説明

指針式表示装置及び指針式表示装置の製造方法

【課題】駆動軸の近くに光源を設けて、指針の輝度ムラを排除することができる指針式表示装置を提供する。
【解決手段】指針を駆動させる駆動手段11と、文字板の背後に設けられて駆動手段11が実装されるとともに、該駆動手段11の駆動軸111及び供給端子112が突出した面に駆動手段11の駆動信号を伝達する駆動用配線パターン122と光源6の制御信号を伝達する光源用配線パターン123とを有する第1基板12と、駆動手段11が実装された第1基板12の反対面に設けられる第2基板13と、を有するとともに、第2基板13が、第1基板12から突出する駆動軸111が貫通される貫通部131と、第1基板12から突出する供給端子112が嵌合することで駆動用配線パターン122と接続されるコネクタ部132と、光源6を貫通部131の近くに位置付けるとともに、該光源6を光源用配線パターン123と接続する光源位置付け部133と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指針式表示装置及び指針式表示装置の製造方法に関し、より詳細には、文字板の前面側に設けられた導光性の指針と、前記文字板の背後に設けられて前記指針を光輝させる光源と、を有する指針式表示装置、及び、該指針式表示装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に車両には、車両速度及びエンジン回転数等の計測値を表示する指針式表示装置が搭載されている。この指針式表示装置は、表面に目盛及び数字、文字または記号等の指標が設けられた文字板と、この文字板の前面に配置される指針と、計測量に応じて指針を駆動する内機と、回路パターンが設けられ内機が固定される配線板と、をメータケースに収容して構成している。
【0003】
速度計やタコメータ等の計器類のうち、指針と文字板を使用するアナログ(指針)式の計器類においては、指針や文字板等を暗所においても見やすくするために照明する装置として、文字板の背後に配置された光源の光により導光性部材からなる指針の指示部を光輝させる指針式表示装置が従来より開示されている。
【0004】
また、上述した指針式表示装置において、指針を駆動する駆動部としては、ステッパモータが用いられており、各種制御機器からのパルス幅変調(PWM)制御信号をモータ内の駆動コイルに伝達して出力軸を回動させることで、該出力軸の先端に設けられた指針を駆動させている。
【0005】
指針式表示装置は、ステッパモータが実装される配線板を有しており、余分なコストをかけずに配線することができるとともに、意匠変更や仕様変更に容易に対応することができる配線板を本出願人は提案してきた(特許文献1参照)。
【0006】
この配線板は、メータを照明するLED等の光源(機能部品)を基板の表面に実装したものである。光源は、ステッパモータの実装範囲を避けるように配線板上に配置されている。そして、指針への配光性を考慮すると、指針の駆動軸近辺に光源を配置すれば、指針の回動による輝度ムラの発生を減少できるので、配置する光源の数を削減しても指針の回動による輝度ムラの発生を回避することができる。
【特許文献1】特開2003−218552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した配線板においては、配線板の裏側に固定されるステッパモータの端子や係止部材が駆動軸近辺の表面に突出することから、駆動軸近辺に光源を配置するスペースを確保することが困難であった。そのため、光源は駆動軸から離れた位置に配置されることになり、指針の回動による輝度ムラの発生を回避することができなかった。
【0008】
また、ステッパモータは、文字板の背面に備え付けられた配線回路用の基板に係止構造で固定されるとともに、基板の印刷回路体に電気的に接続するため、配線板のリード差込穴に挿通され、印刷回路体のランド部にスポットはんだ(溶融温度180〜190度)で電気的に接合される技術が一般的に普及している。しかしながら、スポットはんだには、環境負荷物質であるPb(鉛)を含有している錫−錫はんだが使用されているため、代替え材料又は代替え接続技術の検討が要求されている。
【0009】
まず、錫−鉛はんだの代替えとしてフリーはんだ(錫、銀等が主成分)が鉛はんだに替わって普及しつつあるが、錫、銀を主成分にしたものが主流であり、溶融温度も鉛−錫はんだより高温(200度以上で適正溶融温度領域が鉛はんだに比べ狭い)であるため、リフローはんだ接合を行う際、恒温槽に暴露して溶融接合する必要があり、ステッパモータ内部のポリエチレン等の熱可塑性樹脂部品が熱的に耐えられず、基板への接続技術として適していない。また、リフローはんだ接合温度に耐えられるPBT(熱可塑性樹脂)や不飽和ポリエステル(熱硬化性樹脂)は材料コストが高く、端子の圧入組み付けに適さない。
