説明

折り畳み式シャンプーボウル

【課題】折り畳み式シャンプーボウルについて、簡易な構成でコストを低廉に抑えながら使用時の美観と収納時のコンパクトさを確保できるようにする。
【解決手段】開口端が長方形を形成し一方の長辺側が壁側に配置され他方の長辺側が壁から前方に所定幅突出するフレキシブルシートからなるボウル体20Aと、開口端の長辺に沿って水平且つ互いに平行にボウル体20A上端側に各々取付けられ両長辺の骨組をなす一対の骨組ポール11,12Aと、排水口を構成するホース連結部材30とを備えたものとし、骨組ポール12Aが基端側を壁側に当接し先端側を骨組ポール12Aに側方から連結した支持ポール14で下方から支持されており、骨組ポール11を掛止手段としての吸盤付フック40,40で壁に掛止することで、骨組ポール12Aが壁寄りに持ち上がった折り畳み状態と前方に開いて支持ポール14で支持された状態との間で開閉自在となるものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は折り畳み式のシャンプーボウルに関し、殊に、洗髪水を受け止めるボウル体がフレキシブルシートからなりコンパクトに折り畳むことのできる折り畳み式シャンプーボウルに関する。
【背景技術】
【0002】
洗髪(シャンプー)は浴室にて裸の状態で行うのが通常であったが、近年ではいわゆる「朝シャン」のように、夜の入浴時以外であっても適宜洗髪を行って頭部の清潔を保つことが広く普及しており、朝出掛ける前の短時間で洗髪できるように着衣のままでも洗髪しやすい構造を備えた洗面台(朝シャン台)が多数開発されている。
【0003】
しかし、このような洗髪機能を備えた洗面台は嵩張りやすく高価であるため、一般の家庭では設置しにくいのが実情である。また、洗髪機能を備えた洗面台であっても通常の洗面台の機能が優先されていることから、洗髪するにはシャンプーボウルの縁の位置が低くその深さも充分ではないため、洗髪時の姿勢が窮屈になりやすいとともに洗髪水が外部に飛散して周囲を濡らしてしまうケースが多い。一方、浴室内に洗髪専用のシャンプーボウルを追加して設けることも考えられるが、これも浴室のスペース上の制限とコスト面から実現は容易ではない。
【0004】
さらに、着衣のまま洗髪を行いたいのは比較的若い世代が中心であるところ、この世代は独身の一人暮らしが多いため、浴室がバスタブに洗面台及び便器を加えたユニットバスであるのが殆どであり、洗髪機能を備えた洗面台を別途設置したり浴室内にシャンプーボウルを追加したりすることは、そもそも不可能な状況である。
【0005】
この問題に対し、傘状に開閉する骨組みに樹脂シートを貼るとともに下端部に排水口を設けて漏斗状のボウル体を形成し、洗髪に使用する際は傘の柄に相当するポールの基端側を壁に掛けてボウル体を開いた状態とし、不使用時にはボウル体を閉じて格納するようにした折り畳み式シャンプーボウルが、特開平6−319611号公報に提案されている。
【0006】
このようにボウル体を樹脂シートで形成して傘状の骨組みに貼ることで開閉可能としながら使用時にだけ開いて浴室の壁等に掛けるものとしたことにより、所望の高さで着衣のまま洗髪できるようになる。しかし、この折り畳み式シャンプーボウルは、ボウル体を構成する樹脂シートが傘状の骨組みで支持されている構成であるため、部品点数が多く全体構造が複雑になってコスト高になりやすいことに加え、細い骨組み部分の耐久性が問題となりやすい。また、雨傘のような外観であることから、美観の点でも難点があるとともに樹脂シート製のボウル体と骨組み部分との分離が困難であるため、収納・保管時におけるコンパクトさの確保が不充分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−319611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、折り畳み式シャンプーボウルについて、簡易な構成でコストを低廉に抑えながら使用時の美観と収納時のコンパクトさを確保できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は、使用時に上向きの開口端が長方形を形成して一方の長辺側が壁側に配置され他方の長辺側が壁から前方に所定幅突出した状態になるフレキシブルシートからなるボウル体と、その開口端で対向する長辺に沿って水平且つ互いに平行な状態でボウル体上端側に各々取付けられて両長辺の骨組をなす一対の骨組ポールと、ボウル体底部を貫通して形成された排水口とを備えた折り畳み式シャンプーボウルであって、その前方側の骨組ポールは、基端側を壁側に当接しながら斜め上向きに延びた先端側を前方側の骨組ポールに側方から連結した支持ポールにより壁から所定幅突出した状態で下方から支持されており、その壁側の骨組ポールを所定の掛止手段で壁に掛止することで、前方側の骨組ポールが壁寄りに持ち上がった折り畳み状態と前方に開いて支持ポールで支持された状態との間で開閉自在となる、ことを特徴とするものとした。
【0010】
このように、開口端が長方形になるボウル体をフレキシブルシートで作成するとともに2本の骨組ポールをその2つの長辺の骨組みとし、一方の骨組ポールを壁側に掛止し他方の骨組ポールを壁から前方に突出させてボウル体を開いた状態として、この前方側の骨組ポールと壁側との間に斜め上向きの支持ポールを架設してこれを支持するものとしたことにより、取付け・取り外し自在で折り畳み式のシャンプーボウルを、最小限の部品によるすっきりとした簡易な構成として低コストでも提供可能とし、且つ、不使用時に壁側に密着したコンパクトな状態に折り畳めるようになる。
【0011】
また、この場合、その両骨組ポールは、そのボウル体開口端の両長辺をなす部分の端縁側を左右両端側が開放した袋状に形成してなる挿通部に、各々挿通することによりボウル体上端側に取り付けられている、ことを特徴としたものとすれば、組立・分解作業が容易になるとともに、骨組ポールを取り外せばフレキシブルシートからなるボウル体を小さく折り畳むこともでき、収納時に一層コンパクトになる。
【0012】
さらに、上述した折り畳み式シャンプーボウルにおいて、その掛止手段は吸盤付フックであり、その壁側の骨組ポールの両端側にはその吸盤付フックのフック部を係合させるための構造が形成されている、ことを特徴としたものとすれば、浴室等の壁に対する取付け・取り外しが容易なものとなる。
【0013】
さらにまた、上述した折り畳み式シャンプーボウルにおいて、その支持ポールは、前方側の骨組ポール中央部に1本、または前方側の骨組ポール両端側に2本、先端側を連結した状態で設けられており、且つ、この連結により骨組ポールの中心軸線を中心にして基端側が回動可能となっている、ことを特徴としたものとすれば、折り畳みがスムースに行われ折り畳んだ状態で一層コンパクトに収まりやすいものとなる。
【0014】
加えて、上述した折り畳み式シャンプーボウルにおいて、そのボウル体の排水口は排水ホースに連結するための円筒状のホース連結部材で構成されている、ことを特徴としたものとすれば、排水ホースを接続するだけで洗髪水をそのまま排水路に流すことができるため、その周囲や衣服を濡らしにくいものとなる。
【発明の効果】
【0015】
2本の骨組ポールをボウル体開口端の2つの長辺の骨組みとしながら、壁側との間に支持ポールを架設して前方側の骨組ポールを支持するものとした本発明によると、簡易な構成でコストを低廉に抑えながら使用時の美観と収納時のコンパクトさの両方を確保できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明における実施の形態の折り畳み式シャンプーボウルの斜視図である。
【図2】図1の折り畳み式シャンプーボウルの正面図である。
【図3】図2のX−X線に沿う縦断面図である。
【図4】図3の折り畳み式シャンプーボウルを壁に掛けて折り畳んだ状態を示す縦断面図である。
【図5】図1の折り畳み式シャンプーボウルの使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態である折り畳み式のシャンプーボウル1Aの斜視図を示し、図2はその正面図を示している。このシャンプーボウル1Aは、吸盤付フック40,40等の掛止手段を用いて、浴室の壁や洗面所や脱衣所の壁、或いは台所の壁等に、取付け・取り外し自在な状態で設けることを想定したものであり、洗髪時の洗髪水を受けて排水路に導くためのボウル体20Aが、樹脂をシート状に形成した不透水性のフレキシブルシートで作成され、壁に掛けた状態のままで不使用時にコンパクトに折り畳めるようになっている。
【0019】
