押出形材のカシメ装置
【課題】任意の断面形状を呈する押出形材同士を、それらの押出方向と垂直な方向に沿って容易且つ強固にカシメられる押出形材のカシメ装置を提供する。
【解決手段】押出形材同士を押出方向と垂直な方向に沿ってカシメする装置であり、一方の押出形材における基板の一端部に設けたL形片とその先端に設けた曲げ片に囲まれ且つ基板側に開口する凹溝に、他方の押出形材における基板の一端部に設けた凸形部を挿入した状態で、上記L形片および曲げ片の通過を許容する隙間x1を有する左右一対のガイドローラR1,r1と、係るガイドローラR1,r1の後方に配置され、係るガイドローラR1,r1間を通過した上記曲げ片が上記凸形部の側面にほぼ接触するように当該曲げ片をL形片の側壁寄りに押圧する左右一対のカシメローラR3,r3と、これらの間に配置した左右一対の中間ローラR2,r2と、を含む、押出形材のカシメ装置20。
【解決手段】押出形材同士を押出方向と垂直な方向に沿ってカシメする装置であり、一方の押出形材における基板の一端部に設けたL形片とその先端に設けた曲げ片に囲まれ且つ基板側に開口する凹溝に、他方の押出形材における基板の一端部に設けた凸形部を挿入した状態で、上記L形片および曲げ片の通過を許容する隙間x1を有する左右一対のガイドローラR1,r1と、係るガイドローラR1,r1の後方に配置され、係るガイドローラR1,r1間を通過した上記曲げ片が上記凸形部の側面にほぼ接触するように当該曲げ片をL形片の側壁寄りに押圧する左右一対のカシメローラR3,r3と、これらの間に配置した左右一対の中間ローラR2,r2と、を含む、押出形材のカシメ装置20。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム合金などからなる押出形材同士をカシメにより互いに連結するためのカシメ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム合金からなる押出形材は、断面形状が任意に設計できるため、各種の分野で広く活用されている。例えば、断面が板形状の押出形材同士をそれらの端部に設けた雄形・雌形の嵌合部を嵌合することで、押出方向と垂直な方向に沿って幅の広いスペースを有するパネル状の構造体を容易に構成することができる。
しかし、上記雄・雌嵌合による連結では、断面が板形状で隣接する押出形材同士の嵌合部において、係る嵌合部が位置する側とその反対側とでは、連結強度が著しく相違する。このため、嵌合のみによる連結では、例えば野外に長期間にわたり設置する道路案内板や選挙告示板などに用いた場合、不用意な外力によりガタ付きなどを生じ易い、という問題があつた。
【0003】
押出形材の利点を生かし、溶接のような特別の設備を要することなく、押出形材同士をカシメる技術については、これまで十分に開発が行われていなかった。
例えば、アルミニウム合金からなる押出形材と板材とをカシメにより連結するため、押出形材の端面に開口する凹溝に板材の端部辺を挿入し、前記押出形材における端面と垂直な両側面の一方を支持する受けロールと、係る受けローラと対向して上記押出形材の他方の側面を押圧しつつ転動し、且つ周面に放射状に突設した先尖状を呈する多数のポンチを上記形材の凹溝内付近に食い込ませるロール本体と、からなるカシメ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特許第3407551号公報(第1〜9頁、図4)
【0005】
前記特許文献1のカシメ装置では、薄肉の板材が押出形材から抜け出すのを防止するため、前記凹溝の内側面の一方に板材の端部辺が厚み方向に折り曲げられて押し込まれるカシメ溝を必須とし、係る押し込みを可能とするため、前記ロール本体の周面に先尖状を呈する多数のポンチを放射状に突設している。
しかしながら、押出形材同士をそれらの押出方向と垂直な方向に沿ってカシメる場合、カシメられる部分にも種々の厚みや凹凸形状があるため、前記特許文献1のような板材と押出形材とのカシメ装置によっては、強固なカシメが確実に行い難い、という問題点があつた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、任意の断面形状を呈する押出形材同士を、それらの押出方向と垂直な方向に沿って容易且つ強固にカシメられる押出形材のカシメ装置を提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
本発明は、押出形材同士の各端部を一定の断面形状とすると共に、係る端部同士を雄・雌嵌合した状態で、各端部が互いに噛み合うように接近させる、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の押出形材のカシメ装置(請求項1)、複数の押出形材同士をそれらの押出方向と垂直な方向に沿ってカシメする装置であり、一方の押出形材における基板の一端部に設けたL形片およびその先端に設けた曲げ片に囲まれ且つ上記基板側に開口する凹溝に、他方の押出形材における基板の一端部に設けた凸形部を挿入した状態で、上記L形片および曲げ片の通過を許容する隙間を有する左右一対のガイドローラと、係る一対のガイドローラの後方に配置され、係るガイドローラ間を通過した上記曲げ片の少なくとも一部が上記凸形部の側面にほぼ接触するように当該曲げ片をL形片の側壁寄りに押圧する左右一対のカシメローラと、上記左右一対のガイドローラと上記左右一対のカシメローラとの間に配置され、これら各組のローラの隙間に対し中間の隙間を有する少なくとも左右一対の中間ローラと、を含む、ことを特徴とする。
【0008】
これによれば、左右一対のガイドローラが、互いに隣接する押出形材における一方の押出形材のL形片と曲げ片との幅寸法を許容する隙間を有するため、他方の押出形材の凸形部を上記L形片と曲げ片とに囲まれた凹溝内に挿入した状態で、係る2つの押出形材の位置決めを確実に行える。係る位置決めの直後に、ガイドローラ間の隙間よりも狭い隙間を有する少なくとも左右一対の中間ローラが、一方の押出形材のL形片と曲げ片とを接近させるように、係る曲げ片を他方の押出形材の凸形部寄りに予備的に折り曲げる。しかも、上記中間ローラの後方に位置する左右一対のカシメローラは、両者間の隙間が、上記曲げ片を凸形部およびL形片寄りにクリアランスがほぼ皆無になるカシメ状態の幅寸法を許容する隙間を有するように設定されている。このため、上記位置決め状態を保ったガイドローラ、および予備的に上記曲げ片を曲げ始めた中間ローラを通過した後に直ちに、上記カシメローラが上記曲げ片を凸形部およびL形片寄りに押圧して曲げる。
この結果、隣接する押出形材同士の端部は、一方の押出形材におけるL形片と上記順次スムーズに曲げられた曲げ片との間に、他方の押出形材の凸形部が緻密且つ緊密に挟持されてカシメられるため、強固に連結される。
従って、上記カシメにより端部同士を連結された複数の押出形材は、それらの基板とほぼ垂直な2つの各方向から外力を受けても、ガタ付いたりせず、高い連結強度を安定して呈するため、例えば道路の案内表示板や選挙告示板などのサインボートに好適に用いることができる。
【0009】
尚、一方の押出形材のL形片および曲げ片と、他方の押出形材の凸形部とは、それらの基板に対し、垂直方向で且つ同じ側に延びるように予め成形されている。
また、一方の押出形材のL形片および曲げ片に囲まれた凹溝の内面と、係る凹溝内に挿入される他方の押出形材における凸形部の側面とには、係る凸形部を上記凹溝内に挿入した際または曲げ片を曲げた際に、互いに雄・雌嵌合する凸条と溝とが適宜形成されていても良い。これにより、両形材の端部同士が一層緻密な連結構造を伴ってカシメられる。
更に、一方の押出形材の曲げ片を、他方の押出形材の凸形部にほぼ面接触するように曲げる際に、上記曲げ片の先端が他方の押出形材の基板に突設した係止条を一端乗り越えた後、これに隣接する係止溝に嵌入するようにしても良い。これにより、上記曲げ片の戻り変形を確実に阻止できるため、両形材の端部同士のカシメを安定させられる。加えて、前記「押出方向と垂直な方向に沿ってカシメする」とは、各断面でのカシメられる方向を示し、連続して形成されるカシメ部は前記押出方向と平行となる。
【0010】
また、本発明には、前記左右一対のカシメローラのうち、少なくとも前記曲げ片に当接し且つ当該曲げ片を押圧する側のローラの周面に、上記曲げ片の外側面に進入し且つその内側面を前記凸形部の側面に当接または進入させる単数または複数の突起を形成している、押出形材のカシメ装置(請求項2)も含まれる。
これによれば、一方の押出形材におけるL形片と上記曲げられた曲げ片との間に、他方の押出形材の凸形部が緻密且つ緊密に挟持したカシメ状態で、更に上記突起により曲げ片の一部が凸形部の側面に食い込むため、両形材を一層強固に連結できると共に、両形材のカシメ状態を安定させることができる。
尚、複数の突起は、上記カシメローラローラの周面における軸方向あるいは円周方向の何れかまたは双方に沿って突設しても良い。
【0011】
更に、本発明には、前記左右一対のカシメローラのうち、少なくとも前記曲げ片に当接し且つ当該曲げ片を押圧する側のローラの周面における円周方向に沿って、上記曲げ片の外側面を押圧するリング凸条を全周に1個または間隔を置いて複数個形成している、押出形材のカシメ装置(請求項3)も含まれる。
これによれば、一方の押出形材におけるL形片と上記曲げられた曲げ片との間に、他方の押出形材の凸形部が緻密且つ緊密に挟持したカシメ状態で、更に上記リング凸条が、曲げ片の外側面における押出方向の全長またはほぼ全長に沿って食い込む。この結果、係る曲げ片の内側面が上記凸形部の側面に進入するため、両形材を一層強固に連結できると共に、両形材のカシメ状態を安定させることができる。尚、複数個のリング凸条の間に前記突起を突設しても良い。
【0012】
また、本発明には、前記左右一対のガイドローラ、前記左右一対の中間ローラ、および、前記左右一対のカシメローラは、それらの隙間がそれぞれ調整可能である、押出形材のカシメ装置(請求項4)も含まれる。
これによれば、一方の押出形材のL形片および曲げ片の幅寸法、これらに囲まれた凹溝の幅寸法、および、係る凹溝に挿入される他方の押出形材の凸形部の幅寸法が異なるごとに、係る条件の隙間に容易に調整できるため、前述したカシメを確実に且つ安定して施すことが可能となる。
