説明

抽選装置

【課題】ボールなどの抽選用媒体を用いて物理的抽選ゲームを行う抽選装置において、抽選用媒体の移動の過程でのプレイヤの期待度や興奮度を高めてさらに興趣を高めるようにする。
【解決手段】抽選用媒体(ボールb3)を用いて抽選ゲームを行うための抽選装置7であって、ボールb3を移動させる傾斜面73a、ボールb3が移動し得る領域を規制する規制部、および、上記規制部の低位側に位置し、ボールb3の通過を許容する開口73d、を有する傾斜フィールド73と、開口73dを通過したボールb3が入り得る複数のポケット74aと、開口73dの近傍に設けられ、傾斜面73a上を移動するボールb3を傾斜面73aの高位に向けて弾き返すためのボール弾き返し機構75と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばメダルゲーム機に用いられる抽選装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームセンタなどに設置されるいわゆるアーケード型のメダルゲーム機としては、メダルを所定のメダルゲームフィールド内に投入させてゲームを行わせるものがある。このようなメダルゲーム機においては、メダルを用いて単純なゲームを進行させるだけではなく、メダルゲームの進行状況に応じて、たとえばボールを利用した抽選ゲームを行わせることにより、ゲームを複雑化し、その興趣を高めるようにしたものがある(たとえば、特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に開示されたメダルゲーム機においては、所定の条件を満たしたときに抽選ゲームを実行する抽選装置(センター抽選装置2000)が設けられている。この抽選装置は、特許文献1の図1および図2に表れているように、複数の入賞口(保持空間F)を構成する環状部材(回転部材2120)を備えており、この環状部材は、傾斜姿勢を保ちながら所定軸周りに一定速度で回転している。環状部材の外周には、抽選用媒体としてのボール(大型抽選ボール2400)を移動させる溝状の傾斜面(搬送スロープ2600)が設けられている。抽選ゲームを行う際には、上記傾斜面に対して所定位置からボールが投入される。当該ボールは、自重によって傾斜面上を転がり、傾斜面の最下点を中心として振り子運動をする。ボールの移動速度が徐々に低下し、ボールの振れ幅がスロープの最下点近傍に納まるまで小さくなった時点で、複数の入賞口のうちのいずれか1つの入賞口にボールが入る。そして、ボールが入った入賞口に応じた賞がプレイヤに与えられる。
【0004】
しかしながら、上記従来の構成では、抽選ゲーム時においてボールが振り子運動するだけであることから、当該ボールの動きが単調である。このため、プレイヤは、抽選ゲームを繰り返し経験するにつれて、ボールが入賞口に入るタイミングを予測し得る。したがって、ボールの移動過程における期待度や興奮度が低下する傾向にあり、プレイヤに飽きられる虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−215650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、ボールなどの抽選用媒体を用いて物理的抽選ゲームを行う抽選装置において、抽選用媒体の移動の過程でのプレイヤの期待度や興奮度を高めてさらに興趣を高めるようにすることをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
【0008】
本発明によって提供される抽選装置は、抽選用媒体を用いて抽選ゲームを行うための抽選装置であって、上記抽選用媒体を移動させる傾斜面、上記抽選用媒体が移動し得る領域を規制する規制部、および、上記規制部の低位側に位置し、上記動抽選用媒体の通過を許容する開口、を有する傾斜フィールドと、上記開口を通過した上記抽選用媒体が入り得る入賞口と、上記開口の近傍に設けられ、上記傾斜面上を移動する上記抽選用媒体を上記傾斜面の高位に向けて弾き返すための抽選用媒体弾き返し機構と、を備えることを特徴としている。好ましくは、上記入賞口を上記開口に対して周期的に移動させる入賞口移動機構を備える。
【0009】
本発明の抽選装置においては、開口の近傍に抽選用媒体弾き返し機構が設けられている。このため、傾斜フィールド内の傾斜面上にある抽選用媒体は、開口に向かって低位側に移動すると抽選用媒体弾き返し機構によって傾斜面の高位に向けて弾き返される場合があり、不規則な動きをする。そうすると、傾斜フィールド内における抽選用媒体の滞留時間が一定にならずに変化し、当該抽選用媒体が開口を通過するタイミングもばらつきが生じる。これにより、たとえば、開口を通過するタイミングによって、抽選ゲームの当選(たとえば入賞口に入る状態)と非当選(たとえば入賞口に入らない状態)とが切り替わる構成において、抽選ゲームに当選するか否かをプレイヤが予測することは困難になる。また、入賞口が開口に対して周期的に移動させられる場合、着目した入賞口に抽選用媒体が入るか否かをプレイヤが容易に予測することはできなくなる。したがって、上記構成によれば、プレイヤは期待度や興奮度を維持したまま抽選用媒体の移動による抽選ゲームを楽しむことができ、抽選装置としての興趣を高めることができる。さらに、抽選用媒体が傾斜面上を不規則に移動する態様は視覚的にも楽しむことができるものであり、かかる観点からも抽選装置としての興趣が高められる。
【0010】
好ましい実施の形態においては、上記抽選用媒体弾き返し機構は、上記開口の左右両側の上方近傍に配置され、所定の回転軸周りに回転する一対の回転体を含んで構成されている。好ましくは、上記抽選用媒体弾き返し機構は、所定の回転軸周りに回転する一対の回転体を含んで構成されている。
【0011】
このような構成によれば、たとえば左右両側に配置された一対の回転体によって、抽選用媒体を効率よく弾き返すことができる。
【0012】
好ましい実施の形態においては、上記一対の回転体は、回転速度が互いに異なるように回転させられる。
【0013】
このような構成によれば、左右の回転体の回転速度が異なることから、回転体によって弾かれた抽選用媒体の動きはより不規則になる。これにより、プレイヤの期待度や興奮度がより高められ、抽選装置としての興趣をより高めることができる。