【0010】
次に、コネクタを別部品として基板に実装する場合、上述したようにリフロー方式は使用できないので、基板への係止部材を用いた固定方法が考えられるが、指針式表示装置では基板のコネクタ接続部の背面にステッパモータを実装させる必要性があるので、配索的に困難である。
【0011】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、駆動軸の近くに光源を設けて、指針の輝度ムラを排除することができる指針式表示装置及び指針式表示装置の製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の指針式表示装置は、文字板の前面側に設けられた導光性の指針と、前記文字板の背後に設けられて前記指針を光輝させる光源と、を有する指針式表示装置において、前記指針を駆動させる駆動手段と、前記文字板の背後に設けられて前記駆動手段が実装されるとともに、該駆動手段の駆動軸及び供給端子が突出した面に前記駆動手段の駆動信号を伝達する駆動用配線パターンと前記光源の制御信号を伝達する光源用配線パターンとを有する第1基板と、前記駆動手段が実装された前記第1基板の反対面に設けられる第2基板と、を有するとともに、前記第2基板が、前記第1基板から突出する前記駆動軸が貫通される貫通部と、前記第1基板から突出する前記供給端子が嵌合することで前記駆動用配線パターンと電気的に接続されるコネクタ部と、前記光源を前記貫通部の近くに位置付けるとともに、該光源を前記光源用配線パターンと電気的に接続する光源位置付け部と、を有することを特徴とする。
【0013】
上記請求項1に記載した本発明の指針式表示装置によれば、第1基板の一方側に駆動手段が実装され且つ他方側に第2基板が実装されると、駆動手段の駆動軸は第2基板の貫通部を貫通され、供給端子は第2基板のコネクタ部に嵌合されて駆動用配線パターンと電気的に接続される。そして、第2基板の光源位置付け部に実装された光源は、第2基板の貫通部から突出する駆動手段の駆動軸の近くに配置される。
【0014】
上記課題を解決するためになされた請求項2記載の発明は、請求項1に記載の指針式表示装置において、前記第2基板が、前記第1基板に該第2基板を係止する係止部を有するとともに、前記係止部と前記光源位置付け部とを一体的に射出成形されていることを特徴とする。
【0015】
上記請求項2に記載した本発明の指針式表示装置によれば、第2基板は係止部と光源位置付け部とが一体的に射出成形により形成される。そして、係止部によって第2基板は第1基板に実装される。
【0016】
上記課題を解決するためになされた請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の指針式表示装置において、前記光源位置付け部が、前記第1基板における前記駆動手段が設けられた範囲内かつ前記貫通部の近くとなるように前記光源を前記第2基板に位置付けることを特徴とする。
【0017】
上記請求項3に記載した本発明の指針式表示装置によれば、第1基板における駆動手段が設けられた範囲内かつ前記貫通部の近くとなるように、光源位置付け部によって光源を位置付けることができる。
【0018】
上記課題を解決するためになされた請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の指針式表示装置において、前記コネクタ部が、前記供給端子を嵌合する多角柱状の嵌合孔と、該嵌合孔の内壁に沿って設けられて前記供給端子を挟持する挟持部を有するコネクタ端子と、を有することを特徴とする。
【0019】
上記請求項4に記載した本発明の指針式表示装置によれば、駆動手段の供給端子が嵌合孔に嵌合されると、該供給端子は挟持部によって挟持されて駆動用配線パターンと電気的に接続される。
【0020】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項5記載の指針式表示装置の製造方法は、請求項1〜4の何れかに記載の指針式表示装置の製造方法であって、前記第2基板の光源位置付け部に前記光源を半田付けにより実装する工程と、前記第1基板に前記駆動手段を実装するとともに、前記第1基板から突出する前記駆動軸が前記貫通部から突出し、かつ、前記第1基板から突出する前記駆動手段の供給端子と前記コネクタ部とが嵌合して電気的に接続されるように前記第2基板を前記第1基板に実装する工程と、を有することを特徴とする。
