説明

拡散バリアを備える電極を含む電気化学センサ

電気化学気体センサは、ハウジングと、第1の気体輸送媒体の区域、およびその第1の気体輸送媒体の区域上の第1の触媒の層を有する、ハウジング内部の第1の作用電極と、第2の気体輸送媒体の区域、およびその第2の気体輸送媒体の区域上の第2の触媒の層を有する、ハウジング内部の少なくとも第2の作用電極とを含む。第1の気体輸送媒体の区域および第2の気体輸送媒体の区域のうちの少なくとも一方は、第1の気体輸送媒体の区域または第2の気体輸送媒体の区域のうちの少なくとも一方を通過して、第1の気体輸送媒体の区域および第2の気体輸送媒体の区域のうちの少なくとも一方の他方に向かう、気体の拡散を制限するように、その構造が不可逆的に改変されている、少なくとも1つの領域を含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本明細書で使用される用語は、本文書内に別段の指定がない限り、いかなる特定の狭い解釈にも限定されることを意図しない。本明細書に記載される参照は、本明細書もしくは背景技術で説明されるデバイス、システム、および/または方法の理解を容易にする場合がある。本明細書に引用されるいずれの参照の開示も、参照により組み込まれる。
【0002】
電気化学気体センサ内では、測定される気体は、典型的には、大気雰囲気から気体多孔性膜または気体透過性膜を通過してセンサハウジング内へ入り、作用電極(検出電極と呼ばれる場合もある)として既知の、第1の電極に至り、そこでこの第1の電極で化学反応が発生する。相補的化学反応が、対電極(または補助電極)として既知の、第2の電極で発生する。電気化学センサは、作用電極での、分析気体(すなわち、測定される気体)の酸化または還元から直接生じる電流の発生を介して、分析信号を生成する。電気化学気体センサの包括的な議論はまた、Cao,ZおよびStetter,JRの「The Properties and Applications of Amperometric Gas Sensors」(Electroanalysis、4(3)、253(1992))においても提供され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
電気化学センサとして有用であるためには、作用電極と対電極との組み合わせは、(1)分析気体の濃度に関連する電気信号であり、かつ(2)対象の全範囲にわたる、分析気体の濃度レベル間の区別に適切な、信号対ノイズ比を提供するように、十分に強力な電気信号を発生させることが可能でなければならない。換言すれば、作用電極と対電極との間の電流フローは、対象の濃度範囲にわたり、分析気体の濃度に対して、測定可能に比例していなければならない。
【0004】
作用電極および対電極に加えて、電気化学センサは、一般に参照電極と称される、第3の電極を含む場合が多い。参照電極は、作用電極を既知の電圧または電位に維持するために使用される。この参照電極は、電解質中で、物理的および化学的に安定であるべきである。
【0005】
作用電極と対電極との間の電気的接続は、電解質を通じて維持される。この電解質の機能としては、(1)効率的にイオン電流を搬送すること、(2)分析気体を可溶化すること、(3)対電極の反応および作用電極の反応の双方を支援すること、および(4)参照電極との、安定した基準電位を形成することが挙げられる。電解質に関する基準としては、(1)電気化学的不活性、(2)イオン伝導性、(3)化学的不活性、(4)温度安定性、(5)低コスト、(6)低毒性、(7)低燃焼性、および(8)適切な粘度を挙げることができる。
【0006】
一般的には、電気化学電池の電極には、酸化または還元の反応が発生する表面が提供され、この反応により、電解質溶液のイオン伝導が電極の電子伝導と結び付き、電流のための完全な回路をもたらすメカニズムが提供される。
【0007】
電気化学電池の電池反応から生じる測定可能な電流は、電極で発生する反応の程度に正比例する。それゆえ、高速の反応速度が電気化学電池内で維持されることが好ましい。この理由のため、電気化学電池の対電極および/または作用電極は、一般に、反応速度を支援するために、その表面上に適切な電解触媒を含む。
【0008】
2つ以上の気体分析物が検知される電気化学気体センサは、一般的に、2つ以上の作用電極を含む。それらの電極は、例えば、互いに極めて近接して(例えば、センサ内部で、隣接して同一平面上にあるように)配置し、センサの入口からそれぞれの電極まで、同様の拡散経路を提供することができる。多くの場合、2つ以上の分析気体を検知するセンサ(2つ以上の作用電極を含む)は、1つの分析気体の交差感受性を、別の分析気体を検出するように設計された作用電極のうちの少なくとも1つで被る可能性がある。この交差感受性の、考えられる1つの原因は、拡散膜および/または電解質を通過する、隣接する電極への側方拡散である。
【0009】
