説明

抗菌性酸化ケイ素フレーク

本発明は、有機系もしくは無機系の抗菌性の化合物または組成物を含み、増強された(長期の)抗菌効果をもたらすSiOフレーク、特に多孔質SiOフレーク(式中、0.70≦z≦2.0、特に0.95≦z≦2.0である)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機系または無機系の抗菌性の化合物または組成物を含み、増強された(長期)抗菌効果を提供する、SiOフレーク、特に多孔質SiOフレーク(式中、0.70≦z≦2.0、特に0.95≦z≦2.0である)、特に多孔質SiOフレークに関する。
【0002】
国際公開第03/068868号には、20〜2000nmの範囲の厚さを有するSiOフレークの作製が記載されている。この作製は、PVDによるSiOフレークの作製および酸素含有ガスによるSiOフレークのSiOフレークへの酸化を伴う。SiOフレークには、1種類以上の金属酸化物および/または金属の層、例えば、Cr、Ti、Mo、W、Al、Cu、Ag、Au、またはNiなどと共に提供されることができる。また、例えば、3層構造SiO/基材/SiO(0.95≦y≦1.8)のPVD、次いでこの3層構造の炭素含有ガス中での加熱によって作製され得る顔料が記載されており、ここで、基材は、例えば、1000℃より上の融点を有する遷移金属、例えば、Mo、Nb、Zr、Ti、Hf、およびWである。
【0003】
国際公開第2004/020530号は、(a1)実質的に透明または金属系反射性材料からなるコア、および(a2)ケイ素に対する酸素のモル比が平均0.03〜0.95である実質的に1種類以上の酸化ケイ素からなる少なくとも1つの被膜を含む光沢顔料を含む、化粧用およびパーソナルケア調製物または配合物に関する。この金属系反射性材料は、Ag、Al、Au、Cu、Cr、Ge、Mo、Ni、Si、Ti、Zn、またはその合金から選択される。
【0004】
国際公開第2004/035684号には、SiOコア(0.03≦x≦0.95)、SiO層(0.95≦y≦2.0)および金属またはその合金を含むLayer Dを有する面平行顔料が記載されている。金属は、Ag、Al、Au、Cu、Co、Cr、Fe、Ge、Mo、Nb、Ni、Si、Ti、V、またはその合金から選択される。
【0005】
国際公開第03/106569号は、SiO層(式中、0.70≦y≦1.8)を酸素無含有雰囲気中、400℃より上の温度で加熱することによって得られるケイ素/酸化ケイ素層を含む面平行顔料であって、
(a) SiO層(式中、0.70≦y≦1.8)を酸素無含有雰囲気中、400℃より上の温度で加熱することによって得られるケイ素/酸化ケイ素基材層、半透明な金属層を含む、顔料に関する。この半透明な金属層に適切な金属は、例えば、Cr、Ti、Mo、W、Al、Cu、Ag、Au、またはNiである。
【0006】
欧州特許第0960911号は、(a)金属酸化物および/または金属でコートされた二酸化ケイ素(SiO)フレークおよび(b)小板形状、針形状、もしくは球状粒子の形態の着色剤または充填剤を含む顔料混合物に関する。金属は、Cr、Ti、Mo、W、Al、Cu、Ag、Au、またはNiから選択される。
【0007】
国際公開第2004/065295号(Art.54(3)および(4)EPCに従う先行技術)には、多孔質SiOフレーク(0.70≦z≦2.0)の作製方法が記載されている。このSiOフレークは、触媒性金属、例えば、銅またはニッケル系リフォーミング触媒またはスズキ反応用パラジウム系触媒などを担持するのに理想的のようである。このような粒子は、非常に高い表面積(約700m/g)およびナノスケール(2〜50nm)多孔度を有する。
【0008】
特許第3081209号には、フィルム透明性に優れた抗菌剤が開示されており、これは、合成樹脂フィルムとブレンドしてもそのフィルムの透明性に何ら悪影響を及ぼすことなく、種々の成分とブレンドされることができ、かつ抗菌性金属を微粉末状シリカ上に担持させることにより多種多様な病原菌、例えば大腸菌などに対して抗菌効果を発揮することが可能である。この抗菌剤は、1〜15重量%、好ましくは2〜10重量%の抗菌性金属、例えば、銀、銅、亜鉛、水銀、鉛、ビスマス、カドミウム、クロム、またはタリウムを塩の形態で、微粉末状シリカ上に担持させることにより得られる。すべての実施例は、金属塩をシリカ中に浸透させ、濾過することを含む方法に関する。還元剤の添加は、言及されていない。
【0009】
特許第1268764号には、抗菌性金属(例えば、金属系の銅)を、Al、Ba、Ca、Cd、Co、Cr、Fe、Mg、Pb、Si、Sb、またはZnの少なくとも1種類の元素から本質的になる無機系顔料もしくは体質顔料(例えば、酸化亜鉛またはマグネタイト)の粒子表面上に担持させることによって得られる粉末が開示されている。
【0010】
いくつかの金属イオンは、抗菌活性を有することが示されており、例えば、銀、銅、亜鉛、水銀、スズ、鉛、ビスマス、カドミウム、クロム、およびタリウムイオンが挙げられる。これらの抗菌性金属イオンは、細菌または真菌の細胞内に吸収されると、呼吸および電子伝達系を破壊することによりその効果を発揮することが理論付けられる。銀イオンは、米国特許第5,474,797号に記載のように、医療器具の表面内に含浸されている。銀イオンはまた、米国特許第5,520,664号に記載のように、カテーテル内にも組み込まれている。しかしながら、これらの特許に記載の製品は、典型的には、不動態化層が銀イオン被膜上に形成されるため、抗菌効果を長期間示さない。この層は、製品からの銀イオンの放出速度を低下させ、抗菌効力の低下をもたらす。
【0011】
抗菌性ゼオライトは、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンの全部または一部を抗菌性金属イオンと、米国特許第4,011,898号;同第4,938,955号;同第4,906,464号;および同第4,775,585号に記載のようにして、置換させることにより調製され得る。抗菌性ゼオライトが組み込まれたポリマーは、冷蔵庫、食器洗い器、炊飯器、プラスチックフィルム、まな板、魔法瓶、プラスチックバケツ、および厨芥入れを造るために使用されている。抗菌性ゼオライトが組み込まれた他の材料としては、フローリング、壁紙、布地、塗料、ナプキン、車両用プラスチック部品、自転車、ペン、玩具、砂、およびコンクリートが挙げられる。かかる用途の例は、米国特許第5,714,445号、同第5,697,203号、同第5,562,872号、同第5,180,585号、同第5,714,430号、および同第5,102,401号に記載されている。
【0012】
米国特許第5,305,827号には、熱交換器用の抗菌性親水性被膜が記載されている。この被膜は酸化銀を含み、微生物の成長が抑制され、熱交換器の伝熱面への接着が改善される。しかしながら、この被膜は、重度の変色を示し、典型的には、抗菌性の効力は3日間以下である。
【0013】
特願平03−347710号は、合成繊維および親水性繊維を含む不織布包帯に関する。この合成繊維は、銀、銅、または亜鉛イオンでイオン交換されたゼオライトを含有する。
【0014】
米国特許第4,923,450号には、ゼオライトをバルク材に組み込むことが開示されている。しかしながら、ゼオライトを従来のようにポリマー内に配合すると、ゼオライトは、しばしば凝集し、ポリマー中でのゼオライトの不充分な分散を引き起こす。かかる材料の成型または押出しを行なうと、ポリマーの表面は、高頻度で平坦ではなく数珠状になる。ゼオライトの不充分な分散はまた、ポリマーのバルク特性の変化(例えば、引張強度の低下など)を引き起こし得る。米国特許第4,938,958号には、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部がアンモニウムと置換されている抗菌性ゼオライトが記載されている。これは、変色の低減を示す製品をもたらす。
【0015】
無機系粒子、例えば、チタン、アルミニウム、亜鉛、および銅の酸化物は、例えば抗菌性金属イオン(銀イオンなど)を放出することにより抗菌特性を付与する組成物で被膜してもよく、これは、例えば米国特許第6,444,726号に記載されている。抗菌性金属イオン(銀など)を含有する無機系可溶性ガラス粒子は、例えば米国特許第5,766,611号および同第5,290,544号に記載されている。
【0016】
したがって、本発明の課題は、高い抗菌活性を有する抗菌性粒子を提供することである。
【0017】
課題は、有機系もしくは無機系の抗菌性の化合物または組成物を含むSiOフレーク、特に多孔質SiOフレーク(式中、0.70≦z≦2.0、特に0.95≦z≦2.0である)によって解決された。
【0018】
本発明の抗菌性SiOフレークは、生体適合性抗菌性金属が使用される場合は安全であり、生体に対して良好な親和性を有するため、食品、生体材料、化粧品、繊維、セルロース材料、被膜、プラスチック、フィルター、水吸収ポリマーなどの分野において抗菌特性が必要とされる場合に有用である。
【0019】
用語「SiO(0.70≦z≦2.0)」は、酸化ケイ素基材の酸素のケイ素に対するモル比が平均値で0.70〜2.0であることを意味する。酸化ケイ素基材の組成は、ESCA(X線光電子分光法:lectron pectroscopy for hemical nalysis)によって決定され得る。酸化ケイ素基材のケイ素および酸素の化学量論は、RBS(ラザフォード後方散乱:utherford−ackcattering)によって測定され得る。
【0020】
「抗菌性の金属」は、そのイオンが抗菌効果を有し、かつ好ましくは生体適合性である金属である。好ましい生体適合性の抗菌性の金属としては、Ag、Au、Pt、Pd、Ir(すなわち、貴金属)、Sn、Cu、Sb、Bi、およびZnが挙げられ、Agが最も好ましい。
【0021】
「抗菌効果」は、細菌の(もしくは他の微生物の)成長の抑制、または微生物の死滅を意味する。
【0022】
用語「銀を含む」は、銀と他の金属(例えば、亜鉛、銅、およびジルコニウムなど)との組み合わせを包含する。
【0023】
本発明によれば、用語「抗菌性の化合物または組成物を含むSiOフレーク」は、(多孔質)SiOフレークの全表面が抗菌性の化合物または組成物で被覆されていること、多孔質SiOフレークの細孔または一部の細孔が抗菌性の化合物または組成物で満たされていること、および/または(多孔質)SiOフレークが、個々の点において抗菌性の化合物または組成物で被覆されていることを包含する。後者の2つの選択肢は、第1の選択肢と比べて好ましい。好ましい一実施形態では、多孔質SiOフレークの細孔または一部の細孔が抗菌性の化合物または組成物で満たされている。SiOフレークの細孔径は、約1〜約50nm、特に約2〜約20nmの範囲内となる多孔質SiOフレークの作製方法によって制御され得るため、例えば、ナノサイズの金属粒子をSiOフレークの細孔内に創出することが可能である。本発明の別の好ましい実施形態では、1〜50nm、特に2〜20nmの範囲の粒径を有する抗菌性化合物(例えば、銀など)の個々の粒子を、抗菌性(多孔質)SiOフレークの表面に結合させる。したがって、1〜50nm、特に2〜20nmの範囲の粒径を有する抗菌性金属(例えば、銀など)の個々の粒子を含む抗菌性フレークが好ましい。
【0024】
本発明に従って使用される板状(面平行)SiO構造(SiOフレーク)、特に多孔質SiOフレークは、1μm〜5mmの長さ、1μm〜2mmの幅、および20nm〜1.5μmの厚さを有し、長さの厚さに対する比が少なくとも2:1であり、粒子は、実質的に平行な2つの面を有し、その間隔は、粒子の最短軸である。多孔質SiOフレークは、メソ多孔質材料であり、すなわち、約1〜約50nm、特に2〜20nmの細孔幅を有する。細孔は、三次元的にランダムに内部連結されている。そのため、支持体として使用する場合、細孔の二次元配列では高頻度で起こる通過遮断を有するSiOフレークが抑制され得る。多孔質SiOフレークの比表面積は、多孔度に依存し、約400m/gから1000m/gより大きい範囲である。好ましくは、多孔質SiOフレークは、500m/gより大きい、特に600m/gより大きい比表面積を有する。BET比表面積は、DIN 66131またはDIN 66132(R.HaulおよびG.Duembgen,Chem.−Ing.−Techn.32(1960)349および35(1063)586)に従って、Brunauer−Emmet−Teller法(J.Am.Chem.Soc.60(1938)309)を用いて測定される。
【0025】
SiOフレーク、特に多孔質SiOフレークは、均一な形状ではない。それにもかかわらず、簡潔の目的で、フレークを「直径」を有するものと称する。SiOフレークは、面平行性、および平均厚さの±10%、特に±5%の範囲の規定の厚さを有する。SiOフレークは、20〜2000nm、特に100〜500nmの厚さを有する。フレークの直径は約1〜60μmの好ましい範囲内であることが、現時点で好ましく、より好ましい範囲は約5〜40μm、最も好ましい範囲は約5〜20μmである。したがって、本発明のフレークのアスペクト比は、約2.5〜625の好ましい範囲内であり、より好ましい範囲は約50〜250である。
【0026】
本発明を、多孔質SiOフレークに基づいて詳細に説明するが、これに限定されない。非多孔質SiOフレーク(これは、国際公開第04/035693号に記載の方法に従って調製され得る)もまた適切である。
【0027】
多孔質SiOフレークは、国際公開第2004/065295号に記載の方法によって得られる。方法は、
a) 分離剤を担体上に気相蒸着し、分離剤層を作製する工程と、
b) SiOおよび分離剤を(a)の分離剤層上に同時気相蒸着する工程と、
c) SiO(式中、0.70≦y≦1.80)を分離剤から分離する工程と
を含む。
【0028】
前記板状の材料は、たった2つのプロセスパラメーター:SiOと分離剤の混合層の厚さ、および混合層中に含有されるSiOの量を変化させることにより、区別可能かつ再現可能なさまざまな変形体に作製され得る。
【0029】
用語「SiO(0.70≦y≦1.80)」は、酸化ケイ素層の酸素のケイ素に対するモル比が平均値で0.70〜1.80であることを意味する。酸化ケイ素層の組成は、ESCA(X線光電子分光法:lectron pectroscopy for hemical nalysis)によって測定され得る。酸化ケイ素層のケイ素および酸素の化学量論は、RBS(ラザフォード後方散乱:utherford−ackcattering)によって測定され得る。
【0030】
工程a)で担体上に気相蒸着される分離剤は、ラッカー(表面被膜)、ポリマー、例えば(熱可塑性)ポリマーなど、特にアクリル−もしくはスチレンポリマーまたはその混合物(米国特許第6,398,999号に記載のものなど)、有機系溶媒または水に可溶性で真空気化し得る有機物質、例えば、アントラセン、アントラキノン、アセトアミドフェノール、アセチルサリチル酸、無水ショウノウ酸、ベンズイミダゾール、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、ビフェニル−2,2−ジカルボン酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ジヒドロキシアントラキノン、ヒダントイン、3−ヒドロキシ安息香酸、8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸一水和物、4−ヒドロキシクマリン、7−ヒドロキシクマリン、3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、イソフタル酸、4,4−メチレン−ビス−3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、ナフタレン−1,8−ジカルボン酸無水物、フタルイミドおよびそのカリウム塩、フェノールフタレイン、フェノチアジン、サッカリンおよびその塩、テトラフェニルメタン、トリフェニレン、トリフェニルメタノールまたはこれらの物質の少なくとも2種類の混合物などであってもよい。あるいは、分離剤は、水溶性で真空気化し得る無機塩(例えば、ドイツ特許第19844357号を参照のこと)、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウムナトリウムおよび四ホウ化二ナトリウムなどである。
【0031】
詳細には、連続的に亜酸化ケイ素(SiO)および分離剤の層が次に続く塩、例えば、NaCl(特にNaClまたは有機系分離剤)は、担体上(これは、蒸着器を通って<0.5Paの真空下を通過する連続的な金属ベルトであり得る)に気相蒸着される。
【0032】
亜酸化ケイ素(SiO)と分離剤の混合層は、2つの異なる蒸着器によって気相蒸着され、これらの各々には、この2種類の材料の一方が詰められ、それらの気相ビームはオーバーラップする。この場合、分離剤は混合層内に、混合層の総重量に対して1〜60重量%の量で含有される。
【0033】
気相蒸着される塩の厚さは、約20nm〜100nm、特に30〜60nmであり、混合層の厚さは、生成物の意図される特性に応じて、20〜2000nm、特に50〜500nmである。
【0034】
担体は、溶解浴(水)中に浸漬させる。機械的補助により、分離剤層は速やかに溶解し、生成物層がフレーク状にばらばらにされ、次いで、これらは溶媒中に懸濁液の形態で存在する。多孔質酸化ケイ素フレークは、米国特許第6,270,840号に記載の装置を用いて好都合に作製され得る。
【0035】
その結果、生成物構造体および溶媒を含む場合と、分離剤が溶解している場合の両方で存在する懸濁液を、次いで、公知の手法に従う更なる操作にて分離する。この目的のため、生成物構造体を、まず液体中で濃縮し、溶解した分離剤を洗い流すために新たな溶媒で数回リンスする。まだ湿っている固形物の形態の生成物を、次いで、濾過、沈降、遠心分離、デカンテーション、または蒸発によって分離する。
【0036】
SiO1.00−1.8層は、好ましくは、蒸着装置内でSiとSiOの混合物の1300℃より上の温度での反応によって生成される一酸化ケイ素気体の蒸着によって形成される。
【0037】
SiO0.70−0.99層は、好ましくは、ケイ素を20重量%までの量で含有する一酸化ケイ素を、1300℃より上の温度で気化させることによって形成される。
