説明

指回し運動補助器

【課題】指回し運動を力を入れず、リラックスした状態で行える器具を提供する。
【解決手段】指回し運動補助器として、筐体10と、回転面を外周に有する回転部20であって、前記回転面の中心軸回りに回動可能に、前記回転面が筐体10に保持される回転部20と、前記中心軸に平行に回転部20に固定される筒体30であって、少なくとも前記中心軸に沿ったの一方側に開口を有する筒体からなる第一指挿入筒30と、第一指挿入筒30の前記中心軸を挟んだ反対側において、前記中心軸に平行に回転部20に固定される筒体30であって、少なくとも前記回転軸に沿った他方側に開口を有する第二指挿入筒30と、回転部20を回転させる筐体10に設けられる回転駆動手段40とにより構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右の手の相対する指と指を向かい合わせて、互いにずれた位置で回転させる指回し運動を補助する器具に関する。
【背景技術】
【0002】
指回し運動は、一般には左右の手の指を互いにつき合わせて接触させ、この内の一組の指同士を離して、互いに接触しないように回転させる運動として知られている。この指回し運動の回転させる指が互いに接触しないように補助する器具として、下記特許文献1や特許文献2の図2、図3に、円筒が並列して配列された器具が示されている。これらの穴に左右の回転する指を入れて回転させると、器具によって互いの指が接触することなく、楽に指回し運動を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3392277号公報
【特許文献2】実開7−31036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、指回し運動は自発的に筋肉を用いて指を回転させることで、脳を刺激し運動系や自律神経系を改善する効果が期待されるといわれているが、自発的に筋肉を使って回転させるためにリラックスして運動をすることは難しい。本願の発明者は、受動的に指を回してもらい、指の力を抜いたリラックスした状態で指を回転させることによって新たな効果が得られるのではないかと着想したが、このような指の力を抜いた指回し運動は、補助者に回してもらうことも難しく、上記発明を用いても実現は困難である。
本発明は、このような事情に鑑みて、指回し運動を力を入れず、リラックスした状態で行える器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成を有する。
請求項1に記載の発明は、筐体と、回転面を外周に有する回転部であって、前記回転面の中心軸回りに回動可能に、前記回転面が前記筐体に保持される回転部と、前記中心軸に平行に前記回転部に固定される筒体であって、少なくとも前記中心軸に沿ったの一方側に開口を有する筒体からなる第一指挿入筒と、前記第一指挿入筒の前記中心軸を挟んだ反対側において、前記中心軸に平行に前記回転部に固定される筒体であって、少なくとも前記回転軸に沿った他方側に開口を有する第二指挿入筒と、前記回転部を回転させる前記筐体に設けられる回転駆動手段とを有する指回し運動補助器である。
請求項2に記載の発明は、前記指回し運動補助器において、前記回転駆動手段は回転制御可能なモーターにより駆動されるものであって、さらに、前記回転部が予め定められた回転数と回転方向に回転するように、前記モーターをプログラム制御する制御手段を有するものである。
請求項3に記載の発明は、前記指回し運動補助器において、前記第一指挿入筒及び前記第二指挿入筒は長手方向に沿った回転軸周りに回動可能に前記回転部に固定されるものである。
【0006】
請求項4に記載の発明は、前記指回し運動補助器において、前記第一指挿入筒と前記第二指挿入筒のそれぞれに左右の親指以外のいずれかの指を挿入した状態において、左右の手のそれぞれに対して、親指と挿入していない親指以外の指とで把持できる把手が前記筐体に設けられるものである。
請求項5に記載の発明は、前記指回し運動補助器において、前記回転駆動手段は回転制御可能なモーターにより駆動されるものであって、さらに、前記モーターの正転及び反転を切り替える切り替えスイッチが前記筐体に設けられるものである。
請求項6に記載の発明は、前記指回し補助器において、前記回転駆動手段は回転制御可能なモーターにより駆動されるものであって、さらに、前記モーター出力軸の回転速度を変更する速度調節スイッチが前記筐体に設けられるものである。なお、モーターの回転制御は電気的にモーターの回転を制御するほか、変速機により回転数を制御する場合が含まれる。
【発明の効果】
【0007】
以上のような構成により、本発明は次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明は、第一指挿入筒に一方の手の一の指を入れ、第二挿入筒に他方の手の相対する指を入れ、回転部を回転させることで互いの指をずれた状態で自動的に回転させることができるので、指に力を入れることなくリラックスした状態での指回し運動が可能となる。
請求項2に記載の発明は、指の回転が予め定められたプログラムによりなされるので、指を回す回数や方向を決めている場合、自ら数える場合に比較して、精神的な面でもリラックスした状態で指回し運動を行うことができる。