【0013】
加えて、本発明には、前記ガイドローラの一方と前記カシメローラの一方とが、複数の歯車を介して、モータの回転軸により同じ方向に回転可能とされている、押出形材のカシメ装置(請求項5)も含まれる。
これによれば、単一のモータにより、ガイドローラの一方とカシメローラの一方とを同じ方向に回転できるため、カシメに要する労力を著しく低減できると共に、工場内はもとより、据え付けるべき現場においても、複数の押出形材同士を迅速に且つ精度良くカシメを施すことがてきる。従って、カシメ作業の省力化が図れ、且つ現場施工の自由度および効率を高めることができる。
【0014】
付言すれば、本発明には、前記L形片の外側壁に接触する一方のガイドローラ、一方の中間ローラ、および、一方のカシメローラの組と、前記曲げ片に接触またはこれを押圧する他方のガイドローラ、他方の中間ローラ、および、他方のカシメローラの組とは、異なるフレームに軸支され、係る一対のフレームが互いに接近および離間可能とされている、押出形材のカシメ装置も含まれ得る。
これよる場合、上記各組ごとのフレームに上記3種類のローラを軸支することで、ガイドローラ同士、中間ローラ同士、およびカシメローラ同士の隙間を一度に調整することが可能となる。尚、上記一対のフレームは、単数または複数の連結片を介して、上記隙間の調整をするたびに適宜連結される。
【0015】
また、本発明には、前記一対のフレームには、前記一方および他方の押出形材における各基板の表面を摺動する滑り片が取り付けられている、押出形材のカシメ装置も含まれ得る。上記滑り片は、例えば低摩擦係数の硬質樹脂からなる。
これよる場合、前記3種類で且つ一対ずつ以上のローラを、隣接させた押出形材の端部同士に沿って、前記位置決め、予備曲げ、カシメを順次施す際に、一対のフレームをそれぞれ滑り片を介して、各形材の基板の表面を摺動できるので、カシメを精度良く行え且つその作業を安定した姿勢で行うことが可能となる。
【0016】
更に、本発明には、前記左右一対のガイドローラの前方と、前記左右一対のカシメローラの後方には、カシメ前およびカシメ後の前記凹形部のL形片における底壁の外側面を転動すると共に、上記各ローラの回転軸と直交する回転軸を有する一対の推進用ローラが取り付けられている、押出形材のカシメ装置も含まれ得る。これによる場合も、前記位置決め、予備曲げ、カシメを順次施す際に、前記3種類で且つ一対ずつ以上のローラと共に、これらの前後に位置する一対の推進用ローラがカシメ中の前記L形片における底壁の外側面を転動するため、一方の押出形材のL形片と曲げ片とに跨って、カシメ装置をスムースに移動可能となる。
【0017】
加えて、本発明には、前記凹形部のL形片の外側壁に接触する一方のガイドローラ、一方の中間ローラ、および、一方のカシメローラの組と、上凹形部の前記曲げ片に接触またはこれを押圧する他方のガイドローラ、他方の中間ローラ、および、他方のカシメローラの組とにおいて、少なくとも一方の組は、ガイドローラ、中間ローラ、および、カシメローラの順序で各ローラの直径が順次大きくなっている、押出形材のカシメ装置も含まれ得る。
これによる場合、一対のガイドローラ間、一対の中間ローラ間、および一対カシメローラ間の各隙間を、それぞれ直径の異なるローラを適用することで容易に設定したり、これに加えて、前記一対フレームと併用した際には、前記調整すべき隙間の寸法を小さく且つ容易にすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下において、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の一形態である押出形材のカシメ装置20を示す平面図、図2は、図1中のX−X線の矢視に沿った垂直断面図、図3は、上記カシメ装置20の底面図、図4は、係る装置20を斜め前方から上記底面を観た斜視図である。
カシメ装置20は、図1〜図4に示すように、間隔を隔て且つ板形状を呈する左右一対のフレーム21,22、これらを上面で連結する前後一対の連結片25,26、係る連結片25,26を上面でこれらを直交して連結するビーム24、係るビーム24の前後端に垂直に立設した前後一対の縦片27,28、およびこれらの上端間を連結する持ち手片30からなる金属構造部分を有する。
尚、図1,図3中の太い矢印は、カシメ装置20が移動して行く前方向を示す。
【0019】
一方のフレーム21の底面には、ガイドローラr1,中間ローラr2,およびカシメローラr3が前後方向に沿って順に水平姿勢で軸支され、他方のフレーム22の底面には、ガイドローラR1,中間ローラR2,およびカシメローラR3が前後方向に沿って順に同じく軸支されている。カシメローラR3の周面には、径方向に沿って突出するほぼ円柱形の突起pが形成されている。尚、ガイドローラr1,R1、中間ローラr2,R2、およびカシメローラr3,R3の直径は、全て同じであり、これらの材質は、金属製の他、硬質樹脂製なども含んでいる。
フレーム21,22の各外側辺には、直方体を呈する滑り片s1,s2が固定されている。係る滑り片s1,s2は、低摩擦係数の硬質樹脂(例えば、フッ素樹脂)などからなり、それらの底面は、前記各ローラr1〜r3,R1〜R3よりも下側に位置し、後述する押出形材における基板の表面上を摺動する。
【0020】
図1〜図4に示すように、ガイドローラr1,中間ローラr2,およびカシメローラr3を有する一方のフレーム21および滑り片s1は、複数のボルトbおよびナットnを介して、連結片25,26に対し直角に固定されている。
一方、ガイドローラR1,中間ローラR2,およびカシメローラR3を有する他方のフレーム22および滑り片s2は、それらに設けた長孔gを貫通するボルトbとこれに締結するナットnとを介し、一方のフレーム21に対し傾斜可能となるよう位置の調整可能にして、連結片25,26に取り付けられている。
そして、図4に示すように、左右一対のガイドローラr1,R1、中間ローラr2,R2、カシメローラr3,R3の順で、それぞれの隙間が順次小さくなるように、フレーム21に対してフレーム22を傾斜させることができる。尚、滑り片s1,s2の底面には、上記ナットnを収容する凹みhが形成されている。
【0021】
前記のような構造のため、連結片25,26と、フレーム22および滑り片s2の長孔gを貫通するボルトbの貫通位置を調整することにより、係るフレーム22を他方のフレーム21に対し、僅かに傾斜させることができる。これにより、ガイドローラr1,R1間、中間ローラr2,R2間、カシメローラr3,R3間の隙間を、後述するように係る順に狭くなるように調整することができる。
図1〜図4に示すように、縦片27,28の下端には、推進用ローラr4,r5が軸支されている。係る推進用ローラr4,r5は、ガイドローラr1,R1、中間ローラr2,R2、およびカシメローラr3,R3の回転軸と直交し、且つこれらよりも僅かに高い位置に取り付けられている。係る推進用ローラr4,r5は、後述するカシメ作業時に、一方の押出形材におけるL形片の底壁の外側面を転動し、本カシメ装置20の移動をスムースに成さしめるものである。
【0022】
図5は、前記カシメ装置20によってカシメを施す押出形材1の断面図である。
係る押出形材1は、例えばJIS:A6065S−T5などのアルミニウム合金からなり、図5に示すように、平坦な基板2、その右端部(一端部)にほぼ垂直に設けた凸形部3を、左端部(一端部)に逆L字形に設けたL形片8、係るL形片8の先端に斜めに設けた曲げ片12、および、L形片8と曲げ片12とに囲まれた凹溝18を図示の前後方向の全長に沿って連続して有する。尚、基板2の中間には、後述するように底広凹溝を、凸形部3などと同じ側に設けても良い。
図5の右側に示すように、上記凸形部3の外側面には、断面台形の溝4と小溝5とが設けられ、係る凸形部3寄りの基板2における当該凸形部3が延びる側の表面には、断面三角形の係止条6が突設され、係る係止条6と凸形部3との間には、係止溝7が位置している。
【0023】
一方、図5の左側に示すように、L形片8の内側壁には、上記溝4に嵌合する断面台形の凸条9と、前記小溝5と対向する小溝10とが設けられ、L形片8の底面壁の内側には、断面三角形の係止条11が設けられると共に、曲げ片12の内側面には、一対の小凸条14,16が突設されている。
尚、曲げ片12の凹溝18側の基端部には、その曲げ変形を誘発する断面V字形のノッチが形成されている。また、基板2における凸形部3とL形片8とが延びていない側の表面には、図示しない細条群が押出方向(図5の前後方向)に沿って、全面に形成されている。更に、押出形材1において、基板2は幅約150mm×厚み約1mm、凸形部3は長さ約8mm×厚み約1〜2mm、L形片8の側壁は長さ約9mm×厚み約1mm、L形片8の底面壁は長さ約5mm×厚み約1mm、曲げ片12は長さ約7mm×厚み約1mmのサイズである。
【0024】
図6は、一対の押出形材1a,1bを図示しない定盤の上に隣接して載置し、図示で左側の押出形材1aの凸形部3を、右側の押出形材1bの凹溝18内に挿入した状態を示す。押出形材1bにおけるL形片8の外側壁と曲げ片12の外側面との間の最大幅w1に対し、カシメ装置20における左右一対のガイドローラr1,R1間の隙間x1は、ほぼ同じか極く僅かに大きくなるように設定されている。係るガイドローラr1,R1の通過時において、L形片8の凸条9は、凸形部3の溝4に嵌合している。尚、押出形材1a,1bは、前記押出形材1と同じものであり、両者を単に区別したものである。
【0025】
図7は、カシメ装置20を用いて、押出方向に垂直な方向に沿ってカシメられた押出形材1a,1bを端部を示す。後述するように、ガイドローラr1,R1、中間ローラr2,R2、およびカシメローラr3,R3の順で曲げ片12をL形片8の側壁寄りに順次押圧して曲げると、係る曲げ片12は凸形部3に接近し、曲げ片12の小凸条14,16が凸形部3に当接する。同時に、凸形部3の先端部は、係止条11とL形片8の内側壁との間の内隅部に嵌合される。
尚、この間において、曲げ片12の先端部は、予め係止条6の頂部を乗り越えた後、係止溝7内に嵌入している。
加えて、上記カシメられた状態で、後述するように、カシメローラR3の突起pが曲げ片12の中間部を凸形部3の側面に食い込ませるため、係る凸形部3は、曲げ片12と凸条9を含むL形片8とによって、一層強固に挟持される。
