説明

折畳み形テント

【課題】 天幕を開閉自在に取付けた支柱が天幕に当たった風によって回転することを容易に防止できる折畳み形テントを提供する。
【解決手段】 飾り片24aを周側部に設けて天幕22を開閉自在に取付けた支柱1の下端部近傍の周側部にはボルト挿通孔が径方向に貫通形成する。支持パイプの上端部近傍の周側部にはボルト挿通孔が径方向に貫通形成する。支持台35の支持パイプには支柱1の下端部を嵌挿し、支柱1のボルト挿通孔と支持パイプのボルト挿通孔を重ね合わせ、支持パイプの一方の外側部からボルト挿通孔にボルト44bを貫通させ、他方の外側部のボルト挿通孔から外部に突出したボルト44bには、ナット45を嵌挿し螺合することで支柱1を固定し、支柱1の下端部を支持する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は傘状の折畳み可能な折畳み形テントに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のビーチパラソルのように傘状に開くテントは、例えば実開平1―131310号公報に記載されているように、支柱の下部を支持台に螺合して支持する構造が採られている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
上記の構造のテントでは、支柱を支持台に螺合して支持するために、テントを設置するには支柱を回動させなければならず、設置の作業性が悪く、テントの設置に手数が掛かる問題がある。
【0004】
そこで、支持台の支持部に支柱の下端部を嵌挿支持し、支持台の支持部に螺合したボルトの先端を支柱の外周面に圧接して支柱を固定する構造が考えられる。
【0005】
しかしながら、このような構造では、重量の大きい支持台を用いればテントが強風にあおられても倒されてしまうことはないが、水平方向の回転力に対する抗力が弱いため、テントが支柱を軸にして回転し易く、特に、テントの天幕の外縁部に遮光効果を高めるための庇としての飾り片を設けた場合、横風に対する抵抗が大きくなるため、テントは支柱を軸として回転する問題があった。
【0006】
本考案は上記問題点に鑑みなされたもので、天幕の外縁部に遮光効果を高めるための庇を兼ねた飾り片を設け、テントが強い横風にあおられても、テントが支柱を軸にして回転することを確実に防止でき、また、テントを簡単にかつ安定した状態で設置できる折畳み形テントを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の考案の折畳み形テントは、支柱と、この支柱の上端部に回動自在に軸支され放射方向に延在される複数の主バーと、前記支柱に軸方向に移動自在に嵌合された摺動筒と、前記各主バーの中間部に一端部をそれぞれ回動自在に軸支するとともに他端部を前記摺動筒に回動自在に軸支され放射方向に延在される複数のヒンジバーと、前記支柱の上部位置に出没自在に取付けられスプリングにて突出する方向に付勢され前記摺動筒を前記支柱の上側位置に保持して前記各主バーを展開した状態に支持する係合子と、前記各主バーを上方から覆い周縁部を前記主バーの先端部に着脱自在に止着され中央部に開口部を形成した天幕と、この天幕の中央部に形成した開口部を覆ってこの開口部の周囲に通気隙間を形成して止着され中央部を前記支柱の上端部に着脱自在に止着される覆布と、前記支柱の下端部を挿脱自在に支持する略円筒形の支持部を有する支持台と、前記支柱を支持台に固定するボルトと、このボルトに締付け螺合されるナットと、を具備した折畳み形テントにおいて、前記天幕の外周縁に沿って連続的に複数の飾り片を取付け、前記支持台の支持部およびこの支持部に嵌挿する前記支柱の下端部にそれぞれボルト挿通孔を径方向に貫通形成し、前記支持台の支持部に支柱を嵌挿した状態でこの支持部のボルト挿通孔および支柱の下端部のボルト挿通孔に前記ボルトを貫通し、このボルトの突出部分に前記ナットを螺合したものである。
【0008】
そして、天幕の外周縁に沿って飾り片を取付けたテントでも、支持台の支持部に支柱を嵌挿してこの支持部のボルト挿通孔および支柱の下端部のボルト挿通孔に前記ボルトを貫通させることにより支柱の回転が確実に防止でき、また、テントの支柱を容易に安定して支持することができる。
【0009】
【考案の実施の形態】