【0038】
図1は、本願の実施例1で使用した多孔質SiO(z≒1.4〜1.6)フレークのTEM(透過型電子顕微鏡)顕微鏡写真である。TEM顕微鏡写真は、SiOフレークの細孔径が約4nmの範囲であることを示す。
【0039】
z>1である多孔質SiOフレークの作製は、蒸着中に更に酸素を供給することによりなされ得る。この目的のため、真空チャンバにガス供給口を設けてもよく、これにより、真空チャンバ内の酸素分圧が一定値に制御され得る。
【0040】
あるいは、乾燥後、生成物を、酸化的加熱処理に供してもよい。この目的のための公知の方法が利用可能である。空気または何か別の酸素含有ガスを、SiO(式中、yは、気相蒸着条件に応じて、0.70(特に1)〜約1.8である)の、もろい材料の形態または流動床の状態の面平行構造体に、200℃より上、好ましくは400℃より上、特に500〜1000℃の温度で通す。数時間後、すべての構造体は、SiOに酸化されている。生成物を、次いで、例えば、超音波によって、または液体媒質中での高速攪拌機を用いる機械的手段によって、あるいは回転式分級機を有するエアジェットミル内での断片の乾燥後に、膜の断片の顔料サイズへの粉末化をもたらすであろう粉砕または空気分級によって、所望の粒径にし得る。
【0041】
あるいは、乾燥後、多孔質SiO粒子を国際公開第03/106569号に従って、酸素無含有雰囲気内、すなわちアルゴンもしくはヘリウム雰囲気内で、または13Pa(10−1Torr)未満の真空内で400℃より上の温度で、特に400〜1100℃で加熱されることができ、それにより、Siナノ粒子を含有する多孔質酸化ケイ素フレークを得ることができる。
【0042】
SiO粒子を酸素無含有雰囲気内で加熱することにより、SiOがSiOおよびSiに不均化すると思われる。
SiO →(y/y+a)SiOy+a +(1−y/y+a)Si
【0043】
この不均化では、(1−(y/y+a))Si(式中、0.70≦y≦1.8、特に0.70≦y≦0.99または1≦y≦1.8、0.05≦a≦1.30、ならびにyおよびaの合計は、2以下である)を含有する多孔質SiOy+aフレークが形成される。SiOy+aは、酸素が富化された亜酸化ケイ素である。
SiO →(y/2)SiO +(1 −(y/2))Si
【0044】
多孔質SiOフレークは、加工可能であるように50nmの最小厚さを有するのがよい。最大厚さは所望の用途に依存するが、一般的には、150〜500nmの範囲である。フレークの多孔度は5〜85%の範囲である。
【0045】
多孔質SiOフレークは、有機系または無機系の抗菌性の化合物または組成物を含む。
【0046】
本発明の一実施形態では、抗菌性の化合物または組成物は、有機系の抗菌性の化合物または組成物である。抗菌性化合物の例は、ジメチルジメチロールヒダントイン(Glydant(登録商標))、メチルクロロイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン(Kathon CG(登録商標))、イミダゾリジニル尿素(Germall 115(登録商標)、ジアゾリジニル尿素(Germaill II(登録商標))、ベンジルアルコール、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール(Bronopol(登録商標))、ホルマリン(ホルムアルデヒド)、ヨードプロペニルブチルカルバメート(Polyphase P100(登録商標))、クロロアセトアミド、メタンアミン、メチルジブロモニトリルグルタロニトリル(1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンまたはTektamer(登録商標))、グルタルアルデヒド、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン(Bronidox(登録商標))、フェネチルアルコール、o−フェニルフェノール/o−フェニルフェノールナトリウム、ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム(Suttocide A(登録商標))、ポリメトキシ二環式オキサゾリジン(Nuosept C(登録商標))、ジメトキサン、チメロサール、ジクロロベンジルアルコール、キャプタン、クロルフェネシン、ジクロロフェン、クロルブタノール、ラウリン酸グリセリル、ハロゲン化ジフェニルエーテル、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシ−ジフェニルエーテル(Triclosan(登録商標)またはTCS)、4,4’−ジクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル、2,2’−ジヒドロキシ−5,5’−ジブロモ−ジフェニルエーテル、フェノール系化合物、フェノール、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、4−エチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、4−n−プロピルフェノール、4−n−ブチルフェノール、4−n−アミルフェノール、4−tert−アミルフェノール、4−n−ヘキシルフェノール、4−n−ヘプチルフェノール、モノ−およびポリ−アルキルおよび芳香族ハロフェノール類、p−クロロフェノール、メチルp−クロロフェノール、エチルp−クロロフェノール、n−プロピルp−クロロフェノール、n−ブチルp−クロロフェノール、n−アミルp−クロロフェノール、sec−アミルp−クロロフェノール、シクロヘキシルp−クロロフェノール、n−ヘプチルp−クロロフェノール、n−オクチルp−クロロフェノール、o−クロロフェノール、メチルo−クロロフェノール、エチルo−クロロフェノール、n−プロピルo−クロロフェノール、n−ブチルo−クロロフェノール、n−アミルo−クロロフェノール、tert−アミルo−クロロフェノール、n−ヘキシルo−クロロフェノール、n−ヘプチルo−クロロフェノール、o−ベンジルp−クロロフェノール、o−ベンキシル−m−メチルp−クロロフェノール、o−ベンジル−m、m−ジメチルp−クロロフェノール、o−フェニルエチルp−クロロフェノール、o−フェニルエチル−m−メチルp−クロロフェノール、3−メチルp−クロロフェノール、3,5−ジメチルp−クロロフェノール、6−エチル−3−メチルp−クロロフェノール、6−n−プロピル−3−メチルp−クロロフェノール、6−イソ−プロピル−3−メチルp−クロロフェノール、2−エチル−3,5−ジメチルp−クロロフェノール、6−sec−ブチル−3−メチルp−クロロフェノール、2−イソ−プロピル−3,5−ジメチルp−クロロフェノール、6−ジエチルメチル−3−メチルp−クロロフェノール、6−イソ−プロピル−2−エチル−3−メチルp−クロロフェノール、2−sec−アミル−3,5−ジメチルp−クロロフェノール、2−ジエチルメチル−3,5−ジメチルp−クロロフェノール、6−sec−オクチル−3−メチルp−クロロフェノール、p−クロロ−m−クレゾール、p−ブロモフェノール、メチルp−ブロモフェノール、エチルp−ブロモフェノール、n−プロピルp−ブロモフェノール、n−ブチルp−ブロモフェノール、n−アミルp−ブロモフェノール、sec−アミルp−ブロモフェノール、n−ヘキシルp−ブロモフェノール、シクロヘキシルp−ブロモフェノール、o−ブロモフェノール、tert−アミルo−ブロモフェノール、n−ヘキシルo−ブロモフェノール、n−プロピル−m,m−ジメチルo−ブロモフェノール、2−フェニルフェノール.4−クロロ−2−メチルフェノール,4−クロロ−3−メチルフェノール、4−クロロ−3,5−ジメチルフェノール、2,4−ジクロロ−3,5−ジメチルフェノール、3,4,5,6−テトラブロモ−2−メチルフェノール、5−メチル−2−ペンチルフェノール、4−イソプロピル−3−メチルフェノール、パラ−クロロ−メタ−キシレノール(pcmx)、クロロチモール、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、5−クロロ−2−ヒドロキシジフェニルメタン、レゾルシノールおよびその誘導体、レゾルシノール、メチルレゾルシノール、エチルレゾルシノール、n−プロピルレゾルシノール、n−ブチルレゾルシノール、n−アミルレゾルシノール、n−ヘキシルレゾルシノール、n−ヘプチルレゾルシノール、n−オクチルレゾルシノール、n−ノニルレゾルシノール、フェニルレゾルシノール、ベンジルレゾルシノール、フェニルエチルレゾルシノール、フェニルプロピルレゾルシノール、p−クロロベンジルレゾルシノール、5−クロロ2,4−ジヒドロキシジフェニルメタン、4’−クロロ2,4−ジヒドロキシジフェニルメタン、5−ブロモ2,4−ジヒドロキシジフェニルメタン、4’−ブロモ2,4−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビスフェノール系化合物、2,2’−メチレンビス(4−クロロフェノール)、2,2’−メチレンビス(3,4,6−トリクロロフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−クロロ−6−ブロモフェノール)、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)硫化物、ビス(2−ヒドロキシ−5−クロロベンジル)硫化物、安息香酸エステル(パラベン類)、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン、イソプロピルパラベン、イソブチルパラベン、ベンジルパラベン、メチルパラベンナトリウム、プロピルパラベンナトリウム、ハロゲン化カルバニリド類、3,4,4’−トリクロロカルバニリド類(Triclocarban(登録商標)またはTCC)、3−トリフルオロメチル−4,4’−ジクロロカルバニリド、3,3’,4−トリクロロカルバニリド、クロロヘキシジンおよびそのジグルコン酸塩、二酢酸塩および二塩酸塩、ウンデセン酸、ヘキセチジン、および塩酸ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)(Cosmocil(登録商標))である。抗真菌剤は、例えば、チアベンダゾール、10,10’オキシビスフェノキシアルシン、テブコナゾール、トルナフテート、ビス−(2−ピリジンチオール−1−オキシド)亜鉛塩、2n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−オクチル−4−イソチアゾリン、N−ブチル−ベンズイソチアゾリン、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート、メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イルカルバメートならびにその混合物からなる群より選択される。
【0047】
抗菌性の化合物または組成物のSiOフレークの細孔内への組み込みは、拡散、沈着、共有結合および/またはイオン交換によってなされ得る。
【0048】
有機系の抗菌性化合物を含むSiOフレークは、
a) SiOフレークを、有機系の抗菌性化合物の溶液中に分散させること、SiOフレークを有機系の抗菌性化合物の溶液に添加すること、または有機系の抗菌性化合物をSiOフレークの分散液に添加すること、
b) 場合により、有機系の抗菌性化合物をSiOフレーク上に沈着させること、および
c) 有機系の抗菌性化合物を含むSiOフレークを単離すること
を含む方法によって得られる。
【0049】
好ましくは、
a) SiOフレークを有機系の抗菌性化合物の溶液に添加すること、
b) 場合により、有機系の抗菌性化合物をSiOフレーク上に沈着させること、および
c) 続いて、有機系の抗菌性化合物を含むSiOフレークを単離すること
を含む方法である。
【0050】
好都合には、その手順は、有機系の抗菌性化合物を、まず適切な溶媒(I)に溶解し、次いでSiOフレークを得られた溶液中に分散させるようにする。しかしながら、反対に、SiOフレークを、まず溶媒(I)中に分散させ、次いで、有機系の抗菌性化合物を添加および溶解させることも可能である。
【0051】
第1の溶媒と混和性であり、そのため有機系の抗菌性化合物の溶解度を低下させ、かつ完全に、またはほぼ完全に基材上に堆積する任意の溶媒が溶媒(II)として適切である。この場合、無機系溶媒および有機系溶媒も両方とも考慮される。次いで、コートされた基材の単離を、慣用的に濾別、洗浄および乾燥によって行われる。
【0052】
本発明の更なる実施形態では、抗菌性の化合物または組成物は、抗菌性金属塩を含む。金属塩は、第I族(A、B)、第II族(A、B)、第III A族、第IV族(A、B)、第VIB族、第VIII族、希土類化合物、およびその組み合わせからなる群より選択される金属を含む。より好ましくは、金属塩としては、Mn、Ag、Au、Zn、Sn、Fe、Cu、Al、Ni、Co、Ti、Zr、Cr、La、Bi、K、Cd、Yb、Dy、Nd、Ce、Tl、Pr、およびその組み合わせからなる群より選択される金属の塩が挙げられる。更により好ましくは、金属塩としては、Mn、Ag、Au、Zn、Sn、Fe、Cu、Al、Ni、Co、Ti、Zr、Cr、La、およびその組み合わせからなる群より選択される金属の塩が挙げられる。最も好ましくは、金属塩としては、Ag、Au、Cu、Zn、およびその組み合わせからなる群より選択される金属の塩が挙げられる。
【0053】
より具体的には、金属塩としては、限定されないが、金属キレートおよび塩、例えば、ビスヒスチジン錯体、臭化物、コンドロイチン硫酸、亜クロム酸塩、シアン化物、ジピオコリネート(dipiocolinate)、エチルへキサン酸塩、グリセロリン酸塩錯体、メトキシド、ポリホスホン酸塩、パラフェノールスルホン酸塩、過塩素酸塩、フェノールスルホン酸塩、セレン化物、ステアリン酸塩、チオシアン酸塩、トリポリリン酸塩、タングステン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、パラ−アミノ安息香酸塩、パラジメチルアミノ安息香酸塩、水酸化物、パラ−メトキシ桂皮酸塩、ナフテン酸塩、ステアリン酸塩、カプリン酸塩、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、オレイン酸塩、ピコリン酸塩、ピリチオン、フッ化物、アスパラギン酸塩、グルコン酸塩、ヨウ化物、酸化物、亜硝酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、硫化物、メルカプトピリジン−オキシド(例えば、亜鉛ピリチオン)、ニコチン酸塩、およびニコチンアミド、ヒノキチオール、酢酸塩、アスコルビン酸塩、塩化物、安息香酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルタル酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、ウンデシル酸塩、ならびにその組み合わせなどが挙げられる。
【0054】
より好ましくは、金属塩は、リン酸塩、炭酸塩、パラ−アミノ安息香酸塩、パラジメチルアミノ安息香酸塩、水酸化物、パラ−メトキシ桂皮酸塩、ナフテン酸塩、ステアリン酸塩、カプリン酸塩、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、オレイン酸塩、ピコリン酸塩、ピリチオン、フッ化物、アスパラギン酸塩、グルコン酸塩、ヨウ化物、酸化物、亜硝酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、硫化物、メルカプトピリジン−オキシド(例えば、亜鉛ピリチオン)、ニコチン酸塩およびニコチンアミド、ヒノキチオール、酢酸塩、アスコルビン酸塩、塩化物、安息香酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルタル酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、ウンデシル酸塩、およびその組み合わせからなる群より選択される。
【0055】
更により好ましくは、金属塩は、フッ化物、アスパラギン酸塩、グルコン酸塩、ヨウ化物、酸化物、亜硝酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、硫化物、メルカプトピリジン−酸化物(例えば、亜鉛ピリチオン)、ニコチン酸塩およびニコチンアミド、ヒノキチオール、酢酸塩、アスコルビン酸塩、塩化物、安息香酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルタル酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、ウンデシル酸塩、ならびにその組み合わせからなる群より選択される。
【0056】
更により好ましくは、金属塩および錯体は、酢酸塩、アスコルビン酸塩、塩化物、安息香酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルタル酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、ウンデシル酸塩、ならびにその組み合わせである。
【0057】
好ましい実施形態では、本発明は、安息香酸類縁化合物の金属塩を含むSiOフレークに関する。
【0058】
好ましい安息香酸類縁化合物としては、
【0059】
【化1】

【0060】
(式中、R、R、R、およびRは、独立して、H、OH、F、I、Br、Cl、SH、NH、CN、アルキル、アルコキシ、NR、OR、NO、COR、CONR、COR、SOR’からなる群より選択される;Rは、独立して、H、OH、F、I、Br、Cl、SH、CN、アルキル、アルコキシル基、OR、NO、COR、CONR、COR、SOR(式中、Rは、独立して、H、アルキル、およびアラルキル基からなる群より選択され、R’は、RまたはNRである)からなる群より選択される)
の構造を有するものが挙げられる。
【0061】
