抗菌ユニット
【課題】
従来のドレン水を逆流させる抗菌ユニットにおいては、抗菌剤自身にもドレン水中にある塵埃や細菌が付着し、それが原因となって抗菌剤表面にバイオフィルムやスライムが生成され、抗菌作用が低減されてしまうという課題があった。
【解決手段】
ドレン水4を排出する経路であるドレン配管7の中に、水より比重が軽い固形抗菌剤74を封入し、上下方向にドレン水4が通水可能な抗菌ユニット72を設けることで、ドレンポンプ6が停止するとドレン水4が抗菌ユニット72の上部から下部へと流れ、その際水位の下降に伴って起きる固形抗菌剤74同士の衝突によって固形抗菌剤74表面に付着した細菌を除去することができる。
従来のドレン水を逆流させる抗菌ユニットにおいては、抗菌剤自身にもドレン水中にある塵埃や細菌が付着し、それが原因となって抗菌剤表面にバイオフィルムやスライムが生成され、抗菌作用が低減されてしまうという課題があった。
【解決手段】
ドレン水4を排出する経路であるドレン配管7の中に、水より比重が軽い固形抗菌剤74を封入し、上下方向にドレン水4が通水可能な抗菌ユニット72を設けることで、ドレンポンプ6が停止するとドレン水4が抗菌ユニット72の上部から下部へと流れ、その際水位の下降に伴って起きる固形抗菌剤74同士の衝突によって固形抗菌剤74表面に付着した細菌を除去することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドレンパンおよびドレン配管内の細菌繁殖を抑制させる抗菌ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のドレンパンあるいはドレン配管の細菌抑制の方法として、例えばドレンポンプの吐出口より下流側であって該吐出口より高位にあるドレン配管に水と接触可能状態の抗菌剤を設け、ドレンポンプの運転停止時にドレン配管に残る抗菌剤を含むドレン水をドレンパン内に逆流させてドレンパン内における静菌効果を得るものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−194492号公報(0010、0011、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のドレン水を逆流させる抗菌ユニットにおいては、抗菌剤自身にもドレン水中にある塵埃や細菌が付着し、それが原因となって抗菌剤表面にバイオフィルムやスライムが生成され、抗菌作用が低減されてしまうという課題があった。また、抗菌作用が低減された抗菌剤表面のバイオフィルムやスライムがさらに繁殖することで異臭が発生し、さらに繁殖したバイオフィルムやスライムが剥離することでドレン配管の詰まりを発生させるという課題があった。
【0005】
本発明に係る抗菌ユニットは、上述した課題を解決するため、抗菌剤表面への細菌の付着を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る抗菌ユニットは、上下方向に通水可能な空間を形成する壁と、空間内から外部へ流出しないように封入され、水より比重の軽い複数の抗菌剤と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る抗菌ユニットによれば、ドレン配管内のドレン水をドレンパンに戻すときに、抗菌剤同士が衝突しあうことで、抗菌剤表面に付着した細菌を落とすとともに、抗菌剤内の抗菌成分をドレン水中に溶出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係る空気調和機の概略縦断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るドレン配管の要部拡大図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る抗菌ユニット内のドレン水の水位が上昇したときの概略上面図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る上部保持部材の要部拡大図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る抗菌ユニットの要部拡大図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る抗菌ユニットの水位が下降したときの概略上面図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る抗菌ユニットにドレン水が入っていない状態を示す概略断面図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係る抗菌ユニット内がドレン水流入に伴い水位が上昇したときの状態を示す概略断面図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係る抗菌ユニット内がドレン水逆流に伴いの水位が下降したときの状態を示す概略断面図である。
【図10】この発明の実施の形態1に係る固形抗菌剤同士が摺動したときの模式図である。
【図11】この発明の実施の形態1に係る空気調和機のドレンパンとドレン水中の抗菌剤濃度と時間の関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は本実施の形態に係る空気調和機(室内機)100の概略縦断面図である。
