説明

振動スクリーン

【課題】機体を輸送姿勢に移行させるにあたってメンテナンスフロアを人手で格納する必要がない振動スクリーンを提供する。
【解決手段】被選別物を粒度に応じて選別する篩装置5と、この篩装置5の下方から前方に延在し、当該篩装置5を通過した選別物を搬出するアンダーコンベヤ8と、アンダーコンベヤ8の放出端側を基端側に対して上方に折り曲げるアンダーコンベヤ格納シリンダ58とを備えた振動スクリーンにおいて、篩装置5の前部に当該篩装置に対して上方に傾動可能に取り付けた前部メンテナンスフロア61と、アンダーコンベヤ8の先端側が折り曲げられる際に前部メンテナンスフロア61に当接し前部メンテナンスフロア61を押し上げて起立させるガイド部71とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被選別物を粒度に応じて選別する振動スクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、分級した選別物を粒度別に三方向に排出する三分級タイプの振動スクリーンが知られているが、特にこの種の振動スクリーンでは、篩装置に被選別物を運ぶメインコンベヤが後方から篩装置上方に延在し、更に一番粒径の小さな選別物群を排出するアンダーコンベヤが篩装置の下方から前方に延在するため、機体が前後に長くなる傾向にある。したがって、機長が一般道路の輸送制限長を超える場合も多く、この場合には、輸送の際にアンダーコンベヤを折り畳む等して機体を輸送制限長に収めなければならない(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2000−509644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に三分級タイプの振動スクリーンでは、篩装置の上下にメインコンベヤ及びアンダーコンベヤがそれぞれ配置されるため、篩装置周りをメンテナンスするスペースの制約から篩装置の周囲にメンテナンスフロアが設置される場合が多い。このメンテナンスフロアは篩装置の側部に加えて前部にも設置されるが、機体のサイズ等によっては、特許文献1の開示のように、篩装置前部のメンテナンスフロアとの干渉に配慮しなくてもアンダーコンベヤを十分に折り曲げられる例も散見される。
【0005】
しかしながら、スクリーン性能向上の要求に応えるためには篩装置の前後長をできるだけ確保することが有利であり、篩装置の前後長が増せば、輸送制限長に収める上で折り曲げたアンダーコンベヤと篩装置前部のメンテナンスフロアとの間の干渉を避ける余裕がなくなってくる。このような事情により、篩装置前部のメンテナンスフロアが障害になってアンダーコンベヤを満足に折り曲げることができず、アンダーコンベヤを折り曲げる際に篩装置前部のメンテナンスフロアを上方に起立させざるを得ない場合が多い。
【0006】
ところがメンテナンスフロアを起立させるにあたって、従来はアンダーコンベヤを折り曲げる前に人手で篩装置前部のメンテナンスフロアを持ち上げてチェーンを掛けて固定する等していたが、幅広のメンテナンスフロアは重量物であり、メンテナンスフロアを持ち上げた状態でチェーン等を掛ける作業は複数の作業者を要するとともに、作業者にとっても負担が大きかった。
【0007】
本発明の目的は、機体を輸送姿勢に移行させるにあたってメンテナンスフロアを人手で格納する必要がない振動スクリーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明は、被選別物を粒度に応じて選別する篩装置と、この篩装置の下方から前方に延在し、当該篩装置を通過した選別物を機体前方に搬出する折り曲げ可能なコンベヤと、このコンベヤの放出端側を基端側に対して上方に折り曲げるコンベヤ折曲手段とを備えた振動スクリーンにおいて、前記篩装置の前部に当該篩装置に対して上方に傾動可能に取り付けた前部メンテナンスフロアと、前記コンベヤの放出端側に設けられ、前記コンベヤ折曲手段により当該コンベヤの先端側が折れ曲がる際に前記前部メンテナンスフロアに当接し、当該前部メンテナンスフロアを押し上げて起立させるガイド部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、被選別物を粒度に応じて選別する篩装置と、この篩装置の下方から前方に延在し、当該篩装置を通過した選別物を機体前方に搬出する折り曲げ可能なコンベヤと、このコンベヤの放出端側を基端側に対して上方に折り曲げるコンベヤ折曲手段とを備えた振動スクリーンにおいて、前記篩装置の前部に当該篩装置に対して上方に傾