折板屋根のフラット化工法およびそこへ物品を固定する工法並びそれらの構造物
【課題】築後長い年月が経過した折板屋根であっても、その上に安定的に平板材を固定して屋根面をフラット化することのできる折板屋根のフラット化工法、およびフラット化した折板屋根の上に物品を固定する工法を提供する。
【解決手段】折板屋根Rの山形部3に第1の支持具(スタッドボルト)10を固定する。また、複数個の山形部3を覆うようにして平板材40を敷設する。敷設した平板材40の上に長尺状の押さえ板20を置き、前記第1の支持具10を利用して平板材40の上から押さえ板20を折板屋根R側に固定する。押さえ板20に補助治具30を固定し、該補助治具30に第3の支持具(スタッドボルト)32を固定する。該第3の支持具(スタッドボルト)32を利用して、平板材40の上に適宜の物品50を固定する。
【解決手段】折板屋根Rの山形部3に第1の支持具(スタッドボルト)10を固定する。また、複数個の山形部3を覆うようにして平板材40を敷設する。敷設した平板材40の上に長尺状の押さえ板20を置き、前記第1の支持具10を利用して平板材40の上から押さえ板20を折板屋根R側に固定する。押さえ板20に補助治具30を固定し、該補助治具30に第3の支持具(スタッドボルト)32を固定する。該第3の支持具(スタッドボルト)32を利用して、平板材40の上に適宜の物品50を固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、山形部が所定ピッチで連続している構造を備えた折板屋根の屋根面をフラット化する工法、フラット化した折板屋根面に例えば保水排水基盤材のような物品を固定する工法、およびそれらの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、屋内の温度上昇を抑制するため、あるいは大気環境を改善するため等の目的で、屋上を緑化することが推奨されている。当初からフラットな屋根面の場合には、比較的容易に緑化に必要な資材を屋根面に固定することができる。しかし、図19に示すような折板屋根R、すなわち屋根勾配方向であるX方向に走る山形部3が軒先方向であるY方向に所定ピッチで連続している構造の折板屋根Rの場合には、屋根面がフラットでなく凹凸面をなしていることから、直接その上に緑化に必要な資材等を固定することは容易でない。そのために、図19に示すように、例えば発泡樹脂製板である平板材40を折板屋根Rに固定して屋根面をフラット化し、その上に保水排水基盤材50等の物品を固定することが行われている(特許文献1参照)。
【0003】
なお、図19において、敷設した平板材40の上に長尺状の押さえ板7がX方向に置かれ、折板屋根Rの屋根板2同士を固定している既存のボルト5を用いて屋根側に固定した補助治具8に対して、前記長尺状の押さえ板7を固定することにより、敷設した多数枚の平板材40を屋根側に安定して固定するようになっている。また、長尺状の押さえ板7にはスタッドボルト9が固定され、そのスタッドボルト9を利用して保水排水基盤材50が平板材40の上に固定されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−274759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、前記特許文献1に記載の内容に基づく折板屋根への保水排水基盤材の固定構造を実際に施工してきているが、その過程において、新規に構築された折板屋根に対して施工する場合には格別の問題は生じないが、既存の折板屋根面に対して施工する場合には、折板屋根Rの屋根板2同士を固定しているボルト5に錆が生じていることが多く、平板材40および物品(保水排水基盤材)50を補助治具8を介して安定的に固定するには、ボルト5の強度が不足することが起こり得ることを知見した。また、補助治具8を通すために、図19に示すように平板材40に開口41を形成することが必要であり、現場施工としてこの開口形成作業はやや煩雑であった。
【0006】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、例えば築後10年というように長い年月が経過した折板屋根であっても、その上に安定的に平板材を固定して屋根面をフラット化することのできる折板屋根のフラット化工法、およびフラット化した折板屋根の上に物品を固定する工法を提供することを課題とする。また、そのようにしてフラット化した折板屋根構造およびフラット化した折板屋根構造への物品固定構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願の第1発明である折板屋根のフラット化工法は、屋根勾配方向であるX方向に走る複数個の山形部が軒先方向であるY方向に所定ピッチで連続している折板屋根面を平板材を用いてフラット化する工法であって、前記山形部の前記X方向における少なくとも2箇所に、またはY方向における少なくとも2箇所に第1の支持具を固定立設する工程、前記複数個の山形部を覆うようにして平板材を敷設する工程、前記敷設した平板材の上であって前記少なくとも2箇所に第1の支持具を固定立設した方向に長尺状の押さえ板を置く工程、前記長尺状の押さえ板を前記第1の支持具を利用して折板屋根側に固定する工程、を少なくとも備えることを特徴とする(請求項1)。
【0008】
また、本出願の第2発明であるフラット化した折板屋根構造は、屋根勾配方向であるX方向に走る複数個の山形部が軒先方向であるY方向に所定ピッチで連続している折板屋根面における、前記山形部の前記X方向における少なくとも2箇所に、またはY方向における少なくとも2箇所に固定立設された第1の支持具と、前記複数個の山形部を覆うようにして敷設された平板材と、前記敷設した平板材の上であって前記少なくとも2箇所に第1の支持具を固定立設した方向に置かれておりかつ前記第1の支持具を利用して折板屋根側に固定された長尺状の押さえ板、を少なくとも備えることを特徴とする(請求項6)。
【0009】
上記の第1および第2発明において、平板材の固定に利用される長尺状の押さえ板の折板屋根への固定は、当該折板屋根の屋根板同士を固定している既存のボルトではなく、折板屋根の山形部に新たに固定した第1の支持具を利用して行われるので、長尺状の押さえ板の固定は堅固なものとなる。結果として平板材の折板屋根面への固定が安定する。前記第1の支持具には、従来知られたスタッドボルトが好適に用いられるが、長尺状の押さえ板を安定的に固定できるものであれば、スタッドボルトに限らない。また、第1の支持具の折板屋根の山形部への固定には、両者の材料等を考慮して適宜の固定手段を用いうるが、両者が金属材料の場合に溶着によることが好ましく、他に接着剤による固定でもよい。または、ビス等を用いて両者を固定する方法も挙げられ、その場合にはゴムパッキン等を用いて止水処理を行うことが望ましい。
【0010】
上記の第1および第2発明において、平板材に使用する材料は任意であり特に制限はない。屋根面からの輻射熱を防止すること等を目的とする場合には、平板材として、好ましくは発泡樹脂板が用いられる(請求項2,請求項7)。他に、非発泡樹脂製、発泡モルタル製や木材製のような材料を用いることもできる。後記するように、フラット化した屋根面の上に何らかの物品を固定する場合には、平板材は、当該物品からの上載荷重に耐えるだけの強度を備える必要がある。
【0011】
上記の第1および第2発明において、長尺状の押さえ板は、折板屋根の上に載置した前記平板材が負圧等により飛散するのを阻止するためのものであり、必要な強度を備えることを条件に、任意の材料で作ることができる。コストの面や取り扱い易さから、金属材料や樹脂材料が好ましい。
【0012】