図1において、空気調和機100は、略直方体形状のケーシング1の内部に熱交換器2、送風機3、ドレンパン5およびドレンポンプ6が収容されている。ドレンパン5は熱交換器2よりもケーシング1内の下方に配されており、熱交換器2から落下するドレン水4を受け止める。また、このドレンパン5には、ドレン水4を汲み上げるドレンポンプ6が配されている。ドレンポンプ6はドレン配管7の一端と接続され、ドレン配管7のドレンポンプ6と接続していない他端はケーシング1の外に配されている。
【0010】
熱交換器2は、例えば、曲折接続され、ある間隔にて複数段形成されている伝熱管と、この伝熱管に適宜の間隔で固着された複数個のフィンとを有するクロスフィンコイルタイプのような熱交換器である。
【0011】
室内側の熱交換器2を蒸発器として作動させるとき、すなわち冷房時においては、フィン面上には空気中の水分が結露しドレン水4となる。ドレンパン5は、このドレン水4が室内側空気調和機100から外に漏れてしまうことを防ぐために設けられている。
【0012】
図2は図1のドレン配管7付近の要部拡大図である。
図2においてドレンパン5に溜まったドレン水4の量は水位センサ8によって検知される。なお、本実施の形態では水位センサ8は、水位センサ8自身の温度を検知して水位センサ8が空気中にあるか水中にあるかを判定するものを想定しているが、水位センサ8の構成はこれに限るものではない。
なお、図2に示すようにドレンパン5はドレンポンプ6でドレン水4を吸い上げる関係上、ドレンポンプ6下のドレンパン5底部は周囲より一段低くしてあるとドレン水4が溜まりやすいため好ましい。
【0013】
ドレンポンプ6はドレンポンプ6内に設けられた図示しないドレンポンプ翼を回転させてドレン配管7にドレン水4を送り込むが、ドレンポンプ6の種類はこれに限らずともよい。
【0014】
ドレン配管7は、下から順に吐出管71、抗菌ユニット72、ドレンホース73で構成されており、抗菌ユニット72の一端は吐出管71と接続され、他端はドレンホース73と接続される。
【0015】
抗菌ユニット72は、上下方向にドレン水4が通水可能で、接続している吐出管71の方へ向かって先端部が徐々に細くなっていく円錐形状となっている。なお図中では抗菌ユニット72の上部は円柱形だが、抗菌ユニット72上部まで含めて円錐形状となるようにしても良い。
【0016】
ドレンポンプによって吸い上げられたドレン水4には熱交換器等に付着していた塵埃等が含まれているため、何もしなければドレン配管7内は細菌が繁殖し異臭や配管詰まりの原因となる。
それを防ぐために抗菌ユニット72内には細菌の繁殖を抑制するための抗菌剤を溶出する球状の固形抗菌剤74が複数封入されている。なお、封入されている固形抗菌剤74の数は図では8個だが、2個以上であればよく、形状も完全な球形である必要はない。また、本実施の形態において用いる固形抗菌剤74は水、より詳しくはドレン水4よりも比重が軽い。なお、本実施の形態1において抗菌とは殺菌、滅菌、消毒、除菌、静菌、サニタイズなどすべてを意味する。
【0017】
本実施の形態において用いる固形抗菌剤74としては、銀(Ag)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)などの無機化合物を主体とする無機系抗菌剤、さらにパラクロロメタキシレノールおよび2−5−ジクロロ−4−ブロモフェノールなどのフェノール類、N−(フロロジクロロメチルチオ)−フタルイミドおよびN,N−ジメチル−N′−フェニル−N′−(フロロジクロロメチルチオ)−スルファミドなどのハロアルキル類、その他の有機系抗菌剤などがある。
【0018】
また、上記無機系抗菌剤の場合、固形抗菌剤74を、例えば炭酸カルシウム、ゼオライト、カオリンクレー、珪藻土、タルク、ベンナイト、セラミックス、活性炭、アパタイトなどに担持させた無機系抗菌剤を採用することもできる。セラミックス、活性炭、アパタイトなどに担持させた無機系抗菌剤は抗菌性が高く、非揮発性であり、樹脂と混練し易いなどのメリットがある。さらに、無機系抗菌剤を担持した水溶解性ガラス等のように、水に溶けることによって殺菌効果のある抗菌剤が溶出する粒状又はペレット状のものなどがある。
【0019】
また、本実施の形態に係る固形抗菌剤74は水よりも比重が軽いため固形抗菌剤74は抗菌ユニット72内の水位の上昇、下降とともに抗菌ユニット72の下部から上部へと移動する。固形抗菌剤74は水と同比重或いは水の比重より軽ければ、そのまま成型する。そうでなければ、中空や発泡の形にして比重を調整する。また、プラスチック、樹脂などの水に軽い物質、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等の無機物担体に抗菌剤を坦持させ、徐々に溶出させる。水より比重の大きいプラスチック、樹脂を担体とする場合は、粒状形成時に気泡を持たせるなどの工夫で水に沈まない構造とする。
【0020】
封入した固形抗菌剤74が抗菌ユニット72外へ出ないように、抗菌ユニット72の上部と下部、つまりドレンホース73との接続部と吐出管71との接続部には上部保持部材75と下部保持部材76が設けられている。
【0021】
図3は水位が上昇したときの抗菌ユニット72の概略上面図である。図4は上部保持部材75と上部返し部材78を一体形成にし、上部保持部材75にもドレン水通過孔77を設けた図である。
