説明

振動を減衰するための装置、特にねじり振動ダンパ

【課題】アクティブな減衰が、構造的なかつ制御技術的な僅かな手間で実現されるようにする。
【解決手段】変換装置38が設けられており、該変換装置38が、生ぜしめられる軸方向力Faxialと、反力Faxial−gegenとの間の力差の発生時に、該力差を、振動を減衰するための装置1に設けられた、反力Faxial−gegenを変化させるための調整装置35を操作するための調整量Yに直接変換するようになっているようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動を減衰するための装置、特にねじり振動ダンパであって、一次部材と二次部材とが設けられており、両部材が、トルク伝達のための手段と、減衰接続のための手段とを介して互いに連結されており、トルク接続のための手段が、入力モーメントMeinの導入によって生ぜしめられる、両エレメントの一方、つまり、一次部材または二次部材における回動運動を、入力モーメントに比例する、他方のエレメント、つまり、二次部材または一次部材に対して作用する軸方向力Faxialにかつ伝達したいトルクに変換するためのカム機構を有しており、トルクが、生ぜしめられる軸方向力Faxialと逆方向に向けられた反力Faxial−gegenを発生させるための手段を介して他方のエレメント、つまり、一次部材または二次部材に支持されるようになっており、前記手段が、予め規定された伝達したい平均的な入力モーメントMein−mittelに調整されている形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に用いられる、振動を減衰するための装置は、多数の構成で既知である。この場合、アクティブな減衰システムとパッシブな減衰システムとが識別される。パッシブな振動システムが十分に普及している。この振動システムは、主として、フライホイールの形の一次部材と二次部材とから成っている。両部材はばね・減衰カップリングを介して互いに連結されている。この場合、このばね・減衰カップリングはばねユニットを介して形成される。この場合、周方向に作用する少なくとも1つのコイルばねが設けられている。さらに、このグループには、いわゆる「デュアルマスフライホイール」も所属している。この場合、ここでは、両フライホイールマスが支承手段を介して互いに支承されている。しかし、振動のこのパッシブな絶縁の使用は、ある程度の制限を受ける。1つには、良好な振動絶縁を得るために、減衰エレメントが可能な限り僅かな剛性を有していることが必要であり、もう1つには、このような形式の装置が弾性的なクラッチのように機能する。なぜならば、このような形式の装置がトルクも伝達しなければならないからである。この場合、大きなモーメントの伝達と同時に入力装置と出力装置との間の制限されたねじれ角とは、比較的剛性的なシステムを要求する。このことは、所望の減衰特性と矛盾している。したがって、回動斑(むら)に対する僅かな剛性と同時に、入力機械の平均的なモーメントを伝達することができるようにするための高い剛性とを備えた減衰システムが恐らく有利である。したがって、この問題を解決するために、いわゆる「アクティブな減衰システム」が提案される。この減衰システムは機構および機械のサスペンションの領域に使用される。代わりに、ここでは、ドイツ連邦共和国特許出願公開第69724691号明細書が参照される。この場合、この構成では、入力機械が固有の制御を介して緩和される。しかし、このことは、入力機械における直接的な機能変化を生ぜしめる。このことは、構造原理と、第三者によって提供されるコンポーネントによる設定された周辺条件に対する見通せない関係の回避とにより所望されていない。
【0003】
さらに、周方向に作用するコイルばねが使用されず、適宜なカム機構によって、軸方向スラストがねじり振動ダンパの一方のフライホイールから他方のフライホイールに加えられる、すなわち、一般的には一次部材から二次部材に加えられる機械的な解決手段が知られている。この場合、軸方向に作用するばねの使用時には、振動エネルギを一時的に蓄えることができる。軸方向スラストの発生は、周方向に延びるレンズ状の少なくとも1つの凹部を一方のディスクの少なくとも一方の端面に設けることによって行われる。ディスクはカムとも呼ばれるし、周方向で見て両方向で対称的な構成では、ダブルカムとも呼ばれる。この場合、このような形式のダブルカムには、転動体が配置されている。この転動体はダブルカムの最深の点でも各隣接ディスクに端面側で接触する。