動可能に取り付けた前部メンテナンスフロアと、前記コンベヤの放出端側と前記前部メンテナンスフロアとを連結し、前記コンベヤ折曲手段により当該コンベヤの先端側が折れ曲がる際に前記前部メンテナンスフロアを押し上げて起立させるリンク部材とを備えたことを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第2の発明において、前記リンク部材は、伸縮可能な多段ステーであることを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、第3の発明において、前記リンク部材は、当該リンク部材を縮み方向に付勢するバネを内蔵していることを特徴とする。
【0012】
第5の発明は、第1乃至第4のいずれか1つの発明において、前記前部メンテナンスフロアを展開方向に付勢する付勢手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、機体を輸送姿勢に移行させるにあたってメンテナンスフロアを人手で格納する必要がなく、作業者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る振動スクリーンの全体構成を表す側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る振動スクリーンの全体構成を表す平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る振動スクリーンの格納時の全体構成を表す側面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る振動スクリーンの格納時の全体構成を表す平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る振動スクリーンに備えられた篩装置とアンダーコンベヤを抽出して表した側面図である。
【図6】図5の状態から格納姿勢に移行する途中の状態を表した図である。
【図7】図5の状態から格納姿勢に移行した状態を表した図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る振動スクリーンに備えられた篩装置とアンダーコンベヤを抽出して表した側面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る振動スクリーンに備えられたリンク部材の内部構成を示す概略図である。
【図10】図8の状態から格納姿勢に移行する途中の状態を表した図である。
【図11】図8の状態から格納姿勢に移行した状態を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0016】
図1は本発明の第1実施形態に係る振動スクリーンの全体構成を表す側面図、図2はその平面図である。また、図3は図1の振動スクリーンの格納時の全体構成を表す側面図、図4はその平面図である。なお、図3及び図4においては後述するオーバーコンベヤ6及びミドルコンベヤ7のコンベヤベルトの一部を図示省略している。また、符号の向きに合わせて図面を見た場合に図1−図4中の右左を機体の前後、図2、図4中の上下を機体の左右とする。
【0017】
図1−図4に示した振動スクリーンは、走行体1と、被選別物を受け入れ部であるホッパコンベヤ3と、このホッパコンベヤ3に受け入れた被選別物を前方に搬送するメインコンベヤ4と、このメインコンベヤ4から供給された被選別物を粒度に応じて3つの粒度に篩い分ける篩装置5と、篩装置5で篩い分けられた最も粒径の大きな選別物を搬出するオーバーコンベヤ6と、篩装置5で篩い分けられた中間粒径の選別物を搬出するミドルコンベヤ7と、篩装置5で篩い分けられた最も粒径の小さな選別物を搬出するアンダーコンベヤ8と、搭載機器の動力源を内蔵したパワーユニット(動力装置)9とを備えている。
【0018】
走行体1は、左右一対の走行装置10と、これら走行装置10上に設けた本体フレーム11とで構成されている。走行装置10は、左右のトラックフレーム12と、これらトラックフレーム12の前後にそれぞれ設けた従動輪13及び駆動輪14と、出力軸を駆動輪14に連結した走行用油圧モータ15と、左右の従動輪13及び駆動輪14にそれぞれ掛け回した無限軌道履帯16とを備えている。本体フレーム11は、トラックフレーム12の上部に連結され、前後方向に延在している。
【0019】