請求項3に記載の発明は、第一挿入筒、第二挿入筒が回動可能に固定されることで、指を入れた状態で回転部を回しても第一挿入筒、第二挿入筒は同じ姿勢を保つので第一挿入筒内壁及び第二挿入筒内壁に挿入した指が擦れて気になるといったことがない。
請求項4に記載の発明は、親指と回転させる指以外の指で持つことができる把手を有することで、回転させていない指の位置を安定させることができる。
請求項5に記載の発明は、回転部の回転方向を変えることができるので、使用者は適宜思い通りに指の回転方向を変えることが可能となる。
請求項6に記載の発明は、回転部の回転速度を変えることができるので、使用者は好みの回転速度で、指を回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係る指回し運動補助器の斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図2のB−B線断面図である。
【図4】実施形態に係る指回し運動補助器の使用状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
図1に本実施形態に係る指回し運動補助器Xの斜視図を示し、図2に図1のA−A線断面図を示し、図3に図2のB−B線断面図を示す。指回し運動補助器Xは、筐体10、回転部20、指挿入筒30、回転駆動部40、制御部50とから構成される。
【0010】
筐体10は、プラスチックの成型品であり、横長直方体状の箱体中央から上方に上側がアーチ状になった縦長の箱体が突出するような形状を有し、上方の箱体には円形の穴11、11が対向するように設けられている。筐体10内部は、横長直方体状の箱体が横方向に仕切られており、下方側に制御部50の大部分が収納される。また、下方の外側面には電源スイッチとなるプッシュスイッチ12が設けられる。筐体10は、いくつかのパーツで成型され、組み立てられるものであるが、パーツの分解の仕方は任意であり、ここでは説明は省略する。
【0011】
回転部20は、ドラム状で外周面に、二筋の浅い断面V字状の溝22が形成される。溝22、22は、V字状の線をドラム状の回転部20の中心軸回りに回転させた回転面を形成する。また、溝22、22の間には、断面コの字状の溝が形成される。この断面コの字状の溝の底面が形成する回転面は伝動プーリー21の外周面が形成されている。各V字状の溝22は、回転部20の下方側の2箇所において、図3に示すように筐体10内部で回転可能に支持されたローラー23、23に嵌るように乗っており、これによって、回転部20は回転面を形成する溝22、22の中心軸回りに回転可能に支持されることになる。ローラー23は2箇所のそれぞれにおいて、各V字状の溝22に嵌るように同軸上に2個設けられている。回転部20の外径は、筐体10に設けられる円形の穴11の内径よりも大きく形成されており、回転部20が筐体10から抜けないようになっている。
また、回転部20の円形面の一方に、円筒状の穴が回転部20の中心軸からずれた位置に当該中心軸に平行に形成されるとともに、他方の円形面にも、円筒状の穴が、一方側の穴に対して中心軸を挟んで互い違いの位置となるように形成される。なお、各穴の底面には小径の穴が設けられ、さらに裏面から当該小径の穴に至る後述するベアリングが嵌る穴が形成されている。
【0012】
指挿入筒30は、有底の円筒体であり、回転部20の円形面に設けられた穴に回動可能に嵌る程度の外径を有する。指挿入筒30の開口側は拡径するように広がり、また、底面の外側中心に、中央にネジ穴が形成された小経の円筒部が設けられる。指挿入筒30は回転部20の円形面に設けられた穴に挿入され、底面の円筒部は挿入された穴の底面に設けられた小径の穴を通り、裏面側でベアリング31が嵌められ、ネジとワッシャによりこのベアリング31が固定される。これにより、指挿入筒30は、長手方向に沿った回転軸周りに回転可能に固定されることとなる。指挿入筒30は、回転部20の円形の両面のそれぞれに、互いに逆に開口を向けて、回転部20に互い違いに固定される。
【0013】
回転駆動部40は、回転部20に設けられる伝動プーリー21、筐体10内の横方向の仕切り上に設けられるモーター41、伝動プーリー21に平行に設けられるモーター41の出力軸に固定される駆動プーリー42、伝動プーリー21と駆動プーリー42の間に懸架されるタイミングベルト43とから構成される。このような構成により、回転部20はタイミングベルト43により下方に向かう力を加えられた状態で回転する一方、ローラー23、23により下方から支持されるので、回転部20はタイミングベルト43とローラー23、23により上下で狭持され、安定した状態で回転することができる。
【0014】
制御部50は、図示しないCPU、RAM、ROM、クロックなどからなるマイコンと、電源を供給する電池ボックス、モーター41に設けられる図示しないロータリーエンコーダー、筐体10外部に設けられるプッシュスイッチ12により構成される。マイコンのROM内にはモーターの動作を制御するプログラムが記録されており、ロータリーエンコーダーに基づく信号をカウントして、回転部20の回転数を計算し所定の動作を行わせる。具体的には、プッシュスイッチ12を押下すると、数秒後に回転部20を一方の方向に数回回転させ、その後逆方向に同じだけ回転させ、数秒間停止する。この動作を合計4回繰り返した後、電源が切断される。
