説明

担体表面上に官能性分子を分散させる方法と、この方法によって製造された担体

【課題】官能化されたテザー(紐でつながれた)有機鎖を空間的に分離させる方法。
【解決手段】自己集合(self-assemble)でき且つ官能性オルガノシランと接触可能な可溶性分子誘導体の存在下で官能化されていないテザー有機鎖で希釈することによって官能化されたテザー有機鎖を空間的に分離させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無機物の表面上に官能性基をワンポット法(one-pot procedure)で調節自在な状態で空間的に分散させる方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無機物表面上に有機構造の分子を付着させることによってその表面特性をユニークに設計することができる。無機材料の表面上に有機基や分子を付けるという試みは多数行われてきた。カップリング基、例えばアルコキシ、ハロゲノ−シラン、ホスホナート、ホスフィナート、スルホネート、カルボキシレート、オレフィン、チオールまたはジスルフィドを含む有機単位を用いて無機材料(金属酸化物、例えばシリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア等や金属、例えばシリコン、金、白金・・・)の表面上に直接グラフトするか、付着させて有機/無機ハイブリッド(複合)材料が作られてきた。例としては下記文献を挙げることができる。
【0003】
【非特許文献1】W.A. Aue and CR. Hastings, J. Chromatog., 42 (1969) 319,
【非特許文献2】K.G. Allum, R.D. Hancok, I.V. Howell, S. McKenzie, R.C. Pitkethly and P.J. Robinson, J. Organometal. Chem., 87 (1975) 203,
【非特許文献3】O. Leal, D.L. Anderson, R.G. Bowman, F. Basolo and R.L. Burwell, Jr, J. Am. Chem. Soc, 97 (1975) 5125,
【非特許文献4】J. F. Fritz and J.N. King, Anal. Chem., 48 (1976) 570,
【非特許文献5】P.Tundo and P. Venturello, J. Am. Chem.Soc, 101 (1979) 6606,
【非特許文献6】H. Engelhardt and P. Orth, J. Liq. Chromatog., 10 (1987) 1999,
【非特許文献7】A. Cauvel, G. Renard, and D. Brunei, J. Org. Chem., 1997. 62: p. 749,
【非特許文献8】H.D. Abruna, T.L. Meyer and R.W. Murray, Inorg. Chem., 18 (1979) 3233,
【非特許文献9】H. D. Abruna, T.L. Meyer and R.W. Murray, Inorg. Chem., 20 (1981) 1481,
【非特許文献10】P. Sutra, F. Fajula, D. Brunei, P. Lentz, G. Daelen and J. B. Nagy, Colloid and Surfaces, 158 (1999) 21,
【非特許文献11】D. Brunei, A. Cauvel, F. Di Renzo, F. Fajula, B. Fubini, B. Onida and E. Garrone, New J. Chem., 24 (2000) 807-813,
【非特許文献12】M. Etienne, J. Bessiere and A. Walcarius, Sens. Actuators B, 76 (2001) 531
【0004】
官能化されたハイブリッドシリカの最近の製造方法はシリカ源としてテトラアルコキシシランまたはシリケートを用いて有機トリアルコキシシラン誘導体を共縮合(co-condensate)するワンポット・ゾル−ゲル合成方法を使用するものである。例としては下記文献を挙げることができる。
【0005】
【非特許文献13】KJ. Shea, D.A. Loy and D.W. Webster, Chem. Mater., 1 (1989) 574,
【非特許文献14】D.J. Macquarrie, Chem. Commun., (1996) 1775,
【非特許文献15】S. L. Burkitt, S. D. Sims and S. Mann, Chem. Commun. (1996) 1367,
【非特許文献16】R.J. P. Corriu, J.J. E. Moreau, P. Thepot, M. Wong Chi Man, Chem. Mater., 4 (1992),
【非特許文献17】M. H. Lim, CF. Blanford and A. Stein, Chem. Mater., 10 (1998) 467
【0006】
無機物表面上に官能基を有する単分子層(モノレイヤー)構造体は多くの分野、例えば吸着、イオン交換、触媒、検出技術、非線形光学、バイオ材料の認識等の分野での広範囲に科学的、実用的に用いられている。これら分野の大抵の用途では上記材料の特性を改良する上で最も重要なことは官能基の分配を制御できることである。しかし、サイト単離とグラフト官能基官間距離の制御に関する文献は極めて少ない。
その第1の方法はイミン結合を形成可能なカルボニル基を有するスペーサを用いて2つのアミン基を結合し、この2つのアミン基を一定距離の所にグラフトし、グラフト後に特定の反応でイミン結合を除去するものである。この方法は例えば下記文献に記載されている。
【0007】
【非特許文献18】Wulff et al. in G. Wulff, B. Heide, G. Helmeier, in J. Amer. Chem. Soc, 1986, 108, 1089
【非特許文献19】G. Wulff, B. Heide, G. Helmeier , in React. Polym., 1987, 6, 299
【0008】
この戦略は例えば下記文献に記載の主として架橋した多孔質性ポリマーマトリックスに分子を印刷する研究で始められた。
【非特許文献20】Shea et al (KJ. Shea and E.A. Thompson, J. Org. Chem 1978, 43, 4253
【非特許文献21】KJ. Shea, E.A. Thompson, S. D. Pandey and P.S. Beauchamp, J. Am. Chem Soc, 1980, 102, 3149
【非特許文献22】KJ. Shea and T.K. Dougherty, J. Am. Chem. Soc, 1986, 108, 1091.