本出願の第3発明であるフラット化した折板屋根の上に物品を固定する工法は、上記した第1発明である折板屋根のフラット化工法の各工程に加え、さらに、前記第1の支持具を利用してフラット化した屋根面の上に物品を固定する工程を少なくとも備えることを特徴とする(請求項3)。また、本出願の第4発明であるフラット化した折板屋根構造への物品固定構造は、上記した第2発明であるフラット化した折板屋根構造の上に、さらに、前記第1の支持具を利用して物品が固定されていることを特徴とする(請求項8)。
【0013】
上記の第3および第4発明において、折板屋根面は平板材を敷設することにより平坦面となっており、その上に前記第1の支持具を支持具として利用して物品を固定することはきわめて容易である。固定する物品は当該フラット化した折板屋根の上に配置することが求められる任意の物品であってよく、一例として、屋根面緑化を望む場合には、前記特許文献1に記載するような保水排水基盤材が挙げられる。他に、ソーラパネルのようなものであってもよい。
【0014】
固定しようとする物品が、屋根勾配方向であるX方向に距離aの間隔で取り付け孔を有し、軒先方向であるY方向には山形部のピッチPaの整数倍の距離n・Paの間隔で取り付け孔を有している場合には、折板屋根のn個毎の山形部に対して前記距離a毎に前記第1の支持具を固定する。また、第1の支持具が通過する貫通孔を前記距離a毎に形成した前記長尺状の押さえ板を用意する。折板屋根の上に前記平板材を敷設した後、前記押さえ板を、前記第1の支持具を固定した山形部に対応する位置において、該貫通孔に第1の支持具を通過させた状態で置く。そして、その上から、前記物品をその取り付け孔内に前記第1の支持具を通過させて平板材の上に置き、その状態で、前記物品を前記第1の支持具に対して固定する。それにより、平板材、長尺状の押さえ板、物品は、フラット化した折板屋根に対して一体に固定することができる。長尺状の押さえ板を平板部材の上に予め固定しておき、その後に物品の配置と固定を行うこともできる。
【0015】
本発明は、また、上記第3発明であるフラット化した折板屋根の上に物品を固定する工法の他の態様として、さらに、前記X方向またはY方向に配置した長尺状の押さえ板に第2の支持具を固定する工程と、前記第2の支持具を少なくとも利用して前記フラット化した屋根面の上に物品を固定する工程とを少なくとも備えることを特徴とするフラット化した折板屋根の上に物品を固定する工法を開示する(請求項4)。また、上記第4発明であるフラット化した折板屋根構造への物品固定構造の他の態様として、さらに、前記X方向またはY方向に配置した長尺状の押さえ板には第2の支持具が固定されており、前記第2の支持具を少なくとも利用して、フラット化した折板屋根構造の上に物品が固定されていることを特徴とするフラット化した折板屋根構造への物品固定構造を開示する(請求項9)。
【0016】
上記第3と第4発明における上記の態様では、物品固定用の第2の支持具を別途利用するようにしており、山形部に固定する第1の支持具の本数は、長尺状の押さえ板を固定するのに必要な本数、例えばX方向の最下位と最上位の2本のみでよくなり、作業を簡素化できる。長尺状の押さえ板に第2の支持具を固定する態様は任意であるが、ボルトナットによる固定態様は作業の容易性から好適である。また、長尺状の押さえ板に第2の支持具を固定するときの第2の支持具間の距離(ピッチ)は前記距離aとされるが、長尺状の押さえ板に長孔である貫通孔を複数個形成しておくことにより、第2の支持具の固定作業が容易化するとともに、前記距離aが異なる物品に対しても、同じ長尺状の押さえ板を利用できる利点がある。この態様において、第2の支持具に加えて、折板屋根の前記山形部に固定した第1の支持具をも前記物品の固定に利用することもできる。
【0017】
本発明は、また、上記第3発明であるフラット化した折板屋根の上に物品を固定する工法のさらに他の態様として、上記した第1発明である折板屋根のフラット化工法の各工程に加え、さらに、前記X方向またはY方向に配置した長尺状の押さえ板に対して、それに直交する方向に任意の長さの補助治具を取り付ける工程、前記補助治具に第3の支持具を固定する工程、前記第3の支持具を少なくとも利用して前記フラット化した屋根面の上に物品を固定する工程を少なくとも備えることを特徴とするフラット化した折板屋根の上に物品を固定する工法を開示する(請求項5)。また、上記第4発明であるフラット化した折板屋根構造への物品固定構造のさらに他の態様として、上記した第2発明であるフラット化した折板屋根構造の上に、さらに、前記X方向またはY方向に配置した長尺状の押さえ板に対して、それに直交する方向に取り付けられて任意の長さの補助治具が取り付けられており、前記補助治具には第3の支持具が固定されており、前記第3の支持具とを少なくとも利用して前記フラット化した屋根面の上に物品が固定されていることを特徴とするフラット化した折板屋根構造への物品固定構造を開示する(請求項10)。
【0018】
上記第3と第4発明における上記の態様は、固定しようとする物品が、その軒先方向であるY方向に、山形部のピッチPaの整数倍でない距離、すなわちn・Py±αの距離に取り付け孔を有している場合に、好適に用いられる。すなわち、第3の支持具を固定した前記補助治具を用いることにより、隣接する山形部間の任意の位置に第3の支持具を立てることが可能となり、それら第3の支持具を少なくとも利用することにより、任意の距離(ピッチ)で取り付け孔を持つ物品の固定ができるようになる。なお、前記X方向のピッチ合わせは、長孔である貫通孔を複数個形成した長尺状の押さえ板を用いることにより、容易に行うことができる。この態様においても、必要な場合には、第3の支持具に加えて、折板屋根の前記山形部に固定した第1の支持具、あるいは長尺状の押さえ板に固定した前記第2の支持具をも、前記物品の固定に選択的に利用することもできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、築後に長い年月が経過した折板屋根であっても、その上に安定的に平板材を固定して屋根面をフラット化することができる。また、フラット化した折板屋根の上に、適宜の物品を安定して固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施の形態に基づき説明する。最初に、第1発明である折板屋根のフラット化工法および第2発明であるフラット化した折板屋根構造について説明する。図1は折板屋根の一例を示す。図2は折板屋根の山形部の頂部に第1の支持具としてのスタッドボルトを固定した状態を、図3は折板屋根の上に例えば発泡樹脂板である平板材を載置した状態を、図4および図6は平板材を長尺状の押さえ板を用いて固定した状態を示しており、図5および図7は平板材を固定してフラット化した折板屋根の一例を示している。
【0021】
図1に示すように、折板屋根Rは、建物の梁1の上に取り付けた取り付け具4に固定ボルト5を立設し、この固定ボルト5に屋根板2に貫通させて固定用ナット6で締め付けることで、屋根板2の屋根躯体に固定している。この形態の折板屋根Rは、屋根勾配方向であるX方向に走る多数の山形部3・・を有し、各山形部3は、軒先方向であるY方向にピッチPaの間隔をおいて、連続して形成されている。また、各山形部3の頂部3a(図2)は平坦面となっている。
【0022】
最初に、そのような既存の折板屋根Rにおける山形部3から、適当ピッチでの適数の山形部3・・を選択して、その頂部3aに第1の支持具を固定する。この例で、第1の支持具の一例としてスタッドボルト10を用いており、該スタッドボルト10の底部11を頂部3aに溶着により固定している。接着剤やビス等で固定することもできる。スタッドボルト10は、好ましくは山形部3のX方向の両端部近傍に少なくとも固定されるが、図7に例示するように、その中間の位置に適数のスタッドボルト10を固定してもよい。
【0023】
