説明

抽き出しを設けた靴

底部分と、底部分上方の第二部分であってその中に隔室を有するものと、第二部分の隔室内に収容可能であり、かつ、履きもの物品に対し伸縮可能に取り付けられた抽き出しとを有する履きもの物品。第二部分は、好ましくは履きもの物品の踵部分であり、そして、抽き出しは、好ましくは履きもの物品に対し弾力性糸によって係合されている。抽き出しは、複数個の隔室に分割された内部を有していてもよい。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、その踵部分に摺動可能な抽き出しを有する靴、サンダルまたはその他の履き物に関し、さらに詳細には、靴の踵部分の内側に伸縮自在に取り付けられた摺動可能な抽き出しを有する靴に関する。
【0002】
2.関連技術の説明
屋内あるいは屋外のいずれかにおいて、身体的活動あるいは運動競技活動に関与する人々は、鍵、硬貨、カードならびにその他の小物をしばしば携帯している。こうした活動の間、もし人々がそれらをシャツやパンツのポケットに入れておくと、これらの小物を簡単に落としてしまったり、失ったりすることになる。たとえポケットがジッパーを備えていて、それらの小物を落下から守り続けていても、それらのポケット内に小物を保持し続けるのは心地よくないかも知れない。このことが、人々が小物を競技用トラックで保持することを必要以上に困難にしている可能性がある。
【0003】
この問題の一つの解決法は、代わりにこの種の小物を靴の中に保持することである。近年、小さな物品を保持するための収容用隔室を有する靴が開発されている。この種の靴は、例えば、ラフに対して1999年7月13日に発行された米国特許第5,921,008号中に開示されており、ここに参考として組み入れるものとする。その中に開示されているように、運動用靴は、抽き出しを摺動可能に受けるために、靴の踵内に収容用隔室を含んでおり、これはストラップおよび面ファスナーを用いて靴に固定される。この抽き出しは、ストラップを解き、そして抽き出しに取り付けられたハンドル部を用いて抽き出しを引き出すことにより開放される。
【0004】
しかしながら、米国特許第5,921,008号に開示された靴は、いくつかの欠点を有する。面ファスナーは、装着者が、例えば、ランニング、ジャンプまたはボール蹴りのような活動に従事する際に、靴に対する衝撃に常に耐え得るものではない。その結果、抽き出しを押さえているストラップが、これらの活動の間に外れてしまう可能性があり、それによって、抽き出しを靴から脱落させ、そして、抽き出しの中の何らかの小物が失われることになる。また、靴の装着者が抽き出しの中に小物を格納しようと望む度に、ストラップを解き、抽き出しを取り出し、その抽き出しを再度挿入し、そして、ストラップを再度締結することは、靴の装着者にとって不便である。結局、靴の踵部分の全体を横切って取り付けられたストラップを備えることは、装着者にとって審美的に喜ばしいものではない可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
従って、本発明は、関連技術の制限および欠点に起因する一つあるいはそれ以上の問題点を実質的に取り除く抽き出しを備えた靴に関する。
【0006】
本発明の目的は、靴から完全に外れることのない抽き出しを備えた靴を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、靴の本体からより容易に取り外し、かつ、再取り付けできる抽き出しを備えた靴を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、抽き出しの異なった隔室内に異なった小物を格納する性能を備えた抽き出しを有する靴を提供することにある。
【0009】
本発明のさらなる効果、目的および特徴は、以下の説明において一部は述べられ、また、一部は当業者にとって下記の実施の形態において明かとなるであろうし、あるいは、本発明の実施から学び得るものである。本発明の目的および他の効果は、記載された説明およびこれについての請求の範囲ならびに添付図面中で特に指し示した構造により実現および達成し得るものである。
【0010】
これらおよび他の目的を達成するために、本発明は、一つの特徴において、底部分と、底部分上方の第二部分であってその中に隔室を有するものと、第二部分の隔室内に収容可能であり、かつ、履きもの物品に対し伸縮的に取り付けられる抽き出しとを有する履きもの物品を提供する。
【0011】
本発明は、他の特徴において、底部分と、底部分上方の踵部分であってその中に隔室を有するものと、踵部分の隔室内に収容可能であり、かつ、伸縮性糸により履きもの物品に対し取り付けられる抽き出しとを有する履きもの物品を提供する。
【0012】
さらに本発明は、他の特徴において、底部分と、底部分上方の第二部分であってその中に隔室を有するものと、第二部分の隔室内に収容可能であり、かつ、履きもの物品に対し伸縮可能に取り付けられる抽き出しであって、その抽き出しが複数個の隔室に分割されている内部を有するものとを有する履きもの物品を提供する。
【0013】
