度と出力処理部3の出力解像度とが同一と判断されれば、ステップS11の処理完了となる。具体的には、スケーリング部40において映像データのアップスケーリング処理が行なわれず、出力処理部3に入力され、スクリーン等へ映像データが投写される。一方、映像データの解像度と出力処理部3の出力解像度とが同一でないと判断されれば、ステップS10に処理が進む。
【0077】
ステップS10では、スケーリング部40において映像データの解像度が出力処理部3の出力解像度までアップスケーリング処理がなされ、次のステップS11の処理完了となる。
【0078】
このように、幾何補正が必要な場合の映像データの変換について、幾何補正部30の前後に解像度を変換させるスケーリング部20,40を備えることで、解像度変換が行なわれ、幾何補正部30の最大入力解像度よりも大きい解像度を有する映像データを適切にスクリーンに投写させることが可能となる。
【0079】
図14は、幾何補正が不要な場合の映像データの変換を説明するためのフローチャートである。幾何補正が必要か否かの判断は、操作部6によりユーザによって設定される。図14を参照して、たとえば、入力処理部1に映像データの入力が開始されると、ステップS101では、制御部4は、入力された映像データのヘッダ部分を読み取り、入力された映像データの解像度情報を取得する。また、制御部4は操作部6により入力された幾何補正部30の設定情報を取得する。
【0080】
そして、ステップS102では、制御部4は、ステップS101によって取得した入力映像データの解像度と幾何補正部30の最大入力解像度との大小を判断する。このステップS102は、幾何補正部30において、幾何補正の処理を行なわない代わりに、幾何補正部30をバイパスとして使用するスルー処理を行なうために必要となる。制御部4によって、ステップS102では、入力映像データの解像度が幾何補正部30の最大入力解像度より大きいと判断されれば、ステップS104に処理が進み、幾何補正部30に映像データを入力させるためにScaler10によってダウンスケーリング処理が行なわれるか否かを判断される。一方、ステップS102では、入力映像データの解像度が幾何補正部30の最大入力解像度より小さいと判断されれば、ステップS103に処理が進む。
【0081】
ステップS103では、入力された映像データは、Scaler10、スケーリング部20によってダウンスケーリング処理されることなく、幾何補正部30へ入力され、ステップS107に処理が進む。
【0082】
一方、ステップS104では、幾何補正部30に映像データを入力させるためにScaler10によってダウンスケーリング処理が行なわれるか否かが判断される。ステップS104によってScaler10によってダウンスケーリング処理が行なわれると判断されれば、ステップS105に処理が進む。一方、制御部4によって、ステップS104では、Scaler10によってダウンスケーリング処理が行なわれないと判断されれば、スケーリング部20によってダウンスケーリング処理を行なわれるステップS106に処理が進む。
【0083】
ステップS105では、Scaler10によって映像データのダウンスケーリング処理が行なわれる。そして、ステップS106では、スケーリング部20によって映像データのダウンスケーリング処理が行なわれる。
【0084】
ステップS103、ステップS105、ステップS106の処理の次には、ステップS107について、ダウンスケーリング処理されたあるいはダウンスケーリング処理されていない映像データが幾何補正部30に入力される。幾何補正部30は入力映像データを幾何補正することなく、通過(バイパス)させる。制御部4は幾何補正部30に映像データが入力された情報を取得し、ステップS108へ処理が進む。
【0085】
そして、ステップS108では、幾何補正部30をバイパスした映像データの解像度と出力処理部3の出力解像度とが同一か否かが判断される。映像データの解像度と出力処理部3の出力解像度とが同一と判断されれば、ステップS111の処理完了となる。具体的には、スケーリング部40によって映像データのアップスケーリング処理が行なわれず、出力処理部3に入力され、スクリーン等へ映像データが投写される。一方、映像データの解像度と出力処理部3の出力解像度とが同一でないと判断されれば、ステップS110に処理が進む。
【0086】
ステップS110では、スケーリング部40によって映像データの解像度を出力処理部3の出力解像度までアップスケーリング処理がなされ、次のステップS111の処理完了となる。
【0087】
このように、幾何補正が不要な場合の映像データの変換について、幾何補正部30の前後に解像度を変換させるスケーリング部20,40を備えることで、解像度変換が行なわれ、幾何補正部30を通過(バイパス)させることにより、幾何補正部30の最大入力解像度よりも大きい解像度を有する映像データを適切にスクリーンに投写させることが可能となる。
【0088】
図15は、OSDデータが幾何補正部30に入力され、かつ、幾何補正が必要な場合を説明するためのフローチャートである。幾何補正が必要か否かの判断は、操作部6によりユーザによって設定される。図15を参照して、たとえば、入力処理部1にOSDデータの入力が開始されると、ステップS21では、制御部4は、Scaler10の記憶部(図示せず)に記憶されているOSDデータの解像度情報を取得する。また、制御部4は操作部6により入力された幾何補正部30の設定情報を取得する。
【0089】
そして、ステップS22では、制御部4は、ステップS21によって取得したOSDデータの解像度と幾何補正部30の最大入力解像度との大小を判断する。制御部4によって、ステップS22では、入力OSDデータの解像度が幾何補正部30の最大入力解像度より大きいと判断されれば、ステップS24に処理が進み、幾何補正部30にOSDデータを入力させるためにScaler10によってダウンスケーリング処理が行なわれるか否かが判断される。一方、ステップS22では、OSDデータの解像度が幾何補正部30の最大入力解像度より小さいと判断されれば、ステップS23に処理が進む。
【0090】
ステップS23では、OSDデータは、Scaler10、スケーリング部20によってダウンスケーリング処理が行なわれることなく、幾何補正部30へ入力され、ステップS27に処理が進む。
【0091】
一方、ステップS24では、制御部4は、幾何補正部30にOSDデータを入力させるためにScaler10によってダウンスケーリング処理が行なわれるか否かを判断する。ステップS24では、Scaler10によってダウンスケーリング処理が行なわれると判断されれば、ステップS25に処理が進む。一方、ステップS24では、Scaler10によってダウンスケーリング処理が行なわないと判断されれば、スケーリング部20によってダウンスケーリング処理が行なわれるステップS26に処理が進む。
【0092】
ステップS25では、Scaler10によってOSDデータのダウンスケーリング処理が行なわれる。そして、ステップS26では、スケーリング部20によってOSDデータのダウンスケーリング処理が行なわれる。
【0093】
ステップS23、ステップS25、ステップS26の処理の次には、ステップS27について、ダウンスケーリング処理されたあるいはダウンスケーリング処理されていないOSDデータが幾何補正部30に入力され、幾何補正処理が行なわれ、ステップS28へ処理が進む。
【0094】
そして、ステップS28では、幾何補正部30から出力されたOSDデータの解像度の変換が必要か否かが判断される。幾何補正部30から出力されたOSDデータの解像度の変換が不要と判断されれば、ステップS30の変換処理が行なわれず、ステップS31の処理完了となる。具体的には、スケーリング部40においてOSDデータのアップスケーリング処理が行なわれず、出力処理部3に入力され、スクリーン等へOSDデータが投写される。一方、幾何補正部30から出力されたOSDデータの解像度の変換が必要と判断されれば、ステップS29に処理が進む。
【0095】