【0021】
上記請求項5に記載した本発明の指針式表示装置の製造方法によれば、第2基板の光源位置付け部に光源が半田付けにより実装されることで、光源は貫通部の近くに位置付けられる。そして、第1基板の一方側に駆動手段が実装され且つ他方側に第2基板が実装されると、駆動手段の駆動軸は第2基板の貫通部を貫通され、供給端子は第2基板のコネクタ部に嵌合されて駆動用配線パターンと電気的に接続される。その結果、第2基板の光源位置付け部に実装された光源は、駆動軸の近くに配置されることになる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように請求項1,5に記載した本発明によれば、第2基板の光源位置付け部によって第1基板に実装された駆動手段の駆動軸の近くに光源を配置できるようにしたことから、指針が回動したときの指針の輝度ムラを解消することができるので、運転者に違和感を与えることを防止することができる。また、駆動軸の近くに光源を配置することができるため、光源の数を減らしたり、輝度の小さい光源を用いることができるので、コストダウンを図ることができる。さらに、第2基板に対して光源を実装すればよいことから、溶融温度が高温のリフローはんだ等を用いることが可能となり、環境負荷物質である鉛が含有された錫−錫はんだを使用せずに済むため、鉛フリー化に容易に対応することができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、係止部と光源位置付け部とが一体的となるように射出成形により第2基板を形成し、係止部によって第2基板を第1基板に実装するようにしたことから、第2基板に別体のコネクタを実装する必要がなくなるため、別体のコネクタをはんだ接合し実装した場合のように基板に対する別体のコネクタの垂直度を管理する必要がなくなり、組み付け作業等の作業効率を向上させることができる。また、射出成形により第2基板の表面に回路を立体的に配置することができるため、コネクタ部に接続する回路や光源と接続する回路等を第2基板の裏面まで配置でき、第1基板の回路と係止部で固定することにより押圧接触して導通を確保することができるため、半田接合を不要とすることができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、第1基板における駆動手段が設けられた範囲内かつ前記貫通部の近くとなるように、光源位置付け部によって光源を位置付けるようにしたことから、光源を駆動軸の近くに確実に配置することができるため、指針が回動したときの指針の輝度ムラを解消することができる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3の何れか1項に記載の発明の効果に加え、第2基板の嵌合孔を多角柱状に形成しているので、第2基板の射出成形時にインサート成形でハウジングに固定されて抜け落ちることがなく、成形した後に供給端子を後嵌めする必要がなくなる。また、貫通孔の断面が多角形となっているので、供給端子を丸ピン端子とすれば、挿入時の挿入抵抗を増大せずに挿入が可能となり、かつ、供給端子がやや曲がっていても供給端子が挟持部における適切な嵌合位置に誘導され、挟持部が確実に挟持して接触することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係る指針式表示装置を車両のコンビネーションに適用する最良の形態を、図1乃至図10の図面を参照して説明する。
【0027】
図1乃至図7において、本発明の指針式表示装置1は、スピードメータ、燃料メータ、水温メータ、タコメータ、オドメータ等が一体化されたコンビネーションメータである。
【0028】
指針式表示装置1は、見返し2と、文字板3と、指針4と、LCD(liquid crystal display)5と、光源である複数のLED(light emitting diode)6と、表カバー7と、駆動手段である内機11と、第1基板12と、第2基板13と、文字板3の前方に覆設される図示しないスモークガラスと、を有している。
【0029】
見返し2は、例えば、黒色の合成樹脂等で形成されており、スピードメータ、燃料メータ、水温メータ、タコメータ、オドメータ等の各表示意匠に応じた複数の表示窓を有している。
【0030】