本発明のさらなる適用可能範囲は、以下に述べる詳細な説明から明らかとなるであろう。しかしながら、当業者にとっては、本発明の精神および範囲内における種々の変更および変形は、この詳細な説明から明らかとなるであろうから、本発明の好ましい実施の態様を示しながらの詳細な説明および具体例は、例示のためにのみ与えられることが理解されるべきである。
【好ましい実施態様の詳細な説明】
【0014】
本発明は、以下に示される詳細な説明および例示の目的によってのみ与えられるものであって本発明を限定するものではない添付の図面から、一層十分に理解されることになるであろう。
【0015】
図面を参照するに際して、同様の参照数字は数図を通じて同一または対応する部分を表すものとし、図1は本発明の第一の実施の態様による抽き出しを有する靴の側面図を示している。靴10は、踵部分15および靴底30を含んでいる。図示のように、抽き出し20は、靴底30の上部の位置における踵部分15に嵌め込まれている。しかしながら、抽き出し20の配置は、靴10の踵部分15に限定されないことが理解されるべきである。抽き出し20は、代替的に他の部分、例えば、靴10の側面部に配置してもよい。さらに、抽き出しの幅あるいは高さを、装着者の好みに従って相対的に大きくあるいは小さく形成することも可能である。
【0016】
図2は、本発明の第一の実施の態様による靴から引き出された抽き出しを備えた図1の靴の側面図を示している。抽き出し20は、靴底30の上方に形成された収容用隔室40内に嵌め込まれている。抽き出し20の幅および高さは、収容用隔室40の内部の方向において徐々に減少するようにしてよい。抽き出し20は、靴10に対して紐または糸50によって取り付けられるが、紐または糸50は伸縮性であることが好ましい。糸50は、収容用隔室40の内部壁上の開口部を介して、あるいは、収容用隔室40の壁の裏側の位置にしっかり固定すればよい。
【0017】
糸50の固定は、如何なる形態であってもよく、例えば、糸50を収容用隔室の壁の裏側の支持部に対して結束してもよい。しかしながら、糸50の取付についての他の方法は、当業者には容易に明かであろう。装着者が抽き出し20の取り外しを望むまで、抽き出し20は糸50の弾性力によって収容用隔室40の内側に確実に拘束される。靴10の装着者が抽き出し20の取り外しを望むとき、装着者は糸50の弾性力に抗して抽き出し20の前面プレート25を単に引けばよい。
【0018】
図3は、本発明の第一の実施の態様による靴から引き出された抽き出しを備える図1の靴の上面図を示している。抽き出し20は、装着者により所望される小物を格納するための内部29を含んでいる。抽き出し20の前面プレート25は、踵部分15にぴったりと適合するように、凹面形状を有するようにしてよい。勿論、前面プレート25は、当業者には容易に明かである他の代替的形状であって、抽き出し20が形成される靴10のあらゆる他の部分の輪郭に適合するものであればよい。前面プレート25は端部27を含み、これは、抽き出し20が収容用隔室40内に嵌め込まれたときに、踵部分15の外壁上に適合するものである。装着者は、例えば、抽き出し20を収容用隔室40から取り外すために、親指と人差し指を用いて端部27を引き出す。抽き出し20は糸50によって靴10に取り付けられているので、抽き出し20は図3中に太矢印で示すように左右に揺動可能であり、それで、装着者は小物を抽き出し20内に都合よく挿入することができる。
【0019】
図4は、本発明の第二の実施の態様による図1における靴の抽き出しの上面図を示している。抽き出し20の内部29は、壁23を含んでいてよく、これらは内部29を隔室24に分離していて、その結果、異なった小物を異なった隔室24内に格納することができる。例えば、鍵をある隔室内に格納し、そして、硬貨を他の隔室内に格納することができる。
【0020】
抽き出し20の壁は、収容用隔室40の内壁としっかりと係合して、靴10の運動の間に抽き出し20内の小物が抽き出しの中に残留することを保証している。しかしながら、第一の実施の態様の内部29あるいは第二の実施の態様の内部29の1あるいはそれ以上の隔室24は、小物をしっかりと保管するためのボタンまたはジッパーを備えた蓋を有していてよく、それらが抽き出し20の中をあちこち移動することはない。
【0021】
従って、本発明は、靴に一層確実に嵌め込まれた抽き出しであって、それにより装着者による激しい活動の間に抜け落ちることのないものを備えた靴の効果を提供するものである。装着者は、抽き出しの前面プレートをただ引っ張るだけで、靴から抽き出しを容易に取り外すことができる。取り外す際には、抽き出しを左右に揺動させることができ、そして、その抽き出しは異なった小物を格納するための異なった隔室を含んでいる。結局、装着者は抽き出しを簡単に解放し、そして、それを靴に再び嵌め込んで小物を確実に格納することができる。
【0022】
本発明は以上のように説明されるので、多くの態様において同様な数多くの変形が可能であることは明白であろう。この種の変形は、本発明の精神と範囲を逸脱するものと考えられるべきではなく、そして、当業者にとってはこの種の全ての変形は、以下の請求の範囲内に包含されるべき意図を有するものであることは明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の第一の実施の態様による抽き出しを備えた靴の側面図を示している。
