説明

抗菌性化合物の結晶

【目的】 優れた抗菌性の結晶およびその選択的な製法を提供する。
【構成】 7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4- ジヒドロキノリン-3- カルボン酸の無水物、 1/2水和物、1水和物、 3/2水和物等の水和物及びこれらの結晶。上記カルボン酸化合物の粗結晶を適当な含水率の溶媒または水で処理するかまたは、適当な含水率の溶媒または水から再結晶し、各々の単一な組成の結晶を取得する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗菌性化合物の無水晶および含水晶、そしてこれらを選択的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】式(1)
【0003】
【化1】


で表される化合物(以下、化合物(1)と称する。)、すなわち、7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4- ジヒドロキノリン-3- カルボン酸は高い抗菌力を有しかつ安全性にも優れるキノロン化合物であり(特開平2−231475号公報参照)、優れた合成抗菌薬として期待されている。
【0004】この化合物(1)には 1/4(0.25)水和物の他に 1/2(0.5 )水和物、1水和物、 3/2(1.5 )水和物等の数種の水和物の結晶が存在すること、そしてこれらの水和物の他に無水物の結晶も存在することが判明した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】化合物(1)の含水晶には結晶水の数の異なる複数の結晶形が存在するが、結晶製造時の条件によっては複数の含水晶を含有する、医薬品の原末には適さない結晶の混合物を与えることが判明した。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討の結果、結晶製造時の条件を適宜調整することによって化合物(1)の特定の水和物の結晶を選択的に製造することができることを見いだし本発明を完成させた。
【0007】すなわち本発明は、7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4- ジヒドロキノリン-3- カルボン酸を、含水溶媒中もしくは水中で処理するかまたは含水溶媒もしくは水から再結晶することを特徴とする、7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4- ジヒドロキノリン-3- カルボン酸・3/2水和物の選択的な製造方法に関する。
【0008】また本発明は、7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3- カルボン酸を含水溶媒中または水中で処理することを特徴とする、7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4- ジヒドロキノリン-3- カルボン酸 3/2水和物の選択的な製造方法に関する。
【0009】そして本発明は、7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4- ジヒドロキノリン-3- カルボン酸を含水溶媒または水から再結晶することを特徴とする、7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4- ジヒドロキノリン-3- カルボン酸・ 3/2水和物の選択的な製造方法に関する。
【0010】さらに本発明は、含水溶媒がアンモニアを含む含水エタノールである請求項1から3のいずれかに記載の方法に関する。
【0011】また本発明は、7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3- カルボン酸・ 3/2水和物に関する。
【0012】そして本発明は、7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4- ジヒドロキノリン-3- カルボン酸・無水物に関する。
【0013】さらに本発明は、次のX線回折特性を実質的に有する7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4- ジヒドロキノリン-3- カルボン酸・ 3/2水和物の結晶に関する。
【0014】
【表3】


【0015】また本発明は、7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3- カルボン酸・ 3/2水和物を有効成分として含有する医薬に関する。
【0016】そして本発明は、次のX線回折特性を実質的に有する7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4- ジヒドロキノリン-3- カルボン酸・ 3/2水和物の結晶を有効成分として含有する医薬に関する。
【0017】
【表4】


