説明

押出成形装置

【課題】押出成形装置による押出成形作業時において、スクリューを逆転駆動させ、被押出材をバレル孔からその後方空間に排出させることがある場合でも、押出成形作業の作業性が良好に保たれるようにする。
【解決手段】押出成形装置1は、バレル13と、このバレル13の軸方向の前端部に取り付けられ、このバレル13内のバレル孔14の前端を閉じるダイ15と、バレル孔14に嵌入されて正転A駆動によりこのバレル孔14内の被押出材2をダイ15を通し前方に押し出すスクリュー17と、バレル13の後方に配置され、駆動力をスクリュー17に伝達可能とする動力伝達装置9とを備える。スクリュー17の逆転B駆動により、被押出材2をバレル孔14内からその後方空間30に排出可能とする。バレル孔14の後方空間30を囲繞するケーシング31を設け、このケーシング31の下部に被押出材2の排出口32を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリューの正転駆動により、押し出し成形が可能とされる一方、バレル孔内での被押出材の圧力が過大になったなどのときに、上記スクリューを逆転駆動させることにより、上記被押出材が上記バレル孔内からその後方空間に排出可能とされるようにした押出成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
押出成形装置には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、基台に支持され、孔軸が水平に延びるバレルと、このバレルの軸方向の前端部に取り付けられ、このバレル内のバレル孔の前端を閉じるダイと、上記バレル孔に嵌入されて正転駆動によりこのバレル孔内の被押出材を押動し、この被押出材を上記ダイを通し前方に押し出すスクリューと、上記バレルの後方に配置され、電動機からの駆動力を上記スクリューに伝達可能とする動力伝達装置とを備えている。
【0003】
上記押出成形装置による押出成形作業時には、上記電動機の駆動によりスクリューを正転駆動させる。すると、このスクリューによりバレル孔内の被押出材がダイに向けて加圧され、上記被押出材が上記ダイのダイ孔を通し前方に押し出される。すると、上記ダイ孔に合致した所望の断面形状を有する押出成形品が成形される。
【特許文献1】特開2005−199522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記押出成形作業において、スクリューを正転駆動させて押出成形品を成形している途中で、上記スクリューによるバレル孔内の被押出材の押動により、この被押出材の圧力が、時として過大になることがある。この場合、上記スクリューは上記被押出材から過大な反力を受けて電動機が過負荷となり、上記押出成形品の成形が阻害されることとなる。
【0005】
そこで、上記の場合には、従来より、上記スクリューが、一旦、逆転駆動させられて上記被押出材がバレル孔内からその後方空間に排出させられる。すると、上記バレル孔内の被押出材の圧力が低下する。そこで、上記スクリューが再び正転駆動させられて上記押出成形品の成形が再開させられる。以下、上記作動が繰り返されて、押出成形品の成形が続行されるようになっている。
【0006】
しかし、前記従来の技術において、上記したようにスクリューを逆転駆動させ、被押出材をバレル孔からその後方空間に単に排出させると、上記被押出材が上記押出成形装置周りの作業空間に向かい無用に拡がるおそれがあり、これは上記押出成形作業の作業性上好ましくない。
【0007】
そこで、上記バレル孔の後方空間を囲繞するケーシングを設けて、上記バレル孔から排出される被押出材を上記ケーシングに一旦導入させ、その後、所望位置に排出させるようにすることが考えられる。このようにすれば、上記被押出材が無用に拡がることは防止できる。
【0008】
しかし、上記のようなケーシングを単に設けると、次のような問題点が生じるおそれがある。
【0009】
即ち、上記押出成形装置においては、小型化や強度上などの要求により、上記バレルの後方に上記動力伝達装置が近接配置される。このため、上記ケーシングの容量を大きくしようとしても、これは上記動力伝達装置によって規制され、上記ケーシングの容量を十分に大きくすることは困難である。よって、上記スクリューを逆転駆動させて、上記被押出材をバレル孔内からその後方空間に導入させているとき、上記ケーシングに導入された被押出材が、時として不意にこのケーシング内で詰りを生じて圧力が過大になることがある。そして、この場合には、上記スクリューの逆転駆動が阻害されることとなる。