【0009】
その刺激をうけて下記文献のように印刷された重合体のキラルなキャビテー内部にテーラーメードの活性サイトを作る方法が開発された。
【非特許文献23】JJ. Becker and M. R Gagne, in Ace Chem. Res., 2004, 37, 798-804
【0010】
類似した方法はTahmassebi and Sasaki、Hwang et al.、Liu et al.またはShin et al.の下記文献でも採用されている。
【非特許文献24】D. C. Tahmassebi, T. Sasaki, J. Org. Chem., 1994, 59, 679
【非特許文献25】K.-O. Hwang, Y. Yakura, F.S. Ohuchi, T. Sasaki, Mater. Sci. Eng., C 1995, 3, 137
【非特許文献26】J. Liu, Y. Shin, L.-Q. Wang, Z. Nie, J W.D. Samuels,. H. Chang, G. Fryxell, and GJ. Exarhos, in J. Phys. Chem. A 2000, 104, 8328
【非特許文献27】Y. Shin, J. Liu, L.-Q. Wang, Z. Nie, G. Fryxell, W.D. Samuels and GJ. Exarhos, Ang. Chem. Int. Ed. 2000, 39, 2702
【0011】
彼らはイミン結合によって結合したジポット(dipod)またはトリポット(tripod)形の異なるタイプの鋳型(テンプレート)を用いて2つまたは3つのアミノプロピルシランをアンカー(投錨)させ、長鎖有機シラン誘導体で単分子層被覆中に表面の一部を保護している。その後、酸加水分解によって上記鋳型分子を除去し、単分子層被覆中に印刷した四角形または三角形のマイクロキャビティー(microcavities)を残す。しかし、この方法では表面部分ができ、フリーなシングル表面ポイントは与えられないという点に注意する必要がある。しかも、これら分子は会合するので、鋳型を表面上に均一に分布させることはほとんど不可能であり、キャビティーの寸法および形状にネガティブな効果を与える結果となる。
【0012】
Katz and Davisはインシチュー(in situ)のゾル-ゲル法を用いて印刷シリカを直接合成し、分離しているアミン基をグラフトする類似の方法を提案している(下記文献参照)。
【非特許文献28】A. Katz andM. E. Davis, Nature , 2000, 403, 286
【0013】
上記文献の方法ではアミン基をインプリントを有するカルバメート結合で保護する。このカルバメート結合はサイトを分離させるとともに、除去されたときに空間的に組織されたボイド空間を作る。紐で繋ながれ(tethered)かつ分散させられたアミンサイトとの最終ゲルの形成ではインプリント分子を後で除去する必要があり、2点結合(two-point bound)または1点結合(one-point bound)プローブ分子によるサイトのばらつきを制御する必要があるという点に留意する必要がある。
【0014】
最近、Jones et alはシリカ表面に個別にアンカーした大きなトリチルイミンを用いた分子パターニング法を用いたグラフトアミン基分離法を研究している(下記文献参照)。
【非特許文献29】M. W. McKittrick and CW. Jones, Chem. Mater. 2003, 15, 1132-1139
【非特許文献30】M. W. McKittrick and CW. Jones, J. Am. Chem. Soc, 2004, 126, 3052-3053
【0015】
この方法ではシラノールキャッピングおよびイミン結合結合基の加水分解後のアミンサイトの分離を制御するためにアミン官能化材料をテレフタルロイルクロライドと接触してモノまたはジアミド結合したリンクを作り、未反応の上記の一塩基酸クロライド官能基をプローブする。
【0016】
Bonneviot et al.が採用した他の戦略では部分的にシリル化したミセル−鋳型化したシリカに親水性サイトを作る(下記文献参照)。
【非特許文献31】L. Bonneviot, A. Badiei, N. Crowther, US- A-2004/OO35791
【0017】
一般に、鋳型化剤として長鎖をアルキルトリメチルアンモニウム基カチオンとシリケートとを一緒に用いて、MCM−41−型のシリカを作るが、この著者は生成するメソポーラス(mesoporous)なシリカのシリケートの反対イオンとしての正に帯電した界面活性剤塩基の存在下を利用して、アクセス可能な周りのシラノールにトリメチルシレート化剤をグラフトしている。界面活性剤を除去した後に界面活性剤の移動後にシリケートから生じる部分的にトリメチル化された材料表面に含まれるシラノール基は無機物の表面全体に一様に分布している。疎水性環境に囲まれた上記シラノール基を有する材料はさらに表面処理して利用することができる。例えば触媒サイトグラフト化で官能化できる。この戦略は複数の階段を含み、ミセル−鋳型化されたシリカにだけ適用できる。しかも、この方法は複雑で、退屈で長い処理を必要とする。
【0018】
