説明

抗歯垢義歯接着剤組成物

本発明は、安全且つ有効な接着量の義歯接着剤構成成分;ジメチコンコポリオール、シリコーン界面活性剤、アミノアルキルシリコーン、オルガノシロキサン樹脂、及びこれらの混合物から成る群から選択される安全且つ有効な量の抗歯垢/汚れ防止剤;及び非水性義歯接着剤担体を含む義歯接着剤組成物に関する。本発明は、更に、抗歯垢、汚れ防止、及び/又は抗沈着効果又は作用を、それらを必要とする義歯着用者の口腔内において、上記組成物を口腔に適用することにより増加する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全且つ有効な接着量の義歯接着剤構成成分と、抗歯垢/汚れ防止剤として、安全且つ有効な量のジメチコンコポリオール、シリコーン界面活性剤、アミノアルキルシリコーン、及び/又はオルガノシロキサンとを含む非水性義歯接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の取り外し可能な義歯、歯板などは、好適な義歯床又はベースに取り付けられた歯を含む。義歯安定剤は、義歯と歯肉又は組織の間の間隙を充填するために使用される。義歯を口腔内に置く前に、義歯安定剤を義歯−義歯床表面に塗ることができる。改良された義歯接着剤組成物を開発するため、過去に相当な努力がなされてきた。義歯安定剤は、一般に、その接着特性のみならず、義歯と歯肉又は組織の間にクッション又はガスケットを提供し、それにより義歯を口腔内に確実に配置するために配合される。合成と天然の両方のポリマー及びゴム類が、特定の欠点を緩和するために、単独で、組み合わされて、そして多様な接着剤及び他の材料と組み合わされて使用されてきた。これらの欠点には、不十分な保持力、挿入時及び着用している間の義歯床の下からの接着剤のはみ出し、並びに口及び義歯からの残留接着剤を取り除くことの困難さ及び汚さが挙げられる。
【0003】
他の問題点も義歯の着用に関連する。義歯に閉じ込められた食物により、歯垢、粘質沈着物、及び細菌性沈着物などが、着用している間に義歯に蓄積し得る。歯垢及び細菌性沈着物を有する義歯は、短期間に粘膜に有害な影響を与え、悪臭を発することになる。歯垢及び細菌沈着物は、また、変色の恐れのある、プラスチック材料のいわゆる細菌腐食を引き起こすことができる。
【0004】
特定のシリコーン類が、歯を皮膜し、虫歯を防ぎ、汚れを防止するため、歯磨剤及び口内洗浄剤のような義歯洗浄組成物及び口腔ケア製品に使用されることが知られている。例えば、GB−A−689,679は、タール、汚れ、歯石及び食物粒子の歯への付着を防止するか、又は歯から取り除くため、オルガノポリシロキサンを含有するうがい薬を開示している。米国特許第2,806,814号は、アミノカルボン酸化合物の高級脂肪族アシルアミドとシリコーン化合物とを組み合わせて包含する歯科調製物を開示している。ジメチルポリシロキサンは、特に有効であると言われている。米国特許第3,624,120号は、カチオン性界面活性剤、殺菌剤として、及び反う蝕剤として使用される、環状シロキサンポリマーの第四級アンモニウム塩を開示している。他の参考文献には、米国特許第5,759,523号(ヒューズ(Hughes)ら、1998年6月2日発行);同第5,827,505号(ヒューズ(Hughes)ら、1998年10月27日発行);同第6,004,538号(ヒューズ(Hughes)ら、1999年12月21日発行);同第5,154,915号(ウエバー(Weber)ら、1992年10月13日発行);同第5,427,770号(ヴィッカロ(Viccaro)ら、1995年6月27日発行);同5,188,822号(ヴィッカロ(Viccaro)ら、1993年2月23日発行)が挙げられる。しかし、上記の参考文献のうちどれも、本発明のシリコーン剤を、有効接着量の義歯接着剤構成成分も含む非水性義歯接着剤組成物に組み込むことが、抗歯垢、汚れ防止、及び/又は抗沈着効果を特に非水性マトリックスにおいて提供することを教示しているものはない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明によると、抗歯垢/汚れ防止剤を有する接着剤構成成分を含む義歯接着剤組成物は、優れた保持、並びに優れた抗歯垢、汚れ防止、及び/又は抗沈着効果を義歯着用者に提供することが発見された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記:
a.安全且つ接着有効な量の義歯接着剤構成成分;
b.ジメチコンコポリオール、シリコーン界面活性剤、アミノアルキルシリコーン、オルガノシロキサン樹脂、及びこれらの混合物から成る群から選択される、安全且つ有効な量の抗歯垢又は汚れ防止剤;及び
c.非水性義歯接着剤担体、を含む義歯接着剤組成物に関する。
【0007】
加えて、本発明は、上記の組成物及び少なくとも1つの非接着性自立支持層を含む義歯接着剤組成物に関する。本発明の義歯接着剤組成物は、任意に1つ以上の追加の接着剤構成成分を含むことができる。本発明は、更に、口腔に上記の義歯接着剤組成物を適用することにより、抗歯垢、汚れ防止及び/又は抗沈着効果又は作用を、それを必要とする義歯着用者の口腔において増加する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の必須及び任意構成成分の詳細を下記に示す。
【0009】
(定義)
用語「安全且つ有効な接着量」は、本明細書で使用する時、口腔への付着、及び/又は口腔の口蓋及び隆起部への歯科補綴物の付着を、ユーザーに対する毒性、口腔組織への損傷、及び義歯材料の変質なしに提供するために有効な量を意味する。用語「安全且つ有効な量」は、本明細書で使用する時、正しい医療判断の範囲内で、治療を受ける条件を著しく(肯定的に)変えるのに十分なほど多いが、深刻な副作用を(妥当な利益/危険比(benefit/risk ratio)で)回避するのに十分なほど少ない成分(例えば、抗歯垢剤)の量を意味する。成分(例えば、抗歯垢剤)の安全且つ有効な量は、治療される特定の条件、治療される患者の年齢及び体調、状態の重篤度、治療の期間、併用治療の性質、使用される抗歯垢剤の特定の形態、及びそれによって抗歯垢剤が塗布される特定のビヒクルにより変わることになる。
【0010】