2つ以上の作用電極(または他の電極)間の交差感受性に対処するために、幾つかの方策が使用されている。1つの方策は、各電極の触媒間の、共通または共有の拡散膜内に、スロットを作り出すことによって、電極間の拡散に対するバリアを作り出すことである。このスロットは、センサが電解質で充填されると、液体電解質で充填される。類似的な手法は、電極を2つの別個の拡散膜上に配置し、それらの間に、同様に電解質で充填されて、拡散バリアを作り出すことができる隙間を提供することである。この電解質は、気体拡散を低減するが、完全に排除することはない。その点に関しては、気体は、電極と連結して使用される気体拡散膜を通過するよりは低速ではあるものの、電解質中に溶解して、その電解質を通過して移行または拡散することが周知である。更には、多くの場合、センサのサイズを最小限に抑えることが望ましいため、別個の拡散膜の間、または共通の拡散膜上の別個の触媒層の間で維持することができる距離は制限される。別の手法は、電極間の領域内の拡散膜を圧縮して、「より透過性の低い部位」を作り出すことである。そのような圧縮は、例えば、センサを組み立てる際に機械的にその膜を圧縮する、棒状の構造物または当接部材(例えば、センサの蓋内に形成される)を使用して達成することができる。側方拡散は、そのような圧縮によって低減されるが、完全には排除されない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、電気化学気体センサは、ハウジングと、第1の気体輸送媒体の区域、およびその第1の気体拡散膜の区域上の第1の触媒の層を有する、ハウジング内部の第1の作用電極と、第2の気体輸送媒体の区域、およびその第2の気体拡散膜の区域上の第2の触媒の層を有する、ハウジング内部の少なくとも第2の作用電極とを含む。第1の気体輸送媒体の区域および第2の気体拡散膜の区域のうちの少なくとも一方は、第1の気体輸送媒体の区域または第2の気体輸送媒体の区域のうちの少なくとも一方を通過して、第1の気体輸送媒体の区域および第2の気体輸送媒体の区域のうちの少なくとも一方の他方に向かう、気体の輸送もしくは移送を制限するように、その構造が不可逆的に改変されている、少なくとも1つの領域を含む。
【0011】
第1の気体輸送媒体の区域は、例えば、第1の膜の区域とすることができ、第2の気体輸送媒体の区域は、例えば、第2の膜の区域とすることができる。数多くの実施形態では、第1の気体輸送媒体の区域は、多孔性の気体拡散膜であり、第2の気体輸送媒体の区域は、多孔性の気体拡散膜である。第1の膜の区域は、例えば、気体が通過して拡散することができる多孔性ポリマー材料から形成することができ、第2の膜の区域は、例えば、気体が通過して拡散することができる多孔性ポリマー材料から形成することができる。センサの電解質は、例えば、構造が不可逆的に改変されている最少の1つの領域から、実質的に、または完全に排除することができる。
【0012】
第1の気体輸送媒体の区域および第2の気体輸送媒体の区域のそれぞれは、例えば、第1の気体輸送媒体の区域および第2の気体輸送媒体の区域の他方に向かって、気体が通過して輸送されることを制限するための、熱封止の領域を含むことができる。
【0013】
数多くの実施形態では、第1の気体輸送媒体の区域は、第1の触媒の層から、第1の気体輸送媒体の区域の周縁部に向かって配置され、第1の触媒の層を取り囲む、熱封止の領域を含む。
【0014】
第2の気体輸送媒体の区域もまた、第2の触媒の層から、第2の気体輸送媒体の区域の周縁部に向かって配置され、第2の触媒の層を取り囲む、熱封止の領域を含むことができる。
【0015】
本明細書で使用する場合、用語「熱封止」とは、気体輸送媒体(例えば、気体透過性膜または気体拡散膜)の領域に十分な熱を適用し、気体の輸送または移送(例えば、気体透過および/または気体拡散)が、その熱封止される領域を通じて制限されるか、または防止されるようにすることを指す。特定の実施形態では、熱封止の作用はまた、表面に気体輸送媒体を取り付けるために使用することもできるが、そのような取り付けは、熱封止の領域を通過する気体の輸送または気体の移送を制限または防止するための熱封止中に、必ずしも行なう必要はない。
【0016】
その点に関しては、数多くの実施形態では、第1の気体輸送媒体の区域の熱封止の領域は、例えば、第1の気体輸送媒体の区域を、電気化学気体センサ内部の表面に取り付けることができる。同様に、第2の気体輸送媒体の区域の熱封止の領域は、第2の気体輸送媒体の区域を、電気化学気体センサ内部の表面に取り付けることができる。幾つかの実施形態では、その表面は、気体センサのハウジングの一部分である。第1の作用電極の第1の気体輸送媒体の区域は、ハウジング内に形成された第1の気体入口に隣接し、かつ覆うように配置することができ、第2の作用電極の第2の気体輸送媒体の区域は、ハウジング内に形成された第2の気体入口に隣接し、かつ覆うように配置することができる。
【0017】
数多くの実施形態では、第1の気体輸送媒体の区域および第2の気体輸送媒体の区域は、統合式の気体輸送媒体(例えば、上述のような気体輸送膜)を形成する。第1の気体輸送媒体の区域および第2の気体輸送媒体の区域は、例えば、別個に形成することができ、少なくとも1つの熱封止の領域が、第1の気体輸送媒体の区域を、第2の気体輸送媒体の区域に取り付けて、統合式の気体輸送媒体を形成することができる。
【0018】
第1の気体輸送媒体の区域および第2の気体輸送媒体の区域は、代替的に一体式の気体輸送媒体の部分とすることができ、少なくとも1つの熱封止の領域を、第1の触媒の層と第2の触媒の層との間の、一体式の気体輸送媒体内に形成することができる。
【0019】
幾つかの実施形態では、電気化学気体センサは、少なくともn個の気体輸送媒体の区域を備える、少なくともn個の作用電極を含み、気体輸送媒体の区域のうちの少なくともn−1個は、そこを気体が通過する輸送(例えば、透過または拡散)を制限する、少なくとも1つの熱封止の領域を含む。
【0020】
統合式の気体輸送媒体は、例えば、その媒体上に少なくともn個の触媒の層、および少なくともn−1個の熱封止の領域を含むことができる。