【0026】
以上のような図7に示すカシメ状態において、押出形材1bにおけるL形片8の外側壁と曲げ片12の外側面との間の幅w2に対し、カシメ装置20における左右一対のカシメローラr3,R3間の隙間x2も、幅w2とほぼ同じか極く僅かに大きくなるように設定されている。
更に、左右一対の中間ローラr2,R2間の隙間(xm)は、前記隙間x1よりも小さく且つ上記隙間x2よりも大きく、これらの中間(x1>xm>x2)に設定されている。
更に、図6,図7に示すように、カシメ装置20の前方および後方の推進用ローラr4,r5は、カシメ作業の前後にわたり、押出形材1bにおけるL形片8の底壁の外側面を転動するため、当該カシメ装置20の移動を容易化している。
【0027】
ここで、カシメ装置20を用いて押出形材1a,1bをそれらの押出方向に垂直な方向に沿って施すカシメの作用を説明する。
図8は、押出形材1aの凸形部3を押出形材1bの凹溝18内に挿入して互いに隣接した押出形材1a,1bにおける後者のL形片8に沿って、カシメ装置20を移動させ、ガイドローラr1,R1、中間ローラr2,R2、およびカシメローラr3,R3の順で曲げ片12をL形片8の側壁寄りに順次押圧してカシメる状態の垂直断面図を示す。図9は、同様にカシメる状態の概略の平面図を示す。
図8および図9の上段に示すように、左右一対のガイドローラr1,R1が押出形材1bのL形片8と曲げ片12とを挟むと、一方のガイドローラr1は、L形片8の外壁面を転動して係るL形片8の位置を固定し、他方のガイドローラR1は、曲げ片12の外側面に接触し、係る曲げ片12を位置決めし且つ僅かに押さえる。
【0028】
次に、図8および図9の中段に示すように、左右一対の中間ローラr2,R2が、押出形材1bのL形片8と曲げ片12とを挟む状態に至ると、曲げ片12は、中間ローラR2の押圧力によって、押出形材1aの凸形部3寄りに曲げられると共に、当該曲げ片12の先端部は、係止条6に当接ししつこれを乗り越えようとする。同時に、中間ローラr2は、L形片8の外壁面を転動して係るL形片8の位置を固定し、上記中間ローラR2の押圧力を受ける作用を果たしている。
この間において、フレーム21,22の外側に固定した滑り片s1,s2は、押出形材1a,1bの凸形部3やL形片8などが延びる側の基板2の表面に接触ししつ摺動しているため、カシメ装置20のL形片8に沿った移動を、推進用ローラr4,r5と相まって、スムースなものにしている。
【0029】
更に、図8および図9の下段に示すように、左右一対のカシメローラr3,R3が、押出形材1bのL形片8と曲げられた曲げ片12とを挟む状態に至ると、係る曲げ片12は、カシメローラR3の押圧力によって、押出形材1aの凸形部3の側面に接近すると共に、当該曲げ片12の先端部は、係止条6を乗り越えて、係止溝7内に嵌入する。この結果、曲げ片12の小凸条14,16は、凸形部3の側面に当接し、L形片8の凸条9が凸形部3の溝4に嵌合すると共に、凸形部3の先端部は、係止条11とL形片8の内側壁との間の内隅部に嵌合される。これにより、図9の下段に示すような連結構造のカシメ部kが形成され、押出形材1a,1bを押出方向に垂直な方向に沿ったカシメにより連結することができる。
尚、カシメローラR3の1回転ごとに、上記カシメ部kの長手方向に沿って、突起pによって曲げ片12に成形される突部と窪みとが複数個形成される。また、上記カシメ部kは、押出形材1a,1bの押出方向に沿って連続して形成される。
【0030】
図10は、前記カシメ装置20を用いて、3個の押出形材1をカシメ部kを介して連結したサインボードSBの側面図と概略の正面図とを示す。
図10の側面図に示すように、各押出形材1における基板2の中間には、凸形部3やL形片8と同じ側に、底広凹溝19を内設する箱形部17が形成されている。底広凹溝19内にボルト頭を嵌装したボルトBを平面視がH形を呈する左右一対の支柱Pのフランジに貫通させ、その雄ネジ部にナットNを締結することにより、図10中で左下の正面図で示すように、上下3段の押出形材1の基板2からなる所定スペースのサイン面を有するサインボードSBが形成できる。
【0031】
また、図10中の一点鎖線部分の拡大図で示すように、前記カシメローラR3の突起pによって、各押出形材1における曲げ片12の中間には、突部tと窪みqとが、カシメ部kの長手(押出)方向に沿って等間隔に形成されている。
以上のように、複数個の突部tと窪みqとを含むカシメ部kを介して3個の押出形材1を連結したサインボードSBによれば、季節や気候の変化による寒暖差や温度差による熱的影響はもとより、不用意な外力を受けても各カシメ部kがガタ付いたりしない。従って、3つの基板2にまたがる平坦面に、例えば行き先案内などの道路情報、施設案内、各種の広告、あるいは選挙ポスターなどを描いたり貼り付けられ、且つ保守管理を殆ど皆無にして活用することが可能となる。
【0032】
図11は、前記カシメ装置20の応用形態であるカシメ装置20aの概略を示す斜視図、図12は、その使用状態を説明する概略である。
カシメ装置20aは、図11に示すように、前記同様のフレーム21,22、これらの底面の外辺に沿って固定した滑り片s1,s2、フレーム21にボルトbを介して固定した連結片25,26、および、係る連結片25,26に前記同様の長孔gを貫通するボルトb・ナット(図示せず)を介して上記フレーム21に対し傾斜可能に取り付けたフレーム22を備えている。尚、カシメ装置20aは、前記縦片27,28、推進用ローラr4,r5、持ち手片30を有していない。
前記カシメ装置20と同様に、一方のフレーム21には、ガイドローラr1,中間ローラr2,およびカシメローラr3が軸支され、他方のフレーム22には、ガイドローラR1,中間ローラR2,およびカシメローラR3が軸支されている。
【0033】
図11に示すように、フレーム22には、ガイドローラR1,カシメローラR3の回転軸が軸受(図示せず)を介して垂直に貫通し、それらの回転軸の上端には、大径の歯車G1,G2が取り付けられている。係る歯車G1,G2の間には、これらと噛み合う小径の歯車G3がフレーム22の上面側に回転可能に取り付けられている。係る歯車G3の回転軸の上端には、六角柱の非円形部Vが形成されている。
図示しないラチェット式レンチを上記非円形部Vに係合して順次回すと、歯車G3の回転により、歯車G1,G2を同じ方向に回転させることができる。
前記同様に、押出形材1a,1bを隣接してセットし、前者の凸形部3を後者の凹溝18に挿入した状態とし、それらの基板2の表面に滑り片s1,s2を支持させることで、カシメ装置20aを押出形材1a,1bに跨って配置する。
【0034】
そして、上記ラチェット式レンチを片手で回転すると、歯車G3、歯車G1,G2を介して、回転ガイドローラR1とカシメローラR3とが同じ向きで回転する。この結果、前記図8,図9で示したように、ガイドローラr1,R1、中間ローラr2,R2、およびカシメローラr3,R3の順で、押出形材1bの曲げ片12をそのL形片8の側壁寄りに順次押圧してカシメる作業が容易且つ比較的少ない労力で行うことが可能となる。
一方、図12に示すように、六角柱の非円形部Vに回転軸sfの先端に設けたボックススパナbsを嵌合し、係る回転軸sfをモータMで回転させる電動ドライバDを、カシメ装置20aの上方にセットしても良い。
【0035】
図12に示すように、電動ドライバDを利用する形態では、片手で電動ドライバDのグリップとスイッチ(図示せず)とを握って、モータMを駆動することで、回転軸sfとボックススパナbsを回転し、非円形部Vと歯車G3などを介してガイドローラR1およびカシメローラR3を同じ方向に回転することができる。
このため、前記図8,図9で示したように、ガイドローラr1,R1、中間ローラr2,R2、およびカシメローラr3,R3の順で、押出形材1bの曲げ片12をそのL形片8の側壁寄りに順次押圧してカシメる作業が一層容易且つ更に少ない労力で迅速に行うことが可能となる。
【0036】
図13,図14は、カシメローラR3の周面における軸方向の中間で且つその円周方向に沿って、断面山形(逆V字形)のリング凸条vを全周に1個形成したものである。
係るリング凸条vを有するカシメローラR3と、対向するカシメローラr3とを用いる場合、図15の上方に示すように、押出形材1bにおける曲げ片12の外側面には、上記リング凸条vが進入する溝uを予め形成しておくものとする。
前記同様に、押出形材1aの凸形部3を押出形材1bの凹溝18に挿入し、ガイドローラr1,R1、中間ローラr2,R2の順で、押出形材1bの曲げ片12をそのL形片8の側壁寄りに順次当接および押し曲げた後、リング凸条vを有するカシメローラR3とカシメローラr3との間に、押出形材1bの曲げ片12を含むL形片8を挿入する。
【0037】
その結果、図15の白抜き矢印の下方に示すように、カシメローラR3は、そのリング凸条vが曲げ片12の溝u内に進入すると共に、係る曲げ片12を凸形部3寄りに更に曲げる。この際、リング凸条vが曲げ片12の溝uの内部に深く進入するため、凸形部3の反対側には凸部tが図示の前後(押出)方向の全長に沿って形成される。これにより、押出形材1a,1bのカシメによる連結強度を、カシメ部(k)の全長において高く安定したものにすることができる。
【0038】
図16,図17は、カシメローラR3の周面における軸方向の中間で且つその円周方向に沿って、間隔を置いて4個(複数)のリング凸条vを形成すると共に、リング凸条v,v間ごとに前記同様の4個の突起pを個別に形成した形態を示す。係る4個のリング凸条vと4個の突起pとを有するカシメローラR3と、対向するカシメローラr3とを用いることで、押出形材1a,1bのカシメによる連結強度を、一層強固で安定したものとすることができる。
尚、カシメローラr3の周面には、1個または複数のリング凸条vや、1個または複数の突起pを、別個にあるいは併存して形成するようにしても良い。
【0039】
図18は、ガイドローラr1,中間ローラr2,およびカシメローラr3の組を前記同様に同じ直径とし、ガイドローラR1,中間ローラR2,およびカシメローラR3を係る順で大径から順次小径としたカシメ装置20bの概略図である。