【0015】
次に、以上のような構成を有する指回し運動補助器Xの使用方法について説明する。使用者Pは、図4に示すように、仰向けに寝て回転部20側が足先に向くように腹部に運動補助器Xを置く。この状態で、肘が床面に接触するように位置を調節して、両手の親指の腹を筐体10の底面に当て、残りの指の腹を筐体10の横長直方体の箱体の上面に当てて軽く持つようにする。即ち、筐体10の横長直方体状の箱体の上面及び下面は、指を掛ける把手13を形成する。この状態から、例えば、両手の人差し指を各指挿入筒30に挿入し、プッシュスイッチ12を親指で押して動作を開始する。この際、指および腕の力は抜いて、リラックスした状態にしておく。プッシュスイッチ12が押されるとプログラムによって、一方向に数回、逆方向に数回、回転部20が回転する。これにより、人指し指の指回し運動が受動的に行われる。その後、一定時間回転が停止するので、この間に指を例えば中指に代えて、同様の動作を行わせる。人差し指から小指のすべてについて回転が終了すると自動的に電源が切れ、動作が完了する。
このように、一度プッシュスイッチ12を押すと、後は力を抜いてリラックスした状態でも、指回し補助器Xにより自動的に指回し運動が行え、また、所定数の回転と回転方向の切り替えがプログラムにより自動的に行われるので、回転数を数える必要が無く、精神的にもリラックスした状態で指回し運動を実現することができる。
【0016】
なお、上記実施形態では、回転部20は下方のローラー23、23と上方のタイミングベルト43に狭持されることで位置が安定するように構成されているが、歯車で下方から回転部20を回転させるような場合は、ローラーを上方の2箇所に設けることで上下で狭持し位置を安定するようにすることができる。
また、上記実施形態では、プログラムによって回転部20の回転動作を制御しているが、モーター41の正反転動作を行うスイッチや、回転部20の回転速度を変更する速度調節スイッチなどを設け、プログラムとは別に、若しくは、プログラムの途中で使用者が適宜動作指示を入力できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0017】
X 指回し運動補助器
10 筐体
12 プッシュスイッチ
13 把
20 回転部
21 伝動プーリー
22 溝
23 ローラー
30 指挿入筒
40 回転駆動部
41 モーター
42 駆動プーリー
43 タイミングベルト
50 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
回転面を外周に有する回転部であって、前記回転面の中心軸回りに回動可能に、前記回転面が前記筐体に保持される回転部と、
前記中心軸に平行に前記回転部に固定される筒体であって、少なくとも前記中心軸に沿った一方側に開口を有する筒体からなる第一指挿入筒と、
前記第一指挿入筒の前記中心軸を挟んだ反対側において、前記中心軸に平行に前記回転部に固定される筒体であって、少なくとも前記中心軸に沿った他方側に開口を有する第二指挿入筒と、
前記回転部を回転させる前記筐体に設けられる回転駆動手段と
を有する指回し運動補助器。
【請求項2】
前記回転駆動手段は回転制御可能なモーターにより駆動されるものであって、さらに、前記回転部が予め定められた回転数と回転方向に回転するように、前記モーターをプログラム制御する制御手段を有する請求項1に記載の指回し運動補助器。
【請求項3】
前記第一指挿入筒及び前記第二挿入筒は長手方向に沿った回転軸周りに回動可能に前記回転部に固定される請求項1又は2に記載の指回し運動補助器。
【請求項4】
前記第一指挿入筒と前記第二指挿入筒のそれぞれに左右の親指以外のいずれかの指を挿入した状態において、左右の手のそれぞれに対して、親指と挿入していない親指以外の指とで把持できる把手が前記筐体に設けられる請求項1から3のいずれか1項に記載の指回し運動補助器。
【請求項5】
前記回転駆動手段は回転制御可能なモーターにより駆動されるものであって、さらに、前記モーターの正転及び反転を切り替える切り替えスイッチが前記筐体に設けられる請求項1から4のいずれか1項に記載の指回し運動補助器。
【請求項6】
前記回転駆動手段は回転制御可能なモーターにより駆動されるものであって、さらに、前記モーター出力軸の回転速度を変更する速度調節スイッチが前記筐体に設けられる請求項1から5のいずれか1項に記載の指回し運動補助器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−17677(P2013−17677A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153821(P2011−153821)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【特許番号】特許第4988946号(P4988946)
【特許公報発行日】平成24年8月1日(2012.8.1)
【出願人】(595140217)