ステップS29では、たとえば、スケーリング部40においてOSDデータの解像度を出力処理部3の出力解像度までのアップスケーリング処理(変換)が行なわれ、次のステップS31の処理完了となる。
【0096】
このように、幾何補正が必要な場合のOSDデータの変換について、幾何補正部30の前後に解像度を変換させるスケーリング部20,40を備えることで、解像度変換が行なわれ、幾何補正部30の最大入力解像度よりも大きい解像度を有するOSDデータを適切にスクリーンに投写させることが可能となる。
【0097】
図16は、OSDデータが幾何補正部30に入力され、かつ、幾何補正が不要な場合を説明するためのフローチャートである。図16を参照して、たとえば、入力処理部1にOSDデータの入力が開始されると、ステップS121では、制御部4は、Scaler10の記憶部(図示せず)に記憶されているOSDデータの解像度情報を取得する。また、制御部4は操作部6により入力された幾何補正部30の設定情報を取得する。
【0098】
そして、ステップS122では、制御部4は、ステップS121によって取得した入力OSDデータの解像度と幾何補正部30の最大入力解像度との大小を判断する。このステップS122は、幾何補正部30において、幾何補正の処理を行なわない代わりに、幾何補正部30をバイパスとして使用するスルー処理を行なうために必要となる。制御部4によって、ステップS122では、入力OSDデータの解像度が幾何補正部30の最大入力解像度より大きいと判断されれば、ステップS124に処理が進み、幾何補正部30にOSDデータを入力させるためにScaler10によってダウンスケーリング処理が行われるか否かを判断する。一方、ステップS122では、OSDデータの解像度が幾何補正部30の最大入力解像度より小さいと判断されれば、ステップS123に処理が進む。
【0099】
ステップS123では、入力されたOSDデータは、Scaler10、スケーリング部20によってダウンスケーリング処理が行われることなく、幾何補正部30へ入力され、ステップS127に処理が進む。
【0100】
一方、ステップS124では、制御部4は、幾何補正部30にOSDデータを入力させるためにScaler10がダウンスケーリング処理を行なうか否かを判断する。ステップS124では、Scaler10によってダウンスケーリング処理が行なわれると判断されれば、ステップS125に処理が進む。一方、ステップS124では、Scaler10によってダウンスケーリング処理が行なわないと判断されれば、スケーリング部20においてダウンスケーリング処理を行なわれるステップS126に処理が進む。
【0101】
ステップS125では、Scaler10によってOSDデータのダウンスケーリング処理が行なわれる。そして、ステップS126では、スケーリング部20によってOSDデータのダウンスケーリング処理が行なわれる。
【0102】
ステップS123、ステップS125、ステップS126の処理の次には、ステップS127について、ダウンスケーリング処理されたあるいはダウンスケーリング処理されていないOSDデータが幾何補正部30に入力される。幾何補正部30は入力OSDデータを幾何補正することなく、通過(バイパス)させる。制御部4は幾何補正部30にOSDデータが入力された信号を取得し、ステップS128へ処理が進む。
【0103】
そして、ステップS128では、幾何補正部30をバイパスしたOSDデータの解像度の変換が必要か否かが判断される。幾何補正部30をバイパスしたOSDデータの解像度の変換が不要と判断されれば、ステップS130の変換処理がされず、ステップS131の処理完了となる。具体的には、スケーリング部40においてOSDデータのアップスケーリング処理が行なわれず、出力処理部3に入力され、スクリーン等へOSDデータが投写される。一方、幾何補正部30をバイパスしたOSDデータの解像度の変換が必要と判断されれば、ステップS129に処理が進む。
【0104】
ステップS129では、スケーリング部40においてOSDデータの解像度を出力処理部3の出力解像度までアップスケーリング処理(変換)が行なわれ、次のステップS111の処理完了となる。
【0105】
このように、幾何補正が不要な場合のOSDデータの変換について、幾何補正部30の前後に解像度を変換させるスケーリング部20,40を備えることで、解像度変換が行なわれ、幾何補正部30の最大入力解像度よりも大きい解像度を有するOSDデータを適切にスクリーンに投写させることが可能となる。
【0106】
ステップS129では、たとえば、スケーリング部40においてOSDデータの解像度を出力処理部3の出力解像度までアップスケーリング処理情報を制御部4は取得する。そして、ステップS131の処理完了となる。
【0107】
このように、幾何補正が不要な場合のOSDデータの変換について、幾何補正部30の前後に解像度を変換させるスケーリング部20,40を備えることで、解像度変換が行なわれ、幾何補正部30を通過(バイパス)させることにより、幾何補正部30の最大入力解像度よりも大きい解像度を有するOSDデータを適切にスクリーンに投写させることが可能となる。
【0108】
図17は、OSDデータが幾何補正部30に入力されない場合を説明するためのフローチャートである。図17を参照して、たとえば、入力処理部1にOSDデータの入力が開始されると、ステップS41では、制御部4は、Scaler10の記憶部(図示せず)に記憶されているOSDデータの解像度情報を取得する。また、制御部4は操作部6により入力された幾何補正部30の設定情報を取得する。
【0109】
そして、ステップS41では、幾何補正部30への入力をしない設定により、制御部4は処理を完了する。具体的には、OSDデータは、何ら解像度変換もされずにスケーリング部40に入力される。スケーリング部40では、このOSDデータと映像データとともに出力処理部3と介してスクリーン等に投写される。
【0110】
このように、OSDデータが幾何補正部30に入力されない場合においては、記憶されているOSDデータの解像度を保持して出力され、適切にスクリーンに投写させることが可能となる。
【0111】
図18は、実施の形態の投写型映像表示装置100Aで表示された映像を示す図である。図18を参照して、図3で示した映像と比較して、投写型映像表示装置100Aは、画像処理部2Aの構成をとることにより、幾何補正部30の入力解像度を超えた映像データが入力された場合でも、映像面の端側において、投写された映像が切れることなく、入力された映像データを適切に表示する。なお、図示はしないがOSDデータについても同様に当てはまるので説明は繰り返さない。
【0112】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0113】
1 入力処理部、2,2A 画像処理部、3 出力処理部、4 制御部、5 記憶部、6 操作部、20,40 スケーリング部、22 ラインメモリ制御部、24 スケーリング処理部、26 OSD処理部、30 幾何補正部、100,100A 投写型映像表示装置、400 スクリーン、410 投写映像面、M0,M1 ラインメモリ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写型映像表示装置に関し、特に、幾何補正回路の入出力解像度を超える映像信号を取り扱える投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクタ等の投写型映像表示装置には、高解像度な映像が入力され、解像度を落とすことなく、スクリーン等に投写させる技術が開発されている。
【0003】
高解像度の映像を正確に表示する技術として、たとえば、特開2009−75646号公報(特許文献1)に記載された技術が知られている。特開2009−75646号公報(特許文献1)は、映像品質の劣化を抑えながらも、より低いコストで、魚眼レンズ等を用いて撮影した映像を表示することのできる映像表示システムおよび該システムのパラメータ生成方法を提供することを目的としている。
【0004】