【0021】
別の態様では、電極アセンブリは、統合式の気体輸送媒体と、統合式の気体輸送媒体上に堆積され、第1の作用電極を形成する、第1の触媒の層と、統合式の気体輸送媒体上に堆積され、少なくとも第2の作用電極を形成する、少なくとも第2の触媒の層とを含む。第1の触媒の層は、第2の触媒の層から離間している。この電極アセンブリは、統合式の気体輸送媒体の構造が不可逆的に改変されており、少なくとも1つの領域を更に含み、この少なくとも1つの領域を横断する気体輸送を制限する。上述のように、統合式の気体輸送媒体は、統合式の膜(例えば、気体透過性膜または気体多孔性膜)を含む。数多くの実施形態では、統合式の気体輸送媒体は、気体が通過して拡散することができる多孔性膜である。統合式の気体輸送媒体は、例えば、膜などの材料から一体式に形成することができ、この膜は、例えば、多孔性膜とすることができる。
【0022】
更なる態様では、第1の電極の第1の膜の区域および第2の電極の第2の膜の区域のうちの少なくとも一方を通過する気体輸送を制限する方法は、第1の膜の区域および第2の膜の区域のうちの少なくとも一方内に、少なくとも1つの熱封止の領域を形成することを含む。
【0023】
本明細書で説明されるデバイス、システム、および/または方法は、それらの特性ならびに付随する利点と共に、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を考慮して、最良に認識され、理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】電気化学センサの、概略的な断面図である。
【図1B】図1Aのセンサの、ハウジング頂部のキャップ、すなわち蓋の上面図である。
【図1C】2つの作用電極が取り付けられた、図1Aのセンサの、センサハウジング頂部のキャップ、すなわち蓋の底面図である。
【図2A】複数の作用電極を含むセンサの、斜視分解組立図、すなわち解体された図である。
【図2B】図2Aのセンサのセンサハウジングの蓋の斜視図である。
【図2C】2つの作用電極が取り付けのために配列された、図2Aのセンサのセンサハウジングの蓋の斜視図である。
【図2D】2つの作用電極が取り付けられた、図2Aのセンサのセンサハウジングの蓋の斜視図である。
【図3A】別個の気体拡散膜の区域上に形成された、2つの電極である。
【図3B】2つの電極の触媒間の拡散膜を直接通過する拡散を防止する、熱封止の領域を介した、図3Aの2つの電極の連結を示す図である。
【図3C】2つの触媒間の拡散膜を直接通過する拡散、および拡散膜の端部を通過して触媒内に入る拡散を防止する、熱封止の領域と、熱封止の領域により、電極の触媒層を十分に、もしくは完全に、包囲、すなわち取り囲むこととを介した、図3Aの2つの電極の連結を示す図である。
【図4A】複数の電極をその上に形成するための、単一の気体透過性拡散膜を示す図である。
【図4B】図4Aの単一の一体性気体拡散膜上の間隙によって隔てられた2つの触媒層を含み、熱封止の領域が2つの触媒層間の間隙内に配置されて、触媒層間の拡散を防止する、電極システムまたはアセンブリを示す図である。
【図4C】気体拡散膜の周縁部が熱封止された、図4Bの電極システムを示す図である。
【図5】単一の一体性気体拡散膜上の間隙によって隔てられた4つの触媒層を含み、熱封止の領域が、隣接する触媒層間の間隙内に配置されて、電極の触媒層間の拡散を防止する、電極アセンブリの構成を示す図である。
【図6】硫化水素および一酸化炭素の検知に関する、図2A〜図2Dに示すようなセンサに対する実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかにそうでないことが指示されない限り、複数の言及を包含する。それゆえ、例えば、「(1つの)熱封止の領域」への言及は、複数個のそのような熱封止の領域、および当業者には既知のその均等物などを含み、「(その)熱封止の領域」への言及は、1つ以上のそのような熱封止の領域、および当業者には既知のその均等物などへの言及である。
【0026】
数多くの実施形態では、センサ電極は、気体輸送または気体移送の媒体または部材(すなわち、気体が通過して輸送可能、移送可能、または移動可能な、媒体または部材)上に堆積された、触媒の領域または層を含む。そのような輸送を促進することができる駆動力としては、自由エネルギー、圧力、電荷、温度、および濃度が挙げられる。数多くの実施形態では、気体輸送媒体は、気体が通過して拡散することができる気体輸送膜(気体拡散膜と称される場合もある)、または気体が通過して透過することができる膜(気体透過性膜と称される場合もある)である。本明細書で使用する場合、用語「膜」とは、例えば可撓性とすることができる、材料の比較的薄い層を指す。数多くの実施形態では、そのような膜は、例えば、0.5〜20ミルの範囲の平均厚さを有することができる。他の実施形態では、より薄い、またはより厚い膜もしくは気体輸送媒体の層を使用することができる。
【0027】
幾つかの実施形態では、センサ電極システムは、上述のような複数の電極を含む。機械的変形以外の1つ以上のプロセス(加熱/熱封止、化学反応、および/または材料堆積など)を使用して、気体輸送媒体の構造または形態を途絶させる(例えば、崩壊させる)ことにより、その途絶領域内に、ある部位、すなわち気体輸送バリアを作り出す。例えば、電極の少なくとも1つの気体輸送媒体(例えば、気体拡散膜)の熱封止を使用して、多孔構造を崩壊させ、気体が通過して輸送されるか、または移動する(例えば、拡散および/または透過する)ことができない、1つ以上の領域、すなわち部位を作り出すことができる。気体が通過して輸送されることができないこの領域(熱封止領域)は、別個の電極を画定する異なる触媒層の領域間に形成され、1つの電極の触媒層から別の電極の触媒層への気体の輸送を、制限または防止する。