次に、本考案の折畳み形テントの一実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1において、支柱1は略円筒形のパイプにて形成され、図5において、下端部近傍の周側部には一対のボルト挿通孔1aが径方向に貫通形成されている。
【0011】
図3に示すように、この支柱1の上端部に嵌合固着した軸支体2には、腕部3が90°間隔で四方向に放射状に突設され、この腕部3の側部には、主バー4を嵌合するための軸支部5が形成されている。この各主バー4は四本あり、四本とも略同一の長さを有する断面正方形状のパイプにて形成され、この主バー4の上端部は前記軸支体2の軸支部5に嵌合されて支軸6にて回動自在に軸支され、四方向に放射状に延在される。
【0012】
また、ヒンジバー7は上面部7aと両側面部7bとからなる略コ字状に形成され、この四本のヒンジバー7の一端部の上面部7aには切り欠き軸支部7cが形成され、この軸支部7cの両側面部7bが前記主バー4の中間部に嵌合されてこの両側面部7bが主バー4に回動自在に支軸8にて軸支されている。この各ヒンジバー7の他端部は前記支柱1に軸方向に移動自在に嵌合された摺動筒9に回動自在に軸支されている。
【0013】
前記摺動筒9は内径が支柱1の外径と略同一の略円筒形で、外周部には、前記軸支体2に形成した軸支部5に対応して、腕部10が90°間隔で四方向に放射状に突設され、この腕部10の側部には前記ヒンジバー7の他端部を嵌合する軸支部11が形成され、この軸支部11に嵌合されたヒンジバー7の他端部は支軸12にて回動自在に軸支されて四本のヒンジバー7は放射方向に延在される。
【0014】
前記支柱1の上側部位置には図4に示すように、縮径した軸支部13を形成し、この軸支部13には支軸14の両端部を軸支する軸孔15が形成されている。そして、図2に示すように、前記支軸14にて係合子16の下端部が支柱1内にて回動自在に軸支されてこの係合子16の上部は前記支柱1の上部位置に出没可能となっている。この係合子16の上部に支柱1の内方に向って突設した突部17が設けられ、この突部17と支柱1内に設けた筒状受け部18とにコイル状のスプリング19の両端が支持され、このスプリング19にて係合子16の上部は支柱1に形成した長溝20から突出する方向に付勢されている。また、この係合子16の上部には前記摺動筒9の下端に係合してこの摺動筒9を前記支柱1の上側位置に保持し、前記各主バー4が放射状に展開した状態に支持する係合段部21が形成されている。
【0015】
また、図1において、22は天幕で、前記展開状態の主バー4間の空間形状に近似した略三角形状の天幕片23を縫着してまたは一体に形成して略矩形形状に形成され、この天幕22は前記各主バー4を上方から覆うようになっている。この天幕22の中央部に略矩形形状の開口部(図示せず)が形成され、この天幕22の開口部(図示せず)を覆う覆布26がこの開口部(図示せず)の周囲に通気隙間25を形成するように適宜箇所を縫着などにより止着されている。そして、この天幕22の四方の周縁部には、飾り片24aが設けられている。この飾り片24aは、略矩形で、各周縁部に複数枚連続的に取付けられており、各飾り片24a,24a間には隙間が形成されている。
【0016】
また、前記覆布26にはその中央部に前記支柱1の上端部に嵌着した軸支体2の頂部に形成されているねじ孔27に螺合されるボルト状の止具28を挿通する通孔が形成され、この通孔から挿通されてねじ孔27に螺合される止具28にて覆布26は着脱自在に軸支体2に止着される。
【0017】
また、図3に示すように、この天幕22の周縁角隅部には主バー4の先端開口面29に係合するフック体30が設けられている。このフック体30は前記主バー4の先端に着脱自在に圧入嵌着されるキャップ体31にて保持される。なお、この天幕22の角隅部には必要に応じて固定用のロープ32の一端が止着され、このロープ32の他端にアンカー33が取付けられる。
【0018】
また、図1に示す支持台35は中央部に上下方向の貫通孔36を有する略環状容器体37にて形成されている。この支持台35の前記支柱1の下端部を挿脱自在に支持する支持部38は、図5に示すように、容器体37の中央部に形成した貫通孔36に嵌挿される支持パイプ39にて形成され、この支持パイプ39の下端を固着した底板40は前記容器体37の底面において貫通孔36の周縁凹部42で容器体37にねじ41にて固定されている。また、前記支持パイプ39の上端近傍を嵌挿して熔着固着した上板43は前記容器体37の上面において貫通孔36の周縁凹部44で容器体37にねじ41にて固定されている。
