説明

指先刺激装置

【課題】誰でも簡単に取り扱い可能で、手の指先を確実に刺激することができ、この指先刺激により、体温を健康な人と同程度に安定させる可能性のある指先刺激装置を提供する。
【解決手段】指先刺激装置(1)は、手の指先を配置する指先配置部(3)に、配置された指先の爪の生えぎわ近傍部位に近赤外線を照射する近赤外線発生部材(4)を備える。また、指先刺激装置(1)は、近赤外線発生部材(4)を備えるとともに、手の指先を配置する指先配置部(3)に、配置された指先の腹面側部位に青紫色光を照射する青紫色光発生部材(7)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば手の指先を刺激する指先刺激装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、体内の深部温度が37.2℃のとき、その人の体内では、生命維持活動に欠かせない酵素が最も活発に働くことが知られている。また、我々が知る体温の平均は、直腸・舌下で36.5〜36.7℃、脇の下で36.2〜36.3℃くらいが平熱といわれている。
【0003】
もし、体内の酵素が活発に働けるだけの体温が維持できないと、当然、酵素の活動が鈍ってくる。場合によっては病気になることもある。
【0004】
例えば、低血圧の人は、一日の体温はある程度変動するために、体温は朝が最も低く、その後だんだんと上昇していく。健康な人なら、朝でも体温は少なくとも35℃以上はあるが、低血圧の人は、朝の体温が35℃に達しないほど低いことが多い。
【0005】
このため、低血圧の人は、朝のうちは体温が低いために酵素が十分に働かず、気力が出てこない、という現象になりやすいといわれている。つまり、低血圧の人が朝に弱いといわれるのは、体温が低いために体内の酵素が十分に働かず、そのために朝に弱くなってしまうのである。
【0006】
このような体温の低い状態が、朝だけで終わらずその後も持続すると、癌や膠原病、アレルギー、胃潰瘍などの病気の原因を作ってしまうことにもなりかねない。
【0007】
また逆に、高熱が出ると、脳細胞が壊れるといわれるが、それは、脳細胞が熱自体で壊されるのではなく、熱が高くなると脳が必要とする酸素量が多くなり、その酸素が充分に供給できずに細胞が壊れることになるのである。
【0008】
高熱が出ると身体が緊張状態になるので、血流が悪くなり、そのため脳への血行も悪くなり、脳が酸素不足になる。高熱で小児が痙攣を起こすのは、この酸素不足のためである。
【0009】
また、「冷え性」は、実は身体が冷えるのではなく、冷房などで身体の表面から熱が奪われるとき大切な身体の深部の熱を逃がさないようにするために、身体の表面が冷気にさらされる環境では、自律神経が体表の血管を収縮させ、毛穴も閉じて、放熱をできるだけ避けて身体の深部の体温を維持しようとするために起こるのである。
【0010】
このように、体内の深部温度をつねに37.2℃に維持するために、人間は常に体温調節を行っている。暑い日は汗をかいて気化熱を放出し、体温が必要以上に上がるのを防ぐ。また、寒い日は肌や血管が収縮して、できるだけ熱が外に出るのを防ぐ。この体温のコントロールを行っているのが「自律神経」である。
【0011】
自律神経は、無意識のうちに体内の全ての調整を行っている神経で、交感神経と副交感神経がある。
【0012】
心臓の働きや呼吸が速くなったり、血圧を上げ、血流を増やして、活動のための酸素を全身に送ろうとするのが交感神経の役目である。副交感神経はそれとは逆に、心臓をゆったり動かし、身体全体をリラックスさせる働きをしている。昼間は主に交感神経が働き、夜寝ている時は副交感神経が主に働いていると考えてよい。
【0013】
自律神経は、心臓の働きや血管の拡張・弛緩などを調整して血圧や血流を支配している。あるいは、それぞれの細胞が「働く」か「働かない」かを決めるのが「自律神経」である。自律神経は体中のほぼ「全部」の細胞を支配しており、そのときの行動にふさわしい細胞が働き、そうでない細胞が休むということを決めている。
【0014】
例えば、興奮したときは、心臓や血管の細胞を働かせて身体を活動状態にするよう交感神経が指令を出す。例えば、ものを食べるときは、大切な消化吸収に関係する細胞は働いてその他は休むように副交感神経が指令する。
【0015】
体温を維持するエネルギーは全身を巡っている血液がもたらす。食事をするとそれが消化・分解されて肝臓に運ばれ、エネルギーに変換される。運動でも筋肉で熱が作られる。これらの熱エネルギーは血液によって全身の細胞に分配される。したがって。なんらかの原因で血流が途絶えてしまうと、血液が充分に供給されず、体温が下がってしまう。
【0016】
血液が途絶えてしまう原因のひとつが、交感神経の緊張である。例えば、仕事が忙しく、睡眠不足で一生懸命仕事をしていると、交感神経の緊張状態が続く。但し普通は、交感神経の緊張状態がある程度続いても、その後は副交感神経が作用して、身体は均衡状態に戻る。
【0017】
しかし、無理ばかりしていると、副交感神経が働く余裕が無くなり、身体が緊張しっぱなしになってしまう。交感神経は血管が収縮するように作用するので、このような無理を続ける人は血管が細くなっている。細い血管に流れる血液量は少ないから、全身の血液循環量が減って、体温も下がってしまうのである。
【0018】
一方、いつも副交感神経が優位に働いていればよいかというと、そうともいえない。副交感神経は血管を拡張させるので、血液が大量に血管に入り込むことになる。その大量の血液を動かすには手間がかかるので、この場合もかえって血液の流れが悪くなってしまうのである。
【0019】
自律神経の面から見ると、交感神経と副交感神経どちらが極度に優位になっても、身体のバランスが破綻して、低体温になり、さまざまな病気を招くといえる。
【0020】
また、血液量などの体内調整は、自律神経だけで行われているわけではない。自律神経系と内分泌系(ホルモンの分泌)、そして「免疫系」という3つの調整システムがお互いに作用しあって行われている。したがって、体温は、自律神経だけでなく免疫系とも密接に関わっている。
【0021】
交感神経が優位になると、白血球中のリンパ球の割合が少なくなる。そして、交感神経優位の状態が続きさらに低体温になると、リンパ球の割合はさらに減ってしまう。これは、リンパ球が副交感神経の支配を受けており、白血球中の顆粒球は交感神経の支配を受けているからである。
【0022】
そして、低体温から脱して体温が上昇すると、今度は副交感神経が優位になり、リンパ球の割合が高くなっていく。しかし、リンパ球があまり増えすぎても逆に体温は低下してしまう。体温が低い状態は、酵素の働きが悪くなっている状態であるから、当然さまざまな病気に罹りやすくなる。