【0028】
熱封止に加えて、数多くの他の方法を使用して、気体輸送が制限または防止される領域を作り出すことができる。例えば、多孔性媒体または多孔性膜の領域の孔内部に、金属堆積を実行して、そこを通過する気体輸送を防止することができる。そのような金属堆積は、例えば、媒体内部の溶液からの金属イオンの還元によって実行され、孔を「充填」し、気体輸送バリアを作り出すことができる。更には、孔内部にある液体溶液からの固体の析出を実行して、孔を「充填」し、気体輸送バリアを作り出すことができる。不活性材料の粒子(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、すなわちPTFEの粉末)を、例えば、膜の反対側上で真空吸引することによって、孔内に浸潤させることができる。数多くの他の実施形態では、孔は、ポリマー材料を使用して、充填または閉塞させることができる。例えば、液状エポキシを孔に浸透させて、引き続き硬化させることにより、そのエポキシ材料を固めて輸送バリアを作り出すことができる。硬化は、例えば、熱および/または紫外線放射を使用して加速することができる。あるいは、液相に溶融しているポリマーを孔に浸透させて、引き続き冷却させることにより、輸送バリアを作り出すことができる。更には、液状モノマーを孔に浸透させて、引き続き孔内部で重合させることにより、輸送バリアを作り出すことができる。
【0029】
上述のように、数多くの現在入手可能なセンサにおける、気体拡散膜内の電極間に、拡散が制限された領域を作り出すために使用されている、膜の機械的圧縮とは異なり、本発明の気体輸送バリア、すなわち気体輸送が制限された領域は、製造時に作り出され、その気体輸送バリアを維持するための圧力または他の作用の、継続的な適用を必要としない。膜の機械的圧縮の場合には、気体輸送は、機械的圧縮が除去された時点で、圧縮の領域を通過して、増大または回復する可能性がある。反対に、この気体輸送バリアは、センサの通常使用の条件下では不可逆的な、媒体内または膜内の、非弾性の、実質的に恒久的および/または恒久的な、物理的ならびに/あるいは化学的な変化(例えば、組成、形態、および/または多孔構造における変化)を介して形成される。本明細書のセンサの通常使用中に、本明細書の媒体または膜内の、気体輸送バリア、すなわち気体輸送が制限された領域を維持するためには、継続作用(例えば、機械的圧縮の維持など)を必要としない。
【0030】
更には、膜の1つ以上の区域が除去されて、液体電解質がその空隙を充填することが可能な、数多くの現在入手可能なセンサとは異なり、本明細書の気体輸送バリアは、液体電解質を、そこから実質的に、または完全に排除する。上述のように、電解質の存在は、気体の拡散をある程度低減することができるが、気体は、電解質中に溶解して、その電解質を通過して移行または拡散するため、気体の拡散を排除することはできない。膜の区域の除去とは異なり、本明細書の気体輸送バリアの場合には、気体輸送バリア、すなわち拡散が制限された領域は、媒体または膜との統合もしくは媒体または膜への取り付けが維持されるが、通過する気体輸送を、実質的に、または完全に防止するように、不可逆的に変更される。膜の区域が除去されて、電解質が空隙を充填し、部分的バリアとして機能することが可能な、現在入手可能なセンサの場合には、その部分的バリア自体は、恒久的ではない場合がある。例えば、低い相対湿度すなわちRHの条件では、電解質の容積が減少して、電解質は、灯心材料内部に優先的に分散し、膜の空隙区域内部には分散しない。そのような場合には、部分的バリアは事実上除去されており、センサは、環境条件に依存して、交差感受性を呈する可能性がある。そのような現在入手可能なセンサとは異なり、この不可逆的気体輸送バリアは、環境の変化とは無関係である。
【0031】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの電極は、少なくとも1つの他の電極に隣接して配置される。それらの電極の個別の気体輸送バリアは、互いに接触することができ、またはそれらを間隙によって隔てることもできる。各電極は、例えば、互いに隣接し、かつ互いに概して同一平面内に配置することができる。例えば、各電極を、共通の概して平面的な表面に取り付ける(例えば、熱封止によって)ことができる。しかしながら、電極は平面的である必要はない。2つの電極を、例えば、湾曲表面に取り付けることができる。
【0032】
各電極は、電極の触媒層から離間して、電極の気体輸送媒体の周縁部に向かう、熱封止(および/または本明細書で説明されるような、他の気体移送もしくは気体輸送の途絶)の部位または領域を含み、この熱封止の部位または領域を通じて、他の電極の触媒層への気体の輸送を制限または防止することができる。特定の電極の触媒層を、例えば、熱封止の領域(例えば、気体輸送媒体の周縁部の周りの)によって完全に包囲して、気体輸送媒体の端部から出て、別の電極の触媒層に向かう気体の輸送を、完全に防止することができる。
【0033】