用語「AVE/MA」は、本明細書で使用する時、アルキルビニルエーテル−マレイン酸コポリマーを意味する。用語「混合ポリマー塩」又は「混合塩」は、本明細書で使用する時、アルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水物コポリマーの塩を意味し、ここで、少なくとも2つのカチオンが、同一のポリマーにおいて、互いに又は他のエステル官能基と混合している。本発明は、別の実施形態において、亜鉛カチオンを含有する混合ポリマー塩を含む。
【0011】
用語「遊離酸」(「FA」)構成成分は、本明細書で使用する時、アルキルビニルエーテル−マレイン酸ポリマーの未反応カルボキシル基(−COOH)、又はアルキルビニルエーテル−マレイン酸ポリマーの未反応カルボキシル基(−COOH)とポリマーのカルボキシル基の他のあらゆる一価カチオン類、例えば、−COONa、を加えたもののいずれかを意味する。一価カチオン類には、ナトリウム、カリウム、水素などのようなIA族のカチオン類が挙げられる。別の実施形態において、用語「遊離酸」は、アルキルビニルエーテル−マレイン酸ポリマーの未反応カルボキシル基(−COOH)と、ナトリウム及びカリウムカチオンを意味する。さらに別の実施形態では、用語「遊離酸」は、アルキルビニルエーテル−マレイン酸ポリマーの未反応カルボキシル基(−COOH)のみを意味する。
【0012】
アルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水物コポリマーのカチオン性塩機能を記載するために本明細書で使用される百分率は、ポリマーで反応した最初のカルボキシル基全ての化学量論的百分率として定義される。本明細書で使用される他の全ての百分率は、他に指示がない限り組成物の重量による。本明細書で参照されている全ての測定は、他に指示がない限り25℃で行なわれている。本明細書中で参照されている成分の百分率、比率及び濃度は、全て、他に指示がない限り、成分の実際の量に基づき、市販の製品として成分と組み合わされうる溶媒、充填剤又は他の材料を包含しない。
【0013】
本明細書に記載された全ての出版物、特許出願及び発行された特許は、その全体を参考として本明細書に組み込まれる。いかなる参照文献の引用も、特許請求する本発明に対する従来技術としての有用性の決定に関する容認ではない。
【0014】
ここで、「含む」は、用語「から成る」及び「から実質的に成る」を包含する。
【0015】
(義歯接着剤構成成分)
本発明の組成物は、安全且つ有効な接着量の義歯接着剤構成成分を含む。接着剤構成成分は、組成物の約0.1重量%〜約99.9重量%、別の実施形態では、約10重量%〜約70重量%、さらに別の実施形態では、約20重量%〜約50重量%の濃度で存在する。
【0016】
接着剤構成成分には、天然ゴム類、合成ポリマーゴム類、アルキルビニルエーテルマレイン酸コポリマー、アルキルビニルエーテル無水物コポリマー、アルキルビニルエーテルマレイン酸コポリマーの塩、合成ポリマー、粘膜付着性ポリマー、水分に暴露されると膨張して粘質塊を形成する特性を有する親水性の水溶性コロイド又はポリマー、親水性ポリマー、糖誘導体、セルロース誘導体、及びこれらの混合物が挙げられる。1つの実施形態において、接着剤構成成分は、アルキルビニルエーテル−マレイン酸ポリマー及びその塩、セルロース誘導体、カラヤゴム、グアーガム、ゼラチン、アルギン、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、キトサン、ポリエチレングリコール、アクリルアミドポリマー、カーボポール、ポリビニルアルコール、ポリアミン、ポリ四級化合物、ポリブテン、シリコーン、エチレンオキシドポリマー、ポリビニルピロリドン、カチオン性ポリアクリルアミドポリマー、並びにこれらの混合物である。他の実施形態では、接着剤構成成分は、アルキルビニルエーテル−マレイン酸ポリマー及びその塩、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、カラヤゴム、アルギン酸ナトリウム、キトサン、ポリビニルアルコール、並びにこれらの混合物である。さらに別の実施形態では、接着剤構成成分は、アルキルビニルエーテル−マレイン酸ポリマー及びその塩、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロースのようなセルロース誘導体、並びにこれらの混合物である。
【0017】
(アルキルビニルエーテル−マレイン酸コポリマー)
アルキルビニルエーテル−マレイン酸ポリマーは、下記の反復構造単位から実質的に成り、
【0018】
【化1】

式中、Rは、アルキルラジカルを表し、別の実施形態では、C1〜C5アルキルラジカルを表し、nは、1より大きい整数であり、ポリマーの分子における構造単位に反復して現れる回数を表す。
【0019】
本発明に有用なアルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水物コポリマーは、好ましくはカチオン性塩機能を含む、混合塩の形態である。1つの実施形態において、接着剤構成成分は、アルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水物コポリマーの塩であり、ここでコポリマーは、周期律表IA族及び2A族のカチオン類、イットリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ホウ素、アルミニウムカチオン及びこれらの混合物、別の実施形態では、ストロンチウム、亜鉛、鉄、ホウ素、アルミニウム、バナジウム、クロム、マンガン、ニッケル、銅、イットリウム、チタン、マグネシウム、カルシウム、ナトリウムカチオン及びこれらの混合物;さらに別の実施形態では、ストロンチウム、亜鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、ナトリウムカチオン及びこれらの混合物から成る群から選択されるカチオンを含むカチオン性塩機能を含有する。
【0020】