適切なアルキル基としては、飽和または不飽和の、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキル基、好ましくはC〜C−、より好ましくはC〜C−、および最も好ましくはC〜Cアルキル基(好ましくは、CHまたはC)が挙げられる。置換アルキルの非限定的な例は、CHCOR、CHOR、CHOR、CHCOR、およびCHNR(式中、Rは上記規定のとおり)である。
【0062】
適切なアラルキル基としては、置換または非置換のアラルキル基、好ましくはベンジルが挙げられ、これは、1つ以上のC〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシ基で置換されたものであり得る。
【0063】
適切なアルコキシ基としては、飽和または不飽和の、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルコキシ基、好ましくはC〜C−、より好ましくはC〜C−、および最も好ましくはC〜Cアルコキシル基(好ましくは、CHまたはC)が挙げられる。
【0064】
好ましいハロゲンは、I、Br、およびClからなる群より選択される。
【0065】
好ましい安息香酸類縁化合物は、式中、R、R、R、およびRが、独立して、H、ヒドロキシ、アミノ、ジエチルアミノ、ジメチルアミノ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エトキシ、メトキシ、プロポキシ、ブトキシ、C(O)CH、C(O)C、C(O)C、COCH、CO、CHOCH、CHOC、COOH、クロロ、フルオロ、ブロモ、トリフルオロメチル、ニトロ、およびシアノからなる群より選択されるものである。Rは、H、ヒドロキシ、ジエチルアミノ、ジメチルアミノ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エトキシ、メトキシ、プロポキシ、ブトキシ、C(O)CH、C(O)C、C(O)C、COCH、CO、CHOH、CHOCH、CHOC、COOH、クロロ、フルオロ、ブロモ、トリフルオロメチル、ニトロ、およびシアノからなる群より選択される。
【0066】
このような安息香酸類縁化合物の例は、安息香酸、サリチル酸、2−ニトロ安息香酸、チオサリチル酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、5−ニトロサリチル酸、5−ブロモサリチル酸、5−ヨードサリチル酸、5−フルオロサリチル酸、3−クロロサリチル酸、4−クロロサリチル酸、5−クロロサリチル酸、フタル酸、およびその組み合わせからなる群より選択される。
【0067】
最も好ましくは、安息香酸類縁化合物は、サリチル酸、安息香酸、およびその組み合わせからなる群より選択される。
【0068】
金属イオンおよび配位するアニオンの選択は、具体的な用途に依存する。銀、金、銅、および亜鉛の抗菌性の金属イオンは、特に、インビボ使用でさえ安全であるとみなされている。抗菌性銀イオンは、身体内に実質的に吸収されないという事実により、インビボ使用に特に有用である。かかる塩としては、酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、銀イオネート(ionate)、ヨウ化銀、乳酸銀、銀ラウリンサンエステル、酸化銀、パルミチン酸銀、銀タンパク質、およびスルファジアジン銀が挙げられる。
【0069】
更に好ましい実施形態では、本発明は、四酸化四銀、すなわち銀(I、III)酸化物、およびその誘導体、特に四酸化四銀(Ag)を含むSiOフレークに関する。
【0070】
多孔質SiOフレークを含有する四酸化四銀は、
a) 硝酸銀などの水溶性銀塩を含有する水溶液を提供すること;
b) SiOフレークが溶液で均一に濡れるのに充分な時間、SiOフレークを溶液に接触させること;
c) 濡れたSiOフレークを、水酸化ナトリウムなどの強アルカリ、および過硫酸ナトリウムなどの水溶性酸化剤を含有する第2の水溶液を含有する浴中に浸漬し、浴を、四酸化四銀がSiOフレーク上に沈着するのに充分な時間加熱すること;および
d)SiOフレークを浴から取り出すこと
を含む方法によって得られる。次いで、コートされた基材の単離を、慣用的に濾別、洗浄、および乾燥によって行われる。
【0071】
本発明の特に好ましい実施形態では、抗菌性の化合物または組成物は、金属、特に、Mn、Ag、Zn、Sn、Fe、Cu、Al、Ni、Co、Ti、Zr、Cr、La、Bi、K、Cd、Yb、Dy、Nd、Ce、Tl、Pr、およびその組み合わせ、更に特に、銀、金、銅、亜鉛、およびその組み合わせから選択される金属を含む。
【0072】
金属含有SiOフレークは、
a) SiOフレークを溶媒中に懸濁すること、
b) 溶媒可溶性抗菌性金属塩および、場合により還元剤を溶液に添加すること、
c) 金属含有SiOフレークを単離すること
によって得られる。
【0073】
あるいは、SiOフレークを、金属塩の溶液に添加し、場合により還元剤を溶液に添加してもよい。次いで、コートされた基材の単離を、慣用的に濾別、洗浄、および乾燥によって行われる。
【0074】
あるいは、金属含有SiOフレークは、国際公開第2004/065295号に記載の方法によって得られる。方法は、
a) 分離剤を担体上に気相蒸着して分離剤層を作製する工程と、
b) SiOおよび金属、特に銀を(a)の分離剤層上に同時気相蒸着する工程と、
c) SiO(式中、0.70≦y≦1.80)の分離剤から分離する工程と、
を含む。しかしながら、この方法は、あまり好ましくなく、本発明の抗菌性SiOzフレークは、好ましくは、湿式化学被膜形成法によって得られるものである。
【0075】
抗菌性金属含有SiOフレークの調製方法を、以下に、金属として特に銀に基づいてより詳細に説明する。
【0076】
SiOフレークを水系および/または有機系溶媒含有媒質中に、金属化合物の存在下で懸濁し、金属化合物を基材上に、SiOフレーク自体が還元剤として作用しない場合、または多孔質SiOフレークが基材として使用される場合は、還元剤の添加によって堆積させる。金属化合物は、例えば、硝酸銀、塩化銅、塩化パラジウム、酢酸ニッケル、またはアセチル酢酸ニッケルである。塩化ニッケルを金属化合物として使用し、次亜リン酸塩を還元剤として使用してもよい。硝酸銀の場合は、以下の化合物:アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンザルアルデヒド)、ケトン類(アセトン)、炭酸およびその塩(酒石酸、アスコルビン酸)、レダクトン類(イソアスコルビン酸、トリオースレダクトン、レダクチン酸)、ならびに還元糖(グルコース)が還元剤として使用され得る。
【0077】
本発明の好ましい実施形態では、金属化合物は、例えば、塩化銅、塩化パラジウム、または酢酸ニッケルである。実施形態では、金属化合物を水/または有機溶媒、特に水中に懸濁し、金属塩の溶液を攪拌下で添加する。次いで、懸濁液を、場合により溶媒の沸点まで1時間〜2日間加熱する。還元剤(好ましくはヒドラジンまたはNaBH)を、冷却した懸濁液に添加する。懸濁液は、場合により溶媒の沸点まで1時間〜2日間加熱する。得られたSiOフレークを水および/または別の溶媒(C〜Cアルコールなど、特にメタノールもしくはエタノール)で充分洗浄した後、乾燥する。SiOフレークは、好ましくは、105〜115℃の温度で常圧下または10〜90℃の温度で減圧下(1〜30Torr)で乾燥させる。得られたSiOフレークを、続いて200〜800℃、特に200〜600℃で焼結することができ、この場合、無色の金属でコートされたSiOフレークが得られる。本発明は、SiOフレークおよび[(CCHNMe−2)Pd(OAc)(PPh)]をキシレン5ml中、激しい攪拌下で加熱し、2時間加熱還流することにより得られる多孔質SiOフレーク(BET 750m/g)を含まないが、抗菌剤としてのその使用は含む。
【0078】
本発明の特に好ましい実施形態では、SiOフレークはケイ素および/または亜酸化ケイ素を含む、すなわちケイ素−ケイ素結合が存在し、自身が還元剤として作用する(すなわち、z<2、特に1≦z≦1.8、更に特に1.4≦z≦1.8である)。実施形態では、本発明の抗菌性SiOフレークは、多孔質SiOフレークを、予め調製しておいたアニオンおよび抗菌性金属イオン(例えば、銀、銅、および亜鉛イオンなど)を含有する水系および/または有機系溶媒(特にアルコール系溶液)と接触させ、多孔質SiOフレークの細孔内もしくは多孔質SiOフレークの表面上、または非多孔質SiOフレークへの金属の堆積を引き起こすことにより得られる。これらのイオン間の接触は、バッチ手法または連続手法(例えば、カラム法など)により、−114℃〜70℃、好ましくは−70℃〜30℃の温度で、1時間〜8日間、特に1時間〜2日間、更に特に1〜12時間、場合により不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴンなど)の雰囲気下で行われる。例えば、銀イオン供給源として、硝酸銀、硫酸銀、過塩素酸銀、酢酸銀、および硝酸銀ジアミンなど;銅イオン供給源として、硝酸銅(II)、硫酸銅、過塩素酸銅、酢酸銅、テトラシアン銅カリウムなど;ならびに亜鉛イオン供給源として、亜鉛(II)硝酸塩、硫酸亜鉛、過塩素酸亜鉛、酢酸亜鉛およびチオシアン酸亜鉛などが挙げられ得る。硝酸銀の場合、銀イオンが、(多孔質)SiOフレーク内に存在するケイ素および/または亜酸化ケイ素によって銀に還元され、それにより、1〜50nm、特に1〜20nm、更に特に2〜10nmの範囲の粒径を有する銀ナノ粒子が、SiOフレークの細孔内または表面上に形成される。銀ナノ粒子は、極めて防腐性の効力;広い抗菌スペクトル;高い殺菌性効果(特に水との接触中);無毒性および非刺激性を有する。上記の反応は、30℃未満、特に−20℃未満、更に特に−40〜−60℃で行なわれ、得られたSiOフレークを、続いて200〜600℃で焼結すると、無色の銀でコートされたSiOフレークを得ることができ、これは、透明な銀でコートされたSiOフレークが必要とされる場合の用途(例えば、コンタクトレンズなど)における使用に特に適切である。本発明の態様では、多孔質SiOフレークの細孔径、すなわち換言すると銀ナノ粒子の粒径は、1〜20nm、特に2〜10nmの範囲である。
【0079】
1nm〜50nmの範囲の粒径を有する銀ナノ粒子という表現は、一般的には、銀ナノ粒子の少なくとも80パーセント、特に95パーセントが1nm〜50nmの範囲の粒径を有し、このとき銀ナノ粒子の少なくとも50パーセントが、好ましくは、1nm〜20nmの範囲の粒径を有することを意味する。最も好ましくは、粒子の少なくとも50パーセントが2〜10nmの範囲の粒径有する。銀ナノ粒子の最大寸法(例えば、長さ)を測定して粒径を決定する。粒径は、電子顕微鏡写真またはFraunhofer回折計測装置を用いるレーザー回折によって測定される。
【0080】
SiOフレーク中の銀などの金属の含量は、一般的には、0.001〜20.0重量パーセント、特に0.01〜10重量パーセント、更に特に0.1〜5.0重量パーセントである。
【0081】
SiOフレーク中の銀などの金属の含量は、上記の水系混合溶液中での各イオン種(または塩)の濃度を調整することにより、適正に制御することができる。例えば、本発明の抗菌性SiOフレークが硝酸塩および銀イオンを含む場合、0.1〜5%の銀イオン含量を有する抗菌性SiOフレークが、SiOフレークを0.0001 M/l〜0.5 M/l、特に0.01 M/l〜0.1 M/lの銀イオン濃度を有する硝酸銀水溶液または硝酸銀のC〜Cアルコール(特にメタノールまたはエタノール)溶液と接触させることにより適正に得られる。
【0082】
あるいは、異なる抗菌性金属を含む抗菌性SiOフレークを、各々が単一の異なる金属イオン種(または塩)を含有する別個の水溶液および/またはアルコール系溶液を用い、SiOフレークを各溶液と1つずつ接触させることにより調製してもよい。
【0083】
このようにして処理したSiOフレークを、水および/または別の溶媒(例えば、C〜Cアルコール、特にメタノールもしくはエタノールなど)で充分洗浄した後、乾燥する。SiOフレークは、好ましくは、105〜115℃の温度で常圧下または10〜90℃の温度で減圧下(1〜30Torr)で乾燥させる。場合により、続いてSiOフレークを200〜600℃焼結してもよい。銀ナノ粒子を含む多孔質SiOフレークの場合、焼結は、銀ナノ粒子の粒径の縮小を引き起こすだろうし、銀ナノ粒子を含む非多孔質SiOフレークの場合は、焼結は、銀ナノ粒子の凝集をもたらすだろう。焼結中、多孔質SiOフレーク表面上に存在する銀は、毛管作用によって多孔質SiOフレークの細孔内に移動すると考えられる。
【0084】
抗菌性の非多孔質SiOフレークは、同様にして得られる。用語「SiOフレーク」は、通常、「多孔質SiOフレーク」だけでなく「非多孔質SiOフレーク」も含む。しかしながら、多孔質SiOフレークは、非多孔質SiOフレークよりも好ましい。
【0085】
本発明による抗菌性SiOフレークは、微生物、例えば、一般細菌、真菌類および藻類などの発生および増殖が抑制されなければならない任意の分野において使用され得る。
【0086】
したがって、本発明の更なる態様は、上述の抗菌性SiOフレークを含む抗菌剤製品または組成物に関する。
【0087】
例えば、ウォーターシステムの分野では、本発明の抗菌性SiOフレークは、浄水器、冷却塔の水、およびさまざまな冷却用水における抗菌剤および抗藻類剤として使用され得る。
【0088】
同様に、特に重要なのは、熱可塑性または熱硬化性被膜のための抗菌性SiOフレークの使用である。
【0089】
コートされる基材としては、木材、セラミック材料、金属、プラスチック、または有機物質でコートまたは染色された物品が挙げられる。
【0090】
バインダーは、原則的には、業界において慣用的な任意のバインダー、例えば、ウルマン(Ulmann)工業化学百科事典,第5版,第A18巻,pp.368−426,VCH,Weinheim 1991に記載のものであり得る。一般に、これは、熱可塑性もしくは熱硬化性の樹脂系(主に、熱硬化性樹脂系)の被膜形成性バインダーである。その例は、アルキド、アクリル系、ポリエステル、フェノール系、メラミン、エポキシ、およびポリウレタン樹脂ならびにその混合物である。
【0091】
バインダーは、低温硬化性またはまたは高温硬化性のバインダーであり得、硬化触媒の添加が好都合であり得る。バインダーの硬化を加速する適切な触媒は、例えば、ウルマン工業化学百科事典,第A18巻,p.469,VCH Verlagsgesellschaft,Weinheim 1991に記載されている。
【0092】
好ましいのは、バインダーが機能性アクリレート樹脂および架橋剤を含む被膜組成物である。
【0093】
特定のバインダーを含有する被膜組成物の例は、
1.低温−または高温−架橋性アルキド、アクリレート、ポリエステル、エポキシ、またはメラミン樹脂もしくはかかる樹脂の混合物を主成分とする塗料、所望される場合は、硬化触媒の添加を伴う;
2.ヒドロキシル含有アクリレート、ポリエステル、またはポリエーテル樹脂および脂肪族または芳香族イソシアネート、イソシアヌレートもしくはポリイソシアネートを主成分とする二成分系ポリウレタン塗料;
3.チオール含有アクリレート、ポリエステル、またはポリエーテル樹脂および脂肪族または芳香族イソシアネート、イソシアヌレートもしくはポリイソシアネートを主成分とする二成分系ポリウレタン塗料;
4.焼成中にデブロックされるブロックイソシアネート、イソシアヌレートもしくはポリイソシアネートを主成分とする一成分系ポリウレタン塗料、所望される場合は、メラミン樹脂の添加を伴う;
5.脂肪族または芳香族ウレタンまたはポリウレタンおよびヒドロキシル含有アクリレート、ポリエステルまたはポリエーテル樹脂を主成分とする一成分系ポリウレタン塗料;
6.遊離アミノ基をウレタン構造内にを有する脂肪族または芳香族ウレタンアクリレートまたはポリウレタンアクリレートおよびメラミン樹脂またはポリエーテル樹脂を主成分とする一成分系ポリウレタン塗料、必要な場合は、硬化触媒を伴う;
7.(ポリ)ケチミンおよび脂肪族もしくは芳香族イソシアネート、イソシアヌレート、またはポリイソシアネートを主成分とする二成分系塗料;
8.(ポリ)ケチミンおよび不飽和アクリレート樹脂またはポリアセト酢酸塩樹脂またはメタクリルアミドグリコール酸メチルエステルを主成分とする二成分系塗料;
9.カルボキシル−またはアミノ含有ポリアクリレートおよびポリエポキシドを主成分とする二成分系塗料;
10.無水物基を含有するアクリレート樹脂およびポリヒドロキシまたはポリアミノ成分を主成分とする二成分系塗料;
11.アクリレート含有無水物およびポリエポキシドを主成分とする二成分系塗料;
12.(ポリ)オキサゾリンおよび無水物基を含有するアクリレート樹脂もしくは不飽和アクリレート樹脂、または脂肪族もしくは芳香族イソシアネート、イソシアヌレートもしくはポリイソシアネートを主成分とする二成分系塗料;
13.不飽和ポリアクリレートおよびポリマロン酸塩を主成分とする二成分系塗料;
14.熱可塑性アクリレート樹脂または外部架橋性アクリレート樹脂とエーテル化メラミン樹脂との組み合わせを主成分とする熱可塑性ポリアクリレート塗料;
15.シロキサン修飾またはフッ素修飾アクリレート樹脂を主成分とする塗料系;
16.マロン酸塩−ブロックイソシアネートおよび架橋剤(酸触媒)としてのメラミン樹脂(例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン)を主成分とする塗料系(特に、クリアコート用);
17.ウレタンアクリレートオリゴマーおよび/またはアクリルアタクリルラテン(acrylatacrylaten)を主成分とするUV−硬化性系、所望される場合は、他のオリゴマーまたはモノマーとの組み合わせを伴う;
18.二重硬化系、これは、最初に熱によって、続いてUVまたは電子線照射硬化させるか、またはその逆によって硬化させ、その成分は、照射時にUV光と光開始剤の存在下で反応し得るか、または電子ビームと反応し得るエチレン性二重結合を含有する;
である。
【0094】
シロキサンを主成分とする被膜系、例えば、国際公開第98/56852号、国際公開第98/56853、ドイツ国特許出願公開第2914427号、またはドイツ国特許出願公開第4338361号に記載されている系も可能である。
【0095】