特開2009−75646号公報(特許文献1)の発明は、撮像パラメータに基づく条件で生成された画像である入力画像を供給する画像供給部と、抽出パラメータに基づいて、入力画像の一部分を成す矩形領域を切り出して、切り出し画像として出力する画像切り出し部と、幾何補正パラメータに基づいて切り出し画像に対して幾何学的な補正を施して出力する補正部と、補正部が出力した画像を表示する表示部とを備え、幾何補正パラメータは、表示部の設計値に基づく投影パラメータに基づいて生成された画像を補正して出力したときに表示部で所望の映像が得られるような補正パラメータである第1の補正パラメータと、撮像パラメータおよび抽出パラメータに基づいて生成される画像と投影パラメータに基づいて生成される画像との差異を補正するための補正パラメータである第2の補正パラメータとを合成した補正パラメータとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−75646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特開2009−75646号公報(特許文献1)に開示された発明は、幾何補正回路の入力解像度の制限を超える映像信号が入力された場合に、この映像信号は、Scaler回路等により入力可能な解像度に変換され、幾何補正回路に入力される。しかしながら、幾何補正回路からの出力については、幾何補正回路の出力解像度の制約に従うため、必ずしも、入力映像信号の解像度と出力解像度が同一にならず、解像度が劣化した映像が出力される問題があった。
【0007】
また、幾何補正回路は、入出力解像度を自由に変更することができず、入力される映像の解像度が幾何補正回路の最大入力解像度よりも大きい場合には、映像は正確な表示がされないまま出力されていた。
【0008】
さらに、プロジェクタ等の投写型映像表示装置の画面情報データであるOSD(On-Screen Display)データについても、同じ問題が生じている。
【0009】
本発明の目的は、幾何補正回路の入力解像度を超える映像データおよびOSDデータを取り扱える投写型映像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、投写型映像表示装置であって、映像データが入力される入力処理部と、画面情報データを有し、入力処理部から入力した映像データおよび画面情報データの解像度を処理する画像処理部と、画像処理部によって処理された映像データおよび画面情報データを投写するための出力処理部を備える。画像処理部は、入力処理部から入力した映像データおよび画面情報データに対して幾何補正を行なう幾何補正部と、映像データおよび画面情報データの解像度を幾何補正部への入力解像度の範囲内にする第1の変換をさせ、第1の変換が行なわれた映像データおよび画面情報データを合成して幾何補正部へ出力する第1のスケーリング部と、幾何補正部からの出力解像度を出力処理部への入力解像度の範囲内にする第2の変換をさせ、第2の変換が行なわれた映像データおよび画面情報データを合成して出力処理部へ出力する第2のスケーリング部とを含む。
【0011】
好ましくは、第1のスケーリング部は、画面情報データを有する第1の変換部と、画面情報データおよび映像データを合成して幾何補正部へ出力する第2の変換部とを含む。
【0012】
好ましくは、第1および第2のスケーリング部のいずれかは、映像データが格納されるラインメモリと、映像データの解像度変換をするスケーリング処理部と、ラインメモリを制御し、スケーリング処理部へラインメモリに格納された映像データを出力させるラインメモリ制御部と、画面情報データおよびスケーリング処理部から出力された映像データを合成する合成処理部とを含む。
【0013】
好ましくは、合成処理部は、映像データの上に画面情報データを上書きすることによって、映像データおよび画面情報データの合成を行なう。
【0014】
好ましくは、幾何補正部は、幾何補正をせず、第1のスケーリング部から出力されたデータを通過させる機能を有する。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、幾何補正部の最大入力解像度を超えた高解像度な映像信号をスクリーン上に適切に表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】検討例の投写型映像表示装置100の構成を示すブロック図である。
【図2】画像処理部2の構成を示すブロック図である。
【図3】検討例の投写型映像表示装置100で表示された映像を説明するための図である。
【図4】実施の形態の投写型映像表示装置100Aの構成を示すブロック図である。
【図5】画像処理部2Aの構成を示すブロック図である。
【図6】スケーリング部20の構成を示すブロック図である。
【図7】ラインメモリM0に格納される1水平ライン分の映像データと出力解像度に合わせた1画素の映像データとの関係を説明するための図である。
【図8】ラインメモリM1に格納される1水平ライン分の映像データ、出力解像度に合わせた1画素の映像データ、OSDデータの関係を説明するための図である。
【図9】実施の形態の投写型映像表示装置100Aの動作例Aについて説明をするための図である。
【図10】実施の形態の投写型映像表示装置100Aの動作例Bについて説明をするための図である。
【図11】実施の形態の投写型映像表示装置100Aの動作例Cについて説明をするための図である。
【図12】実施の形態の投写型映像表示装置100Aの動作例Dについて説明をするための図である。
【図13】幾何補正が必要な場合の映像データの変換を説明するためのフローチャートである。
【図14】幾何補正が不要な場合の映像データの変換を説明するためのフローチャートである。
【図15】OSDデータが幾何補正部30に入力され、かつ、幾何補正が必要な場合を説明するためのフローチャートである。
【図16】OSDデータが幾何補正部30に入力され、かつ、幾何補正が不要な場合を説明するためのフローチャートである。
【図17】OSDデータが幾何補正部30に入力されない場合を説明するためのフローチャートである。
【図18】実施の形態の投写型映像表示装置100Aで表示された映像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0018】
[検討例]
図1は、検討例の投写型映像表示装置100の構成を示すブロック図である。図1を参照して、画像が入力される入力処理部1と、画像処理部2と、出力処理部3と、制御部4と、記憶部5と、操作部6とを含む。
【0019】
入力処理部1は、外部の入力画像供給装置等から出力された信号が与えられる。画像処理部2は、入力処理部1により入力された映像データ等を処理し、出力処理部3に映像を入力する。
【0020】
出力処理部3は、図示はしていないが投写レンズ装置を含み、投写レンズ装置によってスクリーン上に拡大投写される。
【0021】
この投写レンズ装置は、投写光をスクリーンに結像させるためのレンズ群(図示せず)と、これらレンズ群の一部を光軸方向に変化させて投写映像のズーム状態およびフォーカス状態を調整するためのアクチュエータ(図示せず)を備えている。
【0022】
また、制御部4は、制御プログラムを実行することにより、プロジェクタの各部の動作を制御する。記憶部5には、制御部4が投写型映像表示装置100の各処理をさせるためのプログラムやOSDデータ等が記憶されている。なお、OSDデータは、後に説明するScaler10においても記憶されている。
【0023】
操作部6は、プロジェクタ内部でも、リモコンのように外部に備えてもよいが、ユーザによって操作され、操作に応じた制御が行なわれる。なお、投写型映像表示装置100は、映像を表示する以外に、各種設定情報であるOSDデータを重畳して表示することができる機能を有している。
【0024】
図2は、画像処理部2の構成を示すブロック図である。図2を参照して、画像処理部2は、Scaler10と幾何補正部30とを含む。
【0025】
Scaler10は、図示していない記憶部を有し、記憶部にOSDデータが記憶される。Scaler10は、OSDデータの制御を行なう機能を有し、入力処理部1により入力された映像データおよびOSDデータを出力する。
