抗体濃縮法とその治療用製品
【課題】高度に濃縮された抗体組成物、及び高度に濃縮された抗体生成物を調製するためのプロセスの提供。
【解決手段】第一抗体調製物に第一限外濾過を施して第二抗体調製物を提供し、当該調製物をダイアフィルトレーション、及び第二限外濾過を施し、上記プロセスの一以上が約30℃〜約50℃で行なわれる抗体組成物の濃縮方法。
【解決手段】第一抗体調製物に第一限外濾過を施して第二抗体調製物を提供し、当該調製物をダイアフィルトレーション、及び第二限外濾過を施し、上記プロセスの一以上が約30℃〜約50℃で行なわれる抗体組成物の濃縮方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
(背景)
生物学的物質を、単離、精製及び濃縮するための方法は既知であり、例えばクロマトグラフィー、限外濾過、及び凍結乾燥が含まれ、一般的には、R. Hatti-Kaulら,「Downstream Processing in Biotechnology」, Basic Biotechnology, Chap. 9, 187-211頁, 第2版, Cambridge University Press(2001)を参照のこと。ヒトへの投与のための濃縮モノクローナル抗体調製物の製造方法は知られており、例えば限外濾過を使用し、得られた濾液を再循環させる米国特許第6252055号を参照のこと。
利用可能な抗体濃縮法に関連したいくつかの課題には、例えば低い流束、長いプロセス時間、大きな膜面積、機械的回収収率及び損失、操業者への依存性の高い処理又はハンドリング、低い物質移動速度、エネルギー効率の悪さ、及び濃縮装置に対する液圧制限が含まれる。これらの課題や他の課題のため、全製造コストが高くなり、最終的には治療薬の消費者に大きな負担がかかっていた。
高度に濃縮されたタンパク質製剤、例えば液体抗体調製物やその治療用製品を調製するための改善された方法が必要である。
【0002】
(概要)
概括的には、本明細書は、一般に、タンパク質の濃縮法、例えば抗体調製物の濃縮方法、そのような調製物を含む医薬製剤、ヒトの治療又は動物の治療におけるその使用に関する。
実施態様では、本明細書は、高度に濃縮されたタンパク質、例えば抗体調製物を調製するための方法;本方法により調製された治療用製品、例えば治療用抗体産物を提供する。従って、本明細書は、第一抗体調製物に第一限外濾過を施して第二抗体調製物を提供し;第二抗体調製物にダイアフィルトレーションを施して(diafiltering)、ダイアフィルトレーションされた中間抗体調製物を提供し;ダイアフィルトレーションされた中間抗体調製物に第二限外濾過を施して、第三抗体調製物を提供することを含み、第一限外濾過、第二限外濾過及びダイアフィルトレーションの一以上が、例えば約30℃〜約50℃という高い温度で達成されるタンパク質の濃縮方法を提供する。
【0003】
また本明細書は、実施態様において、第一タンパク質混合物に第一限外濾過を施して第二タンパク質混合物を提供し;第二タンパク質混合物にダイアフィルトレーションを施して、ダイアフィルトレーションされたタンパク質混合物を提供し;ダイアフィルトレーションされたタンパク質混合物に第二限外濾過を施して、第三タンパク質混合物を提供することを含み、第一限外濾過、ダイアフィルトレーション、及び第二限外濾過の一以上が、例えば約45℃で実施されるタンパク質の濃縮方法を提供する。
さらに本明細書は、実施態様において、上述の方法により調製される高度に濃縮された抗体組成物を提供する。
【0004】
(詳細な説明)
本明細書の様々な実施態様を、図面がある場合は、図面を参照しながら詳細に説明する。様々な実施態様の参照は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲はここに添付される特許請求の範囲によってのみ限定される。さらに、この明細書に記載される全ての実施例は、限定することを意図しているものではなく、特許請求の範囲に記載の発明に対する多くの可能な実施態様のいくつかを単に説明しているのに過ぎない。
【0005】
特に別の定義を記載していない場合は、次の定義が使用される:
「限外濾過する」、「限外濾過」、「限外濾過された」、「UF」及び類似用語は、例えば適切な物理的及び化学的性質を有する合成半透膜を使用し、主として分子サイズ及び形状に基づき、混合物中の分子を区別し、異なる分子の分離を達成するか、又は類似分子の濃縮を達成することを意味する。
「ダイアフィルトレーションする」、「ダイアフィルトレーション」、「ダイアフィルトレーションされた」、「ダイアフィルトレーション化」、「DF」及び類似用語は、例えば限外濾過膜を使用し、タンパク質、ペプチド、核酸、又は他の生体分子を含む混合物又は溶液から、溶媒又は塩を除去し、置き換え、又はその濃度を低下させることを意味する。
【0006】
「膜間圧」又は「TMP」とは、TMP[バール]=[(PF+PR)/2]−Pfとして算出される膜の供給液側から濾液側への平均適用圧を意味し、ここでPFは供給液圧、PRは保持液圧、Pfは濾液圧である。
「タンジェンシャルフロー濾過」、「クロスフロー濾過」、「TFF」及び類似用語は、溶質含有溶液がUF膜を接線方向に横切って通過し、より小さな分子量の塩又は溶質が適用圧により通過する濾過方式を意味する。
【0007】
「抗体」とは最も広義に使用され、特にインタクトなモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも二つのインタクトな抗体から形成される多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、及びそれらが所望の生物活性を示す限りは抗体断片をカバーする。抗体は、特定の抗原を認識して結合可能な、免疫系により生じるタンパク質である。その構造に関して記載すると、抗体は、2つの重鎖と2つの軽鎖の4つのアミノ酸鎖からなるY字形のタンパク質である。この説明に対して十分な単純化されたモデルでは、各抗体は、主として可変領域と定常領域の2つの領域を有する。Yのアームの末端に位置する可変領域は、標的抗原に結合して相互作用する。この可変領域には、特定の抗原上の特異的な結合部位を認識して結合する相補性決定領域(CDR)が含まれる。Yの尾部に位置する定常領域は、免疫系により認識され、相互作用する(Janeway, C., Travers, P., Walport, M., Shlomchik(2001) Immuno Biology, 5版, Garland Publishing, New York)。標的抗原は、一般に、複数の抗体上のCDRにより認識されるエピトープとも呼ばれる多くの結合部位を有している。異なったエピトープに特異的に結合する各抗体は異なった構造を有している。よって、ある抗原は一を超える対応する抗体を有し得る。
【0008】
基本的な4鎖抗体単位は、2つの同一の軽(L)鎖と2つの同一の重(H)鎖からなるヘテロ四量体糖タンパク質である(IgM抗体は、J鎖と呼ばれる付加的なポリペプチドを備えた5つの基本的ヘテロ四量体からなり、よって10の抗原結合部位を含む一方、分泌IgA抗体は重合して、J鎖と共に2−5の基本的4鎖単位を含む多価集合体を形成することができる)。IgGの場合、4鎖単位は一般的に約150000ダルトンである。各L鎖は一つの共有ジスルフィド結合によりH鎖に連結している一方、2つのH鎖はH鎖のアイソタイプに応じて一又は複数のジスルフィド結合により互いに連結されている。また各H及びL鎖は、規則的に離間した鎖内(intrachain)ジスルフィド架橋を有している。各H鎖は、N末端に可変ドメイン(VH)と、これに続くα及びγ鎖それぞれに対しては3つの定常ドメイン(CH)と、μ及びεアイソタイプに対しては4つのCHドメインを有する。各L鎖は、N末端に可変ドメイン(VL)と、これに続く定常ドメイン(CL)をその他端に有する。VLはVHに整列しており、CLは重鎖の第1定常ドメイン(CH1)に整列している。特定のアミノ酸残基は軽鎖と重鎖の可変ドメインの界面を形成すると考えられている。VHとVLは対になって単一の抗原結合部位を形成する。異なったクラスの抗体の構造及び特性について、例えば、Basic and Clinical Immunology, 8版, D. Stites, A. Terr及びT. Parslow編, Appleton & Lange, Norwalk, CT, 1994, 71頁, 6章を参照のこと。
【0009】
任意の脊椎動物種からのL鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、カッパ及びラムダと呼ばれる明確に区別される2つのタイプのタイプを割り当てることができる。それらの重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に基づき、免疫グロブリンは、種々のクラス又はアイソタイプに割り当てることができる。免疫グロブリンには、それぞれ、α、δ、ε、γ及びμと命名された重鎖を有するIgA、IgD、IgE、IgG及びIgMの5つのクラスがある。γ及びαクラスはさらにCH配列及び機能の比較的小さな差異に基づいてサブクラスに分割され、例えばヒトでは、次のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2を発現する。
【0010】
「可変」なる用語は、可変ドメインの所定のセグメントが抗体間で配列の点で広範囲に相違していることを意味する。Vドメインは抗原結合を媒介し、特定の抗体のその特定の抗原に対する特異性を定める。しかしながら、可変性は可変ドメインの約110アミノ酸スパンにわたって均一に分布しているのではない。むしろ、V領域は、それぞれ9−12アミノ酸長である「高頻度可変領域」と呼ばれる極度の可変性のより短い領域により分離した15−30のアミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる相対的に不変の伸長部からなる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、各々、主としてβ-シート配置をとり、3つの高頻度可変領域によって連結され、β-シート構造を連結し、場合によってはその一部を形成することもある4つのFRを含む。各鎖の高頻度可変領域はFRによって極く近傍に一緒に保持され、他の鎖からの高頻度可変領域とともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991)を参照)。定常ドメインは抗体の抗原への結合に直接は関係しないが、例えば抗体依存性細胞傷害性(ADCC)への抗体の関与のような様々なエフェクター機能を示す。
【0011】
ここで使用される場合、「高頻度可変領域」なる用語は、抗原結合性に関与する抗体のアミノ酸残基を意味する。高頻度可変領域は、一般的に「相補性決定領域」又は「CDR」からのアミノ酸残基(例えば、VL中のおよそKabat残基24−34(L1)、50−56(L2)及び89−97(L3)及びVHのおよそKabat残基31−35B(H1)、50−65(H2)及び95−102(H3)(上掲のKabatら)、及び/又は「高頻度可変ループ」からの残基(例えば、VLのおよそChothia残基26−32(L1)、50−52(L2)及び91−96(L3)及びVHの26−32(H1)、52A−55(H2)及び96−101(H3)(Chothia及びLesk J.Mol.Biol. 196:901-917 (1987))を含む。
【0012】
ここで使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団からの抗体を意味する。すなわち、集団を構成する個々の抗体が、一般的に少量で存在する変異体等の、モノクローナル抗体の生産中に生じうる可能な変異体を除いて、同一であり及び/又は同じエピトープ(類)に結合する。このようなモノクローナル抗体は、典型的には、標的に結合するポリペプチド配列を有する抗体を含み、ここで、標的結合ポリペプチド配列が、複数のポリペプチド配列からの単一標的結合ポリペプチド配列の選択を含むプロセスにより得られている。例えば選択プロセスは、複数のクローン、例えばハイブリドーマクローン、ファージクローン又は組換えDNAクローンのプールからの独特のクローンの選択とすることができる。選択された標的結合配列は、例えば標的に対する親和性を改善するため、標的結合配列をヒト化するため、細胞培養における生産性を改善するため、インビボでの免疫原性を低下させるため、多重特異的抗体を産生させるため等々のために、さらに改変することができ、また改変した標的結合配列を有する抗体もまた本発明のモノクローナル抗体であると理解されるべきである。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的には含むポリクローナル抗体調製物と比べて、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基を対するものである。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体調製物は、それらが他の免疫グロブリンによって典型的には汚染されていない点で有利である。「モノクローナル」との修飾詞は、実質的に均一な抗体集団から得られているという抗体の特徴を示し、抗体を何か特定の方法で生産することを必要とすると解釈されてはならない。例えば、本発明において使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法(例えば、Kohlerら, Nature, 256, 495 (1975);Harlowら, Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988);Hammerlingら, Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas, 563-681,(Elsevier, N.Y., 1981))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4816567号参照)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clacksonら, Nature, 352:624-628(1991);Marksら, J. Mol. Biol. 222:581-597(1991);Sidhuら, J. Mol. Biol. 338(2):299-310(2004);Leeら, J. Mol. Biol. 340(5):1073-1093(2004);Fellouse, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 101(34):12467-12472(2004);及びLeeら, J. Immunol. Methods 284(1-2):119-132(2004)、及びヒト免疫グロブリン座位又はヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子の一部又は全部を有するヒト又はヒト様抗体を動物中で生成させるための技術(例えば、国際公開第1998/24893号;国際公開第1996/34096号;国際公開第1996/33735号;国際公開第1991/10741号;Jakobovitsら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2551(1993);Jakobovitsら, Nature, 362:255-258(1993);Bruggemannら, Year in Immuno, 7:33(1993);米国特許第5545806号;同第5569825号;同第5591669号(全てGenPharm);同第5545807号;国際公開第1997/17852号;米国特許第5545807号;同第5545806号;同第5569825号;同第5625126号;同第5633425号;及び同第5661016号;Marksら, Bio/Technology, 10:779-783(1992);Lonbergら, Nature, 368:856-859(1994);Morrison, Nature, 368:812-813(1994);Fishwildら, Nature Biotechnology, 14:845-851(1996);Neuberger, Nature Biotechnology, 14:826(1996);及びLonberg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol., 13:65-93(1995)を参照)を含む様々な技術により作製されうる。
【0013】
「キメラ」抗体(免疫グロブリン)は、特定の種由来の抗体あるいは特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一であるか相同であり、鎖の残りの部分が他の種由来の抗体あるいは他の抗体クラスあるいはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一であるか相同である重鎖及び/又は軽鎖の一部、並びにそれが所望の生物活性を有する限りそれら抗体の断片を有する(米国特許第4816567号; Morrisonら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855(1984))。ここで使用されるヒト化抗体は、キメラ抗体のサブセットである。
【0014】
非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」形とは、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体ある。大部分において、ヒト化抗体は、レシピエントの高頻度可変領域の残基が、マウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類のような所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)の高頻度可変領域の残基によって置き換えられたヒト免疫グロブリン(レシピエント又はアクセプター抗体)である。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられる。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見出されない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は抗体の特性、例えば結合親和性をさらに洗練するためになされる。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、全てあるいはほとんど全ての高頻度可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいはほとんど全てのFR領域がヒト免疫グロブリン配列のものであるが、FR領域は、結合親和性を改善する一又は複数のアミノ酸置換基を含んでいてよい。FRにおけるこれらのアミノ酸置換基の数は、典型的には、H鎖で6を越えず、L鎖で3を越えない。ヒト化抗体は、場合によっては、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒトの免疫グロブリンのものを含む。さらなる詳細は、Jones等, Nature 321, 522-525(1986);Reichmann等, Nature 332, 323-329(1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2, 593-596(1992)を参照のこと。
【0015】
「抗体断片」はインタクト抗体の一部、好ましくはインタクト抗体の抗原結合又は可変領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab'、F(ab')2及びFv断片;ダイアボディ;線状抗体(米国特許第5641870号、実施態様2;Zapataら, Protein Eng.,8(10):1057-1062(1995));単鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多重特異的抗体が含まれる。
【0016】
抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と称される2つの同一の抗原結合断片と、その名称が容易に結晶化する能力を表す、残りの「Fc」断片が生産される。Fab断片は、H鎖の可変領域ドメイン(VH)とL鎖全体、及び一つの重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)とからなる。各Fab断片は、抗原結合に対して一価である、すなわち単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理により、抗原を架橋結合でき、二価の抗原結合活性を有するFab断片に連結した2つのジスルフィドにほぼ相当する、単一の大きなF(ab')2が生じる。Fab'断片は、抗体ヒンジ領域からの一又は複数のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端に数個の残基が付加されていることによりFab断片とは異なる。Fab'-SHは、定常ドメインのシステイン残基(類)が遊離チオール基を担持しているFab'に対するここでの命名である。F(ab')2抗体断片は、間にヒンジシステインを有するFab'断片の対として生産された。抗体断片の他の化学結合も知られている。
【0017】
Fc断片は、ジスルフィドにより互いに保持された双方のH鎖のカルボキシ末端部分を有する。抗体のエフェクター機能はFc領域における配列により決定され、該領域はある種の細胞に見出されるFcレセプター(FcR)により認識される部分でもある。
【0018】
「Fv」は、完全な抗原-認識及び-結合部位を含む最小の抗体断片である。この断片は、密接に非共有結合した1本の重鎖と1本の軽鎖の可変領域の二量体からなる。これら2つのドメインの折り畳みから、抗原結合に対するアミノ酸残基に寄与し、抗体に抗原結合特異性を付与する6つの高頻度可変ループ(H及びL鎖からそれぞれ3つのループ)が生じる。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に対して特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、全結合部位よりも親和性が低くなるが、抗原を認識して結合する能力を有している。
【0019】
「sFv」又は「scFv」と略記される「単鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖に連結するVH及びVL抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドは、sFvが抗原結合に望ましい構造を形成するのを可能にするポリペプチドリンカーをVHとVLドメインの間にさらに含む。sFvの概説については、Pluckthun, The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)を参照のこと。
【0020】
本発明の方法に使用される、例えば、組成物中の成分量、活性剤濃度、バッファー容量、ダイアボリューム(diavolumes)、孔径、見かけ分子量、分子量カットオフ値、プロセス温度、プロセス時間、収率、流量、圧力、バイオバーデン、及び類似値、並びにその範囲を修飾している「約」とは、例えば、濃縮液又は使用溶液の作製に使用される典型的な測定及び操作手順;これらの手順における不注意による誤差;製造法、供給源、組成物の製造又は方法の実施に使用される成分の純度の差、並びに同様の考慮事項を通して生じ得る数値における変動を意味する。また「約」なる用語は、特定の初期濃度を有する組成物又は混合物の熟成により相違する量をも包含する。さらに「約」なる用語は、特定の初期濃度を有する組成物又は混合物の混合又はプロセシングにより相違する量をも包含する。「約」なる用語により修飾されていてもいなくとも、特許請求の範囲には、その量に対する均等物が含まれる。
【0021】
「本質的になる」とは、特許請求の範囲に列挙された工程及び成分に加えて、組成物の基本的及び新規の特性に実質的に影響を与えない他の工程及び要因、例えば多様な工程又はバッファー媒質を含む、濃縮されたタンパク質組成物又は抗体組成物を得る方法を意味する。本明細書の組成物及び方法の基本的な特性に実質的に影響を与える成分は、例えば、バイオバーデン、例えば汚染物質に伴う所望しない毒性又は刺激性を含む、所望しない特徴をもたらす。
【0022】
ここで使用される場合、不定冠詞「a」又は「an」、及びその対応する定冠詞「the」は、特に示さない限りは、少なくとも一つ、もしくは一又は複数であることを意味すると理解される。
【0023】
本明細書は、実施態様において、上述の方法とその濃縮された抗体生成物を提供する。
本明細書の実施態様では、調製方法及びその生成物は、高度に濃縮された抗体調製物及び類似の調製物を調製する際に、例えば天然又は合成源からタンパク質もしくは類似した物質を精製し濃縮する際に使用可能であり、その生成物は、病理的状態、例えば喘息、癌、乾癬の治療、血管形成阻害及び類似の病理的状態を治療するのに有用でありうる。
【0024】
本明細書の高度に濃縮された抗体組成物を調製するための上述の方法の実施態様では、本明細書の調製プロセス及び生成物を如何にして作製し、使用するかが、以下、さらに例証されている。
本明細書の実施態様では、例えば記載順に次の工程を達成することによって、高度に濃縮された抗体組成物を調製するための方法が提供される:
例えば、リットル当たり約0.1〜約10グラム(g/L)の濃度を有する第一抗体調製物に第一限外濾過を施して、例えばリットル当たり約10〜約50グラムのより大きな抗体濃度を有する第二抗体調製物を保持液として提供し;
得られた第二抗体調製物にダイアフィルトレーションを施して、得られた第二抗体調製物保持液とほぼ同濃度を有する、ダイアフィルトレーションされた、すなわち一定容量でバッファー交換を遂行するためにダイアフィルトレーションされた中間抗体調製物を保持液として提供し;
ダイアフィルトレーションされた中間抗体調製物に第二限外濾過を施して、例えばリットル当たり約150〜200グラムのより大きな抗体濃度を有する第三抗体調製物を保持液として提供する。
本明細書の製造方法は、例えばここに開示し例証するように、任意工程の生成物回収工程又は工程群をさらに含むことができる。
【0025】
本明細書の上述した方法の実施態様では、一又は複数の第一限外濾過、ダイアフィルトレーション、及び第二限外濾過は、例えば約30℃〜約70℃で達成することができる。実施態様では、これらの工程は約30℃〜約50℃でも達成することができる。実施態様では、これらの工程は、例えば約35℃〜約50℃でも達成することができる。実施態様では、これらの工程は、例えば約45℃、例えば約45℃プラス又はマイナス5℃で達成することもできる。抗体調製物の種類に応じて、約70℃を超える温度で達成される方法では、劣化の兆候、例えば変性、凝集、及び類似の現象が、調製物に表れることもある。約30〜約35℃以下の温度で達成される方法では、典型的には所望しない程に流量が低下し、プロセス時間は所望しない程長くなり、低温でのプロセスを、効率的な商業的生産ではあまり魅力のないものにする。
【0026】
実施態様において、第一抗体調製物は、例えばリットル当たり約0.1〜約100グラム(g/L)の抗体濃度を有する。抗体濃度は、例えば遠心分離、濾過、クロマトグラフィー、及び類似手順のような、タンパク質又は抗体の他の精製工程又は方法で典型的には利用可能な一般的な濃度である。第一限外濾過により得られうる第二抗体調製物は、例えばリットル当たり約10〜約50グラム、例えばリットル当たり約20〜約40グラム、例えばリットル当たり30グラムの抗体濃度を有することができる。中間抗体調製物の抗体濃度の範囲は、例えばファクターのバランス、例えば第二抗体調製物を含む特定のバッファーで達成可能なサンプル容量及びサンプル流束に依存する可能性がある。中間抗体調製物は、例えばリットル当たり約25〜約35グラムの抗体濃度を有することができるし、第三抗体調製物は、例えばリットル当たり約170〜約200グラムの抗体濃度を有することができる。第三抗体調製物は、実施態様では、例えばリットル当たり約50〜約250グラム、例えばリットル当たり約100〜約230グラム、リットル当たり約170〜約200グラム、例えばリットル当たり185グラムの抗体濃度を有することができる。
