説明

指紋認証機クリーニング装置、及び方法

【課題】認証すべき指が接触するスキャンガラス面を、高速で確実かつ安全にクリーニングを行うことが可能な、指紋認証機クリーニング装置を提供する。
【解決手段】認証すべき指を接触させるスキャン面を有する指紋認証機と、スキャン面に面するように設置され、閉状態でスキャン面を被覆し、開状態でスキャン面を露出するように開閉するシャッターと、クリーニングを行うクリーナーと、シャッターを閉状態にした時に、クリーナーをスキャン面に接触させてスキャン面のクリーニングを行い、クリーニングが完了するとシャッターを開状態にする駆動部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指紋認証機のクリーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
指紋認証機は、スキャンガラス面に接触させた指へ光源から光を照射し、撮像装置によって指からの反射光を取り込み、予め登録された指紋パターンと照合を行って個人を特定する。今日、情報処理装置のセキュリティ強化に注目集まっており、指紋認証機は、その一例として導入が進んでいる。指紋認証機の導入拡大に伴い、多数の人間によって同一の指紋認証機を使用する場面が増加している。そのため、指紋認証機は、認証処理の高速性や正確性が求められている。
【0003】
一方で、指紋認証機は、いくつかの課題を有している。まず、指紋認証機は、スキャンガラス面に指を直接に接触させるため、指の汚れや皮脂等がスキャンガラス面に付着することにより、認識率が低下するという課題がある。また、指紋認証機は、スキャンガラス面に指を直接に接触させるため、多数の人間が使用する場合に、衛生面において課題がある。このような課題を解決するために、次のような技術が開示されている。
【0004】
特許文献1は、指紋パターンを入力すべき指を接触させる面に汚れやキズがつくのを防止することができ指紋パターンの読み取り制度を向上させることができる指紋入力装置を開示している。特許文献1の指紋入力装置は、光源と、指紋パターンを入力すべき指に接触可能な接触面を所定位置に有している導光手段と、光源からの光によって照射される接触面に指が接触しているとき当該指の指紋パターンによって反射される光を受け取るよう配置されている撮像手段と、接触面を被覆することが可能な被覆手段とを備えており、当該被覆手段は、指の挿入方向に摺動可能であり指が接触面に接触していないときに接触面を被覆するように構成されていることを特徴とする。
【特許文献1】特開平4−088586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、認証すべき指が接触するスキャンガラス面を、高速で確実かつ安全にクリーニングを行うことが可能な、指紋認証機クリーニング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の指紋認証機クリーニング装置は、認証すべき指を接触させるスキャン面を有する指紋認証機と、スキャン面に面するように設置され、閉状態でスキャン面を被覆し、開状態でスキャン面を露出するように開閉するシャッターと、クリーニングを行うクリーナーと、シャッターを閉状態にした時に、クリーナーをスキャン面に接触させてスキャン面のクリーニングを行い、クリーニングが完了するとシャッターを開状態にする駆動部とを備える。
【0007】
本発明の指紋認証機クリーニング方法は、認証すべき指を接触させるスキャン面に面するように設置され、閉状態でスキャン面を被覆し、開状態でスキャン面を露出するように開閉するシャッターを閉状態にするステップと、クリーナーをスキャン面に接触させてスキャン面のクリーニングを行うステップと、クリーニングが完了した後にシャッターを開状態にするステップとを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、認証すべき指が接触するスキャンガラス面を、高速で確実かつ安全にクリーニングを行うことが可能な、指紋認証機クリーニング装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
添付図面を参照して、本発明の実施形態による指紋認証機クリーニング装置を説明する。
【0010】
[構成の説明]
まず、図1から図8を用いて、本実施形態における指紋認証機クリーニング装置の構成の説明を行う。始めに、図1は、本実施形態における指紋認証機クリーニング装置の構成を表す側面図である。本実施形態における指紋認証機クリーニング装置は、筐体1と、シャッター10と、指紋認証機30と、クリーナ50と、駆動部70とを備える。