【0026】
幾何補正部30は、入力解像度が制限されている映像(たとえば水平解像度1920画素、垂直解像度1080画素)に対して幾何補正を行なう。
【0027】
Scaler10と幾何補正部30とは、制御部4によってそれぞれ制御される。また、幾何補正部30へOSDデータを入力させるか否かや入力解像度の変更等は図1の操作部6を介して設定され、その設定情報は制御部4に読み込まれる。
【0028】
図3は、検討例の投写型映像表示装置100で表示された映像を説明するための図である。
【0029】
図3を参照して、スクリーン400は、入力された映像信号に基づく画像を、スクリーン400の投写映像面410上に投写する。この投写映像面410上には、投写型映像表示装置100によって投写された映像(以下、投写画像という)が映し出される。この投写映像は、画像D1,D2A,D2B,D3を含む。
【0030】
検討例の投写型映像表示装置100では、画像処理部2がScaler10と幾何補正部30から構成されるため、入力映像の解像度が幾何補正部30の最大入力解像度を超えている場合や幾何補正部30から出力された解像度が出力処理部3の解像度より超えていた場合に、何ら補正がされないあるいは入力解像度が不適切なため、たとえば画像D1のように映像面の端側が切れてしまい、正確に表示されない。
【0031】
[実施の形態]
図4は、実施の形態の投写型映像表示装置100Aの構成を示すブロック図である。図1、図4を参照して、検討例の投写型映像表示装置100との比較しつつ、実施の形態の投写型映像表示装置100Aを説明する。
【0032】
実施の形態の投写型映像表示装置100Aは、検討例の投写型映像表示装置100の構成に、画像処理部2に代えて、画像処理部2Aを加える。
【0033】
図5は、画像処理部2Aの構成を示すブロック図である。図5を参照して、画像処理部2Aは、検討例の画像処理部2の構成に、幾何補正部30が適切に画像処理が可能なように、入力処理部1からの映像データ等の解像度を幾何補正部30の最大入力解像度の範囲内に収まるように、解像度変換をおこなうスケーリング部20を含む。さらに、画像処理部2Aは、幾何補正部30から出力された映像データ等の解像度が出力処理部3の最大出力解像度の範囲内に収まるように、解像度変換をおこなうスケーリング部40を含む。
【0034】
スケーリング部20,40は、汎用ICおよびFPGA(Field Programmable Gate Array)で構成される。またスケーリング部20,40は、入力処理部1からの映像データやScaler10の記憶部(図示せず)に記憶されているOSDデータに対してアップスケーリング処理またはダウンスケーリング処理を行なう。
【0035】
なお、アップスケーリング処理とは、映像の画面サイズをより大きなものに変換する処理することをいい、一方、ダウンスケーリング処理とは、映像の画面サイズをより小さなものに変換する処理することをいう。
【0036】
さらに、スケーリング部20,40は、Scaler10から出力されたOSDと入力処理部1からの入力された映像データとを含む画像データを合成することができ、一方、合成されたデータ幅に基づき、OSDデータあるいは映像データを判別して出力することもできる。
【0037】
ここで、Scaler10とスケーリング部20との関係について説明する。Scaler10とスケーリング部20とは似た機能を有する。しかしながら、検討例のようにScaler10は、様々な品種が存在し、その機能も品種よって異なるため、実施の形態の投写型映像表示装置100Aのように、常に幾何補正部30の最大入力解像度を超えた映像データを取り扱い、適切に出力させることは難しい。
【0038】
従って、Scaler10の機能に係らず、このスケーリング部20,40を有することにより、円滑な解像度変換を同時に処理することができる。
【0039】
なお、Scaler10がスケーリング部20の機能を有する場合には、スケーリング部20は不要で、Scaler10からの出力は幾何補正部30に直接入力する。
【0040】
図6は、スケーリング部20の構成を示すブロック図である。図6を参照して、スケーリング部20は、ラインメモリ制御部22と、スケーリング処理部24、OSD処理部26と、ラインメモリM0,M1とを含む。
【0041】
ラインメモリ制御部22は、入力処理部1から出力される画像データを1水平ライン分の画像データを交互にラインメモリM0,M1に格納するように制御する。そして、ラインメモリM0,M1に保存されている映像データを読み出し、スケーリング処理部24に入力する。
【0042】
スケーリング処理部24は、たとえば、ラインメモリ制御部22から出力されたラインメモリM0に格納されている1水平ラインの映像データの解像度を変換する。変換された映像データは、OSD処理部26へ入力され、OSD処理部26においてOSDデータと合成される。スケーリング処理部24の変換方法として、後に説明するスケーリング則を用いて、ラインメモリに記憶されている1水平ライン分の映像データの複数画素に基づき、出力解像度に合わせた1画素の画像データを生成する。
【0043】
次に、入力映像を変換する方法(スケーリング則)について説明する。入力画像水平座標x、出力画像水平座標X、倍率Zxとすると、これらの関係は、x=X/ZxまたはZx=X/xとして表される。また、入力画像水平座標xの整数部分をmとし、その小数部分をαとすると、それぞれm=[x](xを越えない最大の整数)、α=x−[x]として表される。これらを用いて、出力座標の画像データ値f(X)は、f(X)=(1−α)*f(m)+α*f(m+1)(式1)として表される。この(式1)を用いて、複数の入力画素から出力される映像の1画素分が生成される。なお、入力映像を変換する方法は上記に限られず、他の補間方法を用いてもよい。
【0044】
なお、Scaler10が映像データにOSDデータを重畳させる機能を有する場合は、スケーリング部20のOSD処理は不要で、Scaler10によりOSDデータを重畳させた映像がスケーリング部20のラインメモリ制御部22に入力する。
【0045】
図7は、ラインメモリM0に格納される1水平ライン分の映像データと出力解像度に合わせた1画素の映像データとの関係を説明するための図である。
【0046】
図6、図7を参照して、たとえば、ラインメモリM0には、入力処理部1から入力された1水平ライン分の1920画素が記憶されている。ここで、図6のスケーリング処理部24は、複数の画素P0,P1に基づいて、上記のスケーリング則に従い、出力された1画素D00を生成する。この処理の間、ラインメモリM1には、ラインメモリ制御部22の制御によって次の1水平ライン分の映像データが記憶される。
【0047】
スケーリング処理部24は、ラインメモリM0に記憶されている1920画素分の映像データが2048画素分の映像データに変換され、OSD処理部26へ出力する。一方、この変換処理の間に、次の1水平ライン分の1920画素がラインメモリM1に記憶される。
【0048】
上記ラインメモリM0からの出力が終了すると、ラインメモリM1に対して、ラインメモリM0と同様な処理が行なわれる。この処理の間に、ラインメモリM0にはさらに次の映像データの取り込み、記憶される。このようにして、ラインメモリM0,M1を交互に切換えて使用することにより、変換されたデータが遅延なく円滑にスケーリング処理部24へ出力される。
【0049】
スケーリング処理部24において変換された映像データがOSD処理部26に入力される。OSD処理部26は、スケーリング処理部24から出力された映像データに表示座標の情報を含むOSDデータを上書きする。この上書きされたデータが、たとえば幾何補正部30に入力される。
【0050】
図8は、ラインメモリM1に格納される1水平ライン分の映像データ、出力解像度に合わせた1画素の映像データ、OSDデータの関係を説明するための図である。
【0051】