【0023】
ストレスは、交感神経を緊張させて低体温の原因になる。ストレスは、精神的、肉体的に負荷がかかった状態のことで、全身の筋肉に血液を大量に送らねばならないような状態にあい、交感神経を興奮させる要因のことである。
【0024】
肉体的なことばかりでなく、精神的な「悩み」「心配」「驚き」「悲しみ」「イライラ」などの動揺があると、交感神経は緊張する。但し通常は、交感神経の緊張に代わり副交感神経が作用して、均衡が崩れることはない。
【0025】
しかし、弱いストレスでも長期にわたって継続すると、副交感神経がうまく身体を元へ戻せなくなることがある。こうなると交感神経優位になり、低体温になるというわけである。大病をした人の経緯を聞くと、例外なく大きなストレスを抱えている。この交感神経優位の状態が長く続くことは、危険なことである。
【0026】
免疫力を担っているのは、「顆粒球」と「リンパ球」である。低体温が続くと、免疫力が低下してしまう。免疫力は、細菌やウィルス、体内で作られた有害な物質を処理して、体内を常に生存に適した状態に保とうとする能力である。その能力が低下すると、さまざまな不調が現れてくる。
【0027】
免疫システムは、大雑把に言えば、顆粒球とリンパ球で成り立っている。これらの免疫細胞が最も効率よく働くうえで大切なことは、体温なのである。
【0028】
体温が通常の範囲にある人(病気でない人)を採血して顆粒球とリンパ球の状態を調べると、体温が高い人ほどリンパ球の数が多いことが判っている。リンパ球は身体に害を及ぼすものを排除するものであるから、このリンパ球が多ければ、身を守る力が高いということになる。
【0029】
以上のように、本来、体内の深部温度が37.2℃のとき脇の下で36.2〜36.3℃くらいとされる平熱が、35℃程度またはそれ以下である「低体温」の人は、体内の深部温度が37.2℃には及ばずもっと低いことが明らかである。
【0030】
そして、このような「低体温」の人の場合、体温のコントロールを行っている「自律神経」の働きが正常でなく、全身の血流が滞りがちで、「免疫力」も低下している可能性が高い。とくに、慢性的に低体温の人は、平熱が正常値である健康な人に比べて、免疫力が低く、病気に罹りやすいといえる。
【0031】
従来から、「自律神経」を調節する方法として、東洋医学では「針灸」が知られていた。針灸師が、患者の不調を聞いて適切なツボに針灸を施すことで、自律神経に効果的な「刺激」を与え、患者の不調を和らげるものであり、これによって、体調快復に効果のあることが知られている。
【0032】
また、人体のツボ療法に用いる治療器も、従来から提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平3−244464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
しかしながら、上記のような従来のものには、次のような課題があった。
【0034】
すなわち、針灸の場合、一般の人(素人)が自分で自分に針灸を施すことは難かしく、とくに、安全で効果的な「刺激」を与えることは困難である。
【0035】
また、特許文献1に記載のツボ療法用治療器は、ツボの位置を含むある範囲に切れ目を入れた施療衣を着用するので、取り扱いが面倒で不便であるうえ、着用の仕方や切れ目の大きさにより、ツボに効果的な「刺激」を与えられるか否か不明である。
【0036】
この発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、誰でも簡単に取り扱い可能で、手の指先を確実に刺激することができ、この指先刺激により、自律神経に安全で効果的な刺激を与えて、体温のコントロールを図ることのできる指先刺激装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0037】
この発明の請求項1に係る指先刺激装置は、手の指先を配置する指先配置部に、配置された指先の爪の生えぎわ近傍部位に近赤外線を照射する近赤外線発生部材を備えたことを特徴とするものである。
【0038】
この発明の請求項2に係る指先刺激装置は、手の指先を配置する指先配置部に、配置された指先の爪の生えぎわ近傍部位に近赤外線を照射する近赤外線発生部材と、配置された指先の腹面側部位に青紫色光を照射する青紫色光発生部材とを備えたことを特徴とするものである。
【0039】
この発明の請求項3に係る指先刺激装置は、手の指先を配置する指先配置部に、配置された指先の腹面側部位に青紫色光を照射する青紫色光発生部材を備えたことを特徴とするものである。
【0040】
この発明の請求項4に係る指先刺激装置は、請求項1または請求項2記載の指先刺激装置において、前記指先の爪の生えぎわ近傍部位に照射する近赤外線の波長は、好ましくは820〜920nmの範囲内にあり、さらに好ましくは870nm近辺にあることを特徴とするものである。
【0041】
この発明の請求項5に係る指先刺激装置は、請求項2または請求項3記載の指先刺激装置において、前記指先の腹面側部位に照射する青紫色光の波長は、好ましくは390〜420nmの範囲内にあり、さらに好ましくは405nm近辺にあることを特徴とするものである。
【0042】
この発明の請求項6に係る指先刺激装置は、請求項1または請求項2記載の指先刺激装置において、前記近赤外線発生部材は、少なくとも1個の近赤外線LEDを含むことを特徴とするものである。
【0043】
この発明の請求項7に係る指先刺激装置は、請求項2または請求項3記載の指先刺激装置において、前記青紫色光発生部材は、青紫色LEDを含むことを特徴とするものである。
【0044】
この発明の請求項8に係る指先刺激装置は、請求項1または請求項2記載の指先刺激装置において、前記近赤外線発生部材を間欠的にON/OFFするパルス発生回路を備えたことを特徴とするものである。
【0045】
この発明の請求項9に係る指先刺激装置は、請求項1、2または3記載の指先刺激装置において、前記指先配置部は、装置本体に手の指先を挿入可能に設けられた指先挿入部によって構成されることを特徴とするものである。
【0046】
この発明の請求項10に係る指先刺激装置は、請求項9記載の指先刺激装置において、装置本体に、左手の第2指〜第5指および右手の第2指〜第5指に共用する4個と、左手の第1指および右手の第1指それぞれ1個ずつの合わせて6個の前記指先挿入部を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0047】