即ち、本実施の形態のシャンプーボウル1Aは、使用時に長方形の開口端を上向きに形成して一方の長辺側が壁に近接配置され他方の長辺側が壁から前方に所定幅で突出するフレキシブルシートで作成したボウル体20Aと、その開口端で対向する長辺に沿って水平且つ互いに平行な状態でボウル体20Aの上端側に各々取付けられて各長辺よりも僅かに長くその骨組として水平に配置される一対の骨組ポール11,12Aと、ボウル体20Aの底部を貫通して排水口を構成するホース連結部材30とを備えたものである。
【0020】
このボウル体20Aは、左右の側面部23,24と壁側に近接する後面部21と壁の前方側に位置する前面部22とからなる折り畳み式とされ、開いた状態で底部側が前後に狭く上端側が前後に広い形状の槽を形成するようになっているが、後面部21と前面部22は1枚のシートで連続的に構成されており、両者が繋がる部分に僅かな底面が形成されて、この部分の中央位置で排水口を構成しながら排水ホースを連結可能なホース連結部材30が下向きに延設されている。
【0021】
また、その両骨組ポール11,12Aは、ボウル体20A開口端の両長辺をなす部分で左右端縁側が開放して袋状に形成されてなる挿通部25,26に、各々挿通されたことでボウル体20A上端側に取付けられているとともに、収納時にこの挿通部25,26から骨組ポール11,12Aを引き抜くことで分解されるため、組立・分解作業が容易なものとなっており、また、分解後はフレキシブルシート製のボウル体20Aを小さく折り畳めることから、収納・保管の際に極めてコンパクトな状態となる。
【0022】
さらに、壁側の骨組ポール11の両端側には、吸盤付フック40,40のフック部41,41等の掛止手段を各々係合するための溝11a,11bが周方向に亘って環状に形成されており、その溝11a,11b内にフック部41,41を挿入・係合して吊り下げることで、骨組ポール11が脱落しにくいようになっている。
【0023】
そして、図2のX−X線に沿う断面図である図3に示すように、その挿通部26を挿通してボウル体20A前方側の長辺の骨組みとされた骨組ポール12Aは、支持ポール14がボウル体20Aの内側で基端側を後面部21下側部分(壁側)に当接しながら斜め上向きに延びた先端側を直角方向から連結したことで壁から所定幅突出した状態で下から支持されている。
【0024】
これにより、シャンプーボウル1Aを前方側の骨組ポール12Aを壁寄り持ち上げて薄幅に折り畳んだ状態から、骨組ポール12Aが前方に開いて支持ポール14で支持された状態との間で、ボウル体20Aが開閉自在なものとなっている。尚、この支持ポール14の基端側には、ゴムキャップ14bが被せられて壁側への当接位置から滑りにくく、且つ、当接する壁またはフレキシブルシートの後面部21を構成する部分を傷つけにくいものとしている。
【0025】
また、支持ポール14の先端側には、その内径が連結対象の骨組ポール12Aの外径とほぼ一致して所定の弾性発力を有した素材からなる連結部材14aが設けられており、骨組ポール12Aに対しその中心軸線を中心にして基端側を回動可能な状態で連結されており、開閉時に支持ポール12Aが適宜回動しながらその動作を妨げにくいものとしている。
【0026】
尚、骨組ポール12Aを挿通した袋状の挿通部26は、中央位置に切り欠き部26aを形成しており、この部分で連結部材14aを骨組ポール12Aに直接連結できるようになっている。また、ホース連結部材30下側の開口端には、キャップ30Aが着脱自在に設けられており、近くに排水路がない場合には排水口を閉止してボウル体20A内に洗髪水をある程度溜められるようになっている。
【0027】
図4は、図2のシャンプーボウル1Aを、吸盤付フック40,40で壁に掛けた場合に、一点鎖線で示す開いた状態から前方側の骨組ポール12Aを壁寄りに持ち上げて折り畳んだ状態を示す縦断面図である。前述したように、骨組ポール12Aを支持するための支持ポール14は、連結部材14aで連結した部分を中心として基端側を回動可能となっているため、折り畳み動作に追従して回動しながらそのスムースな開閉動作を阻害しないようになっている。
【0028】
そして、例えば支持ポール14の先端側が壁に近接した時点で、予め配置しておいた第3の吸盤付フック42これを掛止することにより、コンパクトに折り畳んだ状態のまま固定することができる。したがって、以上のような構成の本実施の形態の折り畳み式シャンプーボウル1Aは、極めて少ない部品からなる極めて簡易な構成であるため、従来例と比べて製造コストを低廉に抑えることができる。また、折り畳み時に全体として壁側に薄く密着して極めてコンパクトな状態となるため、生活上邪魔になりにくい。さらに、簡易な構成であるため、折り畳んだ待機時の状態から開いた使用時の状態に亘って極めてすっきりとした外観を呈して美観においても優れている。