図6、図8を参照して、たとえば、ラインメモリM1には、入力処理部1から入力された1水平ライン分の1920画素が記憶されている。ここで、図6のスケーリング処理部24は、複数の画素Q0,Q1に基づいて、上記のスケーリング則に従い、出力された1画素D01を生成する。この処理の間、ラインメモリM0には、ラインメモリ制御部22の制御によって次の1水平ライン分の映像データが記憶される。
【0052】
スケーリング処理部24は、ラインメモリM1に記憶されている1920画素分の映像データが2048画素分の映像データに変換され、OSD処理部26へ出力する。
【0053】
上記ラインメモリM1からの出力が終了すると、OSD処理部26において、位置情報を含む複数のOSDデータR0,R1,R2がOSDデータS0,S1,S2として上書きされる。この入力されたOSDデータR0,R1,R2と出力されたOSDデータS0,S1,S2との関係は、同一であっても良いし、OSDデータR0,R1,R2を上記スケーリング則で変換されたOSDデータでもよい。この処理が終了すると、再度ラインメモリM0に対して、ラインメモリM1と同様な処理が行なわれる。この処理の間に、ラインメモリM1にはさらに次の映像データの取り込み開始する。このようにして、ラインメモリM0,M1を交互に切換えて使用することにより、変換されたデータとOSDデータが遅延なく円滑にOSD処理部26で合成され出力される。
【0054】
以上図6〜図8を用いてラインメモリM0,M1の2つの場合を説明したが、これに限られることなく、スケーリング部20は、複数のラインメモリを設けることもでき、かつ、ラインメモリ制御部22は複数個のラインメモリを制御できる。
【0055】
なお、スケーリング部40は、スケーリング部20と構成が同様なため、説明は繰り返さない。
【0056】
以下に実施の形態の動作例について説明する。ここで、説明の便宜のために解像度について、(水平解像度、垂直解像度)=(2048,1080)の場合を解像度2Kとし、(水平解像度、垂直解像度)=(1920,1080)の場合を解像度1080pとする。また、図9〜12を用いて説明する動作例A〜Dは、入力処理部1に解像度2Kの映像データが入力される。また、Scaler10の記憶部(図示せず)に格納されている解像度2KのOSDデータが用いられる。また幾何補正部30の最大入出力解像度が1080pという制限があり、出力処理部3の出力解像度は解像度2Kとして説明する。
【0057】
図9は、実施の形態の投写型映像表示装置100Aの動作例Aについて説明をするための図である。図9を参照して、入力処理部1に解像度2Kの映像データが入力され、この映像データとScaler10の記憶部(図示せず)に格納されている解像度2KのOSDデータとがScaler10によって解像度2Kから解像度1080pにするダウンスケーリング処理を行い、ダウンスケーリング処理されたこれらのデータはスケーリング部20に入力される。この解像度変換により、すでに幾何補正部30の最大入力解像度(1080p)以下の解像度であるため、スケーリング部20は、この変換された映像データおよびOSDデータをさらにダウンスケーリング処理を行なうことなく、これらのデータは幾何補正部30に入力される。
【0058】
幾何補正部30において入力されたデータは幾何補正され、スケーリング部40へ出力される。出力処理部3の出力解像度が解像度2Kであるため、スケーリング部40は、幾何補正部30から出力された映像データおよびOSDデータを解像度1080pから解像度2Kにするアップスケーリング処理が行なわれ、合成出力された映像データおよびOSDデータは、出力処理部3からスクリーン等へ出力される。
【0059】
図10は、実施の形態の投写型映像表示装置100Aの動作例Bについて説明をするための図である。図10を参照して、入力処理部1に解像度2Kの映像データが入力され、この映像データとScaler10の記憶部(図示せず)に格納されている解像度2KのOSDデータとがScaler10では解像度変換されず、スケーリング部20に入力される。幾何補正部30の最大入力解像度(1080p)以下の解像度にするために、スケーリング部20は、Scaler10から出力された映像データおよびOSDデータを解像度1080pへダウンスケーリング処理を行なう。ダウンスケーリング処理されたこれらのデータは幾何補正部30に入力される。
【0060】
幾何補正部30において入力されたデータは幾何補正されず、そのままスケーリング部40へ入力される(スルー処理)。出力処理部3の出力解像度が解像度2Kであるため、スケーリング部40は、幾何補正部30から出力された映像データおよびOSDデータを解像度1080pから解像度2Kにするアップスケーリング処理が行なわれ、合成して出力される。合成出力された映像データおよびOSDデータは、出力処理部3からスクリーン等へ出力される。
【0061】
図11は、実施の形態の投写型映像表示装置100Aの動作例Cについて説明をするための図である。図11を参照して、入力処理部1に解像度2Kの映像データが入力され、この映像データとScaler10の記憶部(図示せず)に格納されている解像度2KのOSDデータとがScaler10では解像度変換されず、スケーリング部20に入力される。幾何補正部30の最大入力解像度(1080p)以下の解像度にするために、スケーリング部20は、Scaler10から出力された映像データおよびOSDデータを解像度2Kから解像度1080pへダウンスケーリング処理を行なう。ダウンスケーリング処理されたこれらのデータは幾何補正部30に入力される。
【0062】
幾何補正部30において入力されたデータは幾何補正され、スケーリング部40へ入力される。出力処理部3の出力解像度が映像データの場合には解像度2K、OSDデータの場合には解像度1080pと制限されているため、スケーリング部40は、幾何補正部30から出力された映像データについて解像度1080pから解像度2Kにするアップスケーリング処理を行い、一方OSDデータについてアップスケーリング処理を行なわない。スケーリング部40において変換された映像データおよびOSDデータは合成して出力される。合成出力された映像データ(解像度2K)およびOSDデータ(1080p)は、出力処理部3からスクリーン等へ出力される。
【0063】
図12は、実施の形態の投写型映像表示装置100Aの動作例Dについて説明をするための図である。図12を参照して、入力処理部1に解像度2Kの映像データが入力され、この映像データとScaler10の記憶部(図示せず)に格納されている解像度2KのOSDデータとがScaler10では解像度変換されないまま、スケーリング部20に入力される。この動作例Dでは、OSDデータは、幾何補正部30を通過させず、スケーリング部40へ直接入力させる。一方、映像データは、幾何補正部30を通過(バイパス)させるとすると、幾何補正部30の最大入力解像度(1080p)以下の解像度にするために、スケーリング部20は、Scaler10から出力された映像データを解像度2Kから解像度1080pにするダウンスケーリング処理を行なう。一方、OSDデータは、スケーリング部20において、ダウンスケーリング処理されず、出力される。
【0064】
ダウンスケーリング処理された映像データは幾何補正部30に入力され、一方OSDデータは、幾何補正部30を介さず、スケーリング部40へ直接入力される。
【0065】
幾何補正部30において入力された映像データは幾何補正され、スケーリング部40へ入力される。ここで、出力処理部3の映像データおよびOSDデータの出力解像度が解像度2Kと制限されているため、スケーリング部40は、出力された映像データを解像度1080pから解像度2Kにするアップスケーリング処理を行い、一方OSDデータはアップスケーリング処理を行なわず、OSDデータおよび変換された映像データは合成して出力される。合成出力された映像データ(解像度2K)およびOSDデータ(解像度2K)は、出力処理部3からスクリーン等へ出力される。
【0066】