別の実施形態において、混合塩は、亜鉛カチオンを(反応した最初のカルボキシル基全体の)約5%〜約50%、別の実施形態では、約10%〜約40%、さらに別の実施形態では、約10%〜約35%含有する。これらの亜鉛カチオンは、約5%〜約65%、別の実施形態では、約10%〜約60%のストロンチウムカチオン;約0.001%〜約2.5%、別の実施形態では、約0.01%〜約2%の鉄、ホウ素、アルミニウム、バナジウム、クロム、マンガン、ニッケル、銅、イットリウム、及び/又はチタン;約5%〜約65%、別の実施形態では、約15%〜約50%のカルシウム、ジルコニウム及び/又はマグネシウムから成る群から選択される他のカチオンと混合されることができる。
【0021】
他のAVE/MA塩又は酸が、本発明において使用されることができ、米国特許第6,239,191号(ウォング(Wong)ら、2001年5月29日発行);同第5,073,604号(ホレバ(Holeva)ら、1991年12月17日発行);同第5,424,058号(ラジャイア(Rajaiah)ら、1995年6月13日発行);同第5,525,652号(クラーク(Clarke)ら、1996年6月11日発行);同第4,758,630号(シャー(Shah)ら、1988年7月19日発行);同第5,304,616号(ラジャイア(Rajaiah)ら、1994年4月19日発行);同第5,830,933号(シノディス(Synodis)ら、1998年11月3日発行);同第3,003,988号(ジャーマン(Germann)ら、1961年10月10日発行);同第5,750,591号(クラーク(Clarke)ら、1998年5月12日発行);同第5,872,161号(リアング(Liang)ら、1999年2月16日発行);同第5,750,591号(クラーク(Clarke)ら、1992年5月12日発行);同第5,525,652号(クラーク(Clarke)ら、1996年6月11日発行);同第5,830,933号(シノディス(Synodis)ら、1998年11月3日発行);同第6,025,411号(ウォング(Wong)ら、2000年2月15日発行);同第2,047,398号(ボス(Voss)ら、1936年7月14日発行);同第3,003,988号(ジャーマン(Germann)ら、1961年10月10日発行);に開示されており、これらは全てその全体が参照として組み込まれる。
【0022】
1つの実施形態において、塩コポリマーにおける遊離酸の濃度は、コポリマーにおける最初のカルボキシル基全体の少なくとも約36%、別の実施形態では、約36%〜約60%、さらに別の実施形態では、約40%〜約55%である。
【0023】
出発コポリマー酸又はコポリマー無水物の比粘度は、好ましくはMEK(メチルエチルケトン)の1%重量/溶液の溶液中、25℃で測定した場合、約1.0であり、別の実施形態では、約2.5である。DME(ジメチルホルムアミド)の1%重量/容量の溶液で25℃及び2−ブタノンの1%重量/容量の溶液で25℃のような他の方法及び溶媒を使用して比粘度を測定することができる。
【0024】
アルキルビニルエーテル無水マレイン酸ポリマー類は、米国特許第6,355,706B1号(ラジャイア(Rajaiah)ら、2002年3月12日発行)で記載された方法により容易に得ることができ、これは参照として本明細書に組み込まれる。
【0025】
本発明の組成物は、1つの実施形態において、安全且つ有効な接着量のAVE/MA又は無水物コポリマーの塩、別の実施形態では、組成物の少なくとも20重量%、別の実施形態では、少なくとも25重量%、さらに別の実施形態では、少なくとも30重量%のAVE/MA又は無水物コポリマーの塩を単独の接着剤構成成分として、又は他の接着剤構成成分と共に使用する共接着剤として含む。
【0026】
(抗歯垢/汚れ防止剤)
抗歯垢、汚れ防止、抗沈着剤は、ジメチコンコポリオール、シリコーン界面活性剤、アミノアルキルシリコーン、オルガノシロキサン樹脂、及びこれらの混合物から成る群から選択される。別の実施形態において、抗歯垢/汚れ防止剤は、ジメチコンコポリオール、シリコーン界面活性剤、アミノアルキルシリコーン、及びこれらの混合物から成る群から選択され;別の実施形態では、ジメチコンコポリオール、シリコーン界面活性剤、オルガノシロキサン樹脂、及びこれらの混合物から成る群から選択され;さらに別の実施形態では、シリコーン界面活性剤、アミノアルキルシリコーン、オルガノシロキサン樹脂、及びこれらの混合物から成る群から選択され;さらに別の実施形態では、ジメチコンコポリオール、アミノアルキルシリコーン、オルガノシロキサン樹脂、及びこれらの混合物から成る群から選択され;さらに別の実施形態では、ジメチコンコポリオールから成る群から選択される。
【0027】
(ジメチコンコポリオール)
ジメチコンコポリオールは、式(II)を有するアルキル−及びアルコキシ−ジメチコンコポリオールから選択され、
【0028】
【化2】

式中、Xは、水素、約1〜約16個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ及びアシル基から成る群から選択され、Yは、約8〜約22個の炭素原子を有するアルキル及びアルコキシ基から成る群から選択され、nは約0〜約200であり、mは、約1〜約40であり、qは、約1〜約100であり、残基(C24O−)x(C36O−)yXの分子量は、約50〜約2000であり、別の実施形態では、約250〜約1000であり、そしてx及びyは、オキシエチレン:オキシプロピレンの重量比が、約100:0〜約0:100であるようなもので、別の実施形態では、約100:0〜約20:80であるようなものである。好ましい実施形態において、ジメチコンコポリオールは、C12〜C20アルキルジメチコンコポリオール及びこれらの混合物から選択される。極めて好ましいものは、ゴールドシュミット(Goldschmidt)からアビル(Abil)(登録商標)EM90の商品名で市販されているセチルジメチコンコポリオールである。
【0029】
ジメチコンコポリオールは、一般に、約0.001重量%から約30重量%、別の実施形態では、約0.01重量%〜約5重量%、さらに別の実施形態では、約0.1重量%〜約1.5重量%の濃度で存在する。
【0030】
(シリコーン界面活性剤)