【0027】
本明細書の理解の際に、当業者にとって、中間抗体調製物及び第三抗体調製物が、例えば、第一及び第二限外濾過濃縮から得られる抗体濃度の差異、及びダイアフィルトレーションバッファー交換から得られる懸濁バッファー媒質の差異を除き、同じ限外濾過保持液を含有していることは明らかであろう。よって、本明細書の実施態様では、標的タンパク質又は抗体生成物に分解等の組成変化があったとしても、それはほんの少しである。
【0028】
一般的な限外濾過濃縮法は、一般には多くの時間を要し、非常に長いプロセス時間、例えば数日から数週間かかるといったスループット効率が低く、非常に少量しか処理できず、又はその双方である。
実施態様において、本明細書のタンパク質濃縮方法は、例えば約1〜10時間、好ましくは約2〜5時間、より好ましくは約3時間で達成可能である。好ましくは流束スループットは高く、膜面積は小さい。
【0029】
実施態様では、第一限外濾過は、例えば全プロセス時間の約35%で達成可能である。よって、例えば全プロセス時間が約3時間である本明細書の濃縮及び精製方法では、第一限外濾過は約45分で達成可能である。実施態様では、第二限外濾過は、例えば全プロセス時間の約15%で達成可能である。よって、例えば全プロセス時間が約3時間である本明細書の方法では、第二限外濾過は約15分で達成可能である。ダイアフィルトレーションは、例えば全プロセス時間の約50%で達成可能である。よって、例えば全プロセス時間が約3時間である本明細書の方法では、ダイアフィルトレーションは約90〜約120分で達成可能である。
【0030】
実施態様では、第一限外濾過と第二限外濾過は、例えば約5〜約50キロダルトンの分子量カットオフ値、又は公称孔径を有する限外濾過膜を用いて達成することができる。他の適切な公称孔径は、例えば約10〜約40キロダルトンである。さらに他の適切な孔径又は分子量カットオフ値は約30キロダルトンである。
【0031】
実施態様では、第一抗体調製物は、例えば約100〜約200キロダルトンの見かけ分子量を有する抗体を含むことができる。他の実施態様では、第一抗体調製物は、例えば抗体調製物が抗IgE抗体又はIgEを含有している場合、例えば約150キロダルトンの見かけ分子量を有する抗体を含有可能であり、例えばジェネンテック社が譲受人の米国特許第6172213号を参照のこと。
【0032】
本明細書での使用に適した他の抗体には癌治療抗体が含まれ、一般的には、例えばPCT/US02/19592号;PCT/US01/20118号;PCT/US01/25464号;PCT/US01/26626号;PCT/US02/28859号;PCT/US02/41798号;PCT/US02/12206号;PCT/US03/11148号;PCT/US02/12619号;及びPCT/US02/33050号を参照のこと。本明細書での使用に適したさらなる他の抗体には、ヒト、非ヒト、マウス、ハイブリッド、及びキメラ形態を含む、抗CD20抗体等の抗体が含まれる。例えば、米国特許第6582959号(VEGF)、及び米国特許出願第2002/0122797号A1(ヒトVEGF)を参照のこと。
【0033】
実施態様では、本明細書の範囲に含まれる抗体には、由来となる種又は免疫グロブリンのクラスもしくはサブクラスの指定にかかわらず、ハイブリッド及び組換え抗体(例えば、「ヒト化」及び「ヒト」抗体)、並びに抗体断片(例えば、Fab、F(ab')2及びFv)が含まれる。米国特許第4816567号;Mage及びLamoyi, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, 79-97, Marcel Dekker, Inc., New York(1987)が参照される。
【0034】
また「モノクローナル抗体」を使用してもよく、該モノクローナル抗体は、例えば、Clacksonら(1991), Nature, 352:624-628及びMarksら(1991), J. Mol. Biol. 222: 581-597に記載された技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離することができる。モノクローナル抗体は、その重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種由来又は特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同であるが、残りの鎖が、他の種由来又は他の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同のものである「キメラ」抗体、並びに所望の生物学的活性を表す限り、このような抗体の断片を含む(米国特許第4816567号;及びMorrisonら(1984), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855)。キメラ抗体には、非ヒト霊長類(例えば、旧世界サル、類人猿等)由来の可変ドメイン抗原-結合配列とヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体を含むことができる。
【0035】
モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位に対するものである。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物と比べて、各モノクローナル抗体は抗原の単一の決定基に対するものである。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は他の抗体により汚染されることなく合成されるという利点がある。よって「モノクローナル」との修飾語句は、実質的に均一な抗体の集団から得られているという抗体の特徴を示す、すなわち、集団を構成する個々の抗体が、少量で存在し得る自然に生じる可能な突然変異を除いて同一であり、抗体を何か特定の方法により産生することを必要とすると考えてはいけない。例えば、本明細書で使用されるモノクローナル抗体は、最初にKohler及びMilstein, Nature, 256:495(1975)に記載されたハイブリドーマ法を使用して作製することができ、あるいは組換えDNA法によって作製することができる。抗体産生のための他の既知の方法は、例えばGoding, Monoclonal Antibodies:Principles及びPractice, 59-103, Academic Press(1986);Kozbor, J. Immunol., 133:3001(1984)に記載されている。Brodeurら, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, 51-63, Marcel Dekker, Inc, New York(1987)。
【0036】
モノクローナル抗体(MAbs)を産生するために、種々の方法が使用されている。単一タイプの抗体を産生させるクローン化細胞株について言及するハイブリドーマ技術は、マウス(ネズミ科動物)、ハムスター、ラット及びヒトを含む、様々な種の細胞を使用する。MAbsを調製するための他の方法では、組換えDNA技術を含む遺伝子工学を使用する。これらの技術から作製されるモノクローナル抗体には、とりわけ、キメラ抗体及びヒト化抗体が含まれる。キメラ抗体は、一タイプを超える種からのDNAコード領域を組合せたものである。例えば、キメラ抗体は、マウスの可変領域とヒトの定常領域に由来するものでありうる。ヒト化抗体は、非ヒト部分を含んでいても、大部分はヒトから生じる。キメラ抗体と同様、ヒト化抗体は完全なヒト定常領域を含んでいてもよい。しかし、キメラ抗体とは異なり、可変領域は部分的にヒトに由来するものであってよい。多くの場合、ヒト化抗体の非ヒトの合成部分はマウス抗体のCDRから生じる。いずれにしろ、これらの領域は、抗体が特定の抗原を認識して結合できるようにするために重要である。
【0037】
示したように、マウス抗体は、抗体技術において重要な役割を担っている。マウス抗体は診断及び短時間での治療に有用であるが、有害な免疫原性応答の危険性を増加させることなく、長期間にわたって人々に投与することはできない。ヒト抗マウス抗体(HAMA)と呼ばれるこの応答は、ヒト免疫系が異物としてマウス抗体を認識し、それを攻撃した場合に生じる。HAMA応答は毒素ショック、さらには死の原因にさえなり得る。キメラ及びヒト化抗体は、投与される抗体の非ヒト部分を最小にすることにより、HAMA応答の可能性を低減させる。さらに、キメラ及びヒト化抗体は、抗体依存性細胞傷害等の二次的なヒト免疫応答を活性化させるというさらなる有益性を有する。
【0038】
「インタクト」抗体は、抗原-結合可変領域、並びに軽鎖定常ドメイン(CL)及び重鎖定常ドメイン、CH1、CH2及びCH3を含むものである。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列変異体であってよい。インタクト抗体は、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異Fc領域)に起因するそれらの生物活性を意味する一又は複数の「エフェクター機能」を有しうる。抗体エフェクター機能の例には、C1q結合;補体依存性細胞傷害;Fcレセプター結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);ファゴサイトーシス;細胞表面レセプター(例えば、B細胞レセプター;BCR)のダウンレギュレーション等が含まれる。
【0039】
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、インタクト抗体には種々の「クラス」が割り当てられる。インタクト抗体には5つの主なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、これらのいくつかは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2等の「サブクラス」(アイソタイプ)にさらに分割される。抗体の異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれα、δ、ε、γ及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元立体配置はよく知られている。
【0040】
実施態様では、第一限外濾過により第一抗体調製物が濃縮され、リットル当たり約30グラムの抗体濃度を有する第二抗体調製物が提供され、第二限外濾過により中間抗体調製物(ダイアフィルトレーションにより得られる)が濃縮され、例えばリットル当たり約170〜約200グラムの抗体濃度を有する第三抗体調製物が提供される。第一限外濾過と第二限外濾過は、同じ限外濾過膜を用いて達成することができ、所望されるならば、操作性、損失、漏出、及び収率、効率性及び経済性に対する類似の影響を最小にするために、同じ容器又はプロセス循環系内で達成することができる。第一限外濾過と第二限外濾過は、任意の適切な限外濾過装置又は限外濾過膜を用いて達成することができる。限外濾過及びダイアフィルトレーションを達成するためにタンジェンシャルフロー濾過(TFF)操作が可能な多くの適切な限外濾過装置及び限外濾過膜が、例えばMillipore, Pall Corp, Sartorius等の供給元から市販されている。実施態様では、適切な限外濾過膜は、例えば任意の再生セルロース複合体であってよく、該合成物は、ポリエーテルスルホン等の、他の入手可能な限外濾過膜と比較して、比較的低いタンパク質吸着特性を有する。
【0041】
ダイアフィルトレーション操作は、第一及び第二抗体調製物に存在している第一バッファー組成物を、第三抗体調製物に所望される第二バッファーに交換するものである。実施態様では、第一バッファーは、例えば水性塩化ナトリウムとTRISバッファーとの混合物を含有可能であり、第二バッファーは、例えば水性塩化ヒスチジンと塩化アルギニンの混合物を含有可能である。ダイアフィルトレーションは、一定容量、一定濃度又は双方でのバッファー交換を達成することができる。実施態様では、ダイアフィルトレーションは、一定容量と一定濃度でのバッファー交換を達成する。ダイアフィルトレーションは、例えば約5〜約15倍容量(すなわちダイアボリューム)のバッファー交換を達成することができる。またダイアフィルトレーションは、例えば約8倍容量(8ダイアボリューム)、すなわち交換される抗体調製物を含有するサンプルの8倍容量のバッファー交換を達成することができる。例えば、10リットルの抗体調製物は、5倍(ダイアボリューム)、すなわち50リットル容量の交換用バッファーとダイアフィルトレーションすることができる。交換容量及び交換容量のための優先因子は、ファクターのバランス、例えばプロセスのスループット効率、生成物の純度、政府及び顧客-患者の容認基準及び類似の基準を考慮し、例えば、第一抗体調製物におけるバッファー(例えば第一バッファー)の濃度及び種類、及び同様の考慮事項に依存しうる。
【0042】
第一限外濾過、第二限外濾過、及びダイアフィルトレーションは、好ましくは限外濾過膜を通過するタンジェンシャルフロー濾過(TFF方式)で達成され、該限外濾過膜は、好ましくは各工程に対して同じ膜である。最終プール(すなわち第三抗体調製物)中の生成物の収率は、第一抗体調製物中の抗体の重量に基づき、例えば約70重量%以上、例えば約80〜約100重量%とすることができる。第三抗体調製物の収率は、第一抗体調製物中の抗体重量に基づき、実施態様では約90重量%以上、実施態様では約95重量%以上、さらなる実施態様では約98重量%以上とすることができる。
【0043】
第一限外濾過は、例えば約50〜1000mL/分、好ましくは約100〜1000mL/分の再循環速度を有しうる。再循環速度は、利用可能な膜面積に従って測定することができ、例えば5、20、200、1000平方フィートの膜面積及び同様の面積はさらなる高速の再循環速度を可能にする。よって、実施態様では、適切に測定される再循環速度は、例えば約0.5L/分/ft2〜約5L/分/ft2とすることができる。限外濾過及びダイアフィルトレーションは、例えば約5〜約50p.s.iの膜間圧で達成することができる。限外濾過及びダイアフィルトレーションは、例えば約10〜約50p.s.iの膜間圧で達成することができる。本明細書の実施態様では、より希釈された抗体製剤のための抗体濃縮液を調製する方法が提供され、該抗体濃縮液は、例えば約100CFU/mL未満といった、検出限界以下の最小のバイオバーデンを有する。
【0044】
本明細書の抗体組成物は、例えば約100g/L(mg/mL)以上、例えば約120〜約170g/Lの濃度でヒトに投与される濃縮モノクローナル抗体調製物でありうる。
【0045】
本明細書の抗体組成物は、例えばIgA、IgD、IgE、IgG及びIgMの群;そのサブクラスの免疫グロブリン;その組換え体;その断片;及び上述した任意のものの混合物であってよい。本明細書の好ましい抗体組成物は、組換えヒト化抗IgE抗体を含む。本明細書の抗体組成物はバッファーを含みうる。好ましいバッファーは、例えば水性塩化ヒスチジン及び塩化アルギニンの混合物でありうる。
【0046】
本明細書の調製方法は、図1に示すように、好ましくは、同じ装置において、オペレータ介入なしに又は最小のオペレータ介入をもって、達成される。
【0047】
第一抗体調製物は、種々の化学的、物理的、機械的又は非機械的、又は生化学的方法、例えば粉砕、超音波処理、ホモジナイズ、酵素消化、溶媒抽出、遠心分離、クロマトグラフィー、及び類似方法、及びそれらの組合せを使用して提供又は調製することができ、例えば上述したR.Hatti-Kaulら,「Downstream Processing in Biotechnology」, Basic Biotechnology, Chap. 9を参照のこと。第三抗体調製物は、所望されるならば、例えばナノ濾過(例えば二価イオンの除去)、逆浸透(例えば一価イオンの除去)、及び類似の液体精製法を使用するさらなるプロセスにかけることができる。本明細書の第三抗体調製物は、包装し、保存し、又は直接使用することができる。第三抗体調製物は、所望されるならば、例えばさらなる濃縮工程、例えば乾燥、凍結乾燥、凍結乾燥-再構成、及び類似方法を使用してさらにプロセシングすることができる。得られた濃縮第三抗体生成物は、所望されるならば、適切な液体を用いて、後の時点で再構成することもできる。
【0048】
図面において、図1は、本明細書の実施態様において、主要の供給及び保持容器となる再循環タンク(120)に連通する、UF-DF膜(115)を備えたTFF限外濾過-ダイアフィルトレーション(UF-DF)装置(110)を有する限外濾過-ダイアフィルトレーションシステム(100)を含む、調製方法を達成するための装置を例示する。実施態様では、タンク(120)は、例えば水、グリコール、又はそれらの混合物等の適切な熱伝達流体、再循環用ポンプ等の流量調節器(127)、ヒーター(図示せず)を含む循環加熱液体システム又はレオスタット抵抗ヒーター部材等のサーモスタット又は温度制御加熱部材(126)、保温ジャケット(125)を具備する温度制御システムを有しうる。全ての循環系内構成部材又は循環系内フロー又はプロセスに寄与する構成部材、例えば配管、バルブ、ポンプ、タンク、及び類似の構成部材は、場合によっては断熱されていてもよいし、又は場合によっては温度仕様に対して密な制御を維持し、フィルターチャンバー(110)と再循環タンク(120)内及びそれらの間の再循環流体循環系における温度逸脱を回避するため、外部加熱に適合されていてもよい。実施態様では、システム(100)が、例えばバッチ供給方式(fed-batch mode)で第一限外濾過(ultrafiltration)又は第一限外濾過化(ultrafiltering)を遂行している場合、システムは、再循環用供給タンク(120)と流体流通可能に連通し、例えば再循環タンク(120)からの消費された液相の補足、補充、不足分の埋め合わせに使用される任意的な供給タンク(128)を具備せしめてもよい。
【0049】
ポンプ(130)は、タンク(120)からの供給液をUF/DF装置(110)を通して送り出し、その後、得られた保持液(供給液の濾過されていないか又は膜排除部分)を再循環タンク(120)まで再循環させる。第2タンク(140)はバッファーを保持し、場合によっては、一定容量のダイアフィルトレーション中、主循環系(110-120ループ)中に移送する(図示しない)。例えば、主循環系に投入されるバッファーの添加速度及び容量は、好ましくは、濾液が膜(115)を通って主循環系から逸脱するのと同じ速度及び容量である。バッファータンク(140)は、場合によってはジャケット(143)で断熱することもでき、上述した加熱部材及び再循環ポンプ(図示せず)の均等物を具備せしめることもできる。任意的な不活性ガス源(145)、例えば窒素又は他の圧縮ガス源を、例えば生成物回収、保持液戻りの加圧、酸素脱気、フラッシング、洗浄、膜の完全性の試験、及び類似操作のために使用することができる。第3タンク(160)は、装置(110)から出た濾液を収集し、回収するために使用される。バルブ(150、170)は、必要に応じて、システムにおける方向及び場合によっては液体の流量を調節するために使用することができる。全てのバルブとポンプは、手動、協調コンピュータ制御、又はその双方により作動させることができる。任意的な第4のタンク(190)と出口流れは、例えば任意的なモニター装置(180)、例えば光学密度計、任意的なフィルター(群)(185)、例えば保護フィルター、製品用フィルター(product filter)、及び類似の任意的なサブシステムを具備する場合に、補助廃棄フラッシュ、生成物回収、又はモニターシステムを提供することができる。実施態様では、主流体循環系(110-120ループ)には、場合によってはインラインモニターシステムを具備させることができる。
【0050】
本明細書の方法により調製された濃縮抗体調製物は、筋肉内(IMIG)又は静脈内(IVIG)の何れかの投与のための免疫グロブリン製品を含む、ヒトの治療のための投与に使用することができる。本明細書の濃縮抗体調製物は、安定剤、例えば緩衝アミノ酸塩溶液、単糖類、又は類似の安定剤、適切なイオンキレート剤、例えばEDTA又はクエン酸イオン、及びそれらの組合せを含有せしめることが可能で、例えば、Wang, Y.-C.J.ら,「Parenteral formulations of proteins and peptides:stability and stabilizers」,J. Parenteral Sci. Technol., 42, Suppl. S3-S26(1988)を参照のこと。特開平01−268646号公報(AN89-359879)のダーウェント要約には、出願が、0.1マイクログラム/mL〜100mg/mLの濃度を有するIgG3モノクローナル抗体の注射用調製物について記載していることが報告されている。これらの公報に開示されている主題事項は、本明細書の範囲外であると考える。
【0051】
本明細書の調製物は、凝集体を実質的に含有しないものでありうる。凝集した汚染物質の許容可能レベルは、例えば約5重量%未満、理想的には2重量%未満である。0.2重量%程の低いレベルを達成することもできるが、典型的には、凝集した汚染物質は約1重量%である。また実施態様では、調製物は、例えばグリシン及び/又はマルトース等の、ポリクローナル製剤を安定化させるために伝統的に使用されている賦形剤を、好ましくは含有せしめないこともできる。
【0052】
本明細書では、調製物中の抗体が組換え抗体であり、100mg/mL以上、好ましくは150mg/mL以上の濃度とできることを特徴とする、ヒトに投与されるモノクローナル抗体調製物を提供できる。本調製物は、好ましくは任意のタンパク質凝集体を実質的に含有しない。
【0053】
本明細書の医薬製剤のpHは、特定の投与経路に依存している。しかしながら、濃縮溶液中の抗体濃度を最大にするために、溶液のpHは、抗体の等電点(pI)のpHとは異なるようにすべきである。
【0054】
本明細書の実施態様では、モノクローナル調製物はヒト治療に使用されると想定することができる。種々のヒトの疾患、例えば癌又は感染症、例えば上述したもの、免疫機能障害、例えばT細胞媒介性疾患、特に重度の脈管炎、関節リウマチ、全身性ループス(systemic lupus)、また自己免疫疾患、例えば多発性硬化症、移植片対宿主病、乾癬、若年発症糖尿病、シェーグレン病、甲状腺疾患、重症筋無力症、移植片拒絶反応、炎症性大腸炎、喘息、IgE媒介性疾患、及び類似の疾患又は病状、又はそれらの合併症を処置することができる。
【0055】
よって、本明細書は、実施態様において、上述した疾患及び類似の疾患の任意のものを治療するための医薬の製造における、ここに記載した濃縮モノクローナル抗体調製物の使用を提供する。また、本明細書の調製物の治療的有効量を個体に投与することを含む、任意のそのような疾患を患っているヒトの治療方法が提供される。このような抗体調製物の用量は、処置される病状や処置受容者により変わるが、例えば、成人患者では約50〜2000mg、好ましくは約100〜約1000mgの範囲で、1〜30日の期間、毎日又は毎週投与することができ、必要に応じて繰り返すこともできる。投薬は、単一又は複数回で投与されうる。
【0056】
方法の記載
製剤工程により、典型的には、例えばイオン交換クロマトグラフィーから生じる精製されたバルク薬剤物質が、最終的な賦形剤組成物及び濃度に交換される。小分子除去を除き、典型的には、この工程では達成される精製はない。重要なのは、高収率、バッファー交換、及び製剤工程の堅牢性(ロバスト性)であった。TFF(タンジェンシャルフロー濾過)を介した製剤中、タンパク質含有供給液を、膜システムを通して移送し、リサイクル(再循環)容器まで戻した。TFF膜はタンパク質(保持液の一部)を保持する一方、濾液(又は透過液)は、圧力により膜を通って流通した。圧力は膜間圧(TMP)と呼ばれ、典型的には保持液圧制御バルブを使用して制御される。本方法は、通常、一連の第一限外濾過(濃縮)、ダイアフィルトレーション(一定容量のバッファー交換)、及び第二限外濾過(さらなる濃縮)により達成された。プロセスのバッファー成分の除去に必要なダイアボリューム(容積等価量)の数は、容易に算出するか又は実験的に決定することができる。
【0057】
抗IgEに対する一般的なUF/DFプロセス
クロマトグラフィーからのアニオン交換プールのpHを、0.5Mのリン酸水溶液を使用して約6のpHに調節した。pH調節したアニオン交換プールを、10000−30000ダルトンの公称分子カットオフ値を有する膜を使用し、本明細書の限外濾過/ダイアフィルトレーション(UF/DF)プロセスにより製剤化した。プロセシング前に、UF膜をダイアフィルトレーション用バッファー(0.02Mのヒスチジン、0.2Mのアルギニン-HCl、pH6)で平衡にした。
【0058】
ついで、アニオン交換からの生成物(アニオン交換プール)をシステムに添加し、第一限外濾過により中間濃縮液に濃縮した。ついで、プールをその製剤(0.2Mのヒスチジン、0.2Mのアルギニン-HCl、pH6)にダイアフィルトレーション(8x又はダイアボリューム)した。ついで、プールを、最終バルク濃度>170g/Lまで第二限外濾過により濃縮し、0.22マイクロメーターの滅菌フィルターを通して回収した。UF/DFプロセス全体を約45℃の温度設定点で実施した。この温度制御は、入ってくるアニオン交換プール、ダイアフィルトレーション用バッファーの温度制御を使用し、またここで例証したUF/DFプロセス用のジャケット装備再循環容器を使用することにより達成した。
【0059】
UF/DF後、回収したプールを、0.02Mのヒスチジン、0.2Mのアルギニン-HCl、0.04%のポリソルベート-20、pH6(最終製剤)に約150g/Lのバルク濃度まで希釈した(調整した)。調整工程中、バルクの温度を周囲温度まで戻した。調整後、調製されたバルクを、0.22マイクロメーターの滅菌フィルターを通して再度回収した。
【0060】
UF/DFシステムは、0.1Nの水酸化ナトリウムを用いて再生し、1.4%のMinncare(登録商標)で消毒することができる。使用しない場合、システムは0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液に保存することができる。UF/DF膜は、キャンペーンの間、例えば0.1%のRoccal(登録商標)/20%のグリセロール-水溶液に保存することができる。
【0061】
一般的な限外濾過/ダイアフィルトレーションプロセス手順
操作パラメータ:供給液の流速、0.5L/分/ft2。一定の保持液圧(例えば、約10psig)の制御を、洗浄及び使用前の平衡化のために使用したが、Cwall、一定の保持液圧又は一定のTMPをプロセシングに使用した。
使用前平衡化:膜が適切に平衡化していることを確実にするために、使用前に、次の調製を、清浄にされたPellicon-2カセット膜について行った。
【0062】
プロセス使用:次の工程を、例えばQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程等の、先の分離工程から得られた最初のアニオン交換プール(Q-プール)に対して実施した:
約5g/Lの濃度から、ダイアフィルトレーションのための濃度(CDF)まで、第一限外濾過をする又は第一限外濾過化(UF1);
DF用バッファーの4(4)のダイアフィルトレーションボリューム(DV)を用いたダイアフィルトレーション又はダイアフィルトレーション化(DF1);
DF用バッファーの4(4)ダイアフィルトレーションボリューム(DV)を用いた連続したダイアフィルトレーション(UF2);
最終濃度(CFinal)まで第二限外濾過をする又は第二限外濾過化(UF2);及び
任意的な生成物回収。
【0063】
前述の工程を、典型的には、例えば15分、低dPリサイクル(mix)にて達成した。
使用後の掃除:次表に記載の順と条件を、使用直後のPellicon-2カセット膜の掃除に使用した。
【0064】
TFFにおける操作方式の定義:
濾液開放の単一パス(SPFO)。保持液と濾液をドレインに導く。濾液用バルブを開放する。
濾液開放の全リサイクル(TRFO)。保持液と濾液をリサイクル容器に導く。濾液用バルブを開放する。
バッチ供給限外濾過(FB-UF)。保持液をリサイクルタンクに導き、濾液をドレインに導き、入ってくるプールをリサイクルタンクに移す。
バッチ限外濾過(B-UF)。保持液をリサイクルタンクに導き、濾液をドレインに導く。
ダイアフィルトレーション(DF)。保持液をリサイクルタンクに導き、濾液をドレインに導き、ダイアフィルトレーション用バッファーをリサイクルタンクに移す。
