説明

抗腫瘍性物質BE−24811及びその製造法

【構成】 本発明は、式
【化1】


で表される化合物、その薬学的に許容される塩、その製造法及びその用途、並びに式[I]の化合物を産生する能力を有するタラロマイセス(Talaromyces)属に属する微生物に関する。
【効果】本発明のBE−24811は、ヒト及びマウスの腫瘍細胞に対して、増殖抑制効果を示すことから医薬の分野で抗腫瘍剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は医薬の分野で有用であり、さらに詳細には腫瘍細胞の増殖を阻害し、制癌効果を発揮する新規化合物、その製法及びその用途並びに該新規物質を産生する新規な微生物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】癌化学療法の分野においては、ブレオマイシン(Bleomycin)及びアドリアマイシン(Adriamycin)等の多くの微生物代謝産物を臨床的に応用することが試みられ、またこれらは実際に臨床において使用されている。しかしながら、様々な種類の腫瘍に対してその効果は必ずしも充分ではなく、より優れた新規な抗腫瘍性物質に関して不断の希求があるのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような現状に鑑み、本発明者らは広く微生物代謝産物をスクリーニングすることにより、優れた新規抗腫瘍性物質を見出すことを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ヒト癌細胞に対する増殖阻止作用を指標に、広く微生物代謝産物をスクリーニングすることにより、茨城県北相馬郡守谷町で採取した腐朽樹皮より分離した真菌F24811株が、強い阻害活性を有する物質を産生していることを発見し、この物質を抽出精製、単離し、構造決定を行った結果、下記式[I]で表される新規な化合物が優れた抗腫瘍活性を有することを明らかにし、本発明を完成した。
【0005】即ち、本発明は、新規な式
【0006】
【化4】


で表される化合物又はその薬学的に許容しうる塩、その製法及びその用途並びに構造式[I]の化合物を産生する能力を有するタラロマイセス(Talaromyces)属に属する微生物に関するものである。
【0007】次に、本明細書で言及される各種の用語及び定義について説明する。
【0008】構造式[I]の化合物は、その抗腫瘍性効果及び産生菌株(F24811株)に因んで、抗腫瘍性物質BE−24811と命名した。
【0009】NMR測定における略号の意味を以下に示す。
s :シングレットd :ダブレットt :トリプレットq :カルテットm :マルチプレットbr:ブロードJ :カップリング定数Hz:ヘルツ以下に、本発明化合物の理化学的性状を示す。
BE−24811の理化学的性状性状 :乳白色針状晶分子式:C18214Cl質量スペクトル:高分解能EI−MS:m/z 336.1133[M+
紫外吸収スペクトル:λmax(MeOH,nm(ε)) 230(22,900),293(10,900),344(5,300)
赤外吸収スペクトル νmax(KBr,cm-1):3167,2927,1672,1628,1608,1421,1284,1248,11131H−NMRスペクトル(500MHz,DMSO−d6,δppm):1.68(3H,s),1.79(3H,s),2.02(3H,s),2.56(3H,s),2.99(2H,s),3.30(2H,s),5.23(1H,t),6.09(1H,s),10.11(1H,s),10.39(1H,s),12.81(1H,s)
13C−NMRスペクトル(75MHz,DMSO−d6,δppm):14.4,16.5,20.2,21.8,27.1,54.4,112.7,113.5,113.7,122.7,125.5,129.9,138.5,154.3,157.7,1060.8,194.8,198.0薄層クロマトグラフィー:(メルク社製キーゼルゲル60F254
Rf値:0.58(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=2:1)
溶解性:ジメチルスルフォキシドに易溶、クロロホルム、酢酸エチル、メタノールに可溶、水に不溶。
【0010】
酸性、中性、塩基性物質の区別:酸性物質 呈色反応:ヨウ素反応 陽性 過マンガン酸カリウム反応 陽性 2,4−ジニトロフェニルヒドラジン反応 陽性次に、BE−24811の製造法を説明する。
【0011】本発明者らは、BE−24811を茨城県北相馬郡守谷町で採取した腐朽樹皮より分離されたかびの一種F24811株の培養物より単離した。
【0012】以下にこの生産菌の菌学的性状を説明する。
1.形態子嚢果は直径100〜280μm、球形、明確な壁ができず、コハク色の菌糸で覆われる。子嚢果原基は気菌糸から側枝として生じ、短い膨らんだ細胞から始まる。子嚢は8胞子性。子嚢胞子は淡黄色、楕円形、3.5〜4.5×2.5〜3μm、いぼ状の突起に覆われる。
【0013】分生子柄は長く、280〜480×3〜5μm、複輪生のペニシリとなる。メトレは8〜14×3〜5μmフィアライドは10〜14×2〜2.5μm。分生子は卵形〜楕円形、2〜3×1.5〜2μm、滑面である。
2.各種寒天平板培地における培養性状各種寒天培地を用い、F24811株を28℃で7日間培養した場合の生育的特徴を第1表に示す。表中の色はメツエンハンドブックオブカラー[Methuen Handbook of Colour 第3版,1984年]による色名を基準にした。
【0014】
【表1】


