説明

振動スイッチ

【課題】良好なスイッチ感度を備え、動作不良が少なく、確実にチャタリングが行われるコンパクトで安価な振動スイッチの提供。
【解決手段】絶縁材料からなり、2箇所の開口部20、21が対向する貫通状の空間部2Aを備えたハウジング2と、空間部2Aに移動自在に挿入した球状の可動導電部材3と、ハウジング2に配置され、開口部20、21の一方側と他方側に可動電極部材3が交互に接離するように夫々配置された第1電極部4Aと第2電極部4Bを有する第1電極部材4と、空間部2Aに配置され、内縁を可動導電部材3が接離する接触部51とした孔部50を有する第2電極部材5と、を備え、第1電極部4Aと第2電極部4Bとを、この両電極部から一方向に延設された連結部4Cにより一体化し、孔部50を多角形状に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動によりON/OFFする振動スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る振動スイッチに関連する先行技術文献情報として、例えば、次の特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−154451号公報
【0004】
特許文献1は、全方向の振動が検出可能な無指向性の振動スイッチについて述べられている。振動スイッチは、非導電性のハウジング内に可動導電部材である3個の球体が移動自在に内蔵支持されており、この球体のいずれかがハウジングに支持された2個の電極部材に接触することによりON(又はOFF)状態となり、離間することによりOFF(又はON)状態となるようにされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1の従来技術によると、3個の可動導電部材のいずれかが2個の電極部材に接触することにより、ON/OFFさせるものであるため、確実なチャタリングを行うことができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1の振動スイッチは、複数個の可動導電部材及び電極部材、これら可動導電部材及び電極部材を支持するハウジング、複数の絶縁部材等、振動スイッチを構成する部品点数が多い上に、構造が複雑であるため、小型化や製造コストの削減が困難であった。また、可動導電部材と電極部材との接触による衝撃で、動作不良の要因となる可動導電部材及び電極部材の損傷や変形等が早期に生じやすいという問題があった。更に、スイッチ感度を高めるには、可動導電部材を移動させる空間の精度を高くする必要があるが、前述したように複雑な構造であることから精度を高めることが極めて難しく、前述のように、振動スイッチの小型化や製造コストの削減が困難なものとなっていた。
【0007】
本発明は、このような問題に対処することを課題とするものである。すなわち、良好なスイッチ感度を備え、動作不良が少なく、確実にチャタリングが行われるコンパクトで安価な振動スイッチの提供が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明による振動スイッチは、以下の構成を少なくとも具備するものである。
【0009】
絶縁材料からなり、2箇所の開口部が対向する貫通状の空間部を備えたハウジングと、前記空間部に移動自在に挿入した球状の可動導電部材と、前記ハウジングに配置され、前記開口部の一方側と他方側に前記可動電極部材が交互に接離するように夫々配置された2個の電極部を有する第1電極部材と、前記空間部に配置され、内縁を前記可動導電部材が接離する接触部とする孔部を有する第2電極部材と、を備え、前記両電極部を該両電極部から一方向に延設された連結部により一体化し、前記孔部を多角形状に形成したものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る振動スイッチの第1実施形態を示す断面図。
【図2】図1の(2)-(2)線断面図。
【図3】図1の平面図。
【図4】図2の(4)-(4)線断面図。