以上図9〜図12を用いて説明した動作例A〜Dは、これに限らず、他の動作例も考えられる。たとえば、図示はしないが、Scaler10において、解像度2KのOSDデータを水平方向に縮小し、解像度1080pの水平方向幅を合わせる。このとき水平方向幅は、1920/2048=0.9375倍に縮小される。この縮小されたOSDデータと入力された解像度2Kの映像データとをScaler10またはスケーリング部20がダウンスケーリング処理を行い、幾何補正部30に入力する。幾何補正後、スケーリング部40によって、入力された映像データおよびOSDデータは水平方向にアップスケーリングされる。スケーリング部40から出力された解像度2Kの映像データおよびOSDデータが出力処理部3よりスクリーン等へ出力される。
【0067】
また、幾何補正部30の最大入出力解像度は同じ解像度1080pとして、説明したが、最大入力解像度と最大出力解像度とが異なる幾何補正部を利用してもよい。この場合であっても、最大入出力解像度が制限されているため、実施の形態の構成を有することにより、最大入出力解像度以上の映像データやOSDデータを取り扱えることができる。また、スケーリング部40の機能を幾何補正部30に含ませてもよい。
【0068】
なお、ここでは、水平方向に解像度変換を行なうことを説明しているが、垂直方向にも適用できる。出力処理部3の出力解像度は解像度2Kとして説明してきたが、これに限定されるものではなく、幾何補正部30の最大入出力解像度を超える解像度にも適用できる。
【0069】
以下、実施の形態の投写型映像表示装置100Aに入力された映像データおよびOSDデータの流れについて図13〜17を用いて説明をする。
【0070】
図13は、幾何補正が必要な場合の映像データの変換を説明するためのフローチャートである。幾何補正が必要か否かの判断は、操作部6によりユーザによって設定される。図13を参照して、たとえば、入力処理部1に映像データの入力が開始されると、ステップS1では、制御部4は、入力された映像データのヘッダ部分を読み取り、入力された映像データの解像度情報を取得する。また、操作部6により入力された幾何補正部30の設定情報を取得する。
【0071】
そして、ステップS2では、制御部4は、ステップS1によって取得した入力映像データの解像度と幾何補正部30の最大入力解像度との大小を判断する。制御部4によって、ステップS2では入力映像データの解像度が幾何補正部30の最大入力解像度より大きいと判断されれば、ステップS4に処理が進み、幾何補正部30に映像データを入力させるためにScaler10がダウンスケーリング処理を行なうか否かが判断される。一方、ステップS2では入力映像データの解像度が幾何補正部30の最大入力解像度より小さいと判断されれば、ステップS3に処理が進む。
【0072】
ステップS3では、入力された映像データは、Scaler10、スケーリング部20によってダウンスケーリング処理されることなく、幾何補正部30へ入力され、幾何補正処理が行なわれ、ステップS7に処理が進む。
【0073】
一方、ステップS4では、幾何補正部30に映像データを入力させるためにScaler10によってダウンスケーリング処理が行なわれるか否かが判断される。ステップS4では、Scaler10によってダウンスケーリング処理が行なわれると判断されれば、ステップS5に処理が進む。一方、ステップS4によってScaler10によってダウンスケーリング処理が行なわないと判断されれば、スケーリング部20によってダウンスケーリング処理が行なわれるステップS6に処理が進む。
【0074】
ステップS5では、Scaler10によって映像データのダウンスケーリング処理が行なわれる。そして、ステップS6では、制御部4は、スケーリング部20によって映像データのダウンスケーリング処理が行なわれる。
【0075】
ステップS3、ステップS5、ステップS6の処理の次には、ステップS7について、ダウンスケーリング処理されたあるいはダウンスケーリング処理されていない映像データが幾何補正部30に入力され、ステップS8へ処理が進む。
【0076】
そして、ステップS8では、幾何補正部30から出力された映像データの解像度と出力処理部3の出力解像度とが同一か否かが判断される。映像データの解像度と出力処理部3の出力解像度とが同一と判断されれば、ステップS11の処理完了となる。具体的には、スケーリング部40において映像データのアップスケーリング処理が行なわれず、出力処理部3に入力され、スクリーン等へ映像データが投写される。一方、映像データの解像度と出力処理部3の出力解像度とが同一でないと判断されれば、ステップS10に処理が進む。
【0077】
ステップS10では、スケーリング部40において映像データの解像度が出力処理部3の出力解像度までアップスケーリング処理がなされ、次のステップS11の処理完了となる。
【0078】
このように、幾何補正が必要な場合の映像データの変換について、幾何補正部30の前後に解像度を変換させるスケーリング部20,40を備えることで、解像度変換が行なわれ、幾何補正部30の最大入力解像度よりも大きい解像度を有する映像データを適切にスクリーンに投写させることが可能となる。
【0079】
図14は、幾何補正が不要な場合の映像データの変換を説明するためのフローチャートである。幾何補正が必要か否かの判断は、操作部6によりユーザによって設定される。図14を参照して、たとえば、入力処理部1に映像データの入力が開始されると、ステップS101では、制御部4は、入力された映像データのヘッダ部分を読み取り、入力された映像データの解像度情報を取得する。また、制御部4は操作部6により入力された幾何補正部30の設定情報を取得する。
【0080】
そして、ステップS102では、制御部4は、ステップS101によって取得した入力映像データの解像度と幾何補正部30の最大入力解像度との大小を判断する。このステップS102は、幾何補正部30において、幾何補正の処理を行なわない代わりに、幾何補正部30をバイパスとして使用するスルー処理を行なうために必要となる。制御部4によって、ステップS102では、入力映像データの解像度が幾何補正部30の最大入力解像度より大きいと判断されれば、ステップS104に処理が進み、幾何補正部30に映像データを入力させるためにScaler10によってダウンスケーリング処理が行なわれるか否かを判断される。一方、ステップS102では、入力映像データの解像度が幾何補正部30の最大入力解像度より小さいと判断されれば、ステップS103に処理が進む。
【0081】
ステップS103では、入力された映像データは、Scaler10、スケーリング部20によってダウンスケーリング処理されることなく、幾何補正部30へ入力され、ステップS107に処理が進む。
【0082】
一方、ステップS104では、幾何補正部30に映像データを入力させるためにScaler10によってダウンスケーリング処理が行なわれるか否かが判断される。ステップS104によってScaler10によってダウンスケーリング処理が行なわれると判断されれば、ステップS105に処理が進む。一方、制御部4によって、ステップS104では、Scaler10によってダウンスケーリング処理が行なわれないと判断されれば、スケーリング部20によってダウンスケーリング処理を行なわれるステップS106に処理が進む。
【0083】
ステップS105では、Scaler10によって映像データのダウンスケーリング処理が行なわれる。そして、ステップS106では、スケーリング部20によって映像データのダウンスケーリング処理が行なわれる。
【0084】
ステップS103、ステップS105、ステップS106の処理の次には、ステップS107について、ダウンスケーリング処理されたあるいはダウンスケーリング処理されていない映像データが幾何補正部30に入力される。幾何補正部30は入力映像データを幾何補正することなく、通過(バイパス)させる。制御部4は幾何補正部30に映像データが入力された情報を取得し、ステップS108へ処理が進む。
【0085】
そして、ステップS108では、幾何補正部30をバイパスした映像データの解像度と出力処理部3の出力解像度とが同一か否かが判断される。映像データの解像度と出力処理部3の出力解像度とが同一と判断されれば、ステップS111の処理完了となる。具体的には、スケーリング部40によって映像データのアップスケーリング処理が行なわれず、出力処理部3に入力され、スクリーン等へ映像データが投写される。一方、映像データの解像度と出力処理部3の出力解像度とが同一でないと判断されれば、ステップS110に処理が進む。