転動体は一般的にボールとして形成されている。これに関して、特にドイツ連邦共和国特許出願公開第10017688号明細書が参照される。この場合、一方のディスクに対する他方のディスクの相対ねじれによって、軸方向スラストが形成される。この軸方向スラストは、導入されたトルクピークの軽減時に再びトルクに変換される。一般的にカム機構では、回動運動が軸方向運動に変換され、軸方向反力を補償しかつトルクを伝達するために、ハイドロリック的な圧力室が使用されるので、圧着圧が一般的に入力モーメントの平均値に比例して制御されなければならない。しかし、このためには、一次部材における入力モーメントを検出しかつ濾過することが必要となる。この場合、この量から、特に二次側における圧着圧の圧力制御または圧力調整に対する制御量ひいては圧力を制御するかもしくは提供するための調整量が形成される。この調整は、比較的複雑なセンサ機構と、検出された量の電子的な処理とを要求する。したがって、全システムに極めて手間がかかる。
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第69724691号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許出願公開第10017688号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の課題は、冒頭で述べた形式の、組み込まれたカム機構を備えた、振動を減衰するための装置を改良して、前述した欠点が回避され、特にアクティブな減衰が、構造的なかつ制御技術的な僅かな手間で実現されるようにすることである。規定された実際量の、付加的に必要となる検出と、これに基づき必要となる、目標量および調整量の形成なしの制御が恐らく理想的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するために本発明の構成では、変換装置が設けられており、該変換装置が、生ぜしめられる軸方向力Faxialと、反力Faxial−gegenとの間の力差の発生時に、該力差を、振動を減衰するための装置に設けられた、反力Faxial−gegenを変化させるための調整装置を操作するための調整量Yに直接変換するようになっているようにした。
【0006】
本発明の有利な構成によれば、力差が、距離sまたは角度に変換装置で変換されるようになっている。
【0007】
本発明の有利な構成によれば、当該装置が、ハイドロリック的な制御装置を有しており、該制御装置が、反力Faxial−gegenを発生させるための手段と、反力を変化させるための調整装置とを有しており、該調整装置が、変換装置に連結された調整部材を有している。
【0008】
本発明の有利な構成によれば、反力Faxial−gegenを発生させるための手段が、少なくとも1つのピストンエレメントと、該ピストンエレメントを負荷するための、圧力媒体で充填可能な圧力室とを有しており、該圧力室が、調整装置を介して選択的に圧力媒体源または放圧装置に接続可能であるかまたは単にアキュムレータに放圧装置または圧力媒体源との接続なしに接続可能である。
【0009】
本発明の有利な構成によれば、調整装置が、弁装置を有しており、該弁装置が、少なくとも3つの切換位置、つまり、圧力室をアキュムレータに接続するための第1の切換位置と、圧力室を圧力媒体源に接続するための第2の切換位置と、圧力室を放圧装置に接続するための第3の切換位置とを有している。
【0010】
本発明の有利な構成によれば、弁が、3ポート3位置弁として形成されていて、無段式に操作可能であり、調整部材として、弁装置のピストンエレメントが機能するようになっており、弁装置が、無段式に操作可能である。
【0011】
本発明の有利な構成によれば、変換装置が、カム機構のカムエレメントによって形成されるようになっている。
【0012】
本発明の有利な構成によれば、変換装置が、二次部材または二次部材に連結されたカムエレメントに組み込まれている。
【0013】
本発明の有利な構成によれば、変換装置が、ピストンエレメントに組み込まれている。
【0014】
本発明の有利な構成によれば、減衰接続のための手段が、ハイドロリック的なばねアキュムレータを有しており、該ばねアキュムレータが、圧力チャンバに対して同軸的に配置されている。
【発明の効果】
【0015】