【0011】
まず、筐体1の説明を行う。筐体1は、シャッター10と、指紋認証機30と、クリーナ50と、駆動部70と、検知部21,22、41,42を内部に備える。これらの構成部位については、後ほど説明をおこなう。また、筐体1は、開口部2を有する。開口部2は、指紋認証を行う者(以下、認証ユーザー)の指を、筐体1内に設置される指紋認証機30の、後述するスキャンガラス面31に接触させるために設けられている。さらに、筐体1は、敷居4を備える。敷居4は、筐体1内の開口部2とほぼ同じ位置に、開口部2を囲うように設けられている。敷居4は、開口部2と筐体1内を隔てている。
【0012】
次に、シャッター10の説明を行う。シャッター10は、開閉を行うことで、筐体1の開口部2の閉塞と開放を行う。シャッター10は、筐体1の開口部2の直下に、開口面と平行に備えられる。シャッター10は、開口面に対して平行にスライドが可能である。シャッター10は、移動方向100へスライドすることで、開口部2を開放する。また、シャッター10は、移動方向101へスライドすることで、開口部2を閉塞する。シャッター10は、駆動部70によって駆動されて、開口部2を開放または閉塞する。なお、シャッター10のスライド方向は、これに限定しない。シャッター10は、閉状態で開口部2を閉塞し、開状態で開口部2を開放する構成となっていれば、スライドする方向は問わない。
【0013】
ここで、図2及び図3を用いて、シャッター10の開放及び閉塞状態を説明する。まず、図2は、シャッター10が筐体1の開口部2を閉塞した状態を示した、指紋認証機クリーニング装置の平面図である。図2を参照すると、シャッター10が開口部2を閉塞しているため、開口部2に指紋認証機30のスキャンガラス面31を確認することはできない。指紋認証機30は、この状態で、スキャンガラス面31のクリーニングを行う。シャッター10は、移動方向100へスライドすることで、開口部2を開放する。
次に、図3は、シャッター10が筐体1の開口部2を開放した状態を示した、指紋認証機クリーニング装置の平面図である。図3を参照すると、シャッター10が開口部2を開放しているため、開口部2に指紋認証機30とスキャンガラス面31を確認することができる。認証ユーザーは、この状態でスキャンガラス面31へ指を接触させて指紋認証を行う。シャッター10は、移動方向100へスライドすることによって開口部2を閉塞する。
【0014】
次に、再び図1を用いて、指紋認証機30の説明を行う。指紋認証機30は、指紋認証処理によって認証ユーザーの特定を行う。指紋認証機30は、認証ユーザーの指紋を撮像装置によって撮影して、予め指紋認証サーバ等に記憶している指紋パターンと照合を行うことによって認証ユーザーの特定を行う。本実施形態において、筐体1内に設置された指紋認証機30は、後述するスキャンガラス面31と、図示されない光源、撮像装置、画像データ送信装置等の認証ユーザーの指紋画像を取り込むために通常必要な部位を備えている。また、指紋認証処理は、筐体1の外部に設置された図示されない処理装置が行う。指紋認証機30は、処理装置と接続されて動作する。本実施形態において、指紋認証機30は、従来技術によるため詳細な説明は省略する。指紋認証機30は、外部の処理装置から認証処理開始の指紋認証機制御信号を入力すると、認証ユーザの指の撮影を開始する。
【0015】
前述のとおり、指紋認証機30は、スキャンガラス面31を備える。認証ユーザーは、指紋認証を行うために、スキャンガラス面31へ認証ユーザの指を接触させる。なお、スキャンガラス面31の素材は、ガラスに限定しない。スキャンガラス面31は、ガラスの他に代替し得る素材によって構成される場合を含む。指紋認証機30は、撮像装置によって、スキャンガラス面31に接触した指からの反射光を撮影する。そのため、スキャンガラス面31が、誇りや皮脂によって汚れていると、正確な指紋認証が行えない。そこで、本実施形態では、指紋認証機30を機械的にクリーニングを行う。そのために、指紋認証機30は、筐体1内で移動可能である。指紋認証機30は、筐体1内で移動方向102と、移動方向103へ移動することが可能である。指紋認証機30は、駆動部70によって駆動されて、移動方向102及び移動方向103へ移動する。
【0016】