なお、第1の支持具の一例としてスタッドボルト10を前記X方向にではなく、そこに直交する方向であるY方向に向けて固定することもできる。その場合には、図5に例示するよう、適当ピッチで適数の山形部3・・を選択し、そこに第1の支持具としてのスタッドボルト10・・を固定する。この場合も、好ましくはスタッドボルト10は当該折板屋根Rの軒先方向(Y方向)の両端部に位置する山形部3、3に少なくとも固定されるが、軒先方向(Y方向)の中間に位置する山形部3・・のいくつかにスタッドボルト10を固定するようにしてもよい。
【0024】
いずれの場合も、スタッドボルト10を固定する山形部3・・のY方向のピッチ、およびスタッドボルト10を山形部3のX方向に固定するピッチは、後記する平板材40を安定的に折板屋根面に固定できるように、施工現場に応じて適宜選択する。なお、本発明による前記第3および第4発明のように、フラット化した折板屋根面に適宜の物品50を固定する場合には、当該物品50に設けられている取り付け孔のピッチ等も考慮して、各ピッチが設定される。
【0025】
適数のスタッドボルト10を固定した後、図3に示すように、例えば発泡樹脂板である平板材40を載置する。平板材40の載置面積は、施工現場の要請に応じて、折板屋根Rの全面である場合もあり、その一部の場合もある。平板材40の載置は単に折板屋根Rの山形部3・・の上に単に置いていくだけでよい。好ましくは、図示のように、平板材40の長手方向が前記Y方向となるようにして載置する。
【0026】
次に、載置した平板材40の複数枚にわたるようにして長尺状の押さえ板20を、平板材40の上に置く。図4と図5に示す例では、長尺状の押さえ板20は前記Y方向に向けて置かれており、図6と図7に示す例では、長尺状の押さえ板20は前記X方向に向けて置かれている。いずれにおいても、押さえ板20には長軸方向に長孔である貫通孔21が長手方向に適数だけ形成されており、該貫通孔21のいずれかに前記固定したスタッドボルト10を貫通させた状態とした後、ナット12により締め付ける。それにより、平板材40の折板屋根Rへの固定作業は終了し、本出願での第2発明であるフラット化した折板屋根構造R1が得られる。
【0027】
なお、図7に示した例では、折板屋根Rの複数の山形部3・・における3本目毎の山形部3毎に,すなわちY方向では3×PaのピッチPb毎の山形部3にスタッドボルト10を固定しており、各山形部3でのX方向におけるスタッドボルト10のピッチXaは載置する平板材40の横幅とほぼ同じとなっている。しかし、ピッチPbはこれに限ることなく任意であり、また、各山形部3でのX方向におけるスタッドボルト10は、当該山形部3の両端部のみであっても差し支えない。
【0028】
図示しないが、図5および図7に示した例において、そのスタッドボルト10(第1の支持具)を利用して適宜の物品(例えば、屋上緑化に必要な適宜の資材あるいは太陽パネル等)をナット締めする等により固定することにより、本出願での第3発明であるフラット化した折板屋根の上に物品を固定する工法、および第4発明であるフラット化した折板屋根構造への物品固定構造の一形態が完成する。図7に示す例において、固定する物品が、Y方向に前記Pb(=3×Pa)のピッチの貫通孔、X方向に前記Xaのピッチの貫通孔を備えているものであるときには、その貫通孔に前記スタッドボルト10を貫通させてナットで締め付けることにより、確実に物品50を固定することができる。
【0029】
図8は、本出願の前記第3および第4発明の他の形態を説明する図であり、ここでは、前記X方向に配置した長尺状の押さえ板20に形成した貫通孔21を利用して第2の支持具である第2のスタッドボルト16を固定するようにしている。この態様は、固定する物品50に形成される前記X方向の貫通孔(取り付け孔)のピッチXc(図示していない)が、前記したXaと異なる場合に有効となる。すなわち、前記ピッチXcにピッチが一致するように貫通孔21内で位置調節しながら、適数の第2の支持具である第2のスタッドボルト16を、長尺状の押さえ板20に固定する。図示しないが、そのようにして固定した第2のスタッドボルト16,および必要な場合には既に固定してあるスタッドボルト10のすべてあるいはいずれかも利用して、物品を固定することにより、本出願での第4発明によるフラット化した折板屋根構造への物品固定構造の他の形態が完成する。
【0030】
なお、特に図示しないが、上記した第2のスタッドボルト16を用いる態様は、図5に示した、長尺状の押さえ板20をY方向に配置した態様においても、方向が90度異なるのみで、同じように適用することができる。
【0031】
図9〜図18は、本出願の前記第3および第4発明のさらに他の形態を説明している。図9〜図13は、図4に示したように前記Y方向に長尺状の押さえ板20を配置した場合での形態(以下、形態Aという)を示し、図14〜図18は、図6に示したように前記X方向に長尺状の押さえ板20を配置した場合での形態(以下、形態Bという)を示している。いずれの形態A,Bでも、補助治具30をさらに用いる点で、既に記載した態様と構成を異にしている。
【0032】
最初に、形態Aを説明する。図9に示すように、Y方向に取り付けた長尺状の押さえ板20に、そこに形成した長孔である貫通孔21を利用して、そこに直交する方向(すなわちX方向)に、補助治具30の適数をボルトナット等の固定具15で固定する。補助治具30は長軸方向に長孔である貫通孔31を有しており、該貫通孔31を利用して第3の支持具である第3のスタッドボルト32を立設する。
【0033】
第3のスタッドボルト32を立設した後の状態が図10に示される。長尺状の押さえ板20に形成した長孔である貫通孔21に沿って補助治具30を前記Y方向にスライドすることにより、各補助治具30のY方向の位置を適宜設定することができる。また、補助治具30に形成した長孔である貫通孔31に沿って前記第3のスタッドボルト32を前記X方向にスライドすることにより、各第3のスタッドボルト32のX方向の位置を適宜設定することができる。従って、固定しようとする物品に形成されるY方向およびX方向の取り付け孔のピッチに合わせて、前記第3のスタッドボルト32に位置決めを行うことができる。
【0034】
図11は、そのようにして位置決めをした第3のスタッドボルト32を利用して物品50を固定した状態を示している。折板屋根Rの上に平板材40・・が載置されることによって折板屋根Rはフラット化した折板屋根構造R1となっており、載置された平板材40は、その上に置かれた長尺状の押さえ板20が山形部3に固定した第1の支持具(スタッドボルト10)を利用して屋根側に固定されていることから、安定した状態となっている。さらに、長尺状の押さえ板20に形成した貫通孔21を利用してY方向に適宜のピッチで適数の補助治具30が固定され、該補助治具30に形成した貫通孔31を利用してX方向に適宜のピッチで適数の第3の支持具(第3のスタッドボルト32)が固定されている。そして、第3の支持具(第3のスタッドボルト32)を利用して、平板材40の上に、適宜の物品50が固定されることにより、第4発明であるフラット化した折板屋根構造への物品固定構造のさらに他の形態が完成する。
【0035】
図12に軒先方向の断面図を、図13に平面図を示すように、上記のようにして、長尺状の押さえ板20、補助治具30および第3の支持具である第3のスタッドボルト32を利用することにより、固定しようとする物品50に形成されているX方向およびY方向の取り付け孔のピッチがどのような場合であっても、補助治具30および第3のスタッドボルト32の取り付け位置をX方向およびY方向で個々に調整することにより、安定した姿勢で物品50を平板材40の上に固定することが可能となる。
【0036】
なお、この形態のフラット化した折板屋根構造への物品固定構造においても、固定しようとする物品50に形成されているX方向およびY方向の取り付け孔のピッチに応じて、必要な場合には、長尺状の押さえ板20に形成した長孔である貫通孔21に前記した第2のスタッドボルト16をさらに固定し、それを物品50の固定用に用いるようにしてもよい。さらに、既に固定してあるスタッドボルト10のすべてあるいはいずれかをも、物品50の固定用に用いるようにしてもよい。
