説明

折り機における折り丁の基準横方向位置を決定する方法、折り機を使用する対応する方法、及び対応する折り機

方法は、折り機(2)において折丁(30)の基準横方向位置を決定し、折丁(30)が所定の幅を有しており、かつ第1の側縁(44)と第2の側縁(46)とによって規定されており、折り機(2)が、折丁(30)を経路において搬送するように設計されており、かつ折丁を経路(32)の第1の位置上を搬送する少なくとも2つの搬送部材(36)を有しており、それぞれの第1の搬送部材(36)が、第1及び第2の側縁(44,46)のそれぞれに対して、第1の好適な横方向ゾーン(48)を規定している。
第1の好適な横方向ゾーン(48)のうちの少なくとも1つが、第1の結合された搬送部材(36)を横方向に超えて延びておりかつ横方向に前記第1の搬送部材(36)と重なっている。好適な横方向位置は、少なくとも第1の側縁(44)が、該第1の側縁(44)に関連した第1の好適な横方向ゾーンの内側に位置するように決定される。オフセット輪転印刷機への適用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折丁が、所定の幅を有しており、かつ第1の側縁と第2の側縁とによって規定されており、折り機が、折丁を経路において搬送するように設計されており、かつ折丁を経路の第1の位置上を搬送する少なくとも2つの搬送部材を有しており、それぞれの第1の搬送部材が、第1及び第2の側縁のそれぞれに対して、第1の好適な横方向ゾーンを規定している、折り機において折丁の基準横方向位置を決定する方法に関する。
【0002】
欧州特許出願公開第658426号明細書から、収集胴のフィンガが折丁の前縁を掴む時に折丁の前縁が損傷されないように、折り機における折丁の横方向位置を決定するために使用される方法が知られている。折丁の横方向位置は、側縁が少なくとも半分だけコンベヤベルトによって被覆されるように決定される。
【0003】
しかしながら、折り機は、折り機において相前後して配置されておりかつ折丁を折り機を通じて搬送するために働く多数の搬送装置を有している。これらの搬送装置は、例えばコンベヤベルトから形成されている。1つの搬送装置から別の搬送装置へのコンベヤベルトは、同じ横方向位置に配置されていない。その結果、折丁の与えられた横方向位置は、第1の搬送装置のベルトに関する最適な位置決めを提供することができるが、第2の搬送装置においては、側縁を損傷するような位置決めを提供することがある。
【0004】
本発明は、複数の搬送装置を介して及び様々なタイプの損傷に応じて、折り機において折丁を損傷する危険性を最小限に減じることができる方法を提案することを目的とする。損傷条件は最小限に減じられ、廃棄物及び最大製造リズムの見地から、これらがそれに依存するならば、利点が感じられるであろう。
【0005】
そのために、本発明は、第1の好適な横方向ゾーンのうちの少なくとも1つが、第1の関連する搬送部材を横方向に超えて延びておりかつ横方向に前記第1の搬送部材と重なっており、好適な横方向位置は、少なくとも第1の側縁が、該第1の側縁に関連した第1の好適な横方向ゾーンの内側に位置するように決定されることを特徴とする、上述のような方法に関する。
【0006】
特定の実施形態によれば、本発明による方法は、1つ又は複数の以下の特徴を有する:
−基準横方向位置は、第2の側縁も、第2の側縁に関連する第1の好適な横方向ゾーンの内側に配置されるように決定される
−第1の好適な横方向ゾーンがそれぞれ、第1の関連した搬送部材に関連した該当する側縁の最大横方向はみ出し量によって規定される
−位置決めクオリティ値Qは、折り機における折丁の少なくとも2つの横方向位置のために計算され、位置決めクオリティ値Qは折丁への損傷のリスクを示し、位置決めクオリティ値Qは、好適な側縁に関する第1及び第2の側縁の位置に依存し、基準横方向位置は、クオリティ値Qが、計算された位置決めクオリティ値Qの中で損傷の最も小さなリスクに対応するような位置である
−位置決めクオリティ値Qは、第1の関連する搬送部材に関する一方の側縁のはみ出し量の関数である第1のはみ出し量係数CPAF1jの関数である
−第1のはみ出し量係数CPAF1jは、第1の関連する好適な横方向ゾーンの内側で不変の関数によって決定され、第1のペナルティ変調は、該当する側縁が前記好適な横方向ゾーンの外側に位置する場合に、第1のはみ出し量係数CPAF1jに加えられる