【0014】
好ましい実施の形態においては、上記一対の回転体のうち少なくとも一方は、回転速度が可変とされている。
【0015】
このような構成によれば、回転速度を変化させることにより、抽選用媒体が回転体によって弾き返される頻度を変えることができる。すなわち、回転体を高速で回転させると抽選用媒体が弾き返され易くなる一方、回転体を低速で回転させると抽選用媒体が弾き返され難くなる。したがって、回転体の回転速度が可変とされていると、抽選用媒体が開口を通過するタイミングを大まかに変化させることができる。また、回転体の回転速度を変化させる構成によれば、抽選用媒体を弾き返す力の強弱をつけることがきる。たとえば回転体を高速で回転させると、抽選用媒体は、傾斜面におけるより高位に弾き返され、より不規則な動きをする。このとことは、抽選用媒体の不規則な動きを演出するうえで好適である。
【0016】
好ましい実施の形態においては、支持部材と、この支持部材に支持され、かつ上記支持部材よりも上記回転軸の径方向外方に突出しており、上記抽選用媒体に当接して当該抽選用媒体を上記傾斜面の高位に向けて弾き返しうる抽選用媒体弾き返し部材と、を備える。
【0017】
好ましい実施の形態においては、上記一対の回転体の上記抽選用媒体弾き返し部材は、弾性変形可能な弾性部材によって構成されている。
【0018】
このような構成によれば、抽選用媒体は抽選用媒体弾き返し部材に当たって弾かれることになる。抽選用媒体弾き返し部材が弾性部材によって構成されていれば、抽選用媒体を適度な弾発力によって効率よく弾き返すことができる。また、当抽選用媒体が繰り返し回転体によって弾き返されても、抽選用媒体に傷が付くといった不都合を防止することができる。
【0019】
好ましい実施の形態においては、上記一対の回転体の上記抽選用媒体弾き返し部材は、互いに最も近接する場合の隙間の寸法が上記抽選用媒体よりも小となるように設けられている。
【0020】
このような構成によれば、抽選用媒体は、抽選用媒体弾き返し部材によって弾かれ易くなり、より不規則な動きをする。また、抽選用媒体弾き返し部材が弾性変形可能な弾性部材によって構成されているため、抽選用媒体弾き返し部材どうしが最も近接する場合の隙間の寸法が抽選用媒体よりも小としていても、抽選用媒体弾き返し部材が撓むことによって、当該抽選用媒体弾き返し部材どうしの間に抽選用媒体が挟み込まれるといった不都合を防止することができる。
【0021】
好ましい実施の形態においては、上記傾斜面の高位に上記抽選用媒体を投入するための投入機構を備える。
【0022】
好ましい実施の形態においては、上記規制部は、上記抽選用媒体を弾き得る弾性体を含んで構成されている。
【0023】
このような構成によれば、抽選用媒体は、規制部によっても弾かれて不規則な動きをする。
【0024】
好ましい実施の形態においては、上記入賞口の賞の内容を変化させた2種類以上の抽選を行うように構成されており、上記入賞口の賞の内容の変化に応じて上記一対の回転体のうち少なくとも一方の回転速度が変化させられる。
【0025】
このような構成によれば、共通の抽選装置を用いつつ、複数の抽選ゲームを効果的に演出することができる。
【0026】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る抽選装置を備えたメダルゲーム機の一実施形態の全体外観図である。
【図2】図1に示すメダルゲーム機の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示すメダルゲーム機のメダルゲームフィールドの構成例を示す概略正面図である。
【図4】図1に示すメダルゲーム機の要部斜視図である。
【図5】図1に示すメダルゲーム機のセンター抽選装置の斜視図である。
【図6】傾斜フィールドの斜視図である。
【図7】傾斜フィールドの傾斜面に対する垂直方向から見た状態を表す図である。
【図8】センター抽選装置の要部縦断面図である。
【図9】図7のIX−IX線に沿う断面図である。
【図10】SJP抽選における入賞口の賞の配列例を示す。
【図11】ダブルアップ抽選における入賞口の賞の配列例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る抽選装置の好ましい実施形態につき、いわゆるアーケード型のメダルゲーム機に備えられた構成を例に挙げ、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0029】
図1〜図9は、本発明に係る抽選装置を備えたメダルゲーム機の一実施形態を示している。図1によく表われているように、本実施形態のメダルゲーム機Aは、下部筐体10上に筒状のショーケース11が載設され、かつこのショーケース11上に上部カバー12が設けられた構成を有しており、ショーケース11によって囲まれた空間部には、後述するメダルゲームフィールドMFやセンターユニットCUが設けられている。下部筐体10の外周面部には、複数の操作パネル部13が等間隔で設けられており、それらの操作パネル部13と同数の複数人(たとえば8人)が同時にゲームを行なうことができるようになっている。各操作パネル部13には、後述する抽選ゲーム等に使用されるレバー13A、操作ボタン13Bのほか、詳細な図示説明は省略するが、メダルを溜めておくためのメダル留置部、メダル投入口などが設けられている。操作パネル部13の奥方には、メダルゲームフィールドMFから落とされたメダルを払い出すメダル払出口13Cも設けられている。また、各操作パネル部13の左右両側の下部筐体10内部には、メダル投入装置14が設けられている。メダル投入装置14は、ショーケース11の外側でプレイヤにより投入されたメダルを、左右において所望の方向に向けてショーケース11内のメダルゲームフィールドMFへと投出するように構成されている。メダルゲームフィールドMFは、複数の操作パネル部13の個々に対応してたとえば計8箇所設けられている。
【0030】
メダルゲーム機Aには、図2に電気的な構成を示すように、後述する画像表示装置2やプッシャフィールド3、クルーン抽選装置6、さらにはセンターユニットCU(キャッチャ抽選装置4やセンター抽選装置7)、メインディスプレイ8、操作パネル13、メダル投入装置14などの各部の動作を制御するマイクロコンピュータ9が搭載されている。