数多くの実施形態では、電極アセンブリは、統合式の媒体または部材(例えば、統合式または単一の膜)として形成され、2つ以上の電極を含む。本明細書で使用する場合、用語「統合式」とは、ユニットとして形成される媒体または部材(例えば、膜)を指す。統合式の媒体は、個別の媒体区域から形成することができ、それらの媒体区域は、例えば、ともに熱封止されて、各媒体区域上の触媒層間に熱封止の領域を提供する。1つ以上の触媒層または触媒の領域を、例えば熱封止の領域によって包囲し、気体がそこを出入りして(媒体を通過して)輸送されることが不可能な、熱封止の領域内部の隔離領域を作り出すことができる。そのような隔離領域では、気体輸送(例えば、拡散および/または透過)は、隔離領域内部の媒体を通過して生じる可能性があるが、その領域の端部から出て隣接領域へと、側方には生じる可能性はない。統合式の媒体または部材はまた、単一の、一体式の媒体または部材(例えば、その媒体または部材内に、1つ以上の、例えば熱封止の領域が形成され、その中に隔離区域または隔離領域が画定される、膜)からも形成することができる。
【0034】
以下に説明する、電気化学センサの数多くの代表的実施形態では、気体拡散膜をセンサ電極の形成に使用し、熱封止を使用して、気体輸送/拡散バリアを形成した。当業者には明らかなように、他の気体輸送媒体を、そのような電極の形成に使用することができ、加熱/熱封止、および/または他の方法で、これを横断する気体輸送を、実質的に制限または防止する隔離領域を作り出すことができる。
【0035】
図1Aは、センサ10内への分析気体の進入のための第1気体入口30aおよび第2気体入口30bを有するハウジング20を含む、電気化学センサ10の、概略図を示す。電解質含浸灯心材料40a、40b、および40cは、センサ10内部で、作用電極50aおよび作用電極50bを、参照電極70および対電極80から隔て、かつ/またはその中に吸収されている電解質を介して、それらの電極間のイオン伝導を提供する。当該分野において既知のような電子回路機構90は、例えば、作用電極50aおよび作用電極50bと、参照電極70との間の所望の電位を維持し、センサ10からの出力信号を処理するために提供される。
【0036】
一実施形態では、センサ10は、センサハウジング20内部に、概して同一平面上であるように配置される、2つの作用電極50aおよび作用電極50bを含む。図示の実施形態では、第1作用電極50aは、第1拡散膜52a上に第1の触媒の層54aを堆積させることによって(例えば、センサ技術分野において既知の、触媒堆積技術を使用して)形成される。第2作用電極50bは、第2拡散膜52b上に第2の触媒の層54bを堆積させることによって(例えば、センサ技術分野において既知の、触媒堆積技術を使用して)形成される。作用電極50aおよび作用電極50bのそれぞれは、ハウジング20の頂部のキャップ、すなわち蓋22の内側表面に取り付けることができる(例えば、熱封止を介して)。図1Bおよび図1Cの実施形態では、第1拡散膜52aおよび第2拡散膜52bのそれぞれの、触媒層54aおよび触媒層54bは、それぞれ、第1の熱封止の領域60aおよび第2の熱封止の領域60bを介して、第1触媒層54aおよび第2触媒層54bの他方から、拡散的に隔てられている。第1の熱封止の領域60aおよび第2の熱封止の領域60bはまた、第1作用電極50aおよび第2作用電極50bをハウジングの蓋22に取り付ける働きもする。
【0037】
熱封止中の膜の加熱が、膜52aおよび膜52bの多孔構造を崩壊し、これにより、熱封止の領域60aおよび熱封止の領域60b内に、非多孔性または非透過性の領域、すなわち拡散バリアが作り出される。幾つかの研究では、そのような崩壊は、熱封止プロセス後の、白から半透明への、膜の外観の変化によって認められた。機械的圧縮などの、気体輸送(例えば、拡散バリア)を作り出すための以前の方法論とは異なり、熱封止は、熱封止の領域を横断して気体輸送/拡散バリアを通過する、側方の気体輸送/拡散を、実質的に(または、更に完全にさえ)、かつ不可逆的に防止することができる。この結果は、例えば、拡散膜の任意の領域を圧縮するために必要とされる、複雑な当接部材を使用することなく、達成される。
【0038】
第1作用電極50aは、第1気体入口30aに隣接し、かつこれを覆うように、蓋22に取り付けられる。第2作用電極50bは、第2気体入口30bに隣接し、かつこれを覆うように、蓋22に取り付けられる。
【0039】
図2Aは、設計および動作が、センサ10に極めて類似する、センサ110の実施形態を示す。センサ110の類似要素は、センサ110の要素の参照番号に対して、100の追加を伴って、センサ110の対応する要素と同様に番号が付けられている。図2Aに示すように、参照電極170、対電極180、ならびに電解質吸収性灯心140a、140b、および140cは、支持部材184を介して、ハウジング120内部に支持される。プリント回路基板192が、ハウジング120に連結され、センサ110の電子回路機構の一部分を形成することができる。
【0040】
例えば、図2A〜図2Dに示すように、ハウジングの蓋122は、第1気体入口130aおよび第2気体入口130bを含む。第1入口130aは、例えば、一酸化炭素などの分析気体に関する第1電極150aと接続して使用するためのものとすることができる。第1電極150aの触媒層154a(例えば、プラチナを含む可能性がある)は、例えば、フィルター158によって、例えば、硫化水素などの第2の分析気体で汚染されることから防護することができる(図2Aを参照)。第2入口130bは、別の分析気体(例えば、硫化水素)と接続して使用するためのものである。例えば、硫化水素の場合には、例えばイリジウムを含む第2の触媒層を選択すれば、フィルターを必要としない。しかしながら、フィルターは、センサの各気体入口に接続して使用することができる。図2Bおよび図2Cに示すように、支持部材124を提供して、第2電極150bを、第2入口130bに隣接させて支持することができる。