−折り機が、折丁を経路の第2の部分へ搬送するための少なくとも2つの搬送部材を有しており、第2の搬送部材がそれぞれ、側縁のそれぞれのために、第2の好適な横方向ゾーンを規定し、第2の好適な横方向ゾーンの少なくとも1つが、第2の関連する搬送部材の外側に横方向に延びており、かつこの第2の搬送部材に横方向に部分的に重なっており、基準横方向位置は、側縁の少なくとも1つが、関連する第2の好適なゾーンの内側に位置するように、決定される
−位置決めクオリティ値Qは、関連する第2の搬送部材に関する少なくとも一方の側縁のはみ出し量の関数である第2のはみ出し量係数CPAF2jの関数である
−第2のはみ出し量係数CPAF2jは、関連する第2の好適な横方向ゾーンの内側で不変の関数によって決定され、第2のペナルティ変調は、該当する側縁が第2の好適な横方向ゾーンの外側に位置する場合に、適用される
−それぞれの搬送部材が、それぞれの側縁のために、考慮される搬送部材の好適なゾーンと横方向で反対側に配置された、前記搬送部材と横方向で部分的に重なる、回避すべき横方向ゾーンを規定し、基準位置は、2つの側縁が、回避すべき横方向ゾーンのそれぞれの外側に配置されるように、決定される
−クオリティ値Qは、公式
【数1】

に基づいて計算され、iは折り機における搬送装置の位置を表し、Nは折り機における最後の考慮される搬送装置の位置であり、Kiは搬送装置iにおける折丁の感度を示す値であり、この値は例えば、1つの胴から次の胴への胴軸線に対して平行な折りを有する折丁が、平行でない折丁よりも敏感でないと解釈され、aijは搬送装置iにおける折丁の縁部jの剛性を示す値であり、CPijはゾーンiの縁部jの重なりペナルティ係数である。
【0007】
本発明は、折り機を使用する方法にも関し、この方法は以下のステップ、すなわち、
−上述の方法に従って折丁の基準位置を決定し、
−折り機を始動させ、
−折り機における折丁の実際の横方向位置を証明し、折丁の実際の横方向位置が横方向基準位置と異なる場合、
−横方向基準位置と実際の横方向位置との差を減じるように折丁の横方向位置を修正することを特徴とする。
【0008】
1つの特定の実施形態によれば、この使用方法は特徴を有しており、この特徴によれば、ディスプレイモジュールが、クオリティ値Qに対応する情報を表示する。
【0009】
本発明は、上述の方法を実施するための、折丁の基準位置を決定するための装置を有する折り機にも関する。
【0010】
発明は、添付の図面を参照して一例としてのみ提供される以下の説明を読むことにより一層理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による折り機の概略図である。
【図2】折り機の第1のコンベヤによって保持された折丁の図である。
【図3】図2の細部IIIの拡大図であり、はみ出し量係数のグラフをも示している。
【図4】図2の細部IVの拡大図であり、ペナルティ係数のグラフをも示している。
【図5】第2のコンベヤの細部を示す、図3と同様の図である。
【0012】
図1は、参照符号2によって示された本発明による折り機を示している。
【0013】
折り機2は、印刷された紙4のストリップを折り畳む。
【0014】
折り機2は、折り機2の様々な異なる構成部材に接続された制御装置6を有している。
【0015】
折り機2には、紙ウェブ4に第1の折りを形成するための入口三角板8が設けられている。
【0016】
折り機2は4つの目打ち胴10を有しており、そのうち2つの目打ち胴は長手方向目打ちドラムであり、2つの目打ち胴は横方向目打ちディスクである。折り機2は、入口三角板8の下流に配置された引張りロール12も有している。折り機2には引渡しドラム14も設けられており、この引渡しドラム14は、裁断胴16と協働することによって、折り畳まれた紙のウェブ4から折丁30を裁断する。
【0017】
引渡しドラム14の下流において、折り機2は、折り胴20及び第2の折り胴22をも有している。
【0018】
折り機2には、スクエア折り装置24、及び折り胴20から羽根車28まで延びた第2のコンベヤ26も設けられている。
【0019】
折り機2は、ウェブ4及び折丁30の経路を決定する。ウェブ4及び折丁30のそれぞれの経路は、図1の紙面に対して平行に延びた走行方向Sに延びている。折り機2は、経路の方向Sに対して横方向に、つまり図1の紙面に対して垂直に延びた横方向Tを規定している(図2参照)。
【0020】
経路は、入口三角板8から、目打ち胴10、引張りロール12を通って、引渡しドラム14及び裁断胴16まで延びている。これらの引渡しドラム14及び裁断胴16は紙のウェブ4を折丁30に分離する。経路は、第1のコンベヤ18、及び折り胴20の円周の一部に沿って、第2のコンベヤ26、スクエア折り装置24又は羽根車28まで続いている。
