説明

折り戸

【課題】 住宅の間仕切りや家具の扉などに用いることができる、指詰めによる怪我を防止できる意匠性の良い折り戸を提供する。
【解決手段】 複数枚の折り戸パネル1、2を蝶番3により折り畳み自在に連結して形成した折り戸において、該折り戸を閉じた状態において、相隣る折り戸パネル1、2の側端面間の水平距離が13mm以上となるように折り戸パネル1、2同士を連結するとともに、双方の折り戸パネル1、2の側端面に、左右2つの中空状変形体5の後部を軟質樹脂結合部7によって折り曲げ自在に結合して形成した目隠し材4の上記左右の中空状変形体5を、夫々固定したもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の開口部の扉や間仕切り用の扉として、或いは収納装置等の扉として用いることができる折り戸に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の折り戸は、特許文献1にその一例が示されるように、相隣る扉の端面に凹部を設け、この凹部に弾性体を取り付けることにより、扉の連結部の間に手指が挟まったとしても、取り付けた弾性体のクッション作用によって怪我をするのを未然に防ぐようにしたものが知られている。
【0003】
しかしながら、このような折り戸においては、手指が普通に連結部の間に挟まった場合は前記怪我の未然防止効果を発現できると思われるが、手指が万一奥(後側)まで入りこんで挟まったときは、怪我を十分に防止することができなかった。
【0004】
特に、扉同士を丁番で折り畳み自在に連結するような場合には、扉同士の後側(丁番側)に狭い隙間が設けられることもあり、このような場合には、この隙間に手指やその一部が万一挟まって怪我をすることがあるという問題を有していた。
【特許文献1】実開平4−116587号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、扉の連結部に万一手指が深く入った場合においても、指詰めによる怪我を未然に防止できる折り戸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の折り戸は、複数枚の折り戸パネルをヒンジにより折り畳み自在に連結して形成した折り戸において、該折り戸を閉じた状態において、相隣る折り戸パネルの側端面間の水平距離が13mm以上となるように折り戸パネル同士を連結するとともに、双方の折り戸パネルの側端面に、左右2つの中空状変形体の後部を軟質樹脂結合部によって折り曲げ自在に結合して形成した目隠し材の上記左右の中空状変形体を、夫々固定してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の折り戸は、閉じた状態において、相隣る折り戸パネルの側端面間の水平距離が13mm以上となるように広くとり、また、双方の折り戸パネルの側端面に、軟質樹脂結合部によって折り曲げ自在に結合された左右2つの中空変形体からなる目隠し材を固定しているので、折り戸を開いた状態から閉じた状態に操作する途中で、万一折り戸パネルの連結部に手指が挟まった場合でも、折り戸パネルの側端面間の水平距離が広く、且つ挟まった手指を包み込むように左右の柔軟な中空変形体が変形するので、上記挟まった手指が強く圧迫されることがなく、従って、指詰めによる怪我を防止することが出来る。
【0008】
また、目隠し材は、左右の中空変形体同士が軟質樹脂結合部によって折り曲げ自在に結合した構成を有しているので、特に、扉同士の後側(丁番側)を丁番で連結し、この連結部の後側(丁番側)に数mm程度の狭い隙間を設けているような場合であっても、連結部内に手指が深く入り込み、この狭い隙間内に手指やその一部が挟まれるのを目隠し材の軟質樹脂結合部によって防止することができ、このような場合における手指の指詰めによる怪我も防止することができる。
【0009】
また、相隣る折り戸パネルの連結部間を覆うように上記目隠し材が固定されるので、隙間やヒンジが外部から見えることがなく、折り戸の外観を良くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための実施形態を図面に基づき説明する。尚、本発明は本実施形態の記載内容に限られるものではない。
