説明

折り畳み式失禁用品

本発明は、オムツ耳部を接合された開放型の吸収性失禁用品に関する。この場合、背当て側のオムツ耳部の周縁領域に繋止部材を設ける。そして繋止部材の機能性を損なうことなく早い製造速度で、そして折り畳まれた吸収性失禁用品に繋止部材を同時にユーザーに親切に配置しながら、オムツ耳部を折り畳む。本発明はそのほか、この吸収性失禁用品を製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、失禁する成人のための開放型の折り畳み式吸収性失禁用品と、吸収性失禁用品を折り畳む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DE‐102005035544‐A1はすでに、本体の側縁に取り付けられた次のような材料片を有する失禁用品を記載する。この材料片は、しばしばオムツの耳部と呼ばれ、この耳部はその周縁領域に繋止部材を備える。この場合オムツ耳部は、少なくとも2本の折り目線を中心にそれ自体上下に重ねて折り畳まれ、そして本体の身体側に折り込まれて、上下に重ねて折り込まれた配置を形成するが、この配置は、第1の接合箇所で取り外し可能な状態で固定されている。
【0003】
EP‐1005316‐B1は、開放型オムツのオムツ耳部のZ字型折り畳みを記載する。この場合、まず耳部の外側末端を、背当て側に、少なくとも繋止面の幅だけ折り畳み、続いてこの状態で前方に、繋止面の幅の2倍分だけ前面に向かって折り戻す。その結果、繋止部材は、この折り畳まれた状態において材料層に覆われることがなく、ユーザーはただちにこれを視認できる。
【0004】
EP‐1166735‐B1も、やはり背当て側オムツ耳部をZ字形または逆Z字に折り畳むことを記載する。この場合、最初の折り目は、内側に向かってオムツシャーシ(本体)の上へと行われ、続いて側部の自由な末端が、1回または複数回外側に向かって折り返されるが、その際この末端が、折り畳まれた状態で外側を向き、オムツを装着する際に―とくに寝たきりの人の場合―容易に展開できるように折り返す。
【0005】
WO‐2005/110321‐A1は、吸収性の衛生用品を、第1および第2の長手方向の折り目線に沿って折り畳むことを記載するが、その際、オムツ耳部の外側エッジが折り目線を超えて延びるので、折り畳まれた衛生用品を容易に展開できる。なぜならば、繋止部材を支持する外側エッジに直接手が届くからである。
【0006】
WO‐2007/058761‐A1は、別部材としてオムツ耳部を接合された吸収性衛生用品を、高速の機械速度で、意図しないしわや折り目を生じることなく、この衛生用品または繋止部材を製造する方法を記載するが、これは、オムツ耳部と繋止部材を保護する折り畳みを行うことによるものである。そのためオムツ耳部は、装着状態で内側を向く側に繋止部材を設けられ、一方の長手軸でシャーシ(オムツ本体)の内面に折り返される。続いて第2の長手軸で、側部全体をシャーシの上に折り返すが、この第2の折り幅は少なくとも第1の折り幅と同じ大きさとする。これは、第1の内側に向かって折り込まれた領域が、第2の折り目によって新たに折り畳まれることのないようにするためである。
【0007】
DE‐102004021353‐A1は、1つの吸収性失禁用品を開示するが、この失禁用品は1つの本体を有し、この本体は、前当てと、背当てと、これら両者の間で長手方向に位置し、かつユーザーの両脚間に位置する股当てとからなり、この本体は1つの吸収体を含む。またこの失禁用品は、背当てに接合された背当て側の材料片と、前当てに接合された前当て側の材料片とを有する。これら背当て側および前当て側の材料片は、横方向に本体の左右長手周縁を越えて延びる、これら材料片は、使用状態では身体側に位置する内面と、使用状態で身体と反対側に位置する外面とを有する。そして背当て側の材料片は、背当て側材料片の外側領域に繋止部材を有する。これら背当て側おおび前当て側の材料片は、この失禁用品が使用状態にあるとき、前当てと背当てとをたがいに結合し、そして材料片は、折り畳まれた失禁用品を使用開始する前に、それ自体上下に重ねて、かつ内側に向かって本体の背当ての身体側に折り畳まれている。
【0008】