【0021】
特に、第1のコンベヤ18は、引渡しドラム14の円周の一部に沿って延びた経路の第1の部分32を規定している。第2のコンベヤ26は、折り胴20からスクエア折り装置24まで延びた経路の第2の区分34を規定している。
【0022】
第1のコンベヤ18には、横方向Tに互いに並んで配置されておりかつ複数の案内胴38の周囲に案内された、8つの第1のコンベヤベルト36が設けられている。図2に示したように、それぞれの第1のベルト36は、幅Lと、隣接するコンベヤベルト36までの距離dとを有している。これらの寸法L及びdは、横方向Tで測定される。それぞれのベルト36は、折丁の中央に面した中間リッジ(middle ridge)と、中間リッジとは反対側に面した横方向リッジ(lateral ridge)を有している。
【0023】
それぞれの折丁30は、前縁40、後縁42、第1の側縁44及び第2の側縁46を規定している。2つの側縁44,46は走行方向Sに対して平行に延びている。
【0024】
折丁30が折り機2によって搬送される時、2つの問題が生じる恐れがある。第1の問題は、折丁30と接触しかつ同時に最後に該当する側縁44,46と係合させられるベルト36に関する、側縁44,46のはみ出し量PAFに関連する。このはみ出し量PAFが大きすぎる場合、折丁30の側縁44,46が解放され、空気摩擦がこれにより折丁30の角を持ち上げ、このことは結局折丁を完全に折り畳む。したがって、このはみ出し量PAFを最小限に抑えなければならない。
【0025】
折丁30の欠陥につながる第2の問題は、折丁30の側縁44,46がベルト36に十分に重ならないか又は折丁30の搬送に関与していないベルト36に近すぎる場合に見られる。この場合、決定的であるかどうか考慮及び評価されるのは、該当する側縁44,46と、最も近いベルト36との間の距離である。
【0026】
本発明による折り機2の制御装置6は、折り機の構成に応じて(ひいては、所望の折丁タイプ及び判に応じて)、1つ又は複数の連続したゾーンにおけるこれらの2つの問題に関連したリスクを最小限に抑えるために、折り機における折丁30の基準横方向位置を決定する。
【0027】
そのために、制御装置6は、各ベルト36の側縁44,46のそれぞれについて、第1の好適な横方向ゾーン48を規定する。図3において、側縁44の第1の好適な横方向ゾーン48が示されている。この第1の好適な横方向ゾーン48は、横方向にベルト36を超えて延びており、前記ベルト36に横方向に全体に重なっている。言い換えれば、第1の好適な横方向ゾーン48は、ベルト36上に、このベルト36を部分的に超えて延びている。
【0028】
折丁30の基準横方向位置は、原則として、第1の側縁44及び/又は第2の側縁46が、該当するベルト36の第1の好適な横方向ゾーン48の内側に位置するように決定される。結果は、不十分なはみ出し量及び重なり臨界値CPAFi及びCPiを最小限にすることによって得られる(以下参照)。
【0029】
第1の好適な横方向ゾーン48は、折丁30の横方向で外側から及び該当するベルト36に関連して最大はみ出し量max.PAFによって規定される。他方の側において、第1の好適な横方向ゾーン48は、該当するベルト36の中間リッジによって規定される。
【0030】
第2のコンベヤ26は、互いに並んで配置されておりかつ複数の案内胴52の周囲を案内される8つの第2のコンベヤクラウン50を有している。第1のベルト36と同様に、それぞれの第2のベルト50は、幅Lと、隣接するコンベヤベルト50までの距離dとを有している。
【0031】
これらの寸法L及びdも横方向Tで測定される。
【0032】
第2のコンベヤ26と第1のコンベヤ18との唯一の相違は、第2のベルト50が第1のコンベヤ18のベルト36とは異なる横方向位置に配置されているということである。
【0033】
さらに、折丁が第1及び第2のコンベヤの間で折り畳まれた場合、折丁の剛性がより高まるので、あらゆる劣化に対するはみ出し量値の影響は減じられる。折丁の状態(折り畳まれているか又は折り畳まれていない、折丁の数)に応じてそれぞれのコンベヤのためのはみ出し量基準を計測することができる。
【0034】