【0031】
図3に表れているように、メダルゲームフィールドMFには、液晶ディスプレイなどを用いた電子ゲーム実行用の画像表示装置2と、画像表示装置2の手前側下方に位置するプッシャフィールド3とが設けられている。画像表示装置2は、その画面部分が手前側に向かうほど低位となるように傾斜させられている。
【0032】
メダル投入装置14は、図示しないメダル送出機構を介してメダルmを上向きに搬送するための起立状のメダル搬送ガイド141と、メダルmを立てたまま初速を与えて水平方向よりも上向きに投出するためのメダルシュータ142とを有している。メダルシュータ142は、操作パネル部13に設けられたレバー13Aの操作によって横方向に所定角度範囲内で揺動可能とされている。なお、メダル送出機構は、メダル投入口からメダル搬送ガイド141の間に配設され、メダルmを搬送する通路およびメダルmのホッパー装置等を備えた周知のものである。
【0033】
画像表示装置2とプッシャフィールド3との間には、たとえば複数のチャッカ21が横方向に並んで設けられている。各チャッカ21は、たとえば内部に設けられた図示しないセンサによりメダルmの通過が検知されるように構成されている。メダルシュータ142から投出されたメダルmがチャッカ21に入ると、画像表示装置2で展開される電子ゲームやチャッカ21を利用した所定のゲームが実行される。チャッカ21に入ったメダルmおよびチャッカ21に入らなかったメダルmのいずれもプッシャフィールド3上に落下する。
【0034】
図3に表れているように、プッシャフィールド3は、たとえば固定プレート30上に可動プレート31が重ねられ、この可動プレート31が図示しないモータの駆動によって一定のストロークで前後に往復動するように構成された周知のものである。可動プレート31が手前側に前進したときに、固定プレート30上に載っている複数枚のメダルmどうしが固定プレート30の手前に向けてうまく押し合うと、この固定プレート30の先端縁30aからその手前の落下溝にメダルmが落下するようになっている。上記落下溝に落下したメダルmは、ホッパー装置等を有する周知のメダル払出機構(図示略)を介してメダル払出口13Cを通じて操作パネル部13上のメダル留置部(図示略)に払い出されるようになっている。固定プレート30上には、たとえばゲームの進行状況に応じて、後述するキャッチャ抽選装置4によって獲得したボールb1が散在している。当該ボールb1は、固定プレート30上のメダルmが手前に押されるのに伴って手前に移動し、いずれ上記落下溝に落下する。プッシャフィールド3の側方には、画像表示装置2において実行される電子ゲームやクルーン抽選装置6における抽選ゲームで所定の結果となった場合に固定プレート30ないし可動プレート31上にメダルmを払い出すためのメダル払出口33が設けられている。なお、固定プレート30の両側方には、メダル回収口301が設けられており、このメダル回収口301に入ったメダルmは、所定のメダル貯留部(図示略)に回収される。
【0035】
本実施形態においては、メダルゲームフィールドMFには、後述するキャッチャ抽選装置4によって獲得したボールb1を搬送してプッシャフィールド3に投入するための固定レール51および可動レール52が設けられている。固定レール51の上端には、後述するキャッチャ42によって掬い取ったボールb1を載せる受皿51aが設けられ、固定レール51の下端には、ボールb1を可動レール52の基端部に落下させる孔51bが設けられている。可動レール52は、プッシャフィールド3上におけるボールb1の投入位置を振り分けるためのものであり、その基端部が、図示しないモータの出力軸に連結されるなどにより、所定の垂直軸回りに一定角度範囲内で回動可能とされている。可動レール52の先端部には、ボールb1を落下させるための孔52aが設けられている。
【0036】
図4に表れているように、センターユニットCUは、キャッチャ抽選装置4と、センター抽選装置7と、メインディスプレイ8と、図示しないメダル払い出し機構とを具備して構成されている。
【0037】
キャッチャ抽選装置4は、プレイヤの入力操作によってボールb1を掬い取る抽選を行うためのものであり、キャッチャ駆動部41と、キャッチャ42と、回転テーブル43とを含んで構成されている。回転テーブル43上には、複数のボールb1が載置されている。
【0038】
キャッチャ駆動部41は、キャッチャ42を支持する直線レール411と、この直線レール411を回動させる回動機構412と、直線移動機構413とを備えている。直線レール411は、その一端部が上部カバー12の中央付近に設けられた回動軸121を中心として回動可能とされる一方、他端部に設けられたローラ411Aが上部カバー12の周縁付近に設けられた円弧レール122上を走行するようになっている。かかる構成の回動機構412は、図示しないモータによって駆動させられる。直線移動機構413は、キャッチャ42を直線レール411の長手方向に沿って直線移動させるためのものであり、直線レール411の長手方向にスライド移動可能なスライド部材414を備えている。キャッチャ42は、伸縮シャフト415を介してスライド部材414に吊り下げられており、スライド部材414の内部には、伸縮シャフト415の伸縮動作を行うためのモータが設けられている。スライド部材414は、たとえば、図示しないモータによってプーリ、ベルトを介して駆動させられる。
【0039】
キャッチャ42は、ボールb1を保持するための開閉可能な一対の保持爪421を有しており、キャッチャ42の内部には、保持爪421を開閉させるためのモータが設けられている。キャッチャ42は、ゲームを実行していない時には、受皿51a(図3参照)の真上に待機している。なお、本実施形態においては、キャッチャ42およびキャッチャ駆動部41は、隣接する2つのメダルゲームフィールドMFごとに1セット設けられている。
【0040】