【図5】図3の側面図。
【図6】本発明に係る振動スイッチの製造工程を示す工程図。
【図7】本発明に係る振動スイッチの第2実施形態を示す断面図。
【図8】図7の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に説明する第1電極部材における2個の電極部の一体化は、両電極部の連結部同士を溶接することで一体化することが好ましく、また、両電極部と連結部とを一体成形することで一体化することが好ましい。ここで、孔部は、多角形状であればよく、その角数を限定するものではない。
【0012】
両電極部は、この両電極部の周囲縁をハウジングに対して埋め込むことで固定することが好ましく、また、両電極部の周囲縁を空間部の周壁に対して埋め込むことで固定することが好ましい。また、第2電極部材の孔部が筒状に形成されていることが好ましい。また、連結部は、空間部の軸方向に伸縮する伸縮部を備えることが好ましい。
【0013】
第1電極部材及び第2電極部材からハウジングの外壁に沿うように延設された接続端子部を更に備え、接続端子部が対面する外壁に、この接続端子部の半田付け時において、毛細管現象により上昇する半田を収容する収容凹部を形成することが好ましい。
【0014】
第2電極部材から延設される2個の接続端子部を、ハウジングの対辺の中点を通る対称軸を境に線対称となるように配置することが好ましい。
【0015】
以下に説明する振動スイッチの用途は、RFID(アクティブ型ICタグ)の節電用途が挙げられる。
【0016】
例えば、
a.自動車のインテリジェントキーや事務所・マンション・戸建住宅等のキーレスエントリーシステム。
b.事務所・マンション・戸建住宅のセキュリティ用。
c.自動車・バイク・自転車の盗難防止用。
d.金庫・両替機などの盗難防止用。
e.精密機器や輸出規制品の仕向け地管理用。(本来の仕向け地以外の第三国に出荷された場合、製品の動作停止が可能)
f.技術漏洩防止セキュリティ用。
g.オフィスでのパソコンや情報機器の資産管理用。
h.組立ラインにおいて、作業者の労務管理用。
i.徘徊老人、迷子、ペットなどの居場所確認用。
j.事業所内RFID認証立ち入り許可及び不審者の侵入防止用。
k.修学旅行等の団体の員数確認用。
l.災害発生時における作業者の員数確認用。
m.希少動物等の生態観測や牧場等の動物頭数確認用、その他。
n.量販店・スーパー等の荷物一括検品システム用。
o.工場、店舗間を循環するコンテナやパレットなどの数量確認や出荷先ごとの管理用。
p.消防士の消防活動時の安全確認用。
q.一人暮らしの安否確認用。
r.児童のランドセル等に取付け、この児童の登下校時の安全確認通報や大型遊園地等の迷子の位置確認用。
s.自動車・バイク・自転車・電動車いす等のライト自動点灯用。
t.電源ON/OFF操作が不要な補聴器用。
【0017】
振動スイッチは、例示した用途以外にも多様な用途に利用することができる。
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る振動スイッチを図面に基づいて説明する。図1〜図6は、本発明の第1実施形態を示し、図7〜図8は、本発明の第2実施形態を示す。
【0019】
第1実施形態の振動スイッチ1は、ハウジング2に、可動導電部材3及び第1電極部材4、並びに第2電極部材5を備えて構成されたノーマルクローズ(常閉式)の振動スイッチ1である。可動導電部材3が第1電極部材4と第2電極部材5の双方に接触すると導通状態(ON状態)となり、可動導電部材3が第1電極部材4と第2電極部材5のいずれか一方に接触或いは非接触で非電通状態(OFF状態)となる。すなわち、導通状態と非導通状態との繰り返し(チャタリング)を、外部に接続した検出手段(図示せず)で検出することにより、振動スイッチ1がONされてこの振動スイッチ1を組み込んだ対象物の振動が検出されるようになっている(図1、図2参照)。
【0020】
ハウジング2は、絶縁材料に耐熱性を有する合成樹脂材を用いて立方体に形成されている。この合成樹脂材は、例えば、PPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂)材、フッ素樹脂材等の耐熱性を有するエンジニアリングプラスチックが好ましい。
