説明

抵抗溶接装置

【課題】一対の電極の最適な交換時期を判定することができる抵抗溶接装置を提供する。
【解決手段】複数の被溶接材の溶接部分を加圧し溶接電流を通電して溶接させる一対の電極11,13と、溶接前の一対の電極11,13間の溶接前長さH1と溶接後の一対の電極11,13間の溶接後長さH2とを測定する測定手段15と、この測定手段15が測定した溶接前長さH1と溶接後長さH2とから一対の電極11,13の沈込量Hを演算する演算手段17とを備えた抵抗溶接装置1において、演算手段17が演算した沈込量Hを蓄積した過去沈込量Hnと、演算手段17が演算した直近の沈込量Hとから一対の電極11,13の交換を判定する電極交換判定手段19を有した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、抵抗溶接装置としては、被溶接材の溶接部分を一対の電極によって加圧し、溶接電流の通電による抵抗発熱を利用して溶接部分を抵抗溶接するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この抵抗溶接装置では、溶接部分の溶接幅を測定する幅測定手段と、基準溶接断面積に基づいて溶接幅から溶接部分の基準溶接高さを逆算する演算手段と、溶接部分の高さが基準溶接高さに達したか否かを検出する高さ検出手段とを備えている。
【0004】
そして、高さ検出手段による溶接部分の基準溶接高さの検出時に溶接電流の通電を停止させるインターフェースと、この溶接電流の通電開始から通電停止までの通電時間を表示する表示手段とを備えることにより、抵抗溶接前の被溶接材の溶接部分の状態の良否が検出され、溶接品質のバラツキをなくして溶接品質を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−5176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような抵抗溶接装置では、溶接品質を向上させるために、被溶接材の溶接部分の溶接高さを求め、その閾値内に合うように溶接電流や通電時間を変化させるような熱量を変化させることが多かった。
【0007】
一般的には、1台の抵抗溶接装置に対して単一の被溶接材の組合せを溶接する、すなわち1組の電極に対して単一の被溶接材の組合せを溶接することは希である。このため、製造される被溶接材の組合せは多岐に渡るので、被溶接材に与えられる熱量も高いものから低いものまで広範囲となっている。
【0008】
しかしながら、一対の電極の交換時期は、通常、経験的に限界溶接数を定められていることが一般的であり、被溶接材の組合せが異なるものを溶接した場合でも、設定された溶接数で電極の交換を行う。このため、一対の電極の状態が引き続き使用できるにも関わらず、破棄されてしまうことがあった。
【0009】
そこで、この発明は、一対の電極の最適な交換時期を判定することができる抵抗溶接装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、複数の被溶接材の溶接部分を加圧し溶接電流を通電して溶接させる一対の電極と、溶接前の前記一対の電極間の溶接前長さと溶接後の前記一対の電極間の溶接後長さとを測定する測定手段と、この測定手段が測定した溶接前長さと溶接後長さとから前記一対の電極の沈込量を演算する演算手段とを備えた抵抗溶接装置であって、前記演算手段が演算した沈込量を蓄積した過去沈込量と、前記演算手段が演算した直近の沈込量とから前記一対の電極の交換を判定する電極交換判定手段を有することを特徴とする。
【0011】
この抵抗溶接装置では、演算手段が演算した沈込量を蓄積した過去沈込量と、演算手段が演算した直近の沈込量とから一対の電極の交換を判定する電極交換判定手段を有するので、一対の電極の独自の消耗を検出することができ、的確な一対の電極の交換時期を判定することができる。
【0012】
従って、このような抵抗溶接装置では、一対の電極を無駄に破棄することがなく、一対の電極の最適な交換時期を判定することができる。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の抵抗溶接装置であって、前記電極交換判定手段は、前記過去沈込量の平均沈込量と前記過去沈込量の標準偏差の3倍とを合わせた電極交換沈込量と電極交換基準値とを比較し、前記電極交換沈込量が前記電極交換基準値を超えて、かつ前記直近の沈込量が前記電極交換基準値を超えたときに前記一対の電極の交換を判定することを特徴とする。
