説明

抗RSウイルスモノクローナル抗体を用いたRSウイルス検出用キット及びイムノクロマトグラフィー用試験具、並びに新規な抗RSウイルスモノクローナル抗体

【課題】本発明は、感度の高いRSV検出用キット、及びイムノクロマトグラフィー用試験具を提供することを目的とする。
【解決手段】受領番号NITE AP−601号(RSF2−412)のハイブリドーマ(2008年6月26日に独立行政法人製品評価技術基盤機構に受託)から産生されるRSウイルス(RSV)Fタンパク質を認識する抗RSVモノクローナル抗体を少なくとも含むRSV検出用キット及びイムノクロマトグラフィー用試験具により、上記の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RSウイルス(respiratory syncytial virus:RSV)を高感度に検出することができる抗RSVモノクローナル抗体を用いたRSV検出用キット、及びイムノクロマトグラフィー用試験具に関する。また、本発明は、上記のRSV検出用キット及びイムノクロマトグラフィー用試験具に用い得る、抗RSVモノクローナル抗体にも関する。
【背景技術】
【0002】
RSウイルスは、乳幼児の呼吸器感染症を引き起こす主な原因ウイルスである。通常、RSVに感染した場合、風邪に似た軽微な症状を引き起こす。しかし、免疫力が低下した小児や高齢者にRSウイルスが感染した場合、細気管支炎を生じて呼吸困難となり、死亡する例もある。よって、このウイルスへの感染を迅速かつ簡便に検出することが望まれている。
【0003】
RSVは、主に血清学的な違いに基づいて、A型及びB型のサブタイプに分類されている。A型のRSVとしてはLong株、A2株などが知られている。B型のRSVとしては9320株、B1 wild type株などが知られている。
【0004】
RSVのエンベロープには、糖タンパク質であるGタンパク質と、細胞融合に関連するFタンパク質とが存在する。Gタンパク質は、RSVのサブタイプ(A型、B型)間でアミノ酸配列の違いが大きいことが知られている。一方、Fタンパク質は、RSVのサブタイプ(A型、B型)間でもアミノ酸配列の違いが小さいことが知られている。
【0005】
RSVを認識する抗RSVモノクローナル抗体は、いくつか知られている。特表2001−510329号(特許文献1)は、RSVのFタンパク質と結合し、中和活性を有する改変モノクローナル抗体を開示している。特表2005−522996号(特許文献2)は、ヒト型RSV抗体を開示している。特表平11−507640号(特許文献3)も、RSVのFタンパク質と結合するヒト型モノクローナル抗体を開示している。
また、種々のクローンから得られたRSVのFタンパク質と結合する抗RSVモノクローナル抗体が、市販で入手可能である。
【0006】
さらに、BD RSVエグザマン(ベクトン・ディッキンソン)、チェックRSV(アルフレッサファーマ)、BinaxNOW(栄研化学)、イムノカード(テイエフビー)、ポクテムS RSV(シスメックス)のような、抗RSVモノクローナル抗体を用いたイムノクロマトグラフィー技術に基づくRSV検出用キットも販売されている。
【0007】
しかしながら、これらの従来のRSV検出用キットでRSVの検出を行なった場合、感度が充分ではなく、全陽性検体の30〜40%を陰性として判定する場合があった。
【特許文献1】特表2001−510329号公報
【特許文献2】特表2005−522996号公報
【特許文献3】特表平11−507640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の現状に鑑み、本発明は、感度の高いRSV検出用キット、及びイムノクロマトグラフィー用試験具を提供することを目的とする。
また、本発明は、感度の高いRSV検出用キット及びイムノクロマトグラフィー用試験具の作成に用いることができる、抗RSVモノクローナル抗体を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、RSV抗原、特にRSVのFタンパク質を認識するモノクローナル抗体を新たに取得した。そして、得られたモノクローナル抗体をRSV検出用キット及びイムノクロマトグラフィー用試験具に用いることにより、RSVの検出感度を向上させ得ることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
本発明は、受領番号NITE AP−601号(RSF2−412)のハイブリドーマ(2008年6月26日に独立行政法人製品評価技術基盤機構に寄託)(以下、このハイブリドーマをハイブリドーマ412という)から産生される、RSウイルス(RSV)Fタンパク質を認識する抗RSVモノクローナル抗体を少なくとも含むRSV検出用キット及びイムノクロマトグラフィー用試験具を提供する。
また、本発明は、ハイブリドーマ412、受託番号FERM P−21321号(RSF1−1565)のハイブリドーマ(2007年7月19日に独立行政法人産業技術総合研究所に寄託)(以下、このハイブリドーマをハイブリドーマ1565という)、及び受領番号NITE AP−602号(RSF6−255)のハイブリドーマ(2008年6月26日に独立行政法人製品評価技術基盤機構に寄託)(以下、このハイブリドーマをハイブリドーマ255という)から産生されるRSウイルス(RSV)Fタンパクを認識する抗RSVモノクローナル抗体も提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のRSV検出用キット及びイムノクロマトグラフィー用試験具を用いることにより、従来のRSV検出法に比較して、RSVの検出感度を向上することができる。よって、より正確なRSVの検出を迅速にかつ容易に行うことが可能になり、より正確なRSV感染の診断を行うための指標を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(ハイブリドーマ及び抗RSVモノクローナル抗体)
本発明のRSV検出用キット及びイムノクロマトグラフィー用試験具に用いられる抗RSVモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ412から産生される。この抗体を、以下、「412抗体」という。
【0013】
本発明の抗体は、それ自体公知の方法を用いて作製したハイブリドーマから得ることができる。すなわち、所望により適切なアジュバントと混合したRSV抗原、好ましくはRSV Fタンパク質で適切な哺乳動物(例えばマウス、ラットなど)を免疫する。そして、該動物の脾臓細胞、リンパ節細胞、Bリンパ球などの抗体産生細胞を、適切な哺乳動物(例えばマウス、ラットなど)由来の骨髄腫細胞と融合させることにより、ハイブリドーマを得ることができる。通常、抗体産生細胞と骨髄腫細胞は、同種の動物に由来する。
細胞融合は、例えば適切な培地中で抗体産生細胞と骨髄腫細胞とをポリエチレングリコールなどの存在下で融合させるPEG法などにより行うことができる。細胞融合後、HAT培地などの選択培地でハイブリドーマを選択し、ハイブリドーマのRSV Fタンパク質を認識する抗体を産生する能力について、常法(例えば酵素免疫測定法(EIA))に従ってスクリーニングを行う。次いで、適切な抗体を産生するハイブリドーマを常法(例えば限界希釈法)に従ってクローニングし、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選択する。