本発明のシリコーン界面活性剤は、一般式(II)を有し、式中、Xは、水素、約1〜約16個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ及びアシル基から選択され、Yは、CH3であり、qは0であり、nは、約1〜約100であり、mは、約1〜約40であり、残基(C24O−−)x−−(C36O−−)yXの分子量は、約50〜約2000であり、別の実施形態では、約250〜約1,000であり、そしてx及びyは、オキシエチレン:オキシプロピレンの重量比が、約100:0〜約0:100であるようなもので、別の実施形態では、約100:0〜約20:80であるようなものである。
【0031】
1つの実施形態において、シリコーン界面活性剤は、14を超えるHLB値を有するジメチコンコポリオール類、及びこれらの混合物から選択される。別の実施形態では、シリコーン界面活性剤は、末端保護された(Xは、アルキルであり、より好ましくはメチルである)ジメチコンコポリオール類であり、特に、商品名シルベット(Silwet)L7600(CAS登録番号68938−54−5、ユニオンカーバイド社製(Union Carbide))で市販されているような、ペンダント側鎖が全てオキシエチレン(yは0である)であるものである。別の実施形態では、シリコーン界面活性剤は、シルベット(Silwet)L7230(CAS登録番号68937−55−3、ユニオンカーバイド社製(Union Carbide))である。シリコーン界面活性剤は、一般に、約0.01重量%〜約25重量%、好ましくは約0.3重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約2重量%の濃度で存在する。1つの実施形態において、シリコーン界面活性剤は、ジメチコン(dimthicone)コポリオールと組み合わせて使用され、シリコーン界面活性剤とジメチコンコポリオールの一般的な重量比は、約0.5:1〜15:1であり、別の実施形態では、約1:1〜10:1であり、さらに別の実施形態では、約2:1〜8:1である。
【0032】
(アミノアルキルシリコーン)
アミノアルキルシリコーンは、次の2つの塩基性単位を含む式を有する、疎水性の非環状アミノアルキルシリコーンであり、
1)(R1m(R)nSiO(4-m-n)/2(ここで、m+nは、1、2又は3であり;nは、1、2又は3であり;mは、0、1又は2である);及び
2)(R1a(R2bSiO(4-a-b)/2(a+bは、1、2、又は3であり、そしてa及びbは、整数である)
式中、R1及びR2は、水素、任意にフルオロ又はシアノ基で置換されている炭素原子約1〜約10個のアルキル及びアルケニル、ヒドロキシ、アルコキシ、及びアセトキシから成る群から独立して選択され、例えば、R1及びR2は、メチル、エチル、フェニル、ビニル、トリフルオロプロピル及びシアノプロピルから成る群から独立して選択され、そしてRは下記であり:
【0033】
【化3】

式中、R3は、O原子で任意に置換又は中断されている炭素原子1〜20個、別の実施形態では炭素原子約3〜約5個の二価アルキレンであり、同一又は異なっていてもよい、R4、R5及びR6は、水素、任意にN、O又はN及びO原子の混合物で置換又は中断されている炭素原子約1〜約20個、別の実施形態では約1〜約10個、さらに別の実施形態では約1〜約4個のアルキルから成る群から選択され、そしてX-は、ハロゲン化物、水酸化物、及びトシラートのような一価のアニオンであり、前記アミノアルキルシリコーンは、反復単位として単位(1)を約60%以下、別の実施形態では、約0.1〜30%、さらに別の実施形態では、約0.2〜10%、特に約0.5〜2%包含する。
【0034】
1つの実施形態において、アミノアルキルシリコーン類は、アモジメチコーン類を含む。アモジメチコーン類は、アミノアルキル基を含有するポリジメチルシロキサンポリマーである。アミノアルキル基は、ペンダント又はポリジメチルシロキサン鎖の一端若しくは複数の端のいずれかに存在してよい。好ましいものは、アミノアルキル部分Rが、(CH23NH2、(CH23NHCH2CH2NH2、(CH23N(CH2CH2OH)2、(CH23NH3+-、及び(CH23N(CH32(C1837+-から選択され、特に(CH23NH2及び(CH23NHCH2CH2NH2から選択される、アミノアルキルシリコーン類である。1つの実施形態において、アミノアルキルシリコーン類は、約5,000以上、別の実施形態では、約5,000〜約100,000、さらに別の実施形態では、約5,000〜約30,000の平均分子量を有する。本明細書に用いるのに好適なアミノアルキルシリコーン化合物は、周知である。アミノアルキルシリコーン類の調製方法は、例えば、米国特許第2,930,809号に示されており、これはその全体を参照として本明細書に組み込まれる。アモジメチコーン類の例には、ダウ・コーニング社(Dow Corning)のDC−929、DC−Q2−7224及びQ2−8075、並びにOSIのマグナソフト(Magnasoft)流体が挙げられ、後者が好ましい。これらのポリマーは、主にポリジメチルシロキサン構造に結合しているアミノアルキル基を含む。マグナソフト(Magnasoft)のアミノアルキル基含有単位の典型的な構造は下記である。
【0035】
−OSi(Me)C36NHCH2CH2NH2
アミノアルキルシリコーンは、一般に、約0.001重量%〜約30重量%、別の実施形態では、約0.01重量%〜約10重量%、さらに別の実施形態では、約0.1重量%〜約2重量%の濃度で存在する。
【0036】
(オルガノシロキサン樹脂)
シリコーン樹脂は、高度に架橋したポリマーシロキサン系である。架橋は、一官能性又は二官能性又はその両方のシラン類と三官能性及び四官能性シラン類を、シリコーン樹脂の製造中に組み込むことにより導入される。当該分野においてよく理解されているように、シリコーン樹脂を生成するために必要とされる架橋度は、シリコーン樹脂に組み込まれる特定のシラン単位によって異なる。一般に、十分な量の三官能性及び四官能性シロキサンモノマー単位、よって十分な量の架橋を有しており、その結果、乾燥して堅いか又は硬い被膜になるシリコーン物質は、シリコーン樹脂であると見なされる。酸素原子とケイ素原子との比は、特定のシリコーン物質における架橋のレベルを示す。ケイ素原子1個につき少なくとも約1.1個の酸素原子を有するシリコーン物質は、一般に本明細書のシリコーン樹脂となる。1つの実施形態において、酸素:ケイ素原子の比は、少なくとも約1.2:1.0である。
【0037】