【0041】
図示の実施形態では、ハウジングの蓋122の内側表面は、その中に形成された台座126を含み、この台座126は、第1電極150aおよび第2電極150bを、隣接して着座させて配置するように寸法決めされる。図2Dに示すように、第1拡散膜152aおよび第2拡散膜152bの周縁部が熱封止され、それぞれ、熱封止の領域160aおよび熱封止の領域160b(図2Dの破線)が作り出される。上述のように、熱封止の領域160aおよび熱封止の領域160bは、それぞれ、第1触媒層154aおよび第2触媒層154bを完全に取り囲む。
【0042】
第1気体拡散膜152aおよび第2気体拡散膜152bは、それぞれ、第1気体入口130aおよび第2気体入口130bからの電解質の漏洩を最小限に抑えるか、もしくは防止するように、更に働く。水性電解質の場合には、それら気体拡散膜の材料(同一であっても、または異なっていてもよい)は、通過する水性電解質のいかなる流れも最小限に抑えるか、または排除するために、概して疎水性の性質とすることができる。非水性(例えば、有機)電解質の場合には、気体拡散膜の材料は、通過する非水性電解質のいかなる流れも最小限に抑えるか、または排除するために、概して疎油性の性質とすることができる。材料はまた、疎水性かつ疎油性とすることもできる。そのような材料は、「複式疎性(multiphobic)」と称される。材料はまた、通過する液体電解質の流れまたは漏洩を最小限に抑えるか、または排除するために、化学的に、もしくは他の方法で処理することもできる。
【0043】
一般的には、用語「疎水性」とは、本明細書で使用する場合、電気化学センサ内部で経験される圧力で、水による湿潤に対して、実質的に、または完全に耐性である(それゆえ、延長部材の場合では、通過する水性電解質の流れが制限される)材料を指す。一般的には、用語「疎油性」とは、本明細書で使用する場合、電気化学センサ内部で経験される圧力で、非水性電解質系などの、低表面張力の液体による湿潤に対して、実質的に、または完全に耐性である(それゆえ、延長部材の場合では、通過する非水性電解質の流れが制限される)材料を指す。本明細書で使用する場合、用語「低表面張力の液体」とは、一般に、水の表面張力よりも小さい表面張力を有する液体を指す。電極内での使用のための、疎水性、疎油性、および複式疎性の材料は、例えば、米国特許第5,944,969号に論じられている。
【0044】
本明細書での使用に関する気体拡散膜は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(例えば、GORETEX(登録商標))、ポリエチレン、またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのような、しかしこれらに限定されない、ポリマー材料から形成することができる。そのようなポリマー材料は、例えば、それらを通過する気体拡散をもたらす、多孔構造をその内部に含むことができる。
【0045】
図3A〜図3Cの実施形態では、第1作用電極250aは、第1拡散膜252a上に第1の触媒の層254aを堆積させることによって形成される。第2作用電極250bは、第2拡散膜252b上に第2の触媒の層254bを堆積させることによって形成される。図3A〜図3Cの実施形態では、第1拡散膜252aおよび第2拡散膜252bは、統合式の単一の膜を形成する働きをする熱封止の領域260aを介して、連結され、かつ拡散的に隔てられるか、または隔離される。その点に関しては、拡散膜区域252aおよび拡散膜区域252bは、重ね合わされるか、または互いに隣接して配置され、加熱によって連結、すなわち付着されて、熱封止の領域260aを作り出す。この熱封止プロセスによって、第1触媒層254aと第2触媒層254bとの間の、統合式の拡散膜を直接通過する拡散が防止される。
【0046】
特定のポリテトラフルオロエチレンすなわちPTFE材料などの、特定の材料の場合には、熱封止のみでは、気体拡散膜の2つの区域を付着させて、統合式の膜を形成するために十分ではない場合がある。機械的エッチング、コロナエッチング、および/または化学エッチングなどの、1つ以上の他のプロセスが、十分な付着からのために必要とされる場合がある。特定の他の材料では、熱封止のみを使用して、気体拡散膜の2つの区域を付着させる(ならびに、そこを通過する拡散が制限または防止される領域を作り出す)ことができる。上述もされているように、熱封止はまた、気体拡散膜を表面に取り付けるために使用することもできる。PTFEの場合であっても、その表面が、係留点を作り出すために適切な「不完全性」を含む限りにおいては、熱封止のみを使用して、気体拡散膜を表面に取り付けることができる。
【0047】
図3Bの実施形態では、気体は、第1拡散膜区域252aおよび第2拡散膜区域252bのうちの一方の端部から出て拡散し、電解質に進入し、その電解質を通過して拡散し、次いで、第1拡散膜区域252aおよび第2拡散膜区域252bのうちの他の一方の端部内へと拡散する可能性がある。そのような拡散経路は、統合式の拡散膜(第1拡散膜区域252aおよび第2拡散膜区域252bを含む)の周縁部全体の周囲に、熱封止の領域を提供することによって排除することができる。電解質を通過する気体の拡散は、電極の拡散膜を通過するよりも遙かに遅いため、気体拡散、およびその結果としての交差感受性を適切に制限するために、特定の実施形態では、周縁部を完全に熱封止する必要がない場合がある。