【0037】
次に、形態Bを説明する。形態Bは、前記したように、長尺状の押さえ板20をX方向に配置した点で形態Aと異なっており、また、用いる補助治具30の長さが、折板屋根Rの山形部3のY方向のピッチPaよりも短い長さの補助治具30を用いる点で形態Aと異なっている。その他の点は、形態Aと部材の方向が90度異なっているだけで、それぞれの部材の持ち機能は同じであり、図14〜図18では、同じ部材には同じ符号を付している。
【0038】
形態Bでも、図14に示すように、X方向に配置した長尺状の押さえ板20に、貫通孔21を利用して、前記折板屋根Rの山形部3のY方向のピッチPaよりも短い長さの補助治具30の適数をボルトナット等の固定具15で固定する。また、補助治具30に形成した貫通孔31を利用して第3の支持具である第3のスタッドボルト32を立設する。第3のスタッドボルト32を立設した後の状態が図15に示される。
【0039】
ここでも、長尺状の押さえ板20に形成した長孔である貫通孔21に沿って補助治具30を前記X方向にスライドすることにより、各補助治具30のX方向の位置を適宜設定することができ、また、補助治具30に形成した長孔である貫通孔31に沿って前記第3のスタッドボルト32を前記Y方向にスライドすることにより、各第3のスタッドボルト32のY方向の位置を適宜設定することができる。
【0040】
図16は、そのようにして位置決めをした第3のスタッドボルト32を利用して物品50を固定した状態を示しており、本願第4発明であるフラット化した折板屋根構造への物品固定構造のさらに他の形態が完成する。図17および図18は、前記形態Aでの図12および図13にそれぞれ相当しており、前記したように方向が90度異なっているだけで構造的には実質的に同様であるので、説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】折板屋根の一例を示す図。
【図2】折板屋根の山形部の頂部に第1の支持具としてのスタッドボルトを固定した状態を示す図。
【図3】折板屋根の上に例えば発泡樹脂板である平板材を載置した状態を示す図。
【図4】平板材をY方向に配置した長尺状の押さえ板を用いて固定した状態を示す図。
【図5】Y方向に配置した長尺状の押さえ板を用いて平板材を固定してフラット化した折板屋根の一例を示す全体図。
【図6】平板材をX方向に配置した長尺状の押さえ板を用いて固定した状態を示す図。
【図7】X方向に配置した長尺状の押さえ板を用いて平板材を固定してフラット化した折板屋根の一例を示す全体図。
【図8】フラット化した折板屋根に第2の支持具としての第2のスタッドボルトを取り付けた状態を示す全体図。
【図9】Y方向に配置した長尺状の押さえ板によりフラット化した折板屋根に補助治具と第3の支持具としての第3のスタッドボルトを取り付けた状態を示す部分図。
【図10】Y方向に配置した長尺状の押さえ板によりフラット化した折板屋根に補助治具と第3の支持具としての第3のスタッドボルトを取り付けた状態を示す全体図。
【図11】図10に示したフラット化した折板屋根の上に第3の支持具である第3のスタッドボルトを用いて物品を固定した状態を示す部分図。
【図12】図11に示した構造を軒先側からして示す図。
【図13】図11に示した構造を上から見て示す図。
【図14】X方向に配置した長尺状の押さえ板によりフラット化した折板屋根に補助治具と第3の支持具としての第3のスタッドボルトを取り付けた状態を示す部分図。
【図15】X方向に配置した長尺状の押さえ板によりフラット化した折板屋根に補助治具と第3の支持具としての第3のスタッドボルトを取り付けた状態を示す全体図。
【図16】図15に示したフラット化した折板屋根の上に第3の支持具である第3のスタッドボルトを用いて物品を固定した状態を示す部分図。
【図17】図16に示した構造を軒先側からして示す図。
【図18】図16に示した構造を上から見て示す図。
【図19】平板材を折板屋根に固定して屋根面をフラット化し、その上に物品を固定するようにした従来の例を説明するための図。
【符号の説明】
【0042】
R…折板屋根、2…屋根板、3…山形部、3a…山形部の頂部、5…固定ボルト、10…第1の支持具の一例としてスタッドボルト、11…スタッドボルトの底部、16…第2の支持具である第2のスタッドボルト、20…長尺状の押さえ板、21…長孔である貫通孔、30…補助治具、31…長孔である貫通孔、32…第3の支持具である第3のスタッドボルト、40…例えば発泡樹脂板である平板材、50…物品、R1…フラット化した折板屋根構造
【技術分野】
【0001】
本発明は、山形部が所定ピッチで連続している構造を備えた折板屋根の屋根面をフラット化する工法、フラット化した折板屋根面に例えば保水排水基盤材のような物品を固定する工法、およびそれらの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、屋内の温度上昇を抑制するため、あるいは大気環境を改善するため等の目的で、屋上を緑化することが推奨されている。当初からフラットな屋根面の場合には、比較的容易に緑化に必要な資材を屋根面に固定することができる。しかし、図19に示すような折板屋根R、すなわち屋根勾配方向であるX方向に走る山形部3が軒先方向であるY方向に所定ピッチで連続している構造の折板屋根Rの場合には、屋根面がフラットでなく凹凸面をなしていることから、直接その上に緑化に必要な資材等を固定することは容易でない。そのために、図19に示すように、例えば発泡樹脂製板である平板材40を折板屋根Rに固定して屋根面をフラット化し、その上に保水排水基盤材50等の物品を固定することが行われている(特許文献1参照)。
【0003】
なお、図19において、敷設した平板材40の上に長尺状の押さえ板7がX方向に置かれ、折板屋根Rの屋根板2同士を固定している既存のボルト5を用いて屋根側に固定した補助治具8に対して、前記長尺状の押さえ板7を固定することにより、敷設した多数枚の平板材40を屋根側に安定して固定するようになっている。また、長尺状の押さえ板7にはスタッドボルト9が固定され、そのスタッドボルト9を利用して保水排水基盤材50が平板材40の上に固定されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−274759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、前記特許文献1に記載の内容に基づく折板屋根への保水排水基盤材の固定構造を実際に施工してきているが、その過程において、新規に構築された折板屋根に対して施工する場合には格別の問題は生じないが、既存の折板屋根面に対して施工する場合には、折板屋根Rの屋根板2同士を固定しているボルト5に錆が生じていることが多く、平板材40および物品(保水排水基盤材)50を補助治具8を介して安定的に固定するには、ボルト5の強度が不足することが起こり得ることを知見した。また、補助治具8を通すために、図19に示すように平板材40に開口41を形成することが必要であり、現場施工としてこの開口形成作業はやや煩雑であった。
【0006】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、例えば築後10年というように長い年月が経過した折板屋根であっても、その上に安定的に平板材を固定して屋根面をフラット化することのできる折板屋根のフラット化工法、およびフラット化した折板屋根の上に物品を固定する工法を提供することを課題とする。また、そのようにしてフラット化した折板屋根構造およびフラット化した折板屋根構造への物品固定構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願の第1発明である折板屋根のフラット化工法は、屋根勾配方向であるX方向に走る複数個の山形部が軒先方向であるY方向に所定ピッチで連続している折板屋根面を平板材を用いてフラット化する工法であって、前記山形部の前記X方向における少なくとも2箇所に、またはY方向における少なくとも2箇所に第1の支持具を固定立設する工程、前記複数個の山形部を覆うようにして平板材を敷設する工程、前記敷設した平板材の上であって前記少なくとも2箇所に第1の支持具を固定立設した方向に長尺状の押さえ板を置く工程、前記長尺状の押さえ板を前記第1の支持具を利用して折板屋根側に固定する工程、を少なくとも備えることを特徴とする(請求項1)。