【0014】
本発明では、以下の実施例にも示すように、RSV Fタンパク質でマウスを免疫して得られたマウスの脾臓細胞とマウス骨髄腫細胞とを融合して得られたハイブリドーマ412を、2008年6月26日に独立行政法人製品評価技術基盤機構に受領番号NITE AP−601号で寄託した。
【0015】
また、本発明では、上記と同様の方法に従って、さらにハイブリドーマ1565及びハイブリドーマ255を得た。ハイブリドーマ1565は、2007年7月19日に独立行政法人産業技術総合研究所に受託番号FERM P−21321で寄託した。ハイブリドーマ255は、2008年6月26日に独立行政法人製品評価技術基盤機構に受領番号NITE AP−601号で寄託した。これらのハイブリドーマから産生される抗RSVモノクローナル抗体は、以下、それぞれ1565抗体及び255抗体という。
【0016】
上記のハイブリドーマ412、1565及び255の具体的な取得方法については、後述の実施例に示す。
上記の各ハイブリドーマから産生される412抗体、1565抗体及び255抗体は、RSVのFタンパク質に結合できる。RSV Long株のFタンパク質のアミノ酸配列は公知であり、配列番号1に示す。
後述の実施例に示されるように、これらの3種類の抗体は、RSV Fタンパク質のそれぞれ異なるエピトープを認識すると考えられる。
【0017】
本明細書において、「抗体」は、抗体、並びに該抗体と同等のRSV Fタンパク質結合特性を有する抗体フラグメント及び改変抗体も含む。該抗体フラグメントとしては、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fab’フラグメント、sFvフラグメントなどが挙げられる。
【0018】
(RSV検出用キット)
本発明のRSV検出用キットは、ハイブリドーマ412から産生される412抗体を少なくとも含む。
本明細書において、「RSV検出用キット」とは、複数の構成要素を含み、これらの複数の構成要素を組み合わせて用いることによりRSVの検出を行うことができる構成要素の組のことをいう。本発明のRSV検出用キットは、上記の412抗体を含む第1の構成要素と、他の構成要素とからなる。これらの構成要素は、抗体を含むか又は含まない溶液、抗体を含むか又は含まない固体担体、これらの組み合わせなどであり得る。
【0019】
本発明のキットは、上記の412抗体が認識するRSVのFタンパク質のエピトープとは異なるエピトープを認識する別の抗体をさらに含むことが好ましい。該別の抗体は、1種又は複数種であり得るが、より好ましくは2種である。本発明のキットは、より好ましくは、412抗体と他の2種の抗体との3種類の抗体を含むことにより、RSVの検出感度を従来のRSV検出キットに比べてより向上させ得る。
上記の別の抗体が認識するエピトープが412抗体と同一であるか否かは、公知の方法を用いて調べることができる。公知の方法としては、競合阻害試験が挙げられる。競合阻害試験とは、目的の抗体の、任意の抗体と抗原との結合に対する競合阻害能力を調べることで、エピトープが同一であるか否かを調べる方法である。より具体的には、後述の実施例3に示す条件で行われる方法が挙げられる。上記の任意の抗体は、目的の抗体以外の抗体であれば、特に限定されない。
【0020】
例えば、上記の競合阻害試験において、412抗体が阻害できる任意の抗体とRSV抗原との結合を、阻害できない抗体が、412抗体が認識するFタンパク質のエピトープとは異なるエピトープを認識する別の抗体である。また、412抗体が阻害できない任意の抗体とRSV抗原との結合を、阻害できる抗体も、412抗体が認識するFタンパク質のエピトープとは異なるエピトープを認識する別の抗体である。
上記の競合阻害試験において、「阻害できる」とは、上記の任意の抗体とRSV抗原との結合を30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは90%以上阻害することを意味する。
上記の競合阻害試験において、「阻害できない」とは、上記の任意の抗体とRSV抗原との結合を30%未満、より好ましくは10%未満、最も好ましくは0%阻害することを意味する。
【0021】
412抗体以外の、本発明のキットに含まれ得る上記の別の抗体としては、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質に結合しない抗RSVモノクローナル抗体が好ましい。配列番号2のアミノ酸配列は、RSVのFタンパク質のアミノ酸配列(配列番号1)の421番目のリジン残基がスレオニン残基に変異したアミノ酸配列である。配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質に結合しない抗RSVモノクローナル抗体としては、例えば1565抗体が挙げられる(実施例5参照)。
また、その他の好ましい別の抗体として、255抗体が挙げられる。特に、別の抗体として、1565抗体及び255抗体の両方を含むキットが好ましい。
【0022】
本発明のキットは、412抗体を含み、抗体−抗体反応を用いて抗原を検出するイムノアッセイを行うことを可能にする構成要素を含むものであれば、特に限定されない。このような構成要素は、当業者に公知である。
イムノアッセイとしては、免疫沈降、標識イムノアッセイなどが挙げられる。標識イムノアッセイとしては、イムノクロマトグラフィー、エンザイムイムノアッセイ(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)、化学発光イムノアッセイなどが挙げられる。
【0023】
(標識抗体)
本発明のキットとしては、標識イムノアッセイを行うためキットが好ましい。このようなキットにおいては、用いられる抗RSVモノクローナル抗体は、少なくとも1種が標識物質で標識されている。標識物質で標識される抗体としては、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質に結合しない抗RSVモノクローナル抗体が好ましく、特に、1565抗体が好ましい。
【0024】
上記の標識物質は、通常のイムノアッセイにおいて用い得る標識物質であれば特に限定されない。例えば、酵素、蛍光物質、放射性同位元素、不溶性粒状物質などが挙げられる。
酵素としては、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、チロシナーゼ、酸性ホスファターゼなどが挙げられる。
蛍光物質としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、グリーン蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェリンなどが挙げられる。
放射性同位元素としては、125I、14C、32Pなどが挙げられる。
【0025】