振動を減衰するための装置は一次部材と二次部材とを有している。両部材は、トルク伝達のための手段と、減衰接続のための手段とを介して互いに連結されている。トルク伝達の目的のための連結は、入力モーメントMeinの導入によって生ぜしめられる、両エレメントの一方、つまり、一次部材または二次部材における回動運動を、入力モーメントに比例する、他方のエレメント、つまり、二次部材または一次部材に対して作用する軸方向力Faxialにかつ伝達したいトルクに変換するためのカム機構を介して行われる。この場合、トルクは、生ぜしめられる軸方向力Faxialと逆方向に向けられた反力Faxial−gegenを発生させるための手段を介して他方のエレメント、つまり、一次部材または二次部材に支持される。前記手段は、予め規定された伝達したい平均的な入力モーメントMein−mittelに調整されており、これによって、このモーメントの発生時に、力平衡がカム機構に形成される。本発明によれば、変換装置が設けられている。この変換装置は、生ぜしめられる軸方向力Faxialと、反力Faxial−gegenとの間の力差の発生時に、この力差を、振動を減衰するための装置に設けられた、反力Faxial−gegenを変化させるための調整装置を操作するための調整量Yに直接変換する。
【0016】
本発明による解決手段によって、平均的な入力モーメントからの偏差の量に関連して、より高いかまたはより僅かな入力モーメントの伝達に対する所要の反力の直接的な適合が、個々の量の手間のかかる検出および1回の制御における手間のかかる処理なしに可能となる。
【0017】
有利には、変換装置で直接的に力差が距離sまたは角度に変換される。この場合、力差はすでに個々のカムエレメントにおける移動を生ぜしめ、これによって、特に簡単に形成された構成により、距離を、調整装置を制御するための調整量として直接使用することができる。
【0018】
有利には、制御は純粋にハイドロリック的に、すなわち、電子的なデータ伝送なしに行われる。このためには、ハイドロリック的な制御装置が、反力Faxial−gegenを発生させるための手段と、反力を変化させるための調整装置とを有している。この調整装置は、変換装置に連結された調整部材を有している。反力Faxial−gegenを発生させるための手段は、一般的に、少なくとも1つのピストンエレメントと、このピストンエレメントを負荷するための、圧力媒体で充填可能な圧力室とを有している。この圧力室は調整装置を介して選択的に圧力媒体源または放圧装置に接続可能であるかまたは択一的に単にアキュムレータに放圧装置または圧力媒体源との接続なしに接続可能である。この場合、アキュムレータは同時に減衰接続のための手段として機能する。
【0019】
調整装置は、最も簡単な事例では、弁装置を有している。この弁装置は少なくとも3つの切換位置、つまり、圧力室をアキュムレータに接続するための第1の切換位置と、圧力室を圧力媒体源に接続するための第2の切換位置と、圧力室を放圧装置に接続するための第3の切換位置とを有している。このためには、弁装置が3ポート3位置弁として形成されていてよい。反力の敏感な調整のためには、弁装置が、有利には無段式に操作可能である。ピストン面の構成と、移動ストロークとに応じて、調整の感度を規定することができる。
【0020】
この場合、システムは、平衡して、すなわち、圧着圧と、一般的に一次部材における入力モーメントから生ぜしめられる力とが等しい大きさである場合に、平均的なねじれ角範囲内に位置している。このねじれ角範囲内では、システムがパッシブとなり、トルクが伝達される。この場合、圧力チャンバもしくはハイドロリック的なアキュムレータと、タンクとの間にも、ハイドロリック的なアキュムレータと圧力媒体源との間にも接続は存在しない。この場合、振動の絶縁を保証するために、圧力チャンバがアキュムレータと一緒に弾性的なエレメントとして機能する。この事例では、アキュムレータを介して、振動が、いわば減少させられる。
【0021】
入力モーメントが増加すると、圧力チャンバ内で二次部材に作用する押圧力よりも高い軸方向力が生ぜしめられる。したがって、圧力チャンバと圧力媒体源との間に接続が形成されるように、カムとピストンとが移動させられる。力平衡が再び形成されるまで、圧着圧が圧力媒体源における接続に起因して増加する。いま、システムが再びパッシブになる。類似して、平均的な入力モーメントが減少する場合に同じ過程が行われる。この事例では、平衡が、圧力チャンバと放圧装置としてのタンクとの間の接続によって再び形成される。
【0022】