dPは差圧を意味する。
生成物移送。限外濾過膜装置とリサイクルタンクを、プールタンクに開放する。窒素オーバーレイ圧を制御する。まずリサイクルポンプを使用し、次にマニュアルの蠕動ポンプを使用し、プールを移す。
供給液移送。入ってくるプールはリサイクルタンクにポンプ移送する。
濾液閉止の全リサイクル(TRFC)。保持液をリサイクル容器に導く。濾液バルブを閉止する。
「Q-プール」とは、「調整プール」とも称され、例えばバッファーで調整された上述のQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程から得られたタンパク質プールを意味する。
WFIは注射用の水を意味する。
【実施例】
【0065】
次の実施例は、上述した開示を使用する方法をさらに詳細に記載し、本明細書の種々の側面を実施するのに考慮される最良の形態を説明するためのものである。これらの実施例は、この開示の真の範囲を限定するものでは決してなく、むしろ例証目的のために提供されると理解される。
【0066】
実施例1
rhuMAb E25の高濃度製剤化
パイロット規模のUFシステムを使用して、rhuMAb E25(IgEを標的とする組換えヒトモノクローナル抗体、米国特許第6172213号)を濃縮/製剤した。Millipore Pelicon限外濾過/ダイアフィルトレーションシステムを、5.7平方フィート、10000ダルトンの再生セルロース複合膜を用いて構築した。システムは、膜ホルダー、Waukeskaw Model 6 ロータリーローブ供給ポンプ、1/2"の316Lステンレス鋼製再循環配管、及び再循環容器からなる。圧力表示器/トタンスミッター(Anderson)を、膜ホルダーの入口(供給液)、出口(保持液)及び透過部(濾液)に配した。流量メーター(Yokogawa ADMAG)を膜ホルダーの入口(供給液)と透過部(濾液)に配した。背圧調節バルブ(Mikroseal)を膜ホルダーの出口に位置せしめ、保持液圧を制御し、膜間圧(TMP)を達成した。40リットルの316Lステンレス鋼製のジャケット装備タンクを再循環タンクに使用した。このタンクにレベル表示器、頂部搭載攪拌機(Lightnin)、ボルテックスブレーカー、及び底弁(NovAseptic)を取り付けた。温度制御は、タンクのジャケットに供給する温度調節されたグリセロールの使用で達成した。
【0067】
この運転中の供給液の流量は、一定流量2.85L/分(0.5L/分/ft2)に設定した。全ての使用前及び使用後の操作中、保持液圧の制御は、10psigの定数に設定した。限外濾過及びダイアフィルトレーション操作中、システムではCwall制御スキームを使用して、膜を通過する流束を制御した。例えばR. van Reisら, Constant Cwall Ultrafiltration Process Control, J. of Membrane Science, 130(1997), 123-140を参照のこと。
【0068】
プロセス開始前に、システム保存溶液(0.1NのNaOH)を、まず2L/ft2の精製水(PW)と共に、ついで1L/ft2のダイアフィルトレーション用バッファー(50mMのヒスチジン/pH6.0)と共に、単一のドレインへのパスモードで流した。フラッシング後、0.5L/ft2のダイアフィルトレーション用バッファーを10分間、再循環させることにより、システムを平衡にした。再循環溶液のpHを調べて、平衡を確認した。ついで、タンク中のレベルを測定可能な最小値まで低下させ、入ってくるタンパク質プールの希釈度を最低にした。上述したQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程により得られたタンパク質プールは、3.2gE25/Lであることが測定され、43.1L容量を有していた。タンパク質は、25mMのTRISバッファーと約200mMのNaClの溶液中に存在し、pHを6.2に調節した。運転を開始するため、タンパク質プールを再循環容器に移した。容器中において、頂部搭載のインペラでプールを攪拌し、温度を周囲温度(20−25℃)に維持した。
【0069】
プロセス実施中、プールはUF1方式で50gE25/L(約2.8L)まで濃縮された。ダイアフィルトレーションの開始時において、再循環容器の温度設定点は40℃まで上昇した。温度の上昇及び制御は、タンクの外側ジャケットに温グリコールを流通させることにより影響を受けた。ついで、プールを8ダイアボリュームのダイアフィルトレーション用バッファーを用いてダイアフィルトレーションした。システムから出て行く濾液の流量に、再循環タンクに移ってくるバッファー溶液の流量を一致させることにより達成される一定容量で、ダイアフィルトレーションを実施した。ダイアフィルトレーション終了時、プールをUF2モードでさらに濃縮した。この段階はまた40℃の高温設定点を使用して実施した。この最終濃度の目標は110g/Lであった。これは、供給流量を低下させる必要なく達成された。次に、供給ポンプを制御して、供給流路にわたって5-10psigの圧損を維持する低圧損混合を実施した。サンプルを再循環タンクから取り出し、約120g/Lの最終バルク濃度が測定された。表1に、UF1、DF(DF1+DF2)及びUF2のスループット及び流束の結果を纏める。
【0070】
図2は、UF1(10)、DF(20)、UF2(30)を含むプロセスの種々の段階又は方式中における、供給液の流量(210)、タンク温度(220)、供給dP(230)、TMP(240)、及び濾液の流量(250)パラメータに対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
図3は、E25濃度(310)、流束(320)、及びTMP(240)に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
図4は、37℃でのUF1(410)及びUF2(420)に対して観測された圧損対タンパク質濃度に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
【0071】
タンパク質プールを一連の工程により回収した。まず、再循環タンクのプールを、ロータリーローブ供給ポンプを使用し、Millipac 200、0.22ミクロンの滅菌グレードフィルターを通してタンクからポンプ移送した。次に、タンパク質溶液を保持液ラインの最も高い位置に5psigの窒素ガスを吹き込んで、配管及び膜装置から排出した。最終段階は、5psigの窒素ガスをまた使用するタンクと供給ラインへのガス吹き込みであった。
【0072】
限外濾過、ダイアフィルトレーション、又は回収工程の一又は複数で使用される高温が粘性効果を低下させるため、周囲温度で実施する場合、実施例1と比較して生成物回収度が改善されていると考えられた。例えば、生成物回収中に温度制御を停止すると、この操作中にシステムはゆっくりと冷却され、膜装置からの回収が困難になった。あるいは、回収は、まず膜ホルダーから、ついで再循環容器から実施することができる。
【0073】
回収中の損失量を測定するために、1.74LのDF用バッファーをシステムに添加し、約5分再循環させ、上述したものと同じ順序を使用して回収した。ついで、この容量を、他のプールと共に、タンパク質濃度について分析した。結果を表2に纏める。
【0074】
プロセシング後、膜を、0.1NのNaOHを使用し、1L/ft2の単一パスフラッシュと、続く0.5L/ft2の30分の全再循環によって再生させた。これに、1L/ft2のPW(純水)フラッシュを続けた。これに、30分間、300ppmのMinncare(登録商標)溶液の全再循環を続けた。1L/ft2のPWでシステムを再度フラッシングし、最終的に0.1NのNaOHで15分間再循環させ、保存した。回収したプールを80gE25/Lまで希釈し、50mMのヒスチジン/150mMのトレハロース/0.02%のポリソルベート20/pH6.0の最終製剤に調整した。生成物の品質を、入ってきたQ-プールと最終的に回収されたバルクの双方について、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により評価した。このデータを表3に纏める。
【0075】
比較例2
周囲温度でのrhuMAb E25の高濃度製剤化
実施例1を次の点を除いて繰り返した。プロセスの前に、システム保存溶液(0.1NのNaOH)を、最初に2L/ft2の純水(PW)と共に、ついで1L/ft2のダイアフィルトレーション用バッファー(20mMのヒスチジン/pH6.0)と共に、ドレイン方式まで単一パスで流した。フラッシング後、0.5L/ft2のダイアフィルトレーション用バッファーを10分間、再循環させることにより、システムを平衡にした。再循環溶液のpHを調べて、平衡を確認した。ついで、タンク中のレベルを測定可能な最小値まで低下させ、入ってくるタンパク質プールの希釈度を最低にした。
上述したQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程により得られたタンパク質プールは、3.3gE25/Lであると測定され、33.3L容量を有していた。タンパク質は、25mMのTRISバッファーと約200mMのNaClの溶液中に存在し、pHを6.2に調節した。運転を開始するため、タンパク質プールを再循環容器に移した。容器において、頂部搭載インペラでプールを攪拌し、温度を周囲温度(20−25℃)で維持した。プロセス中、プールをUF1方式で50gE25/L(約2.2L)まで濃縮した。ついで、プールを8ダイアボリュームのダイアフィルトレーション用バッファーを用いてダイアフィルトレーションした。ダイアフィルトレーションを、システムから出て行く濾液の流量に、再循環タンクに移ってくるバッファー溶液の流量を一致させることにより達成される一定容量で実施した。また周囲温度でダイアフィルトレーションを実施した。ダイアフィルトレーションが終了したところで、プールをUF2モードでさらに濃縮した。この最終濃度の目標は110g/Lであった。しかしながら、供給流路における高い圧損のため、この濃度は達成されなかった。この濃度を達成する試みにおいて、供給流路における圧損が50psigに達していたため、供給液の流量を約80gE25/Lのバルク濃度で1.4L/分まで低下させた。50psigの高い圧損に到達するまでUF2を続け、プロセスを停止させた。次に、フィードポンプを使用し、供給流路において5psigの圧損を維持する低い圧損混合を試みた。再度、ロータリーローブポンプが過剰圧に達したため、タンパク質溶液の粘性が達成を困難にした。サンプルを再循環タンクから取り出し、約104g/Lの最終バルク濃度であることが測定された。表4に、UF1、DF(DF1+DF2)、及びUF2段階中に測定されたスループット値及び流束を纏めた。
【0076】
図5は、UF1(10)、DF(20)、UF2(30)を含むプロセスの種々の段階及び方式中における供給液流量(210)、タンク温度(220)、供給dP(230)、TMP(240)、及び濾液流量(250)パラメータに対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
図6は、E25濃度(310)、流束(320)、及びTMP(240)に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
図7は、24℃でのUF1(410)及びUF2(420)に対して観測された圧損対タンパク質濃度に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
【0077】
タンパク質プールを複数の工程により回収した。まず、再循環タンクのプールを、ロータリーローブ供給ポンプを使用し、Millipac 200、0.22ミクロンの滅菌グレードフィルターを通してタンクからポンプ移送した。次に、タンパク質溶液を、保持液ラインの最も高い位置に5psigの窒素ガスを吹き込んで、配管及び膜ユニットから排出した。ここでの生成物回収度は、粘性のある性質の溶液であるため、非常に乏しかった。最終段階は、5psigの窒素ガスをまた使用するタンクと供給ラインへのガス吹き込みであった。
【0078】
回収中の損失量を測定するために、1.85LのDF用バッファーをシステムに添加し、約5分再循環させ、実施例1の順序を使用して回収した。ついで、この容量を他のプールと共にタンパク質濃度のために分析した。結果を表5に纏める。
【0079】
プロセシング後、膜を、0.1NのNaOH、1L/ft2の単一パスフラッシュを使用し、続いて0.5L/ft2の30分の全再循環で再生させた。これに、1L/ft2のPWフラッシュを続けた。これに、30分間、300ppmのMinncare(登録商標)溶液の全再循環を続けた。1L/ft2のPWにより、システムを再度フラッシングし、最終的に0.1NのNaOHで15分間再循環させ、保存した。回収したプールを80gE25/Lまで希釈し、20mMのヒスチジン/250mMのスクロース/0.02%のポリソルベート20/pH6.0の最終調製物に調整した。生成物の品質を、入ってきたQ-プールと最終的に回収されたバルクの双方について、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により評価した。このデータを表6に纏める。
【0080】
実施例3
最初のバッチ供給方式を用いたrhuMAb E26の高濃度調製物
実施例1を次の点を除いて繰り返した。rhuMAbE26(IgEを標的とする組換えヒトモノクローナル抗体)を濃縮/調製した。この実施例の生成物を毒性評価に使用した。Millipore Pelicon限外濾過/ダイアフィルトレーションシステムを、11.4平方フィート30000-ダルトンの再生セルロース複合膜を用いて組み立てた。供給液の流量を5.0L/分(0.44L/分/ft2)の一定流量に設定した。限外濾過及びダイアフィルトレーション操作中、保持液圧を約6−8psigに維持した。前のQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程により得られたタンパク質プールは、6.7gE26/Lであると測定され、59.3L容量を有していた。
【0081】
入ってくるプールは再循環容器よりも多いので、UF1プロセスはバッチ供給モードで開始した。このモードにおいて、濾液がTFF膜を通ってドレインまで通過するのとほぼ同じ速度で、Q-プールを再循環容器に添加した。残存Q-プールを再循環容器に移した後、バッチモードでUF1プロセスを続けた。UF1の間に、プールを50gE26/L(約7.9L)まで濃縮した。ダイアフィルトレーションの開始時、再循環容器の温度設定点を40℃まで上昇させた。温度の上昇及び制御は、タンクの外側ジャケットを通して流れてくる温グリコールに影響を受けた。ついで、プールを8ダイアボリュームのダイアフィルトレーション用バッファーを用いてダイアフィルトレーションした。システムから出て行く濾液の流量に、再循環タンクに移送されてくるバッファーの流量を一致させることにより達成される一定容量で、ダイアフィルトレーションを実施した。ダイアフィルトレーションが終了したところで、プールをUF2モードで、109gE26/L(3.6L)の最終濃度までさらに濃縮した。この段階はまた40℃の高温設定点を使用して実施した。次に、フィードポンプを制御し、供給流路において5−10psigの圧損が維持されるようにした低圧損混合を実施した。表7に、UF1、DF(DF1+DF2)及びUF2のスループット及び流束の結果を纏める。
【0082】
図8は、供給液の流量(210)、タンク温度(220)、供給dP(230)、TMP(240)、及び濾液の流量(250)に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
図9は、E26濃度(910)、流束(920)、及びTMP(940)に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
図10は、UF1(1010)及びUF2(1020)において観測された圧損対タンパク質濃度に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
【0083】
生成物回収の直前に、10mLのサンプルをバイオバーデンの検出及び滴定のために分析した。典型的な拒絶限界はmL当たり1000コロニー形成単位(CFU)である。このテストの結果は1.8CFU/mLであり、この工程では適切な値であり、拒絶限界より十分に低い。回収中の損失量を測定するために、908.1mLのDF用バッファーをシステムに添加し、約5分再循環させ、上述したものと同じ順序を使用して回収した。ついで、この容量を、他のプールと共に、タンパク質濃度のために分析した。表8にその結果を纏める。
【0084】
回収したプールを80gE26/Lまで希釈し、50mMのヒスチジン/150mMのトレハロース/0.02%のポリソルベート20/pH6.0の最終調製物に調整した。生成物の品質を、入ってきたQ-プール、UF1後の保持プール、DF後の保持プール、及び最終回収バルクに対して、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により評価した。このデータを表9に纏める。
【0085】
実施例4
毒性評価のためのrhuMAbE26の高濃度製剤−10kDと30kDの比較
実施例3を次の点を除いて繰り返した。2つのパイロット規模のUFシステムを使用し、rhuMAb E26を濃縮/調製した。2つのMillipore Pelicon限外濾過/ダイアフィルトレーションシステムを、11.4平方フィートの再生セルロース複合膜で、一方が10000ダルトンの孔径、他方が30000ダルトンの孔径のものを用いて、組み立てた。保持液圧は約6−9psigに維持した。
【0086】
10kDのプロセス
前のQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程により得られたタンパク質プールは、5.85gE26/Lであると測定され、62.4L容量を有していた。UF1の間に、プールを50gE26/L(約7.3L)まで濃縮した。ダイアフィルトレーションが終了したところで、プールをUF2モードで、107.5gE26/L(3.4L)の最終濃度までさらに濃縮した。表10に、UF1、DF及びUF2のスループット及び流束の結果を纏める。
【0087】
回収中の損失量を測定するために、987mLのDF用バッファーをシステムに添加し、約5分再循環させ、上述したものと同じ順序を使用して回収した。ついで、この容量を、他のプールと共に、タンパク質濃度のために分析した。結果を表11に纏める。
【0088】
図11は、10kDプロセスにおける、UF1(10)、DF(20)、UF2(30)、及び低dP(40)を含むプロセスの種々の段階又はモードに対する供給液流量(210)、タンク温度(220)、供給dP(230)、TMP(240)、及び濾液流量(250)に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
図12は、10kDプロセスにおける、UF1(10)、DF(20)、UF2(30)、及び低dP(40)を含むプロセスの種々の段階又はモードに対するE26濃度(1210)、流束(1220)、及びTMP(1240)に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
図13は、10kDプロセスにおける、UF1(1310)及びUF2(1320)において観測された圧損対タンパク質濃度に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
【0089】
30kDのプロセス
前のQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程により得られたタンパク質プールは、5.85gE26/Lであると測定され、64.5L容量を有していた。UF1の間に、最初のプールを50gE26/L(約7.5L)まで濃縮した。ダイアフィルトレーションが終了したところで、プールをUF2モードで、117.5gE26/L(3.2L)の最終濃度までさらに濃縮した。表12に、UF1、DF及びUF2のスループット及び流束の結果を纏める。
【0090】
回収中の損失量を測定するために、918mLのDF用バッファーをシステムに添加し、約5分再循環させ、上述したものと同じ順序を使用して回収した。回収したプールを80gE26/Lまで希釈し、50mMのヒスチジン/150mMのトレハロース/0.02%のポリソルベート20/pH6.0の最終調製物に調整した。結果を表13に纏める。
【0091】
図14は、30kDプロセスにおける、UF1(10)、DF(20)、UF2(30)、及び低dP(40)を含むプロセスの種々の段階又はモードに対する供給液流量(210)、タンク温度(220)、供給dP(230)、TMP(240)、及び濾液流量(250)に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
図15は、30kDプロセスにおける、UF1(10)、DF(20)、UF2(30)、及び低dP(40)を含むプロセスの種々の段階又はモードに対するE26濃度(1510)、流束(1520)、及びTMP(1540)に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
図16は、30kDプロセスにおける、UF1(1610)及びUF2(1620)に対して観測された圧損対タンパク質濃度に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
【0092】
実施例5
液状rhuMAb E25のスケールアップ
実施例1を次の点を除いて繰り返した。
生産規模のUFシステムを使用し、液状のrhuMAb E25(IgEを標的とする組換えヒトモノクローナル抗体)を濃縮/調製した。生成物は、治療的用途及びヒトバイオ-等価試行に使用することができる。Millipore Pelicon限外濾過/ダイアフィルトレーションシステムを、30000ダルトンの孔径を有する、226平方フィートの再生セルロース複合膜を用いて組み立てた。各システムは、膜ホルダー、Viking S3S ロータリーローブ供給ポンプ、11/2"の316Lステンレス鋼製再循環配管、及び250Lの再循環容器からなる。
【0093】
一つの250リットルの316Lステンレス鋼製でジャケットが施されたタンクを、再循環容器に使用した。このタンクの温度制御は、タンクのジャケットに供給される温度調節されたグリコールにより達成された。タンクのジャケットに供給されるグリコールの温度は、それぞれ蒸気供給熱交換器又は冷グリコール供給を使用し、上昇又は低下させた。
【0094】
この運転のために、供給液の流量を114L/分(0.5L/分/ft2)の一定流量に設定した。ダイアフィルトレーション用バッファー(20mMのヒスチジン/200mMの塩化アルギニン/pH6.0)を分離タンクにおいて調製した。このバッファーの温度を、プロセス前に45℃に設定した。これにより、プロセス中、正確に温度制御することができた。
【0095】
プロセシング前に、システム保存溶液(0.1NのNaOH)を、まず1L/ft2の注射用の水(WFI)と共に、ついで1L/ft2のダイアフィルトレーション用バッファーと共に、ドレインまでの単一パスモードでフラッシングした。フラッシング後、0.5L/ft2のダイアフィルトレーション用バッファーを10分間、再循環させることにより、システムを平衡にした。再循環溶液のpHを調べて、平衡を確認した。
【0096】
前のQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程により得られたタンパク質プールは、5.2562gE25/Lであると測定され、1.141L容量を有していた。タンパク質は、25mMのTRISバッファーと約200mMのNaClの溶液中に存在しており、pHを6.2に調節した。運転の直前、このプールの温度設定点を45℃に設定した。運転を開始するため、タンパク質プールを、0.22ミクロンの滅菌グレードフィルターを通して再循環容器に、タンクの約200Lのレベルまで移した。容器中、頂部搭載インペラでプールを攪拌し、温度を約(40−50℃)に維持した。入ってくるプールは再循環容器よりも多いので、UF1プロセスはバッチ供給モードで開始した。このモードにおいて、濾液がTFF膜を通ってドレインに通過するのとほぼ同様の速度で、Q-プールを再循環容器に添加した。残存Q-プールを再循環容器に移した後、バッチモードでUF2プロセスを続けた。UF1方式の間、プールを約30gE25/L(約200L)まで濃縮した。ついで、プールを8ダイアボリュームのダイアフィルトレーション用バッファーを用いてダイアフィルトレーションした。ダイアフィルトレーション中、温度を40℃〜50℃で維持した。システムから出て行く濾液の流量に、再循環タンクに移送されてくるバッファーの流量を一致させることにより達成される一定容量で、ダイアフィルトレーションを実施した。ダイアフィルトレーションが終了したところで、プールをUF2モードで、>170gE25/L(35L)の最終濃度設定点までさらに濃縮した。またこのUF2方式の段階は、45℃+/−5℃の高温設定点でも実施した。次に、低圧損混合を実施し、ここでフィードポンプを制御し、供給流路において5−10psigの圧損が維持されるようにした。サンプルを抜き出し、specスキャンを実施して、回収前の濃度を確認した。このサンプルの濃度は219gE25/Lであった。表14に、UF1、DF(DF1+DF2)及びUF2段階中に測定されたスループット及び流束を要約する。
【0097】
生成物回収の直前に、30mLのサンプルを抜き出し、バイオバーデンの検出及び滴定に出した。結果は<0.13CFU/mLであった。タンパク質プールを一連の工程により回収した。まず、保持液ラインに添加された5LのDF用バッファーを使用し、単一パスモードで、膜から生成物を排出した。生成物を、7.4ft2、0.22ミクロンの滅菌グレード保護フィルターと、続いての2ft2、0.22ミクロンの滅菌グレード最終フィルターを通して、回収タンク中に濾過した。ついで、再循環タンクのプールを、ロータリーローブ供給ポンプを使用しタンクからポンプ移送した。次に、残ったタンパク質溶液を、5psigの窒素ガスを吹き込んで、タンク及び供給ラインから排出した。最終段階は膜ユニットへの吹き込みであり、最初の生成物の代わりに今はほとんどDF用バッファーを含んでいた。この段階ではまた保持液ラインの最も高い位置に適用される5psigの窒素ガスを使用した。回収したプールを、まず、DF用バッファーを使用して約153gE25/Lまで希釈した。最後に、プールを、20mMのヒスチジン/200mMのアルギニン-HCl/0.04%のポリソルベート20/pH6.0の最終調製物に調整した。ついで、回収したプール、希釈したプール、及び調整したプール(Q-プール)の容量を、タンパク質濃度のためにそれぞれ分析した。結果を表15に纏める。
図17は、UF1(10)、DF1(20)、DF2(25)、UF2(30)、及び低dP(50)を含むプロセスの様々な段階又はモード中に対する供給液流量(210)、タンク温度(220)、供給dP(230)、TMP(240)、及び濾液流量(250)のパラメータを示す。
【0098】
実施例6
液状rhuMAb E25調製物