【0014】
この抵抗溶接装置では、電極交換判定手段が電極交換沈込量が電極交換基準値を超えて、かつ直近の沈込量が電極交換基準値を超えたときに一対の電極の交換を判定するので、電極交換沈込量又は直近の沈込量のみが電極交換基準値を超えただけで、電極交換判定手段が一対の電極の交換を判定することがなく、一対の電極の交換時期をより最適に判定することができる。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の抵抗溶接装置であって、前記電極交換判定手段は、前記過去沈込量を少なくとも100以上蓄積することを特徴とする。
【0016】
この抵抗溶接装置では、電極交換判定手段が過去沈込量を少なくとも100以上蓄積するので、電極交換判定手段が広い範囲の過去沈込量から一対の電極の交換時期を判定することができ、一対の電極の交換を判定する判定精度を向上することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、一対の電極の最適な交換時期を判定することができる抵抗溶接装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)は本発明の実施の形態に係る抵抗溶接装置の一対の電極の溶接前の模式図である。(b)は本発明の実施の形態に係る抵抗溶接装置の一対の電極の溶接後の模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る抵抗溶接装置のブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る抵抗溶接装置における電極交換基準値と強度閾値の一例を示す表である。
【図4】本発明の実施の形態に係る抵抗溶接装置における電極交換沈込量と平均沈込量の溶接数に対する沈込量の変化を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る抵抗溶接装置の電極交換判定手段における電極交換の判定の一例を示す表である。
【図6】本発明の実施の形態に係る抵抗溶接装置の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜図6を用いて本発明の実施の形態に係る抵抗溶接装置について説明する。
【0020】
本実施の形態に係る抵抗溶接装置1は、複数の被溶接材としての一対の電線3,5の溶接部分としての複数の芯線7,9を加圧し溶接電流を通電して溶接させる一対の電極11,13と、溶接前の一対の電極11,13間の溶接前長さH1と溶接後の一対の電極11,13間の溶接後長さH2とを測定する測定手段15と、この測定手段15が測定した溶接前長さH1と溶接後長さH2とから一対の電極11,13の沈込量Hを演算する演算手段17とを備えている。
【0021】
そして、演算手段17が演算した沈込量Hを蓄積した過去沈込量Hnと、演算手段17が演算した直近の沈込量Hとから一対の電極11,13の交換を判定する電極交換判定手段19を有する。
【0022】
また、電極交換判定手段19は、過去沈込量Hnの平均沈込量Haと過去沈込量Hnの標準偏差σの3倍とを合わせた電極交換沈込量Ha+3σと電極交換基準値Hsとを比較し、電極交換沈込量Ha+3σが電極交換基準値Hsを超えて、かつ直近の沈込量Hが電極交換基準値Hsを超えたときに一対の電極11,13の交換を判定する。
【0023】
さらに、電極交換判定手段19は、過去沈込量Hnを少なくとも100以上蓄積する。
【0024】
図1に示すように、一対の電極11,13は、例えば、図示外の装置本体に設けられた載置台などの載置部とエアシリンダなどの駆動部との間に設けられている。また、一対の電極11,13は、溶接電流を供給する溶接トランス(不図示)にそれぞれ接続されている。なお、溶接トランスやエアシリンダなどは、溶接電流、電圧、溶接電流の通電時間、一対の電極11,13間の加圧力などを制御する制御手段(不図示)に接続されている。
【0025】