したがって、本発明による解決手段によって、変化させられた入力モーメントに対する、圧力チャンバ内のもしくは圧着チャンバ内の圧力の、平均的な入力モーメントからの偏差の量に関連して行われる適合が可能となる。この場合、変化量は、弁装置の操作のための調整量として直接機能する。
【0023】
構造上の構成に対して、多数の可能性が存在する。しかし、有利には、ここでも、高い程度の構成部材組込みが選択される。特に圧力チャンバの一部をカムエレメントもしくは二次部材に組み込むことが有利である。同じことが調整装置、特に弁装置に当てはまる。この事例では、構造的に極めてコンパクトな構成を実現することができ、必要となる個々の通路を直接関連して同様にシステムに設けることができる。この場合、ここでは、互いに相対運動によって、管路横断面の遮断または解放が可能となる。
【0024】
弁装置は種々異なる形式で形成されていてよい。最も簡単な事例では、弁装置が少なくとも3つの切換位置を有していて、3ポート3位置弁として形成されている。この3ポート3位置弁は単に段階式に、すなわち、個々の切換位置の間で切換可能であってもよいし、個々の切換位置の間で無段式であってもよい。
【0025】
変換装置は、有利には、トルク伝達に関与するエレメント、特にカムエレメントによって形成される。この場合、有利には第2のカムエレメントが選択される。なぜならば、ここでは、軸方向力と反力とが直接的に有効になるからである。したがって、変換装置は、カムエレメントに相対回動不能に連結された二次部材によって形成されてもよいし、二次部材としてのカムエレメントの構成では、このカムエレメントによって形成されてもよい。
【0026】
特に有利な構成によれば、弁装置と、ピストンエレメントと、カムエレメントとが二次部材に組み込まれている。この構成では、システムが、いわば、いわゆる「固定カム」、すなわち、軸方向で定置であり、入力部を形成していて、一般的に一次部材によって形成されるカムと、出力部を形成していて、有利には相対回動不能に二次部材に結合されているかまたは二次部材を直接形成している、いわゆる「移動カム」とを有している。さらに、弁装置とアキュムレータとが設けられている。この場合、簡単にするために、弁装置のピストンが移動カムの形で形成される。この場合、この移動カムは、圧着チャンバの、軸方向に移動可能な壁によって形成される。このためには、トルクを伝達することができるようにするために、二次部材を周方向で移動カムに結合することが必要となる。しかし、軸方向では、移動カムが二次部材に対して移動可能に形成されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面につき詳しく説明する。
【0028】
図1には、組み込まれたカム機構2を備えた、振動を減衰するための本発明による装置1の基本構造が概略的に簡単に示してある。当該装置1は一次部材3と二次部材4とを有している。両部材3,4は、トルク伝達のための手段5を介して、さらに、減衰接続のための手段6と共に連結されている。このためには、カム機構2が入力側の部材と出力側の部材とを有している。この場合、両部材は、力伝達方向に応じて、一次部材3もしくは二次部材4によって形成されるかまたはカムエレメントとしてのエレメントと共に少なくとも1つの構造上のユニットを形成している、すなわち、カムエレメントに相対回動不能に連結されている。一般的に一次部材3と二次部材4とはフライホイールとして形成されている。両フライホイールの少なくとも一方、有利には両方または両フライホイールに相対回動不能に結合されたカムエレメントは、互いに向かい合った端面7,8に、周方向に対称的に延びるレンズ状の凹部を有している。この凹部には、有利にはボールの形の少なくとも1つの転動体11が配置されている。ボールはレンズ状の凹部の最深の点でも、それぞれ他方の構成部材(一次部材3もしくは第1のカムエレメントまたは二次部材4もしくは第2のカムエレメント)に設けられた隣り合った各端面8;7に接触していて、したがって、トルク伝達のために働く。カムエレメントは、一次部材3もしくは二次部材4であるかまたは両部材3,4に相対回動不能に結合されたエレメントである。このエレメントには、傾斜面9,10が形成されている。凹部は、ここには詳しく図示していない。この凹部によって形成された、互いに平行に配置された、周方向で互いに離れる方向に移動可能な傾斜面9,10しか認めることができない。この傾斜面9,10は、互いに離れる方向に移動可能な楔面のように作用する。