【0086】
ステップS110では、スケーリング部40によって映像データの解像度を出力処理部3の出力解像度までアップスケーリング処理がなされ、次のステップS111の処理完了となる。
【0087】
このように、幾何補正が不要な場合の映像データの変換について、幾何補正部30の前後に解像度を変換させるスケーリング部20,40を備えることで、解像度変換が行なわれ、幾何補正部30を通過(バイパス)させることにより、幾何補正部30の最大入力解像度よりも大きい解像度を有する映像データを適切にスクリーンに投写させることが可能となる。
【0088】
図15は、OSDデータが幾何補正部30に入力され、かつ、幾何補正が必要な場合を説明するためのフローチャートである。幾何補正が必要か否かの判断は、操作部6によりユーザによって設定される。図15を参照して、たとえば、入力処理部1にOSDデータの入力が開始されると、ステップS21では、制御部4は、Scaler10の記憶部(図示せず)に記憶されているOSDデータの解像度情報を取得する。また、制御部4は操作部6により入力された幾何補正部30の設定情報を取得する。
【0089】
そして、ステップS22では、制御部4は、ステップS21によって取得したOSDデータの解像度と幾何補正部30の最大入力解像度との大小を判断する。制御部4によって、ステップS22では、入力OSDデータの解像度が幾何補正部30の最大入力解像度より大きいと判断されれば、ステップS24に処理が進み、幾何補正部30にOSDデータを入力させるためにScaler10によってダウンスケーリング処理が行なわれるか否かが判断される。一方、ステップS22では、OSDデータの解像度が幾何補正部30の最大入力解像度より小さいと判断されれば、ステップS23に処理が進む。
【0090】
ステップS23では、OSDデータは、Scaler10、スケーリング部20によってダウンスケーリング処理が行なわれることなく、幾何補正部30へ入力され、ステップS27に処理が進む。
【0091】
一方、ステップS24では、制御部4は、幾何補正部30にOSDデータを入力させるためにScaler10によってダウンスケーリング処理が行なわれるか否かを判断する。ステップS24では、Scaler10によってダウンスケーリング処理が行なわれると判断されれば、ステップS25に処理が進む。一方、ステップS24では、Scaler10によってダウンスケーリング処理が行なわないと判断されれば、スケーリング部20によってダウンスケーリング処理が行なわれるステップS26に処理が進む。
【0092】
ステップS25では、Scaler10によってOSDデータのダウンスケーリング処理が行なわれる。そして、ステップS26では、スケーリング部20によってOSDデータのダウンスケーリング処理が行なわれる。
【0093】
ステップS23、ステップS25、ステップS26の処理の次には、ステップS27について、ダウンスケーリング処理されたあるいはダウンスケーリング処理されていないOSDデータが幾何補正部30に入力され、幾何補正処理が行なわれ、ステップS28へ処理が進む。
【0094】
そして、ステップS28では、幾何補正部30から出力されたOSDデータの解像度の変換が必要か否かが判断される。幾何補正部30から出力されたOSDデータの解像度の変換が不要と判断されれば、ステップS30の変換処理が行なわれず、ステップS31の処理完了となる。具体的には、スケーリング部40においてOSDデータのアップスケーリング処理が行なわれず、出力処理部3に入力され、スクリーン等へOSDデータが投写される。一方、幾何補正部30から出力されたOSDデータの解像度の変換が必要と判断されれば、ステップS29に処理が進む。
【0095】
ステップS29では、たとえば、スケーリング部40においてOSDデータの解像度を出力処理部3の出力解像度までのアップスケーリング処理(変換)が行なわれ、次のステップS31の処理完了となる。
【0096】
このように、幾何補正が必要な場合のOSDデータの変換について、幾何補正部30の前後に解像度を変換させるスケーリング部20,40を備えることで、解像度変換が行なわれ、幾何補正部30の最大入力解像度よりも大きい解像度を有するOSDデータを適切にスクリーンに投写させることが可能となる。
【0097】
図16は、OSDデータが幾何補正部30に入力され、かつ、幾何補正が不要な場合を説明するためのフローチャートである。図16を参照して、たとえば、入力処理部1にOSDデータの入力が開始されると、ステップS121では、制御部4は、Scaler10の記憶部(図示せず)に記憶されているOSDデータの解像度情報を取得する。また、制御部4は操作部6により入力された幾何補正部30の設定情報を取得する。
【0098】
そして、ステップS122では、制御部4は、ステップS121によって取得した入力OSDデータの解像度と幾何補正部30の最大入力解像度との大小を判断する。このステップS122は、幾何補正部30において、幾何補正の処理を行なわない代わりに、幾何補正部30をバイパスとして使用するスルー処理を行なうために必要となる。制御部4によって、ステップS122では、入力OSDデータの解像度が幾何補正部30の最大入力解像度より大きいと判断されれば、ステップS124に処理が進み、幾何補正部30にOSDデータを入力させるためにScaler10によってダウンスケーリング処理が行われるか否かを判断する。一方、ステップS122では、OSDデータの解像度が幾何補正部30の最大入力解像度より小さいと判断されれば、ステップS123に処理が進む。
【0099】
ステップS123では、入力されたOSDデータは、Scaler10、スケーリング部20によってダウンスケーリング処理が行われることなく、幾何補正部30へ入力され、ステップS127に処理が進む。
【0100】
一方、ステップS124では、制御部4は、幾何補正部30にOSDデータを入力させるためにScaler10がダウンスケーリング処理を行なうか否かを判断する。ステップS124では、Scaler10によってダウンスケーリング処理が行なわれると判断されれば、ステップS125に処理が進む。一方、ステップS124では、Scaler10によってダウンスケーリング処理が行なわないと判断されれば、スケーリング部20においてダウンスケーリング処理を行なわれるステップS126に処理が進む。
【0101】
ステップS125では、Scaler10によってOSDデータのダウンスケーリング処理が行なわれる。そして、ステップS126では、スケーリング部20によってOSDデータのダウンスケーリング処理が行なわれる。
【0102】
ステップS123、ステップS125、ステップS126の処理の次には、ステップS127について、ダウンスケーリング処理されたあるいはダウンスケーリング処理されていないOSDデータが幾何補正部30に入力される。幾何補正部30は入力OSDデータを幾何補正することなく、通過(バイパス)させる。制御部4は幾何補正部30にOSDデータが入力された信号を取得し、ステップS128へ処理が進む。
【0103】
そして、ステップS128では、幾何補正部30をバイパスしたOSDデータの解像度の変換が必要か否かが判断される。幾何補正部30をバイパスしたOSDデータの解像度の変換が不要と判断されれば、ステップS130の変換処理がされず、ステップS131の処理完了となる。具体的には、スケーリング部40においてOSDデータのアップスケーリング処理が行なわれず、出力処理部3に入力され、スクリーン等へOSDデータが投写される。一方、幾何補正部30をバイパスしたOSDデータの解像度の変換が必要と判断されれば、ステップS129に処理が進む。
【0104】
ステップS129では、スケーリング部40においてOSDデータの解像度を出力処理部3の出力解像度までアップスケーリング処理(変換)が行なわれ、次のステップS111の処理完了となる。
【0105】