本発明は、非官能性の鎖−Lの間に分散したシングルサイトの官能鎖−LXを有する無機の骨組み上に紐でつながれた(tethered、テザード)有機鎖をベースにしたハイブリッド材料を設計する別の戦略を開示する。本発明は官能基をランダムに分散させるために紐でつないだ(テザード)官能化先駆物質剤を1:4以上の比率で未官能のもので希釈することをベースにしたものである。分離剤は官能化剤と同じ有機鎖Lを有するのが好ましい。
【0019】
官能基間の相互作用および官能基と担体との間の相互作用、例えばアミンの場合の水素結合がグラフト中にある種の官能鎖パッキングを生じさせることができる。官能基が互いに接近していることで希釈してもアンカーされた官能鎖のパッチを作ることができる。これは[図1]に示すように官能基を真に分子分散させる上で必須のことである。
【0020】
Moreau et al.は適当にシリル化した有機分子の均一な加水分解−縮合反応を用いて組織化された三次元ハイブリッド構造物の合成方法を開発している(下記文献参照)。
【非特許文献32】JJ. E. Moreau, Luc Vellutini, Michel Wong Chi Man, and Catherine Bied, Chem. Eur. J. 2003, 9, 1594-1599
【0021】
この方法ではスープラ分子(supra-molecular)集合体による化合物の自己クラス会合を考慮に入れることができ、多数の水素結合を用いて官能性有機単位の空間組織を細長いナノファイバー状構造にすることができる。この方法は例えば下記文献に記載されている。
【非特許文献33】J. van Esch, S. de Feyter, R.M. Kellogg, F. de Schryver and B.L. Feringa, Chem. Eur. J. 1997, 3, 1238-1243
【非特許文献34】J. van Esch, F. Schoonbeek, M. de Loos, H. Kooijman, A.L. Spek, R.M. Kellogg and B.L. Feringa, Chem. Eur.J. 1999, 5, 937-950
【非特許文献35】M. Suzuki, Y. Nakajima, M. Yumoto, M. Kimura, H. Shirai and K. Hanabusa(Org. Biomol. Chem., 2004, 2, 1155-1159
【非特許文献36】J. M. Lehn, Angew. Chem. Inter. Ed., 1990, 29, 1304-1319
【0022】
これらの先駆物質に支持されたビス尿素基を用いることで、下記文献に基のように複数の水素結合によるスープラ分子(supra-molecular)会合によって分子は集合する。
【非特許文献37】J. J. E. Moreau, BP. Pichon, M. Wong Chi Man, C. Bied, H. Pritzkow, J.-L. Bantignies, P. Dieudonne and Jean-Louis Sauvajol, Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 203 -206
【0023】
面白いことに、キラルなシリル化ジウレイドシクロヘキシル誘導体は螺旋形態をしており、有機下位構造を反映して左右像(handedness)のハイブリッド材料になる。このことは下記文献に記載されている
【0024】
【非特許文献38】J.J.E. Moreau, V.Velliti, M. Wong Chi Man and C. Bied, J. Am. Chem. Soc., 2001, 123, 1509-1510。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明の目的は、無機構造物の二重官能化(dual functionalisation)時の構築・パターニングを可能にするために会合(asociative)プロセスを使用することにある。
本発明の他の目的は、担体表面上に官能性を分散させるためにワンポット方法を開発することにある。
本発明のさらに他の目的は、担体表面上の官能基の分散を良くすることにある。
本発明のさらに他の目的は、担体表面上の官能基の制御することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、自己集合(self-assemble)でき且つ官能性オルガノシランと接触可能な可溶性分子誘導体の存在下で、紐でつながれた(tethered、テザード)官能化されていない有機鎖で希釈することによって紐でつながれた(テザード)官能性有機鎖を空間的に分離させる方法を提供する。なお、「紐でつながれた(tethered)」を以下で「テザード」という用語で表す場合もある。上記の分離は空間充填剤の役目をする可溶化 (solvating) 剤で空間を占めさせることによって行うことができる。会合、凝集(aggregation)を有効に防止しかつ活性基の間の空間を占めさせるためには、官能基と同じ性質、種類の非官能性基を用いるのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の好ましい実施例では、下記(a)〜(d)の段階から成る、紐でつながれた(テザード)官能性有機鎖の分散方法が提供される:
(a) 多孔質材料から作られた無機担体を用意し、
(b) 担体表面上に下記(i)と(ii)をグラフトする:
(i) 一般式:RnR'3-n−Si−L−Xのシラン