上部保持部材75は水位が高くなった場合に固形抗菌剤74を抗菌ユニット72内周に位置させるために抗菌ユニット72略上部中央に設けられている。上部保持部材75は略円柱形状で、一端はドレンホース73および抗菌ユニット72に接続されている。上部保持部材75のもう一端は上部返し部材78が設けられている。上部返し部材78は、例えば複数の棒状部材を略円錐状に組み合わせた形状からなり、水位が高くなった場合に球状の固形抗菌剤74がドレンホース73に流れるのを防ぐため上部返し部材78同士の間隔は球状の固形抗菌剤74の直径よりも狭くなっている。
なお、上部返し部材78の先端部の連続を面とみなすと、その先端面は抗菌ユニット72内のドレン水4の水位面に対して傾いていると、固形抗菌剤74を詰まらせる可能性をより低減できるため好ましい。
上部保持部材75は側壁にドレン水4を通すためのドレン水通過孔77を設けられている。なお、上部保持部材75と上部返し部材78は一体形成にしてもよいし、一体形成する場合は上部返し部材78を円錐形状に成型して上部返し部材78にもドレン水通過孔77を設けてもよい。
【0022】
図5は水位が低いときの抗菌ユニット72の要部拡大図、図6は水位が低いときの抗菌ユニット72の概略上面図である。
下部保持部材76は、水位が低くなった場合に球状の固形抗菌剤74が吐出管71に流れるのを防ぐために抗菌ユニット72と吐出管71の接続部に設けられている。下部保持部材76は抗菌ユニット72側に突き出た複数の棒状部材を略円錐形状に組み合わせてもよいし、略円錐形状に一体形成してもよい。
なお、下部保持部材76の先端部の連続を面とみなすと、その先端面は抗菌ユニット72内のドレン水4の水位面に対して傾いていると、固形抗菌剤74を詰まらせる可能性をより低減できるため好ましい。
【0023】
次に、本実施の形態の動作について説明する。
図7は抗菌ユニット72にドレン水4が入っていない状態を示す概略断面図である。
図8はドレン水4流入に伴い抗菌ユニット72内の水位が上昇したときの状態を示す概略断面図である。図中の矢印はドレン水4の流れる方向を示している。
空気調和機100運転時において、ドレンパン5に溜まったドレン水4が所定の位置まで来たことを水位センサ8が検知すると、該検知に基づいてドレンポンプ6が作動し、ドレン水4を吸い上げる。なお、空気調和機100が冷房運転をすると同時にドレンポンプ6が運転を開始するようにしてもよい。吸い上げられたドレン水4は吐出管71を通った後抗菌ユニット72内を通過する。抗菌ユニット72内のドレン水4の水位の上昇に伴って、水よりも比重の軽い固形抗菌剤74は抗菌ユニット72上部へ移動する。抗菌ユニットには上部保持部材75および上部返し部材78があるため、固形抗菌剤74はドレンホース73へ流れることなく、上部保持部材75外周に沿って抗菌ユニット72内周に位置する。抗菌ユニット72を通過したドレン水4はその後ドレンホース73を通して屋外へ排出される。なおこのとき、固形抗菌剤74から溶出した抗菌剤がドレン水4と一緒ドレンホース73を流れるため、ドレンホース73内の静菌効果が大きくなり、バイオフィルムやスライムの生成を抑制することができる。
【0024】
ドレンポンプ6運転中にドレンパン5内のドレン水4が少なくなると、ドレンポンプ6はドレン水4とともに空気も搬送するようになる。ドレン配管7に空気が送り込まれると細菌が繁殖する原因となるため、このような状態になったらドレンポンプ6の運転を停止する。なお、ドレンパン5内のドレン水4が少なくなったことを判定する方法としては、ドレンポンプ5運転開始からの経過時間で判定してもよいし、図示しない第二の水位センサをもう一つ空気調和機100内に設けて該第二の水位センサが空気中にあると判断したらドレンポンプ6の運転を停止するようにしてもよい。
【0025】
図9はドレン水4逆流に伴い抗菌ユニット72内の水位が下降したときの状態を示す概略断面図である。図中の矢印はドレン水4の流れる方向を示している。
図10は固形抗菌剤74同士が摺動したときの模式図である。
ドレンポンプ6が止まると、ドレン配管7を流れていたドレン水4は重力によってドレンパン5の方へ逆流する。ドレン水4が抗菌ユニット72内を逆流すると、図9に示すように抗菌ユニット72の水位が高いときに抗菌ユニット72上部に溜まっていた固形抗菌剤74は、抗菌ユニット72の水位の低下に伴い抗菌ユニット72下部中央に集まる。この際、固形抗菌剤74同士が衝突することとなる。図10に示すように衝突時に固形抗菌剤74同士が摺動することにより、固形抗菌剤74表面に付着していた塵埃や細菌が剥離される。また、固形抗菌剤74同士が衝突することにより、固形抗菌剤74はドレン水4上に浮いているときよりも多く抗菌剤を溶出する。
【0026】
抗菌ユニット72を通過したドレン水4は、吐出管71をとおり、ドレンパン5に流れる。なお、ドレン配管7の容量はドレンパン5の容量より小さいと、例えドレン配管7まの全ての経路にドレン水4が入っている状態で逆流してもドレンパン5からドレン水4があふれることがないため好ましい。
【0027】
図11は実施の形態1に係る空気調和機100のドレンパン5とドレン水4中の抗菌剤濃度と時間の関係を示した図である。
図11に示すように、ドレンパン5からドレン水4を排水するときよりもドレンパン5への逆流時のほうがドレン水4中の抗菌剤の溶出量が多い。
【0028】