一次部材3は一般的に入力側に相対回動不能に結合されており、この入力側は軸方向でこの軸方向への移動に対する可能性なしに形成されている、すなわち、軸方向で一次部材3の位置に対して位置決めされているので、周方向への一次部材3の回動が、二次部材4への軸方向スラストを生ぜしめる。この軸方向スラストは転動体11を介して伝達される。軸方向スラストは、導入される入力モーメントMeinに基づき発生させられる軸方向力Faxialに起因して、反力Faxial−gegenによって支持され、これによって、この反力の量に関連してトルクが伝達される。理想的には、平均的な入力モーメントMeinに基づき生ぜしめられる軸方向力Faxialに相当する反力Faxial−gegenが発生させられる。この場合、力平衡に基づき、転動エレメント11を介して、平均的な入力モーメントMeinが伝達される。反力Faxial−gegenの発生はハイドロリック的な制御装置15を介して行われる。この制御装置15は、二次部材4に対応配置されているかまたは二次部材4によって直接形成されるピストンエレメント14と、圧力室12とを有している。ピストンエレメント14は圧力室12内の圧力によって操作される。このためには、この圧力室12が圧力媒体によって負荷可能である。二次部材4もしくは二次部材4に結合されたカムエレメントは、二次部材4が軸方向に支持されるように、一次部材3と反対の側のピストン面としての端面13で圧力pによって負荷され、力Faxialに対する相応の反力Faxial−gegenが発生させられ、したがって、システムが平衡に保たれる。この場合、圧力pによってピストン面に生ぜしめられる反力Faxial−gegenは、少なくとも平均的な入力モーメントMein−mittelが当該装置1を介して確実に伝達されるように規定されている。平均的な入力モーメントMein−mittelからの逸脱時には、圧力室12内の圧力制御による補償が行われ得る。平均的な入力モーメントMein−mittelの目下の実際量の手間のかかる検出を回避しかつ圧力室12内の圧力pの相応の制御を行うためには、制御がハイドロリック的に行われるように、このことを純粋に構造的に解決する可能性がある。ハイドロリック的な制御装置15は、二次部材4もしくは第2のカムエレメントに少なくとも間接的に対応配置された圧力室12のほかに、この圧力室12に接続されるアキュムレータ16と、この圧力媒体アキュムレータを圧力媒体源19、特に増圧部または、たとえばタンクの形の放圧装置20、特に減圧部に選択的に接続しならびに一般的に圧力媒体源19と放圧装置20とから切り離すための手段17とを有している。この場合、この手段17は、最も簡単な事例では、弁アッセンブリ18を有している。この弁アッセンブリ18は少なくとも3つの切換位置、つまり、アキュムレータ16もしくは圧力室12が圧力媒体源19と放圧装置20とから切り離されている第1の切換位置Iと、アキュムレータ16もしくは圧力室12が圧力媒体源19に接続されている第2の切換位置IIと、アキュムレータ16もしくは圧力室12が放圧装置20に接続されている第3の切換位置IIIとを有している。この場合、手段17は、必要となる反力Faxial−gegenを発生させるために圧力チャンバ12内の圧着圧を調整するための調整装置35として機能する。
【0029】
システムは、振動を減衰するための装置1、特に一次部材3における平均的な入力モーメントMein−mittelの伝達のために、この平均的な入力モーメントMein−mittelに基づき生ぜしめられる軸方向力Faxialのためにピストンエレメント14に対して圧力室12内に発生させられる反力Faxial−gegenが提供されるように設計されている。この事例では、調整装置35は第1の切換位置Iに位置している。平衡が存在しており、トルク衝撃をばねアキュムレータ16を介して補償することができる。伝達したい平均的な入力モーメントMein−mittelが増加させられると、トルク伝達のために、より大きな反力が必要になる。圧力チャンバ12内の圧力が適合させられなければならない。本発明によれば、このことは、手間のかかる制御を介して実現されず、力差が、調整装置35を制御するための調整量Yに変換装置38を介して直接変換される。有利には、位置変化を特徴付ける量、たとえば距離または角度への変換が行われる。この場合、変換装置として、力差に基づき移動にさらされるエレメント、たとえば第2のカムエレメントが機能することができる。
【0030】