(ここで、Rは1〜2の炭素原子を有するアルキル基で、各Rは互いに同一でも、異なっていてもよく、R'はハロゲンまたは1〜12の炭素原子を有するアルコキシ基で、各R'は互いに同一でも、異なっていてもよく、nは0〜2の整数であり、Lはリジッドまたは可撓性ある「リンカー」またはアームであり、Xは付加反応または置換反応によって共有結合を形成できる官能基である)
(ii) 官能基基の会合を防止して、官能基X間の空間を占めるように、グラフト化した官能鎖の官能基を強く溶媒化するために選択される補助剤、
(c) 階段(b)のグラフト化された担体を極性溶媒で洗浄して補助剤を除去し、
(d) 必要な場合にはグラフト化した担体をさらに硬化し、不動態化する。
【0028】
上記補助剤は一般に尿素誘導体、ビス尿素誘導体、チオ尿素誘導体、トリエタノールアミン、2,6-アミノピリジン、アミド、アミノアルコール、アミノ酸、シアヌル酸、バルビツール酸(barbituric acid)誘導体、モノ-、ビ-またはトリ-グリセリドまたはこれらの組合せの中から選択される。この補助剤は下記の[表1]に示す官能基の関数で選択するのが好ましい。
【0029】
【表1】

【0030】
官能基Xはハロゲンで、補助剤がジオールまたはアミノ酸であるか、Xがアミンで、補助剤が尿素誘導体、アミドまたはカルバメートであるのが好ましい。最も好ましい組合せはアミン官能基Xと、尿素誘導体助剤薬剤との組合せである。
【0031】
分離剤の作用をする補助剤は形態的および/または寸法的および/または種類的および/または担体上へのアンカー能力の点でシランと相溶性、互換性を有するのが好ましいが、官能基Xは有しない。本発明で使用される上記分離剤の量は少なくともグラフト鎖の量に等しい。その上限は溶解性レベルの関数である。分離剤に対するシランの比率は1:20〜1:1が好ましく、より好ましくは1:10〜1:8である。
【0032】
官能化された材料は官能化後に必要に応じて硬化し、不動態化(passivated、パシベート化)することができる。
本発明方法は、官能性有機基を有する単位と自己集合(self-assembled)した補助分子の会合によるスープラ分子(supra-)集合体の形成をベースにしたものである。
それによって有機−無機界面形成時の官能性有機前駆体の会合を防止することができる。
【0033】
補助分子は自己集合(self-assembled)でき且つ[図2]に図示するように官能基Xと特異的に相互作用できるものである。この補助分子は尿素誘導体、ビス尿素誘導体、チオ尿素誘導体、トリエタノールアミン、2,6-アミドピリジン、アミド、アミノアルコール、アミノ酸、シアヌル酸、バルビツール酸誘導体、モノ−、ジ−またはトリ−グリセリドまたはこれの組合せの中から選択するのが好ましい。最も好ましい補助剤は尿素誘導体である。この補助剤はリサイクル可能で、簡単な洗浄で除去できるという追加の効果もある。
【0034】
本発明方法は、ワンポット・ゾル-ゲル・アセンブリ法またはワンポット・無機表面グラフト法を用いた二重官能化で使用することもできる。
【0035】
本発明のより好ましい実施例では例えば下記文献に記載のゾル-ゲル表面ポリマー化方法に従って、アミノアルキルまたはアミノアリールシランとアルキルシランまたはフェニルシランとから成る混合物でシリカ表面を官能化する。
【0036】
【非特許文献39】T. Martin, A. Galameau, D. Brunei, V. Izard, V. Hulea, A.C. Blanc, S. Abramson, F. Di Renzo and F. Fajula, in Stud. Surf ScL Catal., 135 (2001) 29-O-02
【非特許文献40】S. Abramson, M. Lasperas, A. Galameau, D. Desplantier-Giscard and D. Brunei in Chem. Comm., (2000), 1773-1774
【0037】
この官能化は補助分子としての尿素誘導体の存在下で実行される。シングルサイト官能性材料へ向かう無機表面上への二重官能パターニングを単一段階で実行することができる。補助剤の尿素分子はグラフト階段後に洗浄階段で通常実行される極性溶媒を用いて除去する。
【0038】
無機担体は以下の特数の少なくとも1つを有する多孔性鉱物酸化物粒子から成るのが好ましい:
(1)3.5〜30ナノメートルの直径を有する孔を有する。
(2)0.4〜4cm3/gの気孔率を有する。
(3)100〜1500m2/gの比表面積を有する。
(4)0.1〜500マイクロメートルの平均直径を有する。
【0039】
担体は各種種類の中から選択できる。その種類、水和状態またはヒドロキシル化状態および水の保持能力に応じた強さの脱水処理を行って、所望の表面-OH基含有量にする必要がある。この脱水酸基処理または脱ヒドロキシル化処理はルーチンテストによって当業者が担体に行うことができ、所望の表面-OH基含有量にすることができる。
【0040】
出発材料の担体はシリカから成るのが好ましい。一般に、シリカは100〜1000℃、好ましくは140〜800℃の間の温度で不活性ガス下、例えば窒素またはアルゴン下に大気圧または約10-5バールの減圧下に少なくとも60分間、加熱する。この熱処理時には脱水を速めるために例えばNH4Clをシリカに混合できる。
【0041】