以上のように、本実施の形態では、ドレン水4を排出する経路であるドレン配管7の中に、水より比重が軽い固形抗菌剤74を封入し、上下方向にドレン水4が通水可能な抗菌ユニット72を設けることで、ドレンポンプ6が停止するとドレン水4が抗菌ユニット72の上部から下部へと流れ、その際水位の下降に伴って起きる固形抗菌剤74同士の衝突によって固形抗菌剤74表面に付着した細菌を除去することができる。これにより固形抗菌剤74の表面へのバイオフィルムやスライムの生成を抑制することができるので、人の手による固形抗菌剤74交換のメンテナンス作業をすることなくドレンパン5およびドレン配管7内の抗菌作用を持続させることができる。
【0029】
また、ドレンポンプ6の運転時においては、ドレン配管7を通過するドレン水4が固形抗菌剤74に接触して、ドレンポンプ6の下流側における静菌効果が大きくなり、スライム等の繁殖を抑制することができる。また、ドレンポンプ6の運転停止時においては、ドレン配管7内に残る高濃度の固形抗菌剤74を含む戻り水がドレンパン5に逆流し、ドレンパン5内における静菌効果が大きくなりスライム等の繁殖を抑制することができる。そのため、ドレンパン5内に固形抗菌剤74を設けることなくドレンパン5内の細菌の繁殖を防ぐことができる。
【0030】
また、逆流時の水位の下降に伴って起きる固形抗菌剤74同士の衝突によって固形抗菌剤74はドレン水4上に浮いているときよりも多く抗菌剤を溶出することができる。そのため、屋外へ排出するドレン水4よりもドレンパン5内に戻すドレン水4に含まれる抗菌剤の濃度が高くなる。
基本的に本体外に排出したドレン水4に使い道はないので、排出するドレン水4によりもドレンパン5に戻すドレン水4に抗菌剤が溶出されることで、ドレン水4中に溶出された抗菌剤を効率的に使用し、効果的にドレンパン5内における静菌効果を得ることができる。
【0031】
また、抗菌ユニット72の少なくとも側壁下部が円錐形状となっているため、ドレン水4が逆流し抗菌ユニット72内の水位が低くなると、固形抗菌剤74が抗菌ユニット72下部中央に集まりながら降下するため、抗菌ユニット72が円柱形状の場合と比べて固形抗菌剤74同士が衝突する機会をより積極的に増やすことができる。これによって、例え封入した固形抗菌剤74の数が少なくても、十分に固形抗菌剤74表面の塵埃や細菌を衝突除去することができる。これによって封入する固形抗菌剤74が少なくて済むため、抗菌ユニット72通過時のドレン水4の抵抗をより低減することができる。
また、抗菌ユニット72の少なくとも側壁下部を円錐形状とすることで固形抗菌剤74同士の衝突機会が増加するので、より固形抗菌剤74のドレン水4への抗菌剤の溶出が促進される。そのため、例え封入した固形抗菌剤74の数が少なくても、ドレン水4中に溶出された抗菌剤を効率的に使用し、効果的にドレンパン5内における静菌効果を得ることができる。
【0032】
自由に動けなかったり抗菌剤同士の衝突が阻害されたりすることがない)
また、封入した固形抗菌剤74が抗菌ユニット72外へ出ないように、抗菌ユニット72の上部に上部保持部材75および上部保持部材75の端部に設けられた上部返し部材78を、抗菌ユニット72の下部に下部保持部材76を設けることで、固形抗菌剤74を流出防止用の袋に入れなくても抗菌ユニット72外への流出を防止できる。固形抗菌剤74を袋に入れる必要がないので固形抗菌剤74同士の運動が阻害されることなく十分に衝突させることが可能である。また、袋は菌の温床になりやすいので、袋を設けないことでドレン配管7内の細菌の繁殖をより抑制させることができる。
【0033】
また、上部保持部材75の側壁にドレン水通過孔77を設けることによって、抗菌ユニット72内の水位が上昇しても抗菌ユニット72内に空気が取り残されることなくドレン水4を流すことができる。
【0034】
また、抗菌ユニット72の上下方向にドレン水4通水させているので、抗菌ユニット72天井部に空気とドレン層の混合層が生じづらく、バイオフィルムやスライムを天井に生成させづらくすることができる。
【0035】
なお、本実施の形態においては固形抗菌剤74は球状だったが、本実施の形態の効果を奏するのであるなら形状は球に限らず角体でもよい。
【0036】
なお、本実施の形態においては空気調和機100は天井埋め込み式空気調和機用室内機であったが、ドレンポンプ6にてドレン水4を排出し、重力等の影響でドレン水4を逆流させるのであれば他の形式の空気調和機用室内機にも適用可能なことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0037】
1 ケーシング、2 熱交換器、3 送風機、4 ドレン水、5 ドレンパン、6 ドレンポンプ、7 ドレン配管、71 吐出管、72 抗菌ユニット、73 ドレンホース、74 固形抗菌剤、75 上部保持部材、76 下部保持部材、77 ドレン水通過孔、78 上部返し部材、100 空気調和機。