実施例5を次の点を除いて繰り返した。生産規模のUFシステムを使用し、液状のrhuMAb E25(E25、IgEを標的とする組換えヒトモノクローナル抗体)を濃縮/製剤化した。Millipore Pelicon限外濾過/ダイアフィルトレーションシステムを、30000-ダルトンの孔径を有する226平方フィートの再生セルロース複合膜を用いて組み立てた。各システムは、膜ホルダー、Viking S3S ロータリーローブ供給ポンプ、11/2"の316Lステンレス鋼製再循環配管、及び250Lの再循環容器からなる。一つの250リットルの316Lステンレス鋼製でジャケットが施されたタンクを、再循環容器に使用した。供給液の流量を114L/分(0.5L/分/ft2)の一定流量に設定した。全ての使用前操作及び使用後操作中、保持液圧の制御は、10psigの定圧に設定した。限外濾過及びダイアフィルトレーション操作中、システムではCwall制御スキームを使用して、膜を通過する流束を制御した。ダイアフィルトレーション用バッファー(20mMのヒスチジン/200mMの塩化アルギニン/pH6.0)を分離タンクにおいて調製した。このバッファーの温度を、プロセス前に45℃に設定した。これにより、全プロセス中、正確に温度制御することができた。前のQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程により得られたタンパク質プールは、5.5438gE25/Lであると測定され、1.082L容量を有していた。タンパク質は、25mMのTRISバッファーと約200mMのNaClの溶液中に存在しており、pHを6.2に調節した。運転の直前、このプールの温度設定点を45℃に設定した。運転を開始するため、タンパク質プールを、0.22ミクロンの滅菌グレードフィルターを通して再循環容器に、タンクの約200Lのレベルまで、移した。容器中において、頂部搭載インペラでプールを攪拌し、温度を周囲(40-50℃)で維持した。入ってくるプールは再循環容器よりも多いので、UF1プロセスはバッチ供給モードで開始した。このモードにおいて、濾液がTFF膜を通ってドレインまで通過するのとほぼ同じ速度で、Q-プールを再循環容器に添加した。残存Q-プールを再循環容器に移した後、バッチモードでUF1プロセスを続けた。UF1の間に、プールを約30gE25/L(約200L)まで濃縮した。ついで、プールを8ダイアボリュームのダイアフィルトレーション用バッファーを用いてダイアフィルトレーションした。ダイアフィルトレーション中、温度を40〜50℃の間に維持した。システムから出て行く濾液の流量に、再循環タンクに移送されてくるバッファーの流量を一致させることにより達成される一定容量で、ダイアフィルトレーションを実施した。ダイアフィルトレーションが終了したところで、プールをUF2モードで、170gE25/L(35L)より大きい最終濃度設定点までさらに濃縮した。この段階はまた45℃+/−5℃の高温設定点で実施した。次に、フィードポンプを制御し、供給流路において5−10psigの圧損が維持されるようにした低圧損混合を実施した。サンプルを抜き出し、specスキャンを実施して、回収前の濃度を確認した。このサンプルの濃度は191gE25/Lであり、プール容量は31.9Lであった。経時的なプロセスパラメータのグラフを、上述の図17で観測され要約されたものと比較した。
【0099】
生成物回収の直前に、30mLのサンプルを抜き出し、バイオバーデンの力価について分析した。このテストの結果は検出限界以下(<0.13CFU/mL)であった。
タンパク質プールを一連の工程により回収した。まず、保持液ラインに添加された5LのDF用バッファーを使用し、単一パスモードで、膜から生成物を排出した。生成物を、7.4ft2、0.22ミクロンの滅菌グレード保護フィルター、続いて2ft2、0.22ミクロンの滅菌グレード保護フィルターを通して、回収タンク中に濾過した。ついで、再循環タンクのプールを、ロータリーローブ供給ポンプを使用しタンクからポンプ移送した。次に、残ったタンパク質溶液を、5psigの窒素ガスを吹き込んで、タンク及び供給ラインから排出した。最終段階は、最初の生成物の排出から、ほとんどのDF用バッファーを含有している膜ユニットの吹き込みであった。また、この段階では、未透過流れラインの最も高い位置に適用される5psigの窒素ガスを使用した。まず、回収したプールを、DF用バッファーを使用して約153gE25/Lまで希釈した。最後に、プールを、20mMのヒスチジン/200mMのアルギニン-HCl/0.04%のポリソルベート20/pH6.0の最終調製物に調整した。ついで、回収したプール、希釈したプール、及び調整したプールの容量を、タンパク質濃度について分析した。結果を表15に要約する。プロセス後、上述したようにして膜を再生させた。
【0100】
実施例7
生成物の品質に対する高い温度の影響
ヒスチジン及びQバッファー中に入れた30g/L及び150g/LのE25サンプルを、様々な温度で24時間保持した。サンプルを、濁度測定及びSECアッセイのために取り出した。Qバッファー中の30g/LのE25に対する濁度対温度の結果を図18に示す。図19は、23℃、40℃、50℃、60℃及び70℃の温度において経時的に観測したE25(50mMのヒスチジンバッファー中に150g/L、pH6.0)の可溶性凝集体の量を示す。これらの温度のそれぞれに対して、4通りの時間間隔(0時間、4時間、7.5時間及び24時間)を、図18及び19中、1810及び1910として、左から右へ4本のバー群として示す。溶液濁度は、本質的に60℃で24時間後も変化しなかった。70℃以下では、E25の有意な溶解性凝集物は観測されず、生成物サンプルが少なくとも60℃で少なくとも24時間、実質的に安定していることが示唆される。
【0101】
実施例8
バイオバーデンに対する高い温度の影響
アルギニン及びヒスチジンバッファー中に入れた30g/LのE25サンプルに、2つの誘発生物体:グラム陽性菌(Staphylococcus aureus);及びグラム陰性菌(Pseudomonas chlororaphis)のmL当たり103コロニー形成単位を播種した。サンプルを1.5時間及び6時間後に取り出した。図20及び21の棒グラフに示されている結果は、これらの誘発生物体の双方とも、温度の上昇に伴い減少していることを示している。それぞれの観測された時間間隔に対する3通りの温度間隔(温度25℃、40℃及び50℃の時間)は、図20及び21において、2010及び2110として、左から右へ3本のバー群として示す。示された播種は、30g/Lのタンパク質濃度を有するアルギニンバッファー中において実施した。
【0102】
実施例9
プロセス流束に対する高い温度の影響
0.2Mのアルギニン、25mMのヒスチジン、pH6.0のバッファー中に入れた10g/LのE25サンプルを、流束対膜間圧(TMP)に対するそれらの影響のために評価した。図22は、システム温度の上昇により、UF/DF操作中にプロセス流束が増加することを示している。様々なバルク濃度、及び23℃(2210)、40℃(2220)及び46℃(2230)の3通りの異なる温度で、流束偏位を実施した。物質移動係数及び濾液流束は約2〜約3倍に増加し、プロセス時間はかなり低減した。
【0103】
実施例10
rhuMAb抗CD20(「2H7」) の高濃度製剤化
パイロット規模のUFシステムを使用し、rhuMAb抗CD20(2H7;組換えヒトモノクローナル抗体)を濃縮し、製剤化した。実施例1を次の点を除いて繰り返した。Millipore Pelicon限外濾過/ダイアフィルトレーションシステムは、30000ダルトンの孔径を有する17.5平方フィートの再生セルロース複合膜を用いて組み立てた。システムは、膜ホルダー、Viking S1 L ロータリーローブ供給ポンプ、1/2"の316Lステンレス鋼製再循環配管、及び40-Lの再循環容器からなる。背圧調節弁は、H.D. Baumann,Inc.製であった。タンクジャケットに供給されるグリコールの温度は、電気熱交換器、冷グリコールの供給、又は双方を使用し、必要に応じて上昇又は低下させて調節した。
【0104】
この運転中、供給液の流量は、8.5L/分(約0.5L/分/ft2)の一定流量に設定した。図23は、UF1(10)、DF1(20)及びUF2(30)を含むプロセスの種々の段階又はモードにおいての0〜20のスケールでの供給液の流量(210)、2〜12のスケールでのpH(212)、0〜5のスケールでの濾液の流量(250)、0〜45のスケールでのリサイクルタンクのレベル(2320)、0〜100のスケールでの保持液dP(2350)に対する経時的な値の傾向を示す。
【0105】
限外濾過及びダイアフィルトレーション操作中、システムでは、一定の保持液圧と、続いての一定の供給液/保持液差圧制御スキームを使用して、膜を通過する流束を制御した。ダイアフィルトレーション用バッファー(30mMの酢酸ナトリウム/pH4.9)は分離タンク中で調製した。プロセス全体において正確な温度制御をするために、このバッファーの温度をプロセシング前に45℃に設定した。プロセシング前に、システム保存溶液(0.1NのNaOH)を、まず1L/ft2の注射用の水(WFI)と共に、ついで1L/ft2のダイアフィルトレーション用バッファーと共に、単一のドレインへのパスモードで流した。フラッシング後、0.5L/ft2のダイアフィルトレーション用バッファーを10分間、再循環させることにより、システムを平衡にした。再循環溶液のpHを調べて平衡を確認した。
【0106】
前のQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程により得られたタンパク質プールは、2.31g2H7/Lであると測定され、356L容量を有していた。タンパク質は、0.5Mの酢酸で5.3にpH調節された6mMのHEPES遊離酸/19mMのHEPESナトリウム塩及び25mMの酢酸ナトリウムの溶液中に存在していた。運転の直前、このプールの温度設定点を45℃に設定した。運転を開始するため、タンパク質プールを、0.22ミクロンの滅菌グレードフィルターを通して再循環容器に、タンクに約40Lのレベルまで移した。容器中において、頂部搭載インペラでプールを攪拌して温度を40−50℃に維持した。
【0107】
入ってくるプールは再循環容器よりも多いので、UF1プロセスはバッチ供給モードで開始した(図23を参照)。このモードでは、濾液がTFF膜を通ってドレインまで通過するのとほぼ同じ速度で、Q-プールを再循環容器に添加した。残存Q-プールを再循環容器に移した後、バッチモードでUF1プロセスを続けた。UF1の間に、プールを約50g2H7/L(約16L)まで濃縮した。ついで、プールを10ダイアボリュームのダイアフィルトレーション用バッファーを用いてダイアフィルトレーションした。ダイアフィルトレーション中、温度を40〜50℃の間に維持した。システムから出て行く濾液の流量に、再循環タンクに移送されてくるバッファーの流量を一致させることにより達成される一定容量で、ダイアフィルトレーションを実施した。ダイアフィルトレーションが終了したところで、プールをUF2モードで、190g2H7/L(4.3L)の最終濃度目標設定点までさらに濃縮した。図23において、この段階の終わりに、50psigへの定dP制御を導入したことに留意のこと。この段階はまた45℃+/−5℃の高温設定点で実施した。次に、フィードポンプを制御し、供給流路において20psigの圧損が維持されるようにした低圧損混合を実施した。サンプルを抜き出し、密度測定を実施して、回収前の濃度を確認した。このサンプルの濃度は189g2H7/Lであった。表16に、スループット及び流束の結果を纏める。
【0108】
タンパク質プールを、複数の工程により回収した。まず、保持液ラインに添加された0.2LのDF用バッファーを使用し、単一パスモードで、膜から生成物を排出した。生成物を、0.22ミクロンの滅菌グレード最終フィルターを通して、回収タンク中に濾過した。ついで、再循環タンクのプールを、ロータリーローブ供給ポンプを使用しタンクからポンプ移送した。次に、残ったタンパク質溶液を、5psigの窒素ガスを吹き込んで、タンク及び供給ラインから排出した。最終段階は膜装置への吹き込みであり、その装置は今最初の生成物の代わりにDF用バッファーを含んでいる。この段階ではまた保持液ラインの最も高い位置に適用される5psigの窒素ガスを使用した。
【0109】
必要であれば、回収したプールを、まず希釈用バッファー(30mMの酢酸ナトリウム、pH5.3)を使用して、約175g2H7/Lまで希釈した。最後に、プールを150g2H7/Lの目標濃度まで希釈し、7×の調整用バッファー(30mMの酢酸ナトリウム、49%のトレハロース、0.21%のポリソルベート20、pH5.3)により、30mMの酢酸ナトリウム、7%のトレハロース、0.03%のポリソルベート20、pH5の最終調製物に調整した。
ついで、回収したプール、希釈したプール、及び調整したプールの容量を、タンパク質濃度のために分析した。表17はその結果を表す。
【0110】
プロセシング後、膜を、0.1NのNaOH、1L/ft2の単一パスフラッシュの使用と、続いての0.5L/ft2の30分の全再循環で再生させた。これに、1L/ft2のPWフラッシュを続けた。これに、30分間、0.5L/ft2の1.4%Minncare溶液の全再循環を続けた。1L/ft2のPWを用いて、システムを再度フラッシングし、最終的に0.1NのNaOHで15分間再循環させ、保存した。
【0111】
実施例11
rhuMAb 抗CD20の高濃度調製物
パイロット規模のUFシステムを使用し、GMP製造設備でのヒトフェーズI臨床試験に使用するためのrhuMAb 抗CD20(2H7)を濃縮し、製剤化した。実施例10を次の点を除いて繰り返した。
前のQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程により得られたタンパク質プールは、3.729g2H7/Lであると測定され、262L容量を有していた。タンパク質は、0.5Mの酢酸で5.3にpH調節された6mMのHEPES遊離酸/19mMのHEPESナトリウム塩及び25mMの酢酸ナトリウムの溶液中に存在していた。運転の直前、このプールの温度設定点を45℃に設定した。運転を開始するため、タンパク質プールを、0.22ミクロンの滅菌グレードフィルターを通して再循環容器に、タンクの約40Lのレベルまで移した。容器中で、頂部搭載インペラでプールを攪拌し、温度を40−50℃に維持した。
【0112】
UF1の間、プールを約50g2H7/L(約20L)まで濃縮した。図24は、プロセシング中における−0.713963〜295.989のスケールでのリサイクルタンクレベル(210)、−0.237899〜98.6629のスケールでの保持液dP(2420)、−0.356981〜147.994のスケールでの供給液流量(250)、−0.118994〜49.3315のスケールでの濾液流量(2450)に対する経時的な値の傾向を示す。ついで、プールを10ダイアボリュームのダイアフィルトレーション用バッファーを用いてダイアフィルトレーションした。ダイアフィルトレーション中、温度は40〜50℃の間に維持した。システムから除去される濾液の流量に、再循環タンクに移送されてくるバッファーの流量を一致させることにより達成した一定容量で、ダイアフィルトレーションを実施した。ダイアフィルトレーションが終了したところで、プールをUF2モードで190g2H7/L(5.25L)の最終濃度目標設定点までさらに濃縮した。図24において、この段階の終わりに40psigへの定dP制御を導入したことに留意のこと。この段階はまた45℃+/−5℃の高温設定点で実施された。次に、フィードポンプを制御して供給流路において20psigの圧損を維持するようにした低圧損混合を実施した。サンプルを抜き出して密度測定を実施し、回収前の濃度を確認した。このサンプルの濃度は194g2H7/Lであった。表18にスループット及び流束の結果を纏める。
【0113】
生成物回収の直前に、30mLのサンプルを抜き出し、バイオバーデンの検出及び滴定に出した。結果は陰性(すなわち、<0.13CFU/mL)であった。タンパク質プールを実施例10の複数の工程により回収した。ついで、回収したプール、希釈したプール、及び調整したプールの容量を、タンパク質濃度のために分析した。表19はその結果を表す。膜は実施例10のようにして再生した。
【0114】
実施例12
rhuMAb抗CD20GMPの高濃度製剤化
実施例11を次の点を除いて繰り返した。前のQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程により得られたタンパク質プールは、5.106g2H7/Lであると測定され、196L容量を有していた。タンパク質は、0.5Mの酢酸で5.3にpH調節された6mMのHEPES遊離酸/19mMのHEPESナトリウム塩及び25mMの酢酸ナトリウムの溶液中に存在していた。運転の直前、このプールの温度設定点を45℃に設定した。運転を開始するため、タンパク質プールを、0.22ミクロンの滅菌グレードフィルターを通して再循環容器に、タンクの約40Lのレベルになるまで移した。容器中で、頂部搭載インペラでプールを攪拌し、温度を40−50℃に維持した。
【0115】
UF1の間、プールを約50g2H7/L(約20L)まで濃縮した。図25は、プロセシング中における0〜300のスケールでのリサイクルタンクレベル(210)、0〜100のスケールでの保持液dP(2520)、0〜150のスケールでの供給液流量(250)、0〜50のスケールでの濾液流量(2550)に対する経時的な値の傾向を示す。プールは10ダイアボリューム(10×)のダイアフィルトレーション用バッファーを用いてダイアフィルトレーションした。ダイアフィルトレーション中、温度は40〜50℃の間に維持した。システムから除去される濾液の流量に、再循環タンクに移送されてくるバッファーの流量を一致させることにより達成した一定容量で、ダイアフィルトレーションを実施した。ダイアフィルトレーションが終了したところで、再びこの段階のまさに終了時点で定dP制御を利用して、プールをUF2モードで190g2H7/L(5.26L)の最終濃度目標設定点までさらに濃縮した(図25を参照)。この段階はまた45℃+/−5℃の高い温設定点で実施された。次に、フィードポンプを制御して供給流路において20psigの圧損を維持するようにした低圧損混合を実施した。サンプルを抜き出して密度測定を実施し、回収前の濃度を確認した。このサンプルの濃度は191g2H7/Lであった。表20にスループット及び流束の結果を纏める。
【0116】
生成物回収の直前に、30mLのサンプルを抜き出し、バイオバーデンの検出及び滴定に出した。結果は陰性(すなわち、<0.13CFU/mL)であった。タンパク質プールを実施例11の複数の工程により回収した。ついで、回収したプール、希釈したプール、及び調整したプールの容量を、タンパク質濃度のために分析した。表21はその結果を表す。膜は実施例11のようにして再生した。
【0117】
全ての刊行物、特許及び特許文献は、出典明示によりあたかも個々のものが援用されているかのように、その全体が出典明示によりここに援用される。本明細書は様々な特定かつ好適な実施態様及び技法について記載した。しかしながら、本明細書の精神及び範囲に入る限り、多くの変形や修正が可能であることが理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本明細書の実施態様において、調製方法を達成するための装置を示す。
【図2】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図3】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図4】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図5】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図6】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図7】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図8】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図9】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図10】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図11】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図12】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図13】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図14】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図15】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図16】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図17】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図18】本明細書の実施態様において、製品の品質に対する高い温度の影響を例示する。
【図19】本明細書の実施態様において、製品の品質に対する高い温度の影響を例示する。
【図20】本明細書の実施態様において、バイオバーデン制御に対する高い温度の影響を例示する。
【図21】本明細書の実施態様において、バイオバーデン制御に対する高い温度の影響を例示する。
【図22】本明細書の実施態様において、プロセス流束及びプロセス時間に対する高い温度の影響を例示する。
【図23】本明細書の実施態様において、スケールアッププロセスの様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図24】本明細書の実施態様において、スケールアッププロセスの様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図25】本明細書の実施態様において、スケールアッププロセスの様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【発明の開示】
【0001】
(背景)
生物学的物質を、単離、精製及び濃縮するための方法は既知であり、例えばクロマトグラフィー、限外濾過、及び凍結乾燥が含まれ、一般的には、R. Hatti-Kaulら,「Downstream Processing in Biotechnology」, Basic Biotechnology, Chap. 9, 187-211頁, 第2版, Cambridge University Press(2001)を参照のこと。ヒトへの投与のための濃縮モノクローナル抗体調製物の製造方法は知られており、例えば限外濾過を使用し、得られた濾液を再循環させる米国特許第6252055号を参照のこと。
利用可能な抗体濃縮法に関連したいくつかの課題には、例えば低い流束、長いプロセス時間、大きな膜面積、機械的回収収率及び損失、操業者への依存性の高い処理又はハンドリング、低い物質移動速度、エネルギー効率の悪さ、及び濃縮装置に対する液圧制限が含まれる。これらの課題や他の課題のため、全製造コストが高くなり、最終的には治療薬の消費者に大きな負担がかかっていた。
高度に濃縮されたタンパク質製剤、例えば液体抗体調製物やその治療用製品を調製するための改善された方法が必要である。
【0002】
(概要)
概括的には、本明細書は、一般に、タンパク質の濃縮法、例えば抗体調製物の濃縮方法、そのような調製物を含む医薬製剤、ヒトの治療又は動物の治療におけるその使用に関する。
実施態様では、本明細書は、高度に濃縮されたタンパク質、例えば抗体調製物を調製するための方法;本方法により調製された治療用製品、例えば治療用抗体産物を提供する。従って、本明細書は、第一抗体調製物に第一限外濾過を施して第二抗体調製物を提供し;第二抗体調製物にダイアフィルトレーションを施して(diafiltering)、ダイアフィルトレーションされた中間抗体調製物を提供し;ダイアフィルトレーションされた中間抗体調製物に第二限外濾過を施して、第三抗体調製物を提供することを含み、第一限外濾過、第二限外濾過及びダイアフィルトレーションの一以上が、例えば約30℃〜約50℃という高い温度で達成されるタンパク質の濃縮方法を提供する。
【0003】
また本明細書は、実施態様において、第一タンパク質混合物に第一限外濾過を施して第二タンパク質混合物を提供し;第二タンパク質混合物にダイアフィルトレーションを施して、ダイアフィルトレーションされたタンパク質混合物を提供し;ダイアフィルトレーションされたタンパク質混合物に第二限外濾過を施して、第三タンパク質混合物を提供することを含み、第一限外濾過、ダイアフィルトレーション、及び第二限外濾過の一以上が、例えば約45℃で実施されるタンパク質の濃縮方法を提供する。
さらに本明細書は、実施態様において、上述の方法により調製される高度に濃縮された抗体組成物を提供する。
【0004】
(詳細な説明)
本明細書の様々な実施態様を、図面がある場合は、図面を参照しながら詳細に説明する。様々な実施態様の参照は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲はここに添付される特許請求の範囲によってのみ限定される。さらに、この明細書に記載される全ての実施例は、限定することを意図しているものではなく、特許請求の範囲に記載の発明に対する多くの可能な実施態様のいくつかを単に説明しているのに過ぎない。
【0005】
特に別の定義を記載していない場合は、次の定義が使用される:
「限外濾過する」、「限外濾過」、「限外濾過された」、「UF」及び類似用語は、例えば適切な物理的及び化学的性質を有する合成半透膜を使用し、主として分子サイズ及び形状に基づき、混合物中の分子を区別し、異なる分子の分離を達成するか、又は類似分子の濃縮を達成することを意味する。
「ダイアフィルトレーションする」、「ダイアフィルトレーション」、「ダイアフィルトレーションされた」、「ダイアフィルトレーション化」、「DF」及び類似用語は、例えば限外濾過膜を使用し、タンパク質、ペプチド、核酸、又は他の生体分子を含む混合物又は溶液から、溶媒又は塩を除去し、置き換え、又はその濃度を低下させることを意味する。
【0006】
「膜間圧」又は「TMP」とは、TMP[バール]=[(PF+PR)/2]−Pfとして算出される膜の供給液側から濾液側への平均適用圧を意味し、ここでPFは供給液圧、PRは保持液圧、Pfは濾液圧である。
「タンジェンシャルフロー濾過」、「クロスフロー濾過」、「TFF」及び類似用語は、溶質含有溶液がUF膜を接線方向に横切って通過し、より小さな分子量の塩又は溶質が適用圧により通過する濾過方式を意味する。
【0007】
「抗体」とは最も広義に使用され、特にインタクトなモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも二つのインタクトな抗体から形成される多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、及びそれらが所望の生物活性を示す限りは抗体断片をカバーする。抗体は、特定の抗原を認識して結合可能な、免疫系により生じるタンパク質である。その構造に関して記載すると、抗体は、2つの重鎖と2つの軽鎖の4つのアミノ酸鎖からなるY字形のタンパク質である。この説明に対して十分な単純化されたモデルでは、各抗体は、主として可変領域と定常領域の2つの領域を有する。Yのアームの末端に位置する可変領域は、標的抗原に結合して相互作用する。この可変領域には、特定の抗原上の特異的な結合部位を認識して結合する相補性決定領域(CDR)が含まれる。Yの尾部に位置する定常領域は、免疫系により認識され、相互作用する(Janeway, C., Travers, P., Walport, M., Shlomchik(2001) Immuno Biology, 5版, Garland Publishing, New York)。標的抗原は、一般に、複数の抗体上のCDRにより認識されるエピトープとも呼ばれる多くの結合部位を有している。異なったエピトープに特異的に結合する各抗体は異なった構造を有している。よって、ある抗原は一を超える対応する抗体を有し得る。
【0008】
基本的な4鎖抗体単位は、2つの同一の軽(L)鎖と2つの同一の重(H)鎖からなるヘテロ四量体糖タンパク質である(IgM抗体は、J鎖と呼ばれる付加的なポリペプチドを備えた5つの基本的ヘテロ四量体からなり、よって10の抗原結合部位を含む一方、分泌IgA抗体は重合して、J鎖と共に2−5の基本的4鎖単位を含む多価集合体を形成することができる)。IgGの場合、4鎖単位は一般的に約150000ダルトンである。各L鎖は一つの共有ジスルフィド結合によりH鎖に連結している一方、2つのH鎖はH鎖のアイソタイプに応じて一又は複数のジスルフィド結合により互いに連結されている。また各H及びL鎖は、規則的に離間した鎖内(intrachain)ジスルフィド架橋を有している。各H鎖は、N末端に可変ドメイン(VH)と、これに続くα及びγ鎖それぞれに対しては3つの定常ドメイン(CH)と、μ及びεアイソタイプに対しては4つのCHドメインを有する。各L鎖は、N末端に可変ドメイン(VL)と、これに続く定常ドメイン(CL)をその他端に有する。VLはVHに整列しており、CLは重鎖の第1定常ドメイン(CH1)に整列している。特定のアミノ酸残基は軽鎖と重鎖の可変ドメインの界面を形成すると考えられている。VHとVLは対になって単一の抗原結合部位を形成する。異なったクラスの抗体の構造及び特性について、例えば、Basic and Clinical Immunology, 8版, D. Stites, A. Terr及びT. Parslow編, Appleton & Lange, Norwalk, CT, 1994, 71頁, 6章を参照のこと。