3.生理的、生態的性質■最適生育条件本菌株の至適生育温度は25〜30℃の範囲であり、至適生育pHは4.0〜8.0の範囲である。
■生育の範囲本菌株は15〜34℃の温度範囲及び3.5〜12.0のpH範囲で生育可能である。
【0015】以上の結果より、本菌株を新種と認め、タラロマイセス・リターダタス (Talaromyces retardatus)F24811と命名した。
【0016】なお、本菌株は通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されており、その微工研受託番号は、微工研菌寄第14103号(FERM P−14103)である。
【0017】本発明で使用される微生物は、タラロマイセス属に属し、抗腫瘍性物質BE−24811を産生する能力を有する真菌であればいずれのものでもよいが、好ましくはタラロマイセス・リターダタス F24811又はその変異株が挙げられる。該変異株としては、例えばX線若しくは紫外線等の照射処理、例えばナイトロジェン・マスタード、アザセリン、亜硝酸、2−アミノプリン若しくはN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)等の変異誘起剤による処理又はファージ接触、形質転換、形質導入若しくは接合等の通常用いられる菌種変換処理方法等によりBE−24811産生菌を変異させた微生物が挙げられる。
【0018】本発明のBE−24811は、BE−24811の生産菌株F24811株又はその変異株を栄養源含有培地に接種して好気的に培養させることにより、その培養液及びその菌体からBE−24811を採取し、要すれば薬学的に許容しうる塩とすることにより製造することができる。
【0019】栄養源としては、真菌の栄養源として公知のものが使用でき、炭素源としては、例えば市販されているブドウ糖、グリセリン、麦芽糖、デンプン、庶糖、糖蜜又はデキストリン等が単独又は混合物として用いられる。窒素源としては、例えば市販されている大豆粉、コーングルテンミール、コーンスティープリカー、肉エキス、脱脂肉骨粉、ミートミール、酵母エキス、乾燥酵母、綿実粉、ペプトン、小麦胚芽、脱脂米糠、魚粉、無機アンモニウム塩又は硝酸ナトリウム等が単独又は混合物として用いられる。無機塩としては、例えば市販されている炭酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム又は各種リン酸塩等が単独又は混合物として使用することができる。その他要すれば、鉄、マンガン、コバルト、モリブデン、銅、亜鉛等の重金属塩を微量添加してもよい。また、発泡の著しい時には、消泡剤として、例えば大豆油、亜麻仁油等の植物油類、例えばオクタデカノール等の高級アルコール類、各種シリコン化合物等を適宜添加してもよい。これらのもの以外でも、該生産菌が利用し、BE−24811の生産に役立つものを適宜使用することができ、例えば3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、ホウ酸ナトリウム等が挙げられる。
【0020】培養方法は、一般の微生物代謝産物の生産方法と同様に行うことができ、固体培養でも液体培養でもよい。液体培養の場合は、静置培養、撹拌培養、振盪培養、通気培養等のいずれの培養方法を実施してもよいが、特に振盪培養又は深部通気撹拌培養等が好ましい。培養温度は15℃〜34℃が適当であるが、好ましくは25℃〜30℃である。培地のpHは3.5〜12の範囲、好ましくは4〜8で、培養時間は48時間〜192時間、好ましくは72時間〜144時間である。
