説明

折り畳み式ファイリングボックス

【目的】 複数の冊子の分類保存及び取り出しを容易に行うことができ、ユーザーが簡単に組み立てることのできる専用の収納手段を提供する。
【構成】 ボックス本体10の正面板13及び背面板14の上端の溝133,143に仕切り板20の両端が嵌め込まれ、一方の第一底面板15と第二底面板17及び他方の第一底面板16と第二底面板18が略45°に傾斜した作動折り目において折り曲げ可能に連設され、一方の第一底面板15の突出部154が他方の第一底面板16の支持部163及び第二底面板18上に重合し、他方の第一底面板16の突出部164が一方の第一底面板15の支持部153及び第二底面板17上に重合し、係合切欠155,165同士で互いに係止され、仕切り板20で仕切られた収納空間に冊子を分類保存することができる。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、学習帳等の複数の冊子を分類して収納することができる折り畳み式ファイリングボックスに関する。
【0002】
【従来の技術】
小学校の各教科毎に分冊された問題集等の学習教材用冊子には、例えば月刊の形式で配本されているものがあるが、各学校での実際の学習進度の状況によっては、配本された翌月あるいはそれ以降も保存しておいて、該当する単元を学校で習ってから随時取り出して学習することになる。ところが、このような配本形式の学習教材は一冊当たり20頁程度の薄いものであるため、本棚等に立てて保存すると、他の学習書等の出し入れに伴って撓んだり折れ曲がったりしてしまいやすく、しかも各教科ごとに分類して本棚等へ収納するのも煩雑であり、いったん収納してしまうと、これを他の多数の書籍等の中から捜して取り出すことが困難であるといった問題がある。したがって、このような冊子の場合は、配本の度に各教科毎にまとめて保存しておくための専用の収納手段もユーザーに提供することが望ましい。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
そこで本考案が解決しようとする主な課題は、複数の冊子の分類保存及び取り出しを容易に行うことができると共に、ユーザーが簡単に組み立てることのできる専用の収納手段を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を有効に解決するための手段として、本考案に係る折り畳み式ファイリングボックスは、正面板及び背面板とその両側の側面板の間にそれぞれ形成された側部折り目において折り畳み可能であって、前記各側面板の下端にそれぞれ側面底部折り目を介して連設された一対の第一底面板を有すると共に前記正面板及び背面板の下端にそれぞれ正面底部折り目及び背面底部折り目を介して連設された一対の第二底面板を有するボックス本体と、両端が前記正面板及び背面板の上端の互いに対応する位置に形成された溝に嵌め込まれる仕切り板とを備え、一方の第一底面板と正面板側の第二底面板及び他方の第一底面板と背面板側の第二底面板が前記側面底部折り目及び正面底部折り目又は前記側面底部折り目及び背面底部折り目に対して略45°に傾斜した作動折り目を介して連設され、互いに対向する一対の第一底面板又は一対の第二底面板の揺動端部に、それぞれ前記作動折り目側の支持部及びこの支持部から係合切欠を介して前記作動折り目と反対側に位置する突出部が形成され、前記両側面板に対して前記正面板及び背面板が略90°となるように起立した状態において一方の第一又は第二底面板の突出部がこれに対向する他方の第一又は第二底面板の支持部上に重合すると共に係合切欠同士で互いに嵌合されるようになっている。
また、本考案において一層好ましくは、前記第一底面板又は第二底面板の作動折り目側の端部にこの作動折り目の上を超えて第二底面板又は第一底面板側へ延在されたストッパ部を有する。
【0005】
【作用】
ボックス本体内部は、その正面板及び背面板の上端の互いに対応する位置に形成された溝に仕切り板を嵌め込むことによって複数の収納空間に仕切られ、各収納空間毎に複数の冊子を分類して収納することができる。また、この仕切り板によってボックス本体内部での冊子の倒れが規制されるので、薄い冊子でも折れ曲がり等が有効に防止される。
【0006】
ボックス本体は、底部の作動折り目と対応する2か所の側部折り目の両側では正面板又は背面板と側面板が互いに閉じた状態、かつ他の2か所の側部折り目の両側では正面板又は背面板と側面板が互いに開いた状態となるように、扁平に折り畳むことができ、この状態では前記作動折り目が上方へ屈曲して第一及び第二底面板が正面板、背面板及び側面板の内側へ収納された状態に折り畳まれる。使用に際しては、この折り畳み状態から、両側面板に対して正面板及び背面板が略90°となるように起立させるだけで、作動折り目が開かれて第一及び第二底面板がそれぞれ側面底部折り目、正面底部折り目及び背面底部折り目を中心に下方へ揺動し、第一又は第二底面板の互いに対向する突出部と支持部同士が重合した状態で係合切欠同士で互いに嵌合されるので、容易に組み立てることができる。