この一対の電極11,13間には、一対の電線3,5の複数の芯線7,9が重ね合わせて配置され、この複数の芯線7,9を加圧し溶接電流を通電することによって抵抗溶接する。なお、芯線7,9の両側には、セラミックなどからなる補助部材21,23が位置される。このような芯線7,9の溶接長さは、測定手段15によって測定される。
【0026】
図1,図2に示すように、測定手段15は、一対の電極11,13間に複数の芯線7,9が配置され加圧されたときの溶接前の一対の電極11,13間の溶接前長さH1と、一対の電極11,13に溶接電流を通電し複数の芯線7,9を溶接したときの溶接後の一対の電極11,13間の溶接後長さH2とを測定する。この測定手段15によって測定された溶接前長さH1と溶接後長さH2との結果は、演算手段17に送られる。
【0027】
演算手段17は、測定手段に接続され、溶接前長さH1から溶接後長さH2を引いた長さである一対の電極11,13の沈込量Hを演算する。ここで、一対の電極11,13は、溶接の回数が増加するにつれて、電極表面の酸化膜の増大や有機物の付着による表面抵抗の上昇に伴う熱量の増加、電極の摩耗部分や損傷部分への芯線7,9の入り込みなどによって沈込量Hが増加する。
【0028】
このような溶接数の増加に伴う沈込量Hの増加は、一対の電極11,13の寿命と関係するが、例えば、一対の電極11,13間に対する芯線7,9のセットミスなどによる突発的な沈込量Hの増加は一対の電極11,13の寿命と関係しない。そこで、この演算手段17によって演算された沈込量Hは、電極交換判定手段19に蓄積され、一対の電極11,13の寿命に関係するものだけで一対の電極11,13の交換時期が判定される。
【0029】
電極交換判定手段19は、演算手段17に接続され、ここでは、一対の電極11,13による溶接数100回分の沈込量Hが蓄積されて過去沈込量Hnとされる。また、電極交換判定手段19は、過去沈込量Hnの平均沈込量Haと過去沈込量Hnの標準偏差σとを算出し、平均沈込量Haと標準偏差σの3倍とを合わせた電極交換沈込量Ha+3σを算出する。
【0030】
この電極交換判定手段19は、算出された電極交換沈込量Ha+3σと電極交換基準値Hsとを比較し、電極交換沈込量Ha+3σが電極交換基準値Hsを超えて、かつ直近の沈込量Hが電極交換基準値Hsを超えたときに一対の電極11,13の交換を判定する。なお、電極交換判定手段19が一対の電極11,13を交換すべきであると判定した場合には、装置本体に設けられた表示画面などの表示手段(不図示)に表示され、ユーザに告知される。
【0031】
ここで、電極交換基準値Hsは、一対の電極11,13による過溶着によって発生する溶接された複数の芯線7,9のバリの長さなどをもとに、外観が異常となるときの沈込量としている。また、電極交換基準値Hsは、過溶着によって溶接された複数の芯線7,9の引張強度が規格以下になるときの沈込量となる強度上限Hmaxより低く設定されている。なお、本実施の形態における電極交換基準値Hsと強度上限Hmax及び強度下限Hminの一例を図3の表に示すが、用いる被溶接材によってこれらの値は異なる。
【0032】
このような電極交換判定手段19によって得られる溶接数に対する電極交換沈込量Ha+3σの変化の一例を図4に示し、このときの電極交換判定手段19による一対の電極11,13の交換の判定の一例を図5の表に示す。
【0033】
なお、ここでは、一対の電線3,5の芯線7,9の組合せは3本となっており、電極交換基準値Hsを0.31(mm)、強度上限Hmaxを0.52(mm)、強度下限Hminを0.07(mm)としている。また、一対の電極11,13の加圧力は300kgf、溶接電流は3000〜5000A、電圧は1V以下となっている。また、電極交換沈込量Ha+3σは、1回目〜100回目の100回分の過去沈込量Hnから算出され、101回目からは1回目の沈込量を削除するように、常に100回分の過去沈込量Hnから算出されるように設定されている。また、図4では、溶接数に対する平均沈込量Haの変化も示している。また、図5に示す表では、溶接数が3つ飛ばしとなっているが、これは芯線7,9の組合せを3種類で行っており、3本の組合せのみを抽出しているためである。
【0034】