【0010】
そこで、上記スクリューを逆転駆動させるときには、被押出材が上記ケーシング内で詰りを生じないよう監視し、詰りが生じたときには直ちに上記ケーシング内から上記被押出材を取り出す作業が要求される。しかし、これは、上記押出成形作業を煩雑にさせ、円滑な作業を阻害するものであって、好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、押出成形装置による押出成形作業時において、スクリューを逆転駆動させ、被押出材をバレル孔からその後方空間に排出させることがある場合でも、上記押出成形作業の作業性が良好に保たれるようにすることである。
【0012】
また、本発明の他の目的は、上記のように作業性を良好にさせた場合でも、押出成形作業が円滑にできるようにすることである。
【0013】
請求項1の発明は、バレル13と、このバレル13の軸方向の前端部に取り付けられ、このバレル13内のバレル孔14の前端を閉じるダイ15と、上記バレル孔14に嵌入されて正転A駆動によりこのバレル孔14内の被押出材2を上記ダイ15を通し前方に押し出すスクリュー17と、上記バレル13の後方に配置され、駆動力を上記スクリュー17に伝達可能とする動力伝達装置9とを備え、上記スクリュー17の逆転B駆動により、上記被押出材2を上記バレル孔14内からその後方空間30に排出可能とした押出成形装置において、
上記バレル孔14の後方空間30を囲繞するケーシング31を設け、このケーシング31の下部に上記被押出材2の排出口32を形成したものである。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明に加えて、上記ケーシング31の上部に開口45を形成し、この開口45を開閉可能に閉じるカバー46を設け、上記バレル孔14から上記ケーシング31内に導入された被押出材2から上記カバー46に与えられる圧力により、このカバー46が開動作させられるようにしたものである。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1、もしくは2の発明に加えて、上記スクリュー17が、上記動力伝達装置9側から上記ケーシング31を貫通して上記バレル孔14内にまで延出するスクリュー軸23と、上記バレル孔14内における上記スクリュー軸23の部分に取り付けられるスクリュー羽根24とを備えた押出成形装置において、
上記ケーシング31内における上記スクリュー軸23の部分にこのスクリュー軸23と共に回転する羽根49を突設したものである。
【0016】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0017】
本発明による効果は、次の如くである。
【0018】
請求項1の発明は、バレルと、このバレルの軸方向の前端部に取り付けられ、このバレル内のバレル孔の前端を閉じるダイと、上記バレル孔に嵌入されて正転駆動によりこのバレル孔内の被押出材を上記ダイを通し前方に押し出すスクリューと、上記バレルの後方に配置され、駆動力を上記スクリューに伝達可能とする動力伝達装置とを備え、上記スクリューの逆転駆動により、上記被押出材を上記バレル孔内からその後方空間に排出可能とした押出成形装置において、
上記バレル孔の後方空間を囲繞するケーシングを設け、このケーシングの下部に上記被押出材の排出口を形成しており、次の効果が生じる。
【0019】
即ち、上記押出成形装置による押出成形作業時に、上記スクリューを正転駆動させたとする。すると、このスクリューによりバレル孔内の被押出材が押動され、上記ダイを通し前方に押し出されて押出成形品が成形される。
【0020】
また、上記押出成形装置による押出成形作業において、上記したように各スクリューを正転駆動させて押出成形品を成形している途中で、上記バレル孔内の被押出材の圧力が過大になったような場合には、上記スクリューを逆転駆動させることにより、上記被押出材をバレル孔内からその後方空間に排出させれば、上記バレル孔内の被押出材の圧力を低下させることができる。そして、上記各スクリューを再び正転駆動させれば、上記押出成形品の成形が再び可能となる。