またボックス本体に収納した冊子の荷重によって、第一底面板又は第二底面板の作動折り目側の端部に延在されたストッパ部が、作動折り目の上を超えて第二底面板又は第一底面板の上面に衝合されるので、前記作動折り目が前記荷重によって下側へ折れ曲がるようなことがない。
【0007】
【実施例】
図1は、本考案に係る折り畳み式ファイリングボックスの一実施例を一部破断して示す組立起立状態の斜視図、図2は展開図である。この図において、参照符号10は互いに平行な一対の側面板11,12と、この側面板11,12の互いに対応する端部間にそれぞれ側部折り目101〜104を介して折り曲げ自在に連設された正面板13及び背面板14と、各側面板11,12の下端にそれぞれ側面底部折り目111,121を介して連設された一対の第一底面板15,16と、正面板13及び背面板14の下端にそれぞれ正面底部折り目131及び背面底部折り目141を介して連設された一対の第二底面板17,18とを有するボックス本体である。側面板11,12の横幅は、収納対象である後述の学習教材用冊子30(図6参照)の横幅よりも若干大きく設定されている。
【0008】
このボックス本体10は段ボール紙からなるものであって、図2の展開図から明らかなように、側面板11から正面板13及び側面板12を介して背面板14へ連続しており、側面板11の側部折り目103から突出形成した接着代19が背面板14の切断端部に接着されている。正面板13の上縁132は、図6に示す学習教材用冊子30を収納した時にその背表紙31のほぼ上半部が露出するように、背面板14の上縁142よりも低くなっており、これに伴い、側面板11,12の上縁112,122は前記背面板14側から正面板13側へ向けて漸次低くなる傾斜形状を呈している。
【0009】
正面板13には、その上縁132から下方へ延びる所定長さの複数の溝133が所定間隔で形成されており、同様に、背面板14には、その上縁142から下方へ延びる所定長さの複数の溝143が前記各溝133と対応する間隔で形成されている。参照符号20は段ボール紙からなる仕切り板で、正面板13と背面板14の内側面間に挿入可能な仕切り板本体21と、この仕切り板本体21の長手方向両端の上部に突出形成されて前記溝133,143に嵌め込み可能な嵌合突起部22,23とを有し、この仕切り板20の上縁201及び下縁202は、仕切り板本体21の長手方向両端縁203,204に対して側面板11,12の上縁112,122とほぼ一致する傾斜角度をなしている。また、正面板13の上端部における溝133で分離された部分の表面には、「国語」「算数」「社会」
「理科」といった教科名105が表示されている。溝133,143の間隔は、図6に示すように、仕切り板20で仕切られる各収納部への学習教材用冊子30の収納冊数を考慮して、例えば各教科に分冊されて月刊で配本されるものであれば各教科毎に1年分(12冊)ずつ分類収納できるように設定される。
【0010】
図2の展開図に示すように、一方の側面板11に連設された第一底面板15における正面板13側の端部近傍には、側部折り目101と側面底部折り目111との交点P1 から側面底部折り目111に対して45°の傾斜角度で延びる作動折り目151が形成されており、この作動折り目151から突出した端部が、正面板13に連設された第二底面板17との接着代152となっている。図3はボックス本体1をその内側から見た部分的な斜視図で、同図(A)に示すように、前記接着代152は、第二底面板17における側面底部折り目131から前記交点P1 を中心に45°の範囲に設けられた接着代171の下面に重合状態に接着され、これによって、前記第一底面板15と第二底面板17は、側面底部折り目111及び正面底部折り目131の双方に対して略45°をなす作動折り目151において折り曲げ可能な状態に互いに連設されている。
【0011】
第二底面板17には、作動折り目151から突出するように、第一底面板15とは非接着のストッパ部172が延在されている。このストッパ部172は、第一底面板15の上面に衝合されることによって、前記作動折り目151が下側(外側)へ折れ曲がるのを規制し、図3(B)に示すように、折り畳みの際の上方(ボックス本体10の内側)への屈曲変位のみを許容するものである。
【0012】
同様に、他方の側面板12に連設された第一底面板16における背面板14側の端部近傍には、側部折り目104と側面底部折り目121との交点P2 から側面底部折り目121に対して45°の傾斜角度で延びる作動折り目161が形成されており、この作動折り目161から突出した端部が、背面板14に連設された第二底面板18との接着代162となっている。この接着代162は、第二底面板18における側面底部折り目141から前記交点P1 を中心に45°の範囲に設けられた接着代181の下面に重合状態に接着され、これによって、前記第一底面板16と第二底面板18は、側面底部折り目121及び正面底部折り目141の双方に対して略45°をなす作動折り目161において折り曲げ可能な状態に互いに連設されている。
