説明

振動検出デバイス

【課題】測定部位に対する位置合わせが不要であり、測定対象物の位置に関係なく、正確に振動検出を行うことができる振動検出デバイスを提供すること。
【解決手段】筐体1は、測定対象物に装着可能な大きさに設定されている。本実施の形態においては、振動検出デバイスを人の手首に装着する場合を想定しているので、人の手首に装着可能な大きさのリング形状を有する。筐体1の内側には弾性体であるラバー2が取り付けられており、そのラバー2の内側に圧電素子3が取り付けられている。この圧電素子3は、測定対象物の振動により電界を変化させる電界変化手段である。筐体1の外側には、電界を検出する電界センサ4が取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脈動などの振動を検出する振動検出デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、脈動などの振動を検出する装置として、例えば、特許文献1,2に開示されている技術がある。このような装置においては、測定対象物である人の腕や指に発光素子から発せられた光を照射し、血管を流れる血液中のヘモグロビンからの透過光や反射光を検出することにより脈波を測定する。
【特許文献1】特開2000−342547号公報
【特許文献2】特開2001−57965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のような光学式の脈波測定方式では、発光素子を血管に向ける必要があり、装置を正確に位置合わせする必要があり、発光素子と受光素子との間の光軸合わせも必要である。また、光学式の脈波測定方式では、皮膚から深い位置に血管があると、正確に脈波を測定することができない。
【0004】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、測定部位に対する位置合わせが不要であり、測定対象物の位置に関係なく、正確に振動検出を行うことができる振動検出デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の振動検出デバイスは、測定対象物の振動により電界を変化させる電界変化手段と、前記電界変化手段による電界変化を検出する電界検出手段と、前記電界変化を波形データに変換する変換手段と、を具備することを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、振動に対応する電界の変化を検出するので、光学式のように光軸合わせや位置合わせが不要であり、簡単な装着形態で正確に振動を検出することができる。また、振動に対応する電界の変化を検出するので、例えば、皮膚の深い位置の血管の脈動であっても正確に測定することができる。
【0007】
本発明の振動検出デバイスにおいては、前記電界変化手段が圧電素子であることが好ましい。
【0008】
本発明の振動検出デバイスにおいては、前記電界変化手段は、弾性を有する磁性体と、前記磁性体の磁界の影響を受ける位置に配置されたコイルと、から構成されることが好ましい。
【0009】
本発明の振動検出デバイスにおいては、前記動きが脈波であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の振動検出デバイスによれば、測定対象物の振動により電界を変化させる電界変化手段と、前記電界変化手段による電界変化を検出する電界検出手段と、前記電界変化を波形データに変換する変換手段と、を具備するので、測定部位に対する位置合わせが不要であり、測定対象物の位置に関係なく、正確に振動検出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態においては、振動が人体の脈動である場合について説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る振動検出デバイスである脈波センサを示す図であり、図2は、図1に示す脈波センサの概略ブロック図である。
【0013】
図1に示す脈波センサは筐体1を有する。この筐体1は、測定対象物に装着可能な大きさに設定されている。本実施の形態においては、振動検出デバイスを人の手首に装着する場合を想定しているので、人の手首に装着可能な大きさのリング形状を有する。
【0014】
筐体1の内側には弾性体であるラバー2が取り付けられており、そのラバー2の内側に圧電素子3が取り付けられている。この圧電素子3は、測定対象物の振動により電界を変化させる電界変化手段である。また、筐体1の外側には、電界を検出する電界センサ4が取り付けられている。ここでは、圧電素子3は、ラバー2の内側に複数取り付けられており、電界センサ4は、筐体1の外側に複数取り付けられている。
【0015】
また、このような構成を有する脈波センサは、図2に示すように、センサ全体を制御する制御部5と、電界変化を波形データ、ここでは脈波データに変換する変換部6と、変換された脈波データを表示する表示部7とを有する。
【0016】
このような構成を有する脈波センサにおいて脈波を検出する場合、図1に示す脈波センサを手首に装着する。このとき、手首に圧電素子3が当接し、血管の脈動によりラバー2及び圧電素子3が変形する。圧電素子3の変形により周辺の電界が変化する。この電界の変化は電界センサ4で検出される。電界センサ4で検出された電界変化は変換部6で脈波データに変換される。そして、この脈波データが表示部7で表示される。
【0017】
脈波は、心臓から送出された血液による血管の圧力変動を捉えたものであるので、脈波データは、図3に示すような圧力と時間との関係の波形11で表される。この脈波については、1回微分することにより速度脈波となり、2回微分することにより加速度脈波となる。加速度脈波には、図4(a)に示すように、いくつかのピーク12が現れる。このいくつかのピークのパターンで血管の状態をモニタリングすることができる。例えば、図4(b)に示す加速度脈波のパターンA〜Gから血管の状態を把握することができる。すなわち、パターンA側の血管は柔らかく、血管年齢が若く、パターンG側の血管は硬く、血管年齢が老いている。