文字板3は、例えば、ポリカーボネイト等の合成樹脂で形成されており、各メータに対応して横長形状をしている。文字板3上には、スピードメータ、燃料メータ等に対応した表示意匠31a、31bや、方向指示意匠31c、各種ウオーニング意匠31d、チェンジレバーポジション指示意匠31e等が形成されている。また、各メータにそれぞれ対応したムーブメントによって、それぞれの計測値に基づいた所定角度だけ回転駆動されて文字板3上の所定の表示意匠を指示する指針4も取り付けられている。
【0031】
指針4は、周知であるように、指示部41と基部42とからなる指針本体43と、該基部42を覆う黒色等の不透明な樹脂材料から成る指針キャップ44と、を有している。指針本体43は、指針袴を介して後述する駆動軸に固着されることで、駆動軸によって回動される。
【0032】
指針本体43は、透明なアクリル樹脂で形成されている。そして、LED6が発した光が基部42から指針本体43に入射されるとその内部を導光され、指示部41の指示方向に反射する図示しない反射面によって反射されて指示部41の先端方向に導光される。その結果、指示部41内を導光される光によって指示部41が光輝しているように利用者から視認される。なお、指針本体43の底面に着色層を設けて指針本体43上面への光の反射を良くして指針4の光輝を高めるようにしてもよい。
【0033】
LCD5は、累積走行距離等をディジタル値で表示するオドメータ用の指示装置である。LCD5は、文字板3のLCD窓を介して積算走行距離情報等の所定表示を外部に表示することが可能なように、LCD窓の下方、つまり、文字板3の背面側に設けられる。
【0034】
LED6は、指針4を照明する照明装置であり、制御信号によって点灯、消灯が制御される。LED6は、文字板3の背後に指針4の基部42の端部と対向するように、第2基板13の上面に設けている。そして、LED6が発した光は、指針4の基部42から指針本体43内に入射される。なお、光源としては、バルブ等を用いることもできる。
【0035】
表カバー7は、例えば、プラスティック等の合成樹脂で形成されており、文字板3の形状に対応した横長の皿状をしている。表カバー7は、裏カバーに一体化されて、ムーブメント、各種電子部品を搭載する電子基板を両面から挟み込むようにして収容する。表カバー7は、LCD5と後述する背面照明ユニット10を収容するケース8を有しており、ケース8は表カバー7に一体に形成されている。
【0036】
内機11は、図2及び図3に示すように、周知であるステッパモータ、ムーブメント等が用いられる。内機11は、駆動軸111と、複数(図3中では4つ)の供給端子112と、一対の係止アーム113と、を有している。駆動軸111の先端部には、指針4が固着される。駆動軸111は、ハウジング114から立設する保持部115によって回動自在に保持されている。
【0037】
各供給端子112の端部は、ハウジング114から駆動軸111と同一方向に向かって突出しており、その突出部分の長さは第1基板12を貫通して第2基板13に嵌合可能な長さとなっている。そして、内機11は、各供給端子112から入力される駆動信号に応じて駆動軸111を回動させる。
【0038】
係止アーム113は、基部113aと、所定の間隔で対向するように基部113aから立設する弾性自在の一対のアーム113bと、を有している。一対のアーム113bの端部には、係止突起113cが形成されている。内機11を第1基板12に実装する際は、一対の係止アーム113bを互いに近づけて第1基板12の第1係止穴121に貫通させ、係止突起113cを第1基板12に係止させることで、内機11が第1基板12から脱落するのを防止して、内機11が第1基板12に実装される。
【0039】
第1基板12は、平板状のプリント配線基板であり、表カバー7に一体化されるように文字板3の背後に設けられる。第1基板11は、図3〜4に示すように、内機11の駆動軸111が貫通する駆動軸穴120と、内機11を実装する上述した一対の第1係止穴121と、4つの駆動用配線パターン122と、4つの光源用配線パターン123と、4つの端子穴124と、第2基板13を実装する一対の第2係止穴125と、第2基板13に対する2つの位置決め穴126と、複数の電子部品127と、を有している。
【0040】
駆動軸穴120は、内機11の保持部115が嵌合するように円柱状に形成されている。第1係止穴121は、内機11を第1基板12に実装する際に係止アーム113の係止突起113cが係止されるように直方体状の穴として形成されている。駆動用配線パターン122は、図示しない制御部に接続されており、内機11の駆動を制御するための電気回路を形成している。光源用配線パターン123は、図示しない制御部に接続されており、LED6の点灯、消灯を制御するための電気回路を形成している。
【0041】