【0019】
そして、前記支持台35の支持パイプ39の上端部近傍の周側部には、ボルト挿通孔44aが径方向に貫通形成されている。そして、このボルト挿通孔44aからボルト44bが嵌挿され、このボルト挿通孔44aから突出したボルト44bの先端にはナット45が螺合される。
【0020】
また、前記容器体37の一側部に形成した凹部46には筒状の注入口47が形成され、この注入口47は蓋体48にて開閉自在に閉塞されるようになっている。
【0021】
さらに、この容器体37の他側部に形成した凹部49には把手50が架橋形成されている。
【0022】
次に、この実施の形態の作用を説明する。
【0023】
支持台35を形成する容器体37の注入口47から水、砂などを注入してこの注入口47を蓋体48にて閉塞することにより、容器体37は重量が増加して安定性が保持される。
【0024】
また、天幕22の中央部に取付けられた覆布26の中央通孔から支柱1の上端部に嵌着した軸支体2の頂部に形成されているねじ孔27にボルト状の止具28を挿通螺合して天幕22の中央部を止着する。
【0025】
また、天幕22の周縁角隅部に設けたフック体30を主バー4の先端開口面29に係合し、このフック体30を前記主バー4の先端に着脱自在にキャップ体31を圧入嵌着してフック体30と主バー4との係合を保持することにより、天幕22は取付けられる。
【0026】
そして、図5に示すように、支持台35の支持パイプ39には支柱1の下端部を嵌挿し、支柱1のボルト挿通孔1aと支持パイプ39のボルト挿通孔44aを重ね合わせ、支持パイプ39の一方の外側部からボルト挿通孔44a,1aにボルト44bを貫通させ、支持パイプ39のボルト挿通孔44aから外部に突出したボルト44bには、ナット45を締付け螺合することにより、ボルト44bは支柱1と支持パイプ39を貫通して、支柱1は支持パイプ39に回り止め固定される。
【0027】
この状態で、摺動筒9を上方に摺動すると、この摺動筒9にヒンジバー7を介して軸着した主バー4が支柱1の上端部にて軸支体2の支軸6を中心として上方に回動して天幕22は展開される。このとき、支柱1の上部位置に出没自在に取付けられた係合子16は外縁部を摺動筒9にてスプリング19に抗して押圧され、支柱1の表面の長溝20から突出していた係合子16の上部は支柱1内に没入され、摺動筒9が係合子16の位置を通過すると、係合子16はスプリング19の付勢力にて突出し、この係合子16の上部の係合段部21が摺動筒9の下縁部に係合し、摺動筒9の下降を阻止し、図1に示すように各主バー4が放射状に展開した状態に支持する。この主バー4が展開した状態でテントの設置が完了する。この状態で、略同一長の主バー4とヒンジバー7とをそれぞれ四本として90°方向に延在させ、天幕22は矩形状に形成されているので、複数のテントを並設しても天幕部が連接されて間隙が生じることなく、多人数の集会のテントにも利用でき、また、通路の雨避けとしても利用できる。
【0028】
なお、摺動筒9が支柱1を昇降摺動するときに、係合子16の支軸14は支柱1の左右から絞り込んだ軸支部13に軸支したため、支軸14は支柱1の表面から突出されないので摺動筒9は係合子16の支軸14に引っ掛かることなく円滑に摺動される。
【0029】
また、前記天幕22の四方の周縁部に飾り片24aを設けたことにより、庇となって、テント内への直射日光の照射量が減少してテントの遮光効果が高まる。
【0030】
さらに、飾り片24aには、広告を表示して広告宣伝効果を高めることができる。
【0031】
そして、支柱1のボルト挿通孔1aと支持パイプ39のボルト挿通孔44aにボルト44bが貫通され、支持パイプ39のボルト挿通孔44aから外部に突出したボルト44bにナット45を螺合されて支柱1が支持パイプ39に固定されていることにより、支柱1の回転は確実に防止できる。
【0032】
なお、主バー4を展開させた状態で支柱1を支持台35に支持することもできる。
【0033】
そして、テントの天幕22は中央部の開口部(図示せず)の周囲に取着した覆布26にて通気隙間25が形成され、テント内に強風が吹き込んでも通気隙間25から吹き抜ける。