【0021】培養液及び菌体から目的とするBE−24811を採取するには、微生物の生産する代謝物の培養物から採取するのに通常使用される分離手段が適宜利用される。BE−24811は培養濾液中及び菌体中、主に菌体中に存在するので、培養濾液又は菌体より通常の分離手段、例えば溶媒抽出法、イオン交換樹脂法、吸着又は分配クロマトグラフィー法、ゲル濾過法等を単独又は組合せて行うことにより精製することができる。また高速液体クロマトグラフィーや薄層クロマトグラフィーなども抽出精製に適宜利用可能である。
【0022】好ましい分離−精製の例としては次の方法が挙げられる。まず培養液を濾過し、菌体を得る。得られた菌体からメタノール又はアセトン等の有機溶媒を用いて抽出する。抽出液を留去して得られた残渣を酢酸エチルに溶解し、水で洗った後、濃縮する。ここで得られた粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、メタノールより再結晶を行うことにより、BE−24811の乳白色針状晶を得ることができる。
【0023】次に、本発明の化合物の有用性を示すために、本発明化合物の腫瘍細胞に対する増殖抑制効果をを測定した。
BE−24811の抗腫瘍活性抗腫瘍性物質類BE−24811類のマウス実験腫瘍細胞に対する増殖阻止作用を決定するため、in vitroで試験を行なった。マウス白血病細胞P388に対する抗腫瘍作用試験は、BE−24811類をジメチルスルホキシドに溶解した後、牛胎児血清10%含有RPMI1640培地(20μMの2−メルカプトエタノールを含む)で逐次希釈し、2×103 個の腫瘍細胞を含む細胞培養培地(牛胎児血清10%含有PRMI1640培地、20μMの2−メルカプトエタノールを含む)50μlに対し50μlを加えた。37℃で72時間、5%CO2下で培養後、MTT測定法により対照群と比較した。
【0024】マウス大腸癌細胞colon26に対する抗腫瘍試験は、BE−24811類をジメチルスルホキシドに溶解した後、牛胎児血清10%含有RPMI1640培地で逐次希釈し、1×103個の腫瘍細胞を含む細胞培養培地(牛胎児血清10%含有PRMI1640培地)100μlに対し100μlを加えた。37℃で72時間、5%CO2下で培養後、50% トリクロロ酢酸で固定し、0.4%スルホローダミンBで染色後、10mMトリス緩衝液を用いて細胞から色素を抽出した。450nmを対照波長として550nmに於ける吸光度を測定して対照群と比較した。その結果、BE−24811類は両癌細胞に対し、強い増殖阻止活性を示し、50% 増殖阻害濃度(IC50)は第2表の通りであった。
【0025】更に、BE−24811類のヒト癌細胞に対する抗腫瘍活性をin vitroで試験した。細胞は、ヒト大腸癌細胞DLD−1、ヒト肺癌細胞PC−13及びヒト胃癌細胞MKN−45を使用し、細胞培養用培地は、全ての癌細胞共に牛胎児血清10%含有RPMI1640培地を用いた。BE−24811類をまずジメチルスルホキシドに溶解し、次に牛胎児血清10%含有RPMI1640培地で逐次希釈して検液とした。癌細胞増殖阻害の検定は、1×103 個の癌細胞を含む細胞培養用の培地100μlを96穴マイクロプレートに分注し、37℃で24時間、5%CO2下で培養した後、上記検液100μlを加えた。更に、72時間培養後細胞を50%トリクロロ酢酸で固定し、以下colon 26細胞と同様の方法を用い対照群と比較検討した。その結果、BE−24811類はヒト腫瘍細胞においても強い増殖阻害活性を示し、その50%増殖阻止濃度(IC50)は第2表の通りであった。
【0026】
【表2】


