説明

拡大された核燃料チャネル

【課題】個々の構成要素の数を低減させ、かつチャネルのトップに増加された流れ領域を生成する、沸騰水型原子炉のための燃料チャネルを提供する。
【解決手段】沸騰水型原子炉内に燃料ロッドバンドルを収納するための燃料チャネルは、燃料チャネルのトップに増加された流れ領域を生成し、それによって燃料チャネルを通る圧力損失を低減させるために、拡大されたセクション(14)を含む。拡大されたセクションは、チャネルスペーサおよびファスナガードの必要をなくす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沸騰水型原子炉のための燃料チャネルに関し、より詳細には、個々の構成要素の数を低減させ、かつチャネルのトップに増加された流れ領域を生成する拡大された燃料チャネルに関する。
【背景技術】
【0002】
沸騰水型原子炉内の従来の燃料バンドルアセンブリは、下部タイプレートと、上部タイプレートと、上部と下部タイプレートとの間に支持された、密封された燃料ロッドのマトリックスとを含む。燃料ロッドは、水蒸気生成用に必要な臨界反応を支持するために、密封されて収納された核燃料ペレットを含む。1つまたは複数の冷却水ロッドが燃料ロッドのマトリックス内に含まれ、これも上部と下部タイプレートとの間に支持される。燃料チャネルは、タイプレート、燃料ロッドおよび1つまたは複数の冷却水ロッドを囲む。このチャネルは、断面においてほぼ四角であり、金属(好ましくはジルカロイ)でできている。原子炉の動作の間、冷却水は燃料チャネル内部の下部タイプレートを通って入り、直立した燃料ロッドの間を上方に流れる。水および生成された水蒸気は上部タイプレートを通って出る。チャネルは必要な減速冷却材の流れを流路に閉じ込め、タイプレートの間に限定する。
【0003】
代表的な沸騰水型原子炉チャネルは、全長の、丸いコーナ(図1参照)をもつ四角の断面によって形成された一定の内部流れ領域をもつ。一定の厚さの概念の変形が、本願の権利者が所有する米国特許第4,749,543号に開示されている。その特許は、チャネルの上部部分においてチャネルの側面に作用する、より低い差圧に対応する、チャネルの上部部分において低減された平均の厚さをもつチャネル設計を開示している。いくつかの場合には、チャネルの平均の厚さの軸方向の変化は、チャネルの上部部分に隣接した水の体積を増加させて、増加された中性子減速をもたらし、水蒸気のボイド反応度係数を最小限に抑え、より大きな冷温停止マージンをもたらす。
【特許文献1】米国特許第4,749,543号公報
【特許文献2】米国特許第4,507,840号公報
【特許文献3】米国特許第4,604,785号公報
【特許文献4】米国特許第4,767,595号公報
【特許文献5】米国特許第4,889,684号公報
【特許文献6】米国特許第4,913,875号公報
【特許文献7】米国特許第4,999,153号公報
【特許文献8】米国特許第5,078,961号公報
【特許文献9】米国特許第5,091,146号公報
【特許文献10】米国特許第5,361,282号公報
【特許文献11】米国特許第5,436,946号公報
【特許文献12】米国特許第5,787,140号公報
【特許文献13】米国特許第5,809,101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料チャネルは、一般に、チャネルスペーサと、チャネル化された燃料を原子炉の上部ガイドプレートに適切に配置するために追加されたチャネルファスナとを備える一定の断面である。分離したチャネルスペーサおよびファスナガードの必要をなくし、さらに現在の設計に対して、圧力損失を低減するために、追加の流れ領域を生成することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の例示的な実施形態では、沸騰水型原子炉内に燃料ロッドバンドルを収納するための燃料チャネルは、燃料チャネルのトップに増加された流れ領域を生成し、それによって、燃料チャネルを通る圧力損失を低減させるために、拡大されたセクションを含む。拡大されたセクションは、チャネルスペーサおよびファスナガードの必要をなくすことができる。
【0006】
本発明の別の例示的な実施形態では、燃料チャネルは、タイプレートを収納する大きさにつくられた第1の4つの側面の外周をもつボトムセクションと、ボトムセクションと協働可能であり、かつ第2の4つの側面の外周をもつ拡大されたセクションとを含み、第2の外周の少なくとも1つの側面の長さが、第1の外周の対応する少なくとも1つの側面の長さより大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図2に関して、燃料チャネル10は、一般に、沸騰水型原子炉のための燃料バンドルアセンブリを収納する。燃料バンドルアセンブリは、複数の燃料ロッドと、1対の冷却水ロッドと、燃料ロッドおよび冷却水ロッドを囲むチャネル10とを含む。いくつかの設計では、ハンドルまたは図示されたようなリフティングバーアセンブリ20を支持して、従来の上部タイプレートは除去される。ハンドルアセンブリ20は、燃料バンドルの挿入および取り出しを容易にする。
【0008】
図1に示されるように、従来の燃料チャネル1は、一般に、チャネルスペーサ2と、原子炉の上部ガイドプレートに、燃料バンドルを位置決めするためのチャネルファスナ3とを備える一定の断面を含む。燃料チャネルに関連する個々の構成要素の数を低減させ、かつ燃料チャネルのトップに増加された流れ領域を生成しようとして、本明細書で説明された燃料チャネル10は、チャネルの少なくとも2つの側面で、ほぼ、既存のチャネルスペーサおよびファスナガードの厚さだけ外向きに拡大する。すなわち、燃料チャネル10は、タイプレートを収納する大きさにつくられた第1の4つの側面の外周をもつボトムセクション12を含む。拡大されたセクション14は、ボトムセクション12と協働可能であり、かつ第2の4つの側面の外周をもち、第2の外周の少なくとも2つの側面の長さが、第1の外周の対応する少なくとも2つの側面の長さより大きい。例えば、図2の拡大された側面16を参照されたい。
【0009】
拡大されたセクション14は、好ましくは、有効燃料のトップの上方の隆起で始まる。拡大されたセクション14を上部タイプレートのグリッドの下方にもつことによって、追加の流れ領域が生成され、それによって、現在の設計と比べて、圧力損失が低減される。さらに、拡大されたセクション14は、分離したスペーサおよびファスナガードの必要をなくす。