【0018】本発明者らはまず化合物(1)の結晶について検討を行った。その結果、この化合物には無水晶および含水晶が存在することを見いだした。そして含水晶には1/4水和物の他には、 1/2水和物、1水和物、 3/2水和物が存在することが明らかとなった。これらの結晶の中では 3/2水和物が物理化学的な安定性の点、そして医薬品原末として製造する際の収量や製造条件設定の容易さ等の点において工業的製造に好ましい結晶であることが判明した。なお、無水晶はそれ自体の溶解性や製剤からの溶出速度には優れている。
【0019】本願発明の各水和物および無水物の結晶は、各々図面に示したあるいは後述の実施例おいて記載の実質的に特徴的な粉末X線回折スペクトルのパターンを有している。ここで実質的に特徴的とは、各々の結晶のスペクトルパターンがこれらの図および表に記載されたもののみには限定されず、格子面間隔や強度についてこの分野において通常認められる誤差を含むものであることを意味している。
【0020】化合物(1)はその含水晶を製造する際、採用する条件によっては得られた結晶中に複数の含水晶が混在することが明らかとなった。とりわけ、 3/2水和物の製造時において 1/2水和物が混在することが認められた。複数の水和物の結晶が混在していては医薬品製造のための医薬品原末としては不適格である。そこで本発明者らは単一の水和物のみ、あるいは単一の無水物のみからなる化合物(1)の結晶を選択的に製造する方法について検討を行なった。
【0021】まず、本発明者らは含水溶媒中または水中における化合物(1)の結晶の安定性について検討した。検討方法は以下の通りである。
【0022】化合物(1)の 1/2水和物および 3/2水和物の等量を混合し、これに種々の含水率の含水溶媒を加えた。この混合物の温度を変えて攪拌処理し、一定時間後の結晶中に含まれる含水晶の割合を分析した。処理時において処理混合物は懸濁状態であって、いわゆるスラリー状態であった。
【0023】この処理の際に含水溶媒は 0%から100 %の含水率のエタノールを使用した。また、この含水エタノールにさらに28%アンモニア水 1%を加えたアンモニア含有含水エタノールにすると結晶の溶解度が上昇し、水和物間の転換速度が促進されることも明らかとなった。処理を行った際の溶媒の使用量は、結晶 1 gに対して 15 mlから 30 mlの割合であった。なお、使用した溶媒の含水率は混合前の容積比で示している。例えば60%含水エタノールはエタノール4容と水6容を混合したものである。一方、60%の含水率であって 1%のアンモニア水を含むものは、エタノール40容に水59容および28%アンモニア水1容を混合したものである。
【0024】処理は処理温度が25℃および45℃の場合には3日間行なった。しかしこの場合、結晶の転換には3日間は必須ではなく実際には約1日で転換は終了していたことも明らかとなった。
【0025】この検討の結果、処理温度、処理に使用する溶媒の含水率、処理時間によって存在する結晶の種類が変化することが判明した。
【0026】すなわち、■処理温度を溶媒の還流温度として14時間の処理を行ったところ、含水率が 5%以下の場合には無水物のみが生成し、含水率50%では 1/2水和物のみが生成したが、含水率75%以上では 1/2水和物および 3/2水和物の混合物となった。■処理温度を45℃として3日間の処理を行なったときは、50%以上の含水率では 3/2水和物のみが生成したが、45%以下の含水率の場合には 1/2水和物および 3/2水和物の混合物となった。■処理温度を25℃として3日間の処理を行なったときは、40%以上の含水率では 3/2水和物のみが生成したが、25%以下の含水率の場合には 1/2水和物および 3/2水和物の混合物となった。
【0027】この結果から、 3/2水和物を単一物として得るには、処理温度を45℃としたときには50%以上の含水率の溶媒中において処理を行ない、また、処理温度を25℃としたときには40%以上の含水率の溶媒中において処理を行なえばよいことが明らかとなった。
【0028】なお、“処理する”とは、結晶と溶媒とからなるスラリー状態の混合物を、ある選択した温度で、一定時間の攪拌操作を行うことをいう。
【0029】処理のためのスラリー状態の混合物を得るには、一旦結晶を溶解した後に晶析させてスラリー状態としてもよいし、単に溶媒と結晶を混合するのでもよい。
【0030】本発明の方法で使用できる溶媒は、結晶が溶解し、かつ水と混和する溶媒であれば特に制限はないが、例えばメタノール、エタノール、プロパノール類等の低級アルコール類やアセトン等を例示することができる。これらの中ではエタノールが最も好ましい。また水だけを使用して処理を行なってもよい。
【0031】一方、前記のスラリー状態において 3/2水和物のみが存在する条件を晶析の開始時の条件とすれば再結晶によって 3/2水和物のみからなる単一の結晶を選択的に製造できることを本発明者は見いだした。ここで晶析の開始時とは、再結晶工程において粗結晶を溶媒に溶解し、この後に必要に応じて活性炭処理や濃縮等の処理を行なって、結晶を生成させる前の処置が全て終了した時点をいう。さらに、 1/2水和物や無水物、1水和物についても同様にして再結晶または溶媒中での処理によって単一の結晶として取得できる方法も本発明者らは見いだすことに成功した。
【0032】例えば、化合物(1)の1水和物は 1%以下の含水率のメタノール中において約25℃で処理することによって得ることができる。また、無水物の結晶は15%のアンモニアを含むエタノール中で処理することによって得ることができる。
【0033】本願発明の、化合物(1)の各水和物の結晶および無水晶を単一物として選択的に製造する方法を以下に例示する。
【0034】A).無水晶の調製法化合物(1)の粗結晶と、含水メタノールまたは含水エタノールを混合し、この混合物をスラリー状態で加熱還流下に0.5 時間から 8時間にわたって攪拌すればよい。なお、化合物(1)は特開平2−231475号公報記載の方法によって調製することができる。含水メタノールまたは含水エタノールの含水率は 5%(v/v )以下であればよい。溶媒の使用量は化合物(1) 1 gに対して 10 mlから 30 mlの割合で使用すればよい。溶媒の含水率が低い方が処理に要する時間が短くなる傾向がある。無水のエタノールを使用して処理を行う場合には70℃の温度で 8時間の処理を行うことで無水晶を得ることができる。
【0035】化合物(1)の無水晶は再結晶によつても得ることができる。最適な再結晶法の例を実施例3として開示した。再結晶法では含水率 5%(v/v )以下の溶媒を使用するのが好ましい。
【0036】B).1/2 水晶の調製法化合物(1)の粗結晶と、含水率50%の含水エタノールを混合し、この混合物をスラリー状態で加熱還流下に 1時間から20時間にわたって攪拌すればよい。溶媒の使用量は化合物(1) 1 gに対して 10 mlから 30 mlの割合で使用すればよい。アンモニアを含む溶媒を使用して処理をすると転換速度が促進されることが判明している。
【0037】化合物(1)の1/2 水晶は再結晶法によつても得ることができるが、最適な再結晶法の例を実施例2として開示した。
【0038】C).1 水晶の調製法化合物(1)の1 水晶を選択的に調製する最適な方法の例を実施例4として開示した。
【0039】D).3/2 水晶の調製法化合物(1)の3/2 水晶は、3/2 水晶がスラリー状態において安定晶として優位に生成する先に述べた条件下でスラリー状態で攪拌して得ることができる。他の結晶と同様に3/2 水晶が安定晶として存在する条件は、主として溶媒の含水率と処理温度によって定まる。この関係は次の表にまとめた通りである。
【0040】
【表5】