【0021】
ここで、前記したように、バレル孔の後方空間を囲繞するケーシングを設け、このケーシングの下部に上記被押出材の排出口を形成している。
【0022】
このため、上記スクリューの逆転駆動により、上記バレル孔内の被押出材を上記後方空間に排出させたとき、上記被押出材は、一旦、ケーシング内に導入され、その後、上記排出口から所望位置に排出される。よって、上記被押出材が上記押出成形装置周りの作業空間に無用に拡がるということは防止されて、上記押出成形作業の作業性は良好に保たれる。
【0023】
請求項2の発明は、上記ケーシングの上部に開口を形成し、この開口を開閉可能に閉じるカバーを設け、上記バレル孔から上記ケーシング内に導入された被押出材から上記カバーに与えられる圧力により、このカバーが開動作させられるようにしている。
【0024】
このため、上記スクリューの逆転駆動により、上記ケーシング内に導入された被押出材が上記ケーシング内に充満して、その圧力が過大になるときには、この被押出材の圧力により、上記カバーが開動作させられ、上記開口が開かれる。よって、上記被押出材は開口を通し、上記ケーシングの外部に排出されて、上記ケーシング内の被押出材の圧力が無用に過大になる、ということは自動的に防止される。
【0025】
つまり、上記ケーシング内の被押出材は、時として上記開口を通して排出されるものの、上記被押出材が上記押出成形装置周りの作業空間に無用に拡がるということは、上記ケーシングにより防止された状態で、上記スクリューの逆転駆動によるバレル孔からの被押出材の排出が円滑にでき、この結果、上記スクリューの逆転駆動を含めての押出成形作業が、全体として円滑にできる。
【0026】
請求項3の発明は、上記スクリューが、上記動力伝達装置側から上記ケーシングを貫通して上記バレル孔内にまで延出するスクリュー軸と、上記バレル孔内における上記スクリュー軸の部分に取り付けられるスクリュー羽根とを備えた押出成形装置において、
上記ケーシング内における上記スクリュー軸の部分にこのスクリュー軸と共に回転する羽根を突設している。
【0027】
このため、上記スクリューの逆転駆動により上記ケーシング内に導入された被押出材は、上記スクリューに連動する上記羽根によって攪拌され、上記排出口を通し上記ケーシングの外部に排出される。よって、上記ケーシング内の被押出材の圧力が過大になるということは、より確実に防止される。この結果、上記押出成形作業が更に円滑に達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の押出成形装置に関し、押出成形装置による押出成形作業時において、スクリューを逆転駆動させ、被押出材をバレル孔からその後方空間に排出させることがある場合でも、上記押出成形作業の作業性が良好に保たれるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための最良の形態は、次の如くである。
【0029】
即ち、押出成形装置は、バレルと、このバレルの軸方向の前端部に取り付けられ、このバレル内のバレル孔の前端を閉じるダイと、上記バレル孔に嵌入されて正転駆動によりこのバレル孔内の被押出材を上記ダイを通し前方に押し出すスクリューと、上記バレルの後方に配置され、駆動力を上記スクリューに伝達可能とする動力伝達装置とを備えている。上記スクリューの逆転駆動により、上記被押出材が上記バレル孔内からその後方空間に排出可能とされている。上記バレル孔の後方空間を囲繞するケーシングが設けられ、このケーシングの下部に上記被押出材の排出口が形成されている。
【実施例】
【0030】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0031】
図において、符号1は押出成形装置であり、矢印Frを説明の便宜上、前方として以下説明する。
【0032】
上記押出成形装置1は、例えば、製鋼原料となる鉄粉と軟質樹脂とを加熱混合したものを被押出材2とし、これを押し出すことにより、所望の断面形状を有する固形の押出成形品3を成形可能とするものである。
【0033】