ここで、図4及び図5を用いて、筐体1内における指紋認証機30の移動について説明する。まず、図4は、開口部2が開放状態での指紋認証機30の位置を示した、指紋認証機クリーニング装置の側面図である。認証ユーザーは、この状態でスキャンガラス面31に指を接触させる。指紋認証機30は、認証ユーザーの指をスキャンガラス面31に接触可能にするため、筐体1内で敷居4より最も開口部2側に位置(以下、認証時位置と呼ぶ。)している。指紋認証機30は、図示されていない駆動部70によって、移動方向102へ移動可能である。
次に、図5は、開口部2が閉塞状態での指紋認証機30の位置を示した、指紋認証機クリーニング装置の側面図である。指紋認証機30は、この状態からスキャンガラス面31のクリーニングを開始する。指紋認証機30は、クリーナー50によるスキャンガラス面31のクリーニングを開始可能とするため、筐体1内の敷居4より最も奥に位置している(以下、クリーニング開始位置)。指紋認証機30は、シャッター10が開口部2を閉塞した後、図示されていない駆動部70によって、クリーニング開始位置へ移動される。指紋認証機30は、図示されていない駆動部70によって、クリーニング開始位置から移動方向103へ移動しながら、クリーナー50によってクリーニングを行われる。なお、指紋認証機30は、筐体1の底部に設置された図示されないレール等によって、筐体1の内部における認証時位置とクリーニング開始位置を設定されてもよい。なお、指紋認証機30の移動方向はこれに限定しない。認証時位置に位置する場合は開口部2直下に位置し、クリーニング開始位置に位置場合は、クリーナー50によるクリーニングが開始可能なように位置すれば、移動する方向は問わない。
【0017】
次に、再び図1を用いて、クリーナー50の説明を行う。クリーナー50は、クリーニングテープ51を回転させて、スキャンガラス面31をクリーニングする。クリーナー50は、指紋認証機30が認証時位置に位置しているときは、スキャンガラス面31に接しない位置で待機している(以下、待機位置と呼ぶ。)。クリーナー50は、指紋認証機30が、クリーニング開始位置まで移動すると、図示されない駆動部70によって、スキャンガラス面31に接する位置まで移動する(以下、接触位置と呼ぶ。)。指紋認証機30は、クリーナー50がスキャンガラス面31に接した状態で、クリーニング開始位置から認証時位置まで移動する。クリーナー50は、指紋認証機30がクリーニング開始位置から認証時位置まで移動する間、クリーニングテープ51を回転させ、スキャンガラス面31をクリーニングする。また、クリーナー50はカセット式で取り外しが可能である。そのため、クリーナー50は、容易に交換することが可能である。
【0018】
ここで、図6及び図7を用いて、クリーナー50とスキャンガラス面31との位置関係を説明する。まず、図6は、指紋認証機30が、認証時位置に位置するときのクリーナー50の状態を示した側面図である。この状態で、認証ユーザーは、スキャンガラス面31に指を接触させて指紋認証を行う。そのため、指紋認証機30は、認証時位置に位置する。また、クリーナー50は、待機位置に位置する。指紋認証処理を完了すると、指紋認証機30は、図示されない駆動部70によって移動方向102へ移動される。
次に、図7は、指紋認証機30が、クリーニング開始位置に位置する時のクリーナー50の状態を示した側面図である。この状態において、シャッター10は、閉塞している。指紋認証機30は、図示されていない駆動部70によって移動され、クリーニング開始位置に位置する。クリーナー50は、駆動部70によって移動方向104へ移動され、接触位置に位置する。指紋認証機30は、駆動部70によって移動方向103へ移動される。この時、クリーナー50は、駆動部70によって移動方向105へクリーニングテープ51を回転させる。クリーナー50は、クリーニングテープ51のスキャンガラス31との接触部分を、指紋認証機30の移動方向と逆方向に回転させる。このようにして、クリーナー50は、スキャンガラス面31のクリーニングを行う。クリーナー50は、指紋認証機30が駆動部70によってクリーニング開始位置から認証時位置へ移動するまでの間、クリーニングを行う。
【0019】
なお、クリーナー50の移動方向は、これに限定しない。クリーナー50は、接触位置においてスキャンガラス面31とクリーニング可能に接触し、待機位置においてスキャンガラス面31と離れていれば、移動方向は問わない。