【0021】
ハウジング2には、同軸に貫通する五角形状の空間部2Aが形成され、空間部2Aに可動導電部材3が移動自在に挿入されている(図4参照)。また、ハウジング2の外側には、空間部2Aの上方の開口部20から下方の開口部21を通過して巻き付けるように第1電極部材4が取付けられている。空間部2Aには、この空間部2Aの軸方向中央部に第2電極部材5が取付けられている(図1、図2参照)。
【0022】
可動導電部材3は、例えば、りん青銅や黄銅等の銅合金のように良好な導電性を有する金属材を用いて球体に形成されている。更に、可動導電部材3に対してメッキを施すことにより、より良好な導電性を確保するとともに、表面硬度を向上させている。
【0023】
尚、良好な導電性が確保できるとともに、高い表面硬度を備えることができるメッキとして、例えば、Auメッキ、AuCo(アモルファス・金合金)メッキ、AuNi(ニッケル・金合金)メッキが好ましいが、本発明では、これらAuメッキ、AuCoメッキ、AuNiメッキに限定するものではなく、これらの各種メッキと同等の導電性及び表面硬度を備えることができるメッキであってもよい。
【0024】
第1電極部材4は、りん青銅や黄銅等の銅合金のように良好な導電性を有する薄状の金属板材を用いて所定形状に形成されたものであり、可動導電部材3と同様のメッキが施されている。
【0025】
第1電極部材4は、開口部20を塞ぐように配置された一方の電極部である第1電極部4Aと、開口部21を塞ぐように配置された他方の電極部である第2電極部4Bと、この第1電極部4Aと第2電極部4Bとにわたり、これら両電極部を連結するように一方向に延設された連結部4Cと、第1電極部4Aから連結部Cと反対方向に延設され、基板(図示せず)に半田付けされる接続端子部4Dとが一体成形されている(図1及び図2参照)。
【0026】
第1電極部4A及び第2電極部4Bは、外側に向けて円状に凹ませてなる接触凹部40を有し、この接触凹部40の周囲を空間部2Aの周壁22に対して埋め込み固定される固定部41とを有する円形状に形成されている。接触凹部40は平面状を呈し、移動して接触する可動導電部材3を常に面で受けるようにすることによって、可動導電部材3及び第1電極部4A並びに第2電極部4Bの磨耗や損傷を抑制できるようになっている。
【0027】
連結部4Cは、第1電極部4Aの固定部41の周縁及び第2電極部4Bの固定部41の周縁と同厚の帯板状を成しており、その長手方向を第1電極部4Aと第2電極部4Bとにわたるようにハウジング2の外壁2Bの案内溝23に沿わせて設けられている。
【0028】
接続端子部4Dは、連結部4Cと同厚の帯板状を成し、連結部4Cと径方向で対向する第1電極部の周縁から開口部21と重なる位置まで至るように外壁2Bの案内溝23に沿わせて設けられている。
【0029】
接続端子部4Dが対面する案内溝23内の外壁2Bには、接続端子部4Dの半田付け時において、毛細管現象により、接続端子部4Dと外壁2Bの間を上昇する半田を収容する収容凹部20Bが形成されている(図1、図4参照)。この収容凹部20Bによって、毛細管現象により上昇する半田が空間部2Aに侵入することを防ぐようになっている。すなわち、半田の空間部2Aの侵入を防ぐことによって、第1電極部4A及び第2電極部4Bと可動導電部材3との固着や、第1電極部4Aと第2電極部4Bとが半田によって接続状態になってしまう等の不具合を防止することができる。
【0030】
連結部4Cの中央部に、連結部4Cを空間部2Aの軸方向に伸縮させる伸縮部4Eが一体成形されている(図5参照)。伸縮部4Eは、板厚を連結部4Cと同厚とし、第1電極部材4の取付け工程における収縮によって横長長円環状にされている。この伸縮部4Eは、第1電極部材4の取付け工程における図6(c2)に示すように、収縮前の形状が方形環状に形成されており、第1電極部材4の取付け工程における図6(d1、d2)に示す熱かしめによって収縮することで、横長長円環状に形成されるようになっている。