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドレンパンおよびドレン配管内の細菌繁殖を抑制させる抗菌ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のドレンパンあるいはドレン配管の細菌抑制の方法として、例えばドレンポンプの吐出口より下流側であって該吐出口より高位にあるドレン配管に水と接触可能状態の抗菌剤を設け、ドレンポンプの運転停止時にドレン配管に残る抗菌剤を含むドレン水をドレンパン内に逆流させてドレンパン内における静菌効果を得るものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−194492号公報(0010、0011、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のドレン水を逆流させる抗菌ユニットにおいては、抗菌剤自身にもドレン水中にある塵埃や細菌が付着し、それが原因となって抗菌剤表面にバイオフィルムやスライムが生成され、抗菌作用が低減されてしまうという課題があった。また、抗菌作用が低減された抗菌剤表面のバイオフィルムやスライムがさらに繁殖することで異臭が発生し、さらに繁殖したバイオフィルムやスライムが剥離することでドレン配管の詰まりを発生させるという課題があった。
【0005】
本発明に係る抗菌ユニットは、上述した課題を解決するため、抗菌剤表面への細菌の付着を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る抗菌ユニットは、上下方向に通水可能な空間を形成する壁と、空間内から外部へ流出しないように封入され、水より比重の軽い複数の抗菌剤と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る抗菌ユニットによれば、ドレン配管内のドレン水をドレンパンに戻すときに、抗菌剤同士が衝突しあうことで、抗菌剤表面に付着した細菌を落とすとともに、抗菌剤内の抗菌成分をドレン水中に溶出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係る空気調和機の概略縦断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るドレン配管の要部拡大図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る抗菌ユニット内のドレン水の水位が上昇したときの概略上面図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る上部保持部材の要部拡大図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る抗菌ユニットの要部拡大図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る抗菌ユニットの水位が下降したときの概略上面図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る抗菌ユニットにドレン水が入っていない状態を示す概略断面図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係る抗菌ユニット内がドレン水流入に伴い水位が上昇したときの状態を示す概略断面図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係る抗菌ユニット内がドレン水逆流に伴いの水位が下降したときの状態を示す概略断面図である。
【図10】この発明の実施の形態1に係る固形抗菌剤同士が摺動したときの模式図である。
【図11】この発明の実施の形態1に係る空気調和機のドレンパンとドレン水中の抗菌剤濃度と時間の関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は本実施の形態に係る空気調和機(室内機)100の概略縦断面図である。
図1において、空気調和機100は、略直方体形状のケーシング1の内部に熱交換器2、送風機3、ドレンパン5およびドレンポンプ6が収容されている。ドレンパン5は熱交換器2よりもケーシング1内の下方に配されており、熱交換器2から落下するドレン水4を受け止める。また、このドレンパン5には、ドレン水4を汲み上げるドレンポンプ6が配されている。ドレンポンプ6はドレン配管7の一端と接続され、ドレン配管7のドレンポンプ6と接続していない他端はケーシング1の外に配されている。
【0010】
熱交換器2は、例えば、曲折接続され、ある間隔にて複数段形成されている伝熱管と、この伝熱管に適宜の間隔で固着された複数個のフィンとを有するクロスフィンコイルタイプのような熱交換器である。
【0011】
室内側の熱交換器2を蒸発器として作動させるとき、すなわち冷房時においては、フィン面上には空気中の水分が結露しドレン水4となる。ドレンパン5は、このドレン水4が室内側空気調和機100から外に漏れてしまうことを防ぐために設けられている。
【0012】
図2は図1のドレン配管7付近の要部拡大図である。
図2においてドレンパン5に溜まったドレン水4の量は水位センサ8によって検知される。なお、本実施の形態では水位センサ8は、水位センサ8自身の温度を検知して水位センサ8が空気中にあるか水中にあるかを判定するものを想定しているが、水位センサ8の構成はこれに限るものではない。
なお、図2に示すようにドレンパン5はドレンポンプ6でドレン水4を吸い上げる関係上、ドレンポンプ6下のドレンパン5底部は周囲より一段低くしてあるとドレン水4が溜まりやすいため好ましい。
【0013】
ドレンポンプ6はドレンポンプ6内に設けられた図示しないドレンポンプ翼を回転させてドレン配管7にドレン水4を送り込むが、ドレンポンプ6の種類はこれに限らずともよい。