上記押出成形装置1は、作業面5上に設置された架台6と、この架台6上に設置され、上記被押出材2を投入させる一方、上記押出成形品3を押出成形可能とする押出成形機7と、この押出成形機7の駆動源である電動機8と、この電動機8から出力される駆動力を上記押出成形機7に伝達してこの押出成形機7を駆動させる動力伝達装置9とを備えている。
【0034】
上記押出成形機7は、上記架台6上に支持され孔軸12が水平かつ前後方向に延びるバレル13と、このバレル13の軸方向の前端部に取り付けられ、このバレル13内のバレル孔14の前端を閉じるダイ15と、上記バレル孔14に嵌入され、上記孔軸12に平行な左右一対の軸心16,16回りにそれぞれ正、逆転A,B駆動可能とされる左右一対のスクリュー17,17とを備えている。
【0035】
上記押出成形機7の背面視(図1)で、上記各スクリュー17の外周部の互いの対向部分が互いに重なり合っている。上記バレル孔14の内面は、上記両スクリュー17の外周面に近接するよう形成されており、このため、上記押出成形機7の背面視で、上記バレル孔14は横向きのまゆ形状をなし、かつ、その軸方向の各部横断面は互いに同形同大とされている。
【0036】
上記バレル13の軸方向の中途部には、上記バレル孔14に、上記被押出材2を投入可能とさせる投入口20が形成されている。また、上記バレル孔14は、その横断面形状のままで上記バレル13の後方に向けて開放されている。上記ダイ15には、上記孔軸12と平行に延びる多数のダイ孔21が形成されている。
【0037】
上記各スクリュー17は、その後部側が上記動力伝達装置9に片持ち支持されて、前部側が上記動力伝達装置9側から上記バレル孔14内にまで延出するスクリュー軸23と、上記バレル孔14内におけるスクリュー軸23の部分に取り付けられるスクリュー羽根24とを備えている。左右スクリュー17,17の各スクリュー羽根24は互いに逆ねじとされ、かつ、互いに逆方向に正転A(もしくは逆転B)することとされている。
【0038】
上記動力伝達装置9は、上記電動機8からの駆動力を入力する一方、これを減速して出力する減速機26と、この減速機26からの出力をカップリング27を介し入力して上記各スクリュー軸23に均等に分配するよう出力する分配機28とを備えている。この分配機28は、上記バレル13の後方近傍に配置されて上記架台6上に支持されている。
【0039】
上記電動機8の正転駆動により、上記動力伝達装置9を介し各スクリュー17が正転A駆動させられると、これら各スクリュー17により上記バレル孔14内の被押出材2が上記ダイ15に向けて押動され、上記被押出材2が上記ダイ15の各ダイ孔21を通し前方に押し出される。すると、上記各ダイ孔21に合致した所望の断面形状を有する押出成形品3が成形される。
【0040】
一方、上記電動機8の逆転駆動により、上記動力伝達装置9を介し各スクリュー17が逆転B駆動させられると、これら各スクリュー17により上記バレル孔14内の被押出材2が、上記バレル孔14の後方空間30に排出可能とされている。
【0041】
上記バレル孔14の後方空間30を囲繞する板金製のケーシング31が設けられている。上記後方空間30は、上記押出成形機7のバレル13の後面と、動力伝達装置9の分配機28の前面との間に位置している。上記ケーシング31の左右各側部の下部には、このケーシング31内の被押出材2を上記ケーシング31の左右各外側方に向けて排出可能とする左右一対の排出口32,32が形成されている。上記ケーシング31は、上記押出成形機7に対し締結具33により支持されている。
【0042】
上記ケーシング31は、上記後方空間30をその下方から覆い、押出成形機7の背面視(図1)で、三角形の頂部形状となるよう延びる下部板34と、上記後方空間30をその上方から覆う上部板35と、上記バレル13の後面に沿うように延びて、上記下、上部板34,35の前端縁同士を結合させる前面板36と、上記分配機28の前面に沿うように延びて、上記下、上部板34,35の後端縁同士を結合させる後面板37とを備えている。
【0043】
上記前面板36には、上記バレル孔14の後端を上記ケーシング31内の後方空間30に連通させ、上記バレル孔14から排出される押出成形品3を上記後方空間30に導入させる導入口39が形成されている。上記バレル孔14と導入口39とは、押出成形機7の背面視(図1)で、互いにほぼ同形同大とされている。上記後面板37には、上記各スクリュー軸23を貫通させる貫通孔40が形成されている。