【0031】
伸縮部4Eは、空間部2Aの軸方向の長さにかかわらず、連結部4Cを切断したり折り曲げたりする等の長さ調節をすることなく第1電極部材4をハウジング2に取付けるためのものである。すなわち、熱かしめにより伸縮部4Eが収縮することで、ハウジング2の長さと連結部4Cの長さの差を吸収して、1種類の第1電極部材4で、多様なサイズのハウジング2に対応できるようになっている。
【0032】
外壁2Bに形成された案内溝23は、連結部4C及び接続端子部4Dを外壁2Bに沿わせるように案内するものであり、この案内溝23により連結部4C及び接続端子部4Dを確実に外壁2Bに沿わせることができる。
【0033】
第1電極部4A及び第2電極部4Bは、ハウジング2に第1電極部4A及び第2電極部を嵌入した状態で、ハウジング2を熱かしめすることにより埋め込まれている(図6(a)〜(f)参照)。
【0034】
ここで、第1電極部材4の取付け工程を図6(a)〜(f)に基づいて説明する。この取付け工程では、ハウジング2の高さが連結部4Cの長さよりも短い形態として例示する。尚、第1電極部材4の取付けは、例示する取付け工程によるものに限定するものではなく、他の取付け工程によって行ってもよい。
【0035】
第1工程(図6(a)):ハウジング2における開口部20の縁部に設けられた凹部20Aに第1電極部4Aを嵌入する。
第2工程(図6(b)):凹部20Aを第1電極部4Aとともに熱かしめする。この熱かしめにより、第1電極部4Aの固定部41が空間部2Aの周壁22に対して埋め込まれた状態になる。
第3工程(図6(c1、c2)):空間部2Aに可動導電部材3を挿入し、連結部4Cを折り曲げるとともに、この連結部4Cを案内溝23に沿わせることによって。開口部21の縁部に設けられた凹部21Aと第2電極部4Bを対面させる。このとき、伸縮部4Eは方形環状を呈している。
第4工程(図6(d1、d2)):第2電極部4Bを凹部21Aに嵌入する。このとき、伸縮部4Eを収縮させる。これによって、この伸縮部4Eが横長長円状になり、ハウジング2の長さと連結部4Cの長さの差を吸収することができる。
第5工程(図6(e)):凹部21Aを第1電極部4Bとともに熱かしめする。この熱かしめにより、第1電極部4Bの固定部41が空間部2Aの周壁22に対して埋め込まれた状態になる。
第6工程(図6(f)):接続端子部4Dを折り曲げるとともに、この接続端子部4Dを案内溝23に沿わせ、且つこの接続端子部4Dの先端を開口部21付近まで至らせる。
【0036】
この取付け工程により、空間部2Aの周壁22に第1電極部4A及び第2電極部4Bをハウジング2埋め込み固定することができる。すなわち、前述の熱かしめ及び伸縮部4Eの収縮によって、第1電極部材4をハウジング2に対して緩みなく確実に取付けることができるとともに、取付け部材等の別部材を用いることなく、第1電極部材4をハウジング2に対して確実に取付けることができる。
【0037】
尚、図6(c2)に示す伸縮部4Eの収縮前の形状は、例示した方形環状に限るものではなく、円形状や楕円形状等、収縮が可能な形状であればよい。
【0038】
第2電極部材5は、黄銅等の良好な導電性を有する薄状の金属板材を用いて、空間部2Aと同軸の孔部50を開孔した角板状に形成され、可動導電部材3と同様のメッキが施されている。第2電極部材5は、周縁を空間部2Aの周壁22に埋め込むことにより固定されている。
【0039】
この第2電極部材5は、ハウジング2を構成する際に、空間部2Aの軸方向に2分割されたハウジング部材(図示せず)間に第2電極部材5を配し、前述のハウジング部材をインサート成形により一体化することで周壁22に埋め込み固定されている(図示せず)。
【0040】
また、埋め込み固定される第2電極部材5の周縁からハウジング2の外側へ2個の接続端子部52が延設されている。この接続端子部52は、第2電極部材5と同厚の帯板状を成し、外壁2Bに対面するように沿わせて開口部21付近まで至らせている。この2個の接続端子部52は、ハウジング2の対辺の中点を通る対称軸Cを境に線対称となるように設けられている(図2〜図4参照)。