【0014】
ドレン配管7は、下から順に吐出管71、抗菌ユニット72、ドレンホース73で構成されており、抗菌ユニット72の一端は吐出管71と接続され、他端はドレンホース73と接続される。
【0015】
抗菌ユニット72は、上下方向にドレン水4が通水可能で、接続している吐出管71の方へ向かって先端部が徐々に細くなっていく円錐形状となっている。なお図中では抗菌ユニット72の上部は円柱形だが、抗菌ユニット72上部まで含めて円錐形状となるようにしても良い。
【0016】
ドレンポンプによって吸い上げられたドレン水4には熱交換器等に付着していた塵埃等が含まれているため、何もしなければドレン配管7内は細菌が繁殖し異臭や配管詰まりの原因となる。
それを防ぐために抗菌ユニット72内には細菌の繁殖を抑制するための抗菌剤を溶出する球状の固形抗菌剤74が複数封入されている。なお、封入されている固形抗菌剤74の数は図では8個だが、2個以上であればよく、形状も完全な球形である必要はない。また、本実施の形態において用いる固形抗菌剤74は水、より詳しくはドレン水4よりも比重が軽い。なお、本実施の形態1において抗菌とは殺菌、滅菌、消毒、除菌、静菌、サニタイズなどすべてを意味する。
【0017】
本実施の形態において用いる固形抗菌剤74としては、銀(Ag)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)などの無機化合物を主体とする無機系抗菌剤、さらにパラクロロメタキシレノールおよび2−5−ジクロロ−4−ブロモフェノールなどのフェノール類、N−(フロロジクロロメチルチオ)−フタルイミドおよびN,N−ジメチル−N′−フェニル−N′−(フロロジクロロメチルチオ)−スルファミドなどのハロアルキル類、その他の有機系抗菌剤などがある。
【0018】
また、上記無機系抗菌剤の場合、固形抗菌剤74を、例えば炭酸カルシウム、ゼオライト、カオリンクレー、珪藻土、タルク、ベンナイト、セラミックス、活性炭、アパタイトなどに担持させた無機系抗菌剤を採用することもできる。セラミックス、活性炭、アパタイトなどに担持させた無機系抗菌剤は抗菌性が高く、非揮発性であり、樹脂と混練し易いなどのメリットがある。さらに、無機系抗菌剤を担持した水溶解性ガラス等のように、水に溶けることによって殺菌効果のある抗菌剤が溶出する粒状又はペレット状のものなどがある。
【0019】
また、本実施の形態に係る固形抗菌剤74は水よりも比重が軽いため固形抗菌剤74は抗菌ユニット72内の水位の上昇、下降とともに抗菌ユニット72の下部から上部へと移動する。固形抗菌剤74は水と同比重或いは水の比重より軽ければ、そのまま成型する。そうでなければ、中空や発泡の形にして比重を調整する。また、プラスチック、樹脂などの水に軽い物質、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等の無機物担体に抗菌剤を坦持させ、徐々に溶出させる。水より比重の大きいプラスチック、樹脂を担体とする場合は、粒状形成時に気泡を持たせるなどの工夫で水に沈まない構造とする。
【0020】
封入した固形抗菌剤74が抗菌ユニット72外へ出ないように、抗菌ユニット72の上部と下部、つまりドレンホース73との接続部と吐出管71との接続部には上部保持部材75と下部保持部材76が設けられている。
【0021】
図3は水位が上昇したときの抗菌ユニット72の概略上面図である。図4は上部保持部材75と上部返し部材78を一体形成にし、上部保持部材75にもドレン水通過孔77を設けた図である。
上部保持部材75は水位が高くなった場合に固形抗菌剤74を抗菌ユニット72内周に位置させるために抗菌ユニット72略上部中央に設けられている。上部保持部材75は略円柱形状で、一端はドレンホース73および抗菌ユニット72に接続されている。上部保持部材75のもう一端は上部返し部材78が設けられている。上部返し部材78は、例えば複数の棒状部材を略円錐状に組み合わせた形状からなり、水位が高くなった場合に球状の固形抗菌剤74がドレンホース73に流れるのを防ぐため上部返し部材78同士の間隔は球状の固形抗菌剤74の直径よりも狭くなっている。
なお、上部返し部材78の先端部の連続を面とみなすと、その先端面は抗菌ユニット72内のドレン水4の水位面に対して傾いていると、固形抗菌剤74を詰まらせる可能性をより低減できるため好ましい。
上部保持部材75は側壁にドレン水4を通すためのドレン水通過孔77を設けられている。なお、上部保持部材75と上部返し部材78は一体形成にしてもよいし、一体形成する場合は上部返し部材78を円錐形状に成型して上部返し部材78にもドレン水通過孔77を設けてもよい。
【0022】
図5は水位が低いときの抗菌ユニット72の要部拡大図、図6は水位が低いときの抗菌ユニット72の概略上面図である。
下部保持部材76は、水位が低くなった場合に球状の固形抗菌剤74が吐出管71に流れるのを防ぐために抗菌ユニット72と吐出管71の接続部に設けられている。下部保持部材76は抗菌ユニット72側に突き出た複数の棒状部材を略円錐形状に組み合わせてもよいし、略円錐形状に一体形成してもよい。
なお、下部保持部材76の先端部の連続を面とみなすと、その先端面は抗菌ユニット72内のドレン水4の水位面に対して傾いていると、固形抗菌剤74を詰まらせる可能性をより低減できるため好ましい。
【0023】