被膜組成物はまた、更なる成分を含み得、例えば、溶媒、顔料、染料、可塑剤、安定化剤、レオロジー剤、またはチクソトロピック剤、乾燥用触媒および/またはレベリング剤である。存在させ得る成分の例は、ウルマン工業化学百科事典,第5版,第A18巻,pp.429−471,VCH,Weinheim 1991に記載されている。
【0096】
乾燥させ得る触媒または硬化させ得る触媒は、例えば、遊離の(有機)酸もしくは塩基、または(有機系の)ブロックされた酸または塩基(これらは、加熱処理もしくは放射線照射によってデブロックされ得る)、有機金属化合物、アミン、アミノ含有樹脂および/またはホスフィンである。有機金属化合物の例は、金属カルボキシレート、特に、金属Pb、Mn、Co、Zn、Zr、もしくはCuのもの、または金属キレート、特に、金属Al、Ti、Zr、もしくはHfのもの、または有機金属化合物、例えば、有機スズ化合物などである。
【0097】
金属カルボキシレートの例は、Pb、Mn、もしくはZnのステアリン酸塩、Co、Zn、もしくはCuのオクトエート、MnおよびCoのナフテン酸塩または対応するリノレイン酸塩、樹脂酸塩、もしくはトール酸塩である。
【0098】
金属キレートの例は、アセチルアセトン、エチルアセチル酢酸塩、サリチルアルデヒド、サリチルアルドオキシム、o−ヒドロキシアセトフェノン、またはエチルトリフルオロアセチル酢酸塩のアルミニウム、チタン、もしくはジルコニウムキレート、およびこれらの金属のアルコキシドである。
【0099】
有機スズ化合物の例は、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジラウレート、またはジブチル錫ジオクトエートである。
【0100】
アミンの例は、特に、第3級アミンであり、例えば、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ジメチルエタノールアミン、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリン、またはジアザビシクロオクタン(トリエチレンジアミン)、ジアザビシクロウンデセン、DBN(=1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン)、およびその塩である。更なる例は、第4級アンモニウム塩、例えば、トリメチルベンジル塩化アンモニウムである。
【0101】
アミノ含有樹脂は、同時に、バインダーおよび硬化触媒である。その例は、アミノ含有アクリレートコポリマーである。
【0102】
また、使用される硬化触媒は、ホスフィン、例えば、トリフェニルホスフィンであり得る。
【0103】
被膜組成物はまた、放射線硬化性被膜組成物であり得る。この場合、バインダーは、本質的に、エチレン性不飽和結合を含有するモノマー化合物またはオリゴマー化合物を含むもの(プレポリマー)であり、これは、適用後に化学線によって硬化される(すなわち、架橋された高分子量形態に変換される)。系がUV硬化性である場合、これは、一般的には、少なくとも1種類の光開始剤も含有する。該当する系は、上記の出版物ウルマン工業化学百科事典,第5版,第A18巻,第451−453頁に記載されている。
【0104】
被膜組成物は、任意の所望の基材、例えば、金属、木材、プラスチック、またはセラミック材料に適用され得る。
【0105】
被膜組成物は、基材に、慣用的な方法、例えば、刷毛塗り、スプレー、注入、浸漬、または電気泳動によって適用され得る;ウルマン工業化学百科事典,第5版,第A18巻,pp.491−500も参照のこと。
【0106】
バインダー系に応じて、被膜は、室温で、または加熱することにより硬化させ得る。被膜は、好ましくは、50〜150℃で硬化させ、粉体コーティングまたはコイル被膜の場合は、より高温でも硬化させる。
【0107】
被膜組成物は、バインダーが可溶性である有機系の溶媒または溶媒混合物を含み得る。あるいは、被膜組成物は、水溶液または水分散液であり得る。ビヒクルはまた、有機溶媒と水の混合物であり得る。被膜組成物は、高固形分塗料であっても、溶媒無含有(例えば、粉体コーティング材料)であってもよい。粉体コーティングは、例えば、ウルマン工業化学百科事典,第5版,A18,第438−444頁に記載のものである。粉体コーティング材料はまた、粉末スラリー(粉末の、好ましくは水分散液)の形態を有し得る。
【0108】
顔料は、無機系、有機系、または金属系の顔料であり得る。
【0109】
被膜組成物はまた、更なる添加剤、例えば、上記のような光安定化剤などを含有し得る。特に、UV吸収剤、および立体障害アミンが好都合に添加される。
【0110】
塗料の分野において、本発明の抗菌性SiOフレークは、抗菌性SiOフレークを、様々な種類の塗料、例えば、親液性塗料、ラッカー、ワニス、およびアルキル樹脂系、アミノアルキド樹脂系、ビニル樹脂系、アクリル系樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、水系、粉末系、塩化ゴム系、フェノール系塗料などと直接混合することにより;または抗菌性SiOを、コートされた被膜の表面上にコートすることにより、抗菌特性、抗真菌特性および抗藻類特性を、コートされた被膜に付与し得る。建築の分野では、本発明の抗菌性SiOフレークは、抗菌性SiOフレークを建築用部材の材料と混合することにより、または抗菌性SiOフレークをかかる建築用材料の表面に適用することにより、抗菌特性、抗真菌特性、および抗藻類特性を、種々の建築用部材(例えば、継ぎ目用材料および壁およびタイル用材料など)に付与し得る。適用可能な系としては、装飾塗料(水系および溶媒系被膜)、産業用被膜(コイル被膜およびUV硬化性被膜)ならびに粉体コーティングおよび塗料、特にPVCフローリング、寄せ木フローリング、ゲルコート、接着剤などが挙げられる。
【0111】
したがって、本発明はまた、本発明の抗菌性SiOフレークを含む高分子量有機物質に関する。
【0112】
高分子量有機物質の例としては、熱可塑性もしくは熱硬化性の樹脂、例えば、ポリエチレン(例えば、LDPE、HDPE、もしくはMDPE)、ポリプロピレン、ポリビニル塩化物(PVC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)、ナイロン、ポリエステル、不飽和ポリエステル(UP)、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、スチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアセタール、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、フッ素系プラスチック、ポリウレタン(PUR)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、フェノール系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、レーヨン、尿素ホルムアルデヒド樹脂(UF)、キュプラアンモニウムレーヨン、酢酸塩、三酢酸塩、ビニリデン、天然、または合成のゴムなどが挙げられる。
【0113】
したがって、本発明はまた、
A) プラスチック樹脂、および
B) 抗菌有効量の上記の抗菌性SiOフレーク混合物
を含む抗菌性ポリマー組成物に関する。
【0114】
実施形態では、金属含有SiOフレークにおける使用のための抗菌性金属としては、好ましくは、銀、銅、亜鉛、水銀、スズ、鉛、ビスマス、カドミウム、クロム、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、またはこれらの金属の2種類以上の組み合わせが挙げられる。好ましいのは、銀、銅、亜鉛、およびジルコニウム、またはこれらの組み合わせである。特に好ましい金属は、銀単独または銀と銅、亜鉛、もしくはジルコニウムとの組み合わせである。
【0115】
好ましくは、プラスチック樹脂は、ポリエチレン(例えば、LDPE、HDPE、もしくはMDPE)、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)、スチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(例えば、PA6、PA6,6、PA6,12)、ポリビニル塩化物(PVC)、ポリマーラテックス、ポリウレタン(PUR)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、尿素ホルムアルデヒド樹脂(UF)および不飽和ポリエステル(UP)からなる群より選択される。
【0116】
抗菌有効量の成分(B)は、例えば、成分(A)の重量に対して0.005〜10%である。
【0117】
本発明はまた、新規な抗菌性SiOフレーク(B)を含むプラスチックフィルム、繊維、または物品に関する。
【0118】
抗菌性SiOフレークおよび場合によっては更なる添加剤はプラスチック樹脂、例えば、ポリオレフィンに、個別に添加してもよく、互いに混合してもよい。所望される場合は、添加剤混合物の個々の成分を、プラスチック材料中への組み込み前に、溶融物の状態(溶融ブレンド)で互いに混合してもよい。
【0119】
抗菌性SiOフレークおよび場合によっては更なる添加剤のプラスチック材料中への混入は、公知の方法、例えば、粉末の形態で乾式混合、または溶液もしくは懸濁液の形態の湿式混合によって行なわれる。抗菌性SiOフレークおよび場合によっては更なる添加剤は、例えば、成形の前もしくは後に、あるいは溶解もしくは分散させた安定化剤混合物をプラスチック材料に適用する(後で溶媒のエバポレーションを行なっても行なわなくてもよい)ことにより混入され得る。抗菌性SiOフレークおよび場合によっては更なる添加剤はまた、これらの成分を例えば約2.5〜約70重量%の濃度で含有するマスターバッチの形態のプラスチック材料に添加してもよく、かかる操作では、ポリマーは、粉末、顆粒、溶液、懸濁液の形態またはラテックスの形態で使用され得る。
【0120】
マスターバッチまたは濃縮物の形態のプラスチック樹脂に添加する場合、新規な抗菌性SiOフレークは、担体、例えば、LDPE、HDPE、MDPE、PP、ABS、SAN、PS、アクリレート、PMMA、ポリアミド、ポリエステル、PVC、ラテックス、スチレン、ポリオール、TPU、不飽和エステル、尿素、パラホルムアルデヒド、水エマルジョンなどにより添加される。担体中のa)+b)の合計濃度は、担体の重量に対して約2.5〜約70重量%である。
【0121】
抗菌性SiOフレークおよび任意の更なる添加剤はまた、重合または架橋の前、架橋中または架橋後に添加され得る。
【0122】
抗菌性SiOフレークおよび任意の更なる添加剤は、純粋な形態またはワックス、油もしくはポリマー内にカプセル化された形態のプラスチック材料中に組み込まれ得る。
【0123】
本発明はまた、変色に対して抗菌性ポリマーを安定化する方法に関し、これは、ポリマー中に抗菌有効量の上記の抗菌性SiOフレークを組み込むことを含む。
【0124】
本発明のプラスチックフィルム、繊維、および物品は、長期の衛生活性が表面上に必要とされる用途、例えば、医療用デバイス、手すり、ドアハンドル、携帯電話、キーボードなどに好都合に用いられる。本発明の抗菌性のプラスチックフィルム、繊維および物品は、例えば、病院、家庭、公共施設、換気システム、空気清浄および空調システムならびに廃棄物処理システムに使用される。屋外天候に曝露される本発明の抗菌性SiOフレークが内部に組み込まれたものであり得るプラスチック物品は、例えば、ごみ容器、スイミングプール施設、屋外ブランコセット施設、すべり台、行楽地施設、水槽、屋外用家具など、および競技場の座席である。
【0125】
本発明のプラスチックフィルム、繊維、および物品は、表面において高い抗菌活性を発揮する。
【0126】
本発明の組成物、プラスチックフィルム、繊維、および物品、すなわち、ポリマー基材はまた、その内部に組み込まれた1種類以上の公知の添加剤を有してもよい。好ましい更なる添加剤は、酸化防止剤、紫外光吸収剤、ヒンダードアミン、亜リン酸塩、または亜ホスホン酸塩、ヒドロキシルアミン、ニトロン、ベンゾフラン−2−オン、チオ相乗剤、ポリアミド安定化剤、ステアリン酸金属塩、核形成剤、充填剤、強化剤、潤滑剤、乳化剤、染料、顔料、蛍光増白剤、難燃剤、帯電防止剤、および発泡剤からなる群より選択される。
【0127】
組成物は、抗菌性SiOフレークを樹脂中に、抗菌性SiOフレークとの混練または抗菌性SiOフレークのかかる樹脂の表面上への被膜によって組み込むことにより調製され、抗菌特性、抗真菌特性、および抗藻類特性をこれらのプラスチックの各々に付与される。抗菌特性、抗真菌特性、および抗藻類特性を組成物に付与するためには、抗菌性SiOフレークの含量は、適切には、0.05〜80重量%、好ましくは0.1〜10重量%の範囲である。
【0128】
抗菌性SiOフレークが組み込まれたポリマーは、冷蔵庫、食器洗い器、炊飯器、プラスチックフィルム、まな板、魔法瓶、プラスチックバケツ、熱交換器、浴槽、テーブルトップ、コンベアベルト、および厨芥入れを作製するのに使用され得る。抗菌性SiOフレークが組み込まれ得る他の材料としては、フローリング、壁紙、布地、塗料、ナプキン、車両用プラスチック部品、自転車、ペン、玩具、砂、およびコンクリートが挙げられる。かかる使用の例は、米国特許第5,714,445号;同第5,697,203号;同第5,562,872号;同第5,180,585号;同第5,714,430号;米国特許第5,305,827号、および同第5,102,401号に記載されている。
【0129】
製紙の分野では、本発明の抗菌性SiOフレークを種々の紙材料、例えば、ウェットティッシュペーパー、紙包装材料、包装用途の紙および厚紙、壁紙、ダンボール、1枚の紙、新鮮さを維持するための紙に、抗菌特性および抗真菌特性をこれらの紙に付与する目的で、抗菌性SiOフレークと一緒にした材料からの製紙により、または得られた紙に抗菌性SiOフレークを被膜することにより組み込み得る。
【0130】
本発明の抗菌性SiOフレークに適した更なる担体には、種々の基材系製品が含まれ得る。かかる場合では、抗菌性SiOフレークは、基材製品内または基材製品上に含浸させ得る。例えば、適切な担体としては、限定されないが、パーソナルケアおよび家庭用に適したドライおよびウェットワイプ(例えば、赤ちゃん用の不織布ワイプ、家庭用クリーニングワイプ、手術用プレパレーションワイプなど);おむつ;幼児用チェンジングパッド;デンタルフロス;パーソナルケアおよび家庭用ケアスポンジまたは織布(例えば、布巾、タオルなど);ティッシュ型製品(例えば、フェイシャルティッシュ、ペーパータオルなど);ならびに使い捨て衣料(例えば、手袋、スモック、外科手術用マスク、幼児用よだれ掛け、ソックス、靴中敷など)が挙げられる。
【0131】
更にまた、本発明の抗菌性SiOフレークは、パーソナルケア用途、例えば、限定されないが、チューインガム、練り歯磨き、マウスウォッシュ、スキンケア製品(例えば、デオドラント化粧品、ローション、およびクリーム)、リンスオフ製品(例えば、セッケンおよびシャワージェル)などのための種々の製品形態において利用され得る。同様に、本発明の抗菌性SiOフレークを、種々の家庭用ケア製品、例えば、限定されないが、硬質表面クリーナー(例えば、消毒用のスプレー、液剤、または粉末剤);食器または衣料用洗剤(液体または固形)、床用ワックス、ガラスクリーナーなどに組み込み得る。同様に、本発明の抗菌性SiOフレークを、化粧品組成物、例えば、限定されないが、ローション、クレンジング、クリーム、水性溶液、アルコールゲル、ティッシュ、ワイプなどに組み込み得る。
【0132】
本発明の抗菌性SiOフレークは、家庭用クリーニング用途(例えば、床、調理台、浴槽、食器などのような硬質表面、および衣類、スポンジ、ペーパータオルなどの軟質布地材料)、パーソナルケア用途(例えば、デオドラント化粧品、ローション、およびクリーム、シャワージェル、セッケン、シャンプー、ワイプ)ならびに産業用および病院用用途(例えば、器具、医療用デバイス、手袋の滅菌)に、非常に有効である。これらの組成物は、微生物に感染または汚染された表面の迅速なクリーニングに有効である。
【0133】
したがって、本発明はまた、パーソナルケア製品(例えば、ハンドソープ、手の除菌用ローション、ボディ洗浄剤、シャワージェル、ボディローション、およびその組み合わせなど)、または家庭用ケア製品(例えば、硬質表面クリーナー、食器用洗剤、および床用ワックスなど)に関する。
【0134】
本発明による抗菌性SiOフレークは、抗菌剤として、化粧品パーソナルケア用途、例えば、デオドラント化粧品、スキン、ヘア、およびオーラルケア製品ならびにリンスオフ製品において特に適切である。
【0135】
本発明による抗菌性SiOフレークの他の重要な用途は、硬質表面のクリーニングおよび消毒のための家庭用ケア用途および布製品の手入れの用途(例えば、液体洗剤および柔軟剤など)である。
【0136】
化粧品または医薬調製物は、組成物の総重量に対して0.05〜40重量%の本発明の抗菌性SiOフレーク、特に抗菌性金属塩または金属、特に銀、金、銅、亜鉛、およびその組み合わせを含む抗菌性のSiOフレークを含有する。
【0137】
本発明の抗菌性SiOフレーク、特に上記の抗菌性金属塩を含む抗菌性SiOフレークは、抗ウイルス性効果を有し得る。本明細書で用いる場合、「抗ウイルス性効果」は、インフルエンザおよび重症急性呼吸器症候群(SARS)などのウイルスを死滅させる能力を有するものをいう。SARSは、気道のウイルス感染であって、これは、典型的には風通の風邪と関連するウイルスであるコロナウイルスとして知られるウイルスファミリーの1つによって引き起こされるウイルス感染の結果であると考えられているものである。
【0138】
本発明による化粧品配合物または医薬組成物は、1種以上の下記の更なる抗菌剤を更に含有し得る。
【0139】
本発明において更に使用され得る抗菌剤の例は:
ピリチオン、特に亜鉛錯体(ZPT)、Octopirox(登録商標)、ジメチルジメチロールヒダントイン(Glydant(登録商標))、メチルクロロイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン(Kathon CG(登録商標))、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、イミダゾリジニル尿素(Germall 115(登録商標)、ジアゾリジニル尿素(Germaill II(登録商標))、ベンジルアルコール、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール(Bronopol(登録商標))、ホルマリン(ホルムアルデヒド)、ヨードプロペニルブチルカルバメート(Polyphase P100(登録商標))、クロロアセトアミド、メタンアミン、メチルジブロモニトリルグルタロニトリル(1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンまたはTektamer(登録商標))、グルタルアルデヒド、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン(Bronidox(登録商標))、フェネチルアルコール、o−フェニルフェノール/o−フェニルフェノールナトリウム、ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム(Suttocide A(登録商標))、ポリメトキシ二環式オキサゾリジン(Nuosept C(登録商標))、ジメトキサン、チメロサール、ジクロロベンジルアルコール、キャプタン、クロルフェネシン、ジクロロフェン、クロルブタノール、ラウリン酸グリセリル、ハロゲン化ジフェニルエーテル、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシ−ジフェニルエーテル(Triclosan(登録商標)またはTCS)、2,2’−ジヒドロキシ−5,5’−ジブロモ−ジフェニルエーテル、フェノール系化合物、フェノール、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、4−エチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、4−n−プロピルフェノール、4−n−ブチルフェノール、4−n−アミルフェノール、4−tert−アミルフェノール、4−n−ヘキシルフェノール、4−n−ヘプチルフェノール、モノ−およびポリ−アルキルおよび芳香族ハロフェノール類、p−クロロフェノール、メチルp−クロロフェノール,エチルp−クロロフェノール、n−プロピルp−クロロフェノール、n−ブチルp−クロロフェノール、n−アミルp−クロロフェノール、sec−アミルp−クロロフェノール、シクロヘキシルp−クロロフェノール、n−ヘプチルp−クロロフェノール、n−オクチルp−クロロフェノール、o−クロロフェノール、メチルo−クロロフェノール、エチルo−クロロフェノール、n−プロピルo−クロロフェノール、n−ブチルo−クロロフェノール、n−アミルo−クロロフェノール、tert−アミルo−クロロフェノール、n−ヘキシルo−クロロフェノール、n−ヘプチルo−クロロフェノール、o−ベンジルp−クロロフェノール、o−ベンキシル−m−メチルp−クロロフェノール、o−ベンジル−m、m−ジメチルp−クロロフェノール、o−フェニルエチルp−クロロフェノール、o−フェニルエチル−m−メチルp−クロロフェノール、3−メチルp−クロロフェノール、3,5−ジメチルp−クロロフェノール、6−エチル−3−メチルp−クロロフェノール、6−n−プロピル−3−メチルp−クロロフェノール、6−イソ−プロピル−3−メチルp−クロロフェノール、2−エチル−3,5−ジメチルp−クロロフェノール、6−sec−ブチル−3−メチルp−クロロフェノール、2−イソ−プロピル−3,5−ジメチルp−クロロフェノール、6−ジエチルメチル−3−メチルp−クロロフェノール、6−イソ−プロピル−2−エチル−3−メチルp−クロロフェノール、2−sec−アミル−3,5−ジメチルp−クロロフェノール、2−ジエチルメチル−3,5−ジメチルp−クロロフェノール、6−sec−オクチル−3−メチルp−クロロフェノール、p−クロロ−m−クレゾール、p−ブロモフェノール、メチルp−ブロモフェノール、エチルp−ブロモフェノール、n−プロピルp−ブロモフェノール、n−ブチルp−ブロモフェノール、n−アミルp−ブロモフェノール、sec−アミルp−ブロモフェノール、n−ヘキシルp−ブロモフェノール、シクロヘキシルp−ブロモフェノール、o−ブロモフェノール、tert−アミルo−ブロモフェノール、n−ヘキシルo−ブロモフェノール、n−プロピル−m,m−ジメチルo−ブロモフェノール、2−フェニルフェノール、4−クロロ−2−メチルフェノール,4−クロロ−3−メチルフェノール、4−クロロ−3,5−ジメチルフェノール、2,4−ジクロロ−3,5−ジメチルフェノール、3,4,5,6−テトラブロモ−2−メチルフェノール、5−メチル−2−ペンチルフェノール、4−イソプロピル−3−メチルフェノール、パラ−クロロ−メタ−キシレノール(PCMX)、クロロチモール、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、5−クロロ−2−ヒドロキシジフェニルメタン、レゾルシノールおよびその誘導体、レゾルシノール、メチルレゾルシノール、エチルレゾルシノール、n−プロピルレゾルシノール、n−ブチルレゾルシノール、n−アミルレゾルシノール、n−ヘキシルレゾルシノール、n−ヘプチルレゾルシノール、n−オクチルレゾルシノール、n−ノニルレゾルシノール、フェニルレゾルシノール、ベンジルレゾルシノール、フェニルエチルレゾルシノール、フェニルプロピルレゾルシノール、p−クロロベンジルレゾルシノール、5−クロロ 2,4−ジヒドロキシジフェニルメタン、4’−クロロ 2,4−ジヒドロキシジフェニルメタン、5−ブロモ2,4−ジヒドロキシジフェニルメタン、4’−ブロモ2,4−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビスフェノール系化合物、2,2’−メチレンビス(4−クロロフェノール)、2,2’−メチレンビス(3,4,6−トリクロロフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−クロロ−6−ブロモフェノール)、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)硫化物、ビス(2−ヒドロキシ−5−クロロベンジル)硫化物、安息香酸エステル(パラベン)、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン、イソプロピルパラベン、イソブチルパラベン、ベンジルパラベン、メチルパラベンナトリウム、プロピルパラベンナトリウム、ハロゲン化カルバニリド、3,4,4’−トリクロロカルバニリド(Triclocarban(登録商標)またはTCC)、3−トリフルオロメチル−4,4’−ジクロロカルバニリド、ならびに3,3’,4−トリクロロカルバニリドである。
【0140】
更に使用され得る別の類型の抗菌剤は、いわゆる「天然」抗菌活性物質である天然精油と呼ばれるものである。このような活性物質の名称は、それが天然に存在する植物に由来する。典型的な天然精油抗菌性活性物質としては、アニス、レモン、オレンジ、ローズマリー、ウインターグリーン、タイム、ラベンダー、丁子、ホップ、ナガバクコ、シトロネラ、小麦、大麦、レモングラス、ニオイヒバ、セダーウッド、シナモン、フリーグラス(fleagrass)、ゼラニウム、ビャクダン、スミレ、クランベリー、ユーカリ、クマツヅラ、ペパーミント、安息香、バジル、ウイキョウ、モミ(fir)、バルサム、メントール、オクメアオリガナム(ocmea origanum)、ヒダスティスカラデンシス(Hydastis carradensis)、ベルベリダセアエ(Berberidaceae daceae)、ラタンヒアエ(Ratanhiae)およびウコンの油が挙げられる。また、この類型の天然精油に含まれるものは、抗菌的有益性をもたらすことがわかっている植物油の主要な化学成分である。このような化学物質としては、限定されないが、アネトール(anethol)、カテコール(catechole)、カンフェン、カルバクロール(carvacol)、オイゲノール、オイカリプトール(eucalyptol)、フェルラ酸、ファルネソール、ヒノキチオール、トロポロン、リモネン、メントール、サリチル酸メチル、チモール、テルピネオール、ベルベノン、ベルベリン、ラタンヒアエ(ratanhiae)エキス、カリオフェレンオキシド、シトロネル酸、クルクミン、ネロリドール(nerolidol)およびゲラニオールが挙げられる。
【0141】
更なる活性剤は、抗菌性金属塩である。この類型は、一般的には、第3b〜7b族、第8族、および第3a〜5a族金属の塩を含む。具体的には、アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、銀、金、銅、ランタン、スズ、水銀、ビスマス、セレン、ストロンチウム、スカンジウム、イットリウム、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ならびにその混合物の塩である。
【0142】
キレート化剤との組み合わせもまた、本発明の抗菌剤の抗菌活性を改善し得る。式(I)の抗菌剤と組み合わせた場合に付加的抗菌効果または相乗剤活性をもたらすかかるキレート化剤の例は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、β−アラニン二酢酸(EDETA)、ヒドロキシエチレンジアミノ四酢酸、ニトリロ三酢酸(NTA)およびエチレンジアミン二コハク酸(S,S−EDDS、R,R−EDDS、またはS,R−EDDS)である。
【0143】
本発明の抗菌性組成物は、約0.05〜約10%、好ましくは約0.1〜約2%、およびより好ましくは約0.2〜約1%(重量基準)のアニオン界面活性剤の洗浄用組成物を含む。
【0144】
本発明の組成物に有用なアニオン系泡立て界面活性剤の非限定的な例は、McCutcheon’s,Detergents and Emulsifiers,North American edition(1990)、The Manufacturing Confectioner Publishing Co.発行;McCutcheon’s,Functional Materials,North American Edition(1992);およびLaughlinらに対して1975年12月30日に発行された米国特許第3,929,678号(これらはすべて引用により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0145】
多種多様なアニオン界面活性剤が本発明において潜在的に有用である。アニオン系泡立て界面活性剤の非限定的な例としては、アルキルおよびアルキルエーテル硫酸塩、モノグリセリド硫酸塩、オレフィンスルホン酸、アルキルアリールスルホン酸塩、第1級または第2級アルカンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アシルタウリン塩、アシルイセチオン酸塩、アルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩、スルホン酸メチルエステル、脂肪酸スルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アシルグルタミン酸塩、アシルサルコシン酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、アシル化ペプチド、アルキルエーテルカアルボキシレート、アシル乳酸塩、フッ素系アニオン界面活性剤、ならびにその混合物からなる群より選択されるものが挙げられる。アニオン界面活性剤の混合物も、本発明において有効に使用され得る。
【0146】
本発明の抗菌性組成物は、非イオン界面活性剤を更に含み得る。典型的な非イオン界面活性剤は、エチレンオキシドと、これと反応性であり、かつ疎水性長鎖(例えば、約12〜20個の炭素原子の脂肪族鎖)を有する種々の反応性水素含有化合物との縮合生成物であって、この縮合生成物は、(「エトキサマー(ethoxamers)」)は、親水性ポリオキシエチレン部分を含有する縮合生成物であり、例えば、ポリ(エチレンオキシド)と、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族アミド、多価アルコール(例えば、モノステアリン酸ソルビタン)およびポリプロピレンオキシド(例えば、Pluronic(登録商標)材料)との縮合生成物などである。ポリオキサマー(polyoxamer)は、例えば、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロックコポリマーであって、平均分子量約3000〜5000(好ましい平均分子量は約3500〜4000)を有し、そして重量基準でブロックコポリマーの約10〜80%の親水性ポリオキシエチレン基を含有するものである(例えば、Pluronic F127)。
【0147】
本発明の抗菌性組成物は、両性界面活性剤を更に含み得る。両性界面活性剤としては、C〜C18−ベタイン、C〜C18−スルホベタイン、C〜C24−アルキルアミド−C〜C−アルキレンベタイン、イミダゾリンカルボキシレート、アルキルアンホカルボキシ炭酸、アルキルアンホ炭酸(例えば、ラウロアンホグリシン酸塩)およびN−アルキル−β−アミノプロピオネートまたは−イミノジプロピオネート、特に、C10〜C20−アルキルアミドC〜C−アルキレンベタインおよびヤシ脂肪酸アミドプロピルベタインが使用され得る。
【0148】
本発明の抗菌性組成物はまた、プロトン供与剤を含み得、組成物の重量に対して好ましくは約0.1〜約10%、より好ましくは約0.5〜約8%、および最も好ましくは約1〜約5%プロトン供与剤を含み得る。任意の酸化合物またはその混合物を意味する「プロトン供与剤」により、使用後に皮膚上に解離していない酸をもたらす。プロトン供与剤は、有機酸であり得、高分子酸、鉱酸またはその混合物が挙げられる。
【0149】
本発明の抗菌性組成物のpHは、実質的に非解離の酸が皮膚上で形成されるかまたは堆積されるかのいずれかのために、充分に低いレベルに調整されなければならない。本発明の組成物のpHは、約3.0〜約6.0、好ましくは約3.0〜約5.0およびより好ましくは約3.5〜約4.5の範囲に調整(好ましくは、緩衝化)されるのがよい。
【0150】
本発明の抗菌性組成物に必要とされるマイルド性を達成するため、皮膚に対するマイルド性を増強する任意選択成分が添加され得る。このような成分としては、カチオンポリマーおよび非イオンポリマー、共剤、保湿剤、ならびにその混合物が挙げられる。本発明において有用なポリマーとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、シルクタンパク質水解物、乳タンパク質水解物、ケラチンタンパク質水解物、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ポリコート、シリコーンポリマーならびにその混合物が挙げられる。使用する場合、マイルド性増強ポリマーは、抗菌性組成物の約0.1〜約1%、好ましくは約0.2〜約1.0%、およびより好ましくは約0.2〜約0.6%(重量基準)を構成する。
【0151】
別の一群のマイルド性増強物質は保湿的有益性をユーザーに提供する脂質皮膚保湿剤であり、この場合、親油性皮膚保湿剤は、ユーザーの皮膚に堆積する。本発明の抗菌性パーソナル洗浄剤組成物に使用する場合、親油性皮膚保湿剤が使用され、これらは、組成物の約0.1〜約30%、好ましくは約0.2〜約10%、最も好ましくは約0.5〜約5重量%のレベルで用いられる。
【0152】
多種多様な脂質型材料および材料混合物が、本発明の抗菌性組成物における使用に適している。好ましくは、親油性皮膚保湿剤は、炭化水素の油およびワックス、シリコーン、脂肪酸誘導体、コレステロール、コレステロール誘導体、ジ−およびトリ−グリセリド、植物油、植物油誘導体、液状非消化性油(例えば、Mattsonに対して1971年8月17日に発行された米国特許第3,600,186号;ならびに、ともにJandacekらに1977年1月25日に発行された米国特許第4,005,195号および同第4,005,196号(これらはすべて、引用により本明細書に組み込まれる)に記載のものなど、または液状の可消化性もしくは非消化性油と固形ポリオールポリエステルとのブレンド(例えば、Jandacekに対して1989年1月10日に発行された米国特許第4,797,300号;すべてLettonに対して1994年4月26日に発行された米国特許第5,306,514号、同第5,306,516号および同第5,306,515号(これらはすべて、引用により本明細書に組み込まれる)に記載のもの、ならびにアセトグリセリドエステル、アルキルエステル、アルケニルエステル、ラノリン、およびその誘導体、牛乳由来のトリグリセリド、ワックスエステル、蜜ろう誘導体、ステロール、リン脂質、ならびにその混合物からなる群より選択される。脂肪酸、脂肪酸セッケン、および水溶性ポリオールは、親油性皮膚保湿剤の本発明者らの定義から明確に除外される。
【0153】
本発明の抗菌性組成物は、広範囲の任意選択成分を含み得る。CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary,第6版,1995(引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)には、スキンケア業界において一般的に使用されている多種多様な非限定的な化粧品用および医薬用成分が記載されており、それらは、本発明の組成物における使用に適している。機能型成分の非限定的な例は、この文献の第537頁に記載されている。
【0154】
このような機能型の例としては、研磨剤、抗ニキビ剤、固結防止剤、酸化防止剤、バインダー、生物学的添加剤、充填剤、キレート化剤、薬品添加剤、着色剤、化粧用アストリンゼント、化粧用殺生物剤、変性剤、薬用アストリンゼント、乳化剤、外用鎮痛薬、被膜形成物質、香料成分、湿潤剤、隠蔽(opacifying)剤、可塑剤、保存剤、噴射剤、還元剤、美白剤、スキンコンディショニング剤(皮膚柔軟剤、湿潤剤、その他の多く、および閉塞作用性(occlusive))、皮膚保護剤、溶剤、フォームブースター、ヒドロトロープ(hydrotrope)、可溶化剤、懸濁剤(非界面活性剤)、日焼け防止剤、UV吸収剤、ならびに増粘剤(水系および非水系)が挙げられる。当業者に周知の本発明において有用な他の機能型の材料の例としては、可溶化剤、金属イオン封鎖剤、および角質溶解剤などが挙げられる。