端子穴124は、内機11の供給端子112が貫通可能な穴として形成されている。第2係止穴125は、後述する第2基板13の係止部を貫通するように直方体状の穴として形成されている。位置決め穴126は、第2基板13のボスよりも若干大きな断面が楕円状の穴として形成されている。電子部品127は、配線パターンに実装されたチップ状のコンデンサ、抵抗となっている。
【0042】
第2基板13は、平板状のプリント配線基板であり、内機11よりも若干小さくなるように形成されている。第2基板13は、内機11が実装された第1基板12の反対面に実装される。第2基板13は、図3乃至図6に示すように、貫通部131と、一対のコネクタ部132と、3つの光源位置付け部133と、一対の係止部134と、を有している。第2基板13は、射出成形によって形成されている。
【0043】
貫通部131は、第2基板13が第1基板12に実装されたときに、第1基板12の駆動軸穴120と連通するように円柱状に形成されており、第1基板から突出する駆動軸111が貫通されるとともに、内機11の保持部115が嵌合される。
【0044】
各コネクタ部132は、図5に示すように、立設部132aと、2つの嵌合孔132bと、各嵌合孔132bに対して一対設けられるコネクタ端子132cと、導体部132dと、を有している。立設部132aは、第2基板13から駆動軸111の突出方向に向かって立設するように形成されている。嵌合孔132bは、第2基板13から立設部132aに亘って貫通するように直方体状に形成されている。
【0045】
コネクタ端子132cは、図6に示すように、一対の挟持片132eと、該一対の挟持片を連結する連結部132fと、を有している。一対の挟持片132eは、それぞれ対向し、任意の部分で互いに近づく方向に狭まるように鼓状に形成されており、各嵌合孔132bに挿入された内機11の供給端子112に確実に接触させることができる。
【0046】
連結部132fは、その中央付近に止め部132hを設けており、該止め部132hによってコネクタ端子132cが嵌合孔132bから外れることを防止している。各挟持片132eは、凸状のダボ132gを有しており、該ダボ132gを嵌合孔132bの凹部132iに嵌合することで、嵌合孔132bからの抜けを防止している。
【0047】
導体部132dは、嵌合孔132bの内壁と挟持片132eとの間に介在するように設けられて、コネクタ端子132cと第1基板12の駆動用配線パターン122とを電気的に接続する配線パターンとして第2基板の表面に設けられている。導体部132dは、周知技術であるMID(Molded Interconnect Device=射出成形回路部品)技術によって、射出成形品である第2基板13の表面に立体的に電気回路として形成されている。つまり、導体部132dと第2基板13との一体化を図ることで、組立て工数の削減等を図っている。
【0048】
光源位置付け部133は、LED6を貫通部131の近くに位置付ける実装部133aと、該実装部133aに実装されたLED6を上述した光源用配線パターン123と電気的に接続する光源用配線パターン133bとを有している。光源位置付け部133は、第1基板12における内機11が設けられた範囲内かつ貫通部131の近くとなるように、LED6を駆動軸111に対して位置付けている。よって、LED6を駆動軸11の近くに確実に配置することができるため、指針4が回動したときの指針4の輝度ムラを解消することができる。
【0049】
実装部133aと光源用配線パターン133bは、上述した駆動用配線パターン122と同様に、MID技術によって第2基板13の表面に立体的に電気回路として形成されている。
【0050】
一対の係止部134は、第2基板13から第1基板12に向かって立設するベース部134aと、ベース部134aの端部に設けられた係止突起134bと、を有している。そして、第2基板13を第1基板12に実装するときは、第2基板13の裏面に設けられた一対のボス135を第1基板12の各位置決め穴126に貫通させて第2基板13を第1基板12に対して位置決めし、係止部134を第2係止穴125に貫通させ、係止突起134bを第1基板12に係止させることで、第2基板13が第1基板12から脱落するのを防止して、第2基板13が第1基板12に実装される。
【0051】
なお、本実施の形態では、第2基板13の各コネクタ部132が立設部132aを有する場合について説明するが、第2基板13の厚さのみでコネクタを形成することが可能であれば、コネクタ部132に立設部132aを設ける必要はない。
【0052】
次に、上述した構成の指針式表示装置1の組み付け例を以下に説明する。