次に、本実施の形態の動作について説明する。
図7は抗菌ユニット72にドレン水4が入っていない状態を示す概略断面図である。
図8はドレン水4流入に伴い抗菌ユニット72内の水位が上昇したときの状態を示す概略断面図である。図中の矢印はドレン水4の流れる方向を示している。
空気調和機100運転時において、ドレンパン5に溜まったドレン水4が所定の位置まで来たことを水位センサ8が検知すると、該検知に基づいてドレンポンプ6が作動し、ドレン水4を吸い上げる。なお、空気調和機100が冷房運転をすると同時にドレンポンプ6が運転を開始するようにしてもよい。吸い上げられたドレン水4は吐出管71を通った後抗菌ユニット72内を通過する。抗菌ユニット72内のドレン水4の水位の上昇に伴って、水よりも比重の軽い固形抗菌剤74は抗菌ユニット72上部へ移動する。抗菌ユニットには上部保持部材75および上部返し部材78があるため、固形抗菌剤74はドレンホース73へ流れることなく、上部保持部材75外周に沿って抗菌ユニット72内周に位置する。抗菌ユニット72を通過したドレン水4はその後ドレンホース73を通して屋外へ排出される。なおこのとき、固形抗菌剤74から溶出した抗菌剤がドレン水4と一緒ドレンホース73を流れるため、ドレンホース73内の静菌効果が大きくなり、バイオフィルムやスライムの生成を抑制することができる。
【0024】
ドレンポンプ6運転中にドレンパン5内のドレン水4が少なくなると、ドレンポンプ6はドレン水4とともに空気も搬送するようになる。ドレン配管7に空気が送り込まれると細菌が繁殖する原因となるため、このような状態になったらドレンポンプ6の運転を停止する。なお、ドレンパン5内のドレン水4が少なくなったことを判定する方法としては、ドレンポンプ5運転開始からの経過時間で判定してもよいし、図示しない第二の水位センサをもう一つ空気調和機100内に設けて該第二の水位センサが空気中にあると判断したらドレンポンプ6の運転を停止するようにしてもよい。
【0025】
図9はドレン水4逆流に伴い抗菌ユニット72内の水位が下降したときの状態を示す概略断面図である。図中の矢印はドレン水4の流れる方向を示している。
図10は固形抗菌剤74同士が摺動したときの模式図である。
ドレンポンプ6が止まると、ドレン配管7を流れていたドレン水4は重力によってドレンパン5の方へ逆流する。ドレン水4が抗菌ユニット72内を逆流すると、図9に示すように抗菌ユニット72の水位が高いときに抗菌ユニット72上部に溜まっていた固形抗菌剤74は、抗菌ユニット72の水位の低下に伴い抗菌ユニット72下部中央に集まる。この際、固形抗菌剤74同士が衝突することとなる。図10に示すように衝突時に固形抗菌剤74同士が摺動することにより、固形抗菌剤74表面に付着していた塵埃や細菌が剥離される。また、固形抗菌剤74同士が衝突することにより、固形抗菌剤74はドレン水4上に浮いているときよりも多く抗菌剤を溶出する。
【0026】
抗菌ユニット72を通過したドレン水4は、吐出管71をとおり、ドレンパン5に流れる。なお、ドレン配管7の容量はドレンパン5の容量より小さいと、例えドレン配管7まの全ての経路にドレン水4が入っている状態で逆流してもドレンパン5からドレン水4があふれることがないため好ましい。
【0027】
図11は実施の形態1に係る空気調和機100のドレンパン5とドレン水4中の抗菌剤濃度と時間の関係を示した図である。
図11に示すように、ドレンパン5からドレン水4を排水するときよりもドレンパン5への逆流時のほうがドレン水4中の抗菌剤の溶出量が多い。
【0028】
以上のように、本実施の形態では、ドレン水4を排出する経路であるドレン配管7の中に、水より比重が軽い固形抗菌剤74を封入し、上下方向にドレン水4が通水可能な抗菌ユニット72を設けることで、ドレンポンプ6が停止するとドレン水4が抗菌ユニット72の上部から下部へと流れ、その際水位の下降に伴って起きる固形抗菌剤74同士の衝突によって固形抗菌剤74表面に付着した細菌を除去することができる。これにより固形抗菌剤74の表面へのバイオフィルムやスライムの生成を抑制することができるので、人の手による固形抗菌剤74交換のメンテナンス作業をすることなくドレンパン5およびドレン配管7内の抗菌作用を持続させることができる。
【0029】
また、ドレンポンプ6の運転時においては、ドレン配管7を通過するドレン水4が固形抗菌剤74に接触して、ドレンポンプ6の下流側における静菌効果が大きくなり、スライム等の繁殖を抑制することができる。また、ドレンポンプ6の運転停止時においては、ドレン配管7内に残る高濃度の固形抗菌剤74を含む戻り水がドレンパン5に逆流し、ドレンパン5内における静菌効果が大きくなりスライム等の繁殖を抑制することができる。そのため、ドレンパン5内に固形抗菌剤74を設けることなくドレンパン5内の細菌の繁殖を防ぐことができる。
【0030】
また、逆流時の水位の下降に伴って起きる固形抗菌剤74同士の衝突によって固形抗菌剤74はドレン水4上に浮いているときよりも多く抗菌剤を溶出することができる。そのため、屋外へ排出するドレン水4よりもドレンパン5内に戻すドレン水4に含まれる抗菌剤の濃度が高くなる。
基本的に本体外に排出したドレン水4に使い道はないので、排出するドレン水4によりもドレンパン5に戻すドレン水4に抗菌剤が溶出されることで、ドレン水4中に溶出された抗菌剤を効率的に使用し、効果的にドレンパン5内における静菌効果を得ることができる。