ホッパコンベヤ3は、被選別物を受け入れるホッパ21と、ホッパ21内に収容された送りコンベヤ22(図2参照)とを備えている。ホッパ21は前端部が本体フレーム11の後端部上に固定されていて、後側半分を超える部分が本体フレーム11よりも後方に突き出している。このホッパ21の内壁面は下方に縮径するように傾斜しており、被選別物を送りコンベヤ22の搬送面上に導く役割を果たしている。一方の送りコンベヤ22は、前方に水平もしくは上り傾斜に延在している。また、本体フレーム11から突き出したホッパ21の後端部分にはアウトリガー23が設けられていて、振動を伴う選別作業時等でもアウトリガー23を地面に設置させることによって機体が安定に支持される。また、ホッパ21の上部にはチッピンググリット(固定篩)24が設けられている。このチッピンググリット24は、篩面が機体右側に下るように傾斜していて、被選別物が投入された際に篩面上に残った岩石や礫等の大きな異物を機体右側に落下させる。
【0020】
メインコンベヤ4は、送りコンベヤ22で搬送された被選別物を篩装置5に供給するものであり、送りコンベヤ22の放出端の下方に位置する基端部から篩装置5の篩面の前端部近傍の上方に位置する放出端まで上り傾斜に延在している。このメインコンベヤ4は、コンベヤフレーム26と、コンベヤフレーム26の前後両端に回転自在に設けたヘッドプーリ及びテールプーリ(図示せず)と、ヘッドプーリ及びテールプーリに掛け回したコンベヤベルト27(図2参照)と、ヘッドプーリに連結したメインコンベヤ用油圧モータ28とを備えており、メインコンベヤ用油圧モータ28でヘッドプーリを駆動させることによってヘッドプーリ及びテールプーリ間でコンベヤベルト27を循環駆動させる。また、コンベヤフレーム26の基端側は、ホッパコンベヤ3の左右のフレーム25に対して回動軸(図示せず)を介して上下に揺動可能に連結されている。コンベヤフレーム26の放出端側は、篩装置5のベースフレーム35に対してリンクアーム29を介して連結されている。コンベヤフレーム26は、稼動時には基端から放出端にかけて直線状に延在するが、移動時等には途中の関節部でピン30(図3参照)を支点に放出端側が基端側に対して下方に屈曲可能な構成となっている。
【0021】
篩装置5は、枠状の装置本体31の内部に装着された上下二段の篩部材(図示せず)で被選別物を3つの粒度に選別する。装置本体31は篩装置5のベースフレーム35上に弾性体(例えばバネ)を介して振動可能に支持されている。ベースフレーム35の後部側は、本体フレーム11の前部に固定した支持部材32に回動軸(図示せず)を介して連結されている。支持部材32は本体フレーム11に対して上方に突出しており、篩装置5の回動軸はこの支持部材32の上端部近傍に位置している。ベースフレーム35の前部側は、支持棹33を介して支持部材32に連結されている。また、装置本体31に装着された上下の篩部材は、下段に比べて上段の目が粗くなっていて、最も大きな粒度群(オーバーサイズと適宜記載する)の選別物が上段の篩部材上に、それよりも粒径が小さく上段の篩部材を通過した選別物のうちで比較的大きな粒度群(ミドルサイズと適宜記載する)の選別物が下段の篩部材上にそれぞれ残り、最も小さな粒度群(アンダーサイズと適宜記載する)の選別物が下段を通過する。稼動時の篩装置5の姿勢は後方に下り傾斜であり(図1参照)、上下の篩部材の篩面が後方に下る方向に傾斜するので、上下の各篩部材上に残ったオーバーサイズ及びミドルサイズの選別物は装置本体5の振動に伴って篩面上を下り落ちる。下段の篩部材を通過したアンダーサイズの選別物は篩装置5を通過して下方に落下する。
【0022】
また、この篩装置5の周囲には篩装置5のメンテナンスの際の足場として利用するためのメンテナンスフロア60が設置されている。メンテナンスフロア60は、篩装置5の前部に設けた前部メンテナンスフロア61(図2参照)と、篩装置5の左右の側部に設けた側部メンテナンスフロア62とを含む。側部メンテナンスフロア62は篩装置フレーム35の左右の側面に直接取り付けられているのに対し、前部メンテナンスフロア61は、篩装置フレーム35の前部に設けた左右の支持アーム64を介して篩装置フレーム35に取り付けられている。前部メンテナンスフロア61及び側部メンテナンスフロア62には安全柵63が設置されている。このメンテナンスフロア60の構成についてはまた後で説明する。
【0023】