【0008】
また、本出願の第2発明であるフラット化した折板屋根構造は、屋根勾配方向であるX方向に走る複数個の山形部が軒先方向であるY方向に所定ピッチで連続している折板屋根面における、前記山形部の前記X方向における少なくとも2箇所に、またはY方向における少なくとも2箇所に固定立設された第1の支持具と、前記複数個の山形部を覆うようにして敷設された平板材と、前記敷設した平板材の上であって前記少なくとも2箇所に第1の支持具を固定立設した方向に置かれておりかつ前記第1の支持具を利用して折板屋根側に固定された長尺状の押さえ板、を少なくとも備えることを特徴とする(請求項6)。
【0009】
上記の第1および第2発明において、平板材の固定に利用される長尺状の押さえ板の折板屋根への固定は、当該折板屋根の屋根板同士を固定している既存のボルトではなく、折板屋根の山形部に新たに固定した第1の支持具を利用して行われるので、長尺状の押さえ板の固定は堅固なものとなる。結果として平板材の折板屋根面への固定が安定する。前記第1の支持具には、従来知られたスタッドボルトが好適に用いられるが、長尺状の押さえ板を安定的に固定できるものであれば、スタッドボルトに限らない。また、第1の支持具の折板屋根の山形部への固定には、両者の材料等を考慮して適宜の固定手段を用いうるが、両者が金属材料の場合に溶着によることが好ましく、他に接着剤による固定でもよい。または、ビス等を用いて両者を固定する方法も挙げられ、その場合にはゴムパッキン等を用いて止水処理を行うことが望ましい。
【0010】
上記の第1および第2発明において、平板材に使用する材料は任意であり特に制限はない。屋根面からの輻射熱を防止すること等を目的とする場合には、平板材として、好ましくは発泡樹脂板が用いられる(請求項2,請求項7)。他に、非発泡樹脂製、発泡モルタル製や木材製のような材料を用いることもできる。後記するように、フラット化した屋根面の上に何らかの物品を固定する場合には、平板材は、当該物品からの上載荷重に耐えるだけの強度を備える必要がある。
【0011】
上記の第1および第2発明において、長尺状の押さえ板は、折板屋根の上に載置した前記平板材が負圧等により飛散するのを阻止するためのものであり、必要な強度を備えることを条件に、任意の材料で作ることができる。コストの面や取り扱い易さから、金属材料や樹脂材料が好ましい。
【0012】
本出願の第3発明であるフラット化した折板屋根の上に物品を固定する工法は、上記した第1発明である折板屋根のフラット化工法の各工程に加え、さらに、前記第1の支持具を利用してフラット化した屋根面の上に物品を固定する工程を少なくとも備えることを特徴とする(請求項3)。また、本出願の第4発明であるフラット化した折板屋根構造への物品固定構造は、上記した第2発明であるフラット化した折板屋根構造の上に、さらに、前記第1の支持具を利用して物品が固定されていることを特徴とする(請求項8)。
【0013】
上記の第3および第4発明において、折板屋根面は平板材を敷設することにより平坦面となっており、その上に前記第1の支持具を支持具として利用して物品を固定することはきわめて容易である。固定する物品は当該フラット化した折板屋根の上に配置することが求められる任意の物品であってよく、一例として、屋根面緑化を望む場合には、前記特許文献1に記載するような保水排水基盤材が挙げられる。他に、ソーラパネルのようなものであってもよい。
【0014】
固定しようとする物品が、屋根勾配方向であるX方向に距離aの間隔で取り付け孔を有し、軒先方向であるY方向には山形部のピッチPaの整数倍の距離n・Paの間隔で取り付け孔を有している場合には、折板屋根のn個毎の山形部に対して前記距離a毎に前記第1の支持具を固定する。また、第1の支持具が通過する貫通孔を前記距離a毎に形成した前記長尺状の押さえ板を用意する。折板屋根の上に前記平板材を敷設した後、前記押さえ板を、前記第1の支持具を固定した山形部に対応する位置において、該貫通孔に第1の支持具を通過させた状態で置く。そして、その上から、前記物品をその取り付け孔内に前記第1の支持具を通過させて平板材の上に置き、その状態で、前記物品を前記第1の支持具に対して固定する。それにより、平板材、長尺状の押さえ板、物品は、フラット化した折板屋根に対して一体に固定することができる。長尺状の押さえ板を平板部材の上に予め固定しておき、その後に物品の配置と固定を行うこともできる。
【0015】
本発明は、また、上記第3発明であるフラット化した折板屋根の上に物品を固定する工法の他の態様として、さらに、前記X方向またはY方向に配置した長尺状の押さえ板に第2の支持具を固定する工程と、前記第2の支持具を少なくとも利用して前記フラット化した屋根面の上に物品を固定する工程とを少なくとも備えることを特徴とするフラット化した折板屋根の上に物品を固定する工法を開示する(請求項4)。また、上記第4発明であるフラット化した折板屋根構造への物品固定構造の他の態様として、さらに、前記X方向またはY方向に配置した長尺状の押さえ板には第2の支持具が固定されており、前記第2の支持具を少なくとも利用して、フラット化した折板屋根構造の上に物品が固定されていることを特徴とするフラット化した折板屋根構造への物品固定構造を開示する(請求項9)。
【0016】
上記第3と第4発明における上記の態様では、物品固定用の第2の支持具を別途利用するようにしており、山形部に固定する第1の支持具の本数は、長尺状の押さえ板を固定するのに必要な本数、例えばX方向の最下位と最上位の2本のみでよくなり、作業を簡素化できる。長尺状の押さえ板に第2の支持具を固定する態様は任意であるが、ボルトナットによる固定態様は作業の容易性から好適である。また、長尺状の押さえ板に第2の支持具を固定するときの第2の支持具間の距離(ピッチ)は前記距離aとされるが、長尺状の押さえ板に長孔である貫通孔を複数個形成しておくことにより、第2の支持具の固定作業が容易化するとともに、前記距離aが異なる物品に対しても、同じ長尺状の押さえ板を利用できる利点がある。この態様において、第2の支持具に加えて、折板屋根の前記山形部に固定した第1の支持具をも前記物品の固定に利用することもできる。
【0017】
本発明は、また、上記第3発明であるフラット化した折板屋根の上に物品を固定する工法のさらに他の態様として、上記した第1発明である折板屋根のフラット化工法の各工程に加え、さらに、前記X方向またはY方向に配置した長尺状の押さえ板に対して、それに直交する方向に任意の長さの補助治具を取り付ける工程、前記補助治具に第3の支持具を固定する工程、前記第3の支持具を少なくとも利用して前記フラット化した屋根面の上に物品を固定する工程を少なくとも備えることを特徴とするフラット化した折板屋根の上に物品を固定する工法を開示する(請求項5)。また、上記第4発明であるフラット化した折板屋根構造への物品固定構造のさらに他の態様として、上記した第2発明であるフラット化した折板屋根構造の上に、さらに、前記X方向またはY方向に配置した長尺状の押さえ板に対して、それに直交する方向に取り付けられて任意の長さの補助治具が取り付けられており、前記補助治具には第3の支持具が固定されており、前記第3の支持具とを少なくとも利用して前記フラット化した屋根面の上に物品が固定されていることを特徴とするフラット化した折板屋根構造への物品固定構造を開示する(請求項10)。
【0018】