【0053】
まず、最初の接続工程においては、第1基板12に各種電子部品127がフリーはんだによって実装される。そして、第2基板1にLED6がフリーはんだによって光源位置付け部133に実装される。つまり、貫通部131の近くに3つのLED6が配置される。このように、第1基板12及び第2基板13には、まだ内機11が実装されていないことから、リフローはんだ接合を行うことができる。
【0054】
次の組み付け工程においては、第1基板12の一方側に内機11が実装され、且つ、他方側に第2基板13が実装されると、内機11の駆動軸111は第2基板13の貫通部131を貫通され、供給端子112は第2基板13のコネクタ部132に嵌合接続される。そして、図7に示すように、第1基板12の駆動用配線パターン122と第2基板13の各コネクタ部132の導体部132d、及び、光源用配線パターン123と第2基板13の光源用配線パターン133bがはんだ20によって接合される。その結果、コネクタ部132を介して内機11の端子112と第1基板12の駆動用配線パターン122とが電気的に接続される。また、第2基板13に実装されたLED6と光源用配線パターン123とが電気的に接続される。そして、文字板3の背後に配置されて内機11の駆動軸111が文字板3の表面側に突出すると、その先端に指針4が取り付けられる。
【0055】
このように組み立てられた指針式表示装置1は、車両のイグニッションスイッチのON等に応じて、第2基板13によって内機11の駆動軸111の近くに配置されたLED6を発光させる。そして、LED6が発した光は、指針4の指針本体43内に入射され、指示部41に導光されて指示部41が光輝する。そして、指針式表示装置1は、速度センサ等の計測量に応じた駆動信号を内機11に出力することで、駆動軸111を所定の範囲だけ回動させることで、指針4を回動させる。
【0056】
以上説明した指針式表示装置1によれば、第2基板13の光源位置付け部133によって第1基板12に実装された内機11の駆動軸111の近くにLED6を配置できるようにしたことから、指針4が回動したときの指針4の輝度ムラを解消することができるので、運転者に違和感を与えることを防止することができる。また、駆動軸111の近くにLED6を配置することができるため、LED6の数を減らしたり、輝度の小さいLED6を用いることができるので、コストダウンを図ることができる。さらに、第2基板13に対してLED6を実装すればよいことから、溶融温度が高温のリフローはんだ等を用いることが可能となり、環境負荷物質である鉛が含有された錫−錫はんだを使用せずに済むため、鉛フリー化に容易に対応することができる。
【0057】
また、係止部134と光源位置付け部133とが一体的となるように射出成形により第2基板13を形成し、係止部134によって第2基板13を第1基板12に実装するようにしたことから、第2基板13に別体のコネクタを実装する必要がなくなるため、別体のコネクタをはんだ接合し実装した場合のように基板に対する別体のコネクタの垂直度を管理する必要がなくなり、組み付け作業等の作業効率を向上させることができる。また、射出成形により第2基板13の表面に回路を立体的に配置することができるため、コネクタ部132に接続する回路やLED6と接続する回路等を第2基板13の裏面まで配置でき、第1基板12の回路と係止部で固定することにより押圧接触して導通を確保することができるため、はんだ接合を不要とすることができる。
【0058】
なお、上述した本最良の形態では、コネクタ部132の各嵌合孔132bを直方体状に形成する場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、種々異なる実施形態とすることができる。
【0059】
例えば、図8〜図10に示すように、各コネクタ部132が多角柱状に形成された嵌合孔132b’とすることもできる。嵌合孔132b’は、各端部からその中央に向かって狭まるように断面が鼓状に形成されている。つまり、その狭まった部分が上述した挟持部として機能している。そして、コネクタ部132は鼓状に形成されていることから、その内壁の端部から中央に向かう部分がテーパ部となるため、供給端子112がやや曲がっていたり、ズレが生じていてもテーパ部によって供給端子112を適切な挟持位置に誘導することができる。また、導体部132dは、嵌合孔132b’の内壁に沿って設けられているため、確実に供給端子112と電気的に接続することができる。なお、コネクタ部132の他の構成は、上述したものと同一になっている。
【0060】