オーバーコンベヤ6は、篩装置5の上段の篩部材の篩面上を移動して落下したオーバーサイズの選別物を搬送し機体側方の一方側(本例では左側)に排出するものであり、放出端に向かって斜めに立ち上がるように配置されている。このオーバーコンベヤ6は、コンベヤフレーム36と、コンベヤフレーム36の両端に回転自在に設けたヘッドプーリ及びテールプーリ(図示せず)に掛け回したコンベヤベルト37と、ヘッドプーリに連結したオーバーコンベヤ用油圧モータ38と、篩装置5の上段の篩部材の放出端部から延びるシュート34が臨むようにコンベヤフレーム36上に設けたホッパ39とを備えており、オーバーコンベヤ用油圧モータ38でヘッドプーリを駆動させることによってヘッドプーリ及びテールプーリ間でコンベヤベルト37を循環駆動させ、ホッパ39で受けたオーバーサイズの選別物を機体側方(左方)に搬出する。また、コンベヤフレーム36の基端部は、本体フレーム11に対して回動軸(図示せず)を介して上下に揺動可能に連結されていて、オーバーコンベヤ揺動シリンダ(図示せず)によって上下に揺動する。また、コンベヤフレーム36は途中の関節部でピン(図示せず)を支点に基端側に対して放出端側が選別物搬送方向に向かって左側(機体後方側)に屈曲可能になっていて、移動時等にはオーバーコンベヤ格納シリンダ(図示せず)によって放出端側が機体後方に折り畳まれる(図3参照)。
【0024】
ミドルコンベヤ7は、篩装置5の下段の篩部材の篩面上を移動して落下したミドルサイズの選別物を搬送し機体側方の他方側(本例では右側)に排出するものであり、アンダーコンベヤ6の前隣に位置している。ミドルコンベヤ7はオーバーコンベヤ6とほぼ同様の構成であり、コンベヤフレーム41と、コンベヤフレーム41の両端に回転自在に設けたヘッドプーリ及びテールプーリ(図示せず)に掛け回したコンベヤベルト42と、ヘッドプーリに連結したミドルコンベヤ用油圧モータ43と、篩装置5の下段の篩部材の放出端部から延びるシュート(図示せず)が臨むようにコンベヤフレーム41上に設けたホッパ(図示せず)とを備えており、ミドルコンベヤ用油圧モータ43でヘッドプーリを駆動させることによってヘッドプーリ及びテールプーリ間でコンベヤベルト42を循環駆動させ、ホッパで受けたミドルサイズの選別物を機体側方(右方)に搬出する。また、コンベヤフレーム41の基端部は、本体フレーム11に対して回動軸(図示せず)を介して上下に揺動可能に連結されていて、ミドルコンベヤ揺動シリンダ44によって上下に揺動する。また、コンベヤフレーム41は途中の関節部でピン45(図3参照)を支点に基端側に対して放出端側が選別物搬送方向に向かって右側(機体後方側)に屈曲可能になっていて、移動時等にはミドルコンベヤ格納シリンダ46(図3参照)によって放出端側が機体後方に折り畳まれる(図3参照)。
【0025】
アンダーコンベヤ8は、篩装置5の下段の篩部材を通過したアンダーサイズの選別物を搬送し機体前方に排出するものであり、篩装置5の下方から機体前方に上り傾斜に延在している。このアンダーコンベヤ8は、コンベヤフレーム51と、コンベヤフレーム51の両端に回転自在に設けたヘッドプーリ及びテールプーリ(図示せず)に掛け回したコンベヤベルト52と、ヘッドプーリに連結したアンダーコンベヤ用油圧モータ53とを備え、アンダーコンベヤ用油圧モータ53でヘッドプーリを駆動させることによってヘッドプーリ及びテールプーリ間でコンベヤベルト52を循環駆動させ、アンダーサイズの選別物を機体前方に搬出する。また、コンベヤフレーム51の基端部は、本体フレーム11の前部の支持部材32の上下方向の中間部に対して回動軸(図示せず)を介して上下に揺動可能に連結されている。コンベヤフレーム51の中間部は、篩装置揺動シリンダ54を介して支持部材32の下端部近傍に、支持棹55を介して篩装置5のベースフレーム35にそれぞれ連結されており、篩装置揺動シリンダ54の伸縮に伴って篩装置8及びメインコンベヤ4とともにアンダーコンベヤ8が上下に揺動する。アンダーコンベヤ8はまた、その基端側に対してピン56を介して放出端側が上方に折り曲げ可能な構成であり、基端側の先端部近傍がアンダーコンベヤ揺動シリンダ57を介して篩装置5のベースフレーム35に連結されるとともに、放出端側はアンダーコンベヤ格納シリンダ58を介して基端側に連結されている。アンダーコンベヤ揺動シリンダ57の伸縮に伴って篩装置5やメインコンベヤ4とは別個に本体フレーム11に対してアンダーコンベヤ8が単独で上下に揺動し、アンダーコンベヤ格納シリンダ58の伸縮に伴ってアンダーコンベヤ8の放出端側が基端側に対して上下に揺動する。したがって、このアンダーコンベヤ格納シリンダ58は、アンダーコンベヤ8の放出端側を基端側に対して上方に折り曲げるコンベヤ折曲手段として機能する。
【0026】
パワーユニット9は、エンジンや油圧ポンプ、コントロールバルブ等、機体各所に搭載した作動装置の動力源を内蔵しており、本体フレーム11上の走行装置10の上方位置に搭載されている。このパワーユニット9は、メインコンベヤ4の下側で、かつ、ホッパコンベヤ3とオーバーコンベヤ6の間に位置している。