【0044】
上記各板34−37の各側部により、上記後方空間30からその外側下方に向かって延出する左右一対の筒状体42,42が形成されている。これら各筒状体42の内部が上記排出口32とされ、上記各筒状体42の延出端は上記架台6の外側方に位置している。
【0045】
上記上部板35の左右幅方向の中途部は、押出成形機7の背面視(図1)で、上記バレル孔14の内面の上縁部に沿って延び、これにより、上記上部板35の上記中途部には、上方に向かって凸形状の左右一対の円弧凸状部44,44が形成されている。これら各円弧凸状部44の外側部にそれぞれ開口45が形成され、これら各開口45をそれぞれその上方から開閉可能に閉じるカバー46が設けられている。
【0046】
上記各カバー46はそれぞれ上記各円弧凸状部44の外側部の上面に沿う円弧形状となるよう形成されている。上記押出成形機7の左右幅方向において、バレル13の孔軸12側の上記各カバー46の一端部がヒンジ47により上記上部板35に枢支され、上記ヒンジ47を中心として、上記カバー46の他端部側が上下に回動C可能とされている。
【0047】
上記各カバー46は、その自重により下方に回動Cして、上記開口45を閉じている。上記各スクリュー17の逆転B駆動により、上記バレル孔14内の被押出材2が上記後方空間30に排出されるとき、仮に、上記被押出材2からカバー46に与えられる圧力が過大となったときには、この被押出材2からの圧力により、上記カバー46はこのカバー46の自重で対抗しながら上方に回動C(図1中一点鎖線)させられ、つまり、開動作させられるようになっている。
【0048】
なお、上記ケーシング31は、上記架台6、押出成形機7、電動機8、および動力伝達装置9の組立体に対し、その外部から組み付け可能となるよう、いくつかに分割され、かつ、組み立て可能とされている。
【0049】
上記ケーシング31内におけるスクリュー軸23の部分に、このスクリュー軸23と共に回転する羽根49が突設されている。この羽根49は、上記ケーシング31内の被押出材2を攪拌し、この被押出材2を上記排出口32を通し、上記ケーシング31の外部に排出可能とさせる。
【0050】
上記押出成形装置1による押出成形作業時に、上記各スクリュー17を正転A駆動させたとする。すると、これら各スクリュー17によりバレル孔14内の被押出材2が押動され、上記ダイ15の各ダイ孔21を通し前方に押し出されて押出成形品3が成形される。
【0051】
また、上記押出成形装置1による押出成形作業において、上記したように各スクリュー17を正転A駆動させて押出成形品3を成形している途中で、上記バレル孔14内の被押出材2の圧力が過大になった場合には、上記各スクリュー17を逆転B駆動させることにより、上記被押出材2をバレル孔14内からその後方空間30に排出させ、上記バレル孔14内の被押出材2の圧力を低下させてやる。そして、上記各スクリュー17を再び正転A駆動させれば、上記押出成形品3の成形が再び可能となる。なお、上記バレル孔14内の被押出材2の圧力が過大になったか否かは、上記電動機8の負荷状態などにより検出される。
【0052】
ここで、前記したように、バレル孔14の後方空間30を囲繞するケーシング31が設けられ、このケーシング31の下部に上記被押出材2の排出口32が形成されている。
【0053】
このため、上記各スクリュー17の逆転B駆動により、上記バレル孔14内の被押出材2を上記後方空間30に排出させたとき、上記被押出材2は、一旦、ケーシング31内に導入され、その後、上記排出口32から所望位置に排出される。よって、上記被押出材2が上記押出成形装置1周りの作業空間に無用に拡がるということは防止されて、上記押出成形作業の作業性は良好に保たれる。
【0054】
また、前記したように、ケーシング31の上部に開口45を形成し、この開口45を開閉可能に閉じるカバー46を設け、上記バレル孔14から上記ケーシング31内に導入された被押出材2から上記カバー46に与えられる圧力により、このカバー46が開動作させられるようにしている。
【0055】