【0048】
図4A〜図4Cに示すように、2つの作用電極および/または他の電極350aおよび電極350bを含む電極アセンブリ(図4Bを参照)は、2つの触媒層354aおよび354bを、拡散膜352上に形成、すなわち堆積させることによって、単一の、一体式の拡散膜352上に形成することができる。触媒層354aおよび354bは、距離、すなわち間隙359によって隔てられる。触媒層354aおよび触媒層354bを堆積させた後、熱封止の領域360aが、触媒層354aと触媒層354bとの間の間隙359内に形成されることにより、領域360a(図示の実施形態の膜352の全幅にわたって延在し、触媒層354aを触媒層354bから隔てる)を横断して拡散膜352を通過する拡散が防止される。図4Cに示すように、熱封止の領域360bもまた、拡散膜352の周縁部の周囲に提供され、膜352の端部からの気体の拡散を防止することができる。
【0049】
当業者には明らかなように、(1)複数個の膜区域を、熱封止を介して連結し、(少なくとも部分的に)拡散的に隔離された電極をその上に含む統合式の膜を作り出すことによって、または(2)単一の、一体式の膜を、熱封止によって区域へと分割し、(少なくとも部分的に)拡散的に隔離された電極を含む統合式の膜を作り出すこと、のいずれかによって、事実上、任意数の電極を、統合式の膜上に形成することができる。例えば、図5は、触媒層454a、454b、454c、および454dをそれぞれ含む、4つの電極450a、450b、450c、および450dを含み、それらの間に、電極450a、450b、450c、および450d間の膜を横断する側方拡散を防止するための、熱封止の領域460a、460b、および460cをともなう、電極アセンブリ400を示す。図5に類似する数多くの実施形態では、例えば、少なくともn−1個の熱封止の領域を間にともなう、n個の電極を形成することができる。図5にも示すように、また上述のように、気体拡散膜352の周縁部を、熱封止の領域462を介して、拡散的に封止することができる。
【0050】
図2A〜図2Dで説明されるようなセンサを、一酸化炭素(CO)および硫化水素(H2S)の検知/測定に関する幾つかの研究で使用した。電極を、図2A〜図2Dに関連して説明されるように、熱封止によって、センサの蓋に封止した。CO作用電極上の触媒はプラチナとし、一方で、H2S作用電極上の触媒はイリジウムとした。入口の流れからH2Sを除去するためのフィルターが、CO電極上に含まれた。H2S検知に関して使用されるイリジウム触媒は、CO酸化には対応しないため、H2Sの気体入口の下には、フィルターを必要としなかった。CO電極に関連する気体入口を通過するH2Sは、フィルター158によって除去されるため、H2Sは、CO電極の気体拡散膜を通過して、H2S電極に向かって拡散するべきではない。更には、全てのCO気体は、CO電極の触媒層で反応するべきであるため、COは、CO電極の気体拡散膜を通過して、H2S電極に向かって拡散するべきではない。H2S電極に関連する気体入口上には、COに関するフィルターが存在しないため、CO気体は、その気体入口を通過して、H2S電極に至ることが可能である。しかしながら、H2S電極の、熱封止された周縁部気体拡散膜が、CO電極に向かってそこを通過するCO気体の拡散を防止する。全てのH2S気体は、H2S電極の触媒層で反応するべきであるため、H2Sは、H2S電極の気体拡散膜を通過して、CO電極に向かって拡散するべきではない。
【0051】
そのようなセンサの典型的な応答の実施例を、図6に示す。COチャネル応答およびH2Sチャネル応答の双方を、図6に示す。研究では、各チャネルの基準値(分析気体の非存在下でのセンサ出力)を2分間測定した。次に、40ppmのH2Sを10分間与え、続いて、空気を5分間与えた。この空気を与えることにより、センサからH2S分析気体が除去され、基準値は、ほぼゼロ電流まで戻った。最後に、100ppmのCOを10分間与え、続いて、空気を5分間適用した。
【0052】
前述の説明および添付の図面は、現時点での実施形態を記載する。当然ながら、様々な修正、追加、および代替の設計は、前述の説明よりも、むしろ以下の特許請求の範囲によって示される本明細書の範囲から逸脱することなく、前述の教示を考慮して、当業者には明らかとなるであろう。特許請求の範囲の、等価の趣旨および範囲に含まれる、全ての変更ならびに変型は、この特許請求の範囲内に包含されるものとする。
【0053】
関連出願の相互参照
本出願は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第61/256,787号の利益を主張する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、その上に第1の触媒の層を備える第1の気体輸送媒体の区域を備える、前記ハウジング内部の第1の作用電極と、その上に第2の触媒の層を備える第2の気体輸送媒体の区域を備える、前記ハウジング内部の少なくとも第2の作用電極とを備える、前記第1の気体輸送媒体の区域および前記第2の気体輸送媒体の区域のうちの少なくとも一方が、前記第1の気体輸送媒体の区域または前記第2の気体輸送媒体の区域のうちの前記少なくとも一方を通過して、前記第1の気体輸送媒体の区域および前記第2の気体輸送媒体の区域のうちの前記少なくとも一方の他方に向かう、気体輸送を制限するように、その構造が不可逆的に改変されている、少なくとも1つの領域を備える、電気化学気体センサ。