これによっても、ガイドローラr1,R1間の前記隙間x1、中間ローラr2,R2間の前記隙間xm(x1>xm>x2)、およびカシメローラr3,R3間の前記隙間x2を順次小さくすることができる。しかも、この形態によれば、前記フレーム21,22を用いる形態の他、単一のフレームに上記6個のローラを軸支する形態とすることも可能である。
【0040】
図19は、ガイドローラr1,R1、中間ローラr2,R2、およびカシメローラr3,R3の順で、大径から順次小径としたカシメ装置20cの概略図である。これによっても、ガイドローラr1,R1間の前記隙間x1、中間ローラr2,R2間の前記隙間xm(x1>xm>x2)、およびカシメローラr3,R3間の前記隙間x2を順次小さくすることができる。
これによれば、前記フレーム21,22を用いる形態の他、単一のフレームに上記合計6個のローラを軸支する形態とすることも可能である。
【0041】
図20は、前記カシメ装置20,20a〜20cにより、カシメが可能な異なる押出形材31の両端部の断面を示す。
押出形材31は、図20の左側に示すように、平坦な基板32、その左端部(一端部)にほぼ垂直に設けた凸形部33、右端部(一端部)にほぼ逆L字形に設けたL形片38、係るL形片38の先端に斜めに設けた曲げ片42、および、L形片38と曲げ片42とに囲まれた凹溝46を、図示の前後(押出)方向に沿って連続して有する。尚、基板32の中間には、前記のような底広凹溝19を内設する箱形部17を、上記凸形部33などと同じ側に設けても良い。
図20の左側に示すように、凸形部33の両側面には、断面が台形の凸条34と溝35とが2つずつ対称に形成され、係る凸形部33寄りの基板32における当該凸形部33が延びる側の表面には、断面三角形の係止条36が突設され、係る係止条36と凸形部33との間には、係止溝37が位置している。
【0042】
一方、図20の左側に示すように、L形片38の内側壁には、上記溝35に嵌合する断面台形の凸条39と、上記凸条34が嵌合する溝40とが2つずつ設けられると共に、曲げ片42の内側面には、上記溝35に嵌合する凸条44が突設されている。尚、曲げ片42の凹溝46側の基端部には、その曲げ変形を誘発する断面V字形のノッチが形成されている。
押出形材31,31を前記同様に隣接させ、凸形部33を凹溝46に挿入して、予め凸条34を溝40に、凸条39を溝35にそれぞれ嵌合させる。
係る状態で、前記カシメ装置20,20a〜20cを用い、ガイドローラr1,R1、中間ローラr2,R2、およびカシメローラr3,R3の順で、曲げ片42をL形片38寄りに順次曲げる。これにより、図20の右側に示すように、曲げ片42は凸形部33に接近し、その先端部が係止溝37に嵌入する同時に、凸条44が溝35に嵌合する。
この結果、押出形材31,31を押出方向と垂直な方向に沿ってカシメにより緊密に連結することができる。
【0043】
図21は、前記カシメ装置20,20a〜20cにより、カシメが可能な更に異なる押出形材51の両端部の断面を示す。
押出形材51は、図21の左側に示すように、平坦な基板52、その左端部(一端部)にほぼ垂直に設けた凸形部53、右端部(一端部)にほぼ逆L字形に設けたL形片58、係るL形片58の先端にノッチを介して斜めに設けた曲げ片62、および、L形片58と曲げ片62とに囲まれた凹溝66を図示の前後(押出)方向に沿って連続して有する。尚、基板52の中間にも、前記のような底広凹溝19を内設する箱形部17を、凸形部53などと同じ側に設けても良い。
図21の左側に示すように、凸形部53の左側面には、斜め下向きの溝54と断面ほぼ菱形の凸条55とが形成され、凸形部53の右側面には、小凸条53aが突設されている。また、係る凸形部53寄りの基板52における当該凸部53が延びる側の表面には、断面三角形の係止条56が突設され、係る係止条56と凸形部53との間には、係止溝57が位置している。
【0044】
一方、図21の左側に示すように、L形片58の内側壁には、上記溝54に嵌合する断面ほぼ菱形の凸条59と、上記凸条55が嵌合する溝60とが設けられると共に、曲げ片62の内側面の先端には、上記係止溝57の一部に嵌合する小凸条64が突設されている。
押出形材51,51を前記同様に隣接させ、凸形部53を凹溝66に挿入して、予め凸条55を溝60に、凸条59を溝54にそれぞれ嵌合させる。
係る状態で、前記カシメ装置20,20a〜20cを用い、ガイドローラr1,R1、中間ローラr2,R2、およびカシメローラr3,R3の順で、曲げ片62をL形片58寄りに順次曲げる。これにより、図21の右側に示すように、曲げ片62は、凸形部53に接近し、先端の小凸条64が係止溝57に嵌入するため、当該曲げ62は係止条56から抜け出し不能となる。この結果、押出形材51,51を押出方向と垂直な方向に沿ってカシメにより緊密に連結することができる。
【0045】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではいない。
例えば、中間ローラは、一対ずつのガイドローラとカシメローラとの間に、前記同様に順次隙間が狭くなるように、2対以上を配設することも可能である。
また、前記ガイドローラ、中間ローラ、およびカシメローラには、周面が平坦な前記平ロールの形態に限らず、当設するL形片の側壁形状や押圧する曲げ片の外側面の形状に倣った凹凸を周面の全周に設けたロールを適用しても良い。
更に、前記カシメローラR3の周面に突設する突起pは、2個以上をロール周面の円周方向に沿って等間隔で突設しても良く、且つ対向するカシメローラr3にも任意数を突設しても良い。あるいは、2個以上の突起pをロール周面の軸方向に沿って隣接して形成しても良い。
また、本発明のカシメ装置の対象となる押出形材は、前記平坦な基板を主体とする平板状の形態に限らず、断面が緩やかにカーブする基板の一端部に前記凸部を、他端部にL形片、曲げ片、および凹溝を有する全体が断面円弧形の形態としても良い。係る形態の押出形材を前記カシメ装置20などによってカシメことにより、断面アーチ形または断面半円形の構造物(例えば、通路の上方を覆う屋根)を、高い水密性をもって形成することが可能となる。
尚、本発明のカシメ装置の対象となる押出形材は、主にアルミニウム合金からなるものを対象とするが、同等の物理的特性を有するものであれば、樹脂製や他の金属製の形材も含まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明における一形態のカシメ装置を示す平面図。
【図2】図1中のX−X線の矢視に沿った垂直断面図。
【図3】上記カシメ装置を示す底面図。
【図4】上記カシメ装置を前方の斜め下側からの視覚で観た斜視図。
【図5】上記カシメ装置によりカシメる押出形材を示す断面図。
【図6】上記押出形材と上記カシメ装置のガイドローラとの関係を示す概略図。
【図7】上記押出形材と上記カシメ装置のカシメローラとの関係を示す概略図。
【図8】上記カシメ装置による上記押出形材のカシメ工程を示す部分断面図。
【図9】上記カシメ装置による上記押出形材のカシメ工程を示す部分平面図。
【図10】上記カシメにて得られたサインボートの正面図、側面図、その一部拡大図。
【図11】異なる形態のカシメ装置の概略を示す斜視図。
【図12】上記カシメ装置の異なる使用形態を示す斜視図。
【図13】異なる形態のカシメローラを示す側面図。
【図14】上記カシメローラを示す斜視図。
【図15】上記カシメローラによる前記押出形材のカシメ工程を示す概略図。
【図16】更に異なる形態のカシメローラを示す平面図。
【図17】上記カシメローラを示す側面図。
【図18】更に異なる形態のカシメ装置を示す概略図。
【図19】別異なる形態のカシメ装置を示す概略図。
【図20】本発明のカシメ対象となる異なる押出形材を示す部分断面図。
【図21】本発明のカシメ対象となる更に異なる押出形材を示す部分断面図。
【符号の説明】
【0047】
1,31,51…………押出形材
3,33,53…………凸形部
8,38,58…………L形片
12,42,62………曲げ片
18,46,66………凹溝
20,20a〜20c…カシメ装置
r1,R1………………カシメローラ
r2,R2………………中間ローラ
r3,R3………………カシメローラ
x1,x2,xm………隙間
p…………………………突起
v…………………………リング凸条
G1〜G3………………歯車
M…………………………モータ
sf………………………回転軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム合金などからなる押出形材同士をカシメにより互いに連結するためのカシメ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム合金からなる押出形材は、断面形状が任意に設計できるため、各種の分野で広く活用されている。例えば、断面が板形状の押出形材同士をそれらの端部に設けた雄形・雌形の嵌合部を嵌合することで、押出方向と垂直な方向に沿って幅の広いスペースを有するパネル状の構造体を容易に構成することができる。
しかし、上記雄・雌嵌合による連結では、断面が板形状で隣接する押出形材同士の嵌合部において、係る嵌合部が位置する側とその反対側とでは、連結強度が著しく相違する。このため、嵌合のみによる連結では、例えば野外に長期間にわたり設置する道路案内板や選挙告示板などに用いた場合、不用意な外力によりガタ付きなどを生じ易い、という問題があつた。
【0003】
押出形材の利点を生かし、溶接のような特別の設備を要することなく、押出形材同士をカシメる技術については、これまで十分に開発が行われていなかった。
例えば、アルミニウム合金からなる押出形材と板材とをカシメにより連結するため、押出形材の端面に開口する凹溝に板材の端部辺を挿入し、前記押出形材における端面と垂直な両側面の一方を支持する受けロールと、係る受けローラと対向して上記押出形材の他方の側面を押圧しつつ転動し、且つ周面に放射状に突設した先尖状を呈する多数のポンチを上記形材の凹溝内付近に食い込ませるロール本体と、からなるカシメ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特許第3407551号公報(第1〜9頁、図4)
【0005】
