説明

折り畳み式鏡

【課題】 本発明は、折り畳み式鏡であって基盤に鏡板を有する鏡を手に持って使用するときに持ちやすくすることを課題とする。また、化粧等の作業時に両方の手の指を使用できるようにすることを課題とする。また、そのように鏡を持つための特別な部材を用いないことを課題とする。
【解決手段】 複数の基盤が連結され、互いに結合されたそれぞれの基盤が結合部を中心に回動可能であり、少なくとも2つの基盤の内面に鏡板が取り付けられており、少なくとも1つの基盤に指の挿入孔が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に化粧用携帯用の折り畳み式鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
折り畳み式鏡であって双方の基盤に鏡板を有するものは従来から存在する。(例えば、特許文献1参照。)。また、手鏡であって両手が使えるものも従来から存在する(例えば、特許文献2参照。)
【特許文献1】特開2001−25410号公報
【特許文献2】登録実用新案第3113744号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、折り畳み式鏡であって基盤に鏡板を有する鏡を手に持って使用するときに持ちやすくすることを課題とする。また、化粧等の作業時に両方の手の指を使用できるようにすることを課題とする。また、そのように鏡を持つための特別な部材を用いないことを課題とする。
【0004】
特許文献1のように折り畳み式鏡であって双方の基盤に鏡板を有するものは存在している。しかし、手に持ちやすくするための特別な構造を有しておらず持ちにくい。
【0005】
また、この鏡を手に持って使用するときは通常鏡板の上下の縁に指先を宛がって持つので、化粧するときは片方の手の指のみしか使用できない。そこで、特許文献2のように鏡にゴムベルトを装着し、使用時にそのゴムベルトと鏡の間に指を通すことによってその指を使用することが考えられる。しかし、鏡にゴムベルトあるいは他のベルトを取り付けるとコストが上昇する。ベルトが不要のときにそのベルトが使用の邪魔になる。長期間使用しているとベルトが切れる虞がある。そこで、本発明は双方の基盤に鏡板を有する折り畳み式鏡であって、ベルトのような特別な部材を用いなくても持ちやすく使用時に両手の指が使用できる鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1は、複数の基盤が連結され、互いに結合されたそれぞれの基盤が結合部を中心に回動可能であり、少なくとも2つの基盤の内面に鏡板が取り付けられており、少なくとも1つの基盤に指の挿入孔が設けられている構成である。
【0007】
請求項2は、鏡を折り畳んだときに、挿入孔から、対向する鏡板が覗く要素が請求項1に付加された構成である。
【0008】
請求項3は、少なくとも1つの基盤は鏡板が全面的に取り付けられておらず、その鏡板が存在しない部分に指の挿入孔が設けられている要素が請求項1又は請求項2に付加された構成である。
【0009】
請求項4は、挿入孔が、結合部と反対側の端部が自由端である基盤の自由端寄りに設けられている要素が請求項1乃至請求項3に付加された構成である。
【0010】
請求項5は、鏡板が基盤の自由端である端部に届いておらず、挿入孔は、基盤の端部と鏡板の端部との間に設けられている要素が請求項4に付加された構成である。
【0011】
請求項6は、挿入孔に指を通して指を曲げたときに、指端の腹面を宛がう宛がい面が鏡板の端部と基盤の端部との間に設けられている要素が請求項4又は請求項5に付加された構成である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1は、複数の基盤が連結され、互いに結合されたそれぞれの基盤が結合部を中心に回動可能であり、少なくとも2つの基盤の内面に鏡板が取り付けられており、少なくとも1つの基盤に指の挿入孔が設けられている。したがって、挿入孔に指を通すだけで鏡を確実に持つことができて持ちやすい。また、鏡を持ちやすくするための構造は挿入孔を設けるだけであって、特別な部材を必要としないからコストがかからず、邪魔にならない。また、挿入孔であるから構造の劣化がない。
【0013】
請求項2は、鏡を折り畳んだときに、挿入孔から、対向する鏡板が覗くことができる。したがって、目のような小さい部分だけを見るときは鏡を開かないで見ることができるから取り扱いが簡便である。
【0014】
請求項3は、少なくとも1つの基盤は鏡板が全面的に取り付けられておらず、その鏡板が存在しない部分に指の挿入孔が設けられている。したがって、鏡板に挿入孔を設ける必要がなく、基盤の成形時に挿入孔を同時に設ければよいから挿入孔を簡単に設けることができてコストがかからない。例えば、基盤が合成樹脂であるときは基盤を成型するときに同時に挿入孔を設けることができる。また、基盤を木材や金属などの他の材料で形成するときは、機械的に容易に挿入孔を設けることができる。また、鏡板にも挿入孔を設けると、鏡板の挿入孔の縁が欠けたときに危険であるが、請求項3はそのような虞がない。