従来の技術を出発点とすると、折り畳まれた失禁用品で問題となるのは、製造プロセスの製造速度が速い場合、仕様書通りに作られていない製品の割合が上昇することである。仕様書通りに作られていない製品とは、製品品質の点で製造者側で決められた基準を満足しないものをいう。この製品品質が損なわれるのは、製造速度が上昇すると、折り畳まれたオムツ耳部に設けられる繋止部材が、製造中に望まれずして開放されることによる。失禁用品が、折り畳まれたオムツ耳部および望まれずして開放された繋止部材とともに、長手方向および/または横方向に折り畳まれると、開放された、または一部開放された繋止部材が、失禁用品のほかの材料層と接触し、これらほかの材料層に望まれずして固定される。このため、失禁用品はもはや希望の状態では展開できず、場合によっては繋止部材が、効果的な固定には使用できなくなる。この種の失禁用品を製造プロセスから除外しない場合、この望まれざる固定は、続いて失禁用品包装の際に圧力がかかると、プラスチックフィルムバッグにさらに固定され、その結果、この種の製品は使用不能となるであろう。なぜならば、これらの製品はもはや欠陥なしでは開放、装着できないからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、オムツ耳部を接合された開放型の吸収性失禁用品を、早い製造速度で、繋止手段の機能性を損なうことなく製造できるようにすることである。そのほかこのような失禁用品として、ユーザーに親切な配置のものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
オムツ耳部(サイドフラップまたは側部を形成する材料片)を接合された開放型の失禁用品の場合、本発明は上記の課題を次のようにして解決する。すなわち、背当て側の材料片が折り畳まれている配置で、この材料片の周縁領域の内面は、本体の背当ての身体側の方向に向けられているものとする。この場合、もっとも下位置で折り畳まれている材料片の部分片は、材料片の周縁領域を含み、この周縁領域は、1つの繋止部材舌状物を含む繋止部材を有し、この舌状物は、使用前は材料片の内面の上に折り戻されている。この場合、部分片の側縁は、その上に折り畳まれた部分片よりも、横方向に寸法Dだけ突出し、したがって本来の折り目を越えて延びる。これら繋止部材舌状物は、使用時に失禁用品を閉じるため、本体の前当ての外面に、そして/または前当ての材料片の外面に、取り外し可能な状態で接着しながら、協働作用する。このため繋止部材舌状物は、たとえば接着剤ゾーン、または機械的繋止手段、たとえば面ファスナーを備えることができる。
【0011】
発明者が認識したところでは、製造プロセスで繋止部材舌状物が望まれずして開放されるとき、その引き金となるのは繋止部舌状物に働く風力であって、この風力は、製造速度の上昇とともに上昇する。この風力が作用する危険は、とくに次のような時点で生じる。すなわち、背当て側の材料片が、折り畳まれた配置においてすでに、本体の内面の上に折り込まれている時点、そしてとくには、続いて失禁用品がその長手方向を横切る方向に折り畳まれる直前、または折り畳まれる間における時点である。この風力は、繋止部材が折り戻されている材料片内面の上で、繋止部材舌状物の接着力を上回り、こうして繋止部材は望まれないのに開放される。このようにして、この種の失禁用品がまったく使用不能となるのはしばしばである。
【0012】
発明者がさらに認識したところでは、繋止部材は、本発明の配置によって、製造プロセスで発生する風力に対して十分に保護される。これについては、図面を用いてさらに詳しく説明する。背当て側の材料片でもっとも下位置に折り畳まれている部分片が材料片の周縁領域を含み、そして周縁領域が繋止部材を有し、そして部分片の外側側縁が、その上に折り畳まれた部分片よりも横方向に寸法Dだけ突出し、したがって本来の折り目を越えて延びることによって、次のことが可能となる。すなわち、ユーザーが背当て側の材料片をそのようなものとして認識し、快適に把握し、展開できるようになる。
【0013】
この場合寸法Dは、好ましくは、もっとも下位置の部分片の幅の少なくとも10%かつ多くとも90%、さらに好ましくは、少なくとも40%かつ多くとも60%とする。突出する寸法Dは、好ましくは、少なくとも6mmかつ多くとも54mm、さらに好ましくは、少なくとも24mmかつ多くとも36mmとする。