この発明は以上のように、手の指先を配置する指先配置部に、配置された指先の爪の生えぎわ近傍部位に近赤外線を照射する近赤外線発生部材を備えた構成としたので、手の指先を確実に刺激することができ、この指先刺激により、自律神経に安全で効果的な刺激を与えて、体温のコントロールを図ることができ、しかも、誰でも簡単に取り扱うことができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0049】
図1〜図3は、この発明による指先刺激装置の第1の実施形態を示す模式図であり、図1は指先を側面から見た図、図2は図1の矢印II方向から見た図、図3は図1の矢印III方向から見た図であり、指先配置部は図示省略してある。
【0050】
この指先刺激装置1は、少なくとも1本(好ましくは片手5本全部)の指先を配置する指先配置部3を備え、この指先配置部3に、配置された指先の爪の生えぎわ近傍部位に近赤外線を照射する近赤外線発生部材4を備えたものである。
【0051】
近赤外線発生部材4が指先の爪の生えぎわ近傍部位に照射する近赤外線の波長は、好ましくは820〜920nmの範囲内にあり、さらに好ましくは870nm近辺にある。このような近赤外線発生部材4は、少なくとも1個(図示は2個)の近赤外線LEDによって構成することができる。
【0052】
このような近赤外線発生部材4は、指先の爪の生えぎわ近傍部位に接触した状態で近赤外線を照射することが好ましい。また、近赤外線発生部材4は、近赤外線を間欠的にON/OFFしながら照射することが好ましい。
【0053】
また、この指先刺激装置1は、指先配置部3に、配置された指先の腹面側部位に青紫色光を照射する青紫色光発生部材7を備えたものである。
【0054】
青紫色光発生部材7が指先の腹面側部位に照射する青紫色光の波長は、好ましくは390〜420nmの範囲内にあり、さらに好ましくは405nm近辺にある。このような青紫色光発生部材7は、青紫色LEDによって構成することができる。
【0055】
このような指先刺激装置は、さまざまな具体的設計が可能である。以下に、いくつかの設計例を挙げてそれらの実施の形態について説明する。
【0056】
図4〜図9は、この発明による指先刺激装置の第2の実施形態を示し、図4は概略的展開図、図5は平面図、図6は正面図、図7は底面図、図8は図6のIIX−IIX線に沿ってとられた横断平面図、図9は図5のIX−IX線に沿ってとられた縦断側面図である。
【0057】
この指先刺激装置10は、手の指先が入る所要の厚みを有する実質的に円盤状の装置本体20に、6個の指先挿入部31,32,33,34,35,36を備えて構成されたものである。
【0058】
このうち、指先挿入部31,32,33,34,35は、左手の第1指(親指)L1、第2指(人差し指)L2、第3指(中指)L3、第4指(薬指)L4、第5指(小指)L5をそれぞれ挿入するためのものである。
【0059】
また、指先挿入部36,35,34,33,32は、右手の第1指(親指)R1、第2指(人差し指)R2、第3指(中指)R3、第4指(薬指)R4、第5指(小指)R5をそれぞれ挿入するためのものである。
【0060】
そのため、指先挿入部31は、左手の第1指(親指)L1用に独立したものであり、また、指先挿入部36は、右手の第1指(親指)R1用に独立したものである。
【0061】
これに対し、指先挿入部32は、左手の第2指(人差し指)L2と、右手の第5指(小指)R5とに共用されるものである。
【0062】
また、指先挿入部33は、左手の第3指(中指)L3と、右手の第4指(薬指)R4とに共用されるものである。
【0063】
また、指先挿入部34は、左手の第4指(薬指)L4と、右手の第3指(中指)R3とに共用されるものである。
【0064】
さらに、指先挿入部35は、左手の第5指(小指)L5と、右手の第2指(人差し指)R2とに共用されるものである。
【0065】
装置本体20は、底面を有する下ケース21と、下ケース21に嵌め込まれる上ケース22と、上ケース22の上面に装着されるクッション部材23とで構成される。
【0066】
上ケース22は、上面に指先挿入部用の6個の孔が形成された主要空間部24を備えている(図8参照)。
【0067】
この主要空間部24内には、指先が触れたときの感触に優れた例えばジェル状物質などが充填されることで、6個の指先挿入部31,32,33,34,35,36の少なくとも指先腹面側の輪郭を形成する適宜材料からなる指当て部材25が配置されている(図8,9参照)。
【0068】
そして、この主要空間部24の深さは、左手5指の指先を指先挿入部31〜35にそれぞれ挿入し、または、右手5指の指先を指先挿入部36〜32にそれぞれ挿入して、その先端が指当て部材25による底面に接触したとき、各指の少なくとも爪全体を含む第1関節(最先側の関節)付近までは主要空間部24に没するように設計されている(図9参照)。
【0069】
また、装置本体20の主要空間部24には、6個の指先挿入部31,32,33,34,35,36の指先背面側(爪側)における所定高さに、指先の爪の生えぎわ近傍部位に近赤外線を照射する近赤外線LED41,42,43,44,45,46がそれぞれ配置されている。
【0070】
これらの近赤外線LEDは、いずれも3個ずつの近赤外線LEDで構成される。すなわち、近赤外線LED41は3個の近赤外線LED41a,41b,41cで、近赤外線LED42は3個の近赤外線LED42a,42b,42cで、近赤外線LED43は3個の近赤外線LED43a,43b,43cで、近赤外線LED44は3個の近赤外線LED44a,44b,44cで、近赤外線LED45は3個の近赤外線LED45a,45b,45cで、近赤外線LED46は3個の近赤外線LED46a,46b,46cで、それぞれ構成される。
【0071】
このうち、指先挿入部31の近赤外線LED41a,41b,41cと、指先挿入部36の近赤外線LED46a,46b,46cは、1本の柔軟性を有するバンドに取り付けられて、第1のLEDバンド51を構成している。
【0072】
この第1のLEDバンド51は、両端が固定ピン52,52により上ケース22に固定されている。そして、一端が枢支ピン54により上ケース22に揺動可能に取り付けられたバンド押さえカム53の他端55によって、第1のLEDバンド51は、中央部分が、内側に向けて押圧される。
【0073】
第1のLEDバンド51の中央部分の押圧は、下ケース21に固定したカム駆動棒56が、下ケース21と上ケース22との相対回動によりバンド押さえカム53を内側に駆動することで、内側に向けて押圧されるように構成されている。
【0074】
また、それ以外の指先挿入部32〜35の近赤外線LEDが、別の1本の柔軟性を有するバンドに取り付けられて、第2のLEDバンド61を構成している。
【0075】