【0027】
図5は篩装置5とアンダーコンベヤ8を抽出して表した側面図である。この図5では、図1の状態から篩装置揺動シリンダ54を縮めるとともにアンダーコンベヤ揺動シリンダ57を伸ばし、下げた状態の篩装置5及びアンダーコンベヤ8を図示している。また、前部メンテナンスフロア61を明示するため、側部メンテナンスフロア62とともに前部メンテナンスフロア61を支持する機体右側の支持アーム64及び安全柵63を図示省略している。
【0028】
前部メンテナンスフロア61は、左右の支持アーム64(図5では左側のもののみ図示)にピン65を介して支持されていて、篩装置5に対して上下に傾動可能に取り付けられている。また、左右の支持アーム64の前部メンテナンスフロア61側の面には、アングル材等で構成された受け部材66が固定されており、前部メンテナンスフロア61は、この受け部材66で下面を受けられることによって、篩装置5が図1に示す作業姿勢にあるときにフロア面(上面)がほぼ水平(地面と平行)な姿勢で保持される。以下、受け部材66で支持された状態を前部メンテナンスフロア61の「展開姿勢」と呼ぶ。
【0029】
このとき、前部メンテナンスフロア61の後部(展開姿勢時の篩装置5との対向部)には当該メンテナンスフロア61のフロア面にほぼ面一となるようにバネ受け部材69が設けられている。また、左右の支持アーム64の間には支持棒67が掛け渡されていて、この支持棒67には前部メンテナンスフロア61を展開方向に付勢する付勢手段68(例えば、コイルスプリングや板バネ等)が設けられている。この付勢手段68は支持棒67に少なくとも1つ左右方向(当該支持棒67の長手方向)に対称に設けられていて、その左右方向位置は上記バネ受け部材69に対応している。
【0030】
更に、前部メンテナンスフロア61の前部(展開姿勢時に前方を向く部分)には、ガイド受けブラケット70が前方に延在するように設けられている。そしてアンダーコンベヤ8の先端側(上下に揺動する部分)には、コンベヤフレーム51上にガイド部71が設けられている。このガイド部71は、前後方向に一定の長さを有し、左右のコンベヤフレーム51の上部に上方に突出するように設けられており、アンダーコンベヤ格納シリンダ58が縮退することにより当該アンダーコンベヤ58の先端側が上方に折れ曲がる際に、図6に示すように前部メンテナンスフロア61のガイド受けブラケット70に当接し、図7に示すように前部メンテナンスフロア61を押し上げて起立させる。図7に示した起立姿勢において、前部メンテナンスフロア61は、付勢手段68によって展開方向に付勢されガイド部71側すなわちアンダーコンベヤ8側に押し付けられている。
【0031】
次に上記構成の振動スクリーンの動作及び作用効果を順次説明する。
【0032】
例えば油圧ショベル等の投入重機等によってチッピンググリット24に被選別物が投入されると、チッピンググリット24によって大きな岩石や礫等が除去されて機体右側に排出され、チッピンググリット24を通過した被選別物がホッパ21に受け入れられる。ホッパ21に受け入れられた被選別物は送りコンベヤ22によってホッパ21から搬出され、前方のメインコンベヤ4に乗り継いで篩装置5に供給される。篩装置5に供給された被選別物は上下段の篩部材(図示せず)で粒度選別され、オーバーコンベヤ6の搬送面には上段の篩部材(図示せず)上から最も大きな粒度群のオーバーサイズの選別物が、ミドルコンベヤ7の搬送面には下段の篩部材(図示せず)上から中間粒度群のミドルサイズの選別物が、アンダーコンベヤ8の搬送面には下段の篩部材を通過した最も小さな粒度群のアンダーサイズの選別物が導かれ、それぞれコンベヤ6−8によって機体の左方、右方、前方に搬出される。
【0033】
このとき、例えばトレーラで振動スクリーンを輸送する際等に、図1及び図2に示した作業姿勢から図3及び図4に示した輸送姿勢(格納姿勢)に移行するには、オーバーコンベヤ6及びミドルコンベヤ7を図3及び図4に示したように後方に格納するとともに、篩装置揺動シリンダ54を縮めてメインコンベヤ4、篩装置5及びアンダーコンベヤ8を倒伏させ、アンダーコンベヤ揺動シリンダ57を伸ばしてアンダーコンベヤ8を更に低位置に移行させる(図5参照)。その後、これまでの手順と前後しても構わないが、前部メンテナンスフロア61の安全柵63を外しておく。
【0034】