階段(b)の(i)のシランの「リンカー」Lが可撓性のあるアームの場合には、それを1〜12の炭素原子を有するアルキル、エーテルまたはチオエーテルの中から選択できる。「リンカー」がリジッドなアームの場合にはそれをアリール、モノ−またはビ−フェニル、ナフタリン、ポリアリールエーテルまたはエーテル・ジフェノールの中から選択できる。「リンカー」はリジッドなアーム、より好ましくはフェニルであるのが好ましい。リジッドなリンカーは活性サイトを担体表面から遠ざけて、望ましくない相互作用を制限する効果がある。
【0042】
官能基Xは付加反応または置換反応で共有結合を形成できるようにし、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、イソシアネート、チオールまたはグリシジルの中から選択できる。好ましくはハロゲンまたはアミノにする。
【0043】
分離剤は担体のSiに対してシランと同じ反応基を有するのが好ましい。分離剤は官能基Xを互いに分離させて[図3]に示すようなモノサイトを作ることができる。このことは補助分子誘導体を用いずに行った[図4]に示す同じ官能化で得られた結果と比較することができる。
【0044】
シリカ表面上の紐でつながれたアミノ基の分布はアミン官能基に共有結合でアンカーさせたピレン分子の蛍光分析で調べることができる。すなわち、エクシマー(excimer)を検出することでモノマーの発光スペクトルとして分散効率を決定することができ、エクシマーを用いて分子単位が互いに近くにあるか否か、分子単位がフリーか、大きい分子または固形物に結合しているか否かを決定できる。
【0045】
エクシマーとは一方の分子M*が励起状態にあり、他方の分子Mが基本状態にある媒体中に分散した一対の分子、好ましくは全く同じ分子を意味する。MとM*との間で起る相互作用によってM*の励起エネルギーの一部が消費され、残りのエネルギーはMM*対の間で共有される。このMM*対の存在する時間は数ナノ秒で、MM*対のエネルギー準位を表す[図5]に示すような反発する基底状態へ戻るときに光子を発する。複合体が緩み、最終状態が反発性であるため、放射の幾何学は一定しない。従って、エクシマーの発光スペクトルは一定構造を有さず、レッドシフトする。
【0046】
分散状態をテストするためにグラフトした官能基をピレンのような分子と化学反応させると、十分に近い場合、エクシマーを形成できる。
【0047】
グラフト反応は60〜120℃の温度で不活性雰囲気下に実行される。洗浄階段は補助分離剤を除去する極性溶媒を用いて室温で行う。この極性溶媒はアルコール、水またはこれらの混合液から選択できる。
【0048】
硬化を行う場合には110〜200℃の間の温度を選択する。この温度は官能基に依存する。不態化階段を行う場合には残ったシラノールを除去する。不態化階段はシリル化剤、例えばクロロトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシリルイミダゾール、N、O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドまたはグラフトされたシランの官能基Xに対して不活性のその他の不動態化剤を用いて行う。
【0049】
本発明とはさらに、官能性グラフト鎖が担体表面上に有効に分散したグラフトした無機担体に関するものである。
本発明の官能化された担体はメタレーション反応を用いて新しいシングルサイトの触媒成分の調製に使用できる。
支持されたこれらの触媒成分は適当な活性化剤を用いて活性化してオリゴマー化またはポリマー化の触媒系として使用できる。
【実施例】
【0050】
担体の出発材料はGrace Davisson社からG5Hの名称で市販のシリカで、その比表面積は515m2/g、孔容積は1.85cm3/g、直径は14.3ナノメートル、CBET(Brunauer-Emmet-Teller)指数は103である。
コーテングによるグラフト化手順は一般的なもので、下記文献に記載のMartin et al.の操作法を用いた。
【0051】
【非特許文献41】"Towards total hydrophobisation of MCM-41 silica surface," by T. Martin, A. Galameau, D. Brunei, V. Izard, V. Hulea, A.C. Blanc, S. Abramson, F. Di Renzo and F. Fajula. in Stud. Surf. Sci. Catal., 2001 , 135, 29-O-02 複数のグラフト化したシリカを調製した。
【0052】
実施例1
グラフト化担体S1の製造
S1でのグラフト化剤はパラ−アミノフェニルトリメトキシシラン(n−NH2−Ph−Si)のみである。減圧(1Torr)下に180℃で18時間加熱して3gのシリカ担体(3g)を予備活性化させた。次に、それをアルゴン中で室温下に冷却し、90mlの乾燥トルエンと一緒にグラフト化剤として2.66g(12.48mmol)のパラ−アミノフェニルトリメトキシシラン(n−NH2−Ph−Si)(1nm2当たり5分子)を加えた。懸濁液をアルゴン下に1時間室温で撹拌した後、224mlの水(加えたシラン当たり1.5当量)と、118mgのパラ−トルエンスルホン酸(加えたシラン当たり0.05当量)と、23mgの弗化アンモニウム(加えたシラン当たり0.05当量)とを反応液に加え、室温で1時間、次に、60℃で6時間、それから120℃で1時間撹拌下に加熱した。この最後の階段の間、Dean-Starck器具を使用して共沸蒸留した。
【0053】