この第2のLEDバンド61は、両端と中央が固定ピン62により上ケース22に固定されることで、指先挿入部32の近赤外線LED42a,42b,42cと、指先挿入部33の近赤外線LED43a,43b,43cを取り付けたバンド可動部61aと、指先挿入部34の近赤外線LED44a,44b,44cと、指先挿入部35の近赤外線LED45a,45b,45cを取り付けたバンド可動部61bとに2分割されている。
【0076】
第2のLEDバンド61のバンド可動部61aは、一端が枢支ピン64aにより上ケース22に揺動可能に取り付けられたバンド押さえカム63aの他端65aによって、中央部分が、内側に向けて押圧される。
【0077】
このバンド可動部61aの中央部分の押圧は、下ケース21に固定したカム駆動棒66aが、下ケース21と上ケース22との相対回動によりバンド押さえカム63aを内側に駆動することで、内側に向けて押圧されるように構成されている。
【0078】
同様に、第2のLEDバンド61のバンド可動部61bは、一端が枢支ピン64bにより上ケース22に揺動可能に取り付けられたバンド押さえカム63bの他端65bによって、中央部分が、内側に向けて押圧される。
【0079】
このバンド可動部61bの中央部分の押圧は、下ケース21に固定したカム駆動棒66bが、下ケース21と上ケース22との相対回動によりバンド押さえカム63bを内側に駆動することで、内側に向けて押圧されるように構成されている。
【0080】
また、装置本体20の主要空間部24には、6個の指先挿入部31,32,33,34,35,36の指先腹面側(爪と反対側)における所定高さに、指先の腹面側部位に青紫色光を照射する青紫色LED71,72,73,74,75,76がそれぞれ配置されている。
【0081】
また、装置本体20には、例えば、指先挿入部31に挿入された左手の第1指(親指)L1、または、指先挿入部36に挿入された右手の第1指(親指)R1の腹側の温度を検出する温度センサ26が設けられている。
【0082】
この温度センサ26が検出した指先温度は、図7に示すように、下ケース21の底面に配置した温度表示器27に表示されるようになっている。
【0083】
また、下ケース21の底面には、この指先刺激装置10(装置本体20)の操作パネル28が設けられている。また、装置本体20の側面には、ACアダプタジャック29が設けられている。
【0084】
また、装置本体20には、主要空間部24より外側の適宜位置に、電子回路80が配置され、主要空間部24より内側の適宜位置に配置されたバッテリ81と電気的に接続されている。この電子回路80の一例を図10に示す。
【0085】
図10に示すように、電子回路80は、電源スイッチ82が接続されたシーケンス/タイマ回路83を備え、このシーケンス/タイマ回路83に設定された条件にしたがって、近赤外線LED41〜46、青紫色LED71〜76に通電してそれらを発光・照射させる。
【0086】
このうち、近赤外線LED41〜46の電源回路には、パルス発生回路84およびスイッチング回路85が設けられているため、近赤外線LED41〜46は所定の周期でON/OFFを繰り返すようになっている。
【0087】
そして、シーケンス/タイマ回路83の設定条件から外れる異常が発生したときは、あらかじめどちらか一方が選択・設定されているメロディまたはバイブレータによるアラーム回路86が動作して、使用者にそのアラームを知らせるようになっている。
【0088】
図11は、各1個の近赤外線LED41(a,b,c)〜46(a,b,c)の発光(照射)角度を示す説明図、図12は、各近赤外線LED(例えば41)を構成する3個の近赤外線LED41a,41b,41cの配置角度を示す説明図、図13は、近赤外線LED41a,41b,41cの配置による照射範囲を示す説明図である。
【0089】
図11に示すように、各1個の近赤外線LED(例えば41a)の発光(照射)角度は、光軸を中心としてその周囲30°である。このような近赤外線LEDを3個(例えば41a,41b,41c)並べて、図12に示すように20°の角度で配置すると、全体の照射範囲は、図13に示すように120°に及ぶ。
【0090】
上記のような指先刺激装置10を使用するときは、指先挿入部31,32,33,34,35に、左手の第1指(親指)L1、第2指(人差し指)L2、第3指(中指)L3、第4指(薬指)L4、第5指(小指)L5をそれぞれ挿入するか、または、指先挿入部36,35,34,33,32に、右手の第1指(親指)R1、第2指(人差し指)R2、第3指(中指)R3、第4指(薬指)R4、第5指(小指)R5をそれぞれ挿入する。
【0091】
そして、指を挿入していない方の手で下ケース21の側面を持って、指を挿入している上ケース22に対してわずかに回動させると、カム駆動棒56がバンド押さえカム53を内側に駆動することで、第1のLEDバンド51の中央部分が内側に向けて押圧されるとともに、カム駆動棒66a,66bがバンド押さえカム63a,63bを内側に駆動することで、第2のLEDバンド61のバンド可動部61a,61bの中央部分が内側に向けて押圧される。
【0092】
第1のLEDバンド51の中央部分が内側に向けて押圧されることで、このLEDバンド51に取り付けられた近赤外線LED41a,41b,41cが、左手の第1指(親指)L1の爪の生えぎわ近傍部位に接触して軽く押圧するか、または、LEDバンド51に取り付けられた近赤外線LED46a,46b,46cが、右手の第1指(親指)R1の爪の生えぎわ近傍部位に接触して軽く押圧する。
【0093】
また、第2のLEDバンド61のバンド可動部61aの中央部分が内側に向けて押圧されることで、このバンド可動部61aに取り付けられた近赤外線LED42a,42b,42cと43a,43b,43cが、左手の第2指(人差し指)L2と第3指(中指)L3の爪の生えぎわ近傍部位に接触して軽く押圧するか、または、右手の第4指(薬指)R4と第5指(小指)R5の爪の生えぎわ近傍部位に接触して軽く押圧する。
【0094】
同様に、第2のLEDバンド61のバンド可動部61bの中央部分が内側に向けて押圧されることで、このバンド可動部61bに取り付けられた近赤外線LED44a,44b,44cと45a,45b,45cが、左手の第4指(薬指)L4と第5指(小指)L5の爪の生えぎわ近傍部位に接触して軽く押圧するか、または、右手の第2指(人差し指)R2と第3指(中指)R3の爪の生えぎわ近傍部位に接触して軽く押圧する。
【0095】
この状態で、操作パネル28の電源スイッチ82を入れると、シーケンス/タイマ回路83が起動して、設定された条件にしたがって近赤外線LED41〜46および青紫色LED71〜76に通電する。
【0096】