【0041】スラリーでの処理において使用する溶媒の量は化合物(1)、 1 gに対して 10 mlから 30 mlの割合でよい。
【0042】化合物(1)の3/2水晶は再結晶法によっても得ることができる。最も好ましい再結晶法の例を実施例1および実施例5として開示した。再結晶法において使用する溶媒はアンモニアを含む溶媒が好ましい。すなわち、アンモニアを含有する溶媒を使用すると化合物(1)の溶解度が高まり、使用する溶媒の量を減少させることができるからである。再結晶法で使用する溶媒の量は化合物(1)、 1gに対して 5 ml から 50 mlの割合であればよいが、好ましくは 10 mlから 20mlの範囲である。溶媒の含水率は50%から 100%の範囲であればよいが、より好ましくは50%から75%の範囲である。アンモニアの使用量は化合物(1)、 1 gに対して 0.5 gから 2.0 gの割合で使用すればよいが、好ましくは 0.7 gから 1.0 gの範囲である。アンモニア含有の溶媒はアンモニアガスを溶媒に吹き込むか、あるいはアンモニア水を加えて調製すれば良い。アンモニア水を使用する時はアンモニア水中の水成分を考慮して溶媒全体の含水率を調整する必要がある。再結晶時に結晶化する際の温度は、使用する溶媒の含水率に応じて上記の表に示した関係を参照して定めればよい。
【0043】本発明の結晶は、通常行われる各種製剤の調製方法を適用することで抗菌性の固形製剤に調製することができる。このような製剤のうち経口製剤としては錠剤、散剤、顆粒剤やカプセル製剤等を例示することができる。固形製剤の調整には本発明の結晶を活性成分として、製剤学上使用することが許容されている各種の添加剤類と混合される。このような成分としては例えば充填剤類、増量剤類、結合剤類、崩壊剤類、溶解促進剤類、湿潤剤類、潤滑剤類等を挙げることができる。これらの成分を必要に応じて適宜選択して混合し、製剤化することができる。
【0044】また本発明の結晶は動物用の固形製剤としても製剤化して投与することができる。このような製剤の例としては散剤、細粒剤、可溶散剤等を挙げることができるが、これらも通常の方法によって調製すればよい。
【0045】
【実施例】次に本発明を実施例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】本願の実施例に示した粉末X線回折スペクトルデータは、RIGAKU−DENKI製、GEIGER FLEX機を使用して次の条件で通常の方法によって測定したものである。
【0047】・・ Target :Cu−Kα・・ Filter :Ni・・ Voltage:40kv・・ Current:20mA
【0048】[実施例1] 7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3- カルボン酸・ 3/2水晶7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4- ジヒドロキノリン-3- カルボン酸の粗結晶 150 gを75%の含水率のエタノール 5500 mlおよび28%アンモニア水 450 ml の混合液に加え、反応容器を45℃の水浴上で30分攪拌した。結晶の溶解後、活性炭 7.5 gを加えて攪拌後に濾過した。濾液を外温45℃で減圧濃縮して溶媒約 3000 mlを留去した。濃縮液を室温まで冷却した後に析出晶を濾取し、集めた結晶を減圧下に40℃で乾燥し標記の化合物 143 gを得た。
【0049】・融点:225 ℃(分解)
・粉末X線解析(特徴的ピーク):
【0050】
【表6】