【0014】
背当て側材料片は、折り畳まれた失禁用品の使用開始前は、好ましくはそれ自体上下に重ねてジグザグ形に折り畳まれ、かつ好ましくは長手方向に平行に延びる折り目線で、好ましくは折り目線が材料片を3つの部分片に区分するように、折り畳まれるものとする。この場合、中間の部分片の幅L3は、中間の部分片に隣接する部分片の幅L2およびL4より小さい。好ましくは、部分片の幅L2、L3、L4の比を2:1:2とする。この場合好ましくは、折り目線が、材料片の内面の上に折り戻された繋止部材舌状物と交わらないようにする。その結果として、各材料片の周縁領域を含むもっとも外側の部分片が、好ましくは、折り戻された繋止部材舌状物の少なくともその幅に等しいものとする。
【0015】
さらには、背当て側の材料片のいずれもそれぞれの周縁領域に、把握領域を設ければ有利である。
【0016】
本発明の発展形態としては、背当て側の材料片が、前当て側の材料片よりも大きい面長さ、好ましくは少なくとも10%大きい、とくに好ましくは少なくとも15%大きい面長さ(単位cm2)を有する。とくには、背当て側材料片の長さ、すなわち背当て側材料片のオムツ長手方向の長さが少なくとも13cm、さらに少なくとも18cm、さらに少なくとも22cmとすることができる。さらには、背当て側材料片の長さが、失禁用品の全長の少なくとも10%、さらに少なくとも15%、さらに少なくとも20%、さらに少なくとも22%とすれば、有利であることが分かっている。この失禁用使い捨てオムツの全長を50〜120cm、とくには60〜110cm、さらにとくには70〜110cmとすれば有利である。さらには、前当て側材料片は長手方向が、背当て側材料片よりも小さく、少なくとも5%、さらに少なくとも10%、さらに少なくとも15%それぞれ小さく、そしてさらに多くとも50%小さくすれば、有利であることが分かっている。本発明の発展形態として、材料片の幅、すなわち横方向における材料片の長さが、オムツ本体の側縁を12〜40cm、とくには13〜30cm、さらにとくには14〜25cmとすれば、有利であることが分かっている。好ましくは、前当て側材料片は、背当て側材料片と同じ幅を有するものとする。
【0017】
前当て側材料片もまた、折り畳まれた失禁用品の使用開始前に、それ自体上下に重ねて、好ましくはそれ自体上下に重ねてジグザグ形に折り畳むものとし、好ましくは、長手方向に平行に延びる折り目線で折り畳むものとする。
【0018】
そのほか、前当て側および/または背当て側の材料片を不織布材料から形成すれば、有利であることが分かっている。とくには、熱可塑性ポリマーをベースとする少なくとも1つの調合成分を含む不織布材料は、すべてが適している。これらの不織布材は、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、レーヨン、セルロース、PA(ポリアミド)、およびこれら繊維の混合物を含むことができる。2成分繊維または多成分繊維もまた考えられ、有利である。とくには、カード不織布、スパンボンド不織布、ウォータージェット・ニードルパンチ不織布、SM不織布、SMS不織布、SMMS不織布、またはこれら不織布の1種類または複数種類からなるラミネートが有利である。この場合、SはSpunbond不織布層を、MはMeltdown不織布層を表す。とくに好ましいのはスパンボンド不織布である。なぜならばこの不織布は、長手方向および横方向に強度を有し、したがって場合によっては設けられる機械的繋止手段を把握することによってこの不織布に働くせん断力に、とくに良好に耐えることができるからである。機械的繋止手段を解く際に繊維が複合不織布からむしり取られるのを防ぐため、不織布要素にエンボスパターンを施し、好ましくはこのエンボスパターンによって不織布要素の繊維すべてが結合されるものとする。このような場合とくには高温エンボスパターンが有利であって、このパターンは、とくに有利な方法として、熱エネルギーを供給しながら不織布材のカレンダー加工によって得られる。
【0019】
