説明

折り返し構造及びそれを有するプリンター

【課題】折り返し構造において押圧痕を形成することなく、且つ文字が正確に印刷される折り返し構造及びそれを有するプリンターを提供する。
【解決手段】折り返し構造のローラーは、駆動部材31と、複数の駆動ボール32及び駆動ローラー33と、を備え、駆動部材が駆動され、予め決められた方向に回転する際、複数の駆動ボールは、駆動部材によって移動し、複数の収容槽333にそれぞれ移動すると、収容槽によって移動を規制されて、駆動ボールは駆動部材と駆動ローラーとの間に留められ、駆動部材の回転と共に、駆動ローラーも回転し、駆動部材が回転を停止した後、駆動ローラーは、印刷用紙の後端と駆動ローラーとの間に発生する摩擦力によって、駆動部材に対して、予め決められた方向に回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り返し構造及びそれを有するプリンターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1に示したように、両面印刷機能を有する従来のプリンター100は、給紙ローラー10と、印刷ローラー20と、折り返し構造30と、給紙トレイ40及びインクジェット50と、を備える。前記給紙ローラー10と、前記印刷ローラー20及び前記折り返し構造30と、は、同じモーター(図示せず)によって駆動される。前記印刷ローラー20が、前記モーターによって、時計回りの方向に回転される際、前記折り返し構造30の前記ローラーは停止状態であり、前記印刷ローラー20が前記モーターによって、反時計回りの方向に回転される際、前記折り返し構造30のローラーは反時計回りの方向に回転する。
【0003】
印刷用紙の両面を印刷する際、先ず、印刷用紙を前記給紙トレイ40に設置する。この際、前記給紙ローラー10は図1の矢印の方向(つまり時計回りの方向)に回転して、該印刷用紙を前記印刷ローラー20に送る。次いで、前記印刷ローラー20が時計回りの方向に回転することにより、前記印刷用紙は前記インクジェット50に送られて、印刷される。
【0004】
前記印刷用紙の第一面の印刷が終わると、前記モーターは反時計回りの方向に回転する。この際、前記印刷ローラー20も反時計回りの方向に回転して、前記印刷用紙を前記折り返し構造30に送った後、前記印刷用紙は裏返されて、そのまま前記印刷ローラー20の方へ送り出される。この際、前記印刷用紙の前端は該印刷ローラー20に位置する。次いで、前記モーターが時計回りの方向に回転することにより、前記印刷ローラー20は時計回りの方向に回転し、前記印刷用紙を前記インクジェット50に送って、該印刷用紙の第二面を印刷する。この時、前記折り返し構造30は停止している。
【0005】
このように、従来の前記プリンター100は、前記印刷用紙を裏返した後、該印刷用紙を前記印刷ローラー20へ送る。この際、前記印刷用紙の前端は該印刷ローラー20に位置し、後端は前記折り返し構造30に位置する。前記折り返し構造30が停止した際、前記印刷用紙の後端は、前記折り返し構造30の前記ローラーと、それに対応する補助ローラー300と、の間に挟まれ、前記印刷ローラー20の推進力によって、前記印刷用紙を前記折り返し構造30から引き出した後、前記インクジェット50に送って印刷を行う。しかし、この際、前記折り返し構造30による押圧痕が残るだけでなく、前記印刷ローラー20の推進力が弱い場合、第二面に文字が正確に印刷されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明は、折り返し構造において押圧痕が形成されることなく、且つ文字が正確に印刷される折り返し構造及びそれを有するプリンターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係る折り返し構造は、プリンターに応用され、複数のローラーを備え、前記折り返し構造における排紙端に位置する少なくとも一つのローラーは、駆動部材と、複数の駆動ボール及び駆動ローラーと、を備え、前記駆動ローラーには、収容部が設けられ、前記収容部の内周壁には複数の収容槽が設けられ、前記駆動部材には、複数の葉状片がそれぞれ設けられ、互いに隣接する二つの前記葉状片の間には凹部がそれぞれ設けられ、前記駆動部材が、前記収容部に収容された際、前記凹部と前記収容部の側壁との間に複数の収容空間が形成され、複数の前記駆動ボールは、複数の前記収容空間にそれぞれ収容され、且つ前記収容空間中で移動し、前記駆動部材が駆動され、予め決められた方向に回転する際、複数の前記駆動ボールは、前記駆動部材によって移動して、複数の前記収容槽にそれぞれ移動すると、前記駆動ボールは前記収容槽によって移動を規制されて、前記駆動ボールは前記駆動部材と前記駆動ローラーとの間に留められ、前記駆動部材の回転と共に、前記駆動ローラーも回転し、前記駆動部材が回転を停止した後、前記駆動ローラーは、印刷用紙の後端と前記駆動ローラーとの間に発生する摩擦力によって、前記駆動部材に対して、予め決められた方向に回転させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るプリンターは、印刷用紙の第二面を印刷する際、前記折り返し構造において押圧痕を形成することなく、文字を正確にと印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】従来のプリンターの断面図である。
【図2】本発明に係るプリンターの折り返し構造の断面図である。
【図3】図2に示した折り返し構造のローラーの分解図である。
【図4】図3に示した折り返し構造のローラーの別の視覚から見た分解図である。
【図5】図2に示した折り返し構造の使用状態を示す図である。
【図6】図5に示した折り返し構造のローラーの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、本発明に係る折り返し構造及びそれを有するプリンターについて詳細に説明する。
【0011】
本発明の折り返し構造及びそれを有するプリンターは、図1に示した従来の前記プリンター100の前記折り返し構造を、さらに改良したものである。図2に示したように、本発明のプリンターにおける前記折り返し構造30aは、第一ローラー301と、第二ローラー302及び第三ローラー303と、を備える。前記給紙ローラー10と、前記印刷ローラー20と、前記折り返し構造30aにおける前記第一ローラー301、前記第二ローラー302及び前記第三ローラー303と、は、前記プリンター100の内部に設置されたモーター(図示せず)によって駆動される。
【0012】
印刷用紙の第一面を印刷する際、前記モーターは、前記給紙ローラー10と、前記印刷ローラー20と、を駆動して、図1の矢印が示す時計回りの方向に回転させる。前記第一ローラー301と、前記第二ローラー302及び前記第三ローラー303と、は停止している。第一面の印刷が終わると、前記印刷ローラー20は、前記モーターによって反時計回りの方向に回転し、これにより、前記印刷用紙は前記折り返し構造30aに送られる。次いで、前記第一ローラー301及び前記第三ローラー303は、前記モーターの駆動によって、図2の矢印が示した方向(つまり、反時計回りの方向)に回転され、前記第二ローラー302は、時計回りの方向に回転する。前記第一ローラー301から前記第三ローラー303とこれらの前記ローラーと対応する補助ローラー300とが、共に回転することで、前記印刷用紙は裏返される。本発明の実施形態において、前記第一ローラー301が設置されている一端は、前記プリンター100の給紙端であり、前記第三ローラー303が設置されている一端は、前記プリンター100の排紙端である。
【0013】
図1及び図2からわかるように、前記第一ローラー301、前記第二ローラー302及び前記第三ローラー303の配置関係は、前記折り返し構造30におけるローラーの配置関係と類似する。また、前記折り返し構造30aにおける前記第一ローラー301から前記第三ローラー303の各々の構造も同じであるので、以下、前記第一ローラーの構造について詳しく説明する。
【0014】
図3を参照すると、前記第一ローラー301は、駆動部材31と、複数の駆動ボール32及び駆動ローラー33と、を備える。前記駆動部材31は、駆動軸311と、回転ローラー312と、を備える。前記駆動軸311は棒状であり、前記回転ローラー312は、前記駆動軸311上に、該駆動軸311の両端から一定の距離をあけて設置される。前記回転ローラー312の軸方向の一端部には、径方向外側に突出する複数の葉状片3121がそれぞれ設けられており、互いに隣接する二つの前記葉状片3121の間には、凹部3122がそれぞれ設けられている。前記葉状片3121のうち反時計回りの周方向の外端部は、反時計回りで周方向に突出しており、収容槽333内に収容されている駆動ボール32を収容槽333から掬い出す。前記駆動軸311の一端と駆動装置60とは連接され、該駆動装置60は、前記モーターによって起動されて、前記駆動部材31と共に回転する。