【0018】
このように、本実施の形態の脈波センサは、脈動のような振動に対応する電界の変化を検出するので、光学式のように光軸合わせや位置合わせが不要であり、簡単な装着形態で正確に脈動のような振動を検出することができる。また、脈動のような振動に対応する電界の変化を検出するので、皮膚の深い位置の血管の脈動であっても正確に測定することができる。
【0019】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係る振動検出デバイスである脈波センサを示す図であり、図6は、図5に示す脈波センサの概略ブロック図である。
【0020】
図5に示す脈波センサは筐体21を有する。この筐体21は、測定対象物に装着可能な大きさに設定されている。本実施の形態においては、振動検出デバイスを人の手首に装着する場合を想定しているので、人の手首に装着可能な大きさのリング形状を有する。
【0021】
筐体21の内側には弾性を有する磁性体であるラバー磁石22が取り付けられており、そのラバー磁石22の内側にコイル23が取り付けられている。このラバー磁石22及びコイル23は、測定対象物の振動により電界を変化させる電界変化手段である。また、筐体21の外側には、電界を検出する電界センサ24が取り付けられている。ここでは、電界センサ24は、筐体21の外側に複数取り付けられている。ラバー磁石22とコイル23の配置位置は、これに限定せず、磁界の影響を受ける位置にコイル23及びラバー磁石22を配置することができる。
【0022】
また、このような構成を有する脈波センサは、図6に示すように、センサ全体を制御する制御部25と、電界変化を波形データ、ここでは脈波データに変換する変換部26と、変換された脈波データを表示する表示部27とを有する。
【0023】
このような構成を有する脈波センサにおいて脈波を検出する場合、図5に示す脈波センサを手首に装着する。このとき、手首にコイル23を有するラバー磁石22が当接し、血管の脈動によりラバー磁石22が変形する。ラバー磁石22の変形により周辺の磁界が変化し、この磁界変化によりコイル23に誘導起電力が発生する。この誘導起電力の発生により電界が変化する。この電界の変化は電界センサ24で検出される。電界センサ24で検出された電界変化は変換部26で脈波データに変換される。そして、この脈波データが表示部27で表示される。
【0024】
このように、本実施の形態の脈波センサも、脈動のような振動に対応する電界の変化を検出するので、光学式のように光軸合わせや位置合わせが不要であり、簡単な装着形態で正確に脈動のような振動を検出することができる。また、脈動のような振動に対応する電界の変化を検出するので、皮膚の深い位置の血管の脈動であっても正確に測定することができる。
【0025】
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態1,2においては、手首に装着する形態の脈波デバイスについて説明しているが、これに限定されず、指や腕に装着する形態の脈波デバイスであっても良い。この場合においては、筐体の大きさを被装着部材に応じて設定する。また、上記実施の形態1,2においては、リング状の筐体を用いた場合について説明しているが、シート状の筐体上に層形成(ラバー+圧電素子、ラバー磁石+コイル)し、被装着部位の太さに合わせてリング状に固定できる形態にしても良い。
【0026】
また、上記実施の形態においては、振動が人体の脈動である場合について説明しているが、本発明はこれに限定されず、その他の振動などの動きである場合にも適用することができる。また、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、部材の数、材質、処理部、処理手順については適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態1に係る振動検出デバイスである脈波センサを示す図である。
【図2】図1に示す脈波センサの概略ブロック図である。
【図3】脈波の波形を示す図である。
【図4】(a),(b)は、脈波の2回微分データのパターンを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る振動検出デバイスである脈波センサを示す図である。
【図6】図5に示す脈波センサの概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0028】
1,21 筐体
2 ラバー
3 圧電素子
4,24 電界センサ
5,25 制御部
6,26 変換部
7,27 表示部
11 波形
12 ピーク
22 ラバー磁石
23 コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の振動により電界を変化させる電界変化手段と、前記電界変化手段による電界変化を検出する電界検出手段と、前記電界変化を波形データに変換する変換手段と、を具備することを特徴とする振動検出デバイス。
【請求項2】
前記電界変化手段が圧電素子であることを特徴とする請求1記載の振動検出デバイス。
【請求項3】
前記電界変化手段は、弾性を有する磁性体と、前記磁性体の磁界の影響を受ける位置に配置されたコイルと、から構成されることを特徴とする請求項1記載の振動検出デバイス。
【請求項4】
前記動きが脈波であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の振動検出デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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