回転テーブル43は、平面視において円環形状を呈しており、その上面部分がフラットなボール載置面43aとなっている。このボール載置面43aには、複数のディンプル43bが設けられている。また、回転テーブル43には、ボール載置面43aの周縁を包囲するように上向きに起立した起立壁43cが設けられている。ディンプル43bは部分球面状とされており、その曲率半径はボールb1の曲率半径よりも大とされている。ディンプル43bの深さは、ボールb1の直径の1/10程度と比較的に小さく設定されている。これにより、ボールb1がディンプル43bに嵌まった状態においては、回転テーブル43が定速で回転しても、ボールb1がディンプル43bから出ることはなく、ボール載置面43aに対するボールb1の移動が規制される。これらディンプル43bは、回転テーブル43の円周方向に沿って規則的に配列されている。ディンプル43bの間隔は、ボールb1が通過可能な程度隔てられており、これにより、隣接する2つのディンプル43bにボールb1が嵌まった状態であっても、その間をボールb1が通過できるようになっている。また、ディンプル43bの直径は、円周方向に沿う列ごとに適宜異ならせてもよい。上記構成の回転テーブル43は、下部筐体10に対して垂直軸周りに回転可能に支持されており、マイクロコンピュータ9が図示しないモータを制御することによって回転させられる。
【0041】
キャッチャ42は、操作パネル部13のレバー13Aおよび操作ボタン13Bの操作に応じて作動するようになっている。たとえば、キャッチャ抽選装置4における抽選の権利が発生すると、プレイヤが任意のタイミングでレバー13Aを操作することにより、直線レール411が往復回動する範囲においてキャッチャ42(スライド部材414)を所望の位置(たとえば狙いを定めたボールb1の円周上)まで移動させることができる。当該位置において、操作ボタン13Bを押すことにより、伸縮シャフト415が自動的に送り出され、キャッチャ42が降下する。このとき、保持爪421は開いた状態となっており、平面視において、保持爪421の開閉方向は、回転テーブル43の回転方向に略平行となっている。そして、キャッチャ42が回転テーブル43のボール載置面43aに接触すると、当該接触をセンサによって検知し、キャッチャ42を少し引き上げたうえで保持爪421を閉じる。これにより、保持爪421を閉じる動作中に当該保持爪421が回転テーブル43に接触して引き摺られることはなく、伸縮シャフト415などに余分な負荷がかかることはない。
【0042】
ここで、ボールb1が保持爪421に挟まれる位置にあれば、ボールb1を掬い取ることができる。なお、本実施形態では、上述したように、保持爪421の開閉方向が回転テーブル43の回転方向に略平行であり、また、ディンプル43bによってボールb1の移動が規制されているため、比較的容易にボールb1を掬い取ることができる。次いで、キャッチャ42を引き上げるとともに、回動機構412および直線移動機構413を動作させて、キャッチャ42を待機位置(受皿51aの真上)に戻す。次いで、保持爪421を開く。これら一連の動作は、マイクロコンピュータ9によって制御される。なお、本実施形態では、保持爪421はボールb1を掬い取る形態とされているが、これに代えてボールb1を挟持する形態としてもよい。
【0043】
上記構成のキャッチャ抽選装置4における抽選ゲームは、たとえば、画像表示装置2を用いた電子ゲーム(画面抽選)や指定されたチャッカ21への入賞を狙うゲームにおいて、所定の結果が得られた場合に実行される。
【0044】
図3に表れているように、キャッチャ抽選装置4によってボールb1を獲得すると、当該ボールb1は、固定レール51および可動レール52を介してプッシャフィールド3上に投入される。このボールb1が上記落下溝から落下すると、落下溝の下部にある図示しない通過センサによってボールb1の通過が検知された後に、たとえばクルーン抽選装置6において抽選ゲームが実行される。なお、上記通過センサによって検知されたボールb1は、図示しないリフト機構を介して回転テーブル43上に戻される。
【0045】
また、クルーン抽選装置6は、ボールb2を用いて物理的抽選を行うためのものであり、ボールb2が転動する抽選盤61と、抽選盤61の中央に形成された複数(本実施形態では6個)の入賞孔62とを備えている。本実施形態では、たとえば1個の入賞孔62が、センター抽選装置7における抽選に進むための権利獲得(当選)となっており、他の5個の入賞孔62が、メダル払出口33による所定枚数のメダル払い出しや画像表示装置2における電子ゲームのステップアップとなっている。
【0046】
図5に表れているように、センター抽選装置7は、ボールb3(抽選用媒体)を用いて物理的抽選を行うためのものであり、本発明でいう抽選装置の一例に相当する。本実施形態においては、センター抽選装置7によって実行される抽選ゲームは、たとえば最大数千枚ものメダルmが払い出される大当たり(以下、SJP(スーパージャックポット)という)を獲得するための抽選(SJP抽選)である。なお、SJP当選時のメダル払い出し枚数は、たとえば各プレイヤによるメダルゲームフィールドMFへのメダルmの投入枚数に応じて加算されるように設定されている。当該メダル払い出し枚数は、たとえばメインディスプレイ8に表示される。
【0047】
センター抽選装置7は、ボールb3が転動する転動フィールド71と、レール72と、傾斜フィールド73と、入賞テーブル74と、ボール弾き返し機構75とを備えている。これら符号71〜75で表された部分は、中央筐体70に支持されており、中央筐体70は、図示しない下部筐体10に対して垂直軸周りに回転可能に支持されている。なお、抽選用のボールb3については、演出効果を高める観点から、光を透過ないし反射しうる半透明のカラーボールが好適に用いられる。そのようなボールb3としては、たとえばアクリル製の泡球が挙げられる。
【0048】
転動フィールド71は、中央に孔71aが形成されており、中央に向かうほど低位になる漏斗状とされている。レール72は、孔71aから落下したボールb3を螺旋状に転がし、下端の孔72aを通じて傾斜フィールド73の奥方(高位)に落下(投入)させるためのものである。これら転動フィールド71およびレール72は、本発明でいう投入機構の一例に相当する。なお、傾斜フィールド73にボールb3を投入する態様としては、上記構成に限定されるものではなく、たとえば転動フィールドまたはレールのいずれか一方を備えるものや他の構成でもよい。ボールb3を転動フィールド73に落下させるのに代えて、転動フィールド73に沿うよう横からボールb3を投入してもよい。なお、必ずしもボールb3を転動フィールド73の奥方(高位)に投入する必要はなく、後述する開口73dよりも高位にボールb3を投入する構成であればよい。