さらに、本実施形態では、クリーナー50の接触位置と待機位置を物理的な位置関係により区別している。これは、クリーナー50の位置を変化させずに区別することとしても良い。この場合、例えば、接触位置にあるべき状態では、スプリング等によって、スキャンガラス面31とクリーナー50の接触部分へ圧力かける。一方、待機位置にあるべき状態では、スキャンガラス面31へ圧力をかけない。このように、クリーナー50の位置は変更してもよい。また、クリーナ−50の位置を常に接触位置に位させて、クリーニングテープ51の回転を行う状態と行わない状態に区別することも可能である。
【0020】
次に、再び図1を用いて、駆動部70の説明を行う。駆動部70は、シャッター10と、指紋認証機30と、クリーナー50と、クリーニングテープ51に対して、動力を与えて駆動する。駆動部70は、シャッター10を駆動して、開口部2を閉塞あるいは開放を行う。駆動部70は、指紋認証機30を駆動して、認証時位置とクリーニング開始位置との間を移動させる。駆動部70は、クリーナー50を駆動して、待機位置と接触位置との間を移動させる。駆動部70は、クリーナー50が接触位置にあるときに、クリーニングテープ51を回転させる。本実施形態において、指紋認証機30は、ラック71を備える。駆動部70は、ラック71を契合するピニオン72を備える。駆動部70は、図示されない電源から電力を入力する。駆動部70は、ピニオン72へ、図示されない動力伝達用のベルト等を介して動力を伝えて回転させる。ラック71とピニオン72は契合しており、指紋認証機30は、ピニオン72の回転方向に沿って移動方向102あるいは移動方向103へ移動する。駆動部70は、同様に方法によってシャッター10、クリーナー50、およびクリーニングテープ51を駆動する。なお、駆動部70は、ラック71とピニオン72を用いて、各部位を駆動する方式に限定しない。例えば、ウォームホイール等を用いて動力を伝達してもかまわない。また、駆動部70の設置位置は、図1における位置に限定しない。
【0021】
また、駆動部70は、シャッター10、指紋認証機30、クリーナー50の動作を制御する。図8を用いて、駆動部70の制御機能の説明を行う。図8は、駆動部70の制御機能を説明するための機能ブロック図である。駆動部70は、シャッター開閉確認部20と、指紋認証移動確認部40と、クリーナー位置確認部60をさらに備える。また、前述のとおり、駆動部70は、シャッター10、指紋認証機30、及びクリーナー50へ動力を供給して駆動する。
【0022】
駆動部70は、筐体1の外部から指紋認証機30へ送られる認証処理開始の指紋認証機制御信号をトリガとしてクリーニング動作を開始する。なお、駆動部70の動作開始トリガは、指紋認証機制御信号に限定しない。例えば、認証ユーザーが図示されない認証開始ボタンを押下して動作を開始しても良い。駆動部70の動作開始トリガは、その他の想定し得る方法によって代替できる。駆動部70は、クリーニング動作を開始すると、シャッター10、指紋認証機30、クリーナー50を、後述する動作方法の順番で駆動する。
【0023】
シャッター開閉確認部20は、検知器21と検知器22とからなる。シャッター開閉確認部20は、駆動部70と、電気的に接続されている。駆動部70は、シャッター開閉確認部20からの電気信号による通知によって、シャッター10の開放及び閉塞完了を検知する。検知器21は、シャッター閉塞通知を、駆動部70へ送出する。また、検知器22は、シャッター開放通知を、駆動部70へ送出する。シャッター10が駆動部70によって閉塞されると、シャッター10の端部が検知器21に到達して検知器21を押下する。検知器21は、押下されると電気信号によるシャッター閉塞通知を駆動部70へ送出する。駆動部70は、検知器21からシャッター閉塞通知を入力すると、シャッター10の閉塞が完了したと検知する。
同様に、シャッター10が駆動部70によって開放されると、シャッター10の端部が、検知器22に到達して検知器22を押下する。検知器22は、押下されると電気信号によるシャッター開放通知を駆動部70へ送出する。駆動部70は、検知器22からのシャッター開放通知を入力すると、シャッター10の開放が完了したことを検知する。なお、駆動部70が、シャッター開閉完了を検知する方法はこれに限定しない。駆動部70は、ピニオン72の回転数や、動力伝達時間等によってシャッター開閉完了を検知してもかまわない。これらは、当業者が通常想定し得る方法によって代替が可能である。
【0024】