【0041】
このように接続端子部52を設けた理由として、接続端子部52を前述の基板に半田付けする際に、振動スイッチ1が平面視において時計方向又は反時計方向に回転することによるずれを防止して、接触不良や接触不良にともなう誤検出等の不具合を防止することにある。
【0042】
接続端子部52を前述の基板に半田付けする際に、振動スイッチ1が時計方向又は反時計方向に回転する現象は、接続端子部5をハウジング2の平面中心を回転中心として点対称或いは対角となるように設けられている場合に実際に生じている現象である(図示せず)。この現象は、外壁2B側に位置する接続端子部5の垂直面に接触する半田の量が、ハウジング2の下面に位置する接続端子部5の先端側に接触する半田の量よりも多くなるため、接続端子部5の垂直面に接触する半田による、ハウジング2を外側から押し動かそうとする力が作用することで生じるものと思われる(図示せず)。
【0043】
前述の接続端子部52の取付け構成に対して、2個の接続端子部52を、ハウジング2の対辺の中点を通る対称軸Cを境に線対称となるように取付けることによると、2個の接続端子部5の垂直面に接触する半田による、ハウジング2を外側から押し動かそうとする力を、正対方向で均衡させることができる。すなわち、ハウジング2を外側から押し動かそうとする2個の接続端子部5の力を、この均衡する互いの力で打ち消すことができる。したがって、振動スイッチ1が平面視において時計方向又は反時計方向に回転することによるずれを防止することができ、接触不良や接触不良にともなう誤検出等の不具合を防止することができる。
【0044】
接続端子部52が対面する外壁2Bには、接続端子部52の半田付け時において、毛細管現象により、接続端子部52と外壁2Bの間を上昇する半田を収容する収容凹部20Bが形成されている。この収容凹部20Bによって、毛細管現象により上昇する半田が空間部2Aに侵入することを防ぐようになっている。すなわち、半田の空間部2Aの侵入を防ぐことによって、第1電極部4A及び第2電極部4Bと可動導電部材3との固着や、第1電極部4Aと第2電極部4Bとが半田による接続状態になってしまう等の不具合を防止することができる(図2、図4参照)。
【0045】
孔部50の内縁は、可動導電部材3が接離する接触部51にされている。孔部50は、可動導電部材3が接触部51に接離可能に遊嵌合状態となる大きさの断面五角形の角筒状に形成してあり、接触する可動導電部材3を接触部51が常に面で受けるようにすることで、可動導電部材3及び第2電極部材5の磨耗や損傷を抑制することができるようになっている(図2、図4参照)。
【0046】
また、孔部50を五角筒状にしたことによって、振動時に接触部51に接触した可動導電部材3を必ず跳ね返させて接触部51から離反させることができ、振動時に孔部50内で転がる可動導電部材3の接触部51に対する接離をスムーズに行わせることができる。これによって、確実に導通状態と非導通状態との切り替え(チャタリング)を行うことができため、振動スイッチ1の誤検知の発生を大幅に低減することができる。
【0047】
尚、孔部50は、バーリング加工により形成してもよいし、五角筒状体(図示せず)を孔部50に溶接等により取り付けて構成してもよい。また、孔部50の形状は、五角形状に限るものではなく、三角形状、四角形状、六角形状等の多角形状であればよい。
【0048】
第1電極部4Aと第2電極部4Bの間の距離は、可動導電部材3の径よりも長い距離である。また、第1電極部4Aと第2電極部の間の距離及び第2電極部4Bと第2電極部材5の距離は、可動導電部材3の径よりも短い距離である。すなわち、空間部2Aを移動する可動導電部材3が第1電極部4Aと第2電極部材5の双方に接触する状態(導通状態)、第2電極部4Bと第2電極部材5の双方に接触する状態(導通状態)、第2電極部材5のみに接触する状態(非導通状態)に夫々切り替えるようにすることができる。また、可動導電部材3が空間部2A内において、第2電極部材5に必ず接触した状態で移動し、移動時に空間部2Aの周壁22に対して接触しないようにされているため、空間部2Aの形成は高精度である必要がない。