官能化されたシリカを濾過分離し、200mlのトルエンで二度、200mlのメタノールで二度、200mlのメタノールと水の1:1容積比混合液で二度、200mlのメタノールで一度、そして200mlのジエチルエーテルで二度洗浄する。最後に、分離したサンプルをジクロロメタンとジエチルエーテルの1:1容積比混合液でソックスレー抽出した。
【0054】
コーテングによるグラフト化後、グラフトされた担体を湿った窒素雰囲気下に130℃の温度で一晩加熱して硬化させた。細孔組織は保存された。
次に、以下のようにしてパッシベーションを実行した。紐でつながれたアミノ鎖を含む材料を130℃の温度で8時間真空下に置き、室温に冷却後、乾燥したトルエン中で分散させた。2.8ml(14mmol.g-1)のトリメチルシリルイミダゾールを加え、反応混合物を60℃の温度で一晩撹拌した。
固形物を濾過分離した後、200mlのトルエンで二度、200mlのメタノールで二度、200mlのジクロロメタンで二度、200mlのジエチルエーテルで二度洗浄した。最後に固形物をジクロロメタンとジエチルエーテルの1:1容積比混合液でソックスレー抽出した。
【0055】
実施例2
グラフト担体S2の製造
S2では、同じグラフト化剤n−NH2−Ph−Siをフェニルトリメトキシシラン(n−Ph−Si)で希釈した。n−Ph−Si/n−NH2−Ph−Siの比は2である。
手順はグラフト化担体S1と同じにしたが、0.9g(4.2mmmol)のn−NH2−Ph−Siと1.68mg(1.85ml;8.48mmol)のn−Ph−Siとの混合液を使用した。
【0056】
実施例3
グラフト担体S3の製造
S3では、同じグラフト化剤n−NH2−Ph−Siをフェニルトリメトキシシラン(n−Ph−Si)で希釈した。n−Ph−Si/n−NH2−Ph−Siの比は4である。
手順はグラフト化担体S1と同じにしたが、0.53g(2.5mmmol)のn−NH2−Ph−Siと1.97mg(1.86ml;9.96mmol)のn−Ph−Siとの混合液を使用した。
【0057】
実施例4
グラフト担体S4の製造
S4では、同じグラフト化剤n−NH2−Ph−Siをフェニルトリメトキシシラン(n−Ph−Si)で希釈した。n−Ph−Si/n−NH2−Ph−Siの比は9である。
手順はグラフト化担体S1と同じにしたが、0.266g(1.25mmmol)のn−NH2−Ph−Siと2.23mg(2.1ml;11.25mmol)のn−Ph−Siとの混合液を使用した。
【0058】
実施例5
グラフト担体S5の製造
S5では、同じグラフト化剤n−NH2−Ph−Siをn−Ph−Siでn−Ph−Si/n−NH2−Ph−Siの比を19にして希釈した。
手順はグラフト化担体S1と同じにしたが、0.13g(0.6のmmmol)のn−NH2−Ph−Siと2.34g(2.21ml;11.83mmol)のn−Ph−Siとの混合液を使用した。
【0059】
実施例6〜8
本発明のグラフト担体S6〜S8の製造
S6、S7およびS8の製造に使った手順はそれぞれS2、S3およびS4を製造するのに使ったものと同じであるが、0.9gのメチル尿素を6mlのメタノールに溶かした溶液を60mlの乾燥トルエン溶液中の反応シラン混合液に加えた。
助剤剤として0.9g(12.2mmol)のメチル尿素(1nm2当たり5分子)を6mlの乾燥したメタノールに溶かし、それを適当な量のパラ−アミノフェニルトリメトキシシランとフェニル−トリメトキシシランとの混合物の60ml乾燥トルエン溶液(これらはそれぞれS6、S7、S8の製造のためのS2、S3、S4のそれにそれぞれ対応する)に加えた。均質化後、上記3つの溶液の各々をシリカ担体(3g)のサンプルに加えた。このシリカ担体(3g)は減圧(1Torr)下に180℃で18時間、予め予備活性化し、アルゴン下で室温まで冷却したものである。1時間接触させた後、反応混合物に224ml(添加したシラン当たり1.5当量)の水と、118mg(添加したシラン当たり0.05当量)のパラ−トルエンスルホン酸と、23mg(添加したシラン当たり0.05当量)弗化アンモニウムとを加えた。反応混合物を室温で1時間、次に60°の温度で6時間そして120°の温度で1時間撹拌した。最後の階段中、Dean-Starck装置を用いて共沸蒸留した。
【0060】
官能化されたシリカを濾過分離した後、200mlのトルエンで二度、200mlのメタノールで二度、200mlのメタノールと水の混合液(容積比1:1)で二度、200mlのメタノールで一度、さらに200mlのジエチルエーテルで二度洗浄した。最後に分離したサンプルをジクロロメタンとジエチルエーテルの混合液(容積比1:1)でソックスレー抽出した。
被覆グラフト化後、グラフトした担体を湿った窒素雰囲気下に130℃の温度で加熱して硬化させた。細孔組織は保存された。
不動態化階段はS1〜S5の製造時に用いたものと同じにした。
グラフトされた担体の特徴を[表2]に示す。
【0061】
【表2】

【0062】
次に、官能基をピレンと反応させて担体表面上の官能基の分布を決定した。
先ず、ピレンスルホニルクロライド(PSC)を合成した。16mlのチオニルクロライドに0.41g(1.45mmol)のピレンスルホン酸を加えた溶液をSO2およびHClの放出がほし止むまで80℃の温度で加熱した。次に、過剰なチオニルクロライドを減圧下に留出させ、残渣を20mlのジメチルホルムアミドに溶かした。