このうち、近赤外線LED41〜46は、パルス発生回路84およびスイッチング回路85のはたらきにより、タイマ設定時間中、所定の周期でON/OFFを繰り返す。これによって、指先挿入部31〜35に挿入された左手5指L1〜L5、または、指先挿入部36〜32に挿入された右手5指R1〜R5のいずれも爪の生えぎわ近傍部位に、近赤外線が間欠的に照射される。
【0097】
一方、青紫色LED71〜76は、タイマ設定時間中、ON状態を継続する。これによって、指先挿入部31〜35に挿入された左手5指L1〜L5、または、指先挿入部36〜32に挿入された右手5指R1〜R5のいずれも指先腹面側部位に、青紫色光が連続して照射される。
【0098】
図14は、指先刺激装置10の不使用時に装置本体20をセットしておくクレイドルの平面図、図15は正面図、図16は側面図であり、このクレイドル90は、図示しない電源コードを用いてコンセントなどのAC電力供給源に接続可能なものであり、また、本体接続用ACジャック91を備えている。
【0099】
指先刺激装置10の装置本体20をクレイドル90にセットするときは、装置本体20の側面に設けたACアダプタジャック29を、クレイドル90の本体接続用ACジャック91に嵌合するように位置合わせしてセットする。セットした状態を図17、図18に示す。
【0100】
図19、図20は、この発明による指先刺激装置の第3の実施形態を示し、図19は要部の(図8に相当する)横断平面図、図20は要部の(図9に相当する)縦断側面図である。
【0101】
この指先刺激装置110は、図4〜図9(および図10〜図18)に示す指先刺激装置10と概して同様のものであるため、同様の部分については、指先刺激装置10で用いた符号に100を加えた符号を付けて示すことで、詳細な図示および説明を省略する。
【0102】
この指先刺激装置110は、第1のLEDバンド151の中央部分を内側に向けて押圧する構造、および、第2のLEDバンド161のバンド可動部161a,161bの中央部分を内側に向けて押圧する構造が、指先刺激装置10と異なる。
【0103】
すなわち、この指先刺激装置110では、上ケース122に、第1のLEDバンド151の中央部分に対応したバンド押し込み部材157と、第2のLEDバンド161のバンド可動部161aの中央部分に対応したバンド押し込み部材167aと、第2のLEDバンド161のバンド可動部161bの中央部分に対応したバンド押し込み部材167bとを設けてある。
【0104】
バンド押し込み部材157は、圧縮バネ158を備え、この圧縮バネ158によって装置本体120の半径方向内方に向けて付勢されている。そのため、バンド押し込み部材157は、その付勢力によって、第1のLEDバンド151の中央部分を内側に向けて押圧するように構成されている。
【0105】
また、バンド押し込み部材167aは、圧縮バネ168aを備え、この圧縮バネ168aによって装置本体120の半径方向内方に向けて付勢されている。そのため、バンド押し込み部材167aは、その付勢力によって、第2のLEDバンド161のバンド可動部161aの中央部分を内側に向けて押圧するように構成されている。
【0106】
同様に、バンド押し込み部材167bは、圧縮バネ168bを備え、この圧縮バネ168bによって装置本体120の半径方向内方に向けて付勢されている。そのため、バンド押し込み部材167bは、その付勢力によって、第2のLEDバンド161のバンド可動部161bの中央部分を内側に向けて押圧するように構成されている。
【0107】
上記のような指先刺激装置110を使用するときは、指先挿入部131,132,133,134,135に、左手の第1指(親指)L1、第2指(人差し指)L2、第3指(中指)L3、第4指(薬指)L4、第5指(小指)L5をそれぞれ挿入するか、または、指先挿入部136,135,134,133,132に、右手の第1指(親指)R1、第2指(人差し指)R2、第3指(中指)R3、第4指(薬指)R4、第5指(小指)R5をそれぞれ挿入する。
【0108】
第1のLEDバンド151の中央部分が、バンド押し込み部材157によって内側に向けて押圧されているため、指先を挿入することで、このLEDバンド151に取り付けられた近赤外線LED141a,141b,141cが、左手の第1指(親指)L1の爪の生えぎわ近傍部位に接触して軽く押圧するか、または、LEDバンド151に取り付けられた近赤外線LED146a,146b,146cが、右手の第1指(親指)R1の爪の生えぎわ近傍部位に接触して軽く押圧する。
【0109】
また、第2のLEDバンド161のバンド可動部161aの中央部分が、バンド押し込み部材167aによって内側に向けて押圧されているため、指先を挿入することで、このバンド可動部161aに取り付けられた近赤外線LED142a,142b,142cと143a,143b,143cが、左手の第2指(人差し指)L2と第3指(中指)L3の爪の生えぎわ近傍部位に接触して軽く押圧するか、または、右手の第4指(薬指)R4と第5指(小指)R5の爪の生えぎわ近傍部位に接触して軽く押圧する。
【0110】
同様に、第2のLEDバンド161のバンド可動部161bの中央部分が、バンド押し込み部材167bによって内側に向けて押圧されているため、指先を挿入することで、このバンド可動部161bに取り付けられた近赤外線LED144a,144b,144cと145a,145b,145cが、左手の第4指(薬指)L4と第5指(小指)L5の爪の生えぎわ近傍部位に接触して軽く押圧するか、または、右手の第2指(人差し指)R2と第3指(中指)R3の爪の生えぎわ近傍部位に接触して軽く押圧する。
【0111】
この状態で、操作パネル128(図示省略)の電源スイッチ182(図示省略)を入れると、シーケンス/タイマ回路183(図示省略)が起動して、設定された条件にしたがって近赤外線LED141〜146および青紫色LED171〜176に通電する。
【0112】
このうち、近赤外線LED141〜146は、パルス発生回路184(図示省略)およびスイッチング回路185(図示省略)のはたらきにより、タイマ設定時間中、所定の周期でON/OFFを繰り返す。これによって、指先挿入部131〜135に挿入された左手5指L1〜L5、または、指先挿入部136〜132に挿入された右手5指R1〜R5のいずれも爪の生えぎわ近傍部位に、近赤外線が間欠的に照射される。
【0113】
一方、青紫色LED171〜176は、タイマ設定時間中、ON状態を継続する。これによって、指先挿入部131〜135に挿入された左手5指L1〜L5、または、指先挿入部136〜132に挿入された右手5指R1〜R5のいずれも指先腹面側部位に、青紫色光が連続して照射される。
【0114】