シリコーン物質、特にシリコーン樹脂は、当該技術分野において「MDTQ」命名法として当業者に周知である省略命名法のシステムに従って都合よく同定される。このシステムでは、シリコーンはそのシリコーンを構成する種々のシロキサンモノマー単位の存在により記載される。簡潔に、記号Mは、一官能性単位(CH33SiO).5を意味し;Dは、二官能性単位(CH32SiOを意味し;Tは、三官能性単位(CH3)SiO1.5を意味し;そしてQは、四(quadra- or tetra-)官能性単位SiO2を意味する。加工の結果として、約5%までの少量のシラノール又はアルコキシ官能基もまた樹脂構造中に存在してもよいことに留意するべきである。
【0038】
ダッシュの付いた単位記号、例えばM’、D’、T’及びQ’は、メチル以外の置換基を表し、それぞれの存在を具体的に定義しなければならない。典型的な代替置換基としてはビニル、フェニル、アミノ、ヒドロキシルなどの基が挙げられる。種々の単位のモル比は、シリコーンにおける各種の単位の総数若しくはその平均を示す記号の下付き文字か又は分子量と組み合わせた具体的に示された比として、MDTQシステムに基づくシリコーン物質の記載を完了させる。シリコーン樹脂内のD、D’、M及び/又はM’に対する、T、Q、T’及び/又はQ’の相対モル量がより高いことは、架橋の程度がより高いことを示している。しかし、前に議論したように、架橋の全体的なレベルはまた、酸素とケイ素の比によって示すことができる。
【0039】
オルガノシロキサン樹脂は、約25℃で固体であり、樹脂の平均分子量は約1,000〜約10,000である。樹脂は、トルエン、キシレン、イソパラフィン類、シクロシロキサン類及びこれらの混合物のような有機溶媒に溶解性である。
【0040】
1つの実施形態において、本明細書で使用されるシリコーン樹脂は、MQ、MT、MTQ、及びMDTQ樹脂である。MQ樹脂は、米国特許第5,330,747号(クルジスキー(Krzysik)、1994年7月19日発行)で開示されている。従って、1つの実施形態において、シリコーン置換基はメチルである。別の実施形態では、樹脂はMQ樹脂であり、M:Q比は、約0.5:1.0〜約1.5:1.0である。これらのようなオルガノシロキサン樹脂は市販されており、例えば、ワッカー・シリコーン社(Wacker Silicones corporation)(米国ミシガン州エードリアン)から入手可能なワッカー(Wacker)803及び804、並びにゼネラル・エレクトリック社(General Electric Company)から入手可能なG.E.1170−002(SR1000)がある。
【0041】
一般に、本発明で使用される樹脂の濃度は、約0.1%〜約50%、好ましくは約0.5%〜約30%、さらにより好ましくは約1%〜約10%である。
【0042】
(流体ジオルガノポリシロキサン系ポリマー)
上記で開示されたオルガノシロキサン樹脂に加えて、本発明の組成物は、オルガノシロキサン樹脂と組み合わされる、流体ジオルガノポリシロキサン系ポリマーを任意に更に含んでよい。本発明で有用な前記流体ジオルガノポリシロキサン系ポリマーは、広範囲の粘度;25℃で約1E−5〜約10m2/s(約10〜約10,000,000センチストークス(cSt))を持つ。本発明で有用な幾つかのジオルガノポリシロキサンポリマーは、25℃で約10m2/s(10,000,000センチストークス(cSt))を超える粘度を示し、従って製造会社特定の浸透試験により特性決定される。この特性決定の例は、浸透規格がそれぞれ500〜1500及び250〜600(10分の1ミリメートル)であるGEシリコーン材料SE30及びSE63である。
【0043】
そのうち、本発明の流体ジオルガノポリシロキサン系ポリマーは、反復単位を含むジオルガノポリシロキサンポリマーであり、前記単位は、式(R2SiO)nに対応し、式中、Rは、1〜6個の炭素原子を含有する一価のラジカルであり、1つの実施形態では、これらは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、アミル、ヘキシル、ビニル、アリル、シクロヘキシル、アミノアルキル、フェニル、フルオロアルキル及びこれらの混合物から成る群から選択される。本発明で使用される流体ジオルガノポリシロキサンポリマーは、1つ以上の前記ラジカルをシロキサンポリマー主鎖の置換基として含有してもよい。流体ジオルガノポリシロキサンポリマーは、式(R’3Si)のトリオルガノシリル基によって終端されてもよく、式中、R’は、1〜6個の炭素原子を含有するラジカル、ヒドロキシル基、アルコキシル基、及びこれらの混合物から成る群から選択される一価のラジカルである。
【0044】
シリコーンゴムは、下記の式に対応し、
【0045】
【化4】

式中、Rは、メチル基である。
【0046】
これらのような流体ジオルガノポリシロキサンポリマーは市販されており、例えば、ゼネラル・エレクトリック社(General Electric Company)から入手可能なSE30シリコーンゴム及びSF96シリコーン流体である。同様の材料をダウ・コーニング社(Dow Corning)及びワッカーシリコーンズ社(Wacker Silicones)から得ることもできる。
【0047】
本発明の1つの実施形態において、オルガノシロキサン樹脂と流体ジオルガノポリシロキサン系ポリマーの比は約10:1〜約1:10であり、別の実施形態では、約2:1〜約8:1であり、さらに別の実施形態では、約4:1〜約6:1である。
【0048】
(非水性ビヒクル)
非水性ビヒクルの濃度は、組成物の約10重量%〜約90重量%、別の実施形態では、約20重量%〜80重量%、さらに別の実施形態では、約20重量%〜約60重量%である。
【0049】
非水性ビヒクルは、一般に、あらゆる物理的形態のあらゆる化学薬品であり、約3%未満、別の実施形態では約1%未満の水を含有し、別の実施形態では、実質的に水を含有しない。1つの実施形態において、非水性ビヒクルは、流動パラフィン、ワセリン、鉱油、シリコーンオイル、ポリブテン、グリセリン、天然及び合成油、脂肪、ポリビニルアセテート、蜜蝋、ラノリン及びセラックなどの動物ろうのような天然及び合成ろう、炭化水素、炭化水素誘導体、カルナウバろう、キャンデリラろう及びヤマモモろうのような植物油ろう、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドのような植物油から成る群から選択され、別の実施形態では、流動パラフィン、ワセリン、鉱油、トウモロコシ油、大豆油、綿実油、ヒマシ油、パーム油及びココヤシ油のような植物油、魚油及びオレイン酸のような動物油、並びにこれらの混合物から成る群から選択され、さらに別の実施形態では、鉱油又はワセリンである。