前記特許文献1のカシメ装置では、薄肉の板材が押出形材から抜け出すのを防止するため、前記凹溝の内側面の一方に板材の端部辺が厚み方向に折り曲げられて押し込まれるカシメ溝を必須とし、係る押し込みを可能とするため、前記ロール本体の周面に先尖状を呈する多数のポンチを放射状に突設している。
しかしながら、押出形材同士をそれらの押出方向と垂直な方向に沿ってカシメる場合、カシメられる部分にも種々の厚みや凹凸形状があるため、前記特許文献1のような板材と押出形材とのカシメ装置によっては、強固なカシメが確実に行い難い、という問題点があつた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、任意の断面形状を呈する押出形材同士を、それらの押出方向と垂直な方向に沿って容易且つ強固にカシメられる押出形材のカシメ装置を提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
本発明は、押出形材同士の各端部を一定の断面形状とすると共に、係る端部同士を雄・雌嵌合した状態で、各端部が互いに噛み合うように接近させる、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の押出形材のカシメ装置(請求項1)、複数の押出形材同士をそれらの押出方向と垂直な方向に沿ってカシメする装置であり、一方の押出形材における基板の一端部に設けたL形片およびその先端に設けた曲げ片に囲まれ且つ上記基板側に開口する凹溝に、他方の押出形材における基板の一端部に設けた凸形部を挿入した状態で、上記L形片および曲げ片の通過を許容する隙間を有する左右一対のガイドローラと、係る一対のガイドローラの後方に配置され、係るガイドローラ間を通過した上記曲げ片の少なくとも一部が上記凸形部の側面にほぼ接触するように当該曲げ片をL形片の側壁寄りに押圧する左右一対のカシメローラと、上記左右一対のガイドローラと上記左右一対のカシメローラとの間に配置され、これら各組のローラの隙間に対し中間の隙間を有する少なくとも左右一対の中間ローラと、を含む、ことを特徴とする。
【0008】
これによれば、左右一対のガイドローラが、互いに隣接する押出形材における一方の押出形材のL形片と曲げ片との幅寸法を許容する隙間を有するため、他方の押出形材の凸形部を上記L形片と曲げ片とに囲まれた凹溝内に挿入した状態で、係る2つの押出形材の位置決めを確実に行える。係る位置決めの直後に、ガイドローラ間の隙間よりも狭い隙間を有する少なくとも左右一対の中間ローラが、一方の押出形材のL形片と曲げ片とを接近させるように、係る曲げ片を他方の押出形材の凸形部寄りに予備的に折り曲げる。しかも、上記中間ローラの後方に位置する左右一対のカシメローラは、両者間の隙間が、上記曲げ片を凸形部およびL形片寄りにクリアランスがほぼ皆無になるカシメ状態の幅寸法を許容する隙間を有するように設定されている。このため、上記位置決め状態を保ったガイドローラ、および予備的に上記曲げ片を曲げ始めた中間ローラを通過した後に直ちに、上記カシメローラが上記曲げ片を凸形部およびL形片寄りに押圧して曲げる。
この結果、隣接する押出形材同士の端部は、一方の押出形材におけるL形片と上記順次スムーズに曲げられた曲げ片との間に、他方の押出形材の凸形部が緻密且つ緊密に挟持されてカシメられるため、強固に連結される。
従って、上記カシメにより端部同士を連結された複数の押出形材は、それらの基板とほぼ垂直な2つの各方向から外力を受けても、ガタ付いたりせず、高い連結強度を安定して呈するため、例えば道路の案内表示板や選挙告示板などのサインボートに好適に用いることができる。
【0009】
尚、一方の押出形材のL形片および曲げ片と、他方の押出形材の凸形部とは、それらの基板に対し、垂直方向で且つ同じ側に延びるように予め成形されている。
また、一方の押出形材のL形片および曲げ片に囲まれた凹溝の内面と、係る凹溝内に挿入される他方の押出形材における凸形部の側面とには、係る凸形部を上記凹溝内に挿入した際または曲げ片を曲げた際に、互いに雄・雌嵌合する凸条と溝とが適宜形成されていても良い。これにより、両形材の端部同士が一層緻密な連結構造を伴ってカシメられる。
更に、一方の押出形材の曲げ片を、他方の押出形材の凸形部にほぼ面接触するように曲げる際に、上記曲げ片の先端が他方の押出形材の基板に突設した係止条を一端乗り越えた後、これに隣接する係止溝に嵌入するようにしても良い。これにより、上記曲げ片の戻り変形を確実に阻止できるため、両形材の端部同士のカシメを安定させられる。加えて、前記「押出方向と垂直な方向に沿ってカシメする」とは、各断面でのカシメられる方向を示し、連続して形成されるカシメ部は前記押出方向と平行となる。
【0010】
また、本発明には、前記左右一対のカシメローラのうち、少なくとも前記曲げ片に当接し且つ当該曲げ片を押圧する側のローラの周面に、上記曲げ片の外側面に進入し且つその内側面を前記凸形部の側面に当接または進入させる単数または複数の突起を形成している、押出形材のカシメ装置(請求項2)も含まれる。
これによれば、一方の押出形材におけるL形片と上記曲げられた曲げ片との間に、他方の押出形材の凸形部が緻密且つ緊密に挟持したカシメ状態で、更に上記突起により曲げ片の一部が凸形部の側面に食い込むため、両形材を一層強固に連結できると共に、両形材のカシメ状態を安定させることができる。
尚、複数の突起は、上記カシメローラローラの周面における軸方向あるいは円周方向の何れかまたは双方に沿って突設しても良い。
【0011】
更に、本発明には、前記左右一対のカシメローラのうち、少なくとも前記曲げ片に当接し且つ当該曲げ片を押圧する側のローラの周面における円周方向に沿って、上記曲げ片の外側面を押圧するリング凸条を全周に1個または間隔を置いて複数個形成している、押出形材のカシメ装置(請求項3)も含まれる。
これによれば、一方の押出形材におけるL形片と上記曲げられた曲げ片との間に、他方の押出形材の凸形部が緻密且つ緊密に挟持したカシメ状態で、更に上記リング凸条が、曲げ片の外側面における押出方向の全長またはほぼ全長に沿って食い込む。この結果、係る曲げ片の内側面が上記凸形部の側面に進入するため、両形材を一層強固に連結できると共に、両形材のカシメ状態を安定させることができる。尚、複数個のリング凸条の間に前記突起を突設しても良い。
【0012】
また、本発明には、前記左右一対のガイドローラ、前記左右一対の中間ローラ、および、前記左右一対のカシメローラは、それらの隙間がそれぞれ調整可能である、押出形材のカシメ装置(請求項4)も含まれる。
これによれば、一方の押出形材のL形片および曲げ片の幅寸法、これらに囲まれた凹溝の幅寸法、および、係る凹溝に挿入される他方の押出形材の凸形部の幅寸法が異なるごとに、係る条件の隙間に容易に調整できるため、前述したカシメを確実に且つ安定して施すことが可能となる。
【0013】
加えて、本発明には、前記ガイドローラの一方と前記カシメローラの一方とが、複数の歯車を介して、モータの回転軸により同じ方向に回転可能とされている、押出形材のカシメ装置(請求項5)も含まれる。
これによれば、単一のモータにより、ガイドローラの一方とカシメローラの一方とを同じ方向に回転できるため、カシメに要する労力を著しく低減できると共に、工場内はもとより、据え付けるべき現場においても、複数の押出形材同士を迅速に且つ精度良くカシメを施すことがてきる。従って、カシメ作業の省力化が図れ、且つ現場施工の自由度および効率を高めることができる。
【0014】
付言すれば、本発明には、前記L形片の外側壁に接触する一方のガイドローラ、一方の中間ローラ、および、一方のカシメローラの組と、前記曲げ片に接触またはこれを押圧する他方のガイドローラ、他方の中間ローラ、および、他方のカシメローラの組とは、異なるフレームに軸支され、係る一対のフレームが互いに接近および離間可能とされている、押出形材のカシメ装置も含まれ得る。
これよる場合、上記各組ごとのフレームに上記3種類のローラを軸支することで、ガイドローラ同士、中間ローラ同士、およびカシメローラ同士の隙間を一度に調整することが可能となる。尚、上記一対のフレームは、単数または複数の連結片を介して、上記隙間の調整をするたびに適宜連結される。
【0015】
また、本発明には、前記一対のフレームには、前記一方および他方の押出形材における各基板の表面を摺動する滑り片が取り付けられている、押出形材のカシメ装置も含まれ得る。上記滑り片は、例えば低摩擦係数の硬質樹脂からなる。
これよる場合、前記3種類で且つ一対ずつ以上のローラを、隣接させた押出形材の端部同士に沿って、前記位置決め、予備曲げ、カシメを順次施す際に、一対のフレームをそれぞれ滑り片を介して、各形材の基板の表面を摺動できるので、カシメを精度良く行え且つその作業を安定した姿勢で行うことが可能となる。
【0016】
更に、本発明には、前記左右一対のガイドローラの前方と、前記左右一対のカシメローラの後方には、カシメ前およびカシメ後の前記凹形部のL形片における底壁の外側面を転動すると共に、上記各ローラの回転軸と直交する回転軸を有する一対の推進用ローラが取り付けられている、押出形材のカシメ装置も含まれ得る。これによる場合も、前記位置決め、予備曲げ、カシメを順次施す際に、前記3種類で且つ一対ずつ以上のローラと共に、これらの前後に位置する一対の推進用ローラがカシメ中の前記L形片における底壁の外側面を転動するため、一方の押出形材のL形片と曲げ片とに跨って、カシメ装置をスムースに移動可能となる。
【0017】
加えて、本発明には、前記凹形部のL形片の外側壁に接触する一方のガイドローラ、一方の中間ローラ、および、一方のカシメローラの組と、上凹形部の前記曲げ片に接触またはこれを押圧する他方のガイドローラ、他方の中間ローラ、および、他方のカシメローラの組とにおいて、少なくとも一方の組は、ガイドローラ、中間ローラ、および、カシメローラの順序で各ローラの直径が順次大きくなっている、押出形材のカシメ装置も含まれ得る。
これによる場合、一対のガイドローラ間、一対の中間ローラ間、および一対カシメローラ間の各隙間を、それぞれ直径の異なるローラを適用することで容易に設定したり、これに加えて、前記一対フレームと併用した際には、前記調整すべき隙間の寸法を小さく且つ容易にすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下において、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の一形態である押出形材のカシメ装置20を示す平面図、図2は、図1中のX−X線の矢視に沿った垂直断面図、図3は、上記カシメ装置20の底面図、図4は、係る装置20を斜め前方から上記底面を観た斜視図である。