【0009】
任意の脊椎動物種からのL鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、カッパ及びラムダと呼ばれる明確に区別される2つのタイプのタイプを割り当てることができる。それらの重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に基づき、免疫グロブリンは、種々のクラス又はアイソタイプに割り当てることができる。免疫グロブリンには、それぞれ、α、δ、ε、γ及びμと命名された重鎖を有するIgA、IgD、IgE、IgG及びIgMの5つのクラスがある。γ及びαクラスはさらにCH配列及び機能の比較的小さな差異に基づいてサブクラスに分割され、例えばヒトでは、次のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2を発現する。
【0010】
「可変」なる用語は、可変ドメインの所定のセグメントが抗体間で配列の点で広範囲に相違していることを意味する。Vドメインは抗原結合を媒介し、特定の抗体のその特定の抗原に対する特異性を定める。しかしながら、可変性は可変ドメインの約110アミノ酸スパンにわたって均一に分布しているのではない。むしろ、V領域は、それぞれ9−12アミノ酸長である「高頻度可変領域」と呼ばれる極度の可変性のより短い領域により分離した15−30のアミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる相対的に不変の伸長部からなる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、各々、主としてβ-シート配置をとり、3つの高頻度可変領域によって連結され、β-シート構造を連結し、場合によってはその一部を形成することもある4つのFRを含む。各鎖の高頻度可変領域はFRによって極く近傍に一緒に保持され、他の鎖からの高頻度可変領域とともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991)を参照)。定常ドメインは抗体の抗原への結合に直接は関係しないが、例えば抗体依存性細胞傷害性(ADCC)への抗体の関与のような様々なエフェクター機能を示す。
【0011】
ここで使用される場合、「高頻度可変領域」なる用語は、抗原結合性に関与する抗体のアミノ酸残基を意味する。高頻度可変領域は、一般的に「相補性決定領域」又は「CDR」からのアミノ酸残基(例えば、VL中のおよそKabat残基24−34(L1)、50−56(L2)及び89−97(L3)及びVHのおよそKabat残基31−35B(H1)、50−65(H2)及び95−102(H3)(上掲のKabatら)、及び/又は「高頻度可変ループ」からの残基(例えば、VLのおよそChothia残基26−32(L1)、50−52(L2)及び91−96(L3)及びVHの26−32(H1)、52A−55(H2)及び96−101(H3)(Chothia及びLesk J.Mol.Biol. 196:901-917 (1987))を含む。
【0012】
ここで使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団からの抗体を意味する。すなわち、集団を構成する個々の抗体が、一般的に少量で存在する変異体等の、モノクローナル抗体の生産中に生じうる可能な変異体を除いて、同一であり及び/又は同じエピトープ(類)に結合する。このようなモノクローナル抗体は、典型的には、標的に結合するポリペプチド配列を有する抗体を含み、ここで、標的結合ポリペプチド配列が、複数のポリペプチド配列からの単一標的結合ポリペプチド配列の選択を含むプロセスにより得られている。例えば選択プロセスは、複数のクローン、例えばハイブリドーマクローン、ファージクローン又は組換えDNAクローンのプールからの独特のクローンの選択とすることができる。選択された標的結合配列は、例えば標的に対する親和性を改善するため、標的結合配列をヒト化するため、細胞培養における生産性を改善するため、インビボでの免疫原性を低下させるため、多重特異的抗体を産生させるため等々のために、さらに改変することができ、また改変した標的結合配列を有する抗体もまた本発明のモノクローナル抗体であると理解されるべきである。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的には含むポリクローナル抗体調製物と比べて、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基を対するものである。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体調製物は、それらが他の免疫グロブリンによって典型的には汚染されていない点で有利である。「モノクローナル」との修飾詞は、実質的に均一な抗体集団から得られているという抗体の特徴を示し、抗体を何か特定の方法で生産することを必要とすると解釈されてはならない。例えば、本発明において使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法(例えば、Kohlerら, Nature, 256, 495 (1975);Harlowら, Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988);Hammerlingら, Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas, 563-681,(Elsevier, N.Y., 1981))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4816567号参照)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clacksonら, Nature, 352:624-628(1991);Marksら, J. Mol. Biol. 222:581-597(1991);Sidhuら, J. Mol. Biol. 338(2):299-310(2004);Leeら, J. Mol. Biol. 340(5):1073-1093(2004);Fellouse, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 101(34):12467-12472(2004);及びLeeら, J. Immunol. Methods 284(1-2):119-132(2004)、及びヒト免疫グロブリン座位又はヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子の一部又は全部を有するヒト又はヒト様抗体を動物中で生成させるための技術(例えば、国際公開第1998/24893号;国際公開第1996/34096号;国際公開第1996/33735号;国際公開第1991/10741号;Jakobovitsら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2551(1993);Jakobovitsら, Nature, 362:255-258(1993);Bruggemannら, Year in Immuno, 7:33(1993);米国特許第5545806号;同第5569825号;同第5591669号(全てGenPharm);同第5545807号;国際公開第1997/17852号;米国特許第5545807号;同第5545806号;同第5569825号;同第5625126号;同第5633425号;及び同第5661016号;Marksら, Bio/Technology, 10:779-783(1992);Lonbergら, Nature, 368:856-859(1994);Morrison, Nature, 368:812-813(1994);Fishwildら, Nature Biotechnology, 14:845-851(1996);Neuberger, Nature Biotechnology, 14:826(1996);及びLonberg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol., 13:65-93(1995)を参照)を含む様々な技術により作製されうる。
【0013】
「キメラ」抗体(免疫グロブリン)は、特定の種由来の抗体あるいは特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一であるか相同であり、鎖の残りの部分が他の種由来の抗体あるいは他の抗体クラスあるいはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一であるか相同である重鎖及び/又は軽鎖の一部、並びにそれが所望の生物活性を有する限りそれら抗体の断片を有する(米国特許第4816567号; Morrisonら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855(1984))。ここで使用されるヒト化抗体は、キメラ抗体のサブセットである。
【0014】
非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」形とは、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体ある。大部分において、ヒト化抗体は、レシピエントの高頻度可変領域の残基が、マウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類のような所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)の高頻度可変領域の残基によって置き換えられたヒト免疫グロブリン(レシピエント又はアクセプター抗体)である。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられる。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見出されない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は抗体の特性、例えば結合親和性をさらに洗練するためになされる。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、全てあるいはほとんど全ての高頻度可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいはほとんど全てのFR領域がヒト免疫グロブリン配列のものであるが、FR領域は、結合親和性を改善する一又は複数のアミノ酸置換基を含んでいてよい。FRにおけるこれらのアミノ酸置換基の数は、典型的には、H鎖で6を越えず、L鎖で3を越えない。ヒト化抗体は、場合によっては、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒトの免疫グロブリンのものを含む。さらなる詳細は、Jones等, Nature 321, 522-525(1986);Reichmann等, Nature 332, 323-329(1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2, 593-596(1992)を参照のこと。
【0015】
「抗体断片」はインタクト抗体の一部、好ましくはインタクト抗体の抗原結合又は可変領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab'、F(ab')2及びFv断片;ダイアボディ;線状抗体(米国特許第5641870号、実施態様2;Zapataら, Protein Eng.,8(10):1057-1062(1995));単鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多重特異的抗体が含まれる。
【0016】
抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と称される2つの同一の抗原結合断片と、その名称が容易に結晶化する能力を表す、残りの「Fc」断片が生産される。Fab断片は、H鎖の可変領域ドメイン(VH)とL鎖全体、及び一つの重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)とからなる。各Fab断片は、抗原結合に対して一価である、すなわち単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理により、抗原を架橋結合でき、二価の抗原結合活性を有するFab断片に連結した2つのジスルフィドにほぼ相当する、単一の大きなF(ab')2が生じる。Fab'断片は、抗体ヒンジ領域からの一又は複数のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端に数個の残基が付加されていることによりFab断片とは異なる。Fab'-SHは、定常ドメインのシステイン残基(類)が遊離チオール基を担持しているFab'に対するここでの命名である。F(ab')2抗体断片は、間にヒンジシステインを有するFab'断片の対として生産された。抗体断片の他の化学結合も知られている。
【0017】
Fc断片は、ジスルフィドにより互いに保持された双方のH鎖のカルボキシ末端部分を有する。抗体のエフェクター機能はFc領域における配列により決定され、該領域はある種の細胞に見出されるFcレセプター(FcR)により認識される部分でもある。
【0018】
「Fv」は、完全な抗原-認識及び-結合部位を含む最小の抗体断片である。この断片は、密接に非共有結合した1本の重鎖と1本の軽鎖の可変領域の二量体からなる。これら2つのドメインの折り畳みから、抗原結合に対するアミノ酸残基に寄与し、抗体に抗原結合特異性を付与する6つの高頻度可変ループ(H及びL鎖からそれぞれ3つのループ)が生じる。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に対して特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、全結合部位よりも親和性が低くなるが、抗原を認識して結合する能力を有している。
【0019】
「sFv」又は「scFv」と略記される「単鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖に連結するVH及びVL抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドは、sFvが抗原結合に望ましい構造を形成するのを可能にするポリペプチドリンカーをVHとVLドメインの間にさらに含む。sFvの概説については、Pluckthun, The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)を参照のこと。
【0020】
本発明の方法に使用される、例えば、組成物中の成分量、活性剤濃度、バッファー容量、ダイアボリューム(diavolumes)、孔径、見かけ分子量、分子量カットオフ値、プロセス温度、プロセス時間、収率、流量、圧力、バイオバーデン、及び類似値、並びにその範囲を修飾している「約」とは、例えば、濃縮液又は使用溶液の作製に使用される典型的な測定及び操作手順;これらの手順における不注意による誤差;製造法、供給源、組成物の製造又は方法の実施に使用される成分の純度の差、並びに同様の考慮事項を通して生じ得る数値における変動を意味する。また「約」なる用語は、特定の初期濃度を有する組成物又は混合物の熟成により相違する量をも包含する。さらに「約」なる用語は、特定の初期濃度を有する組成物又は混合物の混合又はプロセシングにより相違する量をも包含する。「約」なる用語により修飾されていてもいなくとも、特許請求の範囲には、その量に対する均等物が含まれる。
【0021】
「本質的になる」とは、特許請求の範囲に列挙された工程及び成分に加えて、組成物の基本的及び新規の特性に実質的に影響を与えない他の工程及び要因、例えば多様な工程又はバッファー媒質を含む、濃縮されたタンパク質組成物又は抗体組成物を得る方法を意味する。本明細書の組成物及び方法の基本的な特性に実質的に影響を与える成分は、例えば、バイオバーデン、例えば汚染物質に伴う所望しない毒性又は刺激性を含む、所望しない特徴をもたらす。
【0022】
ここで使用される場合、不定冠詞「a」又は「an」、及びその対応する定冠詞「the」は、特に示さない限りは、少なくとも一つ、もしくは一又は複数であることを意味すると理解される。
【0023】
本明細書は、実施態様において、上述の方法とその濃縮された抗体生成物を提供する。
本明細書の実施態様では、調製方法及びその生成物は、高度に濃縮された抗体調製物及び類似の調製物を調製する際に、例えば天然又は合成源からタンパク質もしくは類似した物質を精製し濃縮する際に使用可能であり、その生成物は、病理的状態、例えば喘息、癌、乾癬の治療、血管形成阻害及び類似の病理的状態を治療するのに有用でありうる。
【0024】
本明細書の高度に濃縮された抗体組成物を調製するための上述の方法の実施態様では、本明細書の調製プロセス及び生成物を如何にして作製し、使用するかが、以下、さらに例証されている。
本明細書の実施態様では、例えば記載順に次の工程を達成することによって、高度に濃縮された抗体組成物を調製するための方法が提供される:
例えば、リットル当たり約0.1〜約10グラム(g/L)の濃度を有する第一抗体調製物に第一限外濾過を施して、例えばリットル当たり約10〜約50グラムのより大きな抗体濃度を有する第二抗体調製物を保持液として提供し;
得られた第二抗体調製物にダイアフィルトレーションを施して、得られた第二抗体調製物保持液とほぼ同濃度を有する、ダイアフィルトレーションされた、すなわち一定容量でバッファー交換を遂行するためにダイアフィルトレーションされた中間抗体調製物を保持液として提供し;
ダイアフィルトレーションされた中間抗体調製物に第二限外濾過を施して、例えばリットル当たり約150〜200グラムのより大きな抗体濃度を有する第三抗体調製物を保持液として提供する。
本明細書の製造方法は、例えばここに開示し例証するように、任意工程の生成物回収工程又は工程群をさらに含むことができる。
【0025】
本明細書の上述した方法の実施態様では、一又は複数の第一限外濾過、ダイアフィルトレーション、及び第二限外濾過は、例えば約30℃〜約70℃で達成することができる。実施態様では、これらの工程は約30℃〜約50℃でも達成することができる。実施態様では、これらの工程は、例えば約35℃〜約50℃でも達成することができる。実施態様では、これらの工程は、例えば約45℃、例えば約45℃プラス又はマイナス5℃で達成することもできる。抗体調製物の種類に応じて、約70℃を超える温度で達成される方法では、劣化の兆候、例えば変性、凝集、及び類似の現象が、調製物に表れることもある。約30〜約35℃以下の温度で達成される方法では、典型的には所望しない程に流量が低下し、プロセス時間は所望しない程長くなり、低温でのプロセスを、効率的な商業的生産ではあまり魅力のないものにする。
【0026】
実施態様において、第一抗体調製物は、例えばリットル当たり約0.1〜約100グラム(g/L)の抗体濃度を有する。抗体濃度は、例えば遠心分離、濾過、クロマトグラフィー、及び類似手順のような、タンパク質又は抗体の他の精製工程又は方法で典型的には利用可能な一般的な濃度である。第一限外濾過により得られうる第二抗体調製物は、例えばリットル当たり約10〜約50グラム、例えばリットル当たり約20〜約40グラム、例えばリットル当たり30グラムの抗体濃度を有することができる。中間抗体調製物の抗体濃度の範囲は、例えばファクターのバランス、例えば第二抗体調製物を含む特定のバッファーで達成可能なサンプル容量及びサンプル流束に依存する可能性がある。中間抗体調製物は、例えばリットル当たり約25〜約35グラムの抗体濃度を有することができるし、第三抗体調製物は、例えばリットル当たり約170〜約200グラムの抗体濃度を有することができる。第三抗体調製物は、実施態様では、例えばリットル当たり約50〜約250グラム、例えばリットル当たり約100〜約230グラム、リットル当たり約170〜約200グラム、例えばリットル当たり185グラムの抗体濃度を有することができる。
【0027】
本明細書の理解の際に、当業者にとって、中間抗体調製物及び第三抗体調製物が、例えば、第一及び第二限外濾過濃縮から得られる抗体濃度の差異、及びダイアフィルトレーションバッファー交換から得られる懸濁バッファー媒質の差異を除き、同じ限外濾過保持液を含有していることは明らかであろう。よって、本明細書の実施態様では、標的タンパク質又は抗体生成物に分解等の組成変化があったとしても、それはほんの少しである。
【0028】
一般的な限外濾過濃縮法は、一般には多くの時間を要し、非常に長いプロセス時間、例えば数日から数週間かかるといったスループット効率が低く、非常に少量しか処理できず、又はその双方である。
実施態様において、本明細書のタンパク質濃縮方法は、例えば約1〜10時間、好ましくは約2〜5時間、より好ましくは約3時間で達成可能である。好ましくは流束スループットは高く、膜面積は小さい。
【0029】
実施態様では、第一限外濾過は、例えば全プロセス時間の約35%で達成可能である。よって、例えば全プロセス時間が約3時間である本明細書の濃縮及び精製方法では、第一限外濾過は約45分で達成可能である。実施態様では、第二限外濾過は、例えば全プロセス時間の約15%で達成可能である。よって、例えば全プロセス時間が約3時間である本明細書の方法では、第二限外濾過は約15分で達成可能である。ダイアフィルトレーションは、例えば全プロセス時間の約50%で達成可能である。よって、例えば全プロセス時間が約3時間である本明細書の方法では、ダイアフィルトレーションは約90〜約120分で達成可能である。
【0030】
実施態様では、第一限外濾過と第二限外濾過は、例えば約5〜約50キロダルトンの分子量カットオフ値、又は公称孔径を有する限外濾過膜を用いて達成することができる。他の適切な公称孔径は、例えば約10〜約40キロダルトンである。さらに他の適切な孔径又は分子量カットオフ値は約30キロダルトンである。
【0031】
実施態様では、第一抗体調製物は、例えば約100〜約200キロダルトンの見かけ分子量を有する抗体を含むことができる。他の実施態様では、第一抗体調製物は、例えば抗体調製物が抗IgE抗体又はIgEを含有している場合、例えば約150キロダルトンの見かけ分子量を有する抗体を含有可能であり、例えばジェネンテック社が譲受人の米国特許第6172213号を参照のこと。
【0032】
本明細書での使用に適した他の抗体には癌治療抗体が含まれ、一般的には、例えばPCT/US02/19592号;PCT/US01/20118号;PCT/US01/25464号;PCT/US01/26626号;PCT/US02/28859号;PCT/US02/41798号;PCT/US02/12206号;PCT/US03/11148号;PCT/US02/12619号;及びPCT/US02/33050号を参照のこと。本明細書での使用に適したさらなる他の抗体には、ヒト、非ヒト、マウス、ハイブリッド、及びキメラ形態を含む、抗CD20抗体等の抗体が含まれる。例えば、米国特許第6582959号(VEGF)、及び米国特許出願第2002/0122797号A1(ヒトVEGF)を参照のこと。
【0033】
実施態様では、本明細書の範囲に含まれる抗体には、由来となる種又は免疫グロブリンのクラスもしくはサブクラスの指定にかかわらず、ハイブリッド及び組換え抗体(例えば、「ヒト化」及び「ヒト」抗体)、並びに抗体断片(例えば、Fab、F(ab')2及びFv)が含まれる。米国特許第4816567号;Mage及びLamoyi, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, 79-97, Marcel Dekker, Inc., New York(1987)が参照される。
【0034】
また「モノクローナル抗体」を使用してもよく、該モノクローナル抗体は、例えば、Clacksonら(1991), Nature, 352:624-628及びMarksら(1991), J. Mol. Biol. 222: 581-597に記載された技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離することができる。モノクローナル抗体は、その重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種由来又は特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同であるが、残りの鎖が、他の種由来又は他の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同のものである「キメラ」抗体、並びに所望の生物学的活性を表す限り、このような抗体の断片を含む(米国特許第4816567号;及びMorrisonら(1984), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855)。キメラ抗体には、非ヒト霊長類(例えば、旧世界サル、類人猿等)由来の可変ドメイン抗原-結合配列とヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体を含むことができる。
【0035】
モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位に対するものである。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物と比べて、各モノクローナル抗体は抗原の単一の決定基に対するものである。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は他の抗体により汚染されることなく合成されるという利点がある。よって「モノクローナル」との修飾語句は、実質的に均一な抗体の集団から得られているという抗体の特徴を示す、すなわち、集団を構成する個々の抗体が、少量で存在し得る自然に生じる可能な突然変異を除いて同一であり、抗体を何か特定の方法により産生することを必要とすると考えてはいけない。例えば、本明細書で使用されるモノクローナル抗体は、最初にKohler及びMilstein, Nature, 256:495(1975)に記載されたハイブリドーマ法を使用して作製することができ、あるいは組換えDNA法によって作製することができる。抗体産生のための他の既知の方法は、例えばGoding, Monoclonal Antibodies:Principles及びPractice, 59-103, Academic Press(1986);Kozbor, J. Immunol., 133:3001(1984)に記載されている。Brodeurら, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, 51-63, Marcel Dekker, Inc, New York(1987)。
【0036】
モノクローナル抗体(MAbs)を産生するために、種々の方法が使用されている。単一タイプの抗体を産生させるクローン化細胞株について言及するハイブリドーマ技術は、マウス(ネズミ科動物)、ハムスター、ラット及びヒトを含む、様々な種の細胞を使用する。MAbsを調製するための他の方法では、組換えDNA技術を含む遺伝子工学を使用する。これらの技術から作製されるモノクローナル抗体には、とりわけ、キメラ抗体及びヒト化抗体が含まれる。キメラ抗体は、一タイプを超える種からのDNAコード領域を組合せたものである。例えば、キメラ抗体は、マウスの可変領域とヒトの定常領域に由来するものでありうる。ヒト化抗体は、非ヒト部分を含んでいても、大部分はヒトから生じる。キメラ抗体と同様、ヒト化抗体は完全なヒト定常領域を含んでいてもよい。しかし、キメラ抗体とは異なり、可変領域は部分的にヒトに由来するものであってよい。多くの場合、ヒト化抗体の非ヒトの合成部分はマウス抗体のCDRから生じる。いずれにしろ、これらの領域は、抗体が特定の抗原を認識して結合できるようにするために重要である。
【0037】