このように、幾何補正が不要な場合のOSDデータの変換について、幾何補正部30の前後に解像度を変換させるスケーリング部20,40を備えることで、解像度変換が行なわれ、幾何補正部30の最大入力解像度よりも大きい解像度を有するOSDデータを適切にスクリーンに投写させることが可能となる。
【0106】
ステップS129では、たとえば、スケーリング部40においてOSDデータの解像度を出力処理部3の出力解像度までアップスケーリング処理情報を制御部4は取得する。そして、ステップS131の処理完了となる。
【0107】
このように、幾何補正が不要な場合のOSDデータの変換について、幾何補正部30の前後に解像度を変換させるスケーリング部20,40を備えることで、解像度変換が行なわれ、幾何補正部30を通過(バイパス)させることにより、幾何補正部30の最大入力解像度よりも大きい解像度を有するOSDデータを適切にスクリーンに投写させることが可能となる。
【0108】
図17は、OSDデータが幾何補正部30に入力されない場合を説明するためのフローチャートである。図17を参照して、たとえば、入力処理部1にOSDデータの入力が開始されると、ステップS41では、制御部4は、Scaler10の記憶部(図示せず)に記憶されているOSDデータの解像度情報を取得する。また、制御部4は操作部6により入力された幾何補正部30の設定情報を取得する。
【0109】
そして、ステップS41では、幾何補正部30への入力をしない設定により、制御部4は処理を完了する。具体的には、OSDデータは、何ら解像度変換もされずにスケーリング部40に入力される。スケーリング部40では、このOSDデータと映像データとともに出力処理部3と介してスクリーン等に投写される。
【0110】
このように、OSDデータが幾何補正部30に入力されない場合においては、記憶されているOSDデータの解像度を保持して出力され、適切にスクリーンに投写させることが可能となる。
【0111】
図18は、実施の形態の投写型映像表示装置100Aで表示された映像を示す図である。図18を参照して、図3で示した映像と比較して、投写型映像表示装置100Aは、画像処理部2Aの構成をとることにより、幾何補正部30の入力解像度を超えた映像データが入力された場合でも、映像面の端側において、投写された映像が切れることなく、入力された映像データを適切に表示する。なお、図示はしないがOSDデータについても同様に当てはまるので説明は繰り返さない。
【0112】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0113】
1 入力処理部、2,2A 画像処理部、3 出力処理部、4 制御部、5 記憶部、6 操作部、20,40 スケーリング部、22 ラインメモリ制御部、24 スケーリング処理部、26 OSD処理部、30 幾何補正部、100,100A 投写型映像表示装置、400 スクリーン、410 投写映像面、M0,M1 ラインメモリ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データが入力される入力処理部と、
画面情報データを有し、前記入力処理部から入力した前記映像データおよび前記画面情報データの解像度を処理する画像処理部と、
前記画像処理部によって処理された前記映像データおよび前記画面情報データを投写するための出力処理部を備え、
前記画像処理部は、
前記入力処理部から入力した前記映像データおよび前記画面情報データに対して幾何補正を行なう幾何補正部と、
前記映像データおよび前記画面情報データの解像度を前記幾何補正部への入力解像度の範囲内にする第1の変換をさせ、前記第1の変換が行なわれた映像データおよび画面情報データを合成して前記幾何補正部へ出力する第1のスケーリング部と、
前記幾何補正部からの出力解像度を前記出力処理部への入力解像度の範囲内にする第2の変換をさせ、前記第2の変換が行なわれた映像データおよび画面情報データを合成して前記出力処理部へ出力する第2のスケーリング部とを含む投写型映像表示装置。
【請求項2】
前記第1のスケーリング部は、
前記画面情報データを有する第1の変換部と、
前記画面情報データおよび前記映像データを合成して前記幾何補正部へ出力する第2の変換部とを含む、請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項3】
前記第1および第2のスケーリング部のいずれかは、
前記映像データが格納されるラインメモリと、
前記映像データの解像度変換をするスケーリング処理部と、
前記ラインメモリを制御し、前記スケーリング処理部へ前記ラインメモリに格納された前記映像データを出力させるラインメモリ制御部と、
前記画面情報データおよび前記スケーリング処理部から出力された前記映像データを合成する合成処理部とを含む、請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項4】
前記合成処理部は、前記映像データの上に前記画面情報データを上書きすることによって、前記映像データおよび前記画面情報データの合成を行なう、請求項3に記載の投写型映像表示装置。
【請求項5】
前記幾何補正部は、幾何補正をせず、前記第1のスケーリング部から出力されたデータを通過させる機能を有する、請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項1】
映像データが入力される入力処理部と、
画面情報データを有し、前記入力処理部から入力した前記映像データおよび前記画面情報データの解像度を処理する画像処理部と、
前記画像処理部によって処理された前記映像データおよび前記画面情報データを投写するための出力処理部を備え、
前記画像処理部は、
前記入力処理部から入力した前記映像データおよび前記画面情報データに対して幾何補正を行なう幾何補正部と、
前記映像データおよび前記画面情報データの解像度を前記幾何補正部への入力解像度の範囲内にする第1の変換をさせ、前記第1の変換が行なわれた映像データおよび画面情報データを合成して前記幾何補正部へ出力する第1のスケーリング部と、
前記幾何補正部からの出力解像度を前記出力処理部への入力解像度の範囲内にする第2の変換をさせ、前記第2の変換が行なわれた映像データおよび画面情報データを合成して前記出力処理部へ出力する第2のスケーリング部とを含む投写型映像表示装置。
【請求項2】
前記第1のスケーリング部は、
前記画面情報データを有する第1の変換部と、
前記画面情報データおよび前記映像データを合成して前記幾何補正部へ出力する第2の変換部とを含む、請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項3】
前記第1および第2のスケーリング部のいずれかは、
前記映像データが格納されるラインメモリと、
前記映像データの解像度変換をするスケーリング処理部と、
前記ラインメモリを制御し、前記スケーリング処理部へ前記ラインメモリに格納された前記映像データを出力させるラインメモリ制御部と、
前記画面情報データおよび前記スケーリング処理部から出力された前記映像データを合成する合成処理部とを含む、請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項4】
前記合成処理部は、前記映像データの上に前記画面情報データを上書きすることによって、前記映像データおよび前記画面情報データの合成を行なう、請求項3に記載の投写型映像表示装置。
【請求項5】
前記幾何補正部は、幾何補正をせず、前記第1のスケーリング部から出力されたデータを通過させる機能を有する、請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−8280(P2013−8280A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141687(P2011−141687)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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