【0011】
図1は、本実施形態に係る折り戸Aの、折り戸Aを閉じた状態における水平方向部分断面図である。折り戸Aは、折り戸パネル1と2の後側をヒンジである蝶番3により折り畳み自在に連結され、そして、この折り戸パネル1と2の側端面の間の水平距離wは、13mm以上、本実施形態では、20mmとなるように設定されており、更に、双方の折り戸パネル1、2の側端面には、指詰め防止効果のある目隠し材4が固定されて構成されている。
【0012】
ここにおいて、上記水平距離wは13mm未満となると、手指を挟んだ状態で折り戸を閉じた場合、手指が強く圧迫されて怪我をする可能性があるので13mm以上とする必要がある。また、上記水平距離wは30mmを超えると、折り戸Aにおける折り戸パネル1、2の連結部の外観を損なうことがあるので好ましくない。怪我の防止と装飾性の良い外観の観点から、上記水平距離wは、15mm〜25mmの範囲にあることが最も好ましい。
【0013】
また、折り戸パネル1、2としては種々のものを用いることができる。例えば、基板と化粧材とで形成され、基板に、合板、LVL、パーティクルボード、MDF、集成材、木材或いはそれらの複合物等の木質材料や、火山性ガラス質複層板、珪酸カルシウム板等の無機質板、或いは金属板等を用い、その表面を覆う化粧材に、突板、合成樹脂化粧シート、化粧紙、塗料膜、Vカット化粧板(薄い合板等の基材表面に化粧シートを貼着し、裏面側にV溝などの折り曲げ溝を設けた化粧板)を用いたもの等を挙げることができる。
【0014】
また、蝶番3は、折り戸パネル1,2の後側の側縁部を欠き込んで埋設する埋設タイプのものを用いると折り戸Aの外観を良くすることができるが、折り戸パネル1,2の後側の側縁面に跨るように直接固定する露出タイプのものを用いることもでき、また蝶番ではなく、折り戸パネル1、2を折り畳み自在に連結することができるものであればヒンジとして用いることができる。
【0015】
目隠し材4は、図2に示すように、左右の中空変形体5、5’がその後部において軟質樹脂結合部7によって折り畳み自在に結合された構成を有している。
【0016】
ここにおいて左右の中空変形体5、5’は、傾斜面の前面部6aと側面部6bと後面部6cとで形成される軟質樹脂製変形部6と、折り戸パネル1、2の側端面に当接する硬質樹脂製支持部9と、該硬質樹脂製支持部9の央部から略垂直に突接し、折り戸パネル1、2の側端部内に夫々固定される硬質樹脂製取り付け部8、8とで構成されている。
【0017】
軟質樹脂結合部7は、上記左右の中空変形体5、5’を折り畳み自在に結合できる柔軟度の樹脂や形状を有しているものを使用でき、形状としてはシート状、帯板状、断面円盤状など種々のものを用いることができる。
【0018】
目隠し材4は、このように、左右2つの中空変形体5、5’が、軟質樹脂結合部7によって結合されているので、折り畳み自在であるとともに、左右の中空変形体5、5’の夫々の軟質樹脂製変形部6は、外圧に適応して任意形状に容易に変形するように形成されている。尚、このような目隠し材4は、硬質樹脂と軟質樹脂を組み合わせて形成されているため、押し出し成形等により容易に製造することができるので、好適に用いることができる。
【0019】
また、傾斜面の前面部6aと側面部6bと後面部6cとで形成される軟質樹脂製変形部6や軟質樹脂結合部7は、折り戸Aの開閉時に外部に露出して目視できる部分であるので、樹脂着色、コーティング、転写印刷その他の方法で装飾し、連結部の外観を向上させておくことができる。
【0020】
次に、図3乃至図5に基づいて本実施形態に係る折り戸Aの指詰め防止効果を説明する。図3は折り戸パネル1を180°折り曲げて、折り戸Aを開にした状態を示す説明図、図4は、折り戸Aを開から閉に操作する時に手指が挟まる状態を示す説明図、図5は、折り戸Aを閉にした時に手指が挟まった状態を示す説明図である。
【0021】