【0015】
請求項4は、挿入孔が、結合部と反対側の端部が自由端である基盤の自由端寄りに設けられている。挿入孔が自由端寄りに設けられていることから、挿入孔に指を挿入して鏡を持ったときに、他の指が鏡に遮られずに自由に動かせる。このため、鏡を持った手の指を他の作業に使用できる。他の作業に使える指は挿入孔に挿入した指以外の指であるが、挿入孔に挿入した指も他の作業に使用できる。例えば、まつ毛にマスカラを塗布する作業において、鏡を持った手の指で瞼を引っ張り上げたり、マスカラの容器を持つこと等ができる。
【0016】
請求項5は、鏡板が基盤の自由端である端部に届いておらず、挿入孔は、基盤の端部と鏡板の端部との間に設けられている。したがって、挿入孔に挿入した指を自由端側或いは側部側に曲げて鏡を持ったときに指端の腹面が鏡板に接触しないので、指の脂や汚れによって鏡板を汚すことがない。指端の腹面が鏡板に接触するような構造であると、指が鏡板を汚すので始終拭き取らないと不快感を残すことになる。請求項5はそのような虞がない。
【0017】
請求項6は、挿入孔に指を通して指を曲げたときに、指端の腹面を宛がう宛がい面が鏡板の端部と基盤の端部との間に設けられている。指端の腹面を宛がい面に宛がうことにより、鏡を安定的に持つことができる。宛がい面がなく、挿入孔と基盤の端部が接近している構造であるときは、指を挿入したときに基盤の端部を中心にして鏡が回動して安定せず使用しづらいという虞がある。請求項6は指端の腹面と宛がい面とが面接触するのでそのような虞がないのである。宛がい面は挿入孔と基盤の端部との間に設ける構成であってもよく、挿入孔と基盤の側部との間に設ける構成などであってもよい。あるいはそれらの両方に設ける構成であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。鏡1は2つの基盤2,3を支軸(図示せず。)で回動可能に結合され、その結合部4を中心に折り畳み可能である。結合部4は双方の基盤2,3から突出する結合突部16,17,18が弾力的に重なっているために、基盤2,3のなす角度を自由に変えることが可能であり、結合突部16,17,18の摩擦力によってその角度で固定できる。図2に示すように鏡1を180度開いた状態から基盤2,3が直角をなすように回動すると、中央の結合突部18が対向する基盤3と弾力的に強く圧接するので確実に固定できる。なお、両基盤2,3は必要に応じて180度以上開くこともできる。図1に示すように、基盤2は楕円形をなし横長となるように基盤3と結合されている。基盤2は合成樹脂で形成されているが、金属や木材など他の材料で形成してもよい。基盤2の内面に鏡板5が取り付けられている。鏡板5は横長の楕円形を縦線で切断した如き形状をなし、基盤2の結合部側の端部から基盤2の中央をやや越える位置まで存在している。基盤2の長さは約88mmであり、鏡板5の長さは約52mmである。したがって、鏡板5の長さは基盤2の長さの約60%である。基盤2及び基盤3の形状は楕円形でなくてもよい。また、鏡板5及び鏡板11の形状も図に示した形状に限定されるものではない。
【0019】
鏡板5に隣接して指の挿入孔6が基盤2に設けられている。挿入孔6は基盤2を貫いて設けられている。挿入孔6の直径は約18mmであって、中指1本が入る程度の大きさである。挿入孔6の縁と基盤2の端部との距離は約15mmであり、この間の内面が指の宛がい面7である。宛がい面7は、挿入孔6に挿入した指端の腹面を宛がって鏡を安定的に持つためのものである。宛がい面7には凹部8が設けられている。この凹部8は他方の基盤3の係止爪9を受けるためのものであり、図4に示すように係止爪9が凹部8の基端10に係止して両基盤2,3が確実に閉じられる。また、挿入孔6の両側の部分も宛がい面19,19である。
【0020】
他方の基盤3も楕円形に形成されている。基盤3の材料は基盤2と同じでもよく、異なっていてもよい。基盤3の長さは約80mmであり、基盤2よりも短い。鏡1の全体の重量は約30gである。したがって、鏡1を折り畳んだときに基盤2の端部と基盤3の端部の位置がずれるので、指先を短い方の基盤3の端部に引っ掛けることによって容易に鏡1を開くことができる。また、基盤3を下側にして机などに置いたときに基盤2の端部が浮くので、そこに指を引っ掛けて容易に取り上げることができる。基盤3には鏡板11がほぼ全面的に取り付けられている。基盤3の端部には前述したように係止爪9が設けられている。また、基盤3の側部にはヒンジ12を介してチェックシート13が取り付けられている。チェックシート13は透明なシートで形成され基準線14が設けられている。チェックシート13を鏡板11の鏡面に宛がって鏡を見ると顔と基準線14が見えるから、その基準線14を基準としてバランスのとれた化粧をすることができる。基準線14は等間隔で設けてもよくそうでなくてもよい。チェックシート13が不要のときは基盤3の外面側に沿わせておく。