【0013】
第二底面板18には、作動折り目161から突出するように、第一底面板16とは非接着のストッパ部182が延在されている。このストッパ部182は、第一底面板16の上面に衝合されることによって、前記作動折り目161が下側(外側)へ折れ曲がるのを規制し、図3(B)に示すように、折り畳みの際の上方(ボックス本体10の内側)への屈曲変位のみを許容するものである。
【0014】
第一底面板15,16の揺動端部には、それぞれ作動折り目151,161側の支持部153,163及び前記作動折り目151,161と反対側に位置する突出部154,164が、係合切欠155,165を介して段差状に形成されている。また、突出部154,164における係合切欠155,165側の端部には傾斜辺156,166が形成されている。すなわち、双方の第一底面板15,16は、側面板11,12に対して正面板13及び背面板14が略90°となるようにボックス本体10を起立させた状態において、一方の第一底面板15の突出部154がこれに対向する他方の第一底面板16の支持部163上に重合し、同様に、他方の第一底面板16の突出部164がこれに対向する一方の第一底面板15の支持部153上に重合すると共に係合切欠155,165同士で互いに嵌合係止されるようになっている。
【0015】
この実施例による折り畳み式ファイリングボックスは、上述のような構成を備えているため、作動折り目151,161と対応する位置の側部折り目101,104の両側で側面板11と正面板13のなす角度及び側面板12と背面板14のなす角度が90°以下となる角度範囲で、言い換えれば他の2か所の側部折り目102,103の両側で側面板12と正面板13のなす角度及び側面板11と背面板14のなす角度が互いに90°〜180°となる角度範囲で屈曲変位することができ、これによって、図4に示すように扁平に折り畳まれる。また、その折り畳み過程では、先の図3(B)に示すように、作動折り目151,161が上方へ屈曲変位することによって、第一底面板15,16及びこれに連設された第二底面板17,18が側面板11,12、正面板13及び背面板14の内側へ収納された状態に折り畳まれる。また、仕切り板20を溝133,143に嵌め込んだ状態でも折り畳むことができる。
【0016】
使用に際しては、図4に示す折り畳み状態から、側面板11,12に対して正面板13及び背面板14が略90°となるように起立させる。図5は、その組立過程を示すもので、同図(A)のように、側面板11,12、正面板13及び背面板14の内側へ折り込まれていた第一底面板15,16及び第二底面板17,18は、正面板13及び背面板14の起立動作に伴って作動折り目151,161が開かれて行くことにより、同図(B)のように、それぞれ側面底部折り目111,121、正面底部折り目131及び背面底部折り目141を中心として下方へ揺動し、第一底面板15,16の突出部154,164がその傾斜辺156,166同士で互いに交差するように干渉しつつ変位する過程を経て、同図(C)のように、一方の第一底面板15の突出部154が他方の第一底面板16の支持部163及びこれに連設された第二底面板18上に重合し、他方の第一底面板16の突出部164が一方の第一底面板15の支持部153及びこれに連設された第二底面板17上に重合すると共に、係合切欠155,165同士で互いに嵌合して係止されるといった動作が自動的に行われる。
【0017】
図6は使用状態を示す斜視図であり、すなわち上述のようにして組み立てられたボックス本体10の内部は、その正面板13及び背面板14の各溝133,143にそれぞれ仕切り板20の両端の嵌合突起部22,23を嵌め込んでこの仕切り板20を前記正面板13及び背面板14の上端間に架設することによって複数の収納空間に仕切られる。このため、例えば国語、算数、社会、理科といった教科毎に分冊され月刊の形式で配本される問題集等の薄い学習教材用冊子30は、前記各教科毎にまとめて、正面板13に表示された教科名105に対応した各収納空間に収納保存することができる。しかも、正面板13の上縁132からは、各収納空間に収納した学習教材用冊子30の背表紙31のほぼ上半部が露出するようになっているため、教科毎に分類保存された多数の学習教材用冊子30の中から所望のものを容易に探して取り出すことができる。
【0018】
組立状態においては、先の図3(A)に示すように、第二底面板17,18に形成されたストッパ部172,182が、第一底面板15,16の作動折り目151,161の上を超えて第一底面板15,16の支持部153,163の上面に衝合されるので、前記作動折り目151,161が学習教材用冊子30の荷重等によって下側へ容易に折れ曲がるようなことがない。また、折り畳む時も、前記作動折り目151,161が下側へ屈曲変位するようなことがなく、互いに係止された第一底面板15,16の係合切欠155,165を手指で押し上げるようにしてその係止状態を解除しながら、あるいはそのまま側面板11,12に対して正面板13及び背面板14を倒せば、図4の扁平状態に容易に折り畳むことができる。