【0049】
図5および図6に表れているように、傾斜フィールド73は、傾斜面73aと、奥壁73bと、バウンド部73cと、開口73dとを備えて構成されている。傾斜面73aは、傾斜盤73eの上面部分であり、たとえば手前側ほど低位となる平滑な平面状とされている。奥壁73bは、傾斜面73aの奥方において起立する壁面である。バウンド部73cは、たとえば、傾斜面73a上に突出させられた一対の支持ピンによって、ボールb3を弾き得るゴム輪(弾性体)を張設した構成とされており、左右に対をなすように設けられている。図8によく表れているように、上記ゴム輪は、傾斜面73aに平行とされており、傾斜面73aからの距離がボールb3の直径よりも小さくなるように設けられている。一対のバウンド部73cは、低位側に向かうほど互いに近接するように配置されている。上記構成の奥壁73bおよびバウンド部73cは、傾斜面73aに落下したボールb3が移動し得る領域を規制するもの(規制部)である。
【0050】
図7によく表れているように、開口73dは、左右一対のバウンド部73cどうしが低位側において最も近接する位置の最小の隙間であり、当該隙間の寸法g1は、ボールb3の直径d1よりも大とされている。これにより、開口73dにおいては、ボールb3の通過が許容される。上記レール72の孔72aを通じて傾斜面73a上にボールb3が落下すると、当該ボールb3は、たとえばバウンド部73cによって弾かれながら、傾斜面73aの低位側に位置する開口73dに向かって転がる。
【0051】
図5に表れているように、入賞テーブル74は、所定の円周上に沿って配置された複数(本実施形態では20個)のポケット74aを有しており、手前側ほど低位となるように傾斜させられている。入賞テーブル74はまた、図8に表れているように、環状板部74bと、この環状板部74bにつながる円筒部74cを有している。環状板部74bは、中央筐体70の適所に設けられた複数のローラ701を介して回転可能に支持される一方、円筒部74cの内面には、中央筐体70に支持された複数のローラ702が回転自在に当接しており、入賞テーブル74の円周方向の位置ずれを規制している。これにより、入賞テーブル74は、中央筐体70に対して、傾斜姿勢を保ったまま傾斜軸s1周りに回転可能に支持されている。なお、入賞テーブル74の位置ずれを規制する手法としては、円筒部の内面側においてローラ702を当接させる構成にかえて、円筒部74cの外面側にローラ702を当接させる、あるいは円筒部74cの内面側および外面側の双方からローラ702を当接させる構成としてもよい。
【0052】
また、円筒部74cの内面には、中央筐体70に支持されたモータ703の出力軸に取り付けられた出力ローラ704が圧接されており、マイクロコンピュータ9がモータ703を駆動制御することによって、入賞テーブル74が傾斜軸s1周りに回転させられる。ここで、モータ703および出力ローラ704は、本発明でいう入賞口移動機構を担う。
【0053】
隣接するポケット74aの間は縦壁によって区切られており、ボールb3が傾斜フィールド73の開口73dを通過すると、いずれか1つのポケット74aに入るようになっている。ポケット74aの外周部には、各ポケット74aに対応する賞の内容が表示されている。本実施形態では、たとえば、20個のポケット74aのうち、1個がSJP当選、9個がSJP以外の所定枚数のメダル払い出し、10個がはずれ、として割り当てられている。当該10個のはずれは、たとえば合計20個のポケット74aについて、周方向における1つおきに設けられている。図10は、SJP抽選におけるポケット74a(入賞口)の賞の配列例を示している。各ポケット74aにボールb3が入った状態は、たとえば光学式センサ(図示略)によって検知される。たとえば、ポケット74aの外側には、ボールb3が収納されているポケット74aを検知するセンサと、入賞テーブル74の基準位置を検知するセンサと、入賞テーブル74の基準位置からの回転量を検知するセンサとが設けられており、これらセンサからの検知信号に基づいて、どのポケット74aにボールb3が入ったかを把握することができる。
【0054】
ボール弾き返し機構75は、傾斜フィールド73の傾斜面73a上を転がるボールb3を傾斜面73aの高位に向けて弾き返すためのものである。本実施形態においては、ボール弾き返し機構75は、図6に表れているように、開口73dの左右両側の上方近傍に設けられた一対の回転体75L,75Rを含んで構成されている。
【0055】
各回転体75L,75Rは、支持部材75aと、この支持部材75aに支持された短冊状の2枚の羽根板75bとを有している。支持部材75aは、図9に表れているように、傾斜盤73eに支持されたモータ75cの出力軸に取り付けられている。支持部材75aは、モータ75cの出力軸(回転軸s2)に垂直な方向に延びており、断面略コの字状とされている。羽根板75bは、本発明でいう抽選用媒体弾き返し部材の一例に相当する。本実施形態では、羽根板75bは、支持部材75aを挟むように対をなして設けられており、図6を参照すると理解されるように、支持部材75aの対をなす支持プレート75a’に対してビス止めによって固定されている。各羽根板75bは起立板状とされており、支持部材75aよりも回転軸s2の径方向外方に突出させられている。羽根板75bは、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)などの合成樹脂製であり、各所の寸法を適宜設定することにより、曲げ方向に弾性変形可能な弾性部材とされている。
【0056】
図7によく表れているように、各回転体75L,75Rは、回転軸s2が傾斜フィールド73を規定するバウンド部73cよりも少し外側に位置するように配置されている。また、図9によく表れているように、回転体75L,75Rの上端は、バウンド部73cを構成するゴム輪よりも低位置にある。これにより、回転体75L,75Rが回転軸s2周りに回転する過程においては、羽根板75bが傾斜フィールド73内に進入してボールb3を弾き得る状態と、羽根板75bがバウンド部73cに沿う姿勢となってボールb3を弾かない状態(図7において仮想線で表す)とを交互に繰り返す。
【0057】