カシメ装置20は、図1〜図4に示すように、間隔を隔て且つ板形状を呈する左右一対のフレーム21,22、これらを上面で連結する前後一対の連結片25,26、係る連結片25,26を上面でこれらを直交して連結するビーム24、係るビーム24の前後端に垂直に立設した前後一対の縦片27,28、およびこれらの上端間を連結する持ち手片30からなる金属構造部分を有する。
尚、図1,図3中の太い矢印は、カシメ装置20が移動して行く前方向を示す。
【0019】
一方のフレーム21の底面には、ガイドローラr1,中間ローラr2,およびカシメローラr3が前後方向に沿って順に水平姿勢で軸支され、他方のフレーム22の底面には、ガイドローラR1,中間ローラR2,およびカシメローラR3が前後方向に沿って順に同じく軸支されている。カシメローラR3の周面には、径方向に沿って突出するほぼ円柱形の突起pが形成されている。尚、ガイドローラr1,R1、中間ローラr2,R2、およびカシメローラr3,R3の直径は、全て同じであり、これらの材質は、金属製の他、硬質樹脂製なども含んでいる。
フレーム21,22の各外側辺には、直方体を呈する滑り片s1,s2が固定されている。係る滑り片s1,s2は、低摩擦係数の硬質樹脂(例えば、フッ素樹脂)などからなり、それらの底面は、前記各ローラr1〜r3,R1〜R3よりも下側に位置し、後述する押出形材における基板の表面上を摺動する。
【0020】
図1〜図4に示すように、ガイドローラr1,中間ローラr2,およびカシメローラr3を有する一方のフレーム21および滑り片s1は、複数のボルトbおよびナットnを介して、連結片25,26に対し直角に固定されている。
一方、ガイドローラR1,中間ローラR2,およびカシメローラR3を有する他方のフレーム22および滑り片s2は、それらに設けた長孔gを貫通するボルトbとこれに締結するナットnとを介し、一方のフレーム21に対し傾斜可能となるよう位置の調整可能にして、連結片25,26に取り付けられている。
そして、図4に示すように、左右一対のガイドローラr1,R1、中間ローラr2,R2、カシメローラr3,R3の順で、それぞれの隙間が順次小さくなるように、フレーム21に対してフレーム22を傾斜させることができる。尚、滑り片s1,s2の底面には、上記ナットnを収容する凹みhが形成されている。
【0021】
前記のような構造のため、連結片25,26と、フレーム22および滑り片s2の長孔gを貫通するボルトbの貫通位置を調整することにより、係るフレーム22を他方のフレーム21に対し、僅かに傾斜させることができる。これにより、ガイドローラr1,R1間、中間ローラr2,R2間、カシメローラr3,R3間の隙間を、後述するように係る順に狭くなるように調整することができる。
図1〜図4に示すように、縦片27,28の下端には、推進用ローラr4,r5が軸支されている。係る推進用ローラr4,r5は、ガイドローラr1,R1、中間ローラr2,R2、およびカシメローラr3,R3の回転軸と直交し、且つこれらよりも僅かに高い位置に取り付けられている。係る推進用ローラr4,r5は、後述するカシメ作業時に、一方の押出形材におけるL形片の底壁の外側面を転動し、本カシメ装置20の移動をスムースに成さしめるものである。
【0022】
図5は、前記カシメ装置20によってカシメを施す押出形材1の断面図である。
係る押出形材1は、例えばJIS:A6065S−T5などのアルミニウム合金からなり、図5に示すように、平坦な基板2、その右端部(一端部)にほぼ垂直に設けた凸形部3を、左端部(一端部)に逆L字形に設けたL形片8、係るL形片8の先端に斜めに設けた曲げ片12、および、L形片8と曲げ片12とに囲まれた凹溝18を図示の前後方向の全長に沿って連続して有する。尚、基板2の中間には、後述するように底広凹溝を、凸形部3などと同じ側に設けても良い。
図5の右側に示すように、上記凸形部3の外側面には、断面台形の溝4と小溝5とが設けられ、係る凸形部3寄りの基板2における当該凸形部3が延びる側の表面には、断面三角形の係止条6が突設され、係る係止条6と凸形部3との間には、係止溝7が位置している。
【0023】
一方、図5の左側に示すように、L形片8の内側壁には、上記溝4に嵌合する断面台形の凸条9と、前記小溝5と対向する小溝10とが設けられ、L形片8の底面壁の内側には、断面三角形の係止条11が設けられると共に、曲げ片12の内側面には、一対の小凸条14,16が突設されている。
尚、曲げ片12の凹溝18側の基端部には、その曲げ変形を誘発する断面V字形のノッチが形成されている。また、基板2における凸形部3とL形片8とが延びていない側の表面には、図示しない細条群が押出方向(図5の前後方向)に沿って、全面に形成されている。更に、押出形材1において、基板2は幅約150mm×厚み約1mm、凸形部3は長さ約8mm×厚み約1〜2mm、L形片8の側壁は長さ約9mm×厚み約1mm、L形片8の底面壁は長さ約5mm×厚み約1mm、曲げ片12は長さ約7mm×厚み約1mmのサイズである。
【0024】
図6は、一対の押出形材1a,1bを図示しない定盤の上に隣接して載置し、図示で左側の押出形材1aの凸形部3を、右側の押出形材1bの凹溝18内に挿入した状態を示す。押出形材1bにおけるL形片8の外側壁と曲げ片12の外側面との間の最大幅w1に対し、カシメ装置20における左右一対のガイドローラr1,R1間の隙間x1は、ほぼ同じか極く僅かに大きくなるように設定されている。係るガイドローラr1,R1の通過時において、L形片8の凸条9は、凸形部3の溝4に嵌合している。尚、押出形材1a,1bは、前記押出形材1と同じものであり、両者を単に区別したものである。
【0025】
図7は、カシメ装置20を用いて、押出方向に垂直な方向に沿ってカシメられた押出形材1a,1bを端部を示す。後述するように、ガイドローラr1,R1、中間ローラr2,R2、およびカシメローラr3,R3の順で曲げ片12をL形片8の側壁寄りに順次押圧して曲げると、係る曲げ片12は凸形部3に接近し、曲げ片12の小凸条14,16が凸形部3に当接する。同時に、凸形部3の先端部は、係止条11とL形片8の内側壁との間の内隅部に嵌合される。
尚、この間において、曲げ片12の先端部は、予め係止条6の頂部を乗り越えた後、係止溝7内に嵌入している。
加えて、上記カシメられた状態で、後述するように、カシメローラR3の突起pが曲げ片12の中間部を凸形部3の側面に食い込ませるため、係る凸形部3は、曲げ片12と凸条9を含むL形片8とによって、一層強固に挟持される。
【0026】
以上のような図7に示すカシメ状態において、押出形材1bにおけるL形片8の外側壁と曲げ片12の外側面との間の幅w2に対し、カシメ装置20における左右一対のカシメローラr3,R3間の隙間x2も、幅w2とほぼ同じか極く僅かに大きくなるように設定されている。
更に、左右一対の中間ローラr2,R2間の隙間(xm)は、前記隙間x1よりも小さく且つ上記隙間x2よりも大きく、これらの中間(x1>xm>x2)に設定されている。
更に、図6,図7に示すように、カシメ装置20の前方および後方の推進用ローラr4,r5は、カシメ作業の前後にわたり、押出形材1bにおけるL形片8の底壁の外側面を転動するため、当該カシメ装置20の移動を容易化している。
【0027】
ここで、カシメ装置20を用いて押出形材1a,1bをそれらの押出方向に垂直な方向に沿って施すカシメの作用を説明する。
図8は、押出形材1aの凸形部3を押出形材1bの凹溝18内に挿入して互いに隣接した押出形材1a,1bにおける後者のL形片8に沿って、カシメ装置20を移動させ、ガイドローラr1,R1、中間ローラr2,R2、およびカシメローラr3,R3の順で曲げ片12をL形片8の側壁寄りに順次押圧してカシメる状態の垂直断面図を示す。図9は、同様にカシメる状態の概略の平面図を示す。
図8および図9の上段に示すように、左右一対のガイドローラr1,R1が押出形材1bのL形片8と曲げ片12とを挟むと、一方のガイドローラr1は、L形片8の外壁面を転動して係るL形片8の位置を固定し、他方のガイドローラR1は、曲げ片12の外側面に接触し、係る曲げ片12を位置決めし且つ僅かに押さえる。
【0028】
次に、図8および図9の中段に示すように、左右一対の中間ローラr2,R2が、押出形材1bのL形片8と曲げ片12とを挟む状態に至ると、曲げ片12は、中間ローラR2の押圧力によって、押出形材1aの凸形部3寄りに曲げられると共に、当該曲げ片12の先端部は、係止条6に当接ししつこれを乗り越えようとする。同時に、中間ローラr2は、L形片8の外壁面を転動して係るL形片8の位置を固定し、上記中間ローラR2の押圧力を受ける作用を果たしている。
この間において、フレーム21,22の外側に固定した滑り片s1,s2は、押出形材1a,1bの凸形部3やL形片8などが延びる側の基板2の表面に接触ししつ摺動しているため、カシメ装置20のL形片8に沿った移動を、推進用ローラr4,r5と相まって、スムースなものにしている。
【0029】
更に、図8および図9の下段に示すように、左右一対のカシメローラr3,R3が、押出形材1bのL形片8と曲げられた曲げ片12とを挟む状態に至ると、係る曲げ片12は、カシメローラR3の押圧力によって、押出形材1aの凸形部3の側面に接近すると共に、当該曲げ片12の先端部は、係止条6を乗り越えて、係止溝7内に嵌入する。この結果、曲げ片12の小凸条14,16は、凸形部3の側面に当接し、L形片8の凸条9が凸形部3の溝4に嵌合すると共に、凸形部3の先端部は、係止条11とL形片8の内側壁との間の内隅部に嵌合される。これにより、図9の下段に示すような連結構造のカシメ部kが形成され、押出形材1a,1bを押出方向に垂直な方向に沿ったカシメにより連結することができる。
尚、カシメローラR3の1回転ごとに、上記カシメ部kの長手方向に沿って、突起pによって曲げ片12に成形される突部と窪みとが複数個形成される。また、上記カシメ部kは、押出形材1a,1bの押出方向に沿って連続して形成される。