このため、上記各スクリュー17の逆転B駆動により、上記ケーシング31内に導入された被押出材2が上記ケーシング31内に充満して、その圧力が過大になるときには、この被押出材2の圧力により、上記カバー46が開動作させられ、上記開口45が開かれる。よって、上記被押出材2は開口45を通し、上記ケーシング31の外部に排出されて、上記ケーシング31内の被押出材2の圧力が無用に過大になる、ということは自動的に防止される。
【0056】
つまり、上記ケーシング31内の被押出材2は、時として上記開口45を通して排出されるものの、上記被押出材2が上記押出成形装置1周りの作業空間に無用に拡がるということは、上記ケーシング31により防止された状態で、上記各スクリュー17の逆転B駆動によるバレル孔14からの被押出材2の排出が円滑にでき、この結果、上記各スクリュー17の逆転B駆動を含めての押出成形作業が、全体として円滑にできる。
【0057】
また、前記したように、ケーシング31内における上記スクリュー軸23の部分にこのスクリュー軸23と共に回転する羽根49を突設している。
【0058】
このため、上記各スクリュー17の逆転B駆動により、上記ケーシング31内に導入された被押出材2は、上記スクリュー17に連動する上記羽根49によって攪拌され、上記排出口32を通し上記ケーシング31の外部に排出される。よって、上記ケーシング31内の被押出材2の圧力が過大になるということは、より確実に防止される。この結果、上記押出成形作業が更に円滑に達成される。
【0059】
なお、以上は図示の例によるが、上記スクリュー17は単一であってもよい。また、上記カバー46を弾性体で付勢して、その付勢力により上記開口45を閉じるようにしてもよい。また、上記カバー46の開動作をセンサーにより検出して、警告を発する警告装置を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図2のI−I線矢視部分断面図である。
【図2】押出成形装置の全体平面図である。
【図3】図2の部分拡大部分断面図である。
【図4】押出成形装置の部分側面図である。
【図5】図3の部分拡大部分破断図である。
【符号の説明】
【0061】
1 押出成形装置
2 被押出材
3 押出成形品
6 架台
7 押出成形機
8 電動機
9 動力伝達装置
12 孔軸
13 バレル
14 バレル孔
15 ダイ
16 軸心
17 スクリュー
20 投入口
21 ダイ孔
23 スクリュー軸
24 スクリュー羽根
26 減速機
28 分配機
30 後方空間
31 ケーシング
32 排出口
45 開口
46 カバー
47 ヒンジ
49 羽根
A 正転
B 逆転
C 回動

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バレルと、このバレルの軸方向の前端部に取り付けられ、このバレル内のバレル孔の前端を閉じるダイと、上記バレル孔に嵌入されて正転駆動によりこのバレル孔内の被押出材を上記ダイを通し前方に押し出すスクリューと、上記バレルの後方に配置され、駆動力を上記スクリューに伝達可能とする動力伝達装置とを備え、上記スクリューの逆転駆動により、上記被押出材を上記バレル孔内からその後方空間に排出可能とした押出成形装置において、
上記バレル孔の後方空間を囲繞するケーシングを設け、このケーシングの下部に上記被押出材の排出口を形成したことを特徴とする押出成形装置。
【請求項2】
上記ケーシングの上部に開口を形成し、この開口を開閉可能に閉じるカバーを設け、上記バレル孔から上記ケーシング内に導入された被押出材から上記カバーに与えられる圧力により、このカバーが開動作させられるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の押出成形装置。
【請求項3】
上記スクリューが、上記動力伝達装置側から上記ケーシングを貫通して上記バレル孔内にまで延出するスクリュー軸と、上記バレル孔内における上記スクリュー軸の部分に取り付けられるスクリュー羽根とを備えた押出成形装置において、
上記ケーシング内における上記スクリュー軸の部分にこのスクリュー軸と共に回転する羽根を突設したことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の押出成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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