指紋認証機移動確認部40は、検知器41と検知器42とからなる。指紋認証移動確認部40は、駆動部70と、電気的に接続されている。駆動部70は、指紋認証機移動確認部40からの電気信号による通知によって、指紋認証機30の移動完了を検知する。検知器41は、認証時位置移動通知を、駆動部70へ送出する。検知器42は、クリーニング開始位置移動通知を、駆動部70へ送出する。指紋認証機30が、駆動部70によって認証時位置へ移動完了すると、スキャンガラス面31の端部が検知器41に到達して検知器41を押下する。検知器41は、押下されると電気信号による認証時位置移動通知を、駆動部70へ送出する。駆動部70は、検知器41から認証時位置移動通知を入力すると、指紋認証機30が認証時位置へ移動完了したと検知する。
同様に、指紋認証機30が駆動部70によってクリーニング開始位置へ移動完了すると、スキャンガラス面31の端部が、検知器42に到達して検知器42を押下する。検知器42は、押下されると電気信号によるクリーニング開始位置移動通知を、駆動部70へ送出する。駆動部70は、検知器42からのクリーニング開始位置移動通知を入力すると、指紋認証機30がクリーニング開始位置へ移動完了したと検知する。駆動部70は、ピニオン72の回転数や、動力伝達時間等によって指紋認証機30の移動完了を検知してもよい。これらは、当業者が通常想定し得る方法によって代替が可能である。
【0025】
クリーナー位置確認部60は、図示されない検知器61と検知器62とからなる。クリーナー位置確認部60は、駆動部70と、電気的に接続されている。駆動部70は、クリーナー位置確認部60からの電気信号による通知によって、クリーナー50の移動完了を検知する。検知器61は、待機位置移動通知を、駆動部70へ送出する。検知器62は、接触位置移動通知を、駆動部70へ送出する。クリーナー50が、駆動部70によって待機位置へ移動完了すると、クリーナー50の図示されない駆動軸が検知器61に到達して検知器61を押下する。検知器61は、押下されると電気信号による待機位置移動通知を、駆動部70へ送出する。駆動部70は、検知器61から待機位置移動通知を入力すると、クリーナー50が待機位置へ移動完了したと検知する。
同様に、クリーナー50が駆動部70によって接触位置へ移動完了すると、クリーナー50の図示されない駆動軸が検知器62に到達して検知器62を押下する。検知器62は、押下されると電気信号による接触位置移動通知を、駆動部70へ送出する。駆動部70は、検知器62からの接触位置移動通知を入力すると、クリーナー50が接触位置へ移動完了したと検知する。なお、駆動部70は、ピニオン72の回転数や、動力伝達時間等によってクリーナー50の移動完了を検知してもよい。これらは、当業者が通常想定し得る方法によって代替が可能である。
【0026】
以上が、本実施形態における、指紋認証機クリーニング装置の構成の説明である。
【0027】
[動作方法の説明]
次に図9を用いて、本実施形態における指紋認証機クリーニング装置の動作方法の説明を行う。図9は、本実施形態における指紋認証機クリーニング装置の動作フローを示している。
【0028】
(ステップS10)
駆動部70は、指紋認証機30の外部処理装置から認証処理開始の指紋認証機制御信号を入力する。駆動部70は、指紋認証機制御信号を入力すると、クリーニング動作を開始する。
【0029】
(ステップS20)
駆動部70は、シャッター10を駆動して、開口部2を閉塞する。シャッター10が閉塞すると、シャッター10の端部は、シャッター開閉確認部20の検知部21を押下する。検知部21は、シャッター閉塞通知を駆動部70へ出力する。
【0030】
(ステップS30)
駆動部70は、検知器21からのシャッター閉塞通知を入力する。駆動部70は、シャッター閉塞通知を入力すると、シャッター10の閉塞が完了したことを検知する。
【0031】
(ステップS40)
次に、駆動部70は、指紋認証機30を駆動して、指紋認証機30をクリーニング開始位置へ移動する。指紋認証機30がクリーニング開始位置へ移動すると、スキャンガラス部31の端部が、指紋認証機移動確認部40の検知器42を押下する。検知器42は、クリーニング開始位置移動通知を、駆動部70へ出力する。
【0032】
(ステップS50)
駆動部70は、検知機42からのクリーニング開始位置移動通知を入力する。駆動部70は、クリーニング開始位置移動通知を入力すると、指紋認証機30がクリーニング開始位置へ移動完了したことを検知する。
【0033】
(ステップS60)
駆動部70は、クリーナー50駆動して、クリーナー50を接触位置まで移動させ、スキャンガラス面31へ接触させる。クリーナー50がスキャンガラス面31へ接触すると、クリーナー50の駆動軸が検知器62を押下する。検知器62は、接触位置移動通知を、駆動部70へ出力する。
【0034】
(ステップS70)