【0010】
チャネル10の2つの側面だけの拡大は、既存の発電所と適合する設計を可能にする。図4に示される別の実施形態では、チャネルは、4つすべての側面で拡大される。この設計は、将来の施設の設計に適している。チャネル10のすべての側面の拡大は、第1実施形態を上回る追加の圧力損失性能の改善を提供する。
【0011】
拡大されたセクション14への移行の正確な形状および位置を、製品開発の間の分析および試験を通して決めることができる。移行は、急激な階段状変化、単純半径または非常に漸進的な角度変化でよい。隆起変化の位置は、制御ブレードが、最大挿入時に配置されるところの上方の任意の点でよい。あるいは、制御ブレードの上方のより大きいものと共に、小さい拡大を、制御ブレードゾーンの下方に形成することができ、または、3つまたは4つの側面で拡大する場合には、非制御ブレードの側面は、制御ブレードの高さの下方で拡大することができる。
【0012】
さらに別の実施形態では、拡大されたセクション14は、1つまたは複数のフィンガスプリング24を画定する複数のスロット22をその中に含むことができる。フィンガスプリング24は、従来の設計におけるチャネルファスナスプリングと同じ目的を果たす。成形をより容易にするために、またバンドルの流れのためにより大きい出口領域を生成することによって、圧力損失をさらに低減させるために、追加の、または別のスロットをコーナに提供することもできる。
【0013】
周辺的な利点として、本明細書で説明された拡大されたチャネルは、トップカバーフィルタ用の以前に提案された設計を実現することも可能にする。トップカバーフィルタの提案は、破片がトップから燃料バンドルに入ることを防止する本質的に多孔質のプレートであった。しかし、トップフィルタについての懸念は、追加の圧力損失であった。本明細書で説明された拡大されたチャネル設計は、トップフィルタの使用を可能にするために十分な圧力損失のマージンを生成することができる。
【0014】
本明細書で説明された拡大された燃料チャネルは、いくつかの構成要素、ならびに関連する製造、検査およびこれらの構成要素に関連する購入の必要をなくし、それによって費用の節約をもたらす。さらに、拡大されたチャネルは、燃料バンドルにわたる圧力損失を低減させ、流れおよびバンドルの性能を増加させる。
【0015】
本発明は、現在最も実用的で好ましい実施形態であると考えられるものに関連して説明されてきたが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではなく、反対に、様々な修正形態および添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に含まれる等価な装置を含むことを意図するものであると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来の燃料チャネルの斜視図である。
【図2】本明細書で説明された拡大された燃料チャネル設計の斜視図である。
【図3】一体型のチャネルファスナスプリングを備える拡大されたチャネルの別の実施形態である。
【図4】さらに別の拡大された燃料チャネル設計である。
【符号の説明】
【0017】
10 燃料チャネル
20 ハンドルアセンブリ
2 チャネルスペーサ
3 チャネルファスナ
12 ボトムセクション
14 拡大されたセクション
16 拡大された側面
22 スロット
24 フィンガスプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
沸騰水型原子炉内に燃料ロッドバンドルを収納するための燃料チャネルであって、
タイプレートを収納する大きさにつくられた第1の4つの側面の外周をもつボトムセクション(12)と、
前記ボトムセクションと協働可能であり、かつ第2の4つの側面の外周をもつ少なくとも1つの拡大されたセクション(14)とを含み、
前記第2の外周の少なくとも1つの側面の長さが、前記第1の外周の対応する少なくとも1つの側面の長さより大きい燃料チャネル。
【請求項2】
前記ボトムセクション(12)と前記拡大されたセクション(14)の間の移行が、階段状変化、単純半径または漸進的角度変化のうちの1つである請求項1記載の燃料チャネル。
【請求項3】
前記燃料チャネルがチャネルスペーサまたはファスナガードをもたない請求項1記載の燃料チャネル。
【請求項4】
前記拡大されたセクション(14)が、上部タイプレートマトリックスの下方から延びる前記燃料チャネルのトップセクションを含み、それによって、追加の流れ領域を生成し、かつ圧力損失を低減させる請求項1記載の燃料チャネル。
【請求項5】
前記拡大されたセクション(14)のすべての4つの側面(16)の長さが、前記ボトムセクション(12)の前記4つの側面の長さより大きい請求項1記載の燃料チャネル。
【請求項6】
前記拡大されたセクション(14)が、前記燃料チャネルのトップセクションを含み、かつ前記拡大されたセクションが、複数のスロット(22)をその中に含む請求項1記載の燃料チャネル。
【請求項7】
前記スロット(22)が、少なくとも1つのフィンガスプリング(24)を画定する請求項6記載の燃料チャネル。
【請求項8】
沸騰水型原子炉内に燃料ロッドバンドルを収納する燃料チャネルであって、前記燃料チャネルのトップに増加された流れ領域を生成し、それによって前記燃料チャネルを通る圧力損失を低減させるために、拡大されたセクション(14)を含む燃料チャネル。
【請求項9】
前記拡大されたセクション(14)への移行が、階段状変化、単純半径または漸進的角度変化のうちの1つである請求項8記載の燃料チャネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−102126(P2008−102126A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−234833(P2007−234833)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(301068310)グローバル・ニュークリア・フュエル・アメリカズ・エルエルシー (56)