次に、[図6]に示すように、アミノヒドロカルビルシランがグラフトされたシリカにピレンスルホニルクロライドをアンカーした。紐で繋ながれたアミノ鎖を含む材料を13O℃で18時間真空排気した後、室温に冷却し、ジメチルホルムアミド中に懸濁させた。次に、072モル/Lのピレンスルホニルクロライドのジメチルホルムアミド/トリエチルアミン溶液を下記比率で加えた:グラフトされたアミノシラン1当量当たりピレンスルホニルクロライド2当量、グラフトされたアミノシラン1当量当たり2塩基当量。反応混合物を室温で18時間攪拌した後、固形物を濾過し、200mlのジメチルホルムアミド二度、200mlのメタノールで二度、200mlのジクロロメタンで二度、そして200mlのジエチルエーテルで二度洗浄した。
ピレンスルホニルクロライドをアンカーした後のサンプルの特徴は[表3]にまとめて示してある。
【0063】
【表3】

【0064】
ハイブリッド材料のUV−可視部分の吸収スペクトルをインテグレーティンングスフエアLabsphere, North Sutton, USAを備えた拡散反射装置Perkin-Elmer Lambda 14をベースにして測定した。シリカを深さ0.05mmのウエルに入れ、石英スライドに入れ、それを標準の石英スライド(QS-100セル、Hellma)で覆った。対照セルにはBaSO4を充填した。スペクトルはKubelka-Munk(KM)トランスホーマを用いて得られた。
KM=(1−リフレクタンス)2/2.対照。
[図7]に示すようにピレンをアンカー後、320ナノメートル以上に新しい吸収帯域が現れる。420ナノメートル以上まではピレンの存在に関連する。その他の吸収はピレン会合物(aggregate)の吸収に対応する。吸収は官能グラフト鎖の含有量の増加と共に増加し、従って、アンカーされたピレンの量が官能グラフト鎖の密度に比例することを示している。さらに、ピレンアンカー後の全ての赤外線スペクトルから、3480〜3390cm-1のv(N−H)と1625cm-1のo(N−H)のバンドは親の強度より弱いことが示される。従って、アミン基が反応し、アンカー反応が成功したことを示している。このことは[図8]に示してある。この観測結果はグラフト前後の材料の元素分析および熱-重量分析でも確認されている。
また、材料のポーラス構造が保存されたことは、グラフト前後での77°Kでの窒素吸着・脱着等温曲線からも同様に示された。従って、化学反応は材料の構造に影響を及ぼさなかった。
【0065】
蛍光スペクトルも採った。これは各々が1200lines/mmグリッド(Czemy-tumer、1/4m)を有する2つのJobin Yvon M25モノ−クロマトールを構成する分光蛍光計で実行した。各モノ−クロマトールは連続調整可能なスリットを有する。検出はR928光電子増倍管(Hamatsu)で行った。スペクトルの記録でのパス-バンドは8ナノメートルに固定した。測定は入射光に対して直角またはセルの正面に対して60度の角度で実行した。サンプルは(1)拡散反射法に記載のように2枚の石英間に置くか、(2)リジッドフレーム上に伸ばした透明な蛍光テープ断片をスプリンクルして得た薄膜にして置いた。7つのサンプルの全てで得られたスペクトルは[図9]に示してある。
【0066】
モノマーの蛍光バンド376および390ナノメートルの外に、約460ナノメートルに中心を有する幅広いピークは、メチル尿素を用いた場合と用いない場合のサンプルS1〜S3およびS6〜S7で製造したものに観測された。このピークはエクシマーの蛍光発光に対応する。これは2つのオルガノシランの混合でグラフト鎖を一定に維持した所帯でパラ−アミノフェニルシランを全体的に希釈できるということを意味し、しかし、エクシマーの存在下によって証明されるように官能性グラフト鎖のフラクションは分散しなかったことを意味する。分散がないことは複数のパラ−アミノフェニルシランのアミン基間の相互作用(パッキングに有利)によるものである。[表4]はエクシマー(E)に対するモノマー(M)の比率を希釈の関数で示したものである。
【0067】
【表4】

【0068】
スペクトル面積デコンヴォルーションは主として検出器の応答に対して波長の関数で結果を訂正していないためである。
メチル尿素を本発明の助剤として添加することで、添加をしないサンプルに比べてモノマー/エクシマー比が増加する。これは全てのサンプルの蛍光スペクトルで観測された。
【0069】
これに対して、希釈を極端に高くした例に対応するサンプルS5ではこのエクシマー発光が示されず、376および390ナノメートルにモノマーの発光が存在するだけである。この非常に希釈し、分散させたアンカーされたピレンは390ナノメートルより非常に大きな強さのバンドを376ナノメートルに示す点に留意する必要がある。モノマーの蛍光は分子の振動モードに対応する一連の細かなバンドとして微細構造を有する。390〜400ナノメートルにあるバンドIIIとよばれる振動は一定強度を有していることが知られている。一方、372〜384ナノメートルの範囲に見られるバンドIの強度はピレンの環境の極性に応じて大きく変化する(例:アセトニトリル中では0.48、ベンゼン中では0.88、ヘキサン中では1.65、下記文献参照)。
【非特許文献42】K. Kalyanasundaram and J. K Thomas, J. Am. Chem. Soc, 99 (1977) 2039-2044)
【0070】
分散剤としてのメチル尿素の添加の有無にかかわらず、希釈を増加させると390〜400ナノメートルの蛍光発光に対して372〜384ナノメートルのモノマーの蛍光発光が増加する。分光分析はさらに、尿素の使用でよりグラフト鎖はより極性の少ない環境中に置かれ、グラフト率が33%以下になることも示している。