駆動部70は、検知器62からの接触位置移動通知を入力する。駆動部70は、接触位置移動通知を入力すると、クリーナー50が接触位置へ移動完了したことを検知する。
【0035】
(ステップS80)
駆動部70は、指紋認証機30を駆動して、指紋認証機30をクリーニング開始位置から認証時位置まで移動する。同時に、駆動部70は、クリーナー50のクリーニングテープ51を図7の移動方向105へ回転させて、スキャンガラス面31をクリーニングする。指紋認証機30が、認証時位置まで移動すると、スキャンガラス面31の端部が、指紋認証機移動確認部40の検知器41を押下する。検知器41は、指紋認証機30の認証時位置移動通知を、駆動部70へ出力する。
【0036】
(ステップS90)
駆動部70は、検知器41からの認証時位置移動通知を入力する。駆動部70は、認証時位置移動通知を入力すると、指紋認証機30が、認証時位置へ移動完了したことを検知する。同時に、駆動部70は、スキャンガラス面31のクリーニングが完了したと検知する。
【0037】
(ステップS100)
駆動部70は、クリーニングテープ51の回転を停止する。駆動部70は、クリーナー50を待機位置へ移動して、スキャンガラス面31から離面する。クリーナー50が待機位置へ移動すると、クリーナー50の駆動軸が検知器61を押下する。検知器61は、待機位置移動通知を、駆動部70へ出力する。
【0038】
(ステップS110)
駆動部70は、検知器61からの、待機位置移動通知を入力する。駆動部70は、待機位置移動通知を入力すると、クリーナー50が待機位置へ移動完了したことを検知する。
【0039】
(ステップS120)
駆動部70は、シャッター10を駆動して、シャッター10を開放する。シャッター10が開放すると、シャッター10の端部は、シャッター開閉確認部20の検知器22を押下する。検知器22は、シャッター開放通知を、駆動部70へ出力する。
(ステップS130)
駆動部70は、検知器22からの、シャッター開放通知を入力する。駆動部70は、開放完了通知を入力すると、シャッター10の開放が完了したことを検知する。駆動部70は、シャッター10の開放が完了したのち、指紋認証機30の外部処理装置へクリーニング完了の通知を出力してもよい。
【0040】
以上が、本実施形態における、指紋認証機クリーニング装置の動作方法の説明である。ここまで、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更を行うことができる。以下にその一例を示す。
【0041】
上述の実施形態で、動作方法のステップS90において、駆動部70は、スキャンガラス面31のクリーニング完了を、検知部41からの認証時位置移動通知を入力することによって検知している。ここで、クリーニング完了の検知は、駆動部70が指紋認証機30を認証時位置へ移動した後に、指紋認証機30の外部処理装置によって検知されてもよい。この場合、例えば、駆動部70から指紋認証機30の外部処理装置へ確認要求信号を出力する。指紋認証機30の外部処理装置は、指紋認証機30へ確認検査開始信号を出力する。指紋認証機30は、確認検査開始信号を受けて、画像取り込み試験を行う。画像取り込み試験は、認証ユーザーの指の画像を取り込むのと同様の動作で試験画像を取り込む。指紋認証機30の外部処理装置は、試験画像に基づいて、試験完了判定を行う。試験完了判定は、試験画像における輝度分散が閾値より小さいことによって確認しても良いし、汚れがなく状態が良好なスキャンガラス面31の画像を完了判定用画像として予め取得しておき、この完了判定用画像と試験画像との輝度を比較することなどによって試験完了判定を行っても良い。指紋認証機30の外部処理装置は、試験完了判定が良好と判定すると、駆動部70へ試験完了通知を出力する。駆動部70は、試験完了通知を入力することでスキャンガラス面31のクリーニング完了を検知する。このように、指紋認証機30の外部処理装置が、クリーニング完了を確認する動作としても良い。
【0042】
次に、上述の実施形態で、駆動部70は、指紋認証機30がクリーニング開始位置から認証時位置まで移動する間に、クリーナー50によってクリーニングを行うように制御している。これは、指紋認証機30が、認証時位置からクリーニング開始位置に移動するまでの間にクリーニングを行う構成としても良い。また、指紋認証機30が、認証時位置からクリーニング位置を往復する間、継続的にクリーニングを行う構成としても良い。このような場合、クリーナー50のクリーニングテープ51は、駆動部70によって駆動される指紋認証装置30の移動方向に対応して、回転方向を変えても良い。あるいは、回転方向がそれぞれ異なるクリーニングテープ51を2セット用意して、指紋認証機30の方向に合わせて使い分けても良い。さらに、クリーニングテープ51にアルコール等を付着させる機構を設けて、より効率的にクリーニングを行うようにしてもよい。