【0050】
(任意の非接着性自立層)
本発明の義歯接着剤組成物は、任意に、少なくとも1つの非接着性自立層を含む。非接着性自立層は、その強度を維持する能力により特徴づけられ、接着剤組成物に水及び/又は唾液中での一体性を提供する。非接着性自立層は、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、レーヨン、酢酸セルロース、非接着性セルロース誘導体、布、繊維状フリース、紙、プラスチック、皮革、微晶性ろう、合成繊維、天然繊維、及びこれらの混合物のような材料を挙げることができる。好ましいものは、非接着性セルロース誘導体、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、レーヨン、布、紙、微晶性ろう、及びこれらの混合物である。より好ましいものは、ポリエステル、ポリプロピレン、レーヨン、ナイロン、布、及び紙、並びにこれらの混合物である。
【0051】
非接着性自立層は、本発明の接着剤組成物に強度及び/又は一体性を提供するのに好適なあらゆる物理的形態であってよい。そのような物理的形態には、不織布、織物、連続、細断、及びこれらの組み合わせが挙げられる。加えて、非接着性自立層は、当該技術分野において通常知られているあらゆるプロセスにより形成されてよい。そのようなプロセスには、非接着、スプレー接着、スパンボンド、ニードルパンチ、カード法、熱接着水流交絡、メルトブロー、開口転写固着、ニードルド(needled)、湿式載置、乾式載置(dry-laid)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0052】
(その他の任意成分)
加えて、1つ以上の毒物学的に許容されうる可塑剤が、本発明の組成物に含まれてもよい。用語「毒物学的に許容されうる」は、本明細書で使用する時、毒性特性が、ヒト及び/又は下等動物に投与するために適している物質を記載するために使用される。本発明の組成物に使用してよい可塑剤には、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、イゲパール(Igepal)(登録商標)、ガファック(Gafac)(登録商標)、ソルビトール、リン酸トリクレシル、セバシン酸ジメチル、エチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、o−及びp−トルエンエチルスルホンアミド、及びこれらの混合物が挙げられる。可塑剤は、組成物の約0重量%〜約70重量%、別の実施形態では、約1重量%〜約30重量%の濃度で存在してよい。
【0053】
他の好適な成分には、着色剤、メチル及びプロピルパラベンのような防腐剤、二酸化ケイ素及びポリエチレングリコールのような増粘剤が挙げられる。好ましいものは、ポリエチレングリコール及び二酸化ケイ素である。着色剤、防腐剤及び増粘剤は、組成物の約0重量%〜約20重量%、別の実施形態では、約1重量%〜約10重量%の濃度で存在してよい。
【0054】
(風味剤、芳香剤、感覚剤)
本発明の組成物は、風味、芳香、及び/又は知覚効果を提供する1つ以上の構成成分(暖気剤又は涼気剤)を含んでもよい。好適な構成成分には、天然又は合成甘味剤、メントール、メンチルラクテート、冬緑油、ペパーミント油、スペアミント油、葉アルコール、クローブ芽油、アネトール、サリチル酸メチル、ユーカリプトール、カシア桂皮、1−メンチルアセテート、セージ、オイゲノール、パセリ油、オキサノン、α−イリソン、マージョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグエトール、シナモン、バニリン、チモール、リナロール、CGAとして知られているシンナムアルデヒドグリセロールアセタール、及びこれらの混合物、並びに冷却剤が挙げられる。冷却剤は、様々な物質のいずれかのものとすることができる。このような物質に含まれるものは、カルボキサミド、メントール、ケタール、ジオール及びこれらの混合物である。本組成物に好ましい冷却剤は、「WS−3」として商業的に既知であるN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、「WS−23」として既知であるN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、及びこれらの混合物のようなパラメンタンカルボキシアミド剤である。追加の好ましい冷却剤は、メンソール、高砂(Takasago)製のTK−10として既知である3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、ハーマン・アンド・ライマー(Haarmann and Reimer)製のMGAとして既知であるメントングリセロールアセタール、及びハーマン・アンド・ライマー製のフレスコラト(Frescolat)(登録商標)として既知であるメンチルラクテートから成る群から選択される。本明細書で使用されるメントール及びメンチルという用語には、これらの化合物の右旋性及び左旋性異性体、並びにこれらのラセミ混合物が包含される。TK−10は、米国特許第4,459,425号(アマノ(Amano)ら、1984年7月10日発行)に記載されている。WS−3及びその他の薬剤は、米国特許第4,136,163号(ワトソン(Watson)ら、1979年1月23日発行)に記載されており、両方の開示はその全体を参照として本明細書に組み込まれる。これらの剤は、組成物の約0重量%〜約50重量%の濃度で存在してよい。
【0055】
(組成物の調製方法)
本発明の義歯接着剤組成物(クリーム、粉末、ウエファー、液体、エアゾール、ペースト)の調製方法は、当該技術分野において開示されている従来の方法を含む。従来の方法は、米国特許第5,525,652号(クラーク(Clarke)ら、1996年6月11日発行);米国特許第3,003,988号(ジャーマン(Germann)ら、1961年10月10日発行);米国特許第5,073,604号(ホレバ(Holeva)ら、1991年12月17日発行);及び米国特許第5,872,161号(リアング(Liang)ら、1999年2月16日発行)で教示されており、これらは全てその全体を参照として本明細書に組み込まれる。