蛍光分析の結果はメチル尿素の存在下で対希釈分離度が良くなることと一致している。すなわち、メチル尿素の添加は担体表面上の官能グラフト鎖の分離に有効であった。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】アンカーされた官能鎖XLの希釈が不十分である時に生じるパックされた官能X(a)と、分散した官能鎖XL(b)とを示す官能化されたハイブリッド材料の図。
【図2】補助剤AA'Bを用いて非官能性鎖Lで希釈した時のアンカーされた官能化された鎖XLの分布を示す図。
【図3】ピレンの相互作用の非共存下によって示されるようなフェニルシランでシリカ表面にアンカーしたp−アミノフェニルシランの分布を示す図。
【図4】ピレンエクシマーの形成によって示される分散効果なしにフェニルシランでシリカ表面にアンカーしたp−アミノフェニルシランの分布を示す図。
【図5】エクシマーMM*のエネルギー準位を示す図。
【図6】ピレンスルホニルクロライド上へのパラ−アミノフェニルシランのアンカー反応を示す図。
【図7】ピレンスルホニルクロライドアンカー後のサンプルS1〜S4およびS6〜S8の吸収スペクトル図。
【図8】ピレンスルホニルクロライドアンカー前および後のサンプルS1の赤外線スペクトル図。
【図9】ピレンスルホニルクロライドアンカー後のサンプルS1〜S4およびS6〜S8の蛍光発光スペクトル図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)〜(d)の段階から成る、紐でつながれた(テザード)官能性有機鎖の分散方法:
(a) 多孔質材料から作られた無機担体を用意し、
(b) 担体表面上に下記(i)と(ii)をグラフトする:
(i) 一般式:RnR'3-n−Si−L−Xのシラン
(ここで、Rは1〜2の炭素原子を有するアルキル基で、各Rは互いに同一でも、異なっていてもよく、R'はハロゲンまたは1〜12の炭素原子を有するアルコキシ基で、各R'は互いに同一でも、異なっていてもよく、nは0〜2の整数であり、Lはリジッドまたは可撓性ある「リンカー」またはアームであり、Xは付加反応または置換反応によって共有結合を形成できる官能基である)
(ii) 官能基基の会合を防止して、官能基X間の空間を占めるように、グラフト化した官能鎖の官能基を強く溶媒化すにために選択される補助剤、
(c) 階段(b)のグラフト化された担体を極性溶媒で洗浄して補助剤を除去し、
(d) 必要な場合にはグラフト化した担体をさらに硬化し、不動態化する。
【請求項2】
上記シランがアリール、モノ−またはビ−フェニル、ナフタレン、ポリアリールエーテルまたはエーテル・ジフェノールの中から選択されるリジッドなアームLを有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
リジッドなアームLがフェニルである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
シランが1〜12の炭素原子を有するアルキルの中から選択される可撓性のあるアームを有する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
官能基Xがハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、イソシアネート、チオールまたはグリシジルの中から選択される請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
補助剤が官能基Xの関数で下記の中から選択される請求項5に記載の方法:
Xがアミンの場合には、尿素誘導体、アミドまたはカルバメート;
Xがハロゲンの場合には、ジオールまたはアミノ酸;
Xがチオールの場合には、尿素誘導体、アミドまたはキサンテート(xantate)
Xがニトリルの場合には、尿素誘導体、アミドまたはアミノ酸
Xがイソシアネートの場合には、尿素誘導体またはアミド
【請求項7】
官能基Xがハロゲンで、補助剤がジオールまたはアミノ酸であるか、Xがアミンで、補助剤が尿素誘導体、アミドまたはカルバメートである請求項6に記載の方法。
【請求項8】
補助剤が尿素誘導体で、官能基がアミンである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
分離剤に対するシランの比率が1:20〜1:1である請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法で得られる、表面上に分散した紐でつながれた官能性有機−鎖がグラフトされた無機担体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−521958(P2008−521958A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541962(P2007−541962)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【国際出願番号】PCT/EP2005/056056
【国際公開番号】WO2006/056553
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(504469606)トータル・ペトロケミカルズ・リサーチ・フエリユイ (180)
【出願人】(505252333)サントル・ナシヨナル・ド・ラ・ルシエルシユ・シヤンテイフイク (24)
【Fターム(参考)】