最も簡単な事例では、伝達したい入力モーメントMein−mittelによって発生させられる軸方向力Faxialと、前調整された反力Faxial−gegenとの間の力差は、エレメントの移動、特に距離sだけ第2のカムエレメントの移動に変換される。距離sは、弁装置18の調整部材36の所要のストロークに比例しているかまたは等しい。この場合、伝達したい平均的な入力モーメントMein−mittelの増加時には、弁装置18が第2の切換位置IIに操作され、圧力媒体源19が圧力室12に接続される。類似して、伝達したい入力モーメントMein−mittelの減少時には、放圧装置20への接続が行われる。構成に応じて、個々の切換位置I,II,IIIの間の交番が、有利には無段式に行われ、これによって、変化させられる横断面解放により、圧力チャンバ12内の圧力の敏感な適合も可能となる。
【0031】
図2には、振動を減衰するための装置1への本発明によるハイドロリック的な制御装置15の組込みの特に有利な構造上の構成が概略的に簡単に示してある。当該装置1は、ここでも、一次部材3と二次部材4とを有している。両部材3,4はカム機構2を介して互いに結合されている。この場合、このカム機構2は、ここでは符号21,22で示した少なくとも2つのカムエレメントを有している。この場合、これらのカムエレメント21,22は一次部材3と二次部材4とに相対回動不能に結合されているかまたはそれぞれ一次部材3と二次部材4とを形成している。両可能性を考えることができる。一次部材3と二次部材4とは一般的にフライホイールとして形成されている。このフライホイールはディスク状のエレメントとして付与される。図示の事例において、ここでは、単に個々のエレメントの間の相対回動不能な連結だけが示してある。この場合、カムエレメント21は一次部材3と共に、いわゆる「固定カム23」を形成している。二次部材4は第2のカムエレメント22と共に、いわゆる「移動カム24」を形成している。固定カム23は、カム機構2の入力部Eを形成しており、移動カム24は、カム機構2の出力部Aを形成している。ここでも、二次部材4とカムエレメント22との間の構造的なユニットまたは一体の構造が可能である。トルク伝達のための連結は転動エレメント11を介して行われる。この転動エレメント11は、各カムエレメント21,22に設けられた凹部に設けられている。
【0032】
図2には、特に有利な構成が示してある。この構成では、ハイドロリック的な制御装置15が二次部材4、特に移動カム24に組み込まれている。ハイドロリック的な制御装置15は、第2のカムエレメント22に対応配置された、圧着チャンバ25の形の圧力チャンバ12を有している。この圧力チャンバ12はピストンエレメント26に作用する。このピストンエレメント26は第2のカムエレメント22に連結されていて、この第2のカムエレメント22に対して移動可能であるかまたは、特に有利な構成によれば、第2のカムエレメント22を一緒に形成している。この事例では、ピストンエレメント26は、圧着チャンバ25を形成するために使用される。このためには、ピストンエレメント26が密にかつ軸方向に移動可能に二次部材4に案内されている。ピストンエレメント26はピストン面27を有している。このピストン面27は転動エレメント11と協働する。この場合、ピストン面27を介して、二次部材4に対する支持が行われる。二次部材4もしくは移動カム24には、弁アッセンブリ18の形の調整装置35が組み込まれている。この調整装置35を介して、圧着チャンバ25が選択的に圧力媒体源19または放圧装置20に接続可能となるかまたは両方から切り離されている。このためには、ピストンエレメント26が貫通開口29を有している。この貫通開口29は、二次部材4もしくは移動カム24に設けられた、弁装置18を形成する個々の接続部に選択的に接続可能である。この場合、接続は、二次部材4に対する軸方向でのピストンエレメント26の位置に応じて行われる。この目的のためには、ピストンエレメント26が二次部材4に軸方向で移動可能に案内されている。二次部材4には、半径方向に方向付けられた接続部30,31,32が設けられている。この接続部30,31,32は、圧着チャンバ25への接続のために働く。このためには、二次部材4が円筒状のエレメント28として形成されている。このエレメント28の壁を通って、接続部30,31,32に対する通路が外周面33にまで延びている。同じく有利には半径方向で、圧着チャンバ25を仕切るピストンエレメント26の壁に形成された貫通開口29を介して、圧着チャンバ25に対する接続部を形成することができる。