図4に示すように、電極交換沈込量Ha+3σは、溶接数が増加するにつれてその沈込量(mm)が増加している。この電極交換沈込量Ha+3σが電極交換基準値Hsを超えた状態で、かつ次に溶接された芯線7,9の沈込量Hが電極交換基準値Hsを超えたとき、電極交換判定手段19は一対の電極11,13を交換すべきであると判定する。
【0035】
詳細には、図5の表に示すように、溶接数が15730(回)であるとき、沈込量Hは0.32(mm)となって電極交換基準値Hsの0.31(mm)を超えているが、その前の溶接数15727(回)の電極交換沈込量Ha+3σは0.306(mm)となって電極交換基準値Hsの0.31(mm)を超えていない。この状態は、電極交換沈込量Ha+3σが電極交換基準値Hsを超えた状態で、かつ次に溶接された芯線7,9の沈込量Hが電極交換基準値Hsを超えた場合に該当しないので、電極交換判定手段19は一対の電極11,13を交換すべきでないと判定する。
【0036】
また、溶接数15730(回)の電極交換沈込量Ha+3σは0.310(mm)となって電極交換基準値Hsの0.31(mm)を超えているが、次の溶接数15731(回)の沈込量Hは0.24(mm)となって電極交換基準値Hsの0.31(mm)を超えていない。このため、電極交換判定手段19は一対の電極11,13を交換すべきでないと判定する。なお、同様に溶接数15731(回)〜15740(回)の電極交換沈込量Ha+3σは0.311(mm)となって電極交換基準値Hsの0.31(mm)を超えているが、次の沈込量Hが電極交換基準値Hsを超えていないので、電極交換判定手段19は一対の電極11,13を交換すべきでないと判定する。
【0037】
また、溶接数が17219(回)、17341(回)であるとき、いずれの沈込量Hも電極交換基準値Hsの0.31(mm)を超えているが、その前の溶接数17216(回)、17338(回)のいずれの電極交換沈込量Ha+3σも電極交換基準値Hsの0.31(mm)を超えていない。このため、電極交換判定手段19は一対の電極11,13を交換すべきでないと判定する。
【0038】
そして、溶接数が17342(回)〜17840(回)では電極交換沈込量Ha+3σが電極交換基準値Hsの0.31(mm)を超えている状態が続いており、溶接数17834(回)となったとき沈込量Hが0.38(mm)となって電極交換基準値Hsの0.31(mm)を超えている。この状態は、電極交換沈込量Ha+3σが電極交換基準値Hsを超えた状態で、かつ次に溶接された芯線7,9の沈込量Hが電極交換基準値Hsを超えた場合に該当するので、電極交換判定手段19は一対の電極11,13を交換すべきと判定する。
【0039】
このような電極交換判定手段19の判定を含む抵抗溶接装置1の制御について、図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0040】
まず、一対の電極11,13は、一対の電線3,5の芯線7,9を挟み込んで加圧する(S1)。このとき、測定手段15は、一対の電極11,13間の長さである溶接前長さH1を測定する(S2)。次に、一対の電極11,13に通電して芯線7,9を溶接する(S3)。この後、測定手段15は溶接後長さH2を測定し、演算手段17は溶接前長さH1と溶接後長さH2とから沈込量Hを演算する(S4)。
【0041】
次に、電極交換判定手段19は、直近の沈込量Hが強度上限Hmaxと強度下限Hminの範囲である強度閾値外にあるか否かを判断する(S5)。沈込量Hが強度閾値外にある場合には、その溶接された一対の電線3,5が強度を満たさないと判定する(S6)。沈込量Hが強度閾値外にない場合には、その溶接された一対の電線3,5が強度を満たすと判定し(S7)、沈込量Hが電極交換基準値Hs外にあるか否かを判断する(S8)。
【0042】
沈込量Hが電極交換基準値Hs内にある場合には、一対の電極11,13の寿命ではないと判定し、次の一対の電線3,5の溶接に進む(S9)。沈込量Hが電極交換基準値Hs外にある場合には、直近の沈込量Hを含まない溶接数n回分の過去沈込量Hnをもとに平均沈込量Haと標準偏差σを計算し、電極交換沈込量Ha+3σを求める(S10)。
【0043】