図5は第2のベルト50のうちの1つを示している。このベルトは、折丁30を支持する横方向で最も外側のベルトである。図5において、折り機における折丁30の横方向位置は、図2及び図3に示されたものと同じである。2つのベルト50のそれぞれが、側縁44,46のそれぞれに対して、第2の好適な横方向ゾーン54を規定している。図5は、側縁44の第2の好適な横方向ゾーン54を示している。第2の好適な横方向ゾーン54は、一方では第2のベルト50における係合によって、他方では第2の該当するベルト50に関する最大はみ出し量max.PAFによって規定されている。第2のベルト50の最大はみ出し量max.PAFは、第1の好適な横方向ゾーン48のものと同じ値を有しており、場合によっては、折りによるその位置における折丁のより著しい厚さをモデルすることを可能にするほぼ同じファクタを備えている。行われた計算において、このファクタは独立して構成されることができる。
【0035】
図4に示したように、第1のコンベヤ18のそれぞれの第1のベルト36は、側縁44,46のそれぞれについて、回避すべき横方向ゾーン56も規定している。図4は、縁部44の回避すべき横方向ゾーン56を示している。回避すべきこの横方向ゾーン56は、側縁44に最も近いベルト36に横方向で部分的に重なっており、折丁30の搬送に寄与していない。この場合、この回避すべきゾーン56は、幅eの2倍であり、該当するベルト36の幅と同じである。この場合、回避すべき横方向ゾーンは、ベルト36に重なった幅eを備えた部分と、ベルト36を超えて位置した幅eを備えた同じ部分とから形成されている。図示されていない択一的な態様においては、回避すべき横方向ゾーン56は、ベルト36に重なった幅e1を備えた部分と、ベルト36の外側に位置した幅e2を備えた部分とから形成され、幅e1とe2とは互いに異なっている。
【0036】
コンベヤベルトの横方向位置を決定するために、制御装置6は第1のセンサ60を有しており、これらの第1のセンサは、それぞれの第1のベルト36の横方向位置及び幅Lを検出する。さらに、制御装置6は、2つのベルト50のそれぞれの横方向位置及び幅Lを検出する第2のセンサ62を有している。制御装置の第3のセンサ64は、紙ウェブ4又は折丁30の実際の横方向位置を示すことができる。折り機の設計に応じて、この第3のセンサは、裁断胴の上流又は下流、例えばオーバースピードを有する"加速された"リブ状斜面(ribbing banks)の基部に設けられていてよい。
【0037】
制御装置6は、側縁44,46の少なくとも一方が第1の関連した好適な横方向ゾーン48の内側に位置するように、折丁30の基準横方向位置を決定する。好適には、基準位置は、それぞれの側縁44,46が第1のコンベヤの好適な横方向ゾーン48の内側でかつそれぞれの回避すべきゾーン56の外側に位置するように決定される。
【0038】
特に、制御装置6は、それぞれの側縁44,46において折丁30がそれぞれのコンベヤ18,26の好適なゾーン48,50に位置するように、基準横方向位置を決定する。
【0039】
制御装置6は、入口三角板8及び/又はスクエア折り装置24を走行方向Sに対して横方向に、すなわち方向Tに移動させる。すなわち、制御装置6は折丁30を横方向に移動させる。
【0040】
複数のゾーンにわたって折丁の位置決めのクオリティを最適化するために、制御装置6は、折り機における折丁30の横方向位置のクオリティを示す位置決めクオリティ値Qを計算する。
【0041】
符号iはこの場合コンベヤ装置を示している。N個のコンベヤ装置を有する折り機の場合、この符号iは、1〜Nの値を有することができる。符号jは折丁の該当する側縁を示している。この符号jは1又は2の値を有することができる。符号はijで示される。
【0042】
この位置決めクオリティ値Qを決定するために、制御装置6は、まず、折丁を支持しておりかつ該当する側縁44,46に最も近い第1のベルト36に関する側縁44のはみ出し量PAF11及び側縁46のはみ出し量PAF12を決定する。
【0043】
次いで、PAF11に基づき、公式XPAF=PAF11+Lを用いてはみ出し量値XPAF11が計算され、PAF12に基づき、公式XPAF12=PAF12+Lを用いてはみ出し量値XPAF12が計算される。
【0044】
一般的には、値XPAFijは、はみ出し量PAFijと、はみ出し量を規定するリッジと関連する関数CPAFの原点0とのオフセットとの合計によって計算される。オフセットはこの場合幅Lである。
【0045】
折丁30の縁部がベルトと重なっている場合、関連する値PAFijは0のままである。
【0046】
次いで、制御装置は、それぞれはみ出し量値XPAF11及びXPAF12のうちの1つの関数である、2つの第1のはみ出し量係数CPAF11及びCPAF12を決定する。