【0051】
・IR;νmax(KBr)cm-1:3450, 3000, 2880, 1620・元素分析:C1918ClN・3/2HO として計算値:C, 52.24; H, 4.85; N, 9.62実測値:C, 52.07; H, 4.68; N, 9.47・水分(カールフィッシャー法);
計算値: 6.18%;実測値: 6.5%
【0052】[実施例2] 7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3- カルボン酸・ 1/2水晶7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4- ジヒドロキノリン-3- カルボン酸の粗結晶 4.0 gを50%の含水率のエタノール 160 ml および28%アンモニア水 6 ml の混合液に加え、60℃で30分攪拌した。結晶の溶解後、活性炭 0.2 gを加えて攪拌後に濾過した。濾液を常圧濃縮して溶媒約 80 mlを留去した。濃縮液を室温まで冷却した後に析出晶を濾取し、集めた結晶を減圧下に40℃で乾燥し標記の化合物 3.6 gを得た。
【0053】・融点:195 ℃(分解)
・粉末X線解析(特徴的ピーク):
【0054】
【表7】


【0055】
・IR;νmax(KBr)cm-1:3420, 3000, 2860, 1620・元素分析:C19H18F2ClN3O31/2H2O として計算値:C, 54.49; H, 4.57; N, 10.03実測値:C, 54.59; H, 4.29; N, 9.88・水分(カールフィッシャー法);
計算値: 2.15%;実測値: 2.1%
【0056】[実施例3] 7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3- カルボン酸・無水晶7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4- ジヒドロキノリン-3- カルボン酸の粗結晶 4 gを15%アンモニア含有エタノール(重量割合。無水エタノールにアンモニアガスを吹き込んで調製したもの。)360 mlに加え30分攪拌した。結晶の溶解後、活性炭 0.2 gを加えて攪拌後に濾過した。濾液を常圧濃縮して溶媒約 260 ml を留去した。濃縮液を室温まで冷却した後に析出晶を濾取し、集めた結晶を減圧下に40℃で乾燥し標記の化合物 3.5 gを得た。
【0057】・融点:231 ℃(分解)
・粉末X線解析(特徴的ピーク):
【0058】
【表8】