【0015】
図4を併せて参照すると、前記駆動ローラー33は棒状であり、棒体331と前記棒体331に固定された少なくとも一つの送りローラー334と、を備える。前記駆動ローラー33の端部には、収容部332が設けられており、前記収容部332の内周壁には、径方向外側に向けて陥没する複数の収容槽333が設けられている。前記収容部332は、前記棒体331の両端にそれぞれ設置される。また、前記収容槽333を画成する内周壁のうち時計回り方向に位置する内周壁と前記収容部332の内周壁とがなす角度は、前記収容槽333を画成する内周壁のうち反時計回り方向に位置する内周壁と前記収容部332の内周壁とがなす角度よりも小さくなっている。そのため、前記収容槽333内に収容されている駆動ボール32は、前記駆動部材31が前記駆動ローラー33に対して時計回りに回転する場合に、前記葉状片3121の上記突出部によって前記収容槽333から掬い出される。その一方で、前記駆動ボール32は、前記駆動部材31が前記駆動ローラー33に対して反時計回りに回転する場合に、前記葉状片3121によって前記収容槽333から掬い出されずに前記収容槽333内に留まる。本発明の実施形態において、前記送りローラー334は、ゴムによって形成される。
【0016】
図5及び図6を併せて参照すると、前記駆動軸311の前記駆動装置60と離れている一端と前記回転ローラー312とは、前記駆動ローラー33の前記収容部332に収容される。前記回転ローラー312が、前記収容部332に収容された際、前記凹部3122と前記収容部332の内周壁との間には、複数の収容空間34が形成され、複数の前記駆動ボール32は、複数の前記収容空間34にそれぞれ収容され、且つ前記収容空間34の中で移動する。前記駆動部材31は前記モーターによって、前記駆動ローラー33に対して回転する。すなわち、前記駆動部材31を前記モーターによって時計回りの方向に回転する際、複数の前記駆動ボール32は、葉状片3121の上記突出部によって収容槽333から掬い出される。そのため、駆動ボール32は、駆動部材31の回転に伴って収容空間34内を時計回りに移動する。
一方、前記駆動部材31が、前記駆動ローラー33に対して、反時計回りの方向に回転する際、複数の前記駆動ボール32は複数の前記収容槽333にそれぞれ移動すると、前記収容槽333によって反時計回りの方向(駆動部材31の回転方向)へのさらなる移動を規制されて、前記駆動部材31と前記駆動ローラー33との間に留められる。これにより、葉状片3121と収容槽333とが駆動ボール32を介して係合し、前記駆動部材31の回転と共に、前記駆動ローラー33も回転する。
【0017】
前記モーターが、時計回りの方向に回転する際、前記駆動部材31は回転を停止する。この際、前記駆動ローラー33に対して、反時計回りの方向に外力Fを与えると、前記駆動ローラー33は、該外力Fによって、前記駆動部材31に対して、反時計回りの方向に回転する。
【0018】
印刷用紙を裏返す際、前記駆動部材31は、前記駆動装置60によって、反時計回りの方向に回転し、前記駆動部材31の複数の前記葉状片3121は、前記駆動ボール32を動かし、前記駆動ボール32が、直接前記駆動ローラー33の前記収容槽333に入り込むようにする。同時に、前記回転ローラー312は、前記駆動ボール32によって、前記駆動ローラー33を動かし、前記送りローラー334とそれに対応する前記補助ローラー300と共に、前記印刷用紙を裏返す。
【0019】
前記印刷用紙が前記折り返し構造30において裏返された際、前記プリンター100の前記モーターは、時計回りの方向に回転し、前記印刷ローラー20を時計回りの方向に回転する。前記モーターと前記駆動装置60との間の接続は、前記モーターが第一方向に回転すると、前記駆動装置60は起動し、前記モーターが第一方向とは逆の第二方向に回転すると、前記駆動装置60は動かず、前記駆動部材31は回転を停止するようになっている。
【0020】
裏返った後の前記印刷用紙の前端は、前記印刷ローラー20によって、前記インクジェット50に向かって移動し、この際、前記印刷用紙の後端は、前記第三ローラー303とそれに対応する前記補助ローラー300との間に挟まれる。前記印刷用紙が前記インクジェット50に向かって移動する際、該印刷用紙の後端と前記駆動ローラー33との間に摩擦力、つまり前記外力Fが発生する。該摩擦力は、前記駆動ローラー33を、前記駆動部材31に対して、反時計回りの方向に回転させて、前記印刷ローラー20を連動させる。これにより、前記印刷用紙は前記折り返し構造30からスムーズに離脱し、前記印刷用紙の第二面を印刷する際、前記折り返し構造30の押圧痕が形成されず、文字を正確に印刷することができる。