【0029】
図5は、本実施の形態のシャンプーボウル1Aを浴室の壁に取り付けた状態を示す斜視図であり、吸盤付フック40,40によりボウル体20Aが洗髪しやすい高さで壁に取付けられて、ホース連結部材30のキャップ30aを外し排水ホース50の基端側を接続して先端側を排水孔60に挿入してあり、洗髪水をそのまま排水路に流せる状態となっている。
【0030】
そのため、着衣の状態のままでも、服や周囲を濡らすことなく楽な姿勢で洗髪を行うことができる。また、これを使用しない待機時には、骨組ポール12Aを壁寄りに持ち上げながら畳み、起立した支持ポール14の先端側を吸盤付フック42で掛止することで、コンパクトに折り畳んだ状態で固定されて通常の入浴時に邪魔になりくにいものとなる。
【0031】
尚、上述した実施の形態において、骨組ポール11,12A及び支持ポール14には、複数の円柱状部材が印籠継式に継ぎ足されて形成されて分解時に複数の円柱状部材に分離するもの、或いはテレスコープ式に伸縮自在なものを用いることにより、収納時においてさらにコンパクトな状態とすることが可能となる。
【0032】
以上、述べたように、折り畳み式シャンプーボウルについて、簡易な構成でコストを低廉に抑えながら使用時の美観と収納時のコンパクトさを確保できるようになった。
【符号の説明】
【0033】
1A シャンプーボウル、11,12A 骨組ポール、14 支持ポール、11a,11b 溝、14a 連結部材、20A ボウル体、25,26 挿通部、30 ホース連結部材、40 吸盤付フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に上向きの開口端が長方形を形成して一方の長辺側が壁側に配置され他方の長辺側が前記壁から前方に所定幅突出した状態になるフレキシブルシートからなるボウル体と、前記開口端で対向する長辺に沿って水平且つ互いに平行な状態で前記ボウル体上端側に各々取付けられて前記両長辺の骨組をなす一対の骨組ポールと、前記ボウル体底部を貫通して形成された排水口とを備えた折り畳み式シャンプーボウルであって、
前記前方側の骨組ポールは、基端側を前記壁側に当接しながら斜め上向きに延びた先端側を前記前方側の骨組ポールに側方から連結した支持ポールにより前記壁から所定幅突出した状態で下方から支持されており、前記壁側の骨組ポールを所定の掛止手段で前記壁に掛止することで、前記前方側の骨組ポールが前記壁寄りに持ち上がった折り畳み状態と前方に開いて前記支持ポールで支持された状態との間で開閉自在となる、ことを特徴とした折り畳み式シャンプーボウル。
【請求項2】
前記両骨組ポールは、前記ボウル体開口端の前記両長辺をなす部分の端縁側を左右両端側が開放した袋状に形成してなる挿通部に、各々挿通することにより前記ボウル体上端側に取り付けられている、ことを特徴とする請求項1に記載した折り畳み式シャンプーボウル。
【請求項3】
前記掛止手段は吸盤付フックであり、前記壁側の骨組ポールの両端側には前記吸盤付フックのフック部を係合させるための構造が形成されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載した折り畳み式シャンプーボウル。
【請求項4】
前記支持ポールは、前記前方側の骨組ポール中央部に1本、または前記前方側の骨組ポール両端側に2本、先端側を連結した状態で設けられており、且つ、前記連結により前記骨組ポールの中心軸線を中心にして基端側が回動可能となっている、ことを特徴とする請求項1,2または3に記載した折り畳み式シャンプーボウル。
【請求項5】
前記排水口は、排水ホースに連結するための円筒状のホース連結部材で構成されている、ことを特徴とする請求項1,2,3または4に記載した折り畳み式シャンプーボウル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−157(P2012−157A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135488(P2010−135488)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(510164865)
【Fターム(参考)】