上記の不溶性粒状物質としては、例えば寒天、アガロース、架橋アガロース、架橋アルギン酸、架橋グアガム、ニトロセルロースやカルボキシルセルロースなどのセルロースエステル類、ゼラチン、架橋ゼラチン、ラテックス、ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、スチレン−メタクリレート共重合体、ポリグリシジルメタクリレート、アクロレイン−エチレングリコールジメタクリレート共重合体などの天然又は合成の樹脂及びその誘導体、ガラス(例えば活性化ガラス)、シリカゲル、カオリン、タルク、シリカ−アルミナ、アルミナ、硫酸バリウムなどの無機材料からなる粒子を色素分子、蛍光分子又は磁気粒子などで標識して得られる標識粒子、金コロイドなどの金属コロイド粒子、赤血球などが挙げられる。不溶性粒状物質としては、上記の合成高分子を色素分子で標識してなる着色合成高分子粒子及び金属コロイド粒子が好ましい。
【0026】
(固相に固定される抗体)
上記の標識イムノアッセイとしては、抗体の固相への結合を利用する固相化法が好ましい。
本発明のこの態様においては、用いられる抗RSVモノクローナル抗体の少なくとも1種が、固相に固定される。
固相に固定される抗体は、好ましくは、412抗体及び255抗体から選択される少なくとも1種である。より好ましくは、これらの2種の抗体が固相に固定されている。
【0027】
固相化法に用いられる固相としては、マイクロタイタープレート、メンブレン、粒子などが挙げられる。
固相の材料としては、ラテックス、ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、スチレン−メタクリレート共重合体、ポリグリシジルメタクリレート、アクロレイン−エチレングリコールジメタクリレート共重合体、シリコーンポリビニリデンジフルオライド(PVDF)、セルロース類(ニトロセルロース、セルロースアセテートなど)、ナイロン(例えば、カルボキシル基、アルキル基などを置換基として有してもよいアミノ基が導入された修飾ナイロン)などのポリマー材料;アガロース;ゼラチン;赤血球;シリカゲル、ガラス、不活性アルミナ、磁性体などの無機材料などが挙げられる。固相は、これらの1種又は複数の材料の組み合わせからなるものであってもよい。
【0028】
(試料)
本発明のRSV検出用キットで試験される試料には、RSVの感染が疑われる患者から採取された生体試料、及び該生体試料を前処理することにより得られる試料が含まれる。生体試料としては、血液、血清、糞便、尿、唾液、鼻腔吸引液、スワブ、汗、涙などが挙げられる。上記の前処理としては、生体試料を適切な前処理用試薬に溶解すること、溶解して得られた溶液をフィルターでろ過することなどが挙げられる。
【0029】
(キットの構成要素)
上記の固相がマイクロタイタープレートである場合、本発明のキットは、マイクロタイタープレートと、上記の412抗体を少なくとも含む溶液とを含むか、又は412抗体が固定化されたマイクロタイタープレートを含み得る。
上記の固相がメンブレンである場合、本発明のキットは、メンブレンと、上記の412抗体を少なくとも含む溶液とを含むか、又は412抗体が担持又は固定化されたメンブレンを含み得る。
上記の固相が粒子である場合、本発明のキットは、粒子と、412抗体を少なくとも含む溶液とを含むか、又は412抗体が固定化された粒子を含み得る。
【0030】
本発明のキットとしては、イムノクロマトグラフィーを行うためのキットが好ましい。すなわち、上記のキットは、412抗体が固定化又は担持されたイムノクロマトグラフィー用試験具を含む。
本明細書において、抗体を「担持する」とは、抗体が移動可能に保持されていることを意味する。
【0031】
(イムノクロマトグラフィー用試験具)
よって、本発明は、412抗体が固定化又は担持されたイムノクロマトグラフィー用試験具も提供する。
上記のイムノクロマトグラフィー用試験具は、好ましくは、RSVを含む可能性がある試料を添加する試料添加部材と、抗RSVモノクローナル抗体を担持する標識保持部材と、標識保持部材に担持されている抗体とは異なる抗RSVモノクローナル抗体が固定されている判定領域を有するクロマト用膜担体とを有する。
【0032】
上記のイムノクロマトグラフィー用試験具において、試料添加部材と標識保持部材とは接触していることが好ましい。
また、試料添加部材とクロマト用膜担体とは接触していることが好ましい。試料添加部材は、クロマト用膜担体の試料展開方向上流側でクロマト用膜担体と接触することが好ましい。
標識保持部材は、クロマト用膜担体の試料展開方向上流側に配置されることが好ましい。標識保持部材は、クロマト用膜担体と接触してもよいし、しなくてもよい。
【0033】
本明細書において、「試料展開方向上流側」及び「試料展開方向下流側」とは、イムノクロマトグラフィー用試験具の長手方向について、試料を添加する側を上流側、試料が展開していく(流れていく)側を下流側として考えた場合の相対的な方向を意味する。
【0034】
(試験具用の抗体)
上記のイムノクロマトグラフィー用試験具において、標識保持部材に担持されている抗体は、上記の標識物質で標識されているのが好ましい。該標識物質としては、色の変化を肉眼で迅速かつ簡便に観察できるので、不溶性粒状物質が好ましく、特に着色合成高分子粒子又は金属コロイド粒子が好ましい。
【0035】
上記のイムノクロマトグラフィー用試験具において、標識物質で標識される抗体は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質に結合しない抗RSVモノクローナル抗体であることが好ましく、より好ましくは、1565抗体である。
【0036】
上記の判定領域に固定される抗RSVモノクローナル抗体は、412抗体及び255抗体から選択される少なくとも1種が好ましく、より好ましくはこれらの2種の抗体である。
【0037】
(試料添加部材)
上記の試料添加部材は、コットン、グラスファイバー、多孔質ポリエチレン、多孔質ポリプロピレンなどの多孔質合成樹脂、セルロースファイバーなどの材質のものを用いることができる。試料添加部材は、これらの材料からなる織布、不織布、濾紙、シート又はフィルムであり得る。
【0038】
(標識保持部材)
上記の標識保持部材は、グラスファイバー、セルロースファイバー、プラスチック(例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなど)ファイバーなどの材質のものを用いることができる。
【0039】
上記の標識保持部材は、試料が適切に展開されたか否かを確認するための、対照用標識物質をさらに保持することが好ましい。対照用標識物質は、試料中の成分に対して実質的に反応性を有さないものが好ましい。該対照用標識物質は、以下に記載する対照用標識物質に結合可能な物質と対として用いることができる。すなわち、対照用標識物質、及び対照用標識物質に結合可能な物質は、2つの特異的に結合可能な物質の組み合わせであり、これらのうち、いずれを対照用標識物質として用いてもよい。このような特異的に結合可能な2つの物質の組み合わせとしては、ハプテンとそれに結合可能なタンパク質、例えばストレプトアビジン又はアビジンとビオチン、2,4−ジニトロフェノール又はジゴキシンとタンパク質(例えばアルブミン、カゼイン、フィブリノゲンなど)などが挙げられる。これらの対照用標識物質の組み合わせは、試料中に存在しないものを用いることが好ましい。
【0040】