【0047】
側縁44のはみ出し量値XPAF11をCPAF11に関連付ける関数のグラフの1つの例が、図3に示されている。この場合、第1の与えられたはみ出し量PAF11の場合には折丁30を損傷する危険性がより低く、係数CPAF11がより低い。特に、第1の側縁44が、関連するベルト36の縁部と、中間はみ出し量PAFlとの間に位置している場合、係数CPAF11は0である。第1のはみ出し量PAF11が、中間はみ出し量PAFlと、最大はみ出し量max.PAF11との間に位置している場合、係数CPAF11は0の値(PAFlの場合)から値C1(max.PAFの場合)まで次第に増加する。関数CPAF11(PAF11又はXPAF11)は、したがって、好適な横方向ゾーン48の内側では不変である。第1の側縁44が最大はみ出し量max.PAF11を超えると、はみ出し量係数CPAF11にペナルティ調整量MP1が加えられる。第1の側縁44がベルト36によって被覆されかつ好適な横方向ゾーン48の内側にあるならば、係数CPAF11は0である。
【0048】
値CPAF12は同様に得られるが、グラフの形状は、グラフCPAF11(XPAF11)とは対称的になる。
【0049】
位置決めクオリティ値Qも、第2のコンベヤ26における折丁の横方向位置の関数である。
【0050】
そのために、制御装置6は、まず、折丁30を支持しておりかつ該当する側縁44,46に最も近い第2のベルト50に関してそれぞれの時間に側縁44のはみ出し量PAF21及びはみ出し量PAF22を決定する。
【0051】
次いで、PAF21に基づいて、公式XPAF21=PAF21+Lを用いてはみ出し量値XPAF21が計算され、公式XPAF22=PAF22+Lを用いてはみ出し量値XPAF22が計算される。次いで、それぞれはみ出し量値XPAF21及びXPAF22の関数である、2つの第2のはみ出し量係数CPAF21及びCPAF22が決定される。
【0052】
図5は、はみ出し量係数CPAF21にはみ出し量値XPAF21を関連付けるグラフの例を示している。図5に示したように、係数CPAF21(PAF21又はXPAF21)のグラフの形状は、係数CPAF11(PAF11)のグラフの形状と同じであるが、第1のベルト36と第2のベルト50との横方向オフセットに対応する値だけ横方向にずらされている。
【0053】
位置決めクオリティ値Qも、側縁44,46が、回避すべきゾーン46に配置されているかどうかに依存する。
【0054】
該当する側縁44,46が、回避すべきゾーンに配置されている場合、制御装置6は、値CEと等しいペナルティ係数CPを適用する。その他の場合には、ペナルティ係数CPは0に設定される。
【0055】
次いで、位置決めクオリティ値Qは、係数CPAF11、CPAF12、CPAF21及びCPAF22と、ペナルティ係数とに関して制御装置6によって計算される。つまり、コンベヤ18,26による折丁への損傷の全体的なリスクを示す位置決めクオリティ値が得られる。例えば、2つのコンベヤ18;26のための横方向位置決めクオリティ値Qは、Q=K1×[MAX((a11×CPAF11);(a12×CPAF12))]+K2×[MAX((a21×CPAF21);(a12×CPAF22))]+MAX(CP11;CP12)+MAX(CP21;CP22)に等しいことができ、iは、第1のコンベヤ18のためには1であり、第2のコンベヤ26のためには2である。Kiは、コンベヤiにおける折丁若しくは小冊子の感度を示す値である。この値Kiは、胴に対して平行な折りを有する折丁が、折りを有さない場合よりも敏感でないことを表す。aijは、コンベヤiにおける折丁若しくは小冊子の側縁jの剛性を示す値である。この値aijは、三角の折りを有する折丁の縁部が自由縁部よりも剛性であることを表す。CPijは、コンベヤiにおいて縁部jの重なり臨界(overlap criticality)を表すペナルティ係数である。
【0056】
次いで、制御装置6は、折り機2における折丁30の少なくとも2つの異なる横方向位置のための位置決めクオリティ値Qを計算し、次いで、横方向位置に関して、折丁に対する損傷のリスクが最も小さくなる位置のための精度値Qを決定する。この場合、基準横方向位置は、位置決めクオリティ値Qが最も小さくなる位置である。
【0057】
折り機2の作動中に折り精度をさらに改良するために、制御装置6は、センサ64を介して、ウェブ4及び折丁30の実際の横方向位置を検出し、この実際の横方向位置を基準横方向位置と比較する。実際の横方向位置が基準横方向位置と異なる場合、制御装置6は、基準横方向位置と実際の横方向位置との差を減じるように、三角板8及び/又はスクエア折り装置24を移動させる。この移動は、好適には、実際の横方向位置が基準横方向位置と同じになるまで行われる。