示したように、マウス抗体は、抗体技術において重要な役割を担っている。マウス抗体は診断及び短時間での治療に有用であるが、有害な免疫原性応答の危険性を増加させることなく、長期間にわたって人々に投与することはできない。ヒト抗マウス抗体(HAMA)と呼ばれるこの応答は、ヒト免疫系が異物としてマウス抗体を認識し、それを攻撃した場合に生じる。HAMA応答は毒素ショック、さらには死の原因にさえなり得る。キメラ及びヒト化抗体は、投与される抗体の非ヒト部分を最小にすることにより、HAMA応答の可能性を低減させる。さらに、キメラ及びヒト化抗体は、抗体依存性細胞傷害等の二次的なヒト免疫応答を活性化させるというさらなる有益性を有する。
【0038】
「インタクト」抗体は、抗原-結合可変領域、並びに軽鎖定常ドメイン(CL)及び重鎖定常ドメイン、CH1、CH2及びCH3を含むものである。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列変異体であってよい。インタクト抗体は、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異Fc領域)に起因するそれらの生物活性を意味する一又は複数の「エフェクター機能」を有しうる。抗体エフェクター機能の例には、C1q結合;補体依存性細胞傷害;Fcレセプター結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);ファゴサイトーシス;細胞表面レセプター(例えば、B細胞レセプター;BCR)のダウンレギュレーション等が含まれる。
【0039】
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、インタクト抗体には種々の「クラス」が割り当てられる。インタクト抗体には5つの主なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、これらのいくつかは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2等の「サブクラス」(アイソタイプ)にさらに分割される。抗体の異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれα、δ、ε、γ及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元立体配置はよく知られている。
【0040】
実施態様では、第一限外濾過により第一抗体調製物が濃縮され、リットル当たり約30グラムの抗体濃度を有する第二抗体調製物が提供され、第二限外濾過により中間抗体調製物(ダイアフィルトレーションにより得られる)が濃縮され、例えばリットル当たり約170〜約200グラムの抗体濃度を有する第三抗体調製物が提供される。第一限外濾過と第二限外濾過は、同じ限外濾過膜を用いて達成することができ、所望されるならば、操作性、損失、漏出、及び収率、効率性及び経済性に対する類似の影響を最小にするために、同じ容器又はプロセス循環系内で達成することができる。第一限外濾過と第二限外濾過は、任意の適切な限外濾過装置又は限外濾過膜を用いて達成することができる。限外濾過及びダイアフィルトレーションを達成するためにタンジェンシャルフロー濾過(TFF)操作が可能な多くの適切な限外濾過装置及び限外濾過膜が、例えばMillipore, Pall Corp, Sartorius等の供給元から市販されている。実施態様では、適切な限外濾過膜は、例えば任意の再生セルロース複合体であってよく、該合成物は、ポリエーテルスルホン等の、他の入手可能な限外濾過膜と比較して、比較的低いタンパク質吸着特性を有する。
【0041】
ダイアフィルトレーション操作は、第一及び第二抗体調製物に存在している第一バッファー組成物を、第三抗体調製物に所望される第二バッファーに交換するものである。実施態様では、第一バッファーは、例えば水性塩化ナトリウムとTRISバッファーとの混合物を含有可能であり、第二バッファーは、例えば水性塩化ヒスチジンと塩化アルギニンの混合物を含有可能である。ダイアフィルトレーションは、一定容量、一定濃度又は双方でのバッファー交換を達成することができる。実施態様では、ダイアフィルトレーションは、一定容量と一定濃度でのバッファー交換を達成する。ダイアフィルトレーションは、例えば約5〜約15倍容量(すなわちダイアボリューム)のバッファー交換を達成することができる。またダイアフィルトレーションは、例えば約8倍容量(8ダイアボリューム)、すなわち交換される抗体調製物を含有するサンプルの8倍容量のバッファー交換を達成することができる。例えば、10リットルの抗体調製物は、5倍(ダイアボリューム)、すなわち50リットル容量の交換用バッファーとダイアフィルトレーションすることができる。交換容量及び交換容量のための優先因子は、ファクターのバランス、例えばプロセスのスループット効率、生成物の純度、政府及び顧客-患者の容認基準及び類似の基準を考慮し、例えば、第一抗体調製物におけるバッファー(例えば第一バッファー)の濃度及び種類、及び同様の考慮事項に依存しうる。
【0042】
第一限外濾過、第二限外濾過、及びダイアフィルトレーションは、好ましくは限外濾過膜を通過するタンジェンシャルフロー濾過(TFF方式)で達成され、該限外濾過膜は、好ましくは各工程に対して同じ膜である。最終プール(すなわち第三抗体調製物)中の生成物の収率は、第一抗体調製物中の抗体の重量に基づき、例えば約70重量%以上、例えば約80〜約100重量%とすることができる。第三抗体調製物の収率は、第一抗体調製物中の抗体重量に基づき、実施態様では約90重量%以上、実施態様では約95重量%以上、さらなる実施態様では約98重量%以上とすることができる。
【0043】
第一限外濾過は、例えば約50〜1000mL/分、好ましくは約100〜1000mL/分の再循環速度を有しうる。再循環速度は、利用可能な膜面積に従って測定することができ、例えば5、20、200、1000平方フィートの膜面積及び同様の面積はさらなる高速の再循環速度を可能にする。よって、実施態様では、適切に測定される再循環速度は、例えば約0.5L/分/ft2〜約5L/分/ft2とすることができる。限外濾過及びダイアフィルトレーションは、例えば約5〜約50p.s.iの膜間圧で達成することができる。限外濾過及びダイアフィルトレーションは、例えば約10〜約50p.s.iの膜間圧で達成することができる。本明細書の実施態様では、より希釈された抗体製剤のための抗体濃縮液を調製する方法が提供され、該抗体濃縮液は、例えば約100CFU/mL未満といった、検出限界以下の最小のバイオバーデンを有する。
【0044】
本明細書の抗体組成物は、例えば約100g/L(mg/mL)以上、例えば約120〜約170g/Lの濃度でヒトに投与される濃縮モノクローナル抗体調製物でありうる。
【0045】
本明細書の抗体組成物は、例えばIgA、IgD、IgE、IgG及びIgMの群;そのサブクラスの免疫グロブリン;その組換え体;その断片;及び上述した任意のものの混合物であってよい。本明細書の好ましい抗体組成物は、組換えヒト化抗IgE抗体を含む。本明細書の抗体組成物はバッファーを含みうる。好ましいバッファーは、例えば水性塩化ヒスチジン及び塩化アルギニンの混合物でありうる。
【0046】
本明細書の調製方法は、図1に示すように、好ましくは、同じ装置において、オペレータ介入なしに又は最小のオペレータ介入をもって、達成される。
【0047】
第一抗体調製物は、種々の化学的、物理的、機械的又は非機械的、又は生化学的方法、例えば粉砕、超音波処理、ホモジナイズ、酵素消化、溶媒抽出、遠心分離、クロマトグラフィー、及び類似方法、及びそれらの組合せを使用して提供又は調製することができ、例えば上述したR.Hatti-Kaulら,「Downstream Processing in Biotechnology」, Basic Biotechnology, Chap. 9を参照のこと。第三抗体調製物は、所望されるならば、例えばナノ濾過(例えば二価イオンの除去)、逆浸透(例えば一価イオンの除去)、及び類似の液体精製法を使用するさらなるプロセスにかけることができる。本明細書の第三抗体調製物は、包装し、保存し、又は直接使用することができる。第三抗体調製物は、所望されるならば、例えばさらなる濃縮工程、例えば乾燥、凍結乾燥、凍結乾燥-再構成、及び類似方法を使用してさらにプロセシングすることができる。得られた濃縮第三抗体生成物は、所望されるならば、適切な液体を用いて、後の時点で再構成することもできる。
【0048】
図面において、図1は、本明細書の実施態様において、主要の供給及び保持容器となる再循環タンク(120)に連通する、UF-DF膜(115)を備えたTFF限外濾過-ダイアフィルトレーション(UF-DF)装置(110)を有する限外濾過-ダイアフィルトレーションシステム(100)を含む、調製方法を達成するための装置を例示する。実施態様では、タンク(120)は、例えば水、グリコール、又はそれらの混合物等の適切な熱伝達流体、再循環用ポンプ等の流量調節器(127)、ヒーター(図示せず)を含む循環加熱液体システム又はレオスタット抵抗ヒーター部材等のサーモスタット又は温度制御加熱部材(126)、保温ジャケット(125)を具備する温度制御システムを有しうる。全ての循環系内構成部材又は循環系内フロー又はプロセスに寄与する構成部材、例えば配管、バルブ、ポンプ、タンク、及び類似の構成部材は、場合によっては断熱されていてもよいし、又は場合によっては温度仕様に対して密な制御を維持し、フィルターチャンバー(110)と再循環タンク(120)内及びそれらの間の再循環流体循環系における温度逸脱を回避するため、外部加熱に適合されていてもよい。実施態様では、システム(100)が、例えばバッチ供給方式(fed-batch mode)で第一限外濾過(ultrafiltration)又は第一限外濾過化(ultrafiltering)を遂行している場合、システムは、再循環用供給タンク(120)と流体流通可能に連通し、例えば再循環タンク(120)からの消費された液相の補足、補充、不足分の埋め合わせに使用される任意的な供給タンク(128)を具備せしめてもよい。
【0049】
ポンプ(130)は、タンク(120)からの供給液をUF/DF装置(110)を通して送り出し、その後、得られた保持液(供給液の濾過されていないか又は膜排除部分)を再循環タンク(120)まで再循環させる。第2タンク(140)はバッファーを保持し、場合によっては、一定容量のダイアフィルトレーション中、主循環系(110-120ループ)中に移送する(図示しない)。例えば、主循環系に投入されるバッファーの添加速度及び容量は、好ましくは、濾液が膜(115)を通って主循環系から逸脱するのと同じ速度及び容量である。バッファータンク(140)は、場合によってはジャケット(143)で断熱することもでき、上述した加熱部材及び再循環ポンプ(図示せず)の均等物を具備せしめることもできる。任意的な不活性ガス源(145)、例えば窒素又は他の圧縮ガス源を、例えば生成物回収、保持液戻りの加圧、酸素脱気、フラッシング、洗浄、膜の完全性の試験、及び類似操作のために使用することができる。第3タンク(160)は、装置(110)から出た濾液を収集し、回収するために使用される。バルブ(150、170)は、必要に応じて、システムにおける方向及び場合によっては液体の流量を調節するために使用することができる。全てのバルブとポンプは、手動、協調コンピュータ制御、又はその双方により作動させることができる。任意的な第4のタンク(190)と出口流れは、例えば任意的なモニター装置(180)、例えば光学密度計、任意的なフィルター(群)(185)、例えば保護フィルター、製品用フィルター(product filter)、及び類似の任意的なサブシステムを具備する場合に、補助廃棄フラッシュ、生成物回収、又はモニターシステムを提供することができる。実施態様では、主流体循環系(110-120ループ)には、場合によってはインラインモニターシステムを具備させることができる。
【0050】
本明細書の方法により調製された濃縮抗体調製物は、筋肉内(IMIG)又は静脈内(IVIG)の何れかの投与のための免疫グロブリン製品を含む、ヒトの治療のための投与に使用することができる。本明細書の濃縮抗体調製物は、安定剤、例えば緩衝アミノ酸塩溶液、単糖類、又は類似の安定剤、適切なイオンキレート剤、例えばEDTA又はクエン酸イオン、及びそれらの組合せを含有せしめることが可能で、例えば、Wang, Y.-C.J.ら,「Parenteral formulations of proteins and peptides:stability and stabilizers」,J. Parenteral Sci. Technol., 42, Suppl. S3-S26(1988)を参照のこと。特開平01−268646号公報(AN89-359879)のダーウェント要約には、出願が、0.1マイクログラム/mL〜100mg/mLの濃度を有するIgG3モノクローナル抗体の注射用調製物について記載していることが報告されている。これらの公報に開示されている主題事項は、本明細書の範囲外であると考える。
【0051】
本明細書の調製物は、凝集体を実質的に含有しないものでありうる。凝集した汚染物質の許容可能レベルは、例えば約5重量%未満、理想的には2重量%未満である。0.2重量%程の低いレベルを達成することもできるが、典型的には、凝集した汚染物質は約1重量%である。また実施態様では、調製物は、例えばグリシン及び/又はマルトース等の、ポリクローナル製剤を安定化させるために伝統的に使用されている賦形剤を、好ましくは含有せしめないこともできる。
【0052】
本明細書では、調製物中の抗体が組換え抗体であり、100mg/mL以上、好ましくは150mg/mL以上の濃度とできることを特徴とする、ヒトに投与されるモノクローナル抗体調製物を提供できる。本調製物は、好ましくは任意のタンパク質凝集体を実質的に含有しない。
【0053】
本明細書の医薬製剤のpHは、特定の投与経路に依存している。しかしながら、濃縮溶液中の抗体濃度を最大にするために、溶液のpHは、抗体の等電点(pI)のpHとは異なるようにすべきである。
【0054】
本明細書の実施態様では、モノクローナル調製物はヒト治療に使用されると想定することができる。種々のヒトの疾患、例えば癌又は感染症、例えば上述したもの、免疫機能障害、例えばT細胞媒介性疾患、特に重度の脈管炎、関節リウマチ、全身性ループス(systemic lupus)、また自己免疫疾患、例えば多発性硬化症、移植片対宿主病、乾癬、若年発症糖尿病、シェーグレン病、甲状腺疾患、重症筋無力症、移植片拒絶反応、炎症性大腸炎、喘息、IgE媒介性疾患、及び類似の疾患又は病状、又はそれらの合併症を処置することができる。
【0055】
よって、本明細書は、実施態様において、上述した疾患及び類似の疾患の任意のものを治療するための医薬の製造における、ここに記載した濃縮モノクローナル抗体調製物の使用を提供する。また、本明細書の調製物の治療的有効量を個体に投与することを含む、任意のそのような疾患を患っているヒトの治療方法が提供される。このような抗体調製物の用量は、処置される病状や処置受容者により変わるが、例えば、成人患者では約50〜2000mg、好ましくは約100〜約1000mgの範囲で、1〜30日の期間、毎日又は毎週投与することができ、必要に応じて繰り返すこともできる。投薬は、単一又は複数回で投与されうる。
【0056】
方法の記載
製剤工程により、典型的には、例えばイオン交換クロマトグラフィーから生じる精製されたバルク薬剤物質が、最終的な賦形剤組成物及び濃度に交換される。小分子除去を除き、典型的には、この工程では達成される精製はない。重要なのは、高収率、バッファー交換、及び製剤工程の堅牢性(ロバスト性)であった。TFF(タンジェンシャルフロー濾過)を介した製剤中、タンパク質含有供給液を、膜システムを通して移送し、リサイクル(再循環)容器まで戻した。TFF膜はタンパク質(保持液の一部)を保持する一方、濾液(又は透過液)は、圧力により膜を通って流通した。圧力は膜間圧(TMP)と呼ばれ、典型的には保持液圧制御バルブを使用して制御される。本方法は、通常、一連の第一限外濾過(濃縮)、ダイアフィルトレーション(一定容量のバッファー交換)、及び第二限外濾過(さらなる濃縮)により達成された。プロセスのバッファー成分の除去に必要なダイアボリューム(容積等価量)の数は、容易に算出するか又は実験的に決定することができる。
【0057】
抗IgEに対する一般的なUF/DFプロセス
クロマトグラフィーからのアニオン交換プールのpHを、0.5Mのリン酸水溶液を使用して約6のpHに調節した。pH調節したアニオン交換プールを、10000−30000ダルトンの公称分子カットオフ値を有する膜を使用し、本明細書の限外濾過/ダイアフィルトレーション(UF/DF)プロセスにより製剤化した。プロセシング前に、UF膜をダイアフィルトレーション用バッファー(0.02Mのヒスチジン、0.2Mのアルギニン-HCl、pH6)で平衡にした。
【0058】
ついで、アニオン交換からの生成物(アニオン交換プール)をシステムに添加し、第一限外濾過により中間濃縮液に濃縮した。ついで、プールをその製剤(0.2Mのヒスチジン、0.2Mのアルギニン-HCl、pH6)にダイアフィルトレーション(8x又はダイアボリューム)した。ついで、プールを、最終バルク濃度>170g/Lまで第二限外濾過により濃縮し、0.22マイクロメーターの滅菌フィルターを通して回収した。UF/DFプロセス全体を約45℃の温度設定点で実施した。この温度制御は、入ってくるアニオン交換プール、ダイアフィルトレーション用バッファーの温度制御を使用し、またここで例証したUF/DFプロセス用のジャケット装備再循環容器を使用することにより達成した。
【0059】
UF/DF後、回収したプールを、0.02Mのヒスチジン、0.2Mのアルギニン-HCl、0.04%のポリソルベート-20、pH6(最終製剤)に約150g/Lのバルク濃度まで希釈した(調整した)。調整工程中、バルクの温度を周囲温度まで戻した。調整後、調製されたバルクを、0.22マイクロメーターの滅菌フィルターを通して再度回収した。
【0060】
UF/DFシステムは、0.1Nの水酸化ナトリウムを用いて再生し、1.4%のMinncare(登録商標)で消毒することができる。使用しない場合、システムは0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液に保存することができる。UF/DF膜は、キャンペーンの間、例えば0.1%のRoccal(登録商標)/20%のグリセロール-水溶液に保存することができる。
【0061】
一般的な限外濾過/ダイアフィルトレーションプロセス手順
操作パラメータ:供給液の流速、0.5L/分/ft2。一定の保持液圧(例えば、約10psig)の制御を、洗浄及び使用前の平衡化のために使用したが、Cwall、一定の保持液圧又は一定のTMPをプロセシングに使用した。
使用前平衡化:膜が適切に平衡化していることを確実にするために、使用前に、次の調製を、清浄にされたPellicon-2カセット膜について行った。
【0062】
プロセス使用:次の工程を、例えばQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程等の、先の分離工程から得られた最初のアニオン交換プール(Q-プール)に対して実施した:
約5g/Lの濃度から、ダイアフィルトレーションのための濃度(CDF)まで、第一限外濾過をする又は第一限外濾過化(UF1);
DF用バッファーの4(4)のダイアフィルトレーションボリューム(DV)を用いたダイアフィルトレーション又はダイアフィルトレーション化(DF1);
DF用バッファーの4(4)ダイアフィルトレーションボリューム(DV)を用いた連続したダイアフィルトレーション(UF2);
最終濃度(CFinal)まで第二限外濾過をする又は第二限外濾過化(UF2);及び
任意的な生成物回収。
【0063】
前述の工程を、典型的には、例えば15分、低dPリサイクル(mix)にて達成した。
使用後の掃除:次表に記載の順と条件を、使用直後のPellicon-2カセット膜の掃除に使用した。
【0064】
TFFにおける操作方式の定義:
濾液開放の単一パス(SPFO)。保持液と濾液をドレインに導く。濾液用バルブを開放する。
濾液開放の全リサイクル(TRFO)。保持液と濾液をリサイクル容器に導く。濾液用バルブを開放する。
バッチ供給限外濾過(FB-UF)。保持液をリサイクルタンクに導き、濾液をドレインに導き、入ってくるプールをリサイクルタンクに移す。
バッチ限外濾過(B-UF)。保持液をリサイクルタンクに導き、濾液をドレインに導く。
ダイアフィルトレーション(DF)。保持液をリサイクルタンクに導き、濾液をドレインに導き、ダイアフィルトレーション用バッファーをリサイクルタンクに移す。
dPは差圧を意味する。
生成物移送。限外濾過膜装置とリサイクルタンクを、プールタンクに開放する。窒素オーバーレイ圧を制御する。まずリサイクルポンプを使用し、次にマニュアルの蠕動ポンプを使用し、プールを移す。
供給液移送。入ってくるプールはリサイクルタンクにポンプ移送する。
濾液閉止の全リサイクル(TRFC)。保持液をリサイクル容器に導く。濾液バルブを閉止する。
「Q-プール」とは、「調整プール」とも称され、例えばバッファーで調整された上述のQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程から得られたタンパク質プールを意味する。
WFIは注射用の水を意味する。
【実施例】
【0065】
次の実施例は、上述した開示を使用する方法をさらに詳細に記載し、本明細書の種々の側面を実施するのに考慮される最良の形態を説明するためのものである。これらの実施例は、この開示の真の範囲を限定するものでは決してなく、むしろ例証目的のために提供されると理解される。
【0066】
実施例1
rhuMAb E25の高濃度製剤化
パイロット規模のUFシステムを使用して、rhuMAb E25(IgEを標的とする組換えヒトモノクローナル抗体、米国特許第6172213号)を濃縮/製剤した。Millipore Pelicon限外濾過/ダイアフィルトレーションシステムを、5.7平方フィート、10000ダルトンの再生セルロース複合膜を用いて構築した。システムは、膜ホルダー、Waukeskaw Model 6 ロータリーローブ供給ポンプ、1/2"の316Lステンレス鋼製再循環配管、及び再循環容器からなる。圧力表示器/トタンスミッター(Anderson)を、膜ホルダーの入口(供給液)、出口(保持液)及び透過部(濾液)に配した。流量メーター(Yokogawa ADMAG)を膜ホルダーの入口(供給液)と透過部(濾液)に配した。背圧調節バルブ(Mikroseal)を膜ホルダーの出口に位置せしめ、保持液圧を制御し、膜間圧(TMP)を達成した。40リットルの316Lステンレス鋼製のジャケット装備タンクを再循環タンクに使用した。このタンクにレベル表示器、頂部搭載攪拌機(Lightnin)、ボルテックスブレーカー、及び底弁(NovAseptic)を取り付けた。温度制御は、タンクのジャケットに供給する温度調節されたグリセロールの使用で達成した。
【0067】
この運転中の供給液の流量は、一定流量2.85L/分(0.5L/分/ft2)に設定した。全ての使用前及び使用後の操作中、保持液圧の制御は、10psigの定数に設定した。限外濾過及びダイアフィルトレーション操作中、システムではCwall制御スキームを使用して、膜を通過する流束を制御した。例えばR. van Reisら, Constant Cwall Ultrafiltration Process Control, J. of Membrane Science, 130(1997), 123-140を参照のこと。
【0068】
プロセス開始前に、システム保存溶液(0.1NのNaOH)を、まず2L/ft2の精製水(PW)と共に、ついで1L/ft2のダイアフィルトレーション用バッファー(50mMのヒスチジン/pH6.0)と共に、単一のドレインへのパスモードで流した。フラッシング後、0.5L/ft2のダイアフィルトレーション用バッファーを10分間、再循環させることにより、システムを平衡にした。再循環溶液のpHを調べて、平衡を確認した。ついで、タンク中のレベルを測定可能な最小値まで低下させ、入ってくるタンパク質プールの希釈度を最低にした。上述したQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程により得られたタンパク質プールは、3.2gE25/Lであることが測定され、43.1L容量を有していた。タンパク質は、25mMのTRISバッファーと約200mMのNaClの溶液中に存在し、pHを6.2に調節した。運転を開始するため、タンパク質プールを再循環容器に移した。容器中において、頂部搭載のインペラでプールを攪拌し、温度を周囲温度(20−25℃)に維持した。
【0069】
プロセス実施中、プールはUF1方式で50gE25/L(約2.8L)まで濃縮された。ダイアフィルトレーションの開始時において、再循環容器の温度設定点は40℃まで上昇した。温度の上昇及び制御は、タンクの外側ジャケットに温グリコールを流通させることにより影響を受けた。ついで、プールを8ダイアボリュームのダイアフィルトレーション用バッファーを用いてダイアフィルトレーションした。システムから出て行く濾液の流量に、再循環タンクに移ってくるバッファー溶液の流量を一致させることにより達成される一定容量で、ダイアフィルトレーションを実施した。ダイアフィルトレーション終了時、プールをUF2モードでさらに濃縮した。この段階はまた40℃の高温設定点を使用して実施した。この最終濃度の目標は110g/Lであった。これは、供給流量を低下させる必要なく達成された。次に、供給ポンプを制御して、供給流路にわたって5-10psigの圧損を維持する低圧損混合を実施した。サンプルを再循環タンクから取り出し、約120g/Lの最終バルク濃度が測定された。表1に、UF1、DF(DF1+DF2)及びUF2のスループット及び流束の結果を纏める。
【0070】
図2は、UF1(10)、DF(20)、UF2(30)を含むプロセスの種々の段階又は方式中における、供給液の流量(210)、タンク温度(220)、供給dP(230)、TMP(240)、及び濾液の流量(250)パラメータに対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
図3は、E25濃度(310)、流束(320)、及びTMP(240)に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
図4は、37℃でのUF1(410)及びUF2(420)に対して観測された圧損対タンパク質濃度に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
【0071】
タンパク質プールを一連の工程により回収した。まず、再循環タンクのプールを、ロータリーローブ供給ポンプを使用し、Millipac 200、0.22ミクロンの滅菌グレードフィルターを通してタンクからポンプ移送した。次に、タンパク質溶液を保持液ラインの最も高い位置に5psigの窒素ガスを吹き込んで、配管及び膜装置から排出した。最終段階は、5psigの窒素ガスをまた使用するタンクと供給ラインへのガス吹き込みであった。
【0072】
限外濾過、ダイアフィルトレーション、又は回収工程の一又は複数で使用される高温が粘性効果を低下させるため、周囲温度で実施する場合、実施例1と比較して生成物回収度が改善されていると考えられた。例えば、生成物回収中に温度制御を停止すると、この操作中にシステムはゆっくりと冷却され、膜装置からの回収が困難になった。あるいは、回収は、まず膜ホルダーから、ついで再循環容器から実施することができる。
【0073】
回収中の損失量を測定するために、1.74LのDF用バッファーをシステムに添加し、約5分再循環させ、上述したものと同じ順序を使用して回収した。ついで、この容量を、他のプールと共に、タンパク質濃度について分析した。結果を表2に纏める。
【0074】
プロセシング後、膜を、0.1NのNaOHを使用し、1L/ft2の単一パスフラッシュと、続く0.5L/ft2の30分の全再循環によって再生させた。これに、1L/ft2のPW(純水)フラッシュを続けた。これに、30分間、300ppmのMinncare(登録商標)溶液の全再循環を続けた。1L/ft2のPWでシステムを再度フラッシングし、最終的に0.1NのNaOHで15分間再循環させ、保存した。回収したプールを80gE25/Lまで希釈し、50mMのヒスチジン/150mMのトレハロース/0.02%のポリソルベート20/pH6.0の最終製剤に調整した。生成物の品質を、入ってきたQ-プールと最終的に回収されたバルクの双方について、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により評価した。このデータを表3に纏める。
【0075】
比較例2