図21、図22は、この発明による指先刺激装置の第4の実施形態を示し、図21は要部の(図8に相当する)横断平面図、図22は要部の(図9に相当する)縦断側面図である。
【0115】
この指先刺激装置210は、図4〜図9(および図10〜図18)に示す指先刺激装置10と概して同様のものであるため、同様の部分については、指先刺激装置10で用いた符号に200を加えた符号を付けて示すことで、詳細な図示および説明を省略する。
【0116】
この指先刺激装置210は、指先挿入部231の近赤外線LED241a,241b,241cが、柔軟性を有するバンドに取り付けられたうえ1つのリングに固定されて、LEDバンド付きリング241Gを構成している。このLEDバンド付きリング241Gは、指先を挿入するときわずかに動いて指先挿入部231内で位置調整できるように配置されている。
【0117】
また、指先挿入部232の近赤外線LED242a,242b,242cが、柔軟性を有するバンドに取り付けられたうえ1つのリングに固定されて、LEDバンド付きリング242Gを構成している。このLEDバンド付きリング242Gは、指先を挿入するときわずかに動いて指先挿入部232内で位置調整できるように配置されている。
【0118】
また、指先挿入部233の近赤外線LED243a,243b,243cが、柔軟性を有するバンドに取り付けられたうえ1つのリングに固定されて、LEDバンド付きリング243Gを構成している。このLEDバンド付きリング243Gは、指先を挿入するときわずかに動いて指先挿入部233内で位置調整できるように配置されている。
【0119】
また、指先挿入部234の近赤外線LED244a,244b,244cが、柔軟性を有するバンドに取り付けられたうえ1つのリングに固定されて、LEDバンド付きリング244Gを構成している。このLEDバンド付きリング244Gは、指先を挿入するときわずかに動いて指先挿入部234内で位置調整できるように配置されている。
【0120】
また、指先挿入部235の近赤外線LED245a,245b,245cが、柔軟性を有するバンドに取り付けられたうえ1つのリングに固定されて、LEDバンド付きリング245Gを構成している。このLEDバンド付きリング245Gは、指先を挿入するときわずかに動いて指先挿入部235内で位置調整できるように配置されている。
【0121】
また、指先挿入部236の近赤外線LED246a,246b,246cが、柔軟性を有するバンドに取り付けられたうえ1つのリングに固定されて、LEDバンド付きリング246Gを構成している。このLEDバンド付きリング246Gは、指先を挿入するときわずかに動いて指先挿入部236内で位置調整できるように配置されている。
【0122】
そして、これらのLEDバンド付きリング241G,242G,243G,244G,245G,246Gから、挿入した指先を引き抜いたとき、LEDバンド付きリング241G〜246Gが上方へ抜けないように、引き抜き止め押さえ板259が、LEDバンド付きリング241G〜246Gの上面を押さえている。
【0123】
上記のような指先刺激装置210を使用するときは、指先挿入部231,232,233,234,235に、左手の第1指(親指)L1、第2指(人差し指)L2、第3指(中指)L3、第4指(薬指)L4、第5指(小指)L5をそれぞれ挿入するか、または、指先挿入部236,235,234,233,232に、右手の第1指(親指)R1、第2指(人差し指)R2、第3指(中指)R3、第4指(薬指)R4、第5指(小指)R5をそれぞれ挿入する。
【0124】
指先挿入部231には、LEDバンド付きリング241Gが、指先を挿入するとき位置調整できるように配置されているため、指先を挿入することで、このLEDバンド付きリング241Gに取り付けられた近赤外線LED241a,241b,241cが、左手の第1指(親指)L1の爪の生えぎわ近傍部位にしっくりと接触する。
【0125】
また、指先挿入部232には、LEDバンド付きリング242Gが、指先を挿入するとき位置調整できるように配置されているため、指先を挿入することで、このLEDバンド付きリング242Gに取り付けられた近赤外線LED242a,242b,242cが、左手の第2指(人差し指)L2の爪の生えぎわ近傍部位にしっくりと接触するか、または、右手の第5指(小指)R5の爪の生えぎわ近傍部位にしっくりと接触する。
【0126】
また、指先挿入部233には、LEDバンド付きリング243Gが、指先を挿入するとき位置調整できるように配置されているため、指先を挿入することで、このLEDバンド付きリング243Gに取り付けられた近赤外線LED243a,243b,243cが、左手の第3指(中指)L3の爪の生えぎわ近傍部位にしっくりと接触するか、または、右手の第4指(薬指)R4の爪の生えぎわ近傍部位にしっくりと接触する。
【0127】
また、指先挿入部234には、LEDバンド付きリング244Gが、指先を挿入するとき位置調整できるように配置されているため、指先を挿入することで、このLEDバンド付きリング244Gに取り付けられた近赤外線LED244a,244b,244cが、左手の第4指(薬指)L4の爪の生えぎわ近傍部位にしっくりと接触するか、または、右手の第3指(中指)R3の爪の生えぎわ近傍部位にしっくりと接触する。
【0128】
また、指先挿入部235には、LEDバンド付きリング245Gが、指先を挿入するとき位置調整できるように配置されているため、指先を挿入することで、このLEDバンド付きリング245Gに取り付けられた近赤外線LED245a,245b,245cが、左手の第5指(小指)L5の爪の生えぎわ近傍部位にしっくりと接触するか、または、右手の第2指(人差し指)R2の爪の生えぎわ近傍部位にしっくりと接触する。
【0129】
さらに、指先挿入部236には、LEDバンド付きリング246Gが、指先を挿入するとき位置調整できるように配置されているため、指先を挿入することで、このLEDバンド付きリング246Gに取り付けられた近赤外線LED246a,246b,246cが、右手の第1指(親指)R1の爪の生えぎわ近傍部位にしっくりと接触する。
【0130】
この状態で、操作パネル228(図示省略)の電源スイッチ282(図示省略)を入れると、シーケンス/タイマ回路283(図示省略)が起動して、設定された条件にしたがって近赤外線LED241〜246および青紫色LED271〜276に通電する。
【0131】
このうち、近赤外線LED241〜246は、パルス発生回路284(図示省略)およびスイッチング回路285(図示省略)のはたらきにより、タイマ設定時間中、所定の周期でON/OFFを繰り返す。これによって、指先挿入部231〜235に挿入された左手5指L1〜L5、または、指先挿入部236〜232に挿入された右手5指R1〜R5のいずれも爪の生えぎわ近傍部位に、近赤外線が間欠的に照射される。