そして、アンダーコンベヤ格納シリンダ58を縮めてアンダーコンベヤ8の先端側を上方に折り曲げて機体全長を輸送制限長に収める。アンダーコンベヤ8を折り曲げるにあたって前部メンテナンスフロア61がアンダーコンベヤ8の先端側の可動範囲に干渉する位置にあるが、アンダーコンベヤ8の先端部が起立する過程でそのガイド部71が前部メンテナンスフロア61のガイド受けブラケット70に当接し(図6参照)、更に起立する過程でガイド受けブラケット70がガイド部71に摺動しつつ押し上げられ、前部メンテナンスフロア61が起立する。こうして前部メンテナンスフロア61がアンダーコンベヤ8に従動的に起立することで、アンダーコンベヤ8は前部メンテナンスフロア61に阻害されることなく所望の角度に屈曲する。起立した前部メンテナンスフロア61は付勢手段68によってガイド部71に押し付けられている。
【0035】
なお特に図示していないが、アンダーコンベヤ8の折り曲げが完了したら、アンダーコンベヤ格納シリンダ58の油のリーク等の何らかの要因によってアンダーコンベヤ8が不測に展開してしまわないように、篩装置フレーム35とコンベヤフレーム51の互いのブラケット72,73をチェーンや金具等の連結手段で繋いでおくことが望ましい。
【0036】
本実施形態によれば、アンダーコンベヤ8を折り曲げて格納姿勢に移行する際に、アンダーコンベヤ8の屈曲動作に従動して前部メンテナンスフロア61が自動的に起立するので、アンダーコンベヤ8の屈曲動作前に作業者が重量物である前部メンテナンスフロア61を持ち上げてチェーン等で予め固定しておく必要がない。したがって、機体を輸送姿勢に移行させるにあたって作業者の負担を軽減するとともに、格納姿勢への移行時間すなわち輸送準備の所要時間を短縮することができる。
【0037】
また、従来のように起立させたメンテナンスフロアを単にチェーン等で保持する場合、輸送中の振動でメンテナンスフロアがばたつき、メンテナンスフロアが他部位と接触したりチェーンが切れてメンテナンスフロアがアンダーコンベヤに衝突してアンダーコンベヤが破損したりすることも起こり得る。それに対し、本実施形態の場合、起立した前部メンテナンスフロア61は付勢手段68によってアンダーコンベヤ8のガイド部71に押し付けられているので、例えば輸送中の振動による前部メンテナンスフロア61のばたつきを抑制することができ、アンダーコンベヤ8等の周囲の部材の損傷を抑制することができる。
【0038】
図8は本発明の第2実施形態に係る振動スクリーンに備えられた篩装置とアンダーコンベヤを抽出して表した側面図である。図8では、作業姿勢から篩装置揺動シリンダ54を縮めた状態の篩装置5及びアンダーコンベヤ8を図示している。また、前部メンテナンスフロア61を明示するため、側部メンテナンスフロア62とともに前部メンテナンスフロア61を支持する機体右側の支持アーム64及び安全柵63を図示省略している。
【0039】
本実施形態が第1実施形態と相違する点は、前部メンテナンスフロア61をアンダーコンベヤ8とをリンク部材80で連結し、リンク部材80によってアンダーコンベヤ8の屈曲動作に前部メンテナンスフロア61の起立動作を連動させた点である。
【0040】
図8に示したように、リンク部材80は、アンダーコンベヤ8の先端側のコンベヤフレーム51の上部及び前部メンテナンスフロア61の先端部にそれぞれ設けたブラケット88,89に両端がそれぞれ連結されている。すなわち、アンダーコンベヤ格納シリンダ54によりアンダーコンベヤ8の先端部が折れ曲がる際に、このリンク部材80が前部メンテナンスフロア61を押し上げて起立させる役割を果たす。アンダーコンベヤ8のコンベヤフレーム51上には、前部メンテナンスフロア61の受け部材100が設置されている。なお、第1実施形態における前部メンテナンスフロア61のガイド受けブラケット70、及びアンダーコンベヤ8のガイド部71は、本実施形態では省略されている。
【0041】
図9はリンク部材80の内部構成を示す概略図である。
【0042】
図9に示したように、リンク部材80は、第1−第3ステー81−83を有する伸縮可能な多段ステー(多段のシリンダ構造を含む)である。先端側の第1ステー81の端部のブラケット84が前部メンテナンスフロア61のブラケット89に、基端側の第3ステー83の端部のブラケット85がアンダーコンベヤ8のブラケット88にそれぞれ図示しないピンを介して回動可能に連結される。第1−第3ステー81−83のうち少なくとも第2ステー82及び第3ステー83は中空の筒状に構成されていて、第1ステー81は第2ステー82に、第2ステー82は第3ステー83にそれぞれ出入り可能な構成である。第1−第3ステー81−83の基端側(ブラケット85側)はそれぞれ蓋91−93で塞がれている。第1及び第2ステー81,82の蓋91,92の径は、それぞれ第1ステー81及び第2ステー82の外径よりも大きく、第2ステー82及び第3ステー83の内径よりも小さい。また、第2ステー82及び第3ステー83の先端側(ブラケット84側)は、それぞれ蓋91,92よりも開口径が小さくなるように内側にリング状の凸部が設けられている。これにより、第1ステー81及び第2ステー82は、それぞれ第2ステー82及び第3ステー83から抜けないようになっている。