周囲温度でのrhuMAb E25の高濃度製剤化
実施例1を次の点を除いて繰り返した。プロセスの前に、システム保存溶液(0.1NのNaOH)を、最初に2L/ft2の純水(PW)と共に、ついで1L/ft2のダイアフィルトレーション用バッファー(20mMのヒスチジン/pH6.0)と共に、ドレイン方式まで単一パスで流した。フラッシング後、0.5L/ft2のダイアフィルトレーション用バッファーを10分間、再循環させることにより、システムを平衡にした。再循環溶液のpHを調べて、平衡を確認した。ついで、タンク中のレベルを測定可能な最小値まで低下させ、入ってくるタンパク質プールの希釈度を最低にした。
上述したQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程により得られたタンパク質プールは、3.3gE25/Lであると測定され、33.3L容量を有していた。タンパク質は、25mMのTRISバッファーと約200mMのNaClの溶液中に存在し、pHを6.2に調節した。運転を開始するため、タンパク質プールを再循環容器に移した。容器において、頂部搭載インペラでプールを攪拌し、温度を周囲温度(20−25℃)で維持した。プロセス中、プールをUF1方式で50gE25/L(約2.2L)まで濃縮した。ついで、プールを8ダイアボリュームのダイアフィルトレーション用バッファーを用いてダイアフィルトレーションした。ダイアフィルトレーションを、システムから出て行く濾液の流量に、再循環タンクに移ってくるバッファー溶液の流量を一致させることにより達成される一定容量で実施した。また周囲温度でダイアフィルトレーションを実施した。ダイアフィルトレーションが終了したところで、プールをUF2モードでさらに濃縮した。この最終濃度の目標は110g/Lであった。しかしながら、供給流路における高い圧損のため、この濃度は達成されなかった。この濃度を達成する試みにおいて、供給流路における圧損が50psigに達していたため、供給液の流量を約80gE25/Lのバルク濃度で1.4L/分まで低下させた。50psigの高い圧損に到達するまでUF2を続け、プロセスを停止させた。次に、フィードポンプを使用し、供給流路において5psigの圧損を維持する低い圧損混合を試みた。再度、ロータリーローブポンプが過剰圧に達したため、タンパク質溶液の粘性が達成を困難にした。サンプルを再循環タンクから取り出し、約104g/Lの最終バルク濃度であることが測定された。表4に、UF1、DF(DF1+DF2)、及びUF2段階中に測定されたスループット値及び流束を纏めた。
【0076】
図5は、UF1(10)、DF(20)、UF2(30)を含むプロセスの種々の段階及び方式中における供給液流量(210)、タンク温度(220)、供給dP(230)、TMP(240)、及び濾液流量(250)パラメータに対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
図6は、E25濃度(310)、流束(320)、及びTMP(240)に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
図7は、24℃でのUF1(410)及びUF2(420)に対して観測された圧損対タンパク質濃度に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
【0077】
タンパク質プールを複数の工程により回収した。まず、再循環タンクのプールを、ロータリーローブ供給ポンプを使用し、Millipac 200、0.22ミクロンの滅菌グレードフィルターを通してタンクからポンプ移送した。次に、タンパク質溶液を、保持液ラインの最も高い位置に5psigの窒素ガスを吹き込んで、配管及び膜ユニットから排出した。ここでの生成物回収度は、粘性のある性質の溶液であるため、非常に乏しかった。最終段階は、5psigの窒素ガスをまた使用するタンクと供給ラインへのガス吹き込みであった。
【0078】
回収中の損失量を測定するために、1.85LのDF用バッファーをシステムに添加し、約5分再循環させ、実施例1の順序を使用して回収した。ついで、この容量を他のプールと共にタンパク質濃度のために分析した。結果を表5に纏める。
【0079】
プロセシング後、膜を、0.1NのNaOH、1L/ft2の単一パスフラッシュを使用し、続いて0.5L/ft2の30分の全再循環で再生させた。これに、1L/ft2のPWフラッシュを続けた。これに、30分間、300ppmのMinncare(登録商標)溶液の全再循環を続けた。1L/ft2のPWにより、システムを再度フラッシングし、最終的に0.1NのNaOHで15分間再循環させ、保存した。回収したプールを80gE25/Lまで希釈し、20mMのヒスチジン/250mMのスクロース/0.02%のポリソルベート20/pH6.0の最終調製物に調整した。生成物の品質を、入ってきたQ-プールと最終的に回収されたバルクの双方について、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により評価した。このデータを表6に纏める。
【0080】
実施例3
最初のバッチ供給方式を用いたrhuMAb E26の高濃度調製物
実施例1を次の点を除いて繰り返した。rhuMAbE26(IgEを標的とする組換えヒトモノクローナル抗体)を濃縮/調製した。この実施例の生成物を毒性評価に使用した。Millipore Pelicon限外濾過/ダイアフィルトレーションシステムを、11.4平方フィート30000-ダルトンの再生セルロース複合膜を用いて組み立てた。供給液の流量を5.0L/分(0.44L/分/ft2)の一定流量に設定した。限外濾過及びダイアフィルトレーション操作中、保持液圧を約6−8psigに維持した。前のQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程により得られたタンパク質プールは、6.7gE26/Lであると測定され、59.3L容量を有していた。
【0081】
入ってくるプールは再循環容器よりも多いので、UF1プロセスはバッチ供給モードで開始した。このモードにおいて、濾液がTFF膜を通ってドレインまで通過するのとほぼ同じ速度で、Q-プールを再循環容器に添加した。残存Q-プールを再循環容器に移した後、バッチモードでUF1プロセスを続けた。UF1の間に、プールを50gE26/L(約7.9L)まで濃縮した。ダイアフィルトレーションの開始時、再循環容器の温度設定点を40℃まで上昇させた。温度の上昇及び制御は、タンクの外側ジャケットを通して流れてくる温グリコールに影響を受けた。ついで、プールを8ダイアボリュームのダイアフィルトレーション用バッファーを用いてダイアフィルトレーションした。システムから出て行く濾液の流量に、再循環タンクに移送されてくるバッファーの流量を一致させることにより達成される一定容量で、ダイアフィルトレーションを実施した。ダイアフィルトレーションが終了したところで、プールをUF2モードで、109gE26/L(3.6L)の最終濃度までさらに濃縮した。この段階はまた40℃の高温設定点を使用して実施した。次に、フィードポンプを制御し、供給流路において5−10psigの圧損が維持されるようにした低圧損混合を実施した。表7に、UF1、DF(DF1+DF2)及びUF2のスループット及び流束の結果を纏める。
【0082】
図8は、供給液の流量(210)、タンク温度(220)、供給dP(230)、TMP(240)、及び濾液の流量(250)に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
図9は、E26濃度(910)、流束(920)、及びTMP(940)に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
図10は、UF1(1010)及びUF2(1020)において観測された圧損対タンパク質濃度に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
【0083】
生成物回収の直前に、10mLのサンプルをバイオバーデンの検出及び滴定のために分析した。典型的な拒絶限界はmL当たり1000コロニー形成単位(CFU)である。このテストの結果は1.8CFU/mLであり、この工程では適切な値であり、拒絶限界より十分に低い。回収中の損失量を測定するために、908.1mLのDF用バッファーをシステムに添加し、約5分再循環させ、上述したものと同じ順序を使用して回収した。ついで、この容量を、他のプールと共に、タンパク質濃度のために分析した。表8にその結果を纏める。
【0084】
回収したプールを80gE26/Lまで希釈し、50mMのヒスチジン/150mMのトレハロース/0.02%のポリソルベート20/pH6.0の最終調製物に調整した。生成物の品質を、入ってきたQ-プール、UF1後の保持プール、DF後の保持プール、及び最終回収バルクに対して、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により評価した。このデータを表9に纏める。
【0085】
実施例4
毒性評価のためのrhuMAbE26の高濃度製剤−10kDと30kDの比較
実施例3を次の点を除いて繰り返した。2つのパイロット規模のUFシステムを使用し、rhuMAb E26を濃縮/調製した。2つのMillipore Pelicon限外濾過/ダイアフィルトレーションシステムを、11.4平方フィートの再生セルロース複合膜で、一方が10000ダルトンの孔径、他方が30000ダルトンの孔径のものを用いて、組み立てた。保持液圧は約6−9psigに維持した。
【0086】
10kDのプロセス
前のQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程により得られたタンパク質プールは、5.85gE26/Lであると測定され、62.4L容量を有していた。UF1の間に、プールを50gE26/L(約7.3L)まで濃縮した。ダイアフィルトレーションが終了したところで、プールをUF2モードで、107.5gE26/L(3.4L)の最終濃度までさらに濃縮した。表10に、UF1、DF及びUF2のスループット及び流束の結果を纏める。
【0087】
回収中の損失量を測定するために、987mLのDF用バッファーをシステムに添加し、約5分再循環させ、上述したものと同じ順序を使用して回収した。ついで、この容量を、他のプールと共に、タンパク質濃度のために分析した。結果を表11に纏める。
【0088】
図11は、10kDプロセスにおける、UF1(10)、DF(20)、UF2(30)、及び低dP(40)を含むプロセスの種々の段階又はモードに対する供給液流量(210)、タンク温度(220)、供給dP(230)、TMP(240)、及び濾液流量(250)に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
図12は、10kDプロセスにおける、UF1(10)、DF(20)、UF2(30)、及び低dP(40)を含むプロセスの種々の段階又はモードに対するE26濃度(1210)、流束(1220)、及びTMP(1240)に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
図13は、10kDプロセスにおける、UF1(1310)及びUF2(1320)において観測された圧損対タンパク質濃度に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
【0089】
30kDのプロセス
前のQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程により得られたタンパク質プールは、5.85gE26/Lであると測定され、64.5L容量を有していた。UF1の間に、最初のプールを50gE26/L(約7.5L)まで濃縮した。ダイアフィルトレーションが終了したところで、プールをUF2モードで、117.5gE26/L(3.2L)の最終濃度までさらに濃縮した。表12に、UF1、DF及びUF2のスループット及び流束の結果を纏める。
【0090】
回収中の損失量を測定するために、918mLのDF用バッファーをシステムに添加し、約5分再循環させ、上述したものと同じ順序を使用して回収した。回収したプールを80gE26/Lまで希釈し、50mMのヒスチジン/150mMのトレハロース/0.02%のポリソルベート20/pH6.0の最終調製物に調整した。結果を表13に纏める。
【0091】
図14は、30kDプロセスにおける、UF1(10)、DF(20)、UF2(30)、及び低dP(40)を含むプロセスの種々の段階又はモードに対する供給液流量(210)、タンク温度(220)、供給dP(230)、TMP(240)、及び濾液流量(250)に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
図15は、30kDプロセスにおける、UF1(10)、DF(20)、UF2(30)、及び低dP(40)を含むプロセスの種々の段階又はモードに対するE26濃度(1510)、流束(1520)、及びTMP(1540)に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
図16は、30kDプロセスにおける、UF1(1610)及びUF2(1620)に対して観測された圧損対タンパク質濃度に対する経時的に観測又は測定されたプロセス値を示す。
【0092】
実施例5
液状rhuMAb E25のスケールアップ
実施例1を次の点を除いて繰り返した。
生産規模のUFシステムを使用し、液状のrhuMAb E25(IgEを標的とする組換えヒトモノクローナル抗体)を濃縮/調製した。生成物は、治療的用途及びヒトバイオ-等価試行に使用することができる。Millipore Pelicon限外濾過/ダイアフィルトレーションシステムを、30000ダルトンの孔径を有する、226平方フィートの再生セルロース複合膜を用いて組み立てた。各システムは、膜ホルダー、Viking S3S ロータリーローブ供給ポンプ、11/2"の316Lステンレス鋼製再循環配管、及び250Lの再循環容器からなる。
【0093】
一つの250リットルの316Lステンレス鋼製でジャケットが施されたタンクを、再循環容器に使用した。このタンクの温度制御は、タンクのジャケットに供給される温度調節されたグリコールにより達成された。タンクのジャケットに供給されるグリコールの温度は、それぞれ蒸気供給熱交換器又は冷グリコール供給を使用し、上昇又は低下させた。
【0094】
この運転のために、供給液の流量を114L/分(0.5L/分/ft2)の一定流量に設定した。ダイアフィルトレーション用バッファー(20mMのヒスチジン/200mMの塩化アルギニン/pH6.0)を分離タンクにおいて調製した。このバッファーの温度を、プロセス前に45℃に設定した。これにより、プロセス中、正確に温度制御することができた。
【0095】
プロセシング前に、システム保存溶液(0.1NのNaOH)を、まず1L/ft2の注射用の水(WFI)と共に、ついで1L/ft2のダイアフィルトレーション用バッファーと共に、ドレインまでの単一パスモードでフラッシングした。フラッシング後、0.5L/ft2のダイアフィルトレーション用バッファーを10分間、再循環させることにより、システムを平衡にした。再循環溶液のpHを調べて、平衡を確認した。
【0096】
前のQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程により得られたタンパク質プールは、5.2562gE25/Lであると測定され、1.141L容量を有していた。タンパク質は、25mMのTRISバッファーと約200mMのNaClの溶液中に存在しており、pHを6.2に調節した。運転の直前、このプールの温度設定点を45℃に設定した。運転を開始するため、タンパク質プールを、0.22ミクロンの滅菌グレードフィルターを通して再循環容器に、タンクの約200Lのレベルまで移した。容器中、頂部搭載インペラでプールを攪拌し、温度を約(40−50℃)に維持した。入ってくるプールは再循環容器よりも多いので、UF1プロセスはバッチ供給モードで開始した。このモードにおいて、濾液がTFF膜を通ってドレインに通過するのとほぼ同様の速度で、Q-プールを再循環容器に添加した。残存Q-プールを再循環容器に移した後、バッチモードでUF2プロセスを続けた。UF1方式の間、プールを約30gE25/L(約200L)まで濃縮した。ついで、プールを8ダイアボリュームのダイアフィルトレーション用バッファーを用いてダイアフィルトレーションした。ダイアフィルトレーション中、温度を40℃〜50℃で維持した。システムから出て行く濾液の流量に、再循環タンクに移送されてくるバッファーの流量を一致させることにより達成される一定容量で、ダイアフィルトレーションを実施した。ダイアフィルトレーションが終了したところで、プールをUF2モードで、>170gE25/L(35L)の最終濃度設定点までさらに濃縮した。またこのUF2方式の段階は、45℃+/−5℃の高温設定点でも実施した。次に、低圧損混合を実施し、ここでフィードポンプを制御し、供給流路において5−10psigの圧損が維持されるようにした。サンプルを抜き出し、specスキャンを実施して、回収前の濃度を確認した。このサンプルの濃度は219gE25/Lであった。表14に、UF1、DF(DF1+DF2)及びUF2段階中に測定されたスループット及び流束を要約する。
【0097】
生成物回収の直前に、30mLのサンプルを抜き出し、バイオバーデンの検出及び滴定に出した。結果は<0.13CFU/mLであった。タンパク質プールを一連の工程により回収した。まず、保持液ラインに添加された5LのDF用バッファーを使用し、単一パスモードで、膜から生成物を排出した。生成物を、7.4ft2、0.22ミクロンの滅菌グレード保護フィルターと、続いての2ft2、0.22ミクロンの滅菌グレード最終フィルターを通して、回収タンク中に濾過した。ついで、再循環タンクのプールを、ロータリーローブ供給ポンプを使用しタンクからポンプ移送した。次に、残ったタンパク質溶液を、5psigの窒素ガスを吹き込んで、タンク及び供給ラインから排出した。最終段階は膜ユニットへの吹き込みであり、最初の生成物の代わりに今はほとんどDF用バッファーを含んでいた。この段階ではまた保持液ラインの最も高い位置に適用される5psigの窒素ガスを使用した。回収したプールを、まず、DF用バッファーを使用して約153gE25/Lまで希釈した。最後に、プールを、20mMのヒスチジン/200mMのアルギニン-HCl/0.04%のポリソルベート20/pH6.0の最終調製物に調整した。ついで、回収したプール、希釈したプール、及び調整したプール(Q-プール)の容量を、タンパク質濃度のためにそれぞれ分析した。結果を表15に纏める。
図17は、UF1(10)、DF1(20)、DF2(25)、UF2(30)、及び低dP(50)を含むプロセスの様々な段階又はモード中に対する供給液流量(210)、タンク温度(220)、供給dP(230)、TMP(240)、及び濾液流量(250)のパラメータを示す。
【0098】
実施例6
液状rhuMAb E25調製物
実施例5を次の点を除いて繰り返した。生産規模のUFシステムを使用し、液状のrhuMAb E25(E25、IgEを標的とする組換えヒトモノクローナル抗体)を濃縮/製剤化した。Millipore Pelicon限外濾過/ダイアフィルトレーションシステムを、30000-ダルトンの孔径を有する226平方フィートの再生セルロース複合膜を用いて組み立てた。各システムは、膜ホルダー、Viking S3S ロータリーローブ供給ポンプ、11/2"の316Lステンレス鋼製再循環配管、及び250Lの再循環容器からなる。一つの250リットルの316Lステンレス鋼製でジャケットが施されたタンクを、再循環容器に使用した。供給液の流量を114L/分(0.5L/分/ft2)の一定流量に設定した。全ての使用前操作及び使用後操作中、保持液圧の制御は、10psigの定圧に設定した。限外濾過及びダイアフィルトレーション操作中、システムではCwall制御スキームを使用して、膜を通過する流束を制御した。ダイアフィルトレーション用バッファー(20mMのヒスチジン/200mMの塩化アルギニン/pH6.0)を分離タンクにおいて調製した。このバッファーの温度を、プロセス前に45℃に設定した。これにより、全プロセス中、正確に温度制御することができた。前のQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程により得られたタンパク質プールは、5.5438gE25/Lであると測定され、1.082L容量を有していた。タンパク質は、25mMのTRISバッファーと約200mMのNaClの溶液中に存在しており、pHを6.2に調節した。運転の直前、このプールの温度設定点を45℃に設定した。運転を開始するため、タンパク質プールを、0.22ミクロンの滅菌グレードフィルターを通して再循環容器に、タンクの約200Lのレベルまで、移した。容器中において、頂部搭載インペラでプールを攪拌し、温度を周囲(40-50℃)で維持した。入ってくるプールは再循環容器よりも多いので、UF1プロセスはバッチ供給モードで開始した。このモードにおいて、濾液がTFF膜を通ってドレインまで通過するのとほぼ同じ速度で、Q-プールを再循環容器に添加した。残存Q-プールを再循環容器に移した後、バッチモードでUF1プロセスを続けた。UF1の間に、プールを約30gE25/L(約200L)まで濃縮した。ついで、プールを8ダイアボリュームのダイアフィルトレーション用バッファーを用いてダイアフィルトレーションした。ダイアフィルトレーション中、温度を40〜50℃の間に維持した。システムから出て行く濾液の流量に、再循環タンクに移送されてくるバッファーの流量を一致させることにより達成される一定容量で、ダイアフィルトレーションを実施した。ダイアフィルトレーションが終了したところで、プールをUF2モードで、170gE25/L(35L)より大きい最終濃度設定点までさらに濃縮した。この段階はまた45℃+/−5℃の高温設定点で実施した。次に、フィードポンプを制御し、供給流路において5−10psigの圧損が維持されるようにした低圧損混合を実施した。サンプルを抜き出し、specスキャンを実施して、回収前の濃度を確認した。このサンプルの濃度は191gE25/Lであり、プール容量は31.9Lであった。経時的なプロセスパラメータのグラフを、上述の図17で観測され要約されたものと比較した。
【0099】
生成物回収の直前に、30mLのサンプルを抜き出し、バイオバーデンの力価について分析した。このテストの結果は検出限界以下(<0.13CFU/mL)であった。
タンパク質プールを一連の工程により回収した。まず、保持液ラインに添加された5LのDF用バッファーを使用し、単一パスモードで、膜から生成物を排出した。生成物を、7.4ft2、0.22ミクロンの滅菌グレード保護フィルター、続いて2ft2、0.22ミクロンの滅菌グレード保護フィルターを通して、回収タンク中に濾過した。ついで、再循環タンクのプールを、ロータリーローブ供給ポンプを使用しタンクからポンプ移送した。次に、残ったタンパク質溶液を、5psigの窒素ガスを吹き込んで、タンク及び供給ラインから排出した。最終段階は、最初の生成物の排出から、ほとんどのDF用バッファーを含有している膜ユニットの吹き込みであった。また、この段階では、未透過流れラインの最も高い位置に適用される5psigの窒素ガスを使用した。まず、回収したプールを、DF用バッファーを使用して約153gE25/Lまで希釈した。最後に、プールを、20mMのヒスチジン/200mMのアルギニン-HCl/0.04%のポリソルベート20/pH6.0の最終調製物に調整した。ついで、回収したプール、希釈したプール、及び調整したプールの容量を、タンパク質濃度について分析した。結果を表15に要約する。プロセス後、上述したようにして膜を再生させた。
【0100】
実施例7
生成物の品質に対する高い温度の影響
ヒスチジン及びQバッファー中に入れた30g/L及び150g/LのE25サンプルを、様々な温度で24時間保持した。サンプルを、濁度測定及びSECアッセイのために取り出した。Qバッファー中の30g/LのE25に対する濁度対温度の結果を図18に示す。図19は、23℃、40℃、50℃、60℃及び70℃の温度において経時的に観測したE25(50mMのヒスチジンバッファー中に150g/L、pH6.0)の可溶性凝集体の量を示す。これらの温度のそれぞれに対して、4通りの時間間隔(0時間、4時間、7.5時間及び24時間)を、図18及び19中、1810及び1910として、左から右へ4本のバー群として示す。溶液濁度は、本質的に60℃で24時間後も変化しなかった。70℃以下では、E25の有意な溶解性凝集物は観測されず、生成物サンプルが少なくとも60℃で少なくとも24時間、実質的に安定していることが示唆される。
【0101】
実施例8
バイオバーデンに対する高い温度の影響
アルギニン及びヒスチジンバッファー中に入れた30g/LのE25サンプルに、2つの誘発生物体:グラム陽性菌(Staphylococcus aureus);及びグラム陰性菌(Pseudomonas chlororaphis)のmL当たり103コロニー形成単位を播種した。サンプルを1.5時間及び6時間後に取り出した。図20及び21の棒グラフに示されている結果は、これらの誘発生物体の双方とも、温度の上昇に伴い減少していることを示している。それぞれの観測された時間間隔に対する3通りの温度間隔(温度25℃、40℃及び50℃の時間)は、図20及び21において、2010及び2110として、左から右へ3本のバー群として示す。示された播種は、30g/Lのタンパク質濃度を有するアルギニンバッファー中において実施した。
【0102】
実施例9
プロセス流束に対する高い温度の影響
0.2Mのアルギニン、25mMのヒスチジン、pH6.0のバッファー中に入れた10g/LのE25サンプルを、流束対膜間圧(TMP)に対するそれらの影響のために評価した。図22は、システム温度の上昇により、UF/DF操作中にプロセス流束が増加することを示している。様々なバルク濃度、及び23℃(2210)、40℃(2220)及び46℃(2230)の3通りの異なる温度で、流束偏位を実施した。物質移動係数及び濾液流束は約2〜約3倍に増加し、プロセス時間はかなり低減した。
【0103】
実施例10
rhuMAb抗CD20(「2H7」) の高濃度製剤化
パイロット規模のUFシステムを使用し、rhuMAb抗CD20(2H7;組換えヒトモノクローナル抗体)を濃縮し、製剤化した。実施例1を次の点を除いて繰り返した。Millipore Pelicon限外濾過/ダイアフィルトレーションシステムは、30000ダルトンの孔径を有する17.5平方フィートの再生セルロース複合膜を用いて組み立てた。システムは、膜ホルダー、Viking S1 L ロータリーローブ供給ポンプ、1/2"の316Lステンレス鋼製再循環配管、及び40-Lの再循環容器からなる。背圧調節弁は、H.D. Baumann,Inc.製であった。タンクジャケットに供給されるグリコールの温度は、電気熱交換器、冷グリコールの供給、又は双方を使用し、必要に応じて上昇又は低下させて調節した。
【0104】
この運転中、供給液の流量は、8.5L/分(約0.5L/分/ft2)の一定流量に設定した。図23は、UF1(10)、DF1(20)及びUF2(30)を含むプロセスの種々の段階又はモードにおいての0〜20のスケールでの供給液の流量(210)、2〜12のスケールでのpH(212)、0〜5のスケールでの濾液の流量(250)、0〜45のスケールでのリサイクルタンクのレベル(2320)、0〜100のスケールでの保持液dP(2350)に対する経時的な値の傾向を示す。
【0105】
限外濾過及びダイアフィルトレーション操作中、システムでは、一定の保持液圧と、続いての一定の供給液/保持液差圧制御スキームを使用して、膜を通過する流束を制御した。ダイアフィルトレーション用バッファー(30mMの酢酸ナトリウム/pH4.9)は分離タンク中で調製した。プロセス全体において正確な温度制御をするために、このバッファーの温度をプロセシング前に45℃に設定した。プロセシング前に、システム保存溶液(0.1NのNaOH)を、まず1L/ft2の注射用の水(WFI)と共に、ついで1L/ft2のダイアフィルトレーション用バッファーと共に、単一のドレインへのパスモードで流した。フラッシング後、0.5L/ft2のダイアフィルトレーション用バッファーを10分間、再循環させることにより、システムを平衡にした。再循環溶液のpHを調べて平衡を確認した。
【0106】
前のQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程により得られたタンパク質プールは、2.31g2H7/Lであると測定され、356L容量を有していた。タンパク質は、0.5Mの酢酸で5.3にpH調節された6mMのHEPES遊離酸/19mMのHEPESナトリウム塩及び25mMの酢酸ナトリウムの溶液中に存在していた。運転の直前、このプールの温度設定点を45℃に設定した。運転を開始するため、タンパク質プールを、0.22ミクロンの滅菌グレードフィルターを通して再循環容器に、タンクに約40Lのレベルまで移した。容器中において、頂部搭載インペラでプールを攪拌して温度を40−50℃に維持した。
【0107】
入ってくるプールは再循環容器よりも多いので、UF1プロセスはバッチ供給モードで開始した(図23を参照)。このモードでは、濾液がTFF膜を通ってドレインまで通過するのとほぼ同じ速度で、Q-プールを再循環容器に添加した。残存Q-プールを再循環容器に移した後、バッチモードでUF1プロセスを続けた。UF1の間に、プールを約50g2H7/L(約16L)まで濃縮した。ついで、プールを10ダイアボリュームのダイアフィルトレーション用バッファーを用いてダイアフィルトレーションした。ダイアフィルトレーション中、温度を40〜50℃の間に維持した。システムから出て行く濾液の流量に、再循環タンクに移送されてくるバッファーの流量を一致させることにより達成される一定容量で、ダイアフィルトレーションを実施した。ダイアフィルトレーションが終了したところで、プールをUF2モードで、190g2H7/L(4.3L)の最終濃度目標設定点までさらに濃縮した。図23において、この段階の終わりに、50psigへの定dP制御を導入したことに留意のこと。この段階はまた45℃+/−5℃の高温設定点で実施した。次に、フィードポンプを制御し、供給流路において20psigの圧損が維持されるようにした低圧損混合を実施した。サンプルを抜き出し、密度測定を実施して、回収前の濃度を確認した。このサンプルの濃度は189g2H7/Lであった。表16に、スループット及び流束の結果を纏める。
【0108】
タンパク質プールを、複数の工程により回収した。まず、保持液ラインに添加された0.2LのDF用バッファーを使用し、単一パスモードで、膜から生成物を排出した。生成物を、0.22ミクロンの滅菌グレード最終フィルターを通して、回収タンク中に濾過した。ついで、再循環タンクのプールを、ロータリーローブ供給ポンプを使用しタンクからポンプ移送した。次に、残ったタンパク質溶液を、5psigの窒素ガスを吹き込んで、タンク及び供給ラインから排出した。最終段階は膜装置への吹き込みであり、その装置は今最初の生成物の代わりにDF用バッファーを含んでいる。この段階ではまた保持液ラインの最も高い位置に適用される5psigの窒素ガスを使用した。
【0109】
必要であれば、回収したプールを、まず希釈用バッファー(30mMの酢酸ナトリウム、pH5.3)を使用して、約175g2H7/Lまで希釈した。最後に、プールを150g2H7/Lの目標濃度まで希釈し、7×の調整用バッファー(30mMの酢酸ナトリウム、49%のトレハロース、0.21%のポリソルベート20、pH5.3)により、30mMの酢酸ナトリウム、7%のトレハロース、0.03%のポリソルベート20、pH5の最終調製物に調整した。
ついで、回収したプール、希釈したプール、及び調整したプールの容量を、タンパク質濃度のために分析した。表17はその結果を表す。
【0110】
プロセシング後、膜を、0.1NのNaOH、1L/ft2の単一パスフラッシュの使用と、続いての0.5L/ft2の30分の全再循環で再生させた。これに、1L/ft2のPWフラッシュを続けた。これに、30分間、0.5L/ft2の1.4%Minncare溶液の全再循環を続けた。1L/ft2のPWを用いて、システムを再度フラッシングし、最終的に0.1NのNaOHで15分間再循環させ、保存した。
【0111】
実施例11
rhuMAb 抗CD20の高濃度調製物
パイロット規模のUFシステムを使用し、GMP製造設備でのヒトフェーズI臨床試験に使用するためのrhuMAb 抗CD20(2H7)を濃縮し、製剤化した。実施例10を次の点を除いて繰り返した。
前のQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程により得られたタンパク質プールは、3.729g2H7/Lであると測定され、262L容量を有していた。タンパク質は、0.5Mの酢酸で5.3にpH調節された6mMのHEPES遊離酸/19mMのHEPESナトリウム塩及び25mMの酢酸ナトリウムの溶液中に存在していた。運転の直前、このプールの温度設定点を45℃に設定した。運転を開始するため、タンパク質プールを、0.22ミクロンの滅菌グレードフィルターを通して再循環容器に、タンクの約40Lのレベルまで移した。容器中で、頂部搭載インペラでプールを攪拌し、温度を40−50℃に維持した。
【0112】
UF1の間、プールを約50g2H7/L(約20L)まで濃縮した。図24は、プロセシング中における−0.713963〜295.989のスケールでのリサイクルタンクレベル(210)、−0.237899〜98.6629のスケールでの保持液dP(2420)、−0.356981〜147.994のスケールでの供給液流量(250)、−0.118994〜49.3315のスケールでの濾液流量(2450)に対する経時的な値の傾向を示す。ついで、プールを10ダイアボリュームのダイアフィルトレーション用バッファーを用いてダイアフィルトレーションした。ダイアフィルトレーション中、温度は40〜50℃の間に維持した。システムから除去される濾液の流量に、再循環タンクに移送されてくるバッファーの流量を一致させることにより達成した一定容量で、ダイアフィルトレーションを実施した。ダイアフィルトレーションが終了したところで、プールをUF2モードで190g2H7/L(5.25L)の最終濃度目標設定点までさらに濃縮した。図24において、この段階の終わりに40psigへの定dP制御を導入したことに留意のこと。この段階はまた45℃+/−5℃の高温設定点で実施された。次に、フィードポンプを制御して供給流路において20psigの圧損を維持するようにした低圧損混合を実施した。サンプルを抜き出して密度測定を実施し、回収前の濃度を確認した。このサンプルの濃度は194g2H7/Lであった。表18にスループット及び流束の結果を纏める。
【0113】
生成物回収の直前に、30mLのサンプルを抜き出し、バイオバーデンの検出及び滴定に出した。結果は陰性(すなわち、<0.13CFU/mL)であった。タンパク質プールを実施例10の複数の工程により回収した。ついで、回収したプール、希釈したプール、及び調整したプールの容量を、タンパク質濃度のために分析した。表19はその結果を表す。膜は実施例10のようにして再生した。
【0114】
実施例12
rhuMAb抗CD20GMPの高濃度製剤化
実施例11を次の点を除いて繰り返した。前のQ-Sepharoseクロマトグラフィー工程により得られたタンパク質プールは、5.106g2H7/Lであると測定され、196L容量を有していた。タンパク質は、0.5Mの酢酸で5.3にpH調節された6mMのHEPES遊離酸/19mMのHEPESナトリウム塩及び25mMの酢酸ナトリウムの溶液中に存在していた。運転の直前、このプールの温度設定点を45℃に設定した。運転を開始するため、タンパク質プールを、0.22ミクロンの滅菌グレードフィルターを通して再循環容器に、タンクの約40Lのレベルになるまで移した。容器中で、頂部搭載インペラでプールを攪拌し、温度を40−50℃に維持した。
【0115】
UF1の間、プールを約50g2H7/L(約20L)まで濃縮した。図25は、プロセシング中における0〜300のスケールでのリサイクルタンクレベル(210)、0〜100のスケールでの保持液dP(2520)、0〜150のスケールでの供給液流量(250)、0〜50のスケールでの濾液流量(2550)に対する経時的な値の傾向を示す。プールは10ダイアボリューム(10×)のダイアフィルトレーション用バッファーを用いてダイアフィルトレーションした。ダイアフィルトレーション中、温度は40〜50℃の間に維持した。システムから除去される濾液の流量に、再循環タンクに移送されてくるバッファーの流量を一致させることにより達成した一定容量で、ダイアフィルトレーションを実施した。ダイアフィルトレーションが終了したところで、再びこの段階のまさに終了時点で定dP制御を利用して、プールをUF2モードで190g2H7/L(5.26L)の最終濃度目標設定点までさらに濃縮した(図25を参照)。この段階はまた45℃+/−5℃の高い温設定点で実施された。次に、フィードポンプを制御して供給流路において20psigの圧損を維持するようにした低圧損混合を実施した。サンプルを抜き出して密度測定を実施し、回収前の濃度を確認した。このサンプルの濃度は191g2H7/Lであった。表20にスループット及び流束の結果を纏める。
【0116】
生成物回収の直前に、30mLのサンプルを抜き出し、バイオバーデンの検出及び滴定に出した。結果は陰性(すなわち、<0.13CFU/mL)であった。タンパク質プールを実施例11の複数の工程により回収した。ついで、回収したプール、希釈したプール、及び調整したプールの容量を、タンパク質濃度のために分析した。表21はその結果を表す。膜は実施例11のようにして再生した。
【0117】
全ての刊行物、特許及び特許文献は、出典明示によりあたかも個々のものが援用されているかのように、その全体が出典明示によりここに援用される。本明細書は様々な特定かつ好適な実施態様及び技法について記載した。しかしながら、本明細書の精神及び範囲に入る限り、多くの変形や修正が可能であることが理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本明細書の実施態様において、調製方法を達成するための装置を示す。
【図2】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図3】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図4】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図5】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図6】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図7】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図8】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図9】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図10】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図11】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図12】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図13】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図14】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図15】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図16】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図17】本明細書の実施態様において、本方法の様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図18】本明細書の実施態様において、製品の品質に対する高い温度の影響を例示する。
【図19】本明細書の実施態様において、製品の品質に対する高い温度の影響を例示する。
【図20】本明細書の実施態様において、バイオバーデン制御に対する高い温度の影響を例示する。
【図21】本明細書の実施態様において、バイオバーデン制御に対する高い温度の影響を例示する。
【図22】本明細書の実施態様において、プロセス流束及びプロセス時間に対する高い温度の影響を例示する。
【図23】本明細書の実施態様において、スケールアッププロセスの様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図24】本明細書の実施態様において、スケールアッププロセスの様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【図25】本明細書の実施態様において、スケールアッププロセスの様々な段階又は方式に対する様々な観測又は測定プロセス値を例示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一抗体調製物に第一限外濾過を施して第二抗体調製物を提供し;
第二抗体調製物にダイアフィルトレーションを施して、ダイアフィルトレーションされた中間抗体調製物を提供し;
ダイアフィルトレーションされた中間抗体調製物に第二限外濾過を施して、第三抗体調製物を提供することを含み;
第一限外濾過、第二限外濾過及びダイアフィルトレーションの一以上が約30℃〜約50℃で達成される、高度に濃縮された抗体組成物を調製するための方法。
【請求項2】
第一限外濾過、第二限外濾過及びダイアフィルトレーションの一以上が約35℃〜約50℃で達成される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第一限外濾過、第二限外濾過及びダイアフィルトレーションの一以上が約45℃以上で達成される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第一限外濾過、第二限外濾過及びダイアフィルトレーションの一以上が、約45℃プラス又はマイナス5℃で達成される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第一抗体調製物が、リットル当たり約0.1〜約10グラムの抗体濃度を有している請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第一抗体調製物が、リットル当たり約1〜約5グラムの抗体濃度を有している請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第二抗体調製物が、リットル当たり約10〜約50グラムの抗体濃度を有している請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第二抗体調製物が、リットル当たり約20〜約40グラムの抗体濃度を有している請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第三抗体調製物が、リットル当たり約50〜約250グラムの抗体濃度を有している請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第三抗体調製物が、リットル当たり約100〜約230グラムの抗体濃度を有している請求項1に記載の方法。
【請求項11】
第三抗体調製物が、リットル当たり約170〜約200グラムの抗体濃度を有している請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ダイアフィルトレーションされた中間抗体調製物と第三抗体調製物が、限外濾過保持液を含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
中間抗体調製物がリットル当たり約25〜約35グラムの抗体濃度を有し、第三抗体調製物がリットル当たり約170〜約200グラムの抗体濃度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項14】
抗体調製物が抗IgE抗体を含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
方法が約1〜10時間で達成される請求項1に記載の方法。
【請求項16】
方法が約2〜5時間で達成される請求項1に記載の方法。
【請求項17】
方法が約3時間で達成される請求項1に記載の方法。
【請求項18】
第一及び第二限外濾過が、約5〜約50キロダルトンの公称孔径を有する限外濾過膜を用いて達成される請求項1に記載の方法。
【請求項19】
第一及び第二限外濾過が、約10〜約30キロダルトンの公称孔径を有する限外濾過膜を用いて達成される請求項1に記載の方法。
【請求項20】
第一抗体調製物が、約100〜約200キロダルトンの見かけ分子量を有する抗体を含む請求項1に記載の方法。
【請求項21】
第一抗体調製物が、約150キロダルトンの見かけ分子量を有する抗体を含む請求項1に記載の方法。
【請求項22】
第一限外濾過により第一抗体調製物が濃縮されて、リットル当たり約30グラムの抗体濃度を有する第二抗体調製物が提供され、第二限外濾過により中間抗体調製物が濃縮されて、リットル当たり約170〜約200グラムの抗体濃度を有する第三抗体調製物が提供される請求項1に記載の方法。
【請求項23】
第一限外濾過と第二限外濾過が同じ限外濾過膜を用いて達成される請求項1に記載の方法。
【請求項24】
第一限外濾過と第二限外濾過が、再生セルロース複合体限外濾過膜で達成される請求項1に記載の方法。
【請求項25】
ダイアフィルトレーションにより、一定容量、一定濃度又はその双方でのバッファー交換が達成される請求項1に記載の方法。
【請求項26】
ダイアフィルトレーションにより、約5〜約15倍容量のバッファー交換が達成される請求項1に記載の方法。
【請求項27】
ダイアフィルトレーションにより、約8倍以上の容量のバッファー交換が達成される請求項1に記載の方法。
【請求項28】
ダイアフィルトレーションにより、第一バッファーが第二バッファーに交換される請求項1に記載の方法。
【請求項29】
第一バッファーが、水性塩化ナトリウムとTRISバッファーの混合物を含み、第二バッファーが、水性塩化ヒスチジンと塩化アルギニンの混合物を含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
第一限外濾過、第二限外濾過、及びダイアフィルトレーションが、限外濾過膜を通るタンジェンシャルフロー濾過により達成される請求項1に記載の方法。
【請求項31】
第一限外濾過、第二限外濾過、及びダイアフィルトレーションが、同じ限外濾過膜を通るタンジェンシャルフロー濾過により達成される請求項1に記載の方法。
【請求項32】
第三抗体調製物の収率が、第一抗体調製物における抗体の重量の約70重量%を越える請求項1に記載の方法。
【請求項33】
第三抗体調製物の収率が、第一抗体調製物における抗体の重量の約80〜約100重量%である請求項32に記載の方法。
【請求項34】
第一限外濾過が、約0.5L/分/ft2〜約5L/分/ft2の再循環速度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項35】
限外濾過及びダイアフィルトレーションが、約10〜約50p.s.iの膜間圧で達成される請求項1に記載の方法。
【請求項36】
約100CFU/mL未満の検出可能なバイオバーデンを有する抗体濃縮液が提供される請求項1に記載の方法。
【請求項37】
第一タンパク質混合物に第一限外濾過を施して第二タンパク質混合物を提供し;
第二タンパク質混合物にダイアフィルトレーションを施して、ダイアフィルトレーションされたタンパク質混合物を提供し;
ダイアフィルトレーションしたタンパク質混合物に第二限外濾過を施して、第三タンパク質混合物を提供することを含み、第一限外濾過、ダイアフィルトレーション、及び第二限外濾過の一以上が約30℃〜約50℃で達成されるタンパク質の濃縮方法。
【請求項1】
第一抗体調製物に第一限外濾過を施して第二抗体調製物を提供し;
第二抗体調製物にダイアフィルトレーションを施して、ダイアフィルトレーションされた中間抗体調製物を提供し;
ダイアフィルトレーションされた中間抗体調製物に第二限外濾過を施して、第三抗体調製物を提供することを含み;
第一限外濾過、第二限外濾過及びダイアフィルトレーションの一以上が約30℃〜約50℃で達成される、高度に濃縮された抗体組成物を調製するための方法。
【請求項2】
第一限外濾過、第二限外濾過及びダイアフィルトレーションの一以上が約35℃〜約50℃で達成される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第一限外濾過、第二限外濾過及びダイアフィルトレーションの一以上が約45℃以上で達成される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第一限外濾過、第二限外濾過及びダイアフィルトレーションの一以上が、約45℃プラス又はマイナス5℃で達成される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第一抗体調製物が、リットル当たり約0.1〜約10グラムの抗体濃度を有している請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第一抗体調製物が、リットル当たり約1〜約5グラムの抗体濃度を有している請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第二抗体調製物が、リットル当たり約10〜約50グラムの抗体濃度を有している請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第二抗体調製物が、リットル当たり約20〜約40グラムの抗体濃度を有している請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第三抗体調製物が、リットル当たり約50〜約250グラムの抗体濃度を有している請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第三抗体調製物が、リットル当たり約100〜約230グラムの抗体濃度を有している請求項1に記載の方法。
【請求項11】
第三抗体調製物が、リットル当たり約170〜約200グラムの抗体濃度を有している請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ダイアフィルトレーションされた中間抗体調製物と第三抗体調製物が、限外濾過保持液を含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
中間抗体調製物がリットル当たり約25〜約35グラムの抗体濃度を有し、第三抗体調製物がリットル当たり約170〜約200グラムの抗体濃度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項14】
抗体調製物が抗IgE抗体を含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
方法が約1〜10時間で達成される請求項1に記載の方法。
【請求項16】
方法が約2〜5時間で達成される請求項1に記載の方法。
【請求項17】
方法が約3時間で達成される請求項1に記載の方法。
【請求項18】
第一及び第二限外濾過が、約5〜約50キロダルトンの公称孔径を有する限外濾過膜を用いて達成される請求項1に記載の方法。
【請求項19】
第一及び第二限外濾過が、約10〜約30キロダルトンの公称孔径を有する限外濾過膜を用いて達成される請求項1に記載の方法。
【請求項20】
第一抗体調製物が、約100〜約200キロダルトンの見かけ分子量を有する抗体を含む請求項1に記載の方法。
【請求項21】
第一抗体調製物が、約150キロダルトンの見かけ分子量を有する抗体を含む請求項1に記載の方法。
【請求項22】
第一限外濾過により第一抗体調製物が濃縮されて、リットル当たり約30グラムの抗体濃度を有する第二抗体調製物が提供され、第二限外濾過により中間抗体調製物が濃縮されて、リットル当たり約170〜約200グラムの抗体濃度を有する第三抗体調製物が提供される請求項1に記載の方法。
【請求項23】
第一限外濾過と第二限外濾過が同じ限外濾過膜を用いて達成される請求項1に記載の方法。
【請求項24】
第一限外濾過と第二限外濾過が、再生セルロース複合体限外濾過膜で達成される請求項1に記載の方法。
【請求項25】
ダイアフィルトレーションにより、一定容量、一定濃度又はその双方でのバッファー交換が達成される請求項1に記載の方法。
【請求項26】
ダイアフィルトレーションにより、約5〜約15倍容量のバッファー交換が達成される請求項1に記載の方法。
【請求項27】
ダイアフィルトレーションにより、約8倍以上の容量のバッファー交換が達成される請求項1に記載の方法。
【請求項28】
ダイアフィルトレーションにより、第一バッファーが第二バッファーに交換される請求項1に記載の方法。
【請求項29】
第一バッファーが、水性塩化ナトリウムとTRISバッファーの混合物を含み、第二バッファーが、水性塩化ヒスチジンと塩化アルギニンの混合物を含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
第一限外濾過、第二限外濾過、及びダイアフィルトレーションが、限外濾過膜を通るタンジェンシャルフロー濾過により達成される請求項1に記載の方法。
【請求項31】
第一限外濾過、第二限外濾過、及びダイアフィルトレーションが、同じ限外濾過膜を通るタンジェンシャルフロー濾過により達成される請求項1に記載の方法。
【請求項32】
第三抗体調製物の収率が、第一抗体調製物における抗体の重量の約70重量%を越える請求項1に記載の方法。
【請求項33】
第三抗体調製物の収率が、第一抗体調製物における抗体の重量の約80〜約100重量%である請求項32に記載の方法。
【請求項34】
第一限外濾過が、約0.5L/分/ft2〜約5L/分/ft2の再循環速度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項35】
限外濾過及びダイアフィルトレーションが、約10〜約50p.s.iの膜間圧で達成される請求項1に記載の方法。
【請求項36】
約100CFU/mL未満の検出可能なバイオバーデンを有する抗体濃縮液が提供される請求項1に記載の方法。
【請求項37】
第一タンパク質混合物に第一限外濾過を施して第二タンパク質混合物を提供し;
第二タンパク質混合物にダイアフィルトレーションを施して、ダイアフィルトレーションされたタンパク質混合物を提供し;
ダイアフィルトレーションしたタンパク質混合物に第二限外濾過を施して、第三タンパク質混合物を提供することを含み、第一限外濾過、ダイアフィルトレーション、及び第二限外濾過の一以上が約30℃〜約50℃で達成されるタンパク質の濃縮方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
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【図10】
【図11】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2012−97086(P2012−97086A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−256451(P2011−256451)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【分割の表示】特願2007−531302(P2007−531302)の分割
【原出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(509012625)ジェネンテック, インコーポレイテッド (357)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256451(P2011−256451)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【分割の表示】特願2007−531302(P2007−531302)の分割
【原出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(509012625)ジェネンテック, インコーポレイテッド (357)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】
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