上記の対照用標識物質の標識としては、上記の標識物質と同様の標識を用いることができる。対照用標識物質は、抗体と同じ標識成分で標識されていてもよいし、異なる標識成分で標識されてもよい。
【0041】
(クロマト用膜担体)
上記のクロマト用膜担体は、静電作用、疎水相互作用のような物理的作用によりタンパク質と結合できかつ毛管現象により試料を展開できる材質のものを用いることができる。該材質のものとしては、ニトロセルロース、ナイロン(例えば、カルボキシル基やアルキル基を置換基として有してもよいアミノ基が導入された修飾ナイロン)、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、セルロースアセテートなどが挙げられる。
【0042】
上記のクロマト用膜担体は、試料が適切に展開されたか否かを確認するための、対照用標識物質に結合可能な物質が固定化された対照部を有することが好ましい。
上記の対照用標識物質に結合可能な物質は、対照用標識物質について上述したとおりである。
【0043】
(その他の部材)
上記のイムノクロマトグラフィー用試験具は、吸収部材をさらに備えることができる。吸収部材は、セルロース、グラスファイバー、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの多孔質プラスチックなどの材質の織布、不織布などを用いることができる。該吸収部材は、クロマト用膜担体よりも試料展開方向下流側の位置に、クロマト用膜担体と接触させて配置することが好ましい。このような位置に吸収部材を有することにより、試料の展開速度を速くすることができる。
【0044】
上記のイムノクロマトグラフィー用試験具は、上記の試料添加部材、標識保持部材及びクロマト用膜担体、並びに任意に吸収部材をまとめて保持するために、基材を有することが好ましい。基材は、通常のイムノクロマトグラフィー用試験具の基材として用いられるものであれば特に限定されず、プラスチック、紙、ガラスなどの材質のものを用いることができる。該基材は、上記の各部材を配置するために、表面に粘着性を有することが好ましい。
【0045】
(試験具の製造方法)
本発明のイムノクロマトグラフィー用試験具は、従来公知のイムノクロマトグラフィー用試験具と同様にして製造できる。すなわち、抗体、好ましくは標識された抗体を含む適切な緩衝液に標識保持部材を含浸させるか又は該緩衝液を標識保持部材に添加して乾燥させて標識保持部材を作製し、クロマト用膜担体の判定領域に適切な抗体を保持させて乾燥することにより該抗体を判定領域に固定させ、これらの部材と試料添加部材とを適切に組み立てて裁断することにより、上記のイムノクロマトグラフィー用試験具を得ることができる。
【0046】
(試験具の好ましい実施形態)
図1は、本発明の1つの実施形態に係るイムノクロマトグラフィー用試験具の断面図である。このイムノクロマトグラフィー用試験具1は、表面に粘着層を有するプラスチック板からなる基材2上に、コットンの不織布からなる試料添加部材3と、ガラス繊維の不織布からなる標識保持部材4と、ニトロセルロースの多孔体からなるクロマト用膜担体5と、セルロースの不織布からなる吸収部材6とを備える。
【0047】
基材2は、試料添加部材3や標識保持部材4などの上記部材を適切に配置するためのものであり、プラスチック以外にも紙、ガラスなどの材質のものを用いることができる。
【0048】
試料添加部材3には試料が添加される。試料としては、RSVが含まれる可能性があるものであればよい。特に、鼻腔吸引液、鼻腔拭い液又は咽頭拭い液が好ましい。試料は、緩衝液などの適当な溶媒で希釈して添加してもよい。
【0049】
本実施形態では、標識保持部材4は、試料添加部材3に接触して配置され、標識物質で標識された第一の抗体(1565抗体)が担持されている。
【0050】
本実施形態では、クロマト用膜担体5は、標識保持部材4と間隔を介して配置される。また、クロマト用膜担体5は、測定対象と抗原抗体反応する第二の抗体が固定された判定領域5Aを有する。第二の抗体は、上記の第一の抗体とは異なる抗体であればよい。本実施形態では、第二の抗体として412抗体及び255抗体の両方を用いている。なお、412抗体が標識保持部材又は判定領域のいずれかに含まれていれば、本発明の抗RSVモノクローナル抗体以外に、他の抗RSVモノクローナル抗体を組み合わせて使用することもできる。
【0051】
吸収部材6は、クロマト用膜担体5と接触するように配置されており、過剰試料を吸収するためのものである。吸収部材6は、液体を速やかに吸収し、保持できる材質のものであればよい。そして、試料添加部材3の一部及び吸収部材6の表面は、図1に示されるように透明シート7で覆われていてよい。
【0052】
本発明のイムノクロマトグラフィー用試験具1は、例えば以下のように作製することができる。
(1)クロマト用膜担体5を基材2の中程に貼着させる。
(2)クロマト用膜担体5のクロマト展開の開始点側(すなわち、図1の左側、以下「上流側」という)の末端と接触しないように間隔をあけて、標識保持部材4を基材2の上流側に貼着する。
(3)試料添加部材3の上流側部分を基材2の最上流側部分に貼着させる。
(4)試料添加部材3のクロマト展開の終了点側(すなわち、図1の右側、以下「下流側」という)部分を標識保持部材4及びクロマト用膜担体5の上流側部分の上面に置く。
(5)試料添加部材3を、標識保持部材4とクロマト用膜担体5との間にある基材2に貼着させる。
(6)クロマト用膜担体5の下流側部分の上面に吸収部材6の上流側部分を置く。
(7)吸収部材6の下流側部分を基材2の最下流側部分に貼着する。
(8)試料添加部材3の下流側部分及び吸収部材6の表面を透明シート7で覆う。
【0053】
かくして、試料を必要に応じて適当な溶媒と混合してクロマト展開可能な混合液とし、当該混合液に前記イムノクロマトグラフィー用試験具1の上流(試料添加部材3)側を浸すか、又は該混合液を試料添加部材に添加する。これにより、当該混合液は、試料添加部材3を通過して標識保持部材4において、標識された第一の抗体と混合される。その際、前記混合液中にRSV(抗原)が存在すれば、抗原抗体反応により標識保持部材4と第一の抗体とが結合して複合体が形成される。この複合体は、クロマト用膜担体5中をクロマト展開されて判定領域5Aに到達し、そこに固定された第二の抗体と抗原抗体反応して捕捉される。このとき、標識物質として青色ラテックス粒子などの着色合成高分子粒子が使用されていれば、当該粒子の集積により判定領域5Aが青色に着色する。これにより、直ちにRSVの存在を目視により確認することができる。
【0054】
なお、クロマト用膜担体5は、判定領域を1つだけでなく2つ以上備えることも可能である。また、クロマト用膜担体5は、対照部を備えていてもよい。対照部を備える場合、標識保持部材4に、標識物質、例えば赤色ラテックス粒子で標識されたアビジンを保持し、クロマト用膜担体5の対照部に、アビジンと特異的に結合するビオチンを固定すればよい。
【0055】
実施例
本発明を以下の実施例により、より詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されない。
【実施例1】
【0056】
ハイブリドーマの作製
(マウスの免疫)