上記第3と第4発明における上記の態様は、固定しようとする物品が、その軒先方向であるY方向に、山形部のピッチPaの整数倍でない距離、すなわちn・Py±αの距離に取り付け孔を有している場合に、好適に用いられる。すなわち、第3の支持具を固定した前記補助治具を用いることにより、隣接する山形部間の任意の位置に第3の支持具を立てることが可能となり、それら第3の支持具を少なくとも利用することにより、任意の距離(ピッチ)で取り付け孔を持つ物品の固定ができるようになる。なお、前記X方向のピッチ合わせは、長孔である貫通孔を複数個形成した長尺状の押さえ板を用いることにより、容易に行うことができる。この態様においても、必要な場合には、第3の支持具に加えて、折板屋根の前記山形部に固定した第1の支持具、あるいは長尺状の押さえ板に固定した前記第2の支持具をも、前記物品の固定に選択的に利用することもできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、築後に長い年月が経過した折板屋根であっても、その上に安定的に平板材を固定して屋根面をフラット化することができる。また、フラット化した折板屋根の上に、適宜の物品を安定して固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施の形態に基づき説明する。最初に、第1発明である折板屋根のフラット化工法および第2発明であるフラット化した折板屋根構造について説明する。図1は折板屋根の一例を示す。図2は折板屋根の山形部の頂部に第1の支持具としてのスタッドボルトを固定した状態を、図3は折板屋根の上に例えば発泡樹脂板である平板材を載置した状態を、図4および図6は平板材を長尺状の押さえ板を用いて固定した状態を示しており、図5および図7は平板材を固定してフラット化した折板屋根の一例を示している。
【0021】
図1に示すように、折板屋根Rは、建物の梁1の上に取り付けた取り付け具4に固定ボルト5を立設し、この固定ボルト5に屋根板2に貫通させて固定用ナット6で締め付けることで、屋根板2の屋根躯体に固定している。この形態の折板屋根Rは、屋根勾配方向であるX方向に走る多数の山形部3・・を有し、各山形部3は、軒先方向であるY方向にピッチPaの間隔をおいて、連続して形成されている。また、各山形部3の頂部3a(図2)は平坦面となっている。
【0022】
最初に、そのような既存の折板屋根Rにおける山形部3から、適当ピッチでの適数の山形部3・・を選択して、その頂部3aに第1の支持具を固定する。この例で、第1の支持具の一例としてスタッドボルト10を用いており、該スタッドボルト10の底部11を頂部3aに溶着により固定している。接着剤やビス等で固定することもできる。スタッドボルト10は、好ましくは山形部3のX方向の両端部近傍に少なくとも固定されるが、図7に例示するように、その中間の位置に適数のスタッドボルト10を固定してもよい。
【0023】
なお、第1の支持具の一例としてスタッドボルト10を前記X方向にではなく、そこに直交する方向であるY方向に向けて固定することもできる。その場合には、図5に例示するよう、適当ピッチで適数の山形部3・・を選択し、そこに第1の支持具としてのスタッドボルト10・・を固定する。この場合も、好ましくはスタッドボルト10は当該折板屋根Rの軒先方向(Y方向)の両端部に位置する山形部3、3に少なくとも固定されるが、軒先方向(Y方向)の中間に位置する山形部3・・のいくつかにスタッドボルト10を固定するようにしてもよい。
【0024】
いずれの場合も、スタッドボルト10を固定する山形部3・・のY方向のピッチ、およびスタッドボルト10を山形部3のX方向に固定するピッチは、後記する平板材40を安定的に折板屋根面に固定できるように、施工現場に応じて適宜選択する。なお、本発明による前記第3および第4発明のように、フラット化した折板屋根面に適宜の物品50を固定する場合には、当該物品50に設けられている取り付け孔のピッチ等も考慮して、各ピッチが設定される。
【0025】
適数のスタッドボルト10を固定した後、図3に示すように、例えば発泡樹脂板である平板材40を載置する。平板材40の載置面積は、施工現場の要請に応じて、折板屋根Rの全面である場合もあり、その一部の場合もある。平板材40の載置は単に折板屋根Rの山形部3・・の上に単に置いていくだけでよい。好ましくは、図示のように、平板材40の長手方向が前記Y方向となるようにして載置する。
【0026】
次に、載置した平板材40の複数枚にわたるようにして長尺状の押さえ板20を、平板材40の上に置く。図4と図5に示す例では、長尺状の押さえ板20は前記Y方向に向けて置かれており、図6と図7に示す例では、長尺状の押さえ板20は前記X方向に向けて置かれている。いずれにおいても、押さえ板20には長軸方向に長孔である貫通孔21が長手方向に適数だけ形成されており、該貫通孔21のいずれかに前記固定したスタッドボルト10を貫通させた状態とした後、ナット12により締め付ける。それにより、平板材40の折板屋根Rへの固定作業は終了し、本出願での第2発明であるフラット化した折板屋根構造R1が得られる。
【0027】
なお、図7に示した例では、折板屋根Rの複数の山形部3・・における3本目毎の山形部3毎に,すなわちY方向では3×PaのピッチPb毎の山形部3にスタッドボルト10を固定しており、各山形部3でのX方向におけるスタッドボルト10のピッチXaは載置する平板材40の横幅とほぼ同じとなっている。しかし、ピッチPbはこれに限ることなく任意であり、また、各山形部3でのX方向におけるスタッドボルト10は、当該山形部3の両端部のみであっても差し支えない。
【0028】
図示しないが、図5および図7に示した例において、そのスタッドボルト10(第1の支持具)を利用して適宜の物品(例えば、屋上緑化に必要な適宜の資材あるいは太陽パネル等)をナット締めする等により固定することにより、本出願での第3発明であるフラット化した折板屋根の上に物品を固定する工法、および第4発明であるフラット化した折板屋根構造への物品固定構造の一形態が完成する。図7に示す例において、固定する物品が、Y方向に前記Pb(=3×Pa)のピッチの貫通孔、X方向に前記Xaのピッチの貫通孔を備えているものであるときには、その貫通孔に前記スタッドボルト10を貫通させてナットで締め付けることにより、確実に物品50を固定することができる。
【0029】
図8は、本出願の前記第3および第4発明の他の形態を説明する図であり、ここでは、前記X方向に配置した長尺状の押さえ板20に形成した貫通孔21を利用して第2の支持具である第2のスタッドボルト16を固定するようにしている。この態様は、固定する物品50に形成される前記X方向の貫通孔(取り付け孔)のピッチXc(図示していない)が、前記したXaと異なる場合に有効となる。すなわち、前記ピッチXcにピッチが一致するように貫通孔21内で位置調節しながら、適数の第2の支持具である第2のスタッドボルト16を、長尺状の押さえ板20に固定する。図示しないが、そのようにして固定した第2のスタッドボルト16,および必要な場合には既に固定してあるスタッドボルト10のすべてあるいはいずれかも利用して、物品を固定することにより、本出願での第4発明によるフラット化した折板屋根構造への物品固定構造の他の形態が完成する。
【0030】
なお、特に図示しないが、上記した第2のスタッドボルト16を用いる態様は、図5に示した、長尺状の押さえ板20をY方向に配置した態様においても、方向が90度異なるのみで、同じように適用することができる。
【0031】
図9〜図18は、本出願の前記第3および第4発明のさらに他の形態を説明している。図9〜図13は、図4に示したように前記Y方向に長尺状の押さえ板20を配置した場合での形態(以下、形態Aという)を示し、図14〜図18は、図6に示したように前記X方向に長尺状の押さえ板20を配置した場合での形態(以下、形態Bという)を示している。いずれの形態A,Bでも、補助治具30をさらに用いる点で、既に記載した態様と構成を異にしている。