本実施形態においては、左右の回転体75L,75Rの羽根板75bは、互いに最も近接する場合の隙間の寸法g2がボールb3の直径d1よりも小とされている。
【0058】
本実施形態においては、左右一対の回転体75L,75Rは、回転方向および回転速度がそれぞれ異ならせられている。回転体75L,75Rの回転方向については、左側の回転体75Lは反時計回りに、右側の回転体75Rは時計回りに回転させる。これにより、ボールb3を傾斜フィールド73の上方に向けて適切に弾くことができる。回転体75L,75Rの回転速度については、たとえば、左側の回転体75Lは60rpmである一方、右側の回転体75Rは70rpmとされる。
【0059】
センター抽選装置7における抽選ゲーム時には、中央筐体70は、マイクロコンピュータ9が図示しないモータを制御することによって、傾斜フィールド73および入賞テーブル74の傾斜方向がSJP抽選を行うプレイヤの正面方向を向くように適宜回転させられる。また、入賞テーブル74は、マイクロコンピュータ9がモータ703を制御することによって適宜回転させられる。ここで、入賞テーブル74の回転速度は、たとえば約13秒/回転(約5rpm)とされる。
【0060】
そして、待機位置にあるボールb3が転動フィールド71に放出される。ここで、回転体75L,75Rは、ボールb3の放出動作と同時にマイクロコンピュータ9がモータ75cを制御することによって、回転動作を開始する。ボールb3は、転動フィールド71、レール72、傾斜フィールド73を転動した後に開口73dを通過し、いずれかのポケット74aに入る。ここで、ボールb3がどのポケット74aに入ったかを上記センサによって検知し、そのポケット74aに応じた賞がプレイヤに与えられる。上記回転体75L,75Rは、上記センサによるボールb3の検知後に回転動作が停止される。次いで、たとえば入賞テーブル74を約半周回転させ、ボールb3が入ったポケット74aを上位奥方に配置することにより、中央筐体70内にボールb3が落下回収される。回収されたボールb3は、たとえば図8に表れているリフト機構76によって再び待機位置まで戻される。
【0061】
上記メダル払い出し機構は、センター抽選装置7における抽選ゲーム(SJP抽選)の終了後に該当するプレイヤのメダルゲームフィールドMF上にメダルmを払い出すためのものである。詳細な図示説明は省略するが、上記メダル払い出し機構は、たとえば通常時にはメインディスプレイ8の裏側に収納される一方、メダル払い出し時には下方に伸張させられてメダルゲームフィールドMFの直上まで通ずるメダル搬送経路を形成するように構成されている。メダル払い出し時には、メインディスプレイ8の両端上部に設けられた図示しないボウルから上記メダル搬送経路上にメダルmが供給される。
【0062】
本実施形態のセンター抽選装置7においては、傾斜フィールド73の開口73d近傍にボール弾き返し機構75(回転体75L,75R)が設けられている。このため、抽選ゲーム時には、レール72を通じて傾斜面73a上の高位(奥方)に落下したボールb3は、開口73dに向かって低位側に転がると回転体75L,75Rによって傾斜面73aの高位に向けて弾き返され、傾斜フィールド73上において不規則な動きをする。そうすると、傾斜フィールド73内におけるボールb3の滞留時間が一定にならず、当該ボールb3が開口73dを通過するタイミングもばらつきが生じる。これにより、開口73dに対して相対移動する複数のポケット74aについて、着目したポケット74a(たとえばSJP当選のポケット74a)にボールb3が入るか否かをプレイヤが容易に予測することはできなくなる。したがって、かかる構成によれば、プレイヤは期待度や興奮度を維持したままボールb3の移動による抽選ゲームを楽しむことができ、抽選装置としての興趣を高めることができる。なお、場合によっては、レール72を通じて傾斜面73a上に落下したボールb3が、回転体75L,75Rによって一度も弾き返されることなく開口73dを通過することもある。
【0063】
本実施形態においては、上述したように、左右の回転体75L,75Rの回転速度が互いに異なる。これにより、各回転体75L,75Rによって弾かれたボールb3は、回転体75L,75Rを同じ速度で回転させる場合に比べて、傾斜フィールド73においてより不規則な動きをする。したがって、かかる構成によれば、プレイヤの期待度や興奮度がより高められ、抽選装置としての興趣をより高めることができる。
【0064】
回転体75L,75Rを上記回転速度で回転させた場合において、傾斜フィールド73におけるボールb3の滞留時間について数百回測定したところ、当該滞留時間は、約4秒〜約120秒の範囲で分布していた。すなわち、傾斜面73aに落下したボールb3は、回転体75L,75Rに弾き返されることなく速やかに開口73dを通過する場合もあれば、回転体75L,75Rによって何度も弾き返されてなかなか開口73dを通過しない場合もある。一方、入賞テーブル74の回転速度はたとえば約13秒/回転である。このため、傾斜フィールド73内にボールb3があるときにSJP当選のポケット74aが開口73dの直下を通り過ぎたとしても、入賞テーブル74がもう1周あるいは2周以上してSJP当選のポケットが開口73dの直下を通過するまで傾斜フィールド73内にボールb3が滞留している可能性がある。したがって、本実施形態によれば、SJP当選のチャンスが繰り返し訪れる可能性があり、かかる観点においても、プレイヤの期待度や興奮度がより一層高められる。
【0065】
傾斜フィールド73において、ボールb3の移動領域を規制するバウンド部73cは、ボールb3を弾き得るゴム輪を含んで構成されている。このため、傾斜フィールド73内において転がるボールb3は、バウンド部73cに弾かれることによっても不規則な動きをする。かかる構成は、予測し難い不規則なボールb3の動きを演出するうえで好適である。
【0066】
各回転体75L,75Rは、支持部材75aよりも回転軸s2の径方向外方に突出する弾性変形可能な起立板状の羽根板75bを備えている。これにより、ボールb3は、羽根板75bに当って弾かれることになり、ボールb3を適度な弾発力によって効率よく弾き返すことができる。また、ボールb3が繰り返し回転体75(羽根板75b)によって弾かれても、当該ボールb3に傷が付くといった不都合を防止することができる。
【0067】