本発明によって折り畳まれた失禁用品を製造するには、背当て側材料片を、好ましくは長手方向に平行な2本の折り目線で、それ自体を上下に重ねてジグザグ形に折り畳み、そして折り畳まれた材料片を、好ましくはオムツ本体を通って延びる折り込み軸で、内側に向かって、本体の背当ての身体側の上に折り込む。本体の側縁が、背当て側材料片の接合領域で、折り込み軸を形成することも可能であろう。
【0020】
したがって本発明は、請求項1〜8項のうち少なくとも1つに記載の折り畳まれた失禁用品を、製造する方法に関する。この場合、背当て側の材料片が、長手方向に平行な折り目線で好ましくはそれ自体上下に重ねてジグザグ形に折り畳まれ、そして折り畳まれた背当て側の材料片が、折り込み軸で内側に向かって、本体の背当ての身体側の上に折り込まれる。その際、背当て側の各材料片の周縁領域の内面が、身体側すなわち本体の背当ての内面の方向に向けられるようにして、折り込まれる。好ましくは、材料片がまずそれ自体上下に重ねて折り畳まれ、続いて本体の背当ての上に折り込まれる。そのほか好ましくは、材料片が、まずそれ自体上下に重ねて折り畳まれ、続いて折り畳まれた状態で本体の背当てに固定され、次に本体の内面の上に折り込まれる。
【0021】
本発明の発展形態として、この失禁用品を、少なくとも1回好ましくは2回、内側に向かって、好ましくは横方向に延びる折り目線で、それ自体上下に重ねて折り畳む。その際、好ましくは、まず前当てを内側に向かって本体の内面の上に、これに続いて背当てを前当ての上に折り畳む。これにより、大きさがコンパクトなために製造プロセスと包装プロセスにおいて良好に取り扱い可能な製品が得られる。この製品の外観面は、折り畳まれた状態のとき、使用状態でも最外側の層となる材料層によって形成されるので、使用前の失禁用品の内面は、汚れから保護される。
【0022】
好ましくは、製造の過程で製造機械における失禁用品の搬送は、とくには、背当て側の材料片を、折り込み軸で内側に向かって、本体の背当ての身体側へと、ジグザグ形に折り畳みかつ折り込むという手順段階を行い、その後、長手方向に平行に次のような帯材速度で行う。すなわちこの帯材速度は、200m/min以上、とくには250m/min以上、さらにとくには300m/min以上、さらにとくには350m/min以上とする。好ましくは、失禁用品はこの場合、上記の手順段階を含むところまでエンドレスで、すなわち、それぞれその後腰回り周縁となるところでたがいに結合された状態で、搬送されるものとする。好ましくは、下流側の手順段階で初めて、失禁用品が、個々の失禁用品を形成するため、横方向にたがいに分離され、続いて上記のように横方向に延びる折り目線でそれ自体上下に重ねて折り畳まれるものとする。
【0023】
本発明のそのほかの特徴、詳細、利点を、添付の特許請求の範囲、図面、下記の本発明の好ましい実施形態の説明に記載する。図面の示す内容は次の通り。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】完全に展開された失禁用品の上面図である。
【図2】本発明によって折り畳まれた失禁用品(それ自体上下に重ねて折り畳まれた背当て側の材料片を含む)の一部の上面図である。
【図2a】失禁用品を図2のA‐A線で切った断面図である。
【図2b】失禁用品を図2のB‐B線で切った断面図である。
【図2c】失禁用品の上記と異なる実施形態を図2と同様位置のA‐A線で切った断面図である。
【図3a】背当て側材料片の周縁領域に接合された繋止部材の断面図である。
【図3b】背当て側材料片の周縁領域に接合された繋止部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明による失禁用品9を、図1〜2bに模式的に示す。この失禁用品は、その全体を20と、つけ番号された本体を含み、この本体はしばしばシャーシとも呼ばれるものである。本体20は、前当て22、背当て24、両者の間に設けられた股当て26を含み、この股当ては、失禁用品9がユーザーに装着されるとき、ユーザーの両脚の間に来るものである。本体20は吸収体28を含み、この吸収体は、体液を吸収して長時間貯留するのに適した寸法設計となっている。この吸収体は、好ましくはセルロース繊維と超吸収性ポリマー粒子(略称SAP)を含み、液体不透過性の層30に支持され、失禁用品9の外側の外観面がこの層を形成することができる。吸収体28より上には、液体不透過性のトップシート32を設けることができる。