【請求項2】
前記第1の気体輸送媒体の区域が、第1の膜の区域であり、前記第2の気体輸送媒体の区域が、第2の膜の区域である、請求項1に記載の電気化学気体センサ。
【請求項3】
前記第1の膜の区域および前記第2の膜の区域のそれぞれが、前記第1の膜の区域および前記第2の膜の区域の他方に向かってそれを通過する気体の輸送を制限するための、熱封止の領域を含む、請求項2に記載の電気化学気体センサ。
【請求項4】
前記第1の膜の区域が、前記第1の触媒の層から、前記第1の膜の区域の周縁部に向かって配置され、かつ前記第1の触媒の層を取り囲む、前記熱封止の領域を備える、請求項2に記載の電気化学気体センサ。
【請求項5】
前記第2の膜の区域が、前記第2の触媒の層から、前記第2の膜の区域の周縁部に向かって配置され、かつ前記第2の触媒の層を取り囲む、熱封止の領域を備える、請求項4に記載の電気化学気体センサ。
【請求項6】
前記第1の膜の区域の前記熱封止の領域が、前記第1の膜の区域を、前記電気化学気体センサ内部の表面に取り付ける、請求項5に記載の電気化学気体センサ。
【請求項7】
前記第2の膜の区域の前記熱封止の領域が、前記第2の膜の区域を、前記電気化学気体センサ内部の表面に取り付ける、請求項6に記載の電気化学気体センサ。
【請求項8】
前記表面が、前記気体センサの前記ハウジングの一部分であり、前記第1の作用電極の前記第1の膜の区域が、前記ハウジング内に形成された第1の気体入口に隣接し、かつこれを覆うように配置され、前記第2の作用電極の前記第2の膜の区域が、前記ハウジング内に形成された第2の気体入口に隣接し、かつこれを覆うように配置される、請求項7に記載の電気化学気体センサ。
【請求項9】
前記第1の膜の区域および前記第2の膜の区域が、統合式の膜を形成する、請求項2に記載の電気化学気体センサ。
【請求項10】
前記第1の膜の区域および前記第2の膜の区域が、別個に形成され、前記少なくとも1つの熱封止の領域が、前記第1の膜の区域を、前記第2の膜の区域に取り付けて、前記統合式の膜を形成する、請求項9に記載の電気化学気体センサ。
【請求項11】
前記第1の膜の区域および前記第2の膜の区域が、一体式の膜の部分であり、前記少なくとも1つの熱封止の領域が、前記第1の触媒の層と前記第2の触媒の層との間の、前記一体式の膜内に形成される、請求項9に記載の電気化学気体センサ。
【請求項12】
少なくともn個の膜の区域を備える少なくともn個の作用電極を備え、前記膜の区域のうちの少なくともn−1個は、それを通過する気体の輸送を制限する、少なくとも1つの熱封止の領域を備える、請求項2に記載の電気化学気体センサ。
【請求項13】
前記統合式の膜が、その上の少なくともn個の触媒の層、および少なくともn−1個の熱封止の領域を備える、請求項9に記載の電気化学気体センサ。
【請求項14】
前記第1の膜の区域が、気体が通過して拡散することができる多孔性ポリマー材料から形成され、前記第2の膜の区域が、気体が通過して拡散することができる多孔性ポリマー材料から形成される、請求項2に記載の電気化学気体センサ。
【請求項15】
前記センサの電解質が、前記最少の1つの領域から排除される、請求項1に記載の電気化学気体センサ。
【請求項16】
統合式の気体輸送媒体と、前記統合式の気体輸送媒体上に堆積され、第1の作用電極を形成する、第1の触媒の層と、前記統合式の気体輸送媒体上に堆積され、少なくとも第2の作用電極を形成する、少なくとも第2の触媒の層とを備え、前記第1の触媒の層が、前記第2の触媒の層から離間している、電極アセンブリであって、前記電極アセンブリは、前記第1の触媒の層と前記第2の触媒の層との間に配置され、かつ前記統合式の気体輸送媒体の構造が不可逆的に改変されている、前記統合式の気体輸送媒体内の少なくとも1つの領域を更に備え、前記少なくとも1つの領域を横断する気体輸送を制限する、電極アセンブリ。
【請求項17】
前記統合式の気体輸送媒体が、統合式の膜を備える、請求項16に記載の電気化学気体センサ。
【請求項18】
前記統合式の膜が、気体が通過して拡散することができる多孔性ポリマー材料から形成される、請求項16に記載の電気化学気体センサ。
【請求項19】
熱封止を使用して、前記統合式の膜の前記構造を改変し、前記少なくとも1つの領域を横断する気体輸送を制限する、請求項17に記載の電気化学気体センサ。
【請求項20】
第1の電極の第1の膜の区域および第2の電極の第2の膜の区域のうちの少なくとも一方を通過する気体輸送を制限する方法であって、前記第1の気体拡散膜区域および前記第2の気体拡散膜区域のうちの少なくとも一方内に、少なくとも1つの熱封止の領域を形成することを含む、方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2013−509589(P2013−509589A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537072(P2012−537072)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/054537
【国際公開番号】WO2011/053721
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(503158947)マイン セイフティ アプライアンセス カンパニー (3)