また、羽根板75bが弾性変形可能であることから、ボールb3が回転体75L,75Rによって弾かれ易くするべく、羽根板75bどうしが最も近接する場合の隙間の寸法g2をボールb3の直径d1よりも小としていても、羽根板75bどうしの間にボールb3が挟み込まれて回転不能になるといった不都合は防止される。
【0068】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は上記した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る抽選装置の各部の具体的な構成は、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々な変更が可能である。
【0069】
抽選用媒体(ボールb3)を弾き返すための回転体としては、回転速度が変更可能な構成としてもよい。この場合、左右一対の回転体を回転駆動させるためのモータとして2つのインバータモータを用いれば、一対の回転体の回転速度をそれぞれ独立して変更することができる。この場合、回転体の回転速度は、たとえば画像表示装置2を用いて行う画面抽選によって決定することができる。また、一対の回転体のうち一方のみを、回転速度が変更可能な構成としてもよい。その場合、左右一対の回転体を回転駆動させるためのモータとして2つのインバータモータを用いてもよいし、一方のみをインバータモータとしてもよい。さらに、一対の回転体のうち少なくとも一方を、停止状態(回転速度を0)としてもよい。
【0070】
回転体の回転速度を変化させれば、抽選用媒体が回転体によって弾き返される頻度を変えることができる。すなわち、回転体を高速で回転させると、抽選用媒体が弾き返され易くなり、傾斜フィールド内における抽選用媒体の滞留時間が比較的に長くなる傾向にある。一方、回転体を低速で回転させると、抽選用媒体が弾き返され難くなり、傾斜フィールド内における抽選用媒体の滞留時間が比較的に短くなる傾向にある。したがって、回転体の回転速度が可変とされていると、抽選用媒体が開口を通過するタイミングを大まかに変化させることができる。
【0071】
本発明の抽選装置としては、入賞口(ポケット74a)の賞の内容を変更させた2種類以上の抽選を行うように構成してもよい。たとえば、上記実施形態のセンター抽選装置7において、SJP抽選を行った際に、SJP当選あるいは所定枚数のメダル払い出しに当選すると、メダル払い出し枚数を2倍にするためのいわゆるダブルアップの抽選ゲームに進むことができるように構成してもよい。この場合、ダブルアップの抽選時には、1つおきに配置されたはずれ以外の10個のポケット74aについては、単に「当たり(×2)」となるように賞の内容が内部的に変化させられる。図11は、ダブルアップの抽選における入賞口の賞の配列を示しており、「当たり(×2)」と「はずれ」の入賞口が交互に配列されている。ダブルアップの抽選時には、「当たり(×2)」あるいは「はずれ」のいずれかを決定する二者択一の抽選が行われる。「当たり」と「はずれ」の入賞口を交互に配列すれば、傾斜フィールド内における抽選用媒体の滞留時間の長短にかかわらず、平均的に約1/2の確率で当選する。ダブルアップの抽選の結果、「はずれ」となった場合は、SJP抽選において当選していたメダル払い出し枚数を没収(0倍)する。
【0072】
ダブルアップ抽選を追加的に採用する場合、回転体の回転速度を変化させてもよい。たとえば、SJP抽選時には回転体の回転速度を相対的に高速にし、ダブルアップ抽選時には回転体の回転速度を相対的に低速にする。この場合、SJP抽選時には、傾斜フィールド内における抽選用媒体の滞留時間が比較的に長くなり得ることから、SJP当選のチャンスが繰り返し訪れる可能性がある。一方、ダブルアップ抽選時には、傾斜フィールド内における抽選用媒体の滞留時間が比較的に短くなり得ることから、二者択一(「当たり」、「はずれ」)の抽選が、プレイヤが飽きない程度に比較的速やかに終了する。したがって、このような構成によれば、当該SJP抽選と比較して、傾斜フィールド内における抽選用媒体の滞留時間を長くする必要がない抽選において、テンポよくゲームを進行することができ、複数の態様が異なる抽選ゲームを効果的に演出することができる。
【0073】
また、入賞口の賞の内容を変更させた2種類以上の抽選を行うように構成する場合、たとえば上記実施形態のセンター抽選装置7において、上記したダブルアップ抽選に代えて、あるいはダブルアップ抽選とはさらに別に、SJP抽選に従属しない抽選(SJP抽選と区別するため、以下、普通抽選という)を行うように構成してもよい。普通抽選における入賞口としては、図11を参照して上述したダブルアップ抽選の場合と同様に、「当たり」と「はずれ」の入賞口が交互に配列された構成を採用することができる。普通抽選は、たとえば、画像表示装置等にて実行される電子ゲーム(画面抽選)等において所定の結果となった場合に実行され、当選すれば所定枚数(たとえば100枚)のメダル払い出しを行うように構成される。この場合において、たとえば普通抽選における回転体75L,75Rの回転速度をSJP抽選における回転体75L,75Rの回転速度よりも低速にすれば、傾斜フィールド内における抽選用媒体の滞留時間が比較的に短くなり得る。したがって、二者択一の普通抽選については、ダブルアップ抽選の場合と同様に、プレイヤが飽きない程度に比較的速やかに終了させることができる。
【0074】
上記実施形態では、20個の入賞口(ポケット74a)に対して1個の入賞口をSJP抽選におけるSJP当選として割り当てた例を示したが、入賞口の総数は20個に限定されるものではなく、また、SJP当選として複数個の入賞口を割り当ててもよい。さらに、抽選装置を用いて行う抽選ゲームは、特別な当選結果が得られる抽選ゲームであればよく、SJP抽選に限られない。
【0075】
上記実施形態においては、回転体75L,75Rをそれぞれ回転させる2つのモータ75cを具備する構成例を示したが、たとえばギア機構やベルト機構を介在させ、1つのモータによって2つの回転体75L,75Rを回転させる構成としてもよい。この場合において、インバータモータを用いれば、2つの回転体を同調して可変速させることができる。
【0076】
一対の回転体75L,75Rはそれぞれが同じ速度であってもよい。また、そのときは、回転体の回転位相を互いにずらし、滞留時間に幅を持たせることが望ましい。