【0026】
背当て24には、本体20の第1の側縁片36aに、背当て側のサイドフラップまたは側片を形成する第1の材料片34aが接合され、本体20の第2の側縁片36bには、背当て側のサイドフラップまたは側片を形成する第2の材料片34bが接合されている。材料片34a、34bは、矩形の輪郭を有する。脚に沿った輪郭を有する材料片34a、34bもまた考えられ、有利であって、これはDE102007024180‐A1で開示されている。本体20および背当て側材料片34a、34bの外側横方向周縁は、背当て側の腰回り周縁100aを形成する。
【0027】
使用状態における失禁用品9の装着者身体と反対側を、外面31と呼ぶ。使用状態における失禁用品9の装着者身体側を内面33と呼ぶ。この理解によれば、失禁用品9の平らに展開された構成では、失禁用品9の構成要素それぞれに、1つの内面と1つの外面が割り当てられている。
【0028】
図1は、完全に展開された状態の失禁用品9の内面33を見た図である。背当て側の材料片34a、34bは繋止部材42をそれぞれ2つずつ有する。これら繋止部材は、繋止部材舌状部44を有し、この舌状部は、それ自体上下に重ねて折り畳まれ、規定通りに使用するために展開可能であり、そして自由なつまみ45を有する。この繋止部材舌状部44は、使用中の失禁用品を閉じるため、本体20の前当て22の外面31および/または前当て22の材料片と取り外し可能な状態で接着し、協働作用する。このため繋止部材舌状部は、接着ゾーンまたは機械的繋止手段、たとえば面ファスナーを有することができる。
【0029】
失禁用品の前当て22ではやはり、それ自体上下に重ねて折り畳まれるサイドフラップを形成する材料片35a、35bが設けられるが、これらの材料片は繋止部材を持たない。前当て側の材料片35a、35bは、矩形の輪郭を有する。脚に沿った輪郭を有する材料片35a、35bもまた考えられ、有利であって、これはDE‐102007024180‐A1で開示されている。本体20の外側の横方向周縁と、前当て側材料片35a、35bが、前当て側の腰回り周縁100bを形成する。
【0030】
本体の背当て24における背当て側の各材料片34a、34bは、図2aに示すように、長手方向48に平行な各2本の折り目線50a、52aまたは50b、52bに沿って、それ自体上下に重ねてジグザグ形に折り畳まれている。この場合、材料片の部分片60a、60b、60cは、それぞれの領域同士が上下に重なって位置することになる。
【0031】
失禁用品9を製造する過程で、背当て側各材料片34a、34bは、図1に示したものから出発して、それ自体上下に重ねてジグザグ形に折り畳まれた後、内側に向かって、長手方向48に平行な折り込み軸、すなわちここに示す実施形態では本体20内部を延びる折り込み軸61a、61bで、図2に示す位置に折り込まれた配置に折り返される。この配置で失禁用品9は、製造の過程で、とくには長手方向でエンドレスに、高い帯材速度の200m/min以上の帯材速度で、さらに300m/min以上の帯材速度で、なおさらに350m/min以上の帯材速度で搬送される。このような場合、帯材上面には強い風(“走行風”)が作用する。このため、強い風力が帯材上面を形成する諸要素に作用する危険が生じる。背当て側材料片34aまたは34bのもっとも下位置の部分片60cの外側側縁11が、その上で折り畳まれた部分片60aまたは60bよりも、横方向に寸法Dだけ突出することにより、少なくとも1つの背当て側材料片のもっとも下位置の部分片60cの少なくとも1つの部分領域が、帯材上面の部分領域を形成する。この構成において、繋止部材舌状物が、製造欠陥を生じるような強い風力の影響を受ける危険にとくにさらされていることを、発明者は認識した。繋止部材舌状物44は、その製造者用末端1が、通常は取り外せない状態で、すなわち好ましくは永久接着材2によって、または熱接着、超音波溶接そのほかの接合法によって、背当て側材料片34a、34bの周縁領域37に非常に強く固定されている(図3a)。しかしこの舌状物の使用者用末端3では、繋止部材舌状物44が、通常は、後日の使用のために、接着材4、または機械的繋止部材たとえば面ファスナーによって、非破壊的に剥離可能、すなわち使用状態ではユーザーのわずかな力で展開可能な状態で固定されている。図3bは、この失禁用品を使用する直前に規定通りに展開された繋止部材舌状物44であって、背当て側材料片34a、34bの周縁領域37の内面33から非破壊的に剥離した後のものを示す。そのほか繋止部材舌状物44は、使用者用末端3の外側領域に、いわゆる「つまみ」45、すなわち、ユーザーが簡単に把握できるよう、さらに小さい力で剥離可能な末端部分、あるいは好ましくは、ここに示す例のように、完全には固定しないままの末端部分を備える。