【0031】
また、抗菌ユニット72の少なくとも側壁下部が円錐形状となっているため、ドレン水4が逆流し抗菌ユニット72内の水位が低くなると、固形抗菌剤74が抗菌ユニット72下部中央に集まりながら降下するため、抗菌ユニット72が円柱形状の場合と比べて固形抗菌剤74同士が衝突する機会をより積極的に増やすことができる。これによって、例え封入した固形抗菌剤74の数が少なくても、十分に固形抗菌剤74表面の塵埃や細菌を衝突除去することができる。これによって封入する固形抗菌剤74が少なくて済むため、抗菌ユニット72通過時のドレン水4の抵抗をより低減することができる。
また、抗菌ユニット72の少なくとも側壁下部を円錐形状とすることで固形抗菌剤74同士の衝突機会が増加するので、より固形抗菌剤74のドレン水4への抗菌剤の溶出が促進される。そのため、例え封入した固形抗菌剤74の数が少なくても、ドレン水4中に溶出された抗菌剤を効率的に使用し、効果的にドレンパン5内における静菌効果を得ることができる。
【0032】
自由に動けなかったり抗菌剤同士の衝突が阻害されたりすることがない)
また、封入した固形抗菌剤74が抗菌ユニット72外へ出ないように、抗菌ユニット72の上部に上部保持部材75および上部保持部材75の端部に設けられた上部返し部材78を、抗菌ユニット72の下部に下部保持部材76を設けることで、固形抗菌剤74を流出防止用の袋に入れなくても抗菌ユニット72外への流出を防止できる。固形抗菌剤74を袋に入れる必要がないので固形抗菌剤74同士の運動が阻害されることなく十分に衝突させることが可能である。また、袋は菌の温床になりやすいので、袋を設けないことでドレン配管7内の細菌の繁殖をより抑制させることができる。
【0033】
また、上部保持部材75の側壁にドレン水通過孔77を設けることによって、抗菌ユニット72内の水位が上昇しても抗菌ユニット72内に空気が取り残されることなくドレン水4を流すことができる。
【0034】
また、抗菌ユニット72の上下方向にドレン水4通水させているので、抗菌ユニット72天井部に空気とドレン層の混合層が生じづらく、バイオフィルムやスライムを天井に生成させづらくすることができる。
【0035】
なお、本実施の形態においては固形抗菌剤74は球状だったが、本実施の形態の効果を奏するのであるなら形状は球に限らず角体でもよい。
【0036】
なお、本実施の形態においては空気調和機100は天井埋め込み式空気調和機用室内機であったが、ドレンポンプ6にてドレン水4を排出し、重力等の影響でドレン水4を逆流させるのであれば他の形式の空気調和機用室内機にも適用可能なことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0037】
1 ケーシング、2 熱交換器、3 送風機、4 ドレン水、5 ドレンパン、6 ドレンポンプ、7 ドレン配管、71 吐出管、72 抗菌ユニット、73 ドレンホース、74 固形抗菌剤、75 上部保持部材、76 下部保持部材、77 ドレン水通過孔、78 上部返し部材、100 空気調和機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に通水可能な空間を形成する壁と、
前記空間内から外部へ流出しないように封入され、水より比重の軽い複数の抗菌剤と、を備えたことを特徴とする抗菌ユニット。
【請求項2】
前記空間の下部に向かって前記空間の断面積が徐々に小さくなるように前記壁が円錐形状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の抗菌ユニット。
【請求項3】
熱交換器と、
前記熱交換器から落下するドレン水を貯留するドレンパンと、
前記ドレンパンに貯留された前記ドレン水を吸い上げるためのドレンポンプと、
前記ドレンポンプから汲み上げた前記ドレン水を屋外へ排出するためのドレン配管と、を備え、
前記ドレン配管は請求項1または2に記載の抗菌ユニットを有することを特徴とする空気調和機。
【請求項1】
上下方向に通水可能な空間を形成する壁と、
前記空間内から外部へ流出しないように封入され、水より比重の軽い複数の抗菌剤と、を備えたことを特徴とする抗菌ユニット。
【請求項2】
前記空間の下部に向かって前記空間の断面積が徐々に小さくなるように前記壁が円錐形状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の抗菌ユニット。
【請求項3】
熱交換器と、
前記熱交換器から落下するドレン水を貯留するドレンパンと、
前記ドレンパンに貯留された前記ドレン水を吸い上げるためのドレンポンプと、
前記ドレンポンプから汲み上げた前記ドレン水を屋外へ排出するためのドレン配管と、を備え、
前記ドレン配管は請求項1または2に記載の抗菌ユニットを有することを特徴とする空気調和機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−7521(P2013−7521A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140189(P2011−140189)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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