【0155】
酸化防止剤の例は、アミノ酸またはアミノ酸誘導体、イミダゾールおよびその誘導体、ペプチド(例えば、D,L−カルノシン、カロチノイド、カロチン、およびその誘導体など)、リポ酸、金属キレート化剤(例えば、α−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリンなど)、α−ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、マレイン酸)、フミン酸、没食子酸塩、EDTA、EGTA、およびその誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体、ビタミンCおよびその誘導体、ルチン酸およびその誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、ブチルヒドロキシトルオール、ブチルヒドロキシアニソール、ならびにこれらの物質の適切な誘導体である。
【0156】
配合物におけるUV吸収剤は、以下の表に列挙するものであり得る。
【0157】
【表1】



【0158】
本発明の抗菌剤は、多種多様な化粧品調製物における成分である。考慮されるものは、例えば、特に以下の調製物、例えば、スキンケア調製物、入浴剤調製物、化粧品パーソナルケア調製物、フットケア調製物;光保護調製物、日焼け用調製物、脱色用調製物、虫除け、デオドラント化粧品、制汗剤、皮膚の傷の洗浄およびケア用調製物、薬品形態の毛髪除去用調製物(脱毛)、髭剃り用調製物、香料調製物または化粧品ヘアトリートメント調製物である。
【0159】
最終配合物は、多種多様な表示形態、例えば、W/O、O/W、O/W/O、W/O/WまたはPITエマルジョンおよびあらゆる種類のマイクロエマルジョンとしての液状調製物の形態、ジェル、油、クリーム、乳液、またはローション、粉末、ラッカー、錠剤またはメーキャップ、スティック、スプレーもしくはエーロゾル、泡状、またはペーストの形態で存在し得る。
【0160】
本発明の抗菌性SiOフレークはまた、口腔内細菌に対して抗菌活性を示し、抗プラーク効果、抗歯肉炎活性を発揮し、歯周炎の低減を補助する。
【0161】
更にまた、口腔用組成物は:
研磨剤、湿潤剤、水、天然、もしくは合成の増粘剤またはゲル化剤、アルコール、有機系表面活性剤(これは、カチオン系、アニオン系または非イオン系であり得る)、香味剤、甘味剤、歯の過敏性を軽減するために使用される薬剤、ホワイトニング剤、保存剤、フッ化物イオンを放出して虫歯や他の因子に対して保護する物質、例えば、クロロフィル化合物および/またはアンモニア処理した材料を含有し得る。
【0162】
本発明の抗菌性SiOフレークはまた、衣料用洗剤および/または布製品の手入れ用組成物における添加剤として使用され得る。本発明の衣料用洗剤および/または布製品の手入れ用組成物は、好ましくは、カチオン系、アニオン系および/または非イオン系の界面活性剤および/または漂白剤から選択される洗剤成分を更に含む。
【0163】
本発明による抗菌性衣料用洗剤および/または布製品の手入れ用組成物は、液状、ペースト、ゲル、棒状、錠剤、スプレー、泡状、粉末、または顆粒状の形態であり得る。顆粒状組成物は、「コンパクト」形態であってもよく、液状組成物は、「濃縮」形態であってもよい。
【0164】
本発明の組成物は、例えば、手洗いおよび機械用の衣料用洗剤組成物として配合され得、衣料用添加剤組成物および汚れた布製品のつけ置き洗いおよび/または前処理における使用に適した組成物、リンス添加布製品用柔軟剤組成物が挙げられる。布製品の前処理または後処理としては、ゲル、スプレー、および液状の布製品の手入れ用組成物が挙げられる。柔軟剤の存在のある場合、ない場合のすすぎサイクルもまた想定される。
【0165】
洗濯機洗浄法における使用に適した組成物として配合される場合、本発明の組成物は、好ましくは、界面活性剤およびビルダー化合物の両方ならびに、好ましくは、有機系高分子化合物、漂白剤、更なる酵素、泡立ち抑制剤、分散剤、ライム石鹸分散剤、土壌懸濁剤および再沈着防止剤ならびに腐食抑制剤から選択される更に1種類以上の洗剤成分を含有する。洗剤組成物はまた、更なる洗剤成分として柔軟剤を含有し得る。
【0166】
本発明の衣料用洗剤および/または布製品の手入れ用組成物はまた、カチオン系布製品柔軟剤成分を含有することができ、それらとしては、水不溶性第四級アンモニウム布製品柔軟剤活性物質または対応するアミン前駆物質が挙げられ、最も一般的に使用されているのは、ジ−アルキル長鎖アンモニウムクロリドまたはメチル硫酸塩である。
【0167】
本発明の衣料用洗剤および/または布製品の手入れ用組成物はまた、両性、双性イオン性、および半極性の界面活性剤を含有し得る。
【0168】
本発明の修飾酵素に加え、衣料用洗剤および/または布製品の手入れ用組成物は、洗浄性能、布製品の手入れおよび/または衛生化の有益性を提供する更なる1種類以上の酵素を含有し得る。
【0169】
本発明による抗菌性衣料用洗剤組成物は、ビルダー系を更に含み得る。
【0170】
また、本発明における抗菌性衣料用洗剤および/または布製品の手入れ用組成物は、場合により、1種類以上の鉄および/またはマンガンキレート化剤を含有する。
【0171】
本発明の組成物はまた、水溶性メチルグリシン二酢酸(MGDA)塩(または酸形態)を、例えば、不溶性ビルダー(例えば、ゼオライト、層状シリケートなど)とともに有用なキレート剤またはコビルダーとして含有し得る。
【0172】
別の任意選択成分は、泡立ち抑制剤であり、シリコーンおよびシリカ−シリコーン混合物が例示される。
【0173】
他の成分、例えば、土壌懸濁剤、土壌離脱(soil−release)剤、蛍光増白剤、研磨剤、殺菌剤、変色抑制剤、着色剤、および/またはカプセル化されたもしくはカプセル化されていない香料なども使用され得る。
【0174】
本発明の衣料用洗剤および/または布製品の手入れ用組成物はまた、分散剤も含有し得る。
【0175】
本発明の衣料用洗剤および/または布製品の手入れ用組成物はまた、色つき布製品を伴う布製品の洗濯操作中に起こり得る、ある布製品から別の布製品への可溶化された染料および懸濁された染料の色移りを抑制するための化合物を含む。
【0176】
本発明の抗菌性調製物(X=好ましい組み合わせ)の例:
A.パーソナルケア組成物
【0177】
【表2】





【0178】
【表3】























【0179】
【表4】









【0180】
本発明の抗菌性SiOフレークはまた、抗菌性チューインガム(米国特許第6,365,130号)の作製に使用され得る。
【0181】
したがって、本発明はまた、
(a) チューインガム基材および
(b) 本発明の抗菌性SiOフレーク(ここで、抗菌性SiOフレークはチューインガム組成物の重量に対して約0.05〜50重量パーセントの量で存在する)
を含む抗菌性チューインガムに関する。
【0182】
本発明の抗菌性SiOフレークで処理され得る繊維材料は、例えば、シルク、皮革、ウール、ポリアミド、例えば、ナイロン(例えば、ナイロン−6、ナイロン−66)、またはポリウレタン、ポリエステル、ポリアクリロニトリルポリプロピレン、ポリエチレンを含む材料ならびにあらゆる種類のセルロース含有繊維材料、例えば天然セルロース繊維、例えば、綿、リネン、黄麻および麻、ならびにビスコース短繊維および再生セルロースである。
【0183】
本発明の抗菌性SiOフレークで処理され得るポリエステル繊維材料は、セルロースエステル繊維、例えば、二酢酸セルロースおよび三酢酸セルロース繊維および、好ましくは直鎖ポリエステル繊維などを包含することを理解されたい。また、これらは酸改質されたものであることができ、テレフタル酸とエチレングリコールとの縮合、またはイソフタル酸もしくはテレフタル酸と1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンとの縮合により得られるもの、ならびにテレフタル酸とイソフタル酸とエチレングリコールとのコポリマーである。これまで織物業界でほぼ独占的に使用されている直鎖ポリエステル繊維材料(PES)は、テレフタル酸およびエチレングリコールからなるものである。
【0184】
繊維材料はまた、天然繊維(例えば、綿、ウールもしくは黄麻)の互い同士もしくは合成繊維材料(例えば、PES、ナイロンもしくはポリプロピレン)とのブレンド、または合成繊維材料の互い同士のブレンドとして使用され得る。典型的な繊維ブレンドは、ポリアクリロニトリル−ポリエステル、ポリアミド/ポリエステル、ポリエステル/綿、ポリエステル/ビスコースおよびポリエステル/ウールである。
【0185】
織物繊維材料は、異なる表示形態であり得、好ましくは織布もしくはニットの布製品、または単品商品、例えば、ニット製品、織布製品、不織布織物、カーペット、またチーズ上の糸、ワープビームなどとしての単品商品の衣料、または任意の他の形態の完成品、好ましくはT−シャツ、スポーツウェア、ランニング用ブラジャー、セーター、コート、ランジェリー、下着および靴下であり得る。
【0186】
繊維または繊維ブレンドは、バッチで、または連続的に処理され得る。
【0187】
連続的な処理方法では、処理液は、場合により補助剤を含有し得、糸、布製品、単品商品に、例えば、パッドまたはスロップ(slop)パッドにより適用され、熱固定またはHTスチーミングプロセスによって発現される。
【0188】
本発明の方法によって処理される繊維材料は、繊維断面全体に抗菌性SiOフレークの本質的に均一な分布を有することを特徴とする。
【0189】
本発明による方法は、例えば、Textile Chemist and Colorist 25(1993)31−37に記載されているような慣用の顔料を用いる公知の織物の染色およびプリント方法に従って行なわれる。
【0190】
本発明の抗菌性SiOフレークは、染色用調製物、例えば、染料浴または捺染糊(プリント用ペースト)に分散された形態で好都合に使用される。
【0191】
本発明の抗菌性SiOフレークの分散中およびその加工処理中、本発明の抗菌性SiOフレークが小断片に破砕されないように、好ましくは、わずかに比較的弱いせん断力が発生する条件を維持する。
【0192】
慣用的な分散剤、好ましくは非イオン系分散剤が、分散液の調製に使用され得る。
【0193】
本発明による方法に適切なバインダーとしては、織物染色および織物プリントに慣用的に使用される顔料染料物質バインダー、例えば、アクリレート系、ウレタン系またはブタジエン系バインダーが挙げられる。かかるバインダーは当業者には公知である。
【0194】
適切なアクリレートバインダーは、例えば、アクリル系ポリマー、例えばポリ(メタ)アクリレート、または(メタ)アクリレートと適切なコモノマー、例えば、アクリル系、メタクリル系、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、ビニル酢酸、ビニルオキシ酢酸、ビニルプロピオン酸、クロトン酸、アコニット酸、アリル酢酸、アリルオキシ酢酸、アリルマロン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、グルタコン酸もしくはアリルコハク酸などとの混合ポリマーまたはこれらの酸のエステルとの混合ポリマー、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、(メタ)アクロレイン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、ビニルカプロラクタム、スチレン誘導体もしくはビニルホスホン酸;ポリアミド誘導体;合成樹脂分散液;ビニル系混合ポリマー;ジアミド/アルデヒド予備縮合物;N−ビニルラクタムを含む混合ポリマーもしくはブタジエン系ポリマーである。適切なアクリレートバインダーは、水系媒体または水混和性有機系溶媒を含有する水系媒体に可溶性のものであり、適用可能な場合は、塩基の添加を伴う。アクリレートバインダーは、好ましくは、水系配合物の形態で使用される。かかるアクリレートバインダーは、酸性形態または一部もしくは完全に中和された形態で市販されており、例えば、Primal(登録商標)(Rohm & Haas)、Neocryl(登録商標)(NeoResins)、Carbocet(登録商標)(BF Goodrich)、Joncryl(登録商標)(Johnson Polymers)もしくはALCOPRINT(登録商標)、またはKNITTEX(登録商標)(Ciba Specialty Chemicals)バインダーである。
【0195】
本発明の一実施形態によれば、染色用調製物(例えば、捺染糊または染料浴)は、本発明の抗菌性SiOフレークおよびバインダーを含む濃縮配合物を用いることにより調製される。かかる配合物は、好ましくは水系配合物である。抗菌性SiOフレークとバインダーの重量比は、好ましくは、1:1〜1:50、特に1:1〜1:10である。1:1〜1:5の重量比が特に好ましい。本発明の抗菌性SiOフレークは、配合物中に、好ましくは2〜80g/kgの量、特に5〜50g/kgの量で存在する。バインダーは配合物中に、好ましくは20〜200g/kgの量で、特に30〜150g/kgの量で存在する。
【0196】
染色用調製物は、例えば顔料プリントにおいて慣用的に使用される更なる助剤、例えば架橋剤を更に含み得る。
【0197】
適切な架橋剤は、例えば、水溶性メラミン、ホルムアルデヒド/メラミンおよびホルムアルデヒド/尿素樹脂または予備縮合物、例えば、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンもしくはジメチロール尿素、またはホルムアミド、チオ尿素、グアニジン、シアンアミド、ジシアンジアミドとの水溶性ホルムアルデヒド(予備)縮合生成物などおよび/または水溶性有機系スルホン酸塩(例えば、ナフタレンスルホン酸のナトリウム塩など)、またはグリオキサル酸尿素誘導体、例えば、式
【0198】
【化2】

【0199】
の化合物、特に窒素含有化合物のN−メチロール誘導体、例えば、非エーテル化もしくはエーテル化メラミン/ホルムアルデヒド縮合生成物またはN−メチロール尿素化合物などである。
【0200】
非エーテル化またはエーテル化メラミン/ホルムアルデヒド縮合生成物の例は、式
【0201】
【化3】

【0202】
の化合物である。
【0203】
非エーテル化またはエーテル化N−メチロール尿素化合物は、例えば、ホルムアルデヒドと尿素または尿素誘導体との反応生成物であり、この反応生成物は、続いてエーテル化されたものであってもよく、適切な尿素誘導体は、例えば、アルキレン基内にヒドロキシル基などの置換基もまた含有し得る環状エチレンまたはプロピレン尿素、ウロン(urone)または非置換または置換トリアゾン樹脂である。
【0204】
相当するN−メチロール尿素化合物の例は、非修飾または修飾N−メチロールヒドロキシエチレン尿素生成物、例えば、式
【0205】
【化4】

【0206】
の化合物またはプロピレン尿素またはエチレン尿素/メラミンを基剤とするメチロール化生成物である。
【0207】
好ましい架橋剤は、非修飾または修飾N−メチロールヒドロキシエチレン尿素化合物、プロピレン尿素またはエチレン尿素/メラミンを基剤とするメチロール化生成物および、特に、非エーテル化またはエーテル化メラミン/ホルムアルデヒド縮合生成物である。また、2種類以上の異なる水溶性架橋剤の混合物、例えば、メラミン/ホルムアルデヒド縮合生成物の非エーテル化されたものと一部のみエーテル化されたものからなる混合物を用いることも可能である。
【0208】
適切な架橋剤は、例えば、ALCOPRINT(登録商標)(Ciba Specialty Chemicals)の名称で市販品として知られているものである。
【0209】
所望される場合は、架橋性触媒が更に使用され得る。
【0210】
本発明による方法のための適切な架橋性触媒は、例えば、折り目のつかない、およびしわにならない仕上げ用の触媒として慣用的に使用される任意の薬剤であり、Textilhilfsmittelkatalog 1991,Konradin Verlag R.Kohlhammer,Leinfelden−Echterdingen 1991により知られたものである。適切な架橋性触媒の例は、無機酸、例えば、リン酸;ルイス酸、例えば、塩化亜鉛、オキシ塩化ジルコニウム、NaBF、AlCl、MgCl;アンモニウム塩、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム;またはハロゲン化水素酸塩(hydrohalide)、特に有機系アミンの塩酸塩、例えば、CH−CH−CH−NH−CH・HClである。好ましいのは、アンモニウム塩またはマグネシウム含有ルイス酸の使用および、特に、塩化アンモニウムまたは塩化マグネシウムの使用である。
【0211】
染色またはプリントされた繊維材料の柔軟さを増大させるため、したがって特別な感触を得るため、本発明に従って使用される染色用調製物は、布製品柔軟剤を更に含み得る。繊維柔軟剤は、繊維工業において知られたものである。これらは、非イオン系、アニオン系活性、カチオン系または両性柔軟剤である。シリコーンのエマルジョンは、ほとんどが高分子量α,ω−ジメチルポリシロキサンであり、特別な地位を占める。シリコーン エマルジョンを基剤とする繊維柔軟剤が好ましい。かかる布製品柔軟剤は、例えば、AVIVAN(登録商標)またはULTRATEX(登録商標)(Ciba Specialty Chemicals)の名称で市販されている。
【0212】
所望される場合は、染色用調製物は、酸供与物質、例えば、ブチロラクトンまたはリン酸水素ナトリウム、保存剤、金属イオン封鎖剤、乳化剤、水不溶性溶媒、酸化剤または脱気剤などを更に含む。
【0213】