【0056】
非接着性自立層を任意に含む本発明の義歯接着剤組成物の調製方法は、接着剤構成成分の計量した量を非接着性自立層にコーティングすることを含む。このプロセスは、米国特許第5,877,233号(リアング(Liang)ら、1999年3月2日発行);米国特許第5,872,160号(リアング(Liang)ら、1999年2月16日発行);米国特許第5,880,172号(ラジャイア(Rajaiah)ら、1996年10月25日出願)で開示されており、これらは全てその全体を参照として本明細書に組み込まれる。
【0057】
(組成物の使用方法)
本発明は、更に、歯垢及び汚れの減少を、それを必要とする義歯着用者の口腔において、上記義歯接着剤組成物を口腔に適用することにより行う方法に関する。接着剤組成物は、粉末、クリーム、ペースト、液体、エアゾール、及び/又はウエファーの形態であってよい。粉末形態は、歯科補綴物上に振りかけられ、湿らされ、次いで口腔内に挿入される。組成物は、多様な従来の送達ビヒクルと組み合わされて液体又はペーストを形成してもよく、それらは、歯科補綴物に塗布され、口腔に挿入される。これらの組成物は、少なくとも1つの非接着性自立層を任意に含むことができる。自立層を有する義歯接着剤組成物は、十分に湿らされ、義歯に適用される。上記組成物は、義歯に、直接口腔に、口腔の口蓋又は隆起部に適用されるか、又はその両方に適用され、その後、義歯は口腔の隆起部又は口蓋に固定される。
【0058】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に記載し、実証するものである。実施例は、説明の目的のためのみに提示され、本発明を制限するものと解釈されるべきではない。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、これらの多くの変更が可能である。
【実施例】
【0059】
(実施例I)
クリームの形態の義歯安定組成物は、下記の成分を一緒に混合することにより製造できる。
【0060】
【表1】

1アビル(Abil)EM90、マグナソフト(Magnasoft)流体、ワッカー(Wacker)803、シルウェット(Silwet)L7600、又はこれらの混合物のいずれか1つ。
【0061】
【表2】

2アビル(Abil)EM90、マグナソフト(Magnasoft)流体、ワッカー(Wacker)803、シルウェット(Silwet)L7600、又はこれらの混合物のいずれか1つ。
【0062】
赤色染料、抗歯垢/汚れ防止剤、ワセリン、及び鉱油をガラスジャー中、50〜60℃で、視覚的に均一になるまで計量、加熱及び混合する。次いで粉末(コロイド二酸化ケイ素、CMC、AVE/MAコポリマー塩、及びAVE/MA酸コポリマー)を容器中で一緒に計量し、振り混ぜる。その後、粉末を、視覚的に均一のピンク色のクリームになるまで、スパチュラを用いて液体中で混合する。上記クリームは、AVE/MA塩を0から10gまで、ワセリンを0から10gまで、及び/又はCMCを0から10gまで、増加又減少することにより変性できる。上記クリーム組成物は、また、多様なAVE/MA混合ポリマー塩及び/又は酸の混合物を使用して変性することができる。組成物は、また、DC−929、DC Q2 7224、Q2 8075、ワッカー(Wacker)804,GE1170−002(SR1000)、及びこれらの混合物のような別の抗歯垢/汚れ防止剤に代えることにより更に変性できる。被験者は、0.1〜2gのクリーム組成物を義歯の上に置く。次いで被験者は、その義歯を自分の口腔に挿入し、所定の位置に押しつける。
【0063】
(実施例II)
粉末形態の義歯安定組成物は、下記の成分を一緒に混合することにより製造できる。
【0064】
【表3】

3アビル(Abil)EM90、マグナソフト(Magnasoft)流体、ワッカー(Wacker)803、シルウェット(Silwet)L7600、又はこれらの混合物のいずれか1つ。
【0065】
必要であれば抗歯垢剤を噴霧しながら、全ての構成成分を一緒に混合する。上記の組成物は、AVE/MA混合塩を0から50gまで、及び/又はCMCを0から40gまで増加又は減少させることにより変性できる。上記粉末組成物は、また、多様なAVE/MA混合塩及び/又は酸の混合物を使用して変性することができる。被験者は、0.1〜2gの組成物を予め湿らせた義歯の上に置き、しばらく水和させる。次いで被験者は、その義歯を自分の口腔に挿入し、所定の位置に押しつける。
【0066】
(実施例III)
ウエファー形態の義歯安定組成物は、58”×13.3”(147.3cm×33.8cm)の不織布ポリエステル(非接着性自立層)を水で濡らすことにより製造できる。この濡れたシートを上記実施例IIで示した組成物により均一にコーティングする。その後、層を水で再湿潤する。層を乾燥する。組成物をリングローラーで機械的に軟化し、次いで組成物を液圧プレスで平滑にする。組成物を所望の形状に打抜く。これらのウエファー組成物を湿らせ、義歯に適用する。次いで義歯を口腔に挿入し、所定の位置に押しつける。
【0067】
これらのウエファー組成物は、AVE/MA混合コポリマー塩を0から60gまで、及び/又はCMCを0から60gまで増加するか又は減少して、変性することができる。上記ウエファー組成物は、また、多様なAVE/MA混合塩及び/又は酸の混合物を使用して、変性することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
義歯接着剤組成物であって:
a.好ましくは義歯接着剤構成成分が15重量%〜60重量%の濃度であり、天然ゴム類、合成ポリマーゴム類、アルキルビニルエーテルマレイン酸コポリマー、アルキルビニルエーテル無水物コポリマー、アルキルビニルエーテルマレイン酸又は無水物コポリマーの塩、セルロース誘導体、及びこれらの混合物から成る群から選択される、安全且つ有効な接着量の義歯接着剤構成成分、及び