【0019】
なお、本考案は、図示の実施例に限定されるものではない。例えば、作動折り目151,161は第二底面板17,18に形成して、第一底面板15,16を第二底面板17,18の上に重合した状態に接着し、参照符号171,181で示す部分をストッパ部としても良い。また、第一底面板15,16及び第二底面板17,18を図示の実施例とは対称の形状にして、第一底面板15と第二底面板18、第一底面板16と第二底面板17を互いに連設しても良い。また、正面板13及び背面板14の横幅と側面板11,12の横幅(奥行き)との関係によっては、第一底面板15,16と第二底面板17,18との関係を逆にし、すなわち正面板13に連設された第二底面板17及び背面板14に連設された第二底面板18を、図示の実施例における第一底面板15,16のような形状として、組立に際して互いに係止されるようにすることもできる。
【0020】
【考案の効果】
本考案の折り畳み式ファイリングボックスによると、仕切り板によって複数の冊子を分類して収納保存することができ、薄い冊子でも、倒れたり折れ曲がったりすることがないので、保存した冊子の中から所望のものを探して取り出す際の煩雑さがなくなり、しかも小学生等の児童でも折り畳みや組み立てを極めて容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る折り畳み式ファイリングボックスの一実施例を一部破断して示す組立起立状態の斜視図である。
【図2】上記実施例におけるボックス本体の展開図である。
【図3】上記実施例におけるボックス本体を内側から見た部分的な斜視図で、(A)は組立状態、(B)は折り畳みもしくは組み立ての過程を示すものである。
【図4】上記実施例におけるボックス本体の折り畳み状態を示す斜視図である。
【図5】上記実施例におけるボックス本体の組み立て過程における第一底面板及び第二底面板の動作を示す説明図である。
【図6】上記実施例の使用状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 ボックス本体
101〜104 側部折り目
11,12 側面板
111,121 側面底部折り目
13 正面板
131 正面底部折り目
133,143 溝
14 背面板
141 背面底部折り目
15,16 第一底面板
151,161 作動折り目
153,163 支持部
154,164 突出部
155,165 係合切欠
17,18 第二底面板
20 仕切り板

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 正面板及び背面板とその両側の側面板の間にそれぞれ形成された側部折り目において折り畳み可能であって、前記各側面板の下端にそれぞれ側面底部折り目を介して連設された一対の第一底面板を有すると共に前記正面板及び背面板の下端にそれぞれ正面底部折り目及び背面底部折り目を介して連設された一対の第二底面板を有するボックス本体と、両端が前記正面板及び背面板の上端の互いに対応する位置に形成された溝に嵌め込まれる仕切り板と、を備え、一方の第一底面板と正面板側の第二底面板及び他方の第一底面板と背面板側の第二底面板が前記側面底部折り目及び正面底部折り目又は前記側面底部折り目及び背面底部折り目に対して略45°に傾斜した作動折り目を介して連設され、互いに対向する一対の第一底面板又は一対の第二底面板の揺動端部に、それぞれ前記作動折り目側の支持部及びこの支持部から係合切欠を介して前記作動折り目と反対側に位置する突出部が形成され、前記両側面板に対して前記正面板及び背面板が略90°となるように起立した状態において一方の第一又は第二底面板の突出部がこれに対向する他方の第一又は第二底面板の支持部上に重合すると共に係合切欠同士で互いに嵌合されることを特徴とする折り畳み式ファイリングボックス。
【請求項2】 請求項1の記載において、第一底面板又は第二底面板の作動折り目側の端部にこの作動折り目の上を超えて第二底面板又は第一底面板側へ延在されたストッパ部を有する折り畳み式ファイリングボックス。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【登録番号】第3015541号
【登録日】平成7年(1995)6月28日
【発行日】平成7年(1995)9月5日
【考案の名称】折り畳み式ファイリングボックス
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平7−2565
【出願日】平成7年(1995)3月7日
【出願人】(391011939)株式会社日本標準 (5)