そして、電極交換判定手段19は、電極交換沈込量Ha+3σが電極交換基準値Hs外にあるか否かを判断する(S11)。電極交換沈込量Ha+3σが電極交換基準値Hs内にある場合には、一対の電極11,13の寿命ではないと判定し、次の一対の電線3,5の溶接に進む(S9)。電極交換沈込量Ha+3σが電極交換基準値Hs外にある場合には、一対の電極11,13の寿命であると判定し、一対の電極11,13の交換時期であるとのメッセージを表示手段に表示する(S12)。
【0044】
このような抵抗溶接装置1では、演算手段17が演算した沈込量Hを蓄積した過去沈込量Hnと、演算手段17が演算した直近の沈込量Hとから一対の電極11,13の交換を判定する電極交換判定手段19を有するので、一対の電極11,13の独自の消耗を検出することができ、的確な一対の電極11,13の交換時期を判定することができる。
【0045】
従って、このような抵抗溶接装置1では、一対の電極11,13を無駄に破棄することがなく、一対の電極11,13の最適な交換時期を判定することができる。
【0046】
また、電極交換判定手段19は、電極交換沈込量Ha+3σが電極交換基準値Hsを超えて、かつ直近の沈込量Hが電極交換基準値Hsを超えたときに一対の電極11,13の交換を判定するので、電極交換沈込量Ha+3σ又は直近の沈込量Hのみが電極交換基準値Hsを超えただけで、電極交換判定手段19が一対の電極11,13の交換を判定することがなく、一対の電極11,13の交換時期をより最適に判定することができる。
【0047】
さらに、電極交換判定手段19は、過去沈込量Hnを少なくとも100以上蓄積するので、電極交換判定手段19が広い範囲の過去沈込量Hnから一対の電極11,13の交換時期を判定することができ、一対の電極11,13の交換を判定する判定精度を向上することができる。
【0048】
なお、本発明の実施の形態に係る抵抗溶接装置では、電線の芯線の組合せを3本としているが、これに限らず、電線の組合せはどのような種類であってもよく、この組合せに合わせて電極交換基準値と強度閾値を設定すればよい。
【0049】
また、電極交換判定手段は、過去沈込量の蓄積を100としているが、これに限らず、さらに多くの過去沈込量を蓄積してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…抵抗溶接装置
3,5…電線(被溶接材)
7,9…芯線(溶接部分)
11,13…電極
H1…溶接前長さ
H2…溶接後長さ
H…沈込量
15…測定手段
17…演算手段
Hn…過去沈込量
19…電極交換判定手段
Ha…平均沈込量
σ…標準偏差
Ha+3σ…電極交換沈込量
Hs…電極交換基準値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被溶接材の溶接部分を加圧し溶接電流を通電して溶接させる一対の電極と、溶接前の前記一対の電極間の溶接前長さと溶接後の前記一対の電極間の溶接後長さとを測定する測定手段と、この測定手段が測定した溶接前長さと溶接後長さとから前記一対の電極の沈込量を演算する演算手段とを備えた抵抗溶接装置であって、
前記演算手段が演算した沈込量を蓄積した過去沈込量と、前記演算手段が演算した直近の沈込量とから前記一対の電極の交換を判定する電極交換判定手段を有することを特徴とする抵抗溶接装置。
【請求項2】
請求項1記載の抵抗溶接装置であって、
前記電極交換判定手段は、前記過去沈込量の平均沈込量と前記過去沈込量の標準偏差の3倍とを合わせた電極交換沈込量と電極交換基準値とを比較し、前記電極交換沈込量が前記電極交換基準値を超えて、かつ前記直近の沈込量が前記電極交換基準値を超えたときに前記一対の電極の交換を判定することを特徴とする抵抗溶接装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の抵抗溶接装置であって、
前記電極交換判定手段は、前記過去沈込量を少なくとも100以上蓄積することを特徴とする抵抗溶接装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−86108(P2013−86108A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226745(P2011−226745)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)