【0032】
本発明の配置によって、繋止部材舌状物44の剥離可能な使用者用末端3が、そのつまみ45とともに、折り畳まれた配置では身体側の方向に向けられて、すなわち背当て24の内面33の方向に向けられて、身体側に位置し、したがって帯材上面の一部ではなく、したがって上記の風力にさらされないか、またはそれほど強くはさらされない。その代わり永久的な、すなわち剥離不可能に固定された製造者用末端1は、帯材上面の一部である。したがって製造者用末端1は、より強い規模の風力にさらされても、良好に耐えることができる。なぜならば、背当て側材料片34a、34bの周縁領域37への、製造者用末端の固定は、規定通りに非剥離性であるよう、すなわち明らかにより強い接着力を持って行われるからである。そのほか本発明の配置によって、ユーザーは、背当て側材料片34a、34bを背当て側材料片として認識することが可能となる。すなわち、背当て側材料片を前当て側材料片と区別することができ、また背当て側材料片を快適に把握して、展開できるようになる。なぜならば、背当て側材料片34a、34bのもっとも下位置の折り畳まれた部分片60cは、材料片の周縁領域37を含み、この周縁領域37は、繋止部材44を有し、そして、材料片60cの外側側縁11は、その上で折り畳まれている部分片60a、60bよりも、横方向38に寸法Dだけ突出し、すなわち本来の折り目を超えて延びるからである。
【0033】
さらには、背当て側材料片34a、34bのいずれも、それぞれの周縁領域37に、把握領域58が設けられている(図2b)。この把握領域58は、折り畳まれた材料片34a、34bを手で把握して展開するに適した領域である。材料片34a、34bの各把握領域58は、図2に示す状態では、失禁用品9の長手中心軸に向かって背面側を向いている。
【0034】
さらに好ましくは、背当て側の各材料片34a、34bを折り畳むに当たっては、背当て側材料片34a、34bのもっとも下位置の部分片60cの外側側縁11が、その上に折り畳まれた部分片60a、60bよりも、横方向に寸法Dだけ突出するよう、したがってユーザーが容易に把握できるように折り畳む。Dはこの場合、好ましくは部分片60cの幅L4の少なくとも10%かつ多くとも90%、さらに好ましくは少なくとも40%かつ多くとも60%とする。突出する寸法Dは、好ましくは少なくとも6mmかつ多くとも54mm、さらに好ましくは少なくとも24mmかつ多くとも36mmとする。
【0035】
1つの好ましい実施形態で、材料片34a、34bの上下に重ねて折り畳まれる部分片60a、60b、60cは、折り畳まれた状態で、とくに超音波溶接でスポット状に生じた接合箇所62により、図2に示すように、好ましくは取り外し可能な状態でこの状態に固定する。このスポットは、好ましくは、直径0.35mm、面積0.0962mmとする。これら取り外し可能な固定を行うに当たっては、各材料片34a、34bのそれぞれ最初の把握領域58を1回引けば完全に展開し、そのとき好ましくはすべての接合箇所62が取り外され、あるいは分離されることができることが、示されている。
【0036】
この種の好ましい実施形態では、長手方向折りで上下に重ねて折り畳まれた背当て側材料片34a、34bが、折り込み軸61a、61bで背当て24の内面の上に折り込まれ、その際、材料片34a、34bは、たがいに突き合わせる位置、またはたがいにわずかな間隔を置く位置、いずれにせよたがいに重なりあうことがない位置に来る(図2)。
【0037】
しかし上記と異なる1つの実施形態として、長手方向折りで上下に重ねて折り畳まれた背当て側材料片34a、34bが、折り込み軸61a、61bで、背当て24の内面の上に深く折り込まれ、その際、材料片34a、34bの少なくとも一部領域が、たがいに上下となる位置に来るように折り込む(図2c)。