【0043】
また、上述の実施形態で、駆動部70は、指紋認証機30を移動することでクリーニングを行うよう制御している。これは、駆動部70が、クリーナー50を移動することでクリーニングを行うように制御することでも実現可能である。駆動部70は、クリーナー50が、認証時位置に位置する指紋認証機30のスキャンガラス面31上を、クリーニングテープ51を回転させてクリーニングしながら移動させる制御としてもよい。この場合にもシャッター10は閉じているのため、安全にクリーニングを行うことができる。
【0044】
さらに、本実施形態で、動作方法のステップS20において、駆動部70は、クリーニング動作の開始時にシャッター10を閉塞している。これを、駆動部70は、指紋認証処理が完了した後にシャッター10を閉じてクリーニングを行い、クリーニング完了後もシャッター10を閉塞したまま保持し、次の指紋認証処理が開始する時にシャッター10を開放する動作方法としても良い。この場合に駆動部70は、次のような動作方法となる。駆動部70は、指紋認証機30の外部処理装置から指紋認証完了の通知を入力する。駆動部70はシャッター10を閉塞してクリーニング動作を開始する。駆動部70は、クリーニング完了を確認した時点で、シャッター10を閉塞したまま待機する。その後、駆動部70は、指紋認証機30の外部装置から指紋認証開始の指紋認証機制御信号を受信した時に、シャッター10を開放する。認証ユーザーがスキャンガラス面31に指を接触させ、指紋認証機30は指紋認証処理を行う。このような動作方法とすることによって、指紋認証処理の行われない待機中においても、スキャンガラス面31を保護することが可能となる。
【0045】
このように、本発明の指紋認証機クリーニング装置は、次のような効果を有する。まず、シャッター10、指紋認証機30、クリーナー50、及びクリーニングテープ51は、駆動部70の動力によって駆動されるため、高速で確実なスキャンガラス面31のクリーニング動作を実現できる。次に、駆動部70は、シャッター10を閉じた状態でスキャンガラス面31をクリーニングするよう制御を行うため、安全にクリーニング動作を行うことが可能となる。さらに、クリーナー50は、カセット式で着脱可能であるため、容易に交換を行うことができ、多数の認証ユーザーが認証処理を行う場面にも適応できる。
以上により、本発明の指紋認証機クリーニング装置は、高速で確実かつ安全なクリーニングを実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】指紋認証機クリーニング装置の構成を表す側面図である。
【図2】シャッター10が筐体1の開口部2を閉塞した状態を示した、指紋認証機クリーニング装置の平面図である。
【図3】シャッター10が筐体1の開口部2を開放した状態を示した、指紋認証機クリーニング装置の平面図である。
【図4】開口部2が開放状態での指紋認証機30の位置を示した、指紋認証機クリーニング装置の側面図である。
【図5】開口部2が閉塞状態での指紋認証機30の位置を示した、指紋認証機クリーニング装置の側面図である。
【図6】指紋認証機30が、認証時位置に位置するときのクリーナー50の状態を示した側面図である。
【図7】指紋認証機30が、クリーニング開始位置に位置する時のクリーナー50の状態を示した側面図である。
【図8】駆動部70の制御機能を説明するための機能ブロック図である。
【図9】指紋認証機クリーニング装置の動作フローである。
【符号の説明】
【0047】
1 筐体
2 開口部
4 敷居
10 シャッター
20 シャッター開閉確認部
21 検知器
22 検知器
30 指紋認証機
31 スキャンガラス面
40 指紋認証機移動確認部
41 検知器
42 検知器
50 クリーナー
51 クリーニングテープ
60 クリーナー位置確認部
61 検知器
62 検知器
70 駆動部
71 ラック
72 ピニオン
100 移動方向
101 移動方向
102 移動方向
103 移動方向
104 移動方向
105 回転方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証すべき指を接触させるスキャン面を有する指紋認証機と、