【0058】
本発明による基準横方向位置を決定するための方法は、第1のコンベヤ18及び第2のコンベヤ26の特定の例の場合について説明された。この方法は、与えられた経路におけるN個の連続した搬送装置を有する折り機に同様に適用することができる。この場合、制御装置6は、2×Nはみ出し量係数CPAF11及び2…CPAFn1及び2を計算し、値Qは、これらの2×N係数のゾーンごとの最大値の関数である。最も一般的な形式において、値Qを計算するための公式は、
【数2】

であることができ、iは折り機における搬送装置(コンベヤ)の位置を表し、Nは折り機における最後の考慮される搬送装置の位置であり、Kiは搬送装置iにおける折丁若しくは小冊子30の感度を表す値であり、aijは搬送装置lにおける折丁又は小冊子の縁部jの剛性を表す値であり(この値は、三角折りを有する折丁縁部が自由縁部よりも剛性であることを表している)、CPijはゾーンiの縁部jの重なりペナルティ係数である。
【0059】
基準横方向位置を決定するための方法は、コンベヤに限定されず、ベルト、帯、クリップ又は掴みフィンガ等の搬送部材を有するあらゆる搬送装置に適用することができる。
【0060】
本発明による方法により、様々な搬送装置による折丁への損傷のリスクを最小限に減じることができる。
【0061】
択一的に、係数CPAFijを決定するためにはみ出し量値XPAFijを計算する必要はなく、この係数CPAFijはPAFijのみに依存することができる。
【0062】
本発明による折り機は、有利には、クオリティ値Qに対応する情報を示すためのディスプレイモジュールを有することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折丁(30)が、所定の幅を有しており、かつ第1の側縁(44)と第2の側縁(46)とによって規定されており、
折り機(2)が、折丁(30)を経路において搬送するように設計されており、かつ折丁を経路(32)の第1の位置上で搬送する少なくとも2つの搬送部材(36)を有しており、
それぞれの第1の搬送部材(36)が、第1及び第2の側縁(44,46)のそれぞれに対して、第1の好適な横方向ゾーン(48)を規定している、折り機(2)において折丁(30)の基準横方向位置を決定する方法において、
第1の好適な横方向ゾーン(48)のうちの少なくとも1つが、第1の関連する搬送部材(36)を横方向に超えて延びておりかつ横方向に前記第1の搬送部材(36)と重なっており、好適な横方向位置は、少なくとも第1の側縁(44)が、該第1の側縁(44)に関連した第1の好適な横方向ゾーンの内側に位置するように決定されることを特徴とする、折り機(2)において折丁(30)の基準横方向位置を決定する方法。
【請求項2】
基準横方向位置は、第2の側縁(46)も、第2の側縁(46)に関連する第1の好適な横方向ゾーン(48)の内側に配置されるように決定される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第1の好適な横方向ゾーン(48)がそれぞれ、第1の関連した搬送部材(36)に関連した該当する側縁(44,46)の最大横方向はみ出し量(max.PAF)によって規定される、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
位置決めクオリティ値Qは、折り機における折丁(30)の少なくとも2つの横方向位置のために計算され、位置決めクオリティ値Qは折丁への損傷のリスクを示し、位置決めクオリティ値Qは、好適な側縁(48)に関する第1及び第2の側縁(44,46)の位置に依存し、基準横方向位置は、クオリティ値Qが、計算された位置決めクオリティ値Qの中で損傷の最も小さなリスクに対応するような位置である、請求項4記載の方法。
【請求項5】
位置決めクオリティ値Qは、第1の関連する搬送部材(36)に関する一方の側縁(44,46)のはみ出し量の関数である第1のはみ出し量係数CPAF1jの関数である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
第1のはみ出し量係数CPAF1jは、第1の関連する好適な横方向ゾーン(48)の内側では不変の関数によって決定され、第1のペナルティ調整量(MP1)は、該当する側縁(44,46)が前記好適な横方向ゾーンの外側に位置する場合に、第1のはみ出し量係数CPAF1jに加えられる、請求項5記載の方法。