b.ジメチコンコポリオール、シリコーン界面活性剤、アミノアルキルシリコーン、オルガノシロキサン樹脂、及びこれらの混合物から成る群から選択される、安全且つ有効な量の抗歯垢又は汚れ防止剤;並びに
c.好ましくはワセリン、流動パラフィン、鉱油、グリセリン、ポリブテン、及びこれらの混合物から成る群から選択される非水性義歯接着剤担体、
を含む義歯接着剤組成物。
【請求項2】
抗歯垢又は汚れ防止剤が、式(II)を有するアルキル−及びアルコキシ−ジメチコンコポリオールであり、
【化1】

式中、Xは、水素、約1〜約16個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ及びアシル基から成る群から選択され、Yは、約8〜約22個の炭素原子を有するアルキル及びアルコキシ基から成る群から選択され、nは0〜約200であり、mは約1〜約40であり、qは約1〜約100であり、残基(C24O−)x(C36O−)yXの分子量は、約50〜2000であり、そしてx及びyは、オキシエチレン:オキシプロピレンの重量比が100:0〜0:100である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
抗歯垢剤が、0.01%〜5%の濃度で存在し、そしてC12〜C20アルキルジメチコンコポリオール及びこれらの混合物から選択され、好ましくは抗歯垢剤が、セチルジメチコンコポリオールである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
抗歯垢又は汚れ防止剤が0.01重量%〜10重量%の濃度で存在し、そして式(II)を有するシリコーン界面活性剤であり、
【化2】

式中、Xは、水素、1〜16個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ及びアシル基から選択され、Yは、CH3であり、qは0であり、nは1〜100であり、mは約1〜40であり、残基(C240−−)x(C36O−−)yXの分子量は、50〜2000であり、そしてx及びyは、オキシエチレン:オキシプロピレンの重量比が100:0〜0:100であるようなものであり、好ましくは、末端基Xはメチルであり、そしてyは0であり、及びこれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
抗歯垢又は汚れ防止剤が0.01重量%〜10重量%の濃度であり、そして下記の2つの塩基性単位を含む式を有する疎水性の非環状アミノアルキルシリコーンであり、
1)(R1m(R)nSiO(4-m-n)/2(ここで、m+nは1、2又は3であり;nは1、2又は3であり;mは0、1、2である);及び
2)(R1a(R2bSiO(4-a-b)/2(ここで、a+bは1、2、又は3であり、そしてa及びbは整数である)
式中、R1及びR2は、独立して、水素、炭素原子1〜10個のアルキル及びアルケニル、ヒドロキシ、アルコキシ、及びアセトキシから成る群から選択され、そしてRは下記であり:
【化3】

式中、R3は、0原子で任意に置換又は中断されている炭素原子1〜20個の二価アルキレンであり、R4、R5及びR6は同一又は異なってもよく、水素、N、O又はN及びO原子の混合物で任意に置換又は中断されている炭素原子1〜20個のアルキルから成る群から選択され、そしてX-は、一価のアニオンであり、前記アミノアルキルシリコーンは、反復単位として(1)を60%以下含み、ここで好ましくは、Rは(CH23NH2又は(CH23NHCH2CH2NH2である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
抗歯垢又は汚れ防止剤が、MQ、MT、MTQ、及びMDTQ、並びにこれらの混合物から成る群から選択されるオルガノシロキサン樹脂であり、好ましくは抗歯垢剤が、M:Q比が0.5:1.0〜1.5:1.0を有するMQ樹脂である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
義歯接着剤構成成分が、アルキルビニルエーテル−マレイン酸コポリマー、アルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水物コポリマーの塩、セルロース誘導体、及びこれらの混合物から成る群から選択され、好ましくは接着剤構成成分が、アルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水物コポリマーの塩であり、塩が、周期律表のIA族及び2A族のカチオン、イットリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、ナトリウム、及びこれらの混合物から成る群から選択されるカチオンを含むカチオン性塩機能を有し、好ましくはカチオンが、ストロンチウム、亜鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、ジルコニウム、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
組成物が、好ましくはポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、レーヨン、酢酸セルロース、非接着性セルロース誘導体、布地、繊維状フリース、紙、プラスチック、皮革、微晶性ろう、合成繊維、天然繊維、及びこれらの混合物から成る群から選択される、少なくとも1つの非接着性自立層を更に含む、請求項1に記載の義歯接着剤組成物。
【請求項9】
抗歯垢、汚れ防止又は抗沈着効果を、それを必要とする義歯着用者の口腔内に、口腔に請求項1に記載の義歯接着剤組成物を適用することにより提供する方法。

【公表番号】特表2006−518224(P2006−518224A)
【公表日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518507(P2005−518507)
【出願日】平成16年2月20日(2004.2.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/005082
【国際公開番号】WO2004/073661
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)