【0030】
図10は、前記カシメ装置20を用いて、3個の押出形材1をカシメ部kを介して連結したサインボードSBの側面図と概略の正面図とを示す。
図10の側面図に示すように、各押出形材1における基板2の中間には、凸形部3やL形片8と同じ側に、底広凹溝19を内設する箱形部17が形成されている。底広凹溝19内にボルト頭を嵌装したボルトBを平面視がH形を呈する左右一対の支柱Pのフランジに貫通させ、その雄ネジ部にナットNを締結することにより、図10中で左下の正面図で示すように、上下3段の押出形材1の基板2からなる所定スペースのサイン面を有するサインボードSBが形成できる。
【0031】
また、図10中の一点鎖線部分の拡大図で示すように、前記カシメローラR3の突起pによって、各押出形材1における曲げ片12の中間には、突部tと窪みqとが、カシメ部kの長手(押出)方向に沿って等間隔に形成されている。
以上のように、複数個の突部tと窪みqとを含むカシメ部kを介して3個の押出形材1を連結したサインボードSBによれば、季節や気候の変化による寒暖差や温度差による熱的影響はもとより、不用意な外力を受けても各カシメ部kがガタ付いたりしない。従って、3つの基板2にまたがる平坦面に、例えば行き先案内などの道路情報、施設案内、各種の広告、あるいは選挙ポスターなどを描いたり貼り付けられ、且つ保守管理を殆ど皆無にして活用することが可能となる。
【0032】
図11は、前記カシメ装置20の応用形態であるカシメ装置20aの概略を示す斜視図、図12は、その使用状態を説明する概略である。
カシメ装置20aは、図11に示すように、前記同様のフレーム21,22、これらの底面の外辺に沿って固定した滑り片s1,s2、フレーム21にボルトbを介して固定した連結片25,26、および、係る連結片25,26に前記同様の長孔gを貫通するボルトb・ナット(図示せず)を介して上記フレーム21に対し傾斜可能に取り付けたフレーム22を備えている。尚、カシメ装置20aは、前記縦片27,28、推進用ローラr4,r5、持ち手片30を有していない。
前記カシメ装置20と同様に、一方のフレーム21には、ガイドローラr1,中間ローラr2,およびカシメローラr3が軸支され、他方のフレーム22には、ガイドローラR1,中間ローラR2,およびカシメローラR3が軸支されている。
【0033】
図11に示すように、フレーム22には、ガイドローラR1,カシメローラR3の回転軸が軸受(図示せず)を介して垂直に貫通し、それらの回転軸の上端には、大径の歯車G1,G2が取り付けられている。係る歯車G1,G2の間には、これらと噛み合う小径の歯車G3がフレーム22の上面側に回転可能に取り付けられている。係る歯車G3の回転軸の上端には、六角柱の非円形部Vが形成されている。
図示しないラチェット式レンチを上記非円形部Vに係合して順次回すと、歯車G3の回転により、歯車G1,G2を同じ方向に回転させることができる。
前記同様に、押出形材1a,1bを隣接してセットし、前者の凸形部3を後者の凹溝18に挿入した状態とし、それらの基板2の表面に滑り片s1,s2を支持させることで、カシメ装置20aを押出形材1a,1bに跨って配置する。
【0034】
そして、上記ラチェット式レンチを片手で回転すると、歯車G3、歯車G1,G2を介して、回転ガイドローラR1とカシメローラR3とが同じ向きで回転する。この結果、前記図8,図9で示したように、ガイドローラr1,R1、中間ローラr2,R2、およびカシメローラr3,R3の順で、押出形材1bの曲げ片12をそのL形片8の側壁寄りに順次押圧してカシメる作業が容易且つ比較的少ない労力で行うことが可能となる。
一方、図12に示すように、六角柱の非円形部Vに回転軸sfの先端に設けたボックススパナbsを嵌合し、係る回転軸sfをモータMで回転させる電動ドライバDを、カシメ装置20aの上方にセットしても良い。
【0035】
図12に示すように、電動ドライバDを利用する形態では、片手で電動ドライバDのグリップとスイッチ(図示せず)とを握って、モータMを駆動することで、回転軸sfとボックススパナbsを回転し、非円形部Vと歯車G3などを介してガイドローラR1およびカシメローラR3を同じ方向に回転することができる。
このため、前記図8,図9で示したように、ガイドローラr1,R1、中間ローラr2,R2、およびカシメローラr3,R3の順で、押出形材1bの曲げ片12をそのL形片8の側壁寄りに順次押圧してカシメる作業が一層容易且つ更に少ない労力で迅速に行うことが可能となる。
【0036】
図13,図14は、カシメローラR3の周面における軸方向の中間で且つその円周方向に沿って、断面山形(逆V字形)のリング凸条vを全周に1個形成したものである。
係るリング凸条vを有するカシメローラR3と、対向するカシメローラr3とを用いる場合、図15の上方に示すように、押出形材1bにおける曲げ片12の外側面には、上記リング凸条vが進入する溝uを予め形成しておくものとする。
前記同様に、押出形材1aの凸形部3を押出形材1bの凹溝18に挿入し、ガイドローラr1,R1、中間ローラr2,R2の順で、押出形材1bの曲げ片12をそのL形片8の側壁寄りに順次当接および押し曲げた後、リング凸条vを有するカシメローラR3とカシメローラr3との間に、押出形材1bの曲げ片12を含むL形片8を挿入する。
【0037】
その結果、図15の白抜き矢印の下方に示すように、カシメローラR3は、そのリング凸条vが曲げ片12の溝u内に進入すると共に、係る曲げ片12を凸形部3寄りに更に曲げる。この際、リング凸条vが曲げ片12の溝uの内部に深く進入するため、凸形部3の反対側には凸部tが図示の前後(押出)方向の全長に沿って形成される。これにより、押出形材1a,1bのカシメによる連結強度を、カシメ部(k)の全長において高く安定したものにすることができる。
【0038】
図16,図17は、カシメローラR3の周面における軸方向の中間で且つその円周方向に沿って、間隔を置いて4個(複数)のリング凸条vを形成すると共に、リング凸条v,v間ごとに前記同様の4個の突起pを個別に形成した形態を示す。係る4個のリング凸条vと4個の突起pとを有するカシメローラR3と、対向するカシメローラr3とを用いることで、押出形材1a,1bのカシメによる連結強度を、一層強固で安定したものとすることができる。
尚、カシメローラr3の周面には、1個または複数のリング凸条vや、1個または複数の突起pを、別個にあるいは併存して形成するようにしても良い。
【0039】
図18は、ガイドローラr1,中間ローラr2,およびカシメローラr3の組を前記同様に同じ直径とし、ガイドローラR1,中間ローラR2,およびカシメローラR3を係る順で大径から順次小径としたカシメ装置20bの概略図である。
これによっても、ガイドローラr1,R1間の前記隙間x1、中間ローラr2,R2間の前記隙間xm(x1>xm>x2)、およびカシメローラr3,R3間の前記隙間x2を順次小さくすることができる。しかも、この形態によれば、前記フレーム21,22を用いる形態の他、単一のフレームに上記6個のローラを軸支する形態とすることも可能である。
【0040】
図19は、ガイドローラr1,R1、中間ローラr2,R2、およびカシメローラr3,R3の順で、大径から順次小径としたカシメ装置20cの概略図である。これによっても、ガイドローラr1,R1間の前記隙間x1、中間ローラr2,R2間の前記隙間xm(x1>xm>x2)、およびカシメローラr3,R3間の前記隙間x2を順次小さくすることができる。
これによれば、前記フレーム21,22を用いる形態の他、単一のフレームに上記合計6個のローラを軸支する形態とすることも可能である。
【0041】
図20は、前記カシメ装置20,20a〜20cにより、カシメが可能な異なる押出形材31の両端部の断面を示す。
押出形材31は、図20の左側に示すように、平坦な基板32、その左端部(一端部)にほぼ垂直に設けた凸形部33、右端部(一端部)にほぼ逆L字形に設けたL形片38、係るL形片38の先端に斜めに設けた曲げ片42、および、L形片38と曲げ片42とに囲まれた凹溝46を、図示の前後(押出)方向に沿って連続して有する。尚、基板32の中間には、前記のような底広凹溝19を内設する箱形部17を、上記凸形部33などと同じ側に設けても良い。
図20の左側に示すように、凸形部33の両側面には、断面が台形の凸条34と溝35とが2つずつ対称に形成され、係る凸形部33寄りの基板32における当該凸形部33が延びる側の表面には、断面三角形の係止条36が突設され、係る係止条36と凸形部33との間には、係止溝37が位置している。
【0042】
一方、図20の左側に示すように、L形片38の内側壁には、上記溝35に嵌合する断面台形の凸条39と、上記凸条34が嵌合する溝40とが2つずつ設けられると共に、曲げ片42の内側面には、上記溝35に嵌合する凸条44が突設されている。尚、曲げ片42の凹溝46側の基端部には、その曲げ変形を誘発する断面V字形のノッチが形成されている。
押出形材31,31を前記同様に隣接させ、凸形部33を凹溝46に挿入して、予め凸条34を溝40に、凸条39を溝35にそれぞれ嵌合させる。
係る状態で、前記カシメ装置20,20a〜20cを用い、ガイドローラr1,R1、中間ローラr2,R2、およびカシメローラr3,R3の順で、曲げ片42をL形片38寄りに順次曲げる。これにより、図20の右側に示すように、曲げ片42は凸形部33に接近し、その先端部が係止溝37に嵌入する同時に、凸条44が溝35に嵌合する。
この結果、押出形材31,31を押出方向と垂直な方向に沿ってカシメにより緊密に連結することができる。
【0043】
図21は、前記カシメ装置20,20a〜20cにより、カシメが可能な更に異なる押出形材51の両端部の断面を示す。
押出形材51は、図21の左側に示すように、平坦な基板52、その左端部(一端部)にほぼ垂直に設けた凸形部53、右端部(一端部)にほぼ逆L字形に設けたL形片58、係るL形片58の先端にノッチを介して斜めに設けた曲げ片62、および、L形片58と曲げ片62とに囲まれた凹溝66を図示の前後(押出)方向に沿って連続して有する。尚、基板52の中間にも、前記のような底広凹溝19を内設する箱形部17を、凸形部53などと同じ側に設けても良い。