圧着チャンバ25と調整装置35とは、有利には互いに同軸的に配置されている。圧力媒体源19または放圧装置20への個々の接続は、個々の接続部30,31,32と、貫通開口29との間の整合位置または重なり位置の形成によって形成される。図示の事例では、接続部31が圧力媒体源19に接続可能であり、接続部32が放圧装置20に接続可能である。接続部30はハイドロリック的なばねアキュムレータ16に接続可能である。この場合、このばねアキュムレータ16は、ここでは、ばねユニット34に支持されたピストンエレメント37を有している。このピストンエレメント37は圧着チャンバ25内の圧力によって負荷される。図2によれば、圧力チャンバ12と、別の接続部との接続が、常にばねアキュムレータ16を介して行われる。
【0033】
システムは、振動を減衰するための装置1、特に一次部材3における平均的な入力モーメントMein−mittelの伝達のために、この平均的な入力モーメントMein−mittelに基づき生ぜしめられる軸方向力Faxialのためにピストンエレメント26に対して圧着チャンバ25内に発生させられる反力Faxial−gegenが提供されるように設計されている。この場合、この位置では、個々の接続部31,32が圧着チャンバ25に接続されていない。圧着チャンバ25とばねアキュムレータ16との間の接続しか存在していない。このことは、第1の接続部30を介して実現される。第2の接続部31が圧力媒体源19に接続可能であるのに対して、第3の接続部32は放圧装置20に接続可能である。ピストンエレメント26の位置に応じて、個々の接続部が多かれ少なかれカバーされる。このことは、方向制御弁装置の個々の機能に繋がる。弁装置18の弁ピストンの機能は、ここでは、ピストン26によって一緒に引き受けられる。このピストン26は同時に第2のカムエレメントに対する圧着力も発生させる。
【0034】
本発明による解決手段は、図2に示した構成に限定されていない。入力モーメントに基づき生ぜしめられる軸方向力と、予め規定された反力との間の差によって生ぜしめられる位置変化への直接的な変換のあらゆる可能性を考えることができる。最も簡単な事例では、直接距離に変換される力差が使用される。
【0035】
二次部材4への移動カム24の組込みは、特にコンパクトな構成を成している。この構成は、構造上の制御技術的な最も僅かな手間によって特徴付けられている。さらに、圧着チャンバを別のユニット、たとえば振動を減衰するための装置に後置された、CVTの形の無段変速機の圧着室に接続し、したがって、モーメントフィーラの機能を同じく一緒にダンパに組み込むことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】アクティブな振動減衰のための本発明によるシステムの基本構造を概略的に簡単に示す図である。
【図2】図1に示した構成の可能な構造上の構成を概略的に簡単に示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 装置、 2 カム機構、 3 一次部材、 4 二次部材、 5 手段、 6 手段、 7 端面、 8 端面、 9 傾斜面、 10 傾斜面、 11 転動体、 12 圧力室、 13 端面、 14 ピストンエレメント、 15 制御装置、 16 アキュムレータ、 17 手段、 18 弁アッセンブリ、 19 圧力媒体源、 20 放圧装置、 21 カムエレメント、 22 カムエレメント、 23 固定カム、 24 移動カム、 25 圧着チャンバ、 26 ピストンエレメント、 27 ピストン面、 28 エレメント、 29 貫通開口、 30 接続部、 31 接続部、 32 接続部、 33 外周面、 34 ばねユニット、 35 調整装置、 36 調整部材、 37 ピストンエレメント、 38 変換装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動を減衰するための装置(1)、特にねじり振動ダンパであって、一次部材(3)と二次部材(4)とが設けられており、両部材(3,4)が、トルク伝達のための手段(5)と、減衰接続のための手段(6)とを介して互いに連結されており、トルク接続のための手段(5)が、入力モーメントMeinの導入によって生ぜしめられる、両エレメントの一方、つまり、一次部材(3)または二次部材(4)における回動運動を、入力モーメントに比例する、他方のエレメント、つまり、二次部材(4)または一次部材(3)に対して作用する軸方向力Faxialにかつ伝