上述したようにBE−24811類はマウス及びヒトの癌細胞に対し顕著な増殖阻止作用を示す。従って、本発明はヒトをはじめとする哺乳動物の抗腫瘍剤として有用である。
【0027】本発明化合物は、抗腫瘍剤として使用される場合には、その薬学的に許容しうる塩としても使用することができる。薬学的に許容しうる塩の典型例としては、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩等を挙げることができる。
【0028】本発明の化合物の薬学的に許容しうる塩の製造法は、有機合成化学分野で通常用いられる方法を適宜組み合わせて行うことができる。具体的には、本発明化合物の遊離型の溶液をアルカリ溶液で中和滴定すること等が挙げられる。
【0029】本発明化合物を抗腫瘍剤として使用する際の投与形態としては各種の形態を選択でき、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤等の経口剤、例えば溶液、懸濁液等の殺菌した液状の非経口剤等が挙げられる。
【0030】固体の製剤は、そのまま錠剤、カプセル剤、顆粒剤又は粉末の形態として製造することもできるが、適当な添加物を使用して製造することもできる。該添加物としては、例えば乳糖、ブドウ糖等の糖類、例えばトウモロコシ、小麦、米等の澱粉類、例えばステアリン酸等の脂肪酸、例えばメタケイ酸ナトリウム、アルミン酸マグネシウム、無水リン酸カルシウム等の無機塩、例えばポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコール等の合成高分子、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸塩、例えばステアリルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の合成セルロース誘導体、その他、水、ゼラチン、タルク、植物油、アラビアゴム等通常用いられる添加物等が挙げられる。
【0031】これらの錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉末等の固形製剤は、一般的には0.1〜100重量%、好ましくは5〜100重量%の有効成分を含むことができる。
【0032】液状製剤は、水、アルコール類又は例えば大豆油、ピーナツ油、ゴマ油等の植物由来の油等液状製剤において通常用いられる適当な添加物を使用し、懸濁液、シロップ剤、注射剤等の形態として製造することができる。
【0033】特に、非経口的に筋肉内注射、静脈内注射、皮下注射で投与する場合の適当な溶剤としては、例えば注射用蒸留水、塩酸リドカイン水溶液(筋肉内注射用)、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、エタノール、静脈内注射用液体(例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム等の水溶液)、電解質溶液(例えば点滴静注、静脈内注射用)等又はこれらの混合溶液が挙げられる。
【0034】又、これらの注射剤は予め溶解したものの他、粉末のまま又は適当な添加物を加えたものを用時溶解する形態もとることができる。これらの注射液は、通常0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の有効成分を含むことができる。
【0035】又、経口投与の懸濁剤又はシロップ剤等の液剤は、0.5〜10重量%の有効成分を含むことができる。
【0036】本発明の化合物の実際に好ましい投与量は、使用される化合物の種類、配合された組成物の種類、適用頻度及び治療すべき特定部位及び患者の病状によって適宜増減することができる。例えば、一日当りの成人一人当りの投与量は、経口投与の場合、10ないし500mgであり、非経口投与、好ましくは静脈内注射の場合、1日当り10ないし100mgである。なお、投与回数は、投与方法及び症状により異なるが、単回又は2ないし5回に分けて投与することができる。
【0037】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではなく、実施例の修飾手段はもちろん、本発明によって明らかにされたBE−24811の性状に基づいて、公知の手段を用いてBE−24811を生産、濃縮、抽出、精製する方法すべてを包含する。