【0032】
最初に、形態Aを説明する。図9に示すように、Y方向に取り付けた長尺状の押さえ板20に、そこに形成した長孔である貫通孔21を利用して、そこに直交する方向(すなわちX方向)に、補助治具30の適数をボルトナット等の固定具15で固定する。補助治具30は長軸方向に長孔である貫通孔31を有しており、該貫通孔31を利用して第3の支持具である第3のスタッドボルト32を立設する。
【0033】
第3のスタッドボルト32を立設した後の状態が図10に示される。長尺状の押さえ板20に形成した長孔である貫通孔21に沿って補助治具30を前記Y方向にスライドすることにより、各補助治具30のY方向の位置を適宜設定することができる。また、補助治具30に形成した長孔である貫通孔31に沿って前記第3のスタッドボルト32を前記X方向にスライドすることにより、各第3のスタッドボルト32のX方向の位置を適宜設定することができる。従って、固定しようとする物品に形成されるY方向およびX方向の取り付け孔のピッチに合わせて、前記第3のスタッドボルト32に位置決めを行うことができる。
【0034】
図11は、そのようにして位置決めをした第3のスタッドボルト32を利用して物品50を固定した状態を示している。折板屋根Rの上に平板材40・・が載置されることによって折板屋根Rはフラット化した折板屋根構造R1となっており、載置された平板材40は、その上に置かれた長尺状の押さえ板20が山形部3に固定した第1の支持具(スタッドボルト10)を利用して屋根側に固定されていることから、安定した状態となっている。さらに、長尺状の押さえ板20に形成した貫通孔21を利用してY方向に適宜のピッチで適数の補助治具30が固定され、該補助治具30に形成した貫通孔31を利用してX方向に適宜のピッチで適数の第3の支持具(第3のスタッドボルト32)が固定されている。そして、第3の支持具(第3のスタッドボルト32)を利用して、平板材40の上に、適宜の物品50が固定されることにより、第4発明であるフラット化した折板屋根構造への物品固定構造のさらに他の形態が完成する。
【0035】
図12に軒先方向の断面図を、図13に平面図を示すように、上記のようにして、長尺状の押さえ板20、補助治具30および第3の支持具である第3のスタッドボルト32を利用することにより、固定しようとする物品50に形成されているX方向およびY方向の取り付け孔のピッチがどのような場合であっても、補助治具30および第3のスタッドボルト32の取り付け位置をX方向およびY方向で個々に調整することにより、安定した姿勢で物品50を平板材40の上に固定することが可能となる。
【0036】
なお、この形態のフラット化した折板屋根構造への物品固定構造においても、固定しようとする物品50に形成されているX方向およびY方向の取り付け孔のピッチに応じて、必要な場合には、長尺状の押さえ板20に形成した長孔である貫通孔21に前記した第2のスタッドボルト16をさらに固定し、それを物品50の固定用に用いるようにしてもよい。さらに、既に固定してあるスタッドボルト10のすべてあるいはいずれかをも、物品50の固定用に用いるようにしてもよい。
【0037】
次に、形態Bを説明する。形態Bは、前記したように、長尺状の押さえ板20をX方向に配置した点で形態Aと異なっており、また、用いる補助治具30の長さが、折板屋根Rの山形部3のY方向のピッチPaよりも短い長さの補助治具30を用いる点で形態Aと異なっている。その他の点は、形態Aと部材の方向が90度異なっているだけで、それぞれの部材の持ち機能は同じであり、図14〜図18では、同じ部材には同じ符号を付している。
【0038】
形態Bでも、図14に示すように、X方向に配置した長尺状の押さえ板20に、貫通孔21を利用して、前記折板屋根Rの山形部3のY方向のピッチPaよりも短い長さの補助治具30の適数をボルトナット等の固定具15で固定する。また、補助治具30に形成した貫通孔31を利用して第3の支持具である第3のスタッドボルト32を立設する。第3のスタッドボルト32を立設した後の状態が図15に示される。
【0039】
ここでも、長尺状の押さえ板20に形成した長孔である貫通孔21に沿って補助治具30を前記X方向にスライドすることにより、各補助治具30のX方向の位置を適宜設定することができ、また、補助治具30に形成した長孔である貫通孔31に沿って前記第3のスタッドボルト32を前記Y方向にスライドすることにより、各第3のスタッドボルト32のY方向の位置を適宜設定することができる。
【0040】
図16は、そのようにして位置決めをした第3のスタッドボルト32を利用して物品50を固定した状態を示しており、本願第4発明であるフラット化した折板屋根構造への物品固定構造のさらに他の形態が完成する。図17および図18は、前記形態Aでの図12および図13にそれぞれ相当しており、前記したように方向が90度異なっているだけで構造的には実質的に同様であるので、説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】折板屋根の一例を示す図。
【図2】折板屋根の山形部の頂部に第1の支持具としてのスタッドボルトを固定した状態を示す図。
【図3】折板屋根の上に例えば発泡樹脂板である平板材を載置した状態を示す図。
【図4】平板材をY方向に配置した長尺状の押さえ板を用いて固定した状態を示す図。
【図5】Y方向に配置した長尺状の押さえ板を用いて平板材を固定してフラット化した折板屋根の一例を示す全体図。
【図6】平板材をX方向に配置した長尺状の押さえ板を用いて固定した状態を示す図。
【図7】X方向に配置した長尺状の押さえ板を用いて平板材を固定してフラット化した折板屋根の一例を示す全体図。
【図8】フラット化した折板屋根に第2の支持具としての第2のスタッドボルトを取り付けた状態を示す全体図。
【図9】Y方向に配置した長尺状の押さえ板によりフラット化した折板屋根に補助治具と第3の支持具としての第3のスタッドボルトを取り付けた状態を示す部分図。
【図10】Y方向に配置した長尺状の押さえ板によりフラット化した折板屋根に補助治具と第3の支持具としての第3のスタッドボルトを取り付けた状態を示す全体図。
【図11】図10に示したフラット化した折板屋根の上に第3の支持具である第3のスタッドボルトを用いて物品を固定した状態を示す部分図。
【図12】図11に示した構造を軒先側からして示す図。
【図13】図11に示した構造を上から見て示す図。
【図14】X方向に配置した長尺状の押さえ板によりフラット化した折板屋根に補助治具と第3の支持具としての第3のスタッドボルトを取り付けた状態を示す部分図。
【図15】X方向に配置した長尺状の押さえ板によりフラット化した折板屋根に補助治具と第3の支持具としての第3のスタッドボルトを取り付けた状態を示す全体図。
【図16】図15に示したフラット化した折板屋根の上に第3の支持具である第3のスタッドボルトを用いて物品を固定した状態を示す部分図。
【図17】図16に示した構造を軒先側からして示す図。
【図18】図16に示した構造を上から見て示す図。
【図19】平板材を折板屋根に固定して屋根面をフラット化し、その上に物品を固定するようにした従来の例を説明するための図。
【符号の説明】
【0042】
R…折板屋根、2…屋根板、3…山形部、3a…山形部の頂部、5…固定ボルト、10…第1の支持具の一例としてスタッドボルト、11…スタッドボルトの底部、16…第2の支持具である第2のスタッドボルト、20…長尺状の押さえ板、21…長孔である貫通孔、30…補助治具、31…長孔である貫通孔、32…第3の支持具である第3のスタッドボルト、40…例えば発泡樹脂板である平板材、50…物品、R1…フラット化した折板屋根構造
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根勾配方向であるX方向に走る複数個の山形部が軒先方向であるY方向に所定ピッチで連続している折板屋根面を平板材を用いてフラット化する工法であって、