【0132】
一方、青紫色LED271〜276は、タイマ設定時間中、ON状態を継続する。これによって、指先挿入部231〜235に挿入された左手5指L1〜L5、または、指先挿入部236〜232に挿入された右手5指R1〜R5のいずれも指先腹面側部位に、青紫色光が連続して照射される。
【0133】
図23は、指先刺激装置10を用いて近赤外線の照射を行って得られた被験者の体温推移の実験例1を示すグラフ、図24はその体温推移記録である。
【0134】
図23、図24から明らかなように、指先刺激装置10を用いて指先の爪の生えぎわ近傍部位に近赤外線を短時間照射することで、被験者の体温は上昇し、その後長時間にわたり、初期体温に比べて好ましい体温が維持された。
【0135】
図25は、指先刺激装置10を用いて近赤外線の照射を行って得られた被験者の体温推移の実験例2を示すグラフ、図26はその体温推移記録である。
【0136】
図25、図26から明らかなように、指先刺激装置10を用いて指先の爪の生えぎわ近傍部位に近赤外線を短時間照射することで、被験者の体温は上昇し、その後近赤外線の短時間照射を繰り返したところ、安定した体温が維持された。
【0137】
図27は、指先刺激装置10を用いて近赤外線の照射を行って得られた被験者の体温推移の実験例3を示すグラフ、図28はその体温推移記録である。
【0138】
図27、図28から明らかなように、指先刺激装置10を用いて指先の爪の生えぎわ近傍部位に近赤外線を短時間照射することで、初期体温が非常に低い被験者の体温は早期に上昇し、その後も正常値に向かって体温が上昇し続けた。
【0139】
図29は、指先刺激装置10を用いて近赤外線の照射を行って得られた被験者の体温推移の実験例4を示すグラフ、図30はその体温推移記録である。
【0140】
図29、図30から明らかなように、指先刺激装置10を用いて指先の爪の生えぎわ近傍部位に近赤外線を短時間照射することで、被験者の体温は上昇し、その後安定に向かった。
【0141】
以上の実験結果から、指先刺激装置10を用いて指先の爪の生えぎわ近傍部位に近赤外線を照射することで、指先を確実に刺激することができ、この指先刺激により、自律神経に安全で効果的な刺激を与えて、体温のコントロールを図ることが可能であることが理解される。
【0142】
また、指先刺激装置10だけに限らず、その他の指先刺激装置1,110,210を用いた場合でも、同様の指先刺激により、自律神経に安全で効果的な刺激を与えて、体温のコントロールを図ることが可能であることが理解される。
【0143】
図31は、この発明の発明者が開発した400nm帯域蛍光ランプの発光スペクトルの強度分布を示すグラフである。グラフの横軸は波長、縦軸は分光計のフォトマル計数値(光子数)に比例した値である。
【0144】
図31から明らかなように、この蛍光ランプは、ピークの中心波長が405nm、半値幅が33.0nmであるという特徴がある。
【0145】
この発明の発明者が、上記の蛍光ランプを用いて実験したところ、ヒトに対して400nm帯域の光を照射することにより、血中の酸素飽和度が向上するという効果を偶然見いだした。
【0146】
生体においては、血中の酸素飽和度が低下すると呼吸障害・チアノーゼ等種々の疾患が併発することが知られていることから、400nm帯域の光を照射することにより得られる血中の酸素飽和度が向上するという効果は、人体にとってとても好ましい効果であるといえる。
【0147】
指先刺激装置10に設けた青紫色LED71〜76の狙いは、400nm帯域蛍光ランプの場合と同様に、400nm帯域光を人体に照射することにより血中の酸素飽和度が向上するという効果を得ることである。
【0148】
これは、青紫色LED71〜76として、その波長が、好ましくは390〜420nmの範囲内にあり、さらに好ましくは405nm近辺にあるものを選択することによって、実現される。その理由は、このような青紫色LED71〜76の発光スペクトルは、上記400nm帯域蛍光ランプの発光スペクトルと、実質的に重なり合うからである。
【0149】
この場合も、指先刺激装置10だけに限らず、その他の指先刺激装置1,110,210に設けた青紫色光発生部材7、青紫色LED171〜176,271〜276の狙いも、400nm帯域蛍光ランプの場合と同様に、400nm帯域光を人体に照射することにより血中の酸素飽和度が向上するという効果を得ることである。
【0150】
なお、上記の実施形態では、すべての指先刺激装置1,10,110,210に、近赤外線発生部材4,近赤外線LED41〜46,141〜146,241〜246、および、青紫色光発生部材7,青紫色LED71〜76,171〜176,271〜276を設けたが、これに限定するものでない。
【0151】
すなわち、青紫色光発生部材7,青紫色LED71〜76,171〜176,271〜276を設けずに、近赤外線発生部材4,近赤外線LED41〜46,141〜146,241〜246だけを設けることによって、指先刺激装置1,10,110,210を構成することが可能である。
【0152】
また、近赤外線発生部材4,近赤外線LED41〜46,141〜146,241〜246を設けずに、青紫色光発生部材7,青紫色LED71〜76,171〜176,271〜276だけを設けることによって、指先刺激装置1,10,110,210を構成することも可能である。
【0153】
さらに、上記の実施形態では、指先刺激装置10,110に示すように、近赤外線LED41〜46,141〜146を指先の爪の生えぎわ近傍部位に接触して軽く押圧させるため、バンド押さえカム53,63a,63bとカム駆動棒56,66a,66b、または、圧縮バネ158,168a,168bを備えたバンド押し込み部材157,167a,167bを利用したが、これに限定するものでない。
【0154】
すなわち、指当て部材25,125を、例えば空気圧などを用いて装置本体20,120の半径方向外方へ向けて膨脹させることで、指当て部材25,125が指先の腹側を外側へ押し出す作用によって、近赤外線LED41〜46,141〜146を指先の爪の生えぎわ近傍部位に接触して軽く押圧させることが可能である。
【0155】
その他、この発明は、上記の実施形態の種々の変更、修正が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】この発明による指先刺激装置の第1の実施形態を示す模式図であり、指先を側面から見た図である。
【図2】図1の矢印II方向から見た図である。
【図3】図1の矢印III方向から見た図であり、指先配置部は図示省略してある。