適切な保存剤は、特にホルムアルデヒド生成剤、例えば、パラホルムアルデヒドおよびトリオキサンなど、特に水性でおよそ30〜40重量%のホルムアルデヒド溶液である。適切な金属イオン封鎖剤は、例えば、ニトリロ三酢酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、特にポリメタリン酸ナトリウム、更に特にヘキサメタリン酸ナトリウムである。適切な乳化剤は、特に、アルキレンオキシドと脂肪族アルコールの付加物、特に、オレイルアルコールとエチレンオキシドの付加物である。適切な水不溶性溶媒は、高沸点の飽和炭化水素、特に、およそ160〜210℃の沸点範囲を有するパラフィン(いわゆるホワイトスピリット)である。適切な酸化剤は、例えば、芳香族ニトロ化合物、特に芳香族モノ−もしくはジ−ニトロ−カルボン酸または−スルホン酸(これは、アルキレンオキシド付加物の形態であり得る)、特にニトロベンゼンスルホン酸である。ならびに適切な脱気剤は、例えば、高い沸点溶媒、特にターペンタイン、高級アルコール、好ましくはC〜C10アルコール、テルペンアルコールまたは鉱物油および/またはシリコーン油を基材とする脱気剤、特に、鉱物油とおよびシリコーン油の混合物およそ15〜25重量%とCアルコール(例えば、2−エチル−n−ヘキサノール)およそ75〜85重量%から構成される市販の配合物である。
【0214】
染色用調製物は繊維材料に、種々の方法、特に水系染料浴および捺染糊の形態で適用され得る。これらは、パッド染色法およびプリントによる染色に特に適切である。他の適切な方法は、泡染色法、スプレー染色法およびインクジェットプリント法もしくはクロモジェット法(これは、例えば、カーペットのプリントに使用されるもの)によるプリントである。
【0215】
本発明の抗菌性SiOフレークは、染色浴または捺染糊において、一般的には、処理する材料の重量に対して0.001〜15重量%、特に0.01〜1重量%の量で使用され、そして捺染糊1kgあたり0.05〜200g、特に1.0〜100gの本発明の抗菌性SiOフレーク好都合であることがわかった。
【0216】
捺染糊は、通常、捺染糊1kgあたり1〜400g、特に20〜250gのバインダーを含む。
【0217】
抗菌性SiOフレークおよびバインダーを含むことに加え、捺染糊は、好都合には合成起源の増粘剤、例えば、ポリ(メタ)アクリル系酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、ならびにそのコポリマーおよびターポリマーを基剤とするものを含む。
【0218】
ポリ(メタ)アクリル系酸のカリウムまたはナトリウム塩を基剤とする増粘剤は、これらの増粘剤を使用すると、アンモニアまたはアンモニウム塩の添加が好都合に一部または完全に省かれ得るため、好ましく使用される。
【0219】
他の増粘剤の例は、市販のアルギン酸塩増粘剤、デンプンエーテル、イナゴマメ(ローカストビーン)粉エーテルおよびセルロースエーテルである。適切なセルロースエーテルは、例えば、メチル−、エチル−、カルボキシメチル−、ヒドロキシエチル−、メチルヒドロキシエチル−、ヒドロキシプロピル−およびヒドロキシプロピルメチル−セルロースである。適切なアルギン酸塩は、特にアルカリ金属アルギン酸塩、好ましくは、アルギン酸ナトリウムである。
【0220】
繊維材料のプリントでは、捺染糊は、直接繊維材料の表面全体または所定の位置に、好都合には従来設計のプリント機、例えば、インタグリオプリント機、回転式スクリーンプリント機、ローラープリント機、およびフラットスクリーンプリント機を用いて適用される。
【0221】
プリントした後、繊維材料を、好都合には、好ましくは80〜120℃の温度で乾燥させる。
【0222】
次いで、プリントの固定を、例えば加熱処理によって行なうことができ、これは、好ましくは120〜190℃の温度で行なう。その場合、固定は、好ましくは、1〜8分間かける。
【0223】
しかしながら、固定はまた、電離放射線によって、またはUV光の照射によって行われる。
【0224】
紫外放射線を使用する場合、光開始剤の存在が、一般的に必要とされる。光開始剤は、重合を開始するフリーラジカルを生成させるために放射線を吸収する。適切な光開始剤は当業者には公知である。
【0225】
本発明による方法は、非常に多様な繊維材料、例えば、ウール、シルク、セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、アラミド、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンもしくはポリプロピレン、ポリエステルまたはポリウレタンなどの染色またはプリントに適切である。
【0226】
好ましいのは、セルロース含有繊維材料である。適切なセルロース含有繊維材料は、完全に、または一部セルロースからなる材料である。例は、天然繊維材料、例えば、綿、リネン、または麻など、再生繊維材料、例えば、ビスコース、ポリノジック、またはキュプラアンモニウムレーヨンなどである。また、適切なのは、セルロースを含有する混合繊維材料、すなわち、セルロースと他の繊維との混合、特に綿/ポリエステル繊維材料である。
【0227】
これらの繊維の織布、ニット、またはウェブが主に使用される。
【0228】
本発明の方法は、本発明の抗菌性SiOフレークにより、持続性効力を有する完成織物材料得ることを可能にする。
【0229】
また、本発明の抗菌性SiOフレークを不織布内に組み込むことも可能である。
【0230】
「不織布」は、紡いだり織ったりして布地にしたものではなく、互いに結合させた布製品の一類型である。ISOの定義によると、これは、方向性のある、またはランダムに配向され、摩擦および/または接着により結合させた繊維の製造されたシート、ウェブ、または打ち延べた綿(batt)である。
【0231】
不織布は、使い捨て品ならびに耐久品、例えば、赤ちゃん用おむつ、女性用衛生用品、成人失禁用、ふき取り布、ベッド用裏層、自動車業界、医療用フェイスマスク、空気および水のフィルター、家の調度ならびにジオテキスタイルなどに広く使用されている。これらの材料は、種々の手法、例えば、スパンボンド、メルトブローン、梳毛(carded)サーマルボンディング、および梳毛ケミカルボンディング、ドライおよび/またはウェットレイドならびにニードルフェルトなどによって製作され得る。これらの用途の性質のため、市場では、抗菌効果などの特定の特性をもつ製品の需要が増えつつある。
【0232】
種々の不織布製品のうち、スパンボンドおよびメルトブローン法によって作製される材料は、かなり特異な特性を有し、そして、製造ならびに製品特性における利点のため、ますます重要になってきている。スパンボンド不織布は、直接、熱可塑性ポリマー(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルおよびナイロンなど)から作製され得る。この方法は、より低い製造コスト、改善された加工性および最終製品(例えば、赤ちゃん用使い捨ておむつ、女性用衛生用品および成人失禁用のカバーストックなど)における性能をもたらす。スパンボンド不織布はまた、耐久性製品、例えば、ジオテキスタイルおよび屋根メンブレンなどとして使用され得る。大きな表面積および小さな細孔径を特徴とするため、メルトブローン不織布は、伝統的なスパンボンド品とは、その低い繊維デニールおよび微細さにおいて異なる。しかし、同様に、メルトブローン不織布はまた、直接、熱可塑性ポリマー、特に高メルトフローポリプロピレンを押出し成型することにより製造される。その用途としては、フィルター、女性用衛生用品、ふき取り布、フェイスマスクおよび吸収剤が挙げられる。
【0233】
使用される不織布は、好ましくは、スパンボンドおよびメルトブローン法によって調製されたもの、または梳毛ケミカルボンディング、梳毛サーマルボンディング、ドライおよび/またはウェットレイドおよびニードルフェルトによって調製されたものである。
【0234】
したがって、本発明の抗菌性SiOフレークはまた、抗菌性織物製品の作製に使用され得る。
【0235】
この態様では、本発明は、本発明の抗菌性SiOフレークを含む繊維性織物製品であって、抗菌性SiOフレークが、抗菌特性を前記物品に付与するのに充分な量で存在する繊維性織物製品を提供する。抗菌性SiOフレークの含量は、適切には、0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%の範囲である。
【0236】
本発明の抗菌性SiOフレークを含む織物製品(特に、織布および不織布親水性布製品)は、細菌、ウイルス、酵母、および藻類などの病原体に関して顕著な抗菌性の抵抗性を示し、日光(紫外光)への曝露時の劣化に対して抵抗性であり、そして何回も洗濯した後であっても、その優れた抗菌特性を維持する。
【0237】
本発明はまた、本発明による抗菌性SiOフレーク、特に銀を含む抗菌性のSiOフレークを含む、抗菌特性を有する光学的に透明なレンズに関する。
【0238】
本明細書で用いる場合、語句「光学的に透明な」は、レンズが、現在入手可能な市販のレンズ、例えば、etafilcon A、balafilcon Aなどに匹敵する光学的透明性を有することをいう。
【0239】
本発明による抗菌性SiOフレークの光学的透明性は、以下のパラメーター:
− 多孔質SiOフレークの孔径(これは、特に1〜20nm、更に特に2〜10nmの範囲である)、すなわち、銀ナノ粒子の粒径(これは、特に1〜20nm、更に特に2〜10nmの範囲である)、
− AgNO溶液とSiOフレークとの接触中の温度、ならびに
− 抗菌性SiOフレークの焼結温度(これは、一般的には、900℃未満、特に600℃未満、更に特に200〜600℃である)
によって制御され得る。
【0240】
用語「レンズ」は、目の内部または目の上に存在させる眼用装置をいう。このような装置は、光学的補正を提供し得るか、または化粧用となり得る。レンズという用語は、限定されないが、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、眼内レンズ、重層レンズ、眼用挿入物(ocular insert)および光学的挿入物を包含する。典型的なハードコンタクトレンズは、ポリマー、例えば、限定されないが、ポリ(メチル)メタクリレート、シリコーンアクリレート、フルオロアクリレート、フルオロエーテル、ポリアセチレン、およびポリイミドのポリマーから作製されるものであり、その作製の代表例は、特開2000−10055号、特開平6−123860号、および米国特許第4,330,383号に見つけることができる。典型的なソフトコンタクトレンズは、シリコーンエラストマー、またはヒドロゲル(例えば、限定されないが、シリコーンヒドロゲルおよびフルオロヒドロゲルなど)から作製されるものである。代表的なソフトコンタクトレンズの作製は、米国特許第5,710,302号、国際公開第94/21698号、欧州特許出願公開406161号、特開第2000−016905号、米国特許第5,998,498号、および米国特許第6,087,415号に見つけることができる。市販のソフトコンタクトレンズの例としては、限定されないが、etafilcon A、genfilcon A、lenefilcon A、polymaconおよびlotrafilcon Aが挙げられる。本発明の眼内レンズは、公知の材料を用いて形成され得る。例えば、レンズは、硬質材料、例えば、限定されないが、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネートなど、およびその組み合わせから作製され得る。更に、可撓性材料、例えば、限定されないが、ヒドロゲル、シリコーン材料、アクリル系材料、フルオロ炭素材料など、またはその組み合わせが使用され得る。典型的な眼内レンズは、国際公開第00/26698号、国際公開第00/22460号、国際公開第99/29750号、国際公開第99/27978号、および国際公開第00/22459号に記載されている。上述のレンズはすべて、レンズをコートするのに使用されるいくつかの薬剤でコートされ得る。例えば、米国特許第6,087,415号の手順、組成物および方法が使用され得、そしてこの特許は、手順、組成物および方法について、引用により本明細書に組み込まれる。銀を含む抗菌性SiOフレークを、その他の成分のモノマーミックスに添加し得る。得られた混合物を金型に詰め、硬化させる。
【0241】
レンズ中の銀の量は0.01重量パーセントより多く、ここでパーセントは、非水和モノマーの成分の重量に対するものである。銀の重量パーセントは約0.01〜約0.3重量パーセント、より好ましくは約0.02〜約0.2重量パーセント、最も好ましくは約0.03〜約0.1重量パーセントである。
【0242】
語句「抗菌特性」は、レンズが以下の特性:細菌または他の微生物のレンズへの付着の抑制、細菌または他の微生物のレンズ上での成長の抑制、および細菌または他の微生物のレンズの表面上またはレンズから延在する半径内での死滅の1つ以上を示すことをいう。特に、好ましくは、本発明のレンズは、生存可能な細菌または他の微生物の少なくとも1−log減少(>90%抑制)、特に最も好ましくは、生存可能な細菌または他の微生物の約2−log減少(>99%抑制)をインビトロ試験において示す。かかる細菌または他の微生物としては、限定されないが、目に見られる生物、特に緑膿菌、アカントアメーバ属、黄色ブドウ球菌、大腸菌、表皮ブドウ球菌、およびセラチア菌が挙げられる。
【0243】
また更には、本発明は、本発明による抗菌性SiOフレーク、特に銀を含む抗菌性SiOフレークを含む、抗菌特性を有するレンズケースを包含する。レンズケースという用語は、レンズを使用していないとき、レンズを保持する空間が画定されるように適合された容器をいう。この用語は、レンズのパッケージを包含し、このパッケージとしては、硬化後、レンズが保存される任意のユニットが含まれる。このパッケージの例としては、限定されないが、単回使用ブリスターパックなどが挙げられる。かかる容器の一例は、米国特許第5,515,117号の図3に示されたものである。抗菌性SiOフレークは、レンズ容器22、カバー24またはレンズバスケット26に組み込まれることができ、これらは、好ましくは、レンズ容器またはレンズバスケット内に組み込まれる(番号は米国特許第5,515,117号について言及)。
【0244】
銀を含む抗菌性SiOフレークの他、容器成分は、透明な熱可塑性高分子材料、例えば、ポリメチルメタクリレート,ポリオレフィン(ポリエチレン,ポリプロピレンなど);ポリエステル,ポリウレタン;アクリル系ポリマー(ポリアクリレートおよびポリメタクリレートなど);ポリカーボネートなどで作製されたものであることができ、そして従来の手法(例えば、成形)を用いて単一のユニットとして作製される。本発明のレンズの場合と同様にして、銀を含む抗菌性SiOフレークを、その他の成分のモノマーミックスに添加し得る。得られた混合物を金型に詰め、硬化させる。好ましくは、活性銀を、任意のまたは全てのレンズケース成分中に、約0.01〜約10重量パーセント(初期モノマーミックスに対して)、より好ましくは約0.05〜約3.0パーセントで存在させる。
【0245】
本発明はまた、抗菌性SiOフレークが組み込まれた高分子材料を含む歯科用器具に関する。抗菌性SiOフレークは、高分子材料の総重量の約0.5〜50.0パーセントを構成する。高分子材料は、好ましくは、抗菌性SiOフレークを含む被膜である。歯科用器具は、好ましくは、歯科用ブラケットまたはアーチワイヤである。
【0246】
以下の実施例は本発明を、その範囲を限定することなく説明するものである。特に記載のない限り、パーセントおよび部は、それぞれ重量パーセントおよび重量部である。
【実施例】
【0247】
実施例1
氷冷脱イオン水(200ml)中にAgNOを17.0g(0.1mol)含む溶液を、窒素雰囲気下で攪拌し、調製した。国際公開第2004/065295号の実施例1と同様にして得た多孔質SiOフレーク(z≒1.4〜1.6;BET = 716m/g)2.0gを、連続的に攪拌しながらゆっくり添加した。懸濁液を室温で7日間攪拌し、濾過し、脱イオン水およびメタノールで硝酸塩がなくなるまでリンス処理した。残渣を35℃で真空乾燥させ、600℃で焼結した。
銀含有酸化ケイ素フレークをX線回折によって評価した。元素分析により、銀含量0.46%が示された。BET測定により得られた表面積は、704m/gであった。
【0248】
図2は、実施例1の銀コートフレーク、SiOフレークのX線回折パターンである。AgNOまたはAgOのピークは存在しない。
【0249】
得られた銀含有酸化ケイ素フレークの抗菌活性を、CG 161/欧州標準法EN 1040に従って測定した。銀含有酸化ケイ素フレークは、懸濁液濃度1%で、黄色ブドウ球菌および大腸菌に対して優れた抗菌活性を示した(5分間後>5 log)。銀含量2.1〜2.2%の銀含有ゼオライトは、懸濁液濃度2.5%までで試験したとき、5分間において何ら活性を示さなかった。
【0250】
実施例2
多孔質SiO1.0gを、メタノール75ml中に懸濁し、−50℃に冷却した。AgNO 0.25g(1.5mmol)をメタノール75ml中に含む溶液を調製し、超音波浴内で完全に均質化し、SiO懸濁液に−50℃にて継続攪拌下で滴下した。懸濁液を−50℃で4時間攪拌し、濾過し、メタノールで硝酸塩がなくなるまでリンス処理した。残渣を60℃で真空乾燥させ、そして場合により、400〜600℃で焼結した。
【0251】
SiOフレーク上の銀をX線回折によって評価した。元素分析により銀含量0.5%が示された。BET測定により得られた表面積は、1000m/gが得られた。実施例2に記載の方法において得られた銀コートフレークは、1%の懸濁液濃度で、黄色ブドウ球菌および大腸菌に対して優れた抗菌活性(5分間後>5 log)を示した。
【0252】
実施例3〜5
実施例2と同様にして、以下の銀コートフレークSiOフレーク(z≒1.4〜1.6)を得た。
【0253】
【表5】

【0254】
実施例6
多孔質SiO0.35gをメタノール100mlに中に懸濁し、−50℃に冷却した。AgNO 0.25g(1.5mmol)を脱イオン水20ml中に含む溶液を調製し、25%のNH溶液0.35mlと混合し、続いて、メタノールを50ml補充した。この溶液を上記のSiO懸濁液に−50℃にて継続攪拌下で滴下した。懸濁液を2時間−50℃で攪拌し、濾過し、硝酸塩がなくなるまで冷メタノールリンス処理した。残渣を60℃で真空乾燥させた。元素分析により、銀含量6.0重量% Agが示された。
【0255】
実施例7