【0059】
・IR;νmax(KBr)cm-1:3430, 2950, 2800, 1630, 1610・元素分析:C19H18F2ClN3O3として計算値:C, 55.69; H, 4.43; N, 10.25実測値:C, 55.78; H, 4.23; N, 10.26・水分(カールフィッシャー法);
計算値: 0% ;実測値: 0.2%
【0060】[実施例4] 7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3- カルボン酸・1水晶7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4- ジヒドロキノリン-3- カルボン酸の粗結晶 5 gを含水率1%以下のメタノール 150 ml に加えスラリー状態とし、25℃で3日間攪拌した。結晶を濾取し、室温、常圧下で乾燥して重量が一定となるのを確認し、標記の1水和物 4.5 gを得た。
【0061】・粉末X線解析(特徴的ピーク):
【0062】
【表9】


【0063】・IR;νmax(KBr)cm-1:3620, 3410, 3080, 2870, 1630, 1610, 1540・元素分析:C19H18F2ClN3O3H2Oとして計算値:C, 53.34; H, 4.71; N, 9.82実測値:C, 53.31; H, 4.55; N, 9.93・水分(カールフィッシャー法);
計算値: 4.2% ;実測値: 4.1%
【0064】[実施例5] 7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3- カルボン酸・3/2水晶化合物(1)の粗結晶 7.7 gを、エタノール 45 ml、水 25 mlおよび28%アンモニア水 45 mlの混合液に加え、生じた混合物を45℃で10分間攪拌した。結晶が溶解した後、45℃で減圧下に濃縮して溶媒約 50 mlを留去した。混合物を室温に迄冷却して析出した結晶を濾取して集め、40℃で減圧下に乾燥して 7.3 g(94.8%)の標記の結晶を得た。
【0065】 [製剤例1] カプセル剤 実施例1の化合物(3/2 水晶) 100.0 mg コーンスターチ 23.0 mg CMC カルシウム 22.5 mg ヒドロキシプロピルメチルセルロース 3.0 mg ステアリン酸マグネシウム 1.5 mg 総計 150.0 mg
【0066】 [製剤例2] 飼料混合用散剤 実施例1の化合物 1 - 10 g コーンスターチ 89.5 - 98.5 g 軽質無水ケイ酸 0.5 g 計 100 g
【図面の簡単な説明】
【図1】化合物(1)の 3/2水晶の粉末X線回折スペクトルのチャートの例である。
【図2】化合物(1)の 1/2水晶の粉末X線回折スペクトルのチャートの例である。
【図3】化合物(1)の無水晶の粉末X線回折スペクトルのチャートの例である。
【図4】化合物(1)の1水晶の粉末X線回折スペクトルのチャートの例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3- カルボン酸を、含水溶媒中もしくは水中で処理するかまたは含水溶媒もしくは水から再結晶することを特徴とする、7-[(7-(S)-アミノ-5-アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4- ジヒドロキノリン-3- カルボン酸・ 3/2水和物の選択的な製造方法
【請求項2】 7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3- カルボン酸を含水溶媒中または水中で処理することを特徴とする、7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4- ジヒドロキノリン-3- カルボン酸 3/2水和物の選択的な製造方法
【請求項3】 7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3- カルボン酸を含水溶媒または水から再結晶することを特徴とする、7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4- ジヒドロキノリン-3- カルボン酸・ 3/2水和物の選択的な製造方法
【請求項4】 含水溶媒がアンモニアを含む含水エタノールである請求項1から3のいずれかに記載の方法
【請求項5】 7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3- カルボン酸・ 3/2水和物
【請求項6】 7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3- カルボン酸・無水物
【請求項7】 次のX線回折特性を実質的に有する7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4- ジヒドロキノリン-3- カルボン酸・ 3/2水和物の結晶
【表1】


【請求項8】 7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3- カルボン酸・ 3/2水和物を有効成分として含有する医薬
【請求項9】 次のX線回折特性を実質的に有する7-[(7-(S)-アミノ-5- アザスピロ[2.4] ヘプタン-5- イル]-8-クロロ-6- フルオロ-1-[(1R, 2S)-2- フルオロシクロプロピル]-4-オキソ-1,4- ジヒドロキノリン-3- カルボン酸・ 3/2水和物の結晶を有効成分として含有する医薬
【表2】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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