実施例1斜面寒天培地に培養した真菌F24811株をポリペプトン0.3%、グルコース1%、小麦胚芽1.0%、グルテンミール0.5%、麦芽エキス0.3%、マルトース3.0%、塩化ナトリウム0.2%、硝酸ナトリウム0.1%、リン酸一カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.05%、硫酸第一鉄0.0002%、塩化第二銅0.00004%、塩化マンガン0.00004%、塩化コバルト0.00004%、硫酸亜鉛0.00008%、ホウ酸ナトリウム0.00008%及びモリブデン酸アンモニウム0.00024%からなる培地(pH6.0)100mlを含む500ml容の三角フラスコ2本に接種し、28℃で96時間、回転振盪機(毎分180回転)上で培養した。この培養液を2mlずつ、上記の培地を100ml含む500ml容の三角フラスコ50本に接種し、28℃で120時間、回転振盪機(毎分180回転)上で培養した。
【0038】得られた培養液(約5L)を90℃で10分間加熱処理した後、セライトを加え、濾過法により濾過し、得られた菌体にアセトン(2L×2)を加え、アセトン抽出液を得た。アセトン抽出液を減圧下に濃縮し、アセトンを除去し、得られた濃縮液(約800ml)を酢酸エチル(800ml×2)で抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムを用いて脱水した後、濃縮乾固した。残渣をメタノール30mlに溶解し、これに5gのシリカゲル(メルク社製キーゼルゲル60)を加え、減圧下溶媒を除去した。このシリカゲルを50gのシリカゲルカラムの上に重層し、ヘキサン/酢酸エチル(5:1)の混液で展開した。BE−24811を含む分画を集め、メタノールより再結晶することにより、乳白色針状晶のBE−24811を34mg得た。
【0039】以下に本発明の化合物の製剤化例を示すが、本発明の化合物の製剤化は、本製剤化例に限定されるものではない。
製剤例1本物質(BE−24811) 10部重質酸化マグネシウム 15部乳糖 75部を均一に混合して350μm以下の粉末状又は細粒状の散剤とする。この散剤をカプセル容器に入れてカプセル剤とした。
製剤例2本物質(BE−24811) 45部澱粉 15部乳糖 16部結晶性セルロース 21部ポリビニルアルコール 3部蒸留水 30部を均一に混合した後、破砕造粒して乾燥し、次いで篩別して1410〜177μmの大きさの顆粒剤とした。
製剤例3製剤化例2と同様の方法で顆粒剤を作った後、この顆粒剤96部に対してステアリン酸カルシウム4部を加えて圧縮成形し、直径10mmの錠剤を作製した。製剤例4製剤化例2の方法で得られた顆粒剤の90部に対して結晶性セルロース10部及びステアリン酸カルシウム3部を加えて圧縮成形し、直径8mmの錠剤とした後、これにシロップゼラチン、沈降性炭酸カルシウム混合懸濁液を加えて糖衣錠を作製した。
製剤例5 本物質(BE−24811) 0.6部 非イオン系界面活性剤 2.4部 生理的食塩水 97部を加温混合してからアンプルに入れ、滅菌を行って注射剤を作製した。
【0040】
【発明の効果】本発明のBE−24811は、ヒト及びマウスの腫瘍細胞に対して、増殖抑制効果を示すことから医薬の分野で抗腫瘍剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】式
【化1】


で表される化合物又はその薬学的に許容しうる塩。
【請求項2】タラロマイセス(Talaromyces)属に属し、式[I]の化合物を産生する能力を有する微生物又はその変異株を培養し、その培養液及びその菌体から構造式[I]の化合物を採取し、要すれば薬学的に許容しうる塩とすることを特徴とする、式
【化2】


で表される化合物又はその薬学的に許容しうる塩の製法。
【請求項3】微生物又はその変異株が、タラロマイセス・リターダタスF24811(Talaromyces retardatus F24811)である請求項2記載の製造法
【請求項4】式
【化3】


で表される化合物又はその薬学的に許容しうる塩を有効成分とする抗腫瘍剤。
【請求項5】構造式[I]の化合物を産生する能力を有するタラロマイセス(Talaromyces)属に属する微生物又はその変異株。
【請求項6】微生物が、タラロマイセス・リターダタスF24811(Talaromyces retardatus F24811)である請求項5記載の微生物又はその変異株。