非多孔質SiOフレーク(国際公開第03/068868号の実施例1に記載の方法と同様にして得た;(z≒1.4〜1.6)1gをメタノール60ml中に懸濁し、−60℃に冷却した。0.5M AgNO水溶液60mlを調製し、SiO 懸濁液に−60℃で2時間連続的に攪拌しながら滴下した。懸濁液を濾過し、冷脱イオン水および冷メタノールで充分洗浄し、硝酸塩無含有ろ液を得た。残渣を60℃で真空乾燥させた。銀コートフレークを、場合により、空気中にて400℃で20時間加熱した。元素分析により、銀含量0.44重量% Agが示された。実施例7に記載の方法において得た銀コートフレークは、1%の懸濁液濃度で、黄色ブドウ球菌および大腸菌に対して優れた抗菌活性を示した(5分間後>5 log)。
【0256】
実施例8
多孔質SiOフレーク(国際公開第03/068868号の実施例1に記載の方法と同様にして得た;(z≒1.4〜1.6)6.7gを、脱イオン水500ml中に室温で懸濁した。AgNO 380mgを脱イオン水50ml中に含む溶液を調製し、SiO 懸濁液に、3時間連続的に攪拌しながら滴下した。黒色懸濁液を濾過し、脱イオンおよびメタノールで充分洗浄した。残渣を60℃で真空乾燥させた。銀コートフレークは、場合により、空気中にて600℃で3時間加熱し、無色の生成物を得た。元素分析により、銀含量0.82重量% Agが示された。
【0257】
実施例9
多孔質SiOフレーク(国際公開第03/068868号の実施例1に記載の方法と同様にして得た;z≒1.4〜1.6)1.5gを、脱イオン水25ml中に室温で懸濁した。CuCl 0.32gを脱イオン水15ml中に含む溶液調製し、SiO 懸濁液に連続的に攪拌しながら滴下した。懸濁液を80℃まで16時間加熱した。冷却した混合物に、ヒドラジン水和物0.47gを脱イオン水15ml中に含む溶液を滴下した。懸濁液を80℃まで16時間加熱した。暗色混合物を濾過し、脱イオン水およびメタノールで充分洗浄した。残渣を60℃で真空乾燥させた。生成物を、場合により、空気中にで500℃で3時間加熱し、1.40gを得た。元素分析により、銅含量9.62重量% Cuが示された。
【0258】
実施例10
ヒドラジン水和物の代わりにNaBH 0.36g で実施例11と同じ手順により、7.47重量% Cuの灰色生成物を得た。
【0259】
実施例11
多孔質SiOフレーク 4.8g(国際公開第03/068868号の実施例1に記載の方法と同様にして得た;z≒1.4〜1.6)を、脱イオン水150ml中に室温で懸濁した。PdCl 0.8gおよびNaCl 1.6gを脱イオン水50ml中に含む溶液を調製し、SiO懸濁液に連続的に攪拌しながら滴下した。懸濁液を75℃まで1時間加熱した。冷却した混合物に、ヒドラジン水和物0.25gを脱イオン水25ml中に含む溶液を滴下した。黒色懸濁液を濾過し、脱イオンおよびメタノールで充分洗浄した。残渣を60℃で真空乾燥させた。パラジウムコートフレークを、場合により、空気中にて600℃で2時間加熱し、褐色生成物4.86gを得た。元素分析により、パラジウム含量9.60重量%Pdが示された。
【0260】
実施例12
酢酸ニッケル四水和物0.08gを脱イオン水30mlに溶解した。多孔質SiOフレーク0.51gを攪拌しながら添加した。NaBH 10mgを脱イオン水30ml中に含む溶液を調製し、SiO 懸濁液に連続的に攪拌しながら滴下した。懸濁液を80℃まで20時間加熱した。冷却した混合物を、次いで、濾過し、脱イオン水およびメタノールで充分洗浄した。残渣を60℃で真空乾燥させた。場合により加熱処理を空気中にて600℃で2時間行ない、薄緑色生成物0.47gを得た。
【図面の簡単な説明】
【0261】
【図1】本願の実施例1で使用した多孔質SiO(z≒1.4〜1.6)フレークのTEM(透過型電子顕微鏡)顕微鏡写真である。
【図2】実施例1の銀コートフレーク、SiOフレークのX線回折パターンである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機系もしくは無機系の抗菌性の化合物または組成物を含む、特に多孔質SiOフレークであるSiOフレーク、特に多孔質SiOフレーク(式中、0.70≦z≦2.0、特に0.95≦z≦2.0である)。
【請求項2】
有機系の抗菌性の化合物または組成物が、ジメチルジメチロールヒダントイン(Glydant(登録商標))、メチルクロロイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン(Kathon CG(登録商標))、イミダゾリジニル尿素(Germall 115(登録商標)、ジアゾリジニル尿素(Germaill II(登録商標))、ベンジルアルコール、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール(Bronopol(登録商標))、ホルマリン(ホルムアルデヒド)、ヨードプロペニルブチルカルバメート(Polyphase P100(登録商標))、クロロアセトアミド、メタンアミン、メチルジブロモニトリルグルタロニトリル(1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンまたはTektamer(登録商標))、グルタルアルデヒド、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン(Bronidox(登録商標))、フェネチルアルコール、o−フェニルフェノール/o−フェニルフェノールナトリウム、ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム(Suttocide A(登録商標))、ポリメトキシ二環式オキサゾリジン(Nuosept C(登録商標))、ジメトキサン、チメロサール、ジクロロベンジルアルコール、キャプタン、クロルフェネシン、ジクロロフェン、クロルブタノール、ラウリン酸グリセリル、ハロゲン化ジフェニルエーテル、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシ−ジフェニルエーテル(Triclosan(登録商標)またはTCS)、4,4’−ジクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル、2,2’−ジヒドロキシ−5,5’−ジブロモ−ジフェニルエーテル、フェノール系化合物、フェノール、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、4−エチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、4−n−プロピルフェノール、4−n−ブチルフェノール、4−n−アミルフェノール、4−tert−アミルフェノール、4−n−ヘキシルフェノール、4−n−ヘプチルフェノール、モノ−およびポリ−アルキルおよび芳香族ハロフェノール類、p−クロロフェノール、メチルp−クロロフェノール、エチルp−クロロフェノール、n−プロピルp−クロロフェノール、n−ブチルp−クロロフェノール、n−アミルp−クロロフェノール、sec−アミルp−クロロフェノール、シクロヘキシルp−クロロフェノール、n−ヘプチルp−クロロフェノール、n−オクチルp−クロロフェノール、o−クロロフェノール、メチルo−クロロフェノール、エチルo−クロロフェノール、n−プロピルo−クロロフェノール、n−ブチルo−クロロフェノール、n−アミルo−クロロフェノール、tert−アミルo−クロロフェノール、n−ヘキシルo−クロロフェノール、n−ヘプチルo−クロロフェノール、o−ベンジルp−クロロフェノール、o−ベンキシル−m−メチルp−クロロフェノール、o−ベンジル−m、m−ジメチルp−クロロフェノール、o−フェニルエチルp−クロロフェノール、o−フェニルエチル−m−メチルp−クロロフェノール、3−メチルp−クロロフェノール、3,5−ジメチルp−クロロフェノール、6−エチル−3−メチルp−クロロフェノール、6−n−プロピル−3−メチルp−クロロフェノール、6−イソ−プロピル−3−メチルp−クロロフェノール、2−エチル−3,5−ジメチルp−クロロフェノール、6−sec−ブチル−3−メチルp−クロロフェノール、2−イソ−プロピル−3,5−ジメチルp−クロロフェノール、6−ジエチルメチル−3−メチルp−クロロフェノール、6−イソ−プロピル−2−エチル−3−メチルp−クロロフェノール、2−sec−アミル−3,5−ジメチルp−クロロフェノール、2−ジエチルメチル−3,5−ジメチルp−クロロフェノール、6−sec−オクチル−3−メチルp−クロロフェノール、p−クロロ−m−クレゾール、p−ブロモフェノール、メチルp−ブロモフェノール、エチルp−ブロモフェノール、n−プロピルp−ブロモフェノール、n−ブチルp−ブロモフェノール、n−アミルp−ブロモフェノール、sec−アミルp−ブロモフェノール、n−ヘキシルp−ブロモフェノール、シクロヘキシルp−ブロモフェノール、o−ブロモフェノール、tert−アミルo−ブロモフェノール、n−ヘキシルo−ブロモフェノール、n−プロピル−m,m−ジメチルo−ブロモフェノール、2−フェニルフェノール.4−クロロ−2−メチルフェノール,4−クロロ−3−メチルフェノール、4−クロロ−3,5−ジメチルフェノール、2,4−ジクロロ−3,5−ジメチルフェノール、3,4,5,6−テトラブロモ−2−メチルフェノール、5−メチル−2−ペンチルフェノール、4−イソプロピル−3−メチルフェノール、パラ−クロロ−メタ−キシレノール(pcmx)、クロロチモール、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、5−クロロ−2−ヒドロキシジフェニルメタン、レゾルシノールおよびその誘導体、レゾルシノール、メチルレゾルシノール、エチルレゾルシノール、n−プロピルレゾルシノール、n−ブチルレゾルシノール、n−アミルレゾルシノール、n−ヘキシルレゾルシノール、n−ヘプチルレゾルシノール、n−オクチルレゾルシノール、n−ノニルレゾルシノール、フェニルレゾルシノール、ベンジルレゾルシノール、フェニルエチルレゾルシノール、フェニルプロピルレゾルシノール、p−クロロベンジルレゾルシノール、5−クロロ2,4−ジヒドロキシジフェニルメタン、4’−クロロ2,4−ジヒドロキシジフェニルメタン、5−ブロモ2,4−ジヒドロキシジフェニルメタン、4’−ブロモ2,4−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビスフェノール系化合物、2,2’−メチレンビス(4−クロロフェノール)、2,2’−メチレンビス(3,4,6−トリクロロフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−クロロ−6−ブロモフェノール)、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)硫化物、ビス(2−ヒドロキシ−5−クロロベンジル)硫化物、安息香酸エステル(パラベン類)、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン、イソプロピルパラベン、イソブチルパラベン、ベンジルパラベン、メチルパラベンナトリウム、プロピルパラベンナトリウム、ハロゲン化カルバニリド類、3,4,4’−トリクロロカルバニリド類(Triclocarban(登録商標)またはTCC)、3−トリフルオロメチル−4,4’−ジクロロカルバニリド、3,3’,4−トリクロロカルバニリド、クロロヘキシジンおよびそのジグルコン酸塩、二酢酸塩および二塩酸塩、ウンデセン酸、ヘキセチジン、および塩酸ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)(Cosmocil(登録商標))、チアベンダゾール、10,10’オキシビスフェノキシアルシン、テブコナゾール、トルナフテート、ビス−(2−ピリジンチオール−1−オキシド)亜鉛塩、2n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−オクチル−4−イソチアゾリン、N−ブチル−ベンズイソチアゾリン、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート、メチル−1H−ベンズイミダゾール−2−イルカルバメートならびにその混合物から選択される、請求項1記載のSiOフレーク、特に多孔質SiOフレーク。
【請求項3】
無機系の抗菌性の化合物または組成物が、抗菌性金属塩、特に、Mn、Ag、Au、Zn、Sn、Fe、Cu、Al、Ni、Co、Ti、Zr、Cr、La、Bi、K、Cd、Yb、Dy、Nd、Ce、Tl、Pr、およびその組み合わせからなる群より選択される金属の塩を含む金属塩を含む、請求項1記載のSiOフレーク、特に多孔質SiOフレーク。
【請求項4】
金属塩が、フッ化物、アスパラギン酸塩、グルコン酸塩、ヨウ化物、酸化物、亜硝酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、硫化物、メルカプトピリジン酸化物(例えば、亜鉛ピリチオン)、ニコチン酸塩およびニコチンアミド、ヒノキチオール、酢酸塩、アスコルビン酸塩、塩化物、安息香酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルタル酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、ウンデシル酸塩、ならびにその組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載のSiOフレーク、特に多孔質SiOフレーク。
【請求項5】
無機系の抗菌性の化合物または組成物が、金属、特に、Mn、Ag、Au、Zn、Sn、Fe、Cu、Al、Ni、Co、Ti、Zr、Cr、La、Bi、K、Cd、Yb、Dy、Nd、Ce、Tl、Pr、およびその組み合わせ、更に特に銀、金、銅、亜鉛、およびその組み合わせから選択される金属を含む、請求項1記載のSiOフレーク、特に多孔質SiOフレーク。
【請求項6】
SiOフレークが、抗菌性金属塩を0.001〜20.0重量パーセント、特に0.01〜10重量パーセント、更に特に0.1〜5.0重量パーセントの量で含有する、請求項4または5記載のSiOフレーク、特に多孔質SiOフレーク。
【請求項7】
高重量の有機物質および請求項1〜6のいずれか一項記載の抗菌性SiOフレークを含む抗菌性組成物。
【請求項8】
前記高分子量有機物質が、ポリエチレン(例えば、LDPE、HDPE、もしくはMDPE)、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)、ナイロン、ポリエステル、不飽和ポリエステル(UP)、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、スチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアセタール、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、フッ素系プラスチック、ポリウレタン(PUR)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、フェノール系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、レーヨン、尿素ホルムアルデヒド樹脂(UF)、キュプラアンモニウムレーヨン、酢酸塩、三酢酸塩、ビニリデン、天然もしくは合成のゴムなどの熱可塑性もしくは熱硬化性の樹脂、または親液性塗料、ラッカー、ワニス、およびアルキル樹脂系、アミノアルキド樹脂系、ビニル樹脂系、アクリル系樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、水系、粉末系、塩化ゴム系などの塗料もしくはフェノール系塗料である、請求項7記載の抗菌性組成物。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一項記載の抗菌性SiOフレークを含む、抗菌剤製品。
【請求項10】
練り歯磨き、マウスウォッシュ、デオドラント化粧品、例えばスプレー、スティック、およびロールオン型のものなど、ハンドソープ、手の除菌用ローションなどのパーソナルケア製品、ボディ洗浄剤、シャワージェルなどのパーソナル洗浄剤製品、ボディローション、クリーム、オイル、およびジェルなどのスキンケア製品、リンスもしくはシャンプーなどのヘアケア製品;または硬質表面クリーナー、食器用洗剤、衣料用洗剤、ガラスクリーナー、および床用ワックスなどの家庭用ケア製品、医療用デバイスおよび手袋、コンタクトレンズ、(コンタクト)レンズケース、(コンタクト)レンズ保存液、コンタクトレンズ洗浄液、チューインガム、もしくは織物製品、繊維材料、紙材料、塗工紙、接着剤、化粧被膜、産業用被膜、粉体コーティング、または塗料などの産業用もしくは病院用製品である、請求項9記載の製品。
【請求項11】
微生物、一般的には、細菌、酵母、真菌、および藻類などの発生および増殖を抑制するための、請求項1〜6のいずれか一項記載の抗菌性SiOフレークまたは請求項7もしくは8記載の組成物の使用。
【請求項12】
a) SiOz’フレークを溶媒、特に水および/またはC1〜4アルコール(式中、z’<2、特に1≦z’≦1.8、更に特に1.4≦z≦1.8である)中に懸濁すること、
b) 溶媒可溶性抗菌性金属塩および、場合により還元剤を溶液に添加すること、および
c) SiOフレーク(式中、0.70≦z≦2.0、特に0.95≦z≦2.0である)を含有する金属を単離すること
を含む、請求項5記載の抗菌性SiOフレークの調製方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2007−537203(P2007−537203A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512178(P2007−512178)
【出願日】平成17年5月2日(2005.5.2)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051981
【国際公開番号】WO2005/107456
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】