図21の左側に示すように、凸形部53の左側面には、斜め下向きの溝54と断面ほぼ菱形の凸条55とが形成され、凸形部53の右側面には、小凸条53aが突設されている。また、係る凸形部53寄りの基板52における当該凸部53が延びる側の表面には、断面三角形の係止条56が突設され、係る係止条56と凸形部53との間には、係止溝57が位置している。
【0044】
一方、図21の左側に示すように、L形片58の内側壁には、上記溝54に嵌合する断面ほぼ菱形の凸条59と、上記凸条55が嵌合する溝60とが設けられると共に、曲げ片62の内側面の先端には、上記係止溝57の一部に嵌合する小凸条64が突設されている。
押出形材51,51を前記同様に隣接させ、凸形部53を凹溝66に挿入して、予め凸条55を溝60に、凸条59を溝54にそれぞれ嵌合させる。
係る状態で、前記カシメ装置20,20a〜20cを用い、ガイドローラr1,R1、中間ローラr2,R2、およびカシメローラr3,R3の順で、曲げ片62をL形片58寄りに順次曲げる。これにより、図21の右側に示すように、曲げ片62は、凸形部53に接近し、先端の小凸条64が係止溝57に嵌入するため、当該曲げ62は係止条56から抜け出し不能となる。この結果、押出形材51,51を押出方向と垂直な方向に沿ってカシメにより緊密に連結することができる。
【0045】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではいない。
例えば、中間ローラは、一対ずつのガイドローラとカシメローラとの間に、前記同様に順次隙間が狭くなるように、2対以上を配設することも可能である。
また、前記ガイドローラ、中間ローラ、およびカシメローラには、周面が平坦な前記平ロールの形態に限らず、当設するL形片の側壁形状や押圧する曲げ片の外側面の形状に倣った凹凸を周面の全周に設けたロールを適用しても良い。
更に、前記カシメローラR3の周面に突設する突起pは、2個以上をロール周面の円周方向に沿って等間隔で突設しても良く、且つ対向するカシメローラr3にも任意数を突設しても良い。あるいは、2個以上の突起pをロール周面の軸方向に沿って隣接して形成しても良い。
また、本発明のカシメ装置の対象となる押出形材は、前記平坦な基板を主体とする平板状の形態に限らず、断面が緩やかにカーブする基板の一端部に前記凸部を、他端部にL形片、曲げ片、および凹溝を有する全体が断面円弧形の形態としても良い。係る形態の押出形材を前記カシメ装置20などによってカシメことにより、断面アーチ形または断面半円形の構造物(例えば、通路の上方を覆う屋根)を、高い水密性をもって形成することが可能となる。
尚、本発明のカシメ装置の対象となる押出形材は、主にアルミニウム合金からなるものを対象とするが、同等の物理的特性を有するものであれば、樹脂製や他の金属製の形材も含まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明における一形態のカシメ装置を示す平面図。
【図2】図1中のX−X線の矢視に沿った垂直断面図。
【図3】上記カシメ装置を示す底面図。
【図4】上記カシメ装置を前方の斜め下側からの視覚で観た斜視図。
【図5】上記カシメ装置によりカシメる押出形材を示す断面図。
【図6】上記押出形材と上記カシメ装置のガイドローラとの関係を示す概略図。
【図7】上記押出形材と上記カシメ装置のカシメローラとの関係を示す概略図。
【図8】上記カシメ装置による上記押出形材のカシメ工程を示す部分断面図。
【図9】上記カシメ装置による上記押出形材のカシメ工程を示す部分平面図。
【図10】上記カシメにて得られたサインボートの正面図、側面図、その一部拡大図。
【図11】異なる形態のカシメ装置の概略を示す斜視図。
【図12】上記カシメ装置の異なる使用形態を示す斜視図。
【図13】異なる形態のカシメローラを示す側面図。
【図14】上記カシメローラを示す斜視図。
【図15】上記カシメローラによる前記押出形材のカシメ工程を示す概略図。
【図16】更に異なる形態のカシメローラを示す平面図。
【図17】上記カシメローラを示す側面図。
【図18】更に異なる形態のカシメ装置を示す概略図。
【図19】別異なる形態のカシメ装置を示す概略図。
【図20】本発明のカシメ対象となる異なる押出形材を示す部分断面図。
【図21】本発明のカシメ対象となる更に異なる押出形材を示す部分断面図。
【符号の説明】
【0047】
1,31,51…………押出形材
3,33,53…………凸形部
8,38,58…………L形片
12,42,62………曲げ片
18,46,66………凹溝
20,20a〜20c…カシメ装置
r1,R1………………カシメローラ
r2,R2………………中間ローラ
r3,R3………………カシメローラ
x1,x2,xm………隙間
p…………………………突起
v…………………………リング凸条
G1〜G3………………歯車
M…………………………モータ
sf………………………回転軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の押出形材同士をそれらの押出方向と垂直な方向に沿ってカシメする装置であり、
一方の押出形材における基板の一端部に設けたL形片およびその先端に設けた曲げ片に囲まれ且つ上記基板側に開口する凹溝に、他方の押出形材における基板の一端部に設けた凸形部を挿入した状態で、上記L形片および曲げ片の通過を許容する隙間を有する左右一対のガイドローラと、
上記一対のガイドローラの後方に配置され、係るガイドローラ間を通過した上記曲げ片の少なくとも一部が上記凸形部の側面にほぼ接触するように当該曲げ片をL形片の側壁寄りに押圧する左右一対のカシメローラと、
上記左右一対のガイドローラと上記左右一対のカシメローラとの間に配置され、これら各組のローラの隙間に対し中間の隙間を有する少なくとも左右一対の中間ローラと、を含む、
ことを特徴とする押出形材のカシメ装置。
【請求項2】
前記左右一対のカシメローラのうち、少なくとも前記曲げ片に当接し且つ当該曲げ片を押圧する側のローラの周面に、上記曲げ片の外側面に進入し且つその内側面を前記凸形部の側面に当接または進入させる単数または複数の突起を形成している、
ことを特徴とする請求項1に記載の押出形材のカシメ装置。
【請求項3】
前記左右一対のカシメローラのうち、少なくとも前記曲げ片に当接し且つ当該曲げ片を押圧する側のローラの周面における円周方向に沿って、上記曲げ片の外側面を押圧するリング凸条を全周に1個または間隔を置いて複数個形成している、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の押出形材のカシメ装置。
【請求項4】
前記左右一対のガイドローラ、前記左右一対の中間ローラ、および、前記左右一対のカシメローラは、それらの隙間がそれぞれ調整可能である、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の押出形材のカシメ装置。
【請求項5】
前記ガイドローラの一方と前記カシメローラの一方とが、複数の歯車を介して、モータの回転軸により同じ方向に回転可能とされている、
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の押出形材のカシメ装置。
【請求項1】
複数の押出形材同士をそれらの押出方向と垂直な方向に沿ってカシメする装置であり、
一方の押出形材における基板の一端部に設けたL形片およびその先端に設けた曲げ片に囲まれ且つ上記基板側に開口する凹溝に、他方の押出形材における基板の一端部に設けた凸形部を挿入した状態で、上記L形片および曲げ片の通過を許容する隙間を有する左右一対のガイドローラと、
上記一対のガイドローラの後方に配置され、係るガイドローラ間を通過した上記曲げ片の少なくとも一部が上記凸形部の側面にほぼ接触するように当該曲げ片をL形片の側壁寄りに押圧する左右一対のカシメローラと、
上記左右一対のガイドローラと上記左右一対のカシメローラとの間に配置され、これら各組のローラの隙間に対し中間の隙間を有する少なくとも左右一対の中間ローラと、を含む、
ことを特徴とする押出形材のカシメ装置。
【請求項2】
前記左右一対のカシメローラのうち、少なくとも前記曲げ片に当接し且つ当該曲げ片を押圧する側のローラの周面に、上記曲げ片の外側面に進入し且つその内側面を前記凸形部の側面に当接または進入させる単数または複数の突起を形成している、
ことを特徴とする請求項1に記載の押出形材のカシメ装置。
【請求項3】
前記左右一対のカシメローラのうち、少なくとも前記曲げ片に当接し且つ当該曲げ片を押圧する側のローラの周面における円周方向に沿って、上記曲げ片の外側面を押圧するリング凸条を全周に1個または間隔を置いて複数個形成している、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の押出形材のカシメ装置。
【請求項4】
前記左右一対のガイドローラ、前記左右一対の中間ローラ、および、前記左右一対のカシメローラは、それらの隙間がそれぞれ調整可能である、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の押出形材のカシメ装置。
【請求項5】
前記ガイドローラの一方と前記カシメローラの一方とが、複数の歯車を介して、モータの回転軸により同じ方向に回転可能とされている、
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の押出形材のカシメ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2006−346693(P2006−346693A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−173245(P2005−173245)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(000250432)理研軽金属工業株式会社 (89)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(000250432)理研軽金属工業株式会社 (89)
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