前記山形部の前記X方向における少なくとも2箇所に、またはY方向における少なくとも2箇所に第1の支持具を固定立設する工程、
前記複数個の山形部を覆うようにして平板材を敷設する工程、
前記敷設した平板材の上であって前記少なくとも2箇所に第1の支持具を固定立設した方向に長尺状の押さえ板を置く工程、
前記長尺状の押さえ板を前記第1の支持具を利用して折板屋根側に固定する工程、
を少なくとも備えることを特徴とする折板屋根のフラット化工法。
【請求項2】
平板材として発泡樹脂板を用いることを特徴とする請求項1に記載の折板屋根のフラット化工法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の折板屋根のフラット化工法の各工程に加え、さらに、
前記第1の支持具を利用してフラット化した屋根面の上に物品を固定する工程、
を少なくとも備えることを特徴とするフラット化した折板屋根の上に物品を固定する工法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の折板屋根のフラット化工法の各工程に加え、さらに、
長尺状の押さえ板に第2の支持具を固定する工程、
前記第2の支持具を少なくとも利用して前記フラット化した屋根面の上に物品を固定する工程、
を少なくとも備えることを特徴とするフラット化した折板屋根の上に物品を固定する工法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の折板屋根のフラット化工法の各工程に加え、さらに、
長尺状の押さえ板に、その方向と直交する方向に補助治具を取り付ける工程、
前記補助治具に第3の支持具を固定する工程、
前記第3の支持具を少なくとも利用して前記フラット化した屋根面の上に物品を固定する工程、
を少なくとも備えることを特徴とするフラット化した折板屋根の上に物品を固定する工法。
【請求項6】
屋根勾配方向であるX方向に走る複数個の山形部が軒先方向であるY方向に所定ピッチで連続している折板屋根面における、前記山形部の前記X方向における少なくとも2箇所に、またはY方向における少なくとも2箇所に固定立設された第1の支持具と、
前記複数個の山形部を覆うようにして敷設された平板材と、
前記敷設した平板材の上であって前記少なくとも2箇所に第1の支持具を固定立設した方向に置かれておりかつ前記第1の支持具を利用して折板屋根側に固定された長尺状の押さえ板、
を少なくとも備えることを特徴とするフラット化した折板屋根構造。
【請求項7】
平板材が発泡樹脂板であることを特徴とする請求項6に記載のフラット化した折板屋根構造。
【請求項8】
請求項6または7に記載のフラット化した折板屋根構造の上に、前記第1の支持具を利用して物品が固定されていることを特徴とするフラット化した折板屋根構造への物品固定構造。
【請求項9】
請求項6または7に記載のフラット化した折板屋根構造における長尺状の押さえ板には第2の支持具が固定されており、前記第2の支持具を少なくとも利用して、フラット化した折板屋根構造の上に物品が固定されていることを特徴とするフラット化した折板屋根構造への物品固定構造。
【請求項10】
請求項6または7に記載のフラット化した折板屋根構造における長尺状の押さえ板に、その方向と直交する方向に補助治具が取り付けられており、前記補助治具には第3の支持具が固定されており、前記第3の支持具を少なくとも利用して前記フラット化した屋根面の上に物品が固定されていることを特徴とするフラット化した折板屋根構造への物品固定構造。
【請求項1】
屋根勾配方向であるX方向に走る複数個の山形部が軒先方向であるY方向に所定ピッチで連続している折板屋根面を平板材を用いてフラット化する工法であって、
前記山形部の前記X方向における少なくとも2箇所に、またはY方向における少なくとも2箇所に第1の支持具を固定立設する工程、
前記複数個の山形部を覆うようにして平板材を敷設する工程、
前記敷設した平板材の上であって前記少なくとも2箇所に第1の支持具を固定立設した方向に長尺状の押さえ板を置く工程、
前記長尺状の押さえ板を前記第1の支持具を利用して折板屋根側に固定する工程、
を少なくとも備えることを特徴とする折板屋根のフラット化工法。
【請求項2】
平板材として発泡樹脂板を用いることを特徴とする請求項1に記載の折板屋根のフラット化工法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の折板屋根のフラット化工法の各工程に加え、さらに、
前記第1の支持具を利用してフラット化した屋根面の上に物品を固定する工程、
を少なくとも備えることを特徴とするフラット化した折板屋根の上に物品を固定する工法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の折板屋根のフラット化工法の各工程に加え、さらに、
長尺状の押さえ板に第2の支持具を固定する工程、
前記第2の支持具を少なくとも利用して前記フラット化した屋根面の上に物品を固定する工程、
を少なくとも備えることを特徴とするフラット化した折板屋根の上に物品を固定する工法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の折板屋根のフラット化工法の各工程に加え、さらに、
長尺状の押さえ板に、その方向と直交する方向に補助治具を取り付ける工程、
前記補助治具に第3の支持具を固定する工程、
前記第3の支持具を少なくとも利用して前記フラット化した屋根面の上に物品を固定する工程、
を少なくとも備えることを特徴とするフラット化した折板屋根の上に物品を固定する工法。
【請求項6】
屋根勾配方向であるX方向に走る複数個の山形部が軒先方向であるY方向に所定ピッチで連続している折板屋根面における、前記山形部の前記X方向における少なくとも2箇所に、またはY方向における少なくとも2箇所に固定立設された第1の支持具と、
前記複数個の山形部を覆うようにして敷設された平板材と、
前記敷設した平板材の上であって前記少なくとも2箇所に第1の支持具を固定立設した方向に置かれておりかつ前記第1の支持具を利用して折板屋根側に固定された長尺状の押さえ板、
を少なくとも備えることを特徴とするフラット化した折板屋根構造。
【請求項7】
平板材が発泡樹脂板であることを特徴とする請求項6に記載のフラット化した折板屋根構造。
【請求項8】
請求項6または7に記載のフラット化した折板屋根構造の上に、前記第1の支持具を利用して物品が固定されていることを特徴とするフラット化した折板屋根構造への物品固定構造。
【請求項9】
請求項6または7に記載のフラット化した折板屋根構造における長尺状の押さえ板には第2の支持具が固定されており、前記第2の支持具を少なくとも利用して、フラット化した折板屋根構造の上に物品が固定されていることを特徴とするフラット化した折板屋根構造への物品固定構造。
【請求項10】
請求項6または7に記載のフラット化した折板屋根構造における長尺状の押さえ板に、その方向と直交する方向に補助治具が取り付けられており、前記補助治具には第3の支持具が固定されており、前記第3の支持具を少なくとも利用して前記フラット化した屋根面の上に物品が固定されていることを特徴とするフラット化した折板屋根構造への物品固定構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−231884(P2008−231884A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−77114(P2007−77114)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
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