【0038】
失禁用品9は、背当て側および前当て側材料片の長手方向折り込み完了後、そして折り畳まれた材料片を本体の内面の上に折り込んだ後、少なくとも1回、好ましくは2回、内側に向けて、横方向38に延びる折り目線70、71(図1)で、それ自体上下に重ねて折り畳む。この場合好ましくは、まず前当て22を、内側に向かって、本体20の内面33の上に折り畳み、続いて背当て24を前当て22の上に折り畳む。これにより、大きさがコンパクトなので製造プロセスと包装プロセスで取り扱いやすい製品が得られる。そしてこの製品の折り畳んだ状態における外観面が、使用状態でも最外側の層となる材料層30によって形成されるので、失禁用品9の内面33が、使用前に汚れないよう保護される。
【0039】
図1を用いて、図示の実施形態における各材料片の部分片60a、60b、60cの寸法を示す。展開された前当て側および背当て側材料片の横方向全長L1は、横方向38で165mmである。本体20に隣接する部分片60aの幅L2は、約70mmである。中間の部分片60bの幅L3は約35mm、周縁領域37を含む外側の部分片60cの幅L4は約60mmである。前当ての材料片の長さL5は165mmm、背当ての材料片の長さL6は230mmである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(20)を有する吸収性失禁用品(9)であって、
前記本体は、前当て(22)と、背当て(24)と、これら両者の間で長手方向(48)に位置し、かつユーザーの両足の間に位置する股当て(26)とを有し、本体(20)は吸収体(28)を含み、
前記本体は、背当て(24)に接合された背当て側の材料片(34a、34b)と、前当て(22)に接合された前当て側の材料片(35a、35b)とを有し、背当て側および前当て側の材料片(34a、34b、35a、35b)は、横方向(38)に、本体(20)の左右の側縁(40a、40b)から突出し、前記背当て側および前当て側の材料片(34a、34b、35a、35b)は、失禁用品(9)の使用状態で、前当て(22)と背当て(24)とをたがいに結合し、背当て側および前当て側の材料片(34a、34b、35a、35b)は、使用状態で身体側に位置する内面(33)と、身体と逆の側に位置する外面(31)とを有し、
前記背当て側の材料片(34a、34b)は、材料片(34a、34b)の外側周縁領域(37)に繋止部材(42)を有し、繋止部材(42)は、自由なつまみ(45)を有する繋止部材舌状物(44)を含み、つまみは、使用前は、材料片の内面に折り戻されており、
前記材料片(34a、34b)は、失禁用品(9)の使用開始前は、ジグザグ形にそれ自体上下に重ねて、かつ内側に向かって本体(20)の背当ての身体側の上に折り畳まれる構成であって、長手方向(48)に平行に延びる折り目線(50a、50b、52a、52b)で折り畳まれて1つの折り畳み配置となっており、前記折り目線が背当て材料片(34a、34b)を部分片に区分し、前記折り畳み配置で材料片のもっとも下位置の部分片(60c)が周縁領域(37)を含み、前記周縁領域(37)の内面が、本体(20)の背当て(24)の内面(33)の方向に向けられるように折り畳まれ、
背当て側材料片(34a、34b)のもっとも下位置の部分片(60c)の外側側縁(11)が、その上で折り畳まれている部分片(60a、60b)よりも、横方向に寸法Dだけ突出する、上記吸収性失禁用品。
【請求項2】
前記寸法Dが、もっとも下位置にある部分片(60c)の幅(L4)の少なくとも10%かつ多くとも90%、好ましくは少なくとも40%かつ多くとも60%であり、あるいは、寸法Dの突出が、少なくとも6mmかつ多くとも54mm、好ましくは少なくとも24mmかつ多くとも36mmであることを特徴とする、請求項1に記載の吸収性失禁用品(9)。
【請求項3】
前記折り目線が背当て側材料片(34a、34b)を3つの部分片に区分し、中間の部分片の幅(L3)が、中間の部分片に隣接する部分片の幅(L2、L4)よりも小さいことを特徴とする、請求項1または2に記載の吸収性失禁用品(9)。
【請求項4】