【0049】
次に、第2実施形態の振動スイッチ1を説明するが、第1実施形態と重複する構成についての説明は、図面に同符号を付すことにより省略する。
【0050】
第2実施形態の第1電極部材4は、第1実施形態のような伸縮部4Eがない形態のものである。この第1電極部材4では、第1電極部4Aと第2電極部4Bから夫々帯板状の連結部4Cが1方向に沿って延設されており、この連結部4C同士を重ねて半田付けやスポット溶接等の溶接により一体化している(図7参照)。
【0051】
図示においては、開口部20付近で連結部4C同士を重ねている。このように重ねるには、双方ともに連結部4Cをある程度長くしておき、ハウジング2に第1電極部4A及び第2電極部4Bを嵌入して熱かしめした後に、連結部4Cを所定長さに切断して溶接により一体化する方法が挙げられる。この方法では、連結部4Cを切断する工程を要するが、連結部4C同士を重ね合わせることでハウジング2の長さと連結部4Cの長さの差を吸収して、1種類の第1電極部材1で多様な高さのハウジング2に対応することができる。
【0052】
尚、連結部4Cを重ね合わせる部分は、例示した開口部20付近に限られず、他の部位で重ね合わせてもよいし、重ね合わせる際に切断しなくてもよい(図示せず)。また、連結部4Cの長さをハウジング2の長さに対応する長さに形成した第1電極部材4を用意してもよい(図示せず)。
【0053】
以上の構成による振動スイッチ1によれば、良好なスイッチ感度を備え、動作不良が少なく、確実にチャタリングが行われるコンパクトで安価な振動スイッチ1を提供することができる。
【0054】
本発明は、例示した実施形態に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1:振動スイッチ
2:ハウジング
3:可動導電部材
4:第1電極部材
5:第2電極部材
2A:空間部
2B:外壁
20B:収容凹部
20:開口部
21:開口部
22:周壁
4A:第1電極部(電極部)
4B:第2電極部(電極部)
4C:連結部
4D:接続端子部
50:孔部
51:接触部
52:接続端子部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁材料からなり、2箇所の開口部が対向する貫通状の空間部を備えたハウジングと、前記空間部に移動自在に挿入した球状の可動導電部材と、前記ハウジングに配置され、前記開口部の一方側と他方側に前記可動電極部材が交互に接離するように夫々配置された2個の電極部を有する第1電極部材と、前記空間部に配置され、内縁を前記可動導電部材が接離する接触部とする孔部を有する第2電極部材と、を備え、前記両電極部を該両電極部から一方向に延設された連結部により一体化し、前記孔部を多角形状に形成したことを特徴とする振動スイッチ。
【請求項2】
前記第1電極部材から前記ハウジングの外壁に沿うように延設された接続端子部と、前記前記第2電極部材から前記外壁に沿うように延設された2個の接続端子部と、を更に備え、前記接続端子部が対面する外壁に、該接続端子部の半田付け時において、毛細管現象により上昇する半田を収容する収容凹部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の振動スイッチ。
【請求項3】
前記第2電極部材から延設される2個の接続端子部が、前記ハウジングの対辺の中点を通る対称軸を境に線対称となるように配置されていることを特徴とする請求項2記載の振動スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−38428(P2012−38428A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174539(P2010−174539)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(390021186)株式会社秩父富士 (54)
【Fターム(参考)】