前記スキャン面に面するように設置され、閉状態で前記スキャン面を被覆し、開状態で前記スキャン面を露出するように開閉するシャッターと、
クリーニングを行うクリーナーと、
前記シャッターを閉状態にした時に、前記クリーナーを前記スキャン面に接触させて前記スキャン面の前記クリーニングを行い、前記クリーニングが完了すると前記シャッターを開状態にする駆動部と
を備える指紋認証機クリーニング装置。
【請求項2】
請求項1に記載の指紋認証機クリーニング装置であって、
前記指紋認証機は、設置位置の移動が可能であり、
前記駆動部は、前記指紋認証機の設置位置を移動し、前記指紋認証機を移動しながら前記クリーナーを前記スキャン面に接触させて、前記スキャン面の前記クリーニングを行うように駆動する
指紋認証機クリーニング装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の指紋認証機クリーニング装置であって、
前記駆動部が、ラック&ピニオンか、またはウォームホイールを用いて構成される
指紋認証機クリーニング装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載の指紋認証機クリーニング装置であって、
前記駆動部は、前記指紋認証機から前記認証処理の開始を通知されると、前記シャッターを駆動して閉状態にし、前記スキャン面のクリーニングが完了すると前記シャッターを駆動して開状態にする
指紋認証機クリーニング装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載の指紋認証機クリーニング装置であって、
前記駆動部は、前記指紋認証機から前記認証処理の完了を通知されると、前記シャッターを駆動して閉状態にし、前記スキャン面のクリーニングが完了した後も前記シャッターを閉状態で保持し、前記指紋認証機から前記認証処理の開始を通知されると、前記シャッターを駆動して開状態にする
指紋認証機クリーニング装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の指紋認証機クリーニング装置であって、
前記クリーナが、着脱式で交換可能である
指紋認証機クリーニング装置。
【請求項7】
認証すべき指を接触させるスキャン面に面するように設置され、閉状態で前記スキャン面を被覆し、開状態で前記スキャン面を露出するように開閉するシャッターを閉状態にするステップと、
クリーナーを前記スキャン面に接触させて前記スキャン面の前記クリーニングを行うステップと、
前記クリーニングが完了した後に前記シャッターを開状態にするステップと
を備える指紋認証機クリーニング方法。
【請求項8】
請求項7に記載の指紋認証機クリーニング方法であって、前記クリーニングを行うステップは、
前記指紋認証機の設置位置を移動し、前記指紋認証機を移動しながら前記クリーナーを前記スキャン面に接触させて、前記スキャン面の前記クリーニングを行うステップ
を含む指紋認証機クリーニング方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の指紋認証機クリーニング方法であって、前記開閉するシャッターを閉状態にするステップは、
前記認証処理の開始を通知されると、前記シャッターを閉状態にするステップ
を含む指紋認証機クリーニング方法。
【請求項10】
請求項7または請求項8に記載の指紋認証機クリーニング方法であって、前記開閉するシャッターを閉状態にするステップは、
前記指紋認証機から前記認証処理の完了を通知されると、前記シャッターを閉状態にするステップと
を含み、
前記クリーニングが完了した後に前記シャッターを開状態にするステップは、
前記スキャン面のクリーニングが完了後も前記シャッターの閉状態を保持するステップと、
前記指紋認証機から前記認証処理の開始を通知されると、前記シャッターを開状態にするステップと
を含む指紋認証機クリーニング方法。
【請求項11】
請求項7から請求項10までのいずれかに記載の指紋認証機クリーニング方法であって、
前記クリーナを着脱して交換するステップ
をさらに備える指紋認証機クリーニング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−207726(P2009−207726A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54609(P2008−54609)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】