Capricon社より入手した市販のRSV抗原を含有するリン酸緩衝液(PBS)100μLにフロインドの完全アジュバント(FCA)100μlを混合して乳化させ、FCA RSV抗原溶液200μlを作製した。また、FCAではなくフロインドの不完全アジュバント(FIA)を用いること以外は上記の手順と同様にして、FIA RSV抗原溶液200μLを作製した。
【0057】
FCA RSV抗原溶液200μlを7〜8週齢の雌 Balb/cマウスに腹腔内投与することにより初回免疫した。初回免疫後、2〜3週間毎にFIA RSV抗原溶液200μLを用いて追加免疫を行った。脾細胞分離の10日前及び3日前に、RSV抗原(Capricon社製)200μlを静脈投与した。最後の投与から3日後に脾細胞を分離し、P3X63−Ag8・653マウス骨髄腫細胞とPEG法により融合させ、ハイブリドーマを作製した。
【0058】
(ハイブリドーマの培養)
ハイブリドーマを2.5×106細胞/mlとなるようにHAT培地に懸濁させ、96穴プレート(コーニング社製;以下、培養用プレートとする)の各ウェルに2.5×105細胞/ウェルとなるように分注した。培養用プレートを37℃、8%CO2の恒温槽内に静置し、ハイブリドーマの培養を開始した。10日間以上培養してハイブリドーマのコロニーを出現させたところで、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングを行った。
【0059】
(ハイブリドーマのスクリーニング)
0.1w/v%NaN3を含む0.1M リン酸緩衝液(PBS pH7.5)に、RSV抗原(Capricon社製)の濃度が0.5μg/mlとなるようRSV抗原を添加し、固定用RSV抗原溶液を調製した。この固定用RSV抗原溶液100μlをイムノモジュール(NUNC社製)の各ウェルに分注した(以下、抗原固定プレートとする)。4℃で一晩静置した後、0.05%の濃度でTween20を含むPBS緩衝液(以下、緩衝液Aとする)で3回洗浄した。洗浄後、抗原固定プレートの各ウェルに1w/v%の濃度でBSAを含むPBS(以下、緩衝液Bとする)300μlを添加して、2〜8℃で4時間以上静置保存した。抗原固定プレートは使用時まで2〜8℃で保存した。
【0060】
抗原固定プレート中の緩衝液Bを除去した。除去後、緩衝液Bを抗原固定プレートの各ウェルに75μlずつ添加した。さらに、上述のハイブリドーマの培養における培養上清を、培養用プレートの各ウェルから取り出し、抗原固定プレートの各ウェルに25μlずつ添加した。緩衝液B及び培養上清添加後、室温で一時間攪拌した。攪拌後、緩衝液Aで抗原固定プレートの各ウェルの洗浄を3回行った。洗浄後、緩衝液Bで10000倍希釈したセイヨウワサビペルオキシダーゼ(POD)標識抗マウスIgポリクローナル抗体(DAKO社製;Code No. P0447)を抗原固定プレートの各ウェルに100μlずつ添加し、室温で30分間反応させた。反応後、緩衝液Aで抗原固定プレートの各ウェルの洗浄を3回行った。洗浄後、PODに対する基質であるオルトフェニレンジアミン(OPD)を含む基質液を100μLずつ加え、室温で10分間静置した。ついで、2N H2SO4を含む反応停止液を抗原固定プレートの各ウェルに100μLずつ加えた後、各ウェル中の反応液について、マイクロプレートリーダ(Molecular Devices社製)を用いて、492nmの吸光度を測定した。
【0061】
得られた3つのハイブリドーマを、受託番号FERM P−21321号(RSF1−1565)、受領番号NITE AP−601号(RSF2−412)、及び受領番号NITE AP−602号(RSF6−255)として寄託した。
【実施例2】
【0062】
抗RSV−Fタンパク質モノクローナル抗体の反応性の確認
(1565抗体、412抗体及び255抗体の反応性の確認)
RSV−F抗原として、Long株(10[6.7]TCID(50)/ml)、A2株(10[5.5]TCID(50)/ml)、9320株(10[5.5]TCID(50)/ml)及びB1 wild-type(BWV)株(10[4.5]TCID(50)/ml)のRSVを使用した。このRSV4株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)より購入可能である。上述のRSVを、ウシ血清アルブミン(BSA)を含むリン酸緩衝液(以下、第1緩衝液と呼称する)で1/10に希釈した。
【0063】
希釈した各抗原液と、検体抽出液(100mM クエン酸−0.4M NaCl、10mM ジチオスレイトール、0.1(v/v)% ポリオキシエチレン(9)オクチルフェニルエーテル)を等量ずつ混合し、抽出処理を5分間行なうことで、各抗原抽出液を調製した。
【0064】
市販の抗マウス抗体IgGと、セファロースビーズ(Amersham Biosciences社製)とが結合した粒子を15v/v%の濃度で含有するセファロースビーズ溶液を調製した。
セファロースビーズ溶液、上述の各抗原抽出液、及び第1緩衝液を混合し、各抗原試料を調製した。各抗原試料における、セファローズビーズ溶液と各抗原抽出液の混合量の例を表1に示す。
【0065】
【表1】

【0066】
抗原試料を、96穴V字プレート(サンプラテック社製)の各ウェルに60μL/ウェルとなるように加えた。次に、1565抗体、412抗体、255抗体のそれぞれを、第1緩衝液で1μg/mlになるように希釈し、1565抗体液、412抗体液及び255抗体液を調製した。調製した各抗体液のそれぞれを、別々に各ウェルに30μL/ウェルとなるように加えた。その後、96穴V字プレートを室温で60分間撹拌した。撹拌後、96穴V字プレートを10分間静置した。
【0067】
0.1M リン酸ナトリウム緩衝液で10μg/mL濃度に希釈した133−1H抗体(CHEMICON社製;RSVに対する抗体)の溶液を、イムノモジュール(NUNC社製)の各ウェルに100μLずつ分注した。Tween20を含むリン酸緩衝液(以下、第2緩衝液と呼称する)を用いて各ウェルを3回洗浄した。洗浄後、各ウェルに第1緩衝液を300μLずつ分注して、ブロッキングした(以下、このイムノモジュールを133−1H抗体感作プレートと呼称する)。
【0068】
133−1H抗体感作プレート中の第1緩衝液を除去した。除去後、上述の10分間静置した96穴V字プレートの各ウェルの上清 50μlを、133−1H抗体感作プレートの各ウェルに添加した。次に、133−1H抗体感作プレートを、室温で30分間撹拌した後、133−1H抗体感作プレートを、第2緩衝液で3回洗浄した。
【0069】
洗浄後の133−1H抗体感作プレートの各ウェルに、ビオチン標識したB016抗体(Serotec社製;終濃度2μg/ml)及びストレプトアビジン標識化ペルオキシダーゼ(POD;終濃度50mU/ml)を含む第1緩衝液を100μl添加した。次に、133−1H抗体感作プレートを、室温で60分間撹拌した。その後、133−1H抗体感作プレートを、第2緩衝液で3回洗浄した。
【0070】
133−1H抗体感作プレートの各ウェルに、PODに対する基質であるオルトフェニレンジアミン(OPD)を含む基質液を100μLずつ加え、室温で10分間静置した。ついで、2N H2SO4を含む反応停止液を133−1H抗体感作プレートの各ウェルに100μLずつ加えた後、各ウェル中の反応液について、マイクロプレートリーダ(Molecular Devices社製)を用いて、492nmの吸光度を測定した(吸光度A)。