達したいトルクに変換するためのカム機構(2)を有しており、トルクが、生ぜしめられる軸方向力Faxialと逆方向に向けられた反力Faxial−gegenを発生させるための手段を介して他方のエレメント、つまり、一次部材(3)または二次部材(4)に支持されるようになっており、前記手段が、予め規定された伝達したい平均的な入力モーメントMein−mittelに調整されている形式のものにおいて、変換装置(38)が設けられており、該変換装置(38)が、生ぜしめられる軸方向力Faxialと、反力Faxial−gegenとの間の力差の発生時に、該力差を、振動を減衰するための装置(1)に設けられた、反力Faxial−gegenを変化させるための調整装置(35)を操作するための調整量Yに直接変換するようになっていることを特徴とする、振動を減衰するための装置。
【請求項2】
力差が、距離sまたは角度に変換装置(38)で変換されるようになっている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
当該装置(1)が、ハイドロリック的な制御装置(15)を有しており、該制御装置(15)が、反力Faxial−gegenを発生させるための手段と、反力を変化させるための調整装置(35)とを有しており、該調整装置(35)が、変換装置(38)に連結された調整部材(36)を有している、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
反力Faxial−gegenを発生させるための手段が、少なくとも1つのピストンエレメント(14,26)と、該ピストンエレメント(14,26)を負荷するための、圧力媒体で充填可能な圧力室(12)とを有しており、該圧力室(12)が、調整装置(35)を介して選択的に圧力媒体源(19)または放圧装置(20)に接続可能であるかまたは単にアキュムレータ(16)に放圧装置(20)または圧力媒体源(19)との接続なしに接続可能である、請求項3記載の装置。
【請求項5】
調整装置(35)が、弁装置(18)を有しており、該弁装置(18)が、少なくとも3つの切換位置、つまり、圧力室(12)をアキュムレータ(16)に接続するための第1の切換位置(I)と、圧力室(12)を圧力媒体源(19)に接続するための第2の切換位置(II)と、圧力室(12)を放圧装置(20)に接続するための第3の切換位置(III)とを有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
弁が、3ポート3位置弁として形成されていて、無段式に操作可能であり、調整部材(36)として、弁装置(18)のピストンエレメントが機能するようになっており、弁装置(18)が、無段式に操作可能である、請求項5記載の装置。
【請求項7】
変換装置(38)が、カム機構(2)のカムエレメントによって形成されるようになっている、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
変換装置(38)が、二次部材(4)または二次部材(4)に連結されたカムエレメントに組み込まれている、請求項7記載の装置。
【請求項9】
変換装置(38)が、ピストンエレメント(14)に組み込まれている、請求項3から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
減衰接続のための手段(6)が、ハイドロリック的なばねアキュムレータ(16)を有しており、該ばねアキュムレータ(16)が、圧力チャンバ(12)に対して同軸的に配置されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−95964(P2008−95964A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268634(P2007−268634)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(390009070)ルーク ラメレン ウント クツプルングスバウ ベタイリグングス コマンディートゲゼルシャフト (236)
【氏名又は名称原語表記】LuK Lamellen und Kupplungsbau  Beteiligungs KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 3, D−77815 Buehl, Baden, Germany