【0077】
上記実施形態の回転体75L,75Rにおいては、羽根板75b(抽選用媒体弾き返し部材)が平行に並ぶ形状とされているが、これに代えて、たとえば羽根板を十文字状に交差させる形状としてもよい。また、抽選用媒体弾き返し部材の形状としては、平板状のものに限定されず、例えば、球体、楕円形、多面体などの形状であってもよい。抽選用媒体弾き返し部材の材質としては、剛性を有する塑性部材からなるものでもよい。さらに、回転体に代えて、所定の回動角度範囲で揺動する揺動体を設け、この揺動体によって抽選用媒体を弾き返すようにしてもよい。
【0078】
さらに、回転体の数は、2つに限られず、1つまたは3つ以上としてもよい。また、回転体は、開口へ向かって移動する抽選用媒体を弾き返すことができるように配置されていればよい。
【0079】
傾斜面73aは、抽選用媒体(ボールb3)が開口に向かって移動可能な形状であればよく、曲面になっていてもよく、抽選用媒体(ボールb3)をより不規則な動きにさせる凹凸などの障害物があってもよい。
【0080】
バウンド部73cの弾性体はゴム輪に限られず、コイルバネ、板バネなどでもよい。また、奥壁73bは、バウンド部73cと同様に弾性体からなる構成でもよい。ただし、バウンド部73c、奥壁73bは、必ずしも弾性体である必要はなく抽選用媒体(ボールb3)の移動を規制する構成(例えば、金属等の硬質な塑性部材)であればよい。
【0081】
上記実施形態においては、複数の入賞口(ポケット74a)を有する構成とされているが、1つの入賞口のみを有する構成としてもよい。また、入賞口が開口に対して周期的に相対移動する構成としては、たとえば、上記実施形態のように円周に沿って移動する構成に代えて、例えば直線や曲線に沿って左右に周期的に往復動する構成としてもよい。さらに、入賞口としては、開口に対して周期的に移動するものに限らず、1つの入賞口が電子的(内部的)に当選と非当選状態が切替る入賞口であってもよく、入賞口に設けられた開閉装置により当選と非当選状態が切替るものであってもよい(たとえば入賞口が閉まっている時にボールが落下すれば、入賞口に入らずにボールが回収され「はずれ」となる)。
【0082】
抽選用媒体としては、球形のボールに限定されるものではなく、多角形などの傾斜フィールドを転がって移動しうる他の形状の転動体であってもよい。また、メダルやコインなど傾斜フィールドを滑って移動するものであってもよい。
【0083】
本発明の抽選装置としては、メダルゲーム機に限らず、その他各種のゲーム機に装備することができる。さらに、抽選装置単独でゲーム機を構成してもよい。
【符号の説明】
【0084】
A メダルゲーム機
b3 ボール(抽選用媒体)
m メダル
s2 回転軸
2 画像表示装置
3 プッシャフィールド
4 キャッチャ抽選装置
6 クルーン抽選装置
7 センター抽選装置(抽選装置)
8 メインディスプレイ
73 傾斜フィールド
73a 傾斜面
73b 奥壁(規制部)
73c バウンド部(規制部)
73d 開口
74a ポケット(入賞口)
75 ボール弾き返し機構(抽選用媒体弾き返し機構)
75L,75R 回転体
75a 支持部材
75b 羽根板(抽選用媒体弾き返し部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽選用媒体を用いて抽選ゲームを行うための抽選装置であって、
上記抽選用媒体を移動させる傾斜面、上記抽選用媒体が移動し得る領域を規制する規制部、および、上記規制部の低位側に位置し、上記動抽選用媒体の通過を許容する開口、を有する傾斜フィールドと、
上記開口を通過した上記抽選用媒体が入り得る入賞口と、
上記開口の近傍に設けられ、上記傾斜面上を移動する上記抽選用媒体を上記傾斜面の高位に向けて弾き返すための抽選用媒体弾き返し機構と、を備えることを特徴とする、抽選装置。
【請求項2】
上記入賞口を上記開口に対して周期的に移動させる入賞口移動機構を備える、請求項1に記載の抽選装置。
【請求項3】
上記抽選用媒体弾き返し機構は、上記開口の左右両側の上方近傍に配置されている、請求項1または2に記載の抽選装置。
【請求項4】
上記抽選用媒体弾き返し機構は、所定の回転軸周りに回転する一対の回転体を含んで構成されている、請求項1ないし3のいずれかに記載の抽選装置。
【請求項5】
上記一対の回転体は、回転速度が互いに異なるように回転させられる、請求項4に記載の抽選装置。
【請求項6】
上記一対の回転体のうち少なくとも一方は、回転速度が可変とされている、請求項4に記載の抽選装置。
【請求項7】
上記各回転体は、支持部材と、この支持部材に支持され、かつ上記支持部材よりも上記回転軸の径方向外方に突出しており、上記抽選用媒体に当接して当該抽選用媒体を上記傾斜面の高位に向けて弾き返しうる抽選用媒体弾き返し部材と、を備える、請求項4ないし6のいずれかに記載の抽選装置。
【請求項8】
上記一対の回転体の上記抽選用媒体弾き返し部材は、弾性変形可能な弾性部材によって構成されている、請求項7に記載の抽選装置。
【請求項9】
上記一対の回転体の上記抽選用媒体弾き返し部材は、互いに最も近接する場合の隙間の寸法が上記抽選用媒体よりも小となるように設けられている、請求項8に記載の抽選装置。
【請求項10】
上記傾斜面の高位に上記抽選用媒体を投入するための投入機構を備える、請求項1ないし9のいずれかに記載の抽選装置。
【請求項11】
上記規制部は、上記抽選用媒体を弾き得る弾性体を含んで構成されている、請求項1ないし10のいずれかに記載の抽選装置。
【請求項12】
上記入賞口の賞の内容を変化させた2種類以上の抽選を行うように構成されており、上記入賞口の賞の内容の変化に応じて上記一対の回転体のうち少なくとも一方の回転速度が変化させられる、請求項6に記載の抽選装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−162255(P2010−162255A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8428(P2009−8428)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(000129149)株式会社カプコン (192)