【0071】
対照実験として、抗体液を、第1緩衝液に換えた対照試料を調製し、同様の実験を行って吸光度を測定した(吸光度B)。また、対照実験として、抗体液と抗原試料を、第1緩衝液に換えた対照試料を調製し、同様の実験を行って吸光度を測定した(吸光度C)。
【0072】
得られた吸光度A〜Cを用いて、下記式(1)により、各ハイブリドーマ由来の抗RSV−Fタンパクモノクローナル抗体を用いた測定試料の吸収率を求めた。
吸収率(%)=[1−(A−C)/(B−C)]×100 (1)
各抗RSV−Fタンパクモノクローナル抗体の反応性の評価結果を表2に示す。表2において、「+++」は式(1)で求めた吸収率が90%以上、「++」は50%以上、「+」は30%以上、及び「−」は30%未満を示す。
【0073】
【表2】

【0074】
表2の結果から明らかなように、1565抗体、412抗体及び255抗体は、Long株、A2株、9320株及びBWV株のいずれの抗原に対しても、反応性を示すことが分かった。
【実施例3】
【0075】
抗RSV−Fタンパクモノクローナル抗体の抗原認識部位の確認
(B016抗体に対する阻害試験)
A2株(10[5.5]TCID(50)/ml)を、第1緩衝液で1/10に希釈した。希釈した抗原液と検体抽出液を等量ずつ混合し、抽出処理を5分間行なうことで、A2株抗原抽出液を調製した。次に、A2株抗原抽出液を、第1緩衝液で1/20に希釈し、抗原試料を調製した。
【0076】
0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液で10μg/mLの濃度に希釈した133−1H抗体(CHEMICON社製)の溶液を、イムノモジュール(NUNC社製)の各ウェルに100μLずつ分注した。第2緩衝液を用いて各ウェルを3回洗浄した。洗浄後、各ウェルに第1緩衝液を300μLずつ分注して、ブロッキングした(以下、このイムノモジュールを133−1H抗体感作プレートと呼称する)。
【0077】
133−1H抗体感作プレート中の第1緩衝液を除去した。除去後、133−1H抗体感作プレートの各ウェルに、抗原試料100μLを加えたのち、30分間攪拌した。その後、抗体感作プレートの各ウェルを、第2緩衝液で3回洗浄した。
【0078】
1565抗体、412抗体及び255抗体のそれぞれを、第1緩衝液で10μg/mlになるように希釈し、1565抗体液、412抗体液及び255抗体液を調製した。調製した各抗体液を、133−1H抗体感作プレートの各ウェルに、それぞれ50μl加えた。次に、133−1H抗体感作プレートの各ウェルに、ビオチン標識されたB016抗体(UK−Serotec社製;終濃度2μg/ml;RSVに対する抗体)とストレプトアビジン標識化POD(終濃度40mU/ml)を含む第1緩衝液を50μL加えたのち、133−1H抗体感作プレートを室温で60分間攪拌した後、133−1H抗体感作プレートを第2緩衝液で3回洗浄した。
【0079】
133−1H抗体感作プレートの各ウェルに、OPDを含む基質液を100μLずつ加え、室温で10分間静置した。ついで、2N H2SO4を含む反応停止液を133−1H抗体感作プレートの各ウェルに100μLずつ加えた後、各ウェル中の反応液について、マイクロプレートリーダを用いて、492nmの吸光度を測定した(吸光度A)。
【0080】
対照実験として、抗体液を、第1緩衝液に換えた対照試料を調製し、同様の実験を行って吸光度を測定した(吸光度B)。また、対照実験として、抗体液と抗原試料を、第1緩衝液に換えた対照試料を調製し、同様の実験を行って吸光度を測定した(吸光度C)。
【0081】
得られた吸光度A〜Cを用いて、下記式(2)により、各ハイブリドーマ由来の抗RSV−Fタンパク質モノクローナル抗体を用いた測定試料の阻害率を求めた。

阻害率(%)=[1−(A−C)/(B−C)]×100 (2)
【0082】
(133−1H抗体に対する阻害試験)
133−1H抗体感作プレートに代えて、B016抗体をイムノモジュールの各ウェルに感作したB016抗体感作プレート、及びビオチン標識されたB016抗体に代えて、ビオチン標識された133−1H抗体を用いたこと以外は、上述のB016抗体に対する阻害試験と同様の実験を行なった。
【0083】
各抗RSV−Fタンパクモノクローナル抗体の、133−1H抗体及びB016抗体に対する阻害結果を表3に示す。表3において、「+++」は式(1)で求めた阻害率が90%以上、「++」は50%以上、「+」は30%以上、及び「−」は30%未満を示す。
【0084】
【表3】

【0085】
表3の結果から、412抗体は、133−1H抗体及びB016抗体とは異なる抗原認識部位を有することが明らかとなった。
【実施例4】
【0086】
RSV−Fタンパク質モノクローナル抗体の組合せによるRSV抗体検出試験
Long株(10[6.7]TCID(50)/ml)を、第1緩衝液で1/10に希釈した。希釈した各抗原液と、検体抽出液を等量ずつ混合し、抽出処理を5分間行なうことで、Long株抗原抽出液を調製した。
【0087】
0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液で5μg/mLの濃度に希釈した1565抗体、412抗体及び255抗体のそれぞれを、イムノモジュールの各ウェルに各ウェルに100μLずつ分注した。第2緩衝液を用いて各ウェルを3回洗浄した。洗浄後、各ウェルに第1緩衝液を300μLずつ分注して、ブロッキングし、1565抗体感作プレート、412抗体感作プレート及び255抗体感作プレートを作製した。
【0088】
作製した各抗体感作プレート中の第1緩衝液を除去した。除去後、各抗体感作プレートの各ウェルに、Long株抗原抽出液を50μl/ウェルとなるように加えた。各抗体感作プレートを室温で30分間撹拌した後、第2緩衝液で3回洗浄した。
【0089】
1565抗体、412抗体及び255抗体のそれぞれを、公知の方法に従ってビオチン標識することで、ビオチン標識RSF1−1565抗体、ビオチン標識RSF2−412抗体及びビオチン標識RSF6−255抗体を調製した。
【0090】
調製した各ビオチン標識抗体(終濃度2μg/ml)とストレプトアビジン標識化POD(終濃度40mU/ml)を含む第1緩衝液を、各抗体感作プレートに100μl/ウェルとなるように加えた。各抗体感作プレートを室温で、60分間撹拌した後、第2緩衝液で3回洗浄した。
各抗体感作プレートの各ウェルに、OPDを含む基質液を100μLずつ加え、室温で10分間静置した。ついで、2N H2SO4を含む反応停止液を133−1H抗体感作プレートの各ウェルに100μLずつ加えた後、各ウェル中の反応液について、マイクロプレートリーダを用いて、492nmの吸光度を測定した。測定結果を表4に示す。
【0091】
【表4】

【0092】
表4の結果から、1565抗体、412抗体及び255抗体は、固相側及び標識側の抗体として同一の抗体を使用しない限り、それぞれの組合せによって、RSV抗原をサンドイッチイムノアッセイ法により検出できることが明らかとなった。
【実施例5】
【0093】
1565抗体のエピトープ解析
(1565抗体エスケープミュータントの作製)