前記折り目線が、背当て側材料片(34a、34b)を3つの部分片に区分し、部分片(60a、60b、60c)の幅(L2、L3、L4)の比が2:1:2であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性失禁用品(9)。
【請求項5】
前記背当て側材料片(34a、34b)のいずれも、周縁領域(37)に把握領域(58)が設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性失禁用品(9)。
【請求項6】
長手方向(48)折りで上下に重ねて折り畳まれる前記背当て側材料片(34a、34b)が、折り込み軸(61a、61b)で背当て(24)の内面の上に折り込まれ、材料片(34a、34b)の少なくとも一部が、たがいに重なり合う位置、または突き合わせられる位置、またはたがいにわずかな間隔を置く位置に来ることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性失禁用品(9)。
【請求項7】
前記前当て側材料片(35a、35b)が、折り畳まれた失禁用品(9)の使用開始前は、長手方向(48)に平行に延びる折り目線(50a、50b、52a、52b)で、それ自体上下に重ねて折り畳まれていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性失禁用品(9)。
【請求項8】
前記前当て側材料片(35a、35b)が、折り畳まれた失禁用品(9)の使用開始前、長手方向(48)に平行に延びる折り目線(50a、50b、52a、52b)で、それ自体上下に重ねてジグザグ形に折り畳まれていて、前記折り目線が、前当て側材料片(35a、35b)を3つの部分片(60a、60b、60c)に分け、前記部分片の幅(L2、L3、L4)の比が2:1:2となるように区分することを特徴とする、前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収性失禁用品(9)。
【請求項9】
前記背当て側材料片(34a、34b)が、長手方向(48)に平行な折り目線(50a、52aまたは50b、52b)で、それ自体上下に重ねてジグザグ形に折り畳まれることと、折り畳まれた背当て側材料片が、折り込み軸(61a、61b)で、内側に向かって本体(20)の背当ての身体側の上に折り込まれ、前記背当て側の各材料片の周縁領域の内面が、本体(20)の背当て(24)の内面(33)の方向に向けられるように折り込まれることとを特徴とする、前記請求項1〜8のいずれか1項に記載の折り畳まれた失禁用品(9)を製造する方法。
【請求項10】
製造機械中の失禁用品(9)の搬送は、長手方向(48)と平行に、帯材速度が200m/min以上、250m/min以上、300m/min以上、または350m/min以上で行われることを特徴とする、請求項9に記載の折り畳まれた失禁用品(9)を製造する方法。
【請求項11】
前記失禁用品(9)が、少なくとも1回、好ましくは2回、内側に向かって、横方向(38)に延びる折り目線(70、71)で、それ自体上下に重ねて折り畳まれ、好ましくは、まず前当て(22)を本体の内面の上に、続いて背当て(24)を前当ての外面の上に折り畳むことを特徴とする、請求項9または10に記載の折り畳まれた失禁用品(9)を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a】
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【図3b】
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【公表番号】特表2013−501549(P2013−501549A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524128(P2012−524128)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004677
【国際公開番号】WO2011/018167
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(500038020)パウル ハルトマン アクチェンゲゼルシャフト (64)
【Fターム(参考)】