このように、第2基板13の嵌合孔132b’を多角柱状に形成することで、第2基板13の射出成形時にインサート成形で立設部132aに固定されて抜け落ちることがなく、成形した後に供給端子112を後嵌めする必要がなくなる。また、嵌合孔132b’の断面が多角形となっているので、供給端子112を丸ピン端子とすれば、挿入時の挿入抵抗を増大せずに挿入が可能となり、かつ、供給端子112がやや曲がっていても該供給端子112が鼓状のテーパ部によって挟持部における適切な嵌合位置に誘導されることから、挟持部が確実に挟持して接触することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明が適用される車両用計器の一例を示す正面図である。
【図2】本発明の指針式表示装置の構成を示す断面模式図である。
【図3】本発明の指針式表示装置の分解斜視図である。
【図4】図3中の第1基板及び第2基板の組み付け例を示す図である。
【図5】図3中の第2基板のコネクタ部の断面図である。
【図6】コネクタ端子の外観を示す斜視図である。
【図7】第1基板及び第2基板の接合例を説明するための図である。
【図8】第2基板のコネクタ部の他の例を示す斜視図である。
【図9】図8中の第2基板のコネクタ部の上面図である。
【図10】図8中の第2基板のコネクタ部の断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 指針式表示装置
3 文字板
4 指針
6 LED(光源)
11 内機(駆動手段)
12 第1基板
13 第2基板
111 駆動軸
112 供給端子
122 駆動用配線パターン
123 光源用配線パターン
131 貫通部
132 コネクタ部
133 光源位置付け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字板の前面側に設けられた導光性の指針と、前記文字板の背後に設けられて前記指針を光輝させる光源と、を有する指針式表示装置において、
前記指針を駆動させる駆動手段と、
前記文字板の背後に設けられて前記駆動手段が実装されるとともに、該駆動手段の駆動軸及び供給端子が突出した面に前記駆動手段の駆動信号を伝達する駆動用配線パターンと前記光源の制御信号を伝達する光源用配線パターンとを有する第1基板と、
前記駆動手段が実装された前記第1基板の反対面に設けられる第2基板と、
を有するとともに、
前記第2基板が、前記第1基板から突出する前記駆動軸が貫通される貫通部と、前記第1基板から突出する前記供給端子が嵌合することで前記駆動用配線パターンと電気的に接続されるコネクタ部と、前記光源を前記貫通部の近くに位置付けるとともに、該光源を前記光源用配線パターンと電気的に接続する光源位置付け部と、を有することを特徴とする指針式表示装置。
【請求項2】
前記第2基板が、前記第1基板に該第2基板を係止する係止部を有するとともに、前記係止部と前記光源位置付け部とを一体的に射出成形されていることを特徴とする請求項1に記載の指針式表示装置。
【請求項3】
前記光源位置付け部が、前記第1基板における前記駆動手段が設けられた範囲内かつ前記貫通部の近くとなるように前記光源を前記第2基板に位置付けることを特徴とする請求項1又は2に記載の指針式表示装置。
【請求項4】
前記コネクタ部が、前記供給端子を嵌合する多角柱状の嵌合孔と、該嵌合孔の内壁に沿って設けられて前記供給端子を挟持する挟持部を有するコネクタ端子と、を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の指針式表示装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の指針式表示装置の製造方法であって、
前記第2基板の光源位置付け部に前記光源を半田付けにより実装する工程と、
前記第1基板に前記駆動手段を実装するとともに、前記第1基板から突出する前記駆動軸が前記貫通部から突出し、かつ、前記第1基板から突出する前記駆動手段の供給端子と前記コネクタ部とが嵌合して電気的に接続されるように前記第2基板を前記第1基板に実装する工程と、
を有することを特徴とする指針式表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−198941(P2007−198941A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−18704(P2006−18704)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】