【0043】
このとき、リンク部材80は、当該リンク部材80を縮み方向に付勢するバネ86,87を内蔵している。したがって、作業姿勢にあるとき、前部メンテナンスフロア61は、リンク部材80のバネ86,87によってアンダーコンベヤ8側に引っ張られ、展開姿勢で保持されることとなる。第2ステー82に収容されたバネ86は第1及び第2ステー81,82の蓋91,92を連結し、第3ステー83に収容されたバネ87は第2及び第3ステー82,83の蓋92,93を連結しており、これらバネ86,87はともに縮み方向の復元力を蓄えている。このとき、バネ86,87は基端側のものの方が大きなバネ定数を有していて復元力が強くなっている。すなわち、バネ86,87のバネ定数をK1,K2とした場合、K1<K2である。
【0044】
なお、本実施形態では伸縮箇所を2箇所有する構成としたが、3箇所以上有する多段ステーとしても良い。その他の構成については、第1実施形態と同様である。
【0045】
本実施形態の場合、振動スクリーンを輸送する際等に作業姿勢から輸送姿勢(格納姿勢)に移行するには、オーバーコンベヤ6及びミドルコンベヤ7を図3及び図4に示したように後方に格納するとともに、篩装置揺動シリンダ54を縮めてメインコンベヤ4、篩装置5及びアンダーコンベヤ8を倒伏させる。そして、これまでの手順と前後しても構わないが、前部メンテナンスフロア61の安全柵63を外しておく。
【0046】
その後、アンダーコンベヤ格納シリンダ58を縮めてアンダーコンベヤ8の先端側を上方に折り曲げる。このとき、アンダーコンベヤ8の先端部が起立する過程でリンク部材80が縮んでいき、リンク部材80は最短長に縮むと前部メンテナンスフロア61を押し上げるようになるので、リンク部材80を介してアンダーコンベヤ8の屈曲動作に連動して前部メンテナンスフロア61が起立する(図10参照)。起立した前部メンテナンスフロア61は、バネ86,87によるリンク部材80の縮み力と付勢手段68の復元力によって展開方向に付勢され、コンベヤフレーム51上の受け部材100に押し付けられる。その後、アンダーコンベヤ揺動シリンダ57を伸ばしてアンダーコンベヤ8を更に低位置に移行させ、機体の全高を輸送制限長に収める(図11参照)。このとき、篩装置5に対してアンダーコンベヤ8が下降することによりリンク部材80が伸長する。
【0047】
なお、特に図示していないが、起立したアンダーコンベヤ8の先端側を篩装置フレーム35にチェーン等の連結手段で繋いでおくことが望ましい。
【0048】
本実施形態によっても、アンダーコンベヤ8を折り曲げて格納姿勢に移行する際に、アンダーコンベヤ8の屈曲動作に従動して前部メンテナンスフロア61が自動的に起立するので、アンダーコンベヤ8の屈曲動作前に作業者が重量物である前部メンテナンスフロア61を持ち上げてチェーン等で予め固定しておく必要がない。したがって、機体を輸送姿勢に移行させるにあたって作業者の負担を軽減するとともに、格納姿勢への移行時間すなわち輸送準備の所要時間を短縮することができる。
【0049】
また、起立した前部メンテナンスフロア61は付勢手段68及びバネ86,87によってアンダーコンベヤ8の受け部材100に押し付けられているので、例えば輸送中の振動による前部メンテナンスフロア61のばたつきを抑制することができ、アンダーコンベヤ8等の周囲の部材の損傷を抑制することができる。なお、起立した前部メンテナンスフロア61のばたつきを抑える限りにおいては、リンク部材80のバネ86,87又は付勢手段68のいずれかを省略しても構わない。
【0050】
また、アンダーコンベヤ8はアンダーコンベヤ格納シリンダ58による屈曲動作の他、アンダーコンベヤ揺動シリンダ57によって篩装置5に対して上下動するが、リンク部材80に伸縮機能を持たせたことで、前部メンテナンスフロア61をアンダーコンベヤ8の屈曲動作に連動させつつ、アンダーコンベヤ57の上下動を許容することができる。また、リンク部材80に伸縮部を複数(本実施形態では2箇所)設けたことで、伸縮部が1箇所の場合に比べてリンク部材80の伸縮率を大きくすることができ、アンダーコンベヤ8と前部メンテナンスフロア61の相対位置の変化を吸収する上で有利な構成とすることができる。