【0034】
また、テントが展開した状態から折り畳む場合には、係合子16をスプリング19に抗して押圧し、係合子16を長溝20から支柱1の内方に没入させると、係合段部21と摺動筒9との係合が解け、摺動筒9は主バー4、ヒンジバー7および天幕22の重量で下降し、図2に示すように折り畳まれる。
【0035】
なお、主バー4とヒンジバー7はそれぞれ四本として90°方向に延在させたため、天幕22は矩形状に設置される。
【0036】
また、支持台35の支柱1を支持する支持部38は、容器体37の中央部に形成した貫通孔36に嵌挿されされた支持パイプ39の下端を固着した底板40と上端近傍を嵌挿固着した上板43とを容器体37の下面と上面とにそれぞれ止着することにより簡単な構造で形成される。
【0037】
さらに、前記容器体37の一側凹部46に筒状の注入口47を形成したため、注入口47が突出されることがなく、また、容器体37の他側凹部49に把手50を架橋形成したため、テントの設置時に水を注入した状態で支持台35を転がして移動させても注入口47が破損することはなく、また、作業時に把手50が邪魔になることがない。
【0038】
【考案の効果】
請求項1記載の考案によれば、天幕の外周縁に沿って飾り片を取付けたテントでも、支持台の支持部に支柱を嵌挿してこの支持部のボルト挿通孔および支柱の下端部のボルト挿通孔に前記ボルトを貫通させることにより支柱の回転が確実に防止でき、また、テントの支柱を容易に安定して支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例を示す折畳み形テントを展開した状態の斜視図である。
【図2】同上折り畳んだ状態の斜視図である。
【図3】同上支柱と主バーおよびヒンジバー部の一部を切り欠いた正面図である。
【図4】同上支柱の一部の正面図である。
【図5】同上支持台と支柱の一部を切り欠いた正面図である。
【符号の説明】
1 支柱
4 主バー
7 ヒンジバー
9 摺動筒
16 係合子
19 スプリング
22 天幕
24a 飾り片
25 通気隙間
26 覆布
35 支持台
38 支持部
44a ボルト挿通孔
44b ボルト
45 ナット

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 支柱と、この支柱の上端部に回動自在に軸支され放射方向に延在される複数の主バーと、前記支柱に軸方向に移動自在に嵌合された摺動筒と、前記各主バーの中間部に一端部をそれぞれ回動自在に軸支するとともに他端部を前記摺動筒に回動自在に軸支され放射方向に延在される複数のヒンジバーと、前記支柱の上部位置に出没自在に取付けられスプリングにて突出する方向に付勢され前記摺動筒を前記支柱の上側位置に保持して前記各主バーを展開した状態に支持する係合子と、前記各主バーを上方から覆い周縁部を前記主バーの先端部に着脱自在に止着され中央部に開口部を形成した天幕と、この天幕の中央部に形成した開口部を覆ってこの開口部の周囲に通気隙間を形成して止着され中央部を前記支柱の上端部に着脱自在に止着される覆布と、前記支柱の下端部を挿脱自在に支持する略円筒形の支持部を有する支持台と、前記支柱を支持台に固定するボルトと、このボルトに締付け螺合されるナットと、を具備した折畳み形テントにおいて、前記天幕の外周縁に沿って連続的に複数の飾り片を取付け、前記支持台の支持部およびこの支持部に嵌挿する前記支柱の下端部にそれぞれボルト挿通孔を径方向に貫通形成し、前記支持台の支持部に支柱を嵌挿した状態でこの支持部のボルト挿通孔および支柱の下端部のボルト挿通孔に前記ボルトを貫通し、このボルトの突出部分に前記ナットを螺合したことを特徴とする折畳み形テント。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【登録番号】実用新案登録第3088191号(U3088191)
【登録日】平成14年6月12日(2002.6.12)
【発行日】平成14年8月30日(2002.8.30)
【考案の名称】折畳み形テント
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2002−921(U2002−921)
【出願日】平成14年2月26日(2002.2.26)
【出願人】(593218794)重工業株式会社 (1)