図3に示すように、折り戸Aを操作して折り戸パネル1、2を完全に折り畳むことにより、折り戸Aを開いた状態にすることができる。この時、目隠し材4の軟質樹脂製変形部6と軟質樹脂結合部7は、外に露出した状態になる。そして軟質樹脂結合部7によって、蝶番3や折り畳まれた折り戸パネル1、2の間の隙間10が外部から見えて外観を損なうことがない。
【0022】
次に折り戸Aを閉じる方向に操作して、図4に示すように途中まで閉じた状態にする。この時に、図4に示すように、目隠し材4の軟質樹脂製変形部6に囲われた連結部内に手指が入り込むことがある。
【0023】
次に連結部内に手指が入り込んだ状態で、図5に示すように折り戸Aを完全に閉じると、目隠し材4の軟質樹脂製変形部6の間に手指が挟まれる。この時、折り戸パネル1と2の側端面の間の水平距離wを、本実施形態では、一般人の指巾よりも大きな寸法の20mmとするとともに、手指に接する目隠し材4の中空変形体5の軟質樹脂製変形部6が手指の形状に沿って柔軟に変形するので、挟まれた手指が強く圧迫されて怪我をするということがない。
【0024】
図6は、別の実施形態に係る折り戸Bにおいて手指が連結部内に入り込んだ状態を示す説明図である。この折り戸Bは、折り戸パネル1’、2’の連結部の後側(蝶番3側)の隙間が数mm以上の大きめの隙間10’である場合で、この大きめの隙間10’を、目隠し材4の軟質樹脂結合部7が覆うように構成されている。その他の構成は、折り戸Aと同じである。
【0025】
このため、折り戸Bにおいては、連結部内に深く入り込んだ手指或いはその一部が上記隙間10’に入り込もうとしても、この隙間10’を覆うように目隠し材4の軟質樹脂結合部7が取り付けられているため、その入り込みを確実に防止することができる。従って、折り戸Bを完全に閉じる状態にしても、隙間10’内に手指やその一部が挟まれることはなく、前記折り戸Aの場合と同様に、目隠し材4の軟質樹脂製変形部6の間に手指が挟まれるが、折り戸パネル1’と2’の側端面の間の水平距離wを、一般人の指巾より大きめの20mmとするとともに、手指に接する目隠し材4の中空変形体5の軟質樹脂製変形部6が手指の形状に沿って柔軟に変形するので、挟まれた手指が強く圧迫されて怪我をするということがない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態である折り戸Aの、折り戸Aを閉じた状態における部分断面図。
【図2】本発明の実施形態である折り戸Aに用いる目隠し材。
【図3】本発明の実施形態である折り戸Aを開にした状態を示す説明図。
【図4】本発明の実施形態である折り戸Aに手指が挟まる状態を示す説明図。
【図5】本発明の実施形態である折り戸Aに手指が挟まった状態を示す説明図。
【図6】本発明の別の実施形態である折り戸Bに手指が挟まる状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0027】
A、B 折り戸
1、2、1’、2’ 折り戸パネル
3 蝶番
4 目隠し材
5、5’ 中空状変形体
6 軟質樹脂製変形部
6a 前面部
6b 側面部
6c 後面部
7 軟質樹脂結合部
8 硬質樹脂製取り付け部
9 硬質樹脂製支持部
10、10’ 隙間
w 水平距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の折り戸パネルをヒンジにより折り畳み自在に連結して形成した折り戸において、該折り戸を閉じた状態において、相隣る折り戸パネルの側端面間の水平距離が13mm以上となるように折り戸パネル同士を連結するとともに、双方の折り戸パネルの側端面に、左右2つの中空状変形体の後部を軟質樹脂結合部によって折り曲げ自在に結合して形成した目隠し材の上記左右の中空状変形体を、夫々固定してなることを特徴とする折り戸。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−308892(P2008−308892A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158292(P2007−158292)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】