RSV感染用細胞Hep2を、10%子牛胎児血清を添加したEagle MEM(SIGMA社製)で24穴プレート(コーニング社製)中にて培養した。Hep2細胞がコンフルエントになったところで、培養液を、1%子牛胎児血清を添加したEagle MEMに替え、Long株(10[6.7]TCID(50)/ml)をMOI=0.0005で感染させた。感染後、1時間37℃、5%CO2にてインキュベートした。1時間インキュベート後、1565抗体を20μg/ウェルで添加した。抗体添加後、37℃、5%CO2にて3〜4日間培養した。
【0094】
別に10%子牛胎児血清を添加したEagle MEMにて培養していたHep2細胞の培養液を除き、3〜4日間培養した上記の細胞培養上清の1/2量を添加した。さらに、細胞培養上清と同量の1%子牛胎児血清含有Eagle MEMを添加した。添加後、1時間37℃、5%CO2にてインキュベートした。1時間インキュベート後、1565抗体を20μg/ウェルで添加した。抗体添加後、37℃、5%CO2にて3〜4日間培養した。この操作をさらに5回行った。
【0095】
計7回の1565抗体存在下でのRSV感染継代培養後、Cytopathic Effectが観察された。細胞変性効果が観察されたことにより、1565抗体エスケープミュータントの出現が確認できたので、この細胞培養液全量を回収し、凍結保存した。
【0096】
(1565抗体エスケープミュータントのRSV−Fタンパク質遺伝子配列解析及びアミノ酸配列解析)
1565抗体エスケープミュータントの培養上清液及びLong株から、ReverTra Ace-α-(TOYOBO社製 Product Code FSK-101)及びプライマー[配列:ATGGAGTTGCCAATCCTCAAAGC(配列番号3)]を用いて、cDNAを合成した。
【0097】
合成した各cDNAから、PrimeStar(TAKARA社製 Product Code R010A)及びプライマー[配列:ATGGATCCATGGAGTTGCCAATCCTCAAAGC(配列番号4)、TAGAATTCTAGTGATGGTGATGGTGATGATTTGTGGTGGATTTACCAGCATT(配列番号5)]を用いて、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行った。PCRは、95℃2分間反応後、95℃30秒、55℃20秒、72℃100秒の反応サイクルを35サイクルで行った。反応終了後、PCR産物を凍結保存した。
【0098】
PCR産物から、MinElute PCR Purification Kit(QIAGEN社)を用いてプライマーを除去した。プライマー除去したPCR産物から、BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社製)及びプライマー[配列:ATGGATCCATGGAGTTGCCAATCCTCAAAGC(配列番号4)、TTTCTTGGTTTTTTGTTAGGTGTTGG(配列番号6)、TTTAACATTACCAAGTGAAATAAATCT(配列番号7)、TCTTCTTTTCCTTTTCTTGCTTAATG(配列番号8)]を用いて、サイクルシークエンシング反応を行った。反応後、標識ヌクレオチドを除去し、シークエンサー(Applied Biosystems社製)及び配列解析ソフト(日立ソフト社製)を用いて、遺伝子配列解析及び予測アミノ酸配列解析を行った。
【0099】
1565抗体エスケープミュータントのRSV−Fタンパク質のアミノ酸配列を配列番号2に示す。また、Long株のRSV−Fタンパク質のアミノ酸配列を配列番号1に示す。配列番号1及び配列番号2から明らかなように、RSF1−1565抗体エスケープミュータントのRSV−Fタンパク質は、421番目のリジン(K)が、スレオニン(T)に変化していることが明らかとなった。
【0100】
(1565抗体エスケープミュータントへの反応性解析)
1565抗体エスケープミュータントの培養上清液及びLong株を、第1緩衝液で1/10に希釈した。希釈した各抗原液と検体抽出液を等量ずつ混合し、抽出処理を5分間行なうことで、各抗原抽出液を調製した。次に、各抗原抽出液を、第1緩衝液で1/5に希釈し、抗原試料を調製した。
【0101】
0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液で10μg/mLの濃度に希釈したB016抗体(UK−Serotec社製)の溶液を、イムノモジュール(NUNC社製)の各ウェルに100μLずつ分注した。Tween20を含むリン酸緩衝液(以下、第2緩衝液と呼称する)を用いて各ウェルを3回洗浄した。洗浄後、各ウェルに第1緩衝液を300μLずつ分注して、ブロッキングした(以下、このイムノモジュールをB016抗体感作プレートと呼称する)。
【0102】
B016抗体感作プレート中の第1緩衝液を除去した。除去後、B016抗体感作プレートの各ウェルに、抗原試料100μLを加えたのち、30分間攪拌した。その後、B016抗体感作プレートの各ウェルを、第2緩衝液で3回洗浄した。
【0103】
1565抗体を、公知の方法に従ってビオチン標識することで、ビオチン標識RSF1−1565抗体を調製した。
調製した1565ビオチン標識抗体(終濃度2μg/ml)とストレプトアビジン標識化POD(終濃度40mU/ml)を含む第1緩衝液をB016抗体感作プレートの各ウェルに100μL加えたのち、B016抗体感作プレートを室温で60分間攪拌した。その後、B016抗体感作プレートを第2緩衝液で3回洗浄した。
【0104】
B016抗体感作プレートの各ウェルに、OPDを含む基質液を100μLずつ加え、室温で10分間静置した。ついで、2N H2SO4を含む反応停止液をB016抗体感作プレートの各ウェルに100μLずつ加えた後、各ウェル中の反応液について、マイクロプレートリーダを用いて、492nmの吸光度を測定した。吸光度の測定結果を、表5に示す。
【0105】
【表5】

【0106】
表5から、1565抗体は、1565抗体エスケープミュータントのRSV−Fタンパク質を認識しないことが明らかとなった。
【実施例6】
【0107】
RSVを検出するためのイムノクロマトグラフィー用試験具の作製
(本発明の試験具の作製)
標識物質で標識される第一の抗体として1565抗体を使用し、クロマト用膜担体に固定される第二の抗体として412抗体及び255抗体を使用して、以下の方法に従って、図1に示すようなイムノクロマトグラフ用試験具1(以下、試験具という)を作製した。
【0108】
まず、リン酸緩衝液(pH7.0)で、412抗体及び255抗体の終濃度が1.0mg/mLになるように希釈した、412抗体・255抗体混合液を調製した。次に、図1に示される、ニトロセルロースメンブレンからなるクロマト用膜担体の判定領域5Aに、抗体塗布機(BioDot社)を用いて、412抗体・255抗体混合液を1mm幅で塗布し、50℃で30分間乾燥させた。
乾燥後のクロマト用膜担体5をブロッキング液(BSAを含有するリン酸緩衝液(pH7.0))に浸漬し、ブロッキングを行った。その後、洗浄液(SDSを含有するリン酸緩衝液(pH7.0))で洗浄し、40℃で120分間乾燥させ、クロマト用膜担体5を得た。
【0109】