【図4】この発明による指先刺激装置の第2の実施形態を示す概略的展開図である。
【図5】第2の実施形態の平面図である。
【図6】第2の実施形態の正面図である。
【図7】第2の実施形態の底面図である。
【図8】図6のIIX−IIX線に沿ってとられた横断平面図である。
【図9】図5のIX−IX線に沿ってとられた縦断側面図である。
【図10】電子回路の一例を示す回路図である。
【図11】近赤外線LEDの発光(照射)角度を示す説明図である。
【図12】近赤外線LEDを3個使用した場合の配置角度を示す説明図である。
【図13】図12の配置による近赤外線LEDの照射範囲を示す説明図である。
【図14】クレイドルの平面図である。
【図15】クレイドルの正面図である。
【図16】クレイドルの側面図である。
【図17】指先刺激装置をクレイドルにセットした状態の正面図である。
【図18】指先刺激装置をクレイドルにセットした状態の側面図である。
【図19】この発明による指先刺激装置の第3の実施形態を示す要部の横断平面図である。
【図20】第3の実施形態の要部の縦断側面図である。
【図21】この発明による指先刺激装置の第4の実施形態を示す要部の横断平面図である。
【図22】第4の実施形態の要部の縦断側面図である。
【図23】第2の実施形態の指先刺激装置を用いて近赤外線の照射を行って得られた被験者の体温推移の実験例1を示すグラフである。
【図24】実験例1の体温推移記録である。
【図25】第2の実施形態の指先刺激装置を用いて近赤外線の照射を行って得られた被験者の体温推移の実験例2を示すグラフである。
【図26】実験例2の体温推移記録である。
【図27】第2の実施形態の指先刺激装置を用いて近赤外線の照射を行って得られた被験者の体温推移の実験例3を示すグラフである。
【図28】実験例3の体温推移記録である。
【図29】第2の実施形態の指先刺激装置を用いて近赤外線の照射を行って得られた被験者の体温推移の実験例4を示すグラフである。
【図30】実験例4の体温推移記録である。
【図31】400nm帯域蛍光ランプの発光スペクトルの強度分布を示すグラフである。
【符号の説明】
【0157】
1 指先刺激装置
3 指先配置部
4 近赤外線発生部材
7 青紫色光発生部材
10,110,210 指先刺激装置
20,120,220 装置本体
21,121,221 下ケース
22,122,222 上ケース
23,123,223 クッション部材
24,124,224 主要空間部
25,125,225 指当て部材
26,126,226 温度センサ
27 温度表示器
28 操作パネル
29,129,229 ACアダプタジャック
31〜36,131〜136,231〜236 指先挿入部
41(a,b,c)〜46(a,b,c),141(a,b,c)〜146(a,b,c),241(a,b,c)〜246(a,b,c) 近赤外線LED
51,151 第1のLEDバンド
52,152 固定ピン
53 バンド押さえカム
54 枢支ピン
55 他端
56 カム駆動棒
157 バンド押し込み部材
158 圧縮バネ
61,161 第2のLEDバンド
61a,61b,161a,161b バンド可動部
62,162 固定ピン
63a,63b バンド押さえカム
64a,64b 枢支ピン
65a,65b 他端
66a,66b カム駆動棒
167a,167b バンド押し込み部材
168a,168b 圧縮バネ
71〜76,171〜176,271〜276 青紫色LED
80,180,280 電子回路
81,181,281 バッテリ
82 電源スイッチ
83 シーケンス/タイマ回路
84 パルス発生回路
85 スイッチング回路
86 アラーム回路
90 クレイドル
91 本体接続用ACジャック
157 バンド押し込み部材
241G,242G,243G,244G,245G,246G LEDバンド付きリング
259 引き抜き止め押さえ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手の指先を配置する指先配置部に、配置された指先の爪の生えぎわ近傍部位に近赤外線を照射する近赤外線発生部材を備えたことを特徴とする指先刺激装置。
【請求項2】
手の指先を配置する指先配置部に、配置された指先の爪の生えぎわ近傍部位に近赤外線を照射する近赤外線発生部材と、配置された指先の腹面側部位に青紫色光を照射する青紫色光発生部材とを備えたことを特徴とする指先刺激装置。
【請求項3】
手の指先を配置する指先配置部に、配置された指先の腹面側部位に青紫色光を照射する青紫色光発生部材を備えたことを特徴とする指先刺激装置。
【請求項4】
前記指先の爪の生えぎわ近傍部位に照射する近赤外線の波長は、好ましくは820〜920nmの範囲内にあり、さらに好ましくは870nm近辺にあることを特徴とする請求項1または請求項2記載の指先刺激装置。
【請求項5】
前記指先の腹面側部位に照射する青紫色光の波長は、好ましくは390〜420nmの範囲内にあり、さらに好ましくは405nm近辺にあることを特徴とする請求項2または請求項3記載の指先刺激装置。
【請求項6】
前記近赤外線発生部材は、少なくとも1個の近赤外線LEDを含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載の指先刺激装置。
【請求項7】
前記青紫色光発生部材は、青紫色LEDを含むことを特徴とする請求項2または請求項3記載の指先刺激装置。
【請求項8】
前記近赤外線発生部材を間欠的にON/OFFするパルス発生回路を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の指先刺激装置。
【請求項9】
前記指先配置部は、装置本体に手の指先を挿入可能に設けられた指先挿入部によって構成されることを特徴とする請求項1、2または3記載の指先刺激装置。
【請求項10】
装置本体に、左手の第2指〜第5指および右手の第2指〜第5指に共用する4個と、左手の第1指および右手の第1指それぞれ1個ずつの合わせて6個の前記指先挿入部を備えたことを特徴とする請求項9記載の指先刺激装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2006−166959(P2006−166959A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−359454(P2004−359454)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【出願人】(399004555)エクボ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】