【0021】
図2に示すように、挿入孔6の縁が基盤2の外面側に盛り上がって膨出縁部15を形成している。この膨出縁部15により挿入孔6の厚みが大きくなるので、指を挿入したときに挿入孔6の縁による痛みを感じることがない。また、挿入した指との接触面積が大きくなるので鏡1を支えやすい。また、基盤2を下側にして机などに置いたときに、膨出縁部15によって基盤2の端部が浮くので、そこに指を引っ掛けて容易に取り上げることができる。
【0022】
図4に示すように、鏡1を折り畳んだときに挿入孔6から他方の基盤3の鏡板11が覗く。したがって、目などの小さな部分のみを鏡で見るときは、わざわざ鏡1を開かなくても見ることができて便利である。
【0023】
次に本発明の使用方法を説明する。図5に示すように基盤2,3を所定の角度に開き挿入孔6に中指を挿入する。中指以外でもよいことは勿論である。次に、挿入した中指の第一関節から先の指端を折り曲げ、その腹面を宛がい面7に宛がう。側方の宛がい面19,19に宛がってもよい。宛がい面7には凹部8が設けられているのでこの凹部8に指を宛がうと安定する。同様に宛がい面19,19にも凹部20,20が設けられているので、その凹部20,20に指を宛がうと安定する。そして、薬指を基盤2の縁に宛がって基盤2を支える。これにより、鏡1を左手で確実に持つことができる。この際、鏡1を持った左手の人差し指が自由になるので、図5に示すようにマスカラを塗布するときに瞼を引っ張り上げておくことができる。また、左手の親指も自由になるから、例えばマスカラをまつ毛に塗布するときはマスカラ容器を左手で持つこともできる。図面で示した実施形態の鏡は合わせ鏡として構成されている。したがって、使用時に眉尻や目尻の見づらい側面も見えるので仕上がりの確認ができて化粧に便利である。
【0024】
本発明は、この実施形態に限定されるものでないことは勿論である。例えば、基盤は3つあってそれらが一連に連結され、各基盤に鏡板が取り付けられたものであってもよい。あるいは、3つの基盤が一連に連結され、両端の基盤には鏡板が取り付けられ、中央基盤は鏡板が取り付けられておらず、且つ中央基盤の長さは両端の基盤の長さを足した長さであって、両端の基盤の端部が接するように折り畳む構造であってもよい。挿入孔は1つに限定されず複数あってもよい。また、2本以上の指が挿入可能な長孔などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】鏡を開いた状態の正面図
【図2】図1におけるA−A断面図
【図3】鏡を開きチェックシートを閉じた状態の背面図
【図4】鏡を閉じた状態の断面図
【図5】本発明の使用状態図
【符号の説明】
【0026】
1 鏡
2 基盤
3 基盤
4 結合部
5 鏡板
6 挿入孔
7 宛がい面
8 凹部
9 係止爪
10 基端
11 鏡板
12 ヒンジ
13 チェックシート
14 基準線
15 膨出縁部
16 結合突部
17 結合突部
18 結合突部
19 宛がい面
20 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基盤が連結され、互いに結合されたそれぞれの基盤が結合部を中心に回動可能であり、少なくとも2つの基盤の内面に鏡板が取り付けられており、少なくとも1つの基盤に指の挿入孔が設けられていることを特徴とする折り畳み式鏡。
【請求項2】
鏡を折り畳んだときに、挿入孔から、対向する鏡板が覗く請求項1記載の折り畳み式鏡。
【請求項3】
少なくとも1つの基盤は鏡板が全面的に取り付けられておらず、その鏡板が存在しない部分に指の挿入孔が設けられている請求項1又は請求項2記載の折り畳み式鏡。
【請求項4】
挿入孔は、結合部と反対側の端部が自由端である基盤の自由端寄りに設けられている請求項1乃至請求項3記載の折り畳み式鏡。
【請求項5】
鏡板は基盤の自由端である端部に届いておらず、挿入孔は、基盤の端部と鏡板の端部との間に設けられている請求項4記載の折り畳み式鏡。
【請求項6】
挿入孔に指を通して指を曲げたときに、指端の腹面を宛がう宛がい面が鏡板の端部と基盤の端部との間に設けられている請求項4又は請求項5記載の折り畳み式鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−209569(P2007−209569A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−33222(P2006−33222)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000001454)株式会社貝印刃物開発センター (123)