【0051】
なお、以上においては、自走形式の振動スクリーンに本発明を適用した場合を例に挙げて説明したが、定置式又は牽引走行式の振動スクリーン等にも本発明は適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0052】
さらには、メインコンベヤ4により篩装置5に被選別物を供給して粒度に応じて三分級し、分級した選別物をオーバーコンベヤ6、ミドルコンベヤ7及びアンダーコンベヤ8によって粒度別に三方向に排出する三分級タイプの振動スクリーンに本発明を適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明の適用対象はこの型の振動スクリーンに限定されない。例えば、上下段の篩部材を持つ(三分級の機能を持つ)篩装置を搭載しつつも、オーバーコンベヤ6、ミドルコンベヤ7に相当するコンベヤのいずれかが省略されていて、下段の篩部材を通過したアンダーサイズの選別物をアンダーコンベヤ8に相当するコンベヤで搬出する一方で、上段又は下段の篩装部材で選別されたオーバーサイズ及びミドルサイズの選別物をオーバーコンベヤ6又はミドルコンベヤ7に相当する1本のサイドコンベヤで搬出する構成の振動スクリーンがある。また、そもそも篩部材を1枚しか持たない二分級タイプの振動スクリーンも存在する。また、三分級タイプか二分級タイプかに関わらず、篩装置を通過しない(篩部材で選別された)選別物をコンベヤで搬出せずに篩面から落下させるタイプの振動スクリーンもある。さらには、三分級タイプか二分級タイプかに関わらず、投入重機等で被選別物を篩装置に直接投入することを想定し、メインコンベヤ4や、ホッパ11、送りコンベヤ22に相当する要素を持たない振動スクリーンも存在する。そして、これらのような各種の振動スクリーンにおいても篩装置の前部にメンテナンスフロアを設ける場合があり、送りコンベヤ22、メインコンベヤ4、オーバーコンベヤ6、ミドルコンベヤ7等に相当する要素を持たない振動スクリーンにも本発明は適用可能であり、同様に効果を奏し得る。
【符号の説明】
【0053】
4 メインコンベヤ
5 篩装置
6 オーバーコンベヤ
7 ミドルコンベヤ
8 アンダーコンベヤ(コンベヤ)
58 アンダーコンベヤ格納シリンダ(コンベヤ折曲手段)
61 前部メンテナンスフロア
68 付勢手段
71 ガイド部
80 リンク部材
86,87 バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被選別物を粒度に応じて選別する篩装置と、
この篩装置の下方から前方に延在し、当該篩装置を通過した選別物を機体前方に搬出する折り曲げ可能なコンベヤと、
このコンベヤの放出端側を基端側に対して上方に折り曲げるコンベヤ折曲手段とを備えた振動スクリーンにおいて、
前記篩装置の前部に当該篩装置に対して上方に傾動可能に取り付けた前部メンテナンスフロアと、
前記コンベヤの放出端側に設けられ、前記コンベヤ折曲手段により当該コンベヤの先端側が折り曲げられる際に前記前部メンテナンスフロアに当接し、当該前部メンテナンスフロアを押し上げて起立させるガイド部と
を備えたことを特徴とする振動スクリーン。
【請求項2】
被選別物を粒度に応じて選別する篩装置と、
この篩装置の下方から前方に延在し、当該篩装置を通過した選別物を機体前方に搬出する折り曲げ可能なコンベヤと、
このコンベヤの放出端側を基端側に対して上方に折り曲げるコンベヤ折曲手段とを備えた振動スクリーンにおいて、
前記篩装置の前部に当該篩装置に対して上方に傾動可能に取り付けた前部メンテナンスフロアと、
前記コンベヤの放出端側と前記前部メンテナンスフロアとを連結し、前記コンベヤ折曲手段により当該コンベヤの先端側が折り曲げられる際に前記前部メンテナンスフロアを押し上げて起立させるリンク部材と
を備えたことを特徴とする振動スクリーン。
【請求項3】
前記リンク部材は、伸縮可能な多段ステーであることを特徴とする請求項2に記載の振動スクリーン。
【請求項4】
前記リンク部材は、当該リンク部材を縮み方向に付勢するバネを内蔵していることを特徴とする請求項3に記載の振動スクリーン。
【請求項5】
前記前部メンテナンスフロアを展開方向に付勢する付勢手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の振動スクリーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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