次に、1565抗体を青色着色ポリスチレンラテックス粒子(粒径0.3μm)に感作させ、分散用緩衝液(BSA及びシュークロースを含有するリン酸緩衝液(pH7.0))に懸濁することで、1565抗体感作ラテックス粒子を作製した。感作する際の抗体の濃度は、1%ラテックス粒子1mLに対して200μg IgGとなる濃度であった。この1565抗体感作ラテックス粒子を、ガラス繊維製パッドに添加後、真空乾燥機で乾燥させ、標識保持部材4を得た。
上記のクロマト用膜担体5及び標識保持部材4を用いて、本発明の試験具を得た。
【0110】
(コントロールの試験具の作製)
第一の抗体としてB016抗体を使用し、第二の抗体として133-1H抗体を使用したこと、及び412抗体・255抗体混合液に代えて、終濃度が2.0mg/mLになるように希釈したB016抗体液を使用したこと以外は、上記の本発明の試験具の作製と同様の手法で、コントロールの試験具を作製した。
【実施例7】
【0111】
本発明の試験具と、従来の試験具とのRSVへの反応性の確認
(本発明の試験具によるRSVの検出)
実施例6で作製した本発明の試験具を用い、RSVに対する反応性を以下の手順で確認した。
(1) 表6に示す3種類のRSV(Long株、BWV株及び9320株)をVero細胞にて培養し、得られたウイルスを、表6に示す希釈倍率で生理食塩水により希釈してウイルス液を調製した。
(2) 検体抽出試薬(0.3w/v% NP−40(ポリオキシエチレン(9)オクチルフェニルエーテル)を含むリン酸緩衝液pH7.3)800μLに、(1)で調製した所定の希釈倍率のウイルス液150μLを加えて混合し、測定用試料を調製した。
(3) 上記(2)で調製した測定用試料約200μLをガラス試験管に滴下し、そこに本発明の試験具の上流(試料添加部材3)側を浸漬して放置し、約10分後に判定領域5Aにおける呈色を肉眼で判定した。判定は、呈色が認められたものを(+)、呈色が認められなかったものを(−)として評価した。これらの結果を表6に示す。
【0112】
(従来の試験具によるRSVの検出)
従来の試験具として、コントロールの試験具、並びに市販の試験具としてチェックRSV(アルフレッサファーマ社製)及びBD RSV エグザマン(ベクトン・ディッキンソン社製)を用い、RSVに対する反応性を確認した。
【0113】
コントロールの試験具は、上述の本発明の試験具と同様の操作で、RSVに対する反応性を確認した。また、市販の試験具は、上述のウイルス液を用いて、各市販の試験具の添付資料に記載された操作に従ってRSVに対する反応性を確認した。反応性の確認結果を表6に示す。
【0114】
【表6】

【0115】
表6から明らかなように、本発明の試験具は、従来の試験具よりも、RSVに対して高い反応性を示した。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明のイムノクロマトグラフィー用試験具のある実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0117】
1 イムノクロマトグラフィー用試験具
2 基材
3 試料添加部材
4 標識保持部材
5 クロマト用膜担体
5A 判定領域
6 吸収部材
7 透明シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受領番号NITE AP−601号(RSF2−412)のハイブリドーマ(2008年6月26日に独立行政法人製品評価技術基盤機構に寄託)(以下、「ハイブリドーマ412」という)から産生されるRSウイルス(RSV)Fタンパク質を認識する抗RSVモノクローナル抗体を含む、RSV検出用キット。
【請求項2】
受託番号FERM P−21321号(RSF1−1565)のハイブリドーマ(2007年7月19日に独立行政法人産業技術総合研究所に寄託)及び受領番号NITE AP−602号(RSF6−255)のハイブリドーマ(2008年6月26日に独立行政法人製品評価技術基盤機構に寄託)(以下、それぞれ「ハイブリドーマ1565」及び「ハイブリドーマ255」という)から産生されるRSV Fタンパク質を認識する抗RSVモノクローナル抗体の少なくとも1種をさらに含む請求項1に記載のキット。
【請求項3】
キットに用いられる前記抗RSVモノクローナル抗体の少なくとも1種が、標識物質で標識されている請求項1又は2に記載のキット。
【請求項4】
標識物質で標識される抗RSVモノクローナル抗体が、ハイブリドーマ1565から産生される抗RSVモノクローナル抗体である、請求項3に記載のキット。
【請求項5】
抗RSVモノクローナル抗体の少なくとも1種が、固相に固定されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のキット。
【請求項6】
固相に固定される抗RSVモノクローナル抗体が、ハイブリドーマ412及びハイブリドーマ255から産生される抗RSVモノクローナル抗体から選択される少なくとも1種である、請求項5に記載のキット。
【請求項7】
ハイブリドーマ412から産生されるRSV Fタンパク質を認識する抗RSVモノクローナル抗体を少なくとも含む、RSV検出用のイムノクロマトグラフィー用試験具。
【請求項8】
ハイブリドーマ1565及びハイブリドーマ255から産生されるRSV Fタンパク質を認識する抗RSVモノクローナル抗体の少なくとも1種をさらに含む請求項7に記載のイムノクロマトグラフィー用試験具。
【請求項9】
RSVを含む可能性がある試料を添加する試料添加部材と、
抗RSVモノクローナル抗体を担持する標識保持部材と、
標識保持部材に担持されている抗体とは異なる抗RSVモノクローナル抗体が固定されている判定領域を有するクロマト用膜担体と
を有し、標識保持部材に担持されている抗体が標識物質で標識されている、請求項7又は8に記載のイムノクロマトグラフィー用試験具。
【請求項10】
標識物質で標識される抗体が、ハイブリドーマ1565から産生される抗RSVモノクローナル抗体である、請求項9に記載のイムノクロマトグラフィー用試験具。
【請求項11】
標識物質が、不溶性粒状物質である請求項9又は10に記載のイムノクロマトグラフィー用試験具。
【請求項12】
不溶性粒状物質が、着色合成高分子粒子又は金属コロイド粒子である請求項11に記載のイムノクロマトグラフィー用試験具。
【請求項13】
判定領域に固定される抗RSVモノクローナル抗体が、ハイブリドーマ412及びハイブリドーマ255から産生される抗RSVモノクローナル抗体から選択される少なくとも1種である、請求項9〜12のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフィー用試験具。
【請求項14】
ハイブリドーマ412、ハイブリドーマ1565、及びハイブリドーマ255から産生される、RSウイルス(RSV)Fタンパクを認識する抗RSVモノクローナル抗体。

【図1】
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【公開番号】特開2010−25745(P2010−25745A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187368(P2008−187368)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】