【0021】
他の実施形態では、前記折り返し構造30aにおいて、前記印刷用紙の端部に位置する少なくとも一つの第三ローラー303の構造は、上述の前記ローラーと同じ構造である。
【0022】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形又は修正が可能であり、該変形又は修正も又、本発明の特許請求の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0023】
100 プリンター
10 給紙ローラー
20 印刷ローラー
30、30a 折り返し構造
40 給紙トレイ
50 インクジェット
60 駆動装置
300 補助ローラー
301 第一ローラー
302 第二ローラー
303 第三ローラー
31 駆動部材
32 駆動ボール
33 駆動ローラー
311 駆動軸
312 回転ローラー
3121 葉状片
3122 凹部
331 棒体
332 収容部
333 収容槽
334 送りローラー
34 収容空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンターに応用され、複数のローラーを備える折り返し構造において、
前記折り返し構造における排紙端に位置する少なくとも一つのローラーは、駆動部材と、複数の駆動ボール及び駆動ローラーと、を備え、
前記駆動ローラーには、収容部が設けられ、前記収容部の内周壁には複数の収容槽が設けられ、前記駆動部材には、複数の葉状片がそれぞれ設けられ、互いに隣接する二つの前記葉状片の間には凹部がそれぞれ設けられ、
前記駆動部材が、前記収容部に収容された際、前記凹部と前記収容部の内周壁との間に複数の収容空間が形成され、複数の前記駆動ボールは、複数の前記収容空間にそれぞれ収容され、且つ前記収容空間中で移動し、
前記駆動部材が駆動され、予め決められた方向に回転する際、複数の前記駆動ボールは、前記駆動部材によって移動して、複数の前記収容槽にそれぞれ移動すると、前記駆動ボールは前記収容槽によって移動を規制されて、前記駆動ボールは前記駆動部材と前記駆動ローラーとの間に留められ、前記駆動部材の回転と共に、前記駆動ローラーも回転し、前記駆動部材が回転を停止した後、前記駆動ローラーは、印刷用紙の後端と前記駆動ローラーとの間に発生する摩擦力によって、前記駆動部材に対して、予め決められた方向に回転させることを特徴とする折り返し構造。
【請求項2】
前記駆動部材は、駆動軸及び回転ローラーを備え、前記駆動軸は棒状であり、前記回転ローラーは前記駆動軸に固定され、前記回転ローラー及び前記駆動軸の一端は、前記駆動ローラーの収容部に収容され、前記駆動軸の他端は、駆動装置に連接され、前記駆動装置はモーターによって起動され、前記駆動部材と共に回転することを特徴とする請求項1に記載の折り返し構造。
【請求項3】
複数の前記葉状片は、前記回転ローラーの端部に設けられ、互いに隣接する二つの前記葉状片の間には凹部が設けられることを特徴とする請求項2に記載の折り返し構造。
【請求項4】
前記駆動ローラーは、棒状であり、棒体と、前記棒体に固定された少なくとも一つの送りローラーと、を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の折り返し構造。
【請求項5】
前記収容槽を画成する内周壁のうち前記予め決められた方向に位置する内周壁と前記収容部の内周壁とがなす角度が、前記収容槽を画成する内周壁のうち前記予め決められた方向とは逆方向に位置する内周壁と前記収容部の内周壁とがなす角度よりも大きいことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の折り返し構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の折り返し構造を有するプリンター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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