【請求項7】
折り機が、折丁(30)を経路の第2の部分(34)へ搬送するための少なくとも2つの搬送部材(50)を有しており、第2の搬送部材(50)がそれぞれ、側縁(44,46)のそれぞれのために、第2の好適な横方向ゾーン(54)を規定し、第2の好適な横方向ゾーンの少なくとも1つが、第2の関連する搬送部材の外側に横方向に延びており、かつこの第2の搬送部材に横方向に部分的に重なっており、基準横方向位置は、側縁(44,46)の少なくとも1つが、関連する第2の好適なゾーンの内側に位置するように、決定される、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
位置決めクオリティ値Qは、関連する第2の搬送部材(50)に関する少なくとも一方の側縁(44,46)のはみ出し量の関数である第2のはみ出し量係数CPAF2jの関数である、請求項7と請求項4から6までのいずれか1項とを一緒に考慮した方法。
【請求項9】
第2のはみ出し量係数CPAF2jは、関連する第2の好適な横方向ゾーン(64)の内側では不変の関数によって決定され、第2のペナルティ変調(MP2)は、該当する側縁が第2の好適な横方向ゾーン(54)の外側に位置する場合に、適用される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
それぞれの搬送部材(36,50)が、それぞれの側縁(44,46)のために、考慮される搬送部材の好適なゾーン(48,54)と横方向で反対側に配置された、前記搬送部材と横方向で部分的に重なる、回避すべき横方向ゾーン(56)を規定し、基準位置は、2つの側縁が、回避すべき横方向ゾーン(56)のそれぞれの外側に配置されるように、決定される、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
クオリティ値Qは、公式
【数1】

に基づいて計算され、iは折り機における搬送装置の位置を表し、Nは折り機における最後の考慮される搬送装置の位置であり、Kiは搬送装置iにおける折丁の感度を示す値であり、この値は例えば、1つの胴から次の胴への胴軸線に対して平行な折りを有する折丁が、平行でない折丁よりも敏感でないと解釈され、aijは搬送装置iにおける折丁の縁部jの剛性を示す値であり、CPijはゾーンiの縁部jの重なりペナルティ係数である、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
折り機を使用する方法において、
請求項1から11までのいずれか1項に従って折丁の基準位置を決定し、
折り機を始動させ、
折り機における折丁の実際の横方向位置を証明し、折丁の実際の横方向位置が横方向基準位置と異なる場合、
横方向基準位置と実際の横方向位置との差を減じるように折丁の横方向位置を修正することを特徴とする、折り機を使用する方法。
【請求項13】
ディスプレイモジュールが、クオリティ値Qに対応する情報を表示する、少なくとも請求項4に係る請求項12記載の折り機を使用する方法。
【請求項14】
折り機において、
折丁の基準位置を決定するための装置が設けられており、該基準位置を決定するための装置が、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法を実施するためのものであることを特徴とする、折り機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−516363(P2011−516363A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502426(P2011−502426)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際出願番号】PCT/FR2009/050566
【国際公開番号】WO2009/136036
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(594141705)ゴス インターナショナル モンタテール ソシエテ アノニム (41)
【氏名又は名称原語表記】Goss International Montataire,S.A.
【住所又は居所原語表記】Square H.Marinoni,F−60761 Montataire,France
【Fターム(参考)】