【図2】図2は、本発明の第一の実施の態様による靴から引き出された抽き出しを備えた図1の靴の側面図を示している。
【図3】図3は、本発明の第一の実施の態様による靴から引き出された抽き出しを備えた図1の靴の上面図を示している。
【図4】図4は、本発明の第二の実施の態様による図1における靴の抽き出しの上面図を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部分と、
底部分上方の第二部分であって、その中に隔室を有するものと、
第二部分の隔室内に収容可能であり、かつ、履きもの物品に対し伸縮可能に取り付けられる抽き出しと
を有する履きもの物品。
【請求項2】
請求項1に記載の履きもの物品において、
第二部分が履きもの物品の踵部分である
履きもの物品。
【請求項3】
請求項1に記載の履きもの物品において、
抽き出しが履きもの物品に対し弾力性糸によって取り付けられる
履きもの物品。
【請求項4】
請求項3に記載の履きもの物品において、
糸は、収容用隔室の内部壁上または収容用隔室の壁の背後の位置における開口部を介してしっかり固定される
履きもの物品。
【請求項5】
請求項1に記載の履きもの物品において、
抽き出しは、抽き出しが第二部分の隔室に嵌め込まれるとき、第二部分の外壁に適合する端部を備えた前面プレートを有する
履きもの物品。
【請求項6】
請求項5に記載の履きもの物品において、
抽き出しは、前面プレートの端部を引くことにより、第二部分の隔室から取り外される
履きもの物品。
【請求項7】
請求項6に記載の履きもの物品において、
抽き出しを第二部分の隔室から取り外す場合、抽き出しが横方向へ揺動可能である
履きもの物品。
【請求項8】
底部分と、
底部分上方の踵部分であって、その中に隔室を有するものと、
踵部分の隔室内に収容可能であり、かつ、伸縮可能な糸により履きもの物品に対し取り付けられた抽き出しと
を有する履きもの物品。
【請求項9】
請求項8に記載の履きもの物品において、
糸は、収容用隔室の内部壁上または収容用隔室の壁の背後の位置における開口部を介してしっかり固定される
履きもの物品。
【請求項10】
請求項8に記載の履きもの物品において、
抽き出しは、抽き出しが第二部分の隔室に嵌め込まれるとき、第二部分の外壁に適合する端部を備えた前面プレートを有する
履きもの物品。
【請求項11】
請求項10に記載の履きもの物品において、
抽き出しは、前面プレートの端部を引くことにより、第二部分の隔室から取り外される
履きもの物品。
【請求項12】
請求項11に記載の履きもの物品において、
抽き出しを第二部分の隔室から取り外す場合、抽き出しが横方向へ揺動可能である
履きもの物品。
【請求項13】
請求項8に記載の履きもの物品において、
抽き出しの幅と高さとの少なくともいずれか一方が、踵部分の隔室の内部に向かって徐々に減少する
履きもの物品。
【請求項14】
請求項10に記載の履きもの物品において、
前面プレートが凹面形状を有して形成される
履きもの物品。
【請求項15】
底部分と、
底部分上方の第二部分であって、その中に隔室を有するものと、
第二部分の隔室内に収容可能であり、かつ、履きもの物品に対し伸縮可能に取り付けられる抽き出しであって、その抽き出しが複数個の隔室に分割されている内部を有するものと
を有する履きもの物品。
【請求項16】
請求項15に記載の履きもの物品において、
第二部分は履きもの物品の踵部分である
履きもの物品。
【請求項17】
請求項15に記載の履きもの物品において、
抽き出しが、弾力性糸によって履きもの物品に対し取り付けられる
履きもの物品。
【請求項18】
請求項17に記載の履きもの物品において、
糸は、収容用隔室の内部壁上または収容用隔室の壁の背後の位置における開口部を介してしっかり固定される
履きもの物品。
【請求項19】
請求項15に記載の履きもの物品において、
抽き出しは、抽き出しが第二部分の隔室に嵌め込まれるとき、第二部分の外壁に適合する端部を備えた前面プレートを有する
履きもの物品。
【請求項20】
請求項15に記載の履きもの物品において、
抽き出しにおける複数の隔室の少なくともいずれか1つは、ボタンを備えた蓋を有する
履きもの物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−528514(P2006−528514A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521153(P2006−521153)
【出願日】平成16年7月19日(2004.7.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/023080
【国際公開番号】WO2005/009160
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(506025958)キッドセイショナル インコーポレーテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】KIDSATIONAL, INC.
【住所又は居所原語表記】7505 Waters Avenue, Suite C−7, Savannah, Georgia 31406, U.S.A
【Fターム(参考)】