説明

振動発生装置を備えたベッド

【課題】 使用者がベッドに立ち上がったり、膝をついたり、飛び跳ねたりした場合でも、振動板や床フレームに曲げ応力が発生するのを抑え、振動発生装置の寿命の低下又は破損等のトラブルを防止するベッドを提供すること。
【解決手段】 ベッド1は、振動子11と、振動子11とボルト12で締結する振動板13と、を備える振動発生装置10と、ウレタンから形成されるボトム21と、振動子11を収納する凹部22と振動板13を載置する上面部23とを有しボトム21と嵌合しウレタンから形成されるスペーサ24と、を備えるマットレス20と、から構成され、振動板13に外力が作用する場合、スペーサ24はボトム21から独立して移動し、振動板13はスペーサ24に追従する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動発生装置を備え、使用者の睡眠を促進するベッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のベッドとして、ベッドに設けた振動板に、連続する微振動を発生する連続微振動発生器と、概ね一定の周期で繰り返す単発的な振動を発生する間歇的単発振動発生器とを設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、使用者の臥するベッド床は、その頭部を上下方向に通過する揺動中心軸線まわりに左右に揺動される床フレームを備えるものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−24678号公報
【特許文献2】特開2007−37832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術のベッドでは、使用者がベッドに立ち上がったり、膝をついたり、飛び跳ねたりすると、振動板や床フレームに曲げ応力が働き振動発生装置の特定の部位に応力集中が発生して、振動発生装置の寿命の低下又は破損等のトラブルの原因になる虞れがあった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、使用者がベッドに立ち上がったり、膝をついたり、飛び跳ねたりした場合でも、振動板や床フレームに曲げ応力が作用するのを抑え、振動発生装置の寿命の低下又は破損等のトラブルを防止するベッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の課題解決手段は、振動子と、前記振動子と締結部材で締結する振動板と、を備える振動発生装置と、弾性材料から形成されるボトムと、前記振動子を収納する収納部と前記振動板を載置する上面部とを有し前記ボトムと嵌合し前記弾性材料から形成されるスペーサと、を備えるマットレスと、から構成されるベッドであって、前記振動板に外力が作用する場合、前記スペーサは前記ボトムから独立して変位し、前記振動板は前記スペーサに追従する構成である。
【0008】
また、第2の課題解決手段は、前記スペーサと前記ボトムの間には、前記スペーサが変位可能で且つ前記スペーサの変形を制限する隙間を設けた構成である。
【0009】
また、第3の課題解決手段は、前記振動板の外形は、前記上面部より小さい構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のベッドでは、スペーサはボトムから独立して変位し、振動板はスペーサに追従するため、振動板に外力が作用しても曲げ応力の発生を抑え、振動発生装置の特定の部位(例えば振動子と振動板の締結部)に応力が集中するのを防ぎ、振動発生装置の信頼性が向上する。
【0011】
また、スペーサとボトムの間には、スペーサが変位可能で且つスペーサの一定以上の変形を制限する隙間を設けたため、スペーサとボトムの嵌合部にスペーサの変位を妨げる摩擦の発生を防ぐことができ、スペーサのスムーズな変位が可能になる。また、スペーサの変位に伴う変形をボトムの嵌合部が規制するため、スペーサの一定以上の変形を抑えることが可能で、快適な寝心地を維持できる。
【0012】
また、振動板の外形は上面部より小さい構成であるため、振動板がスペーサに追従するときに、ボトムの嵌合部との摩擦・引っ掛かりの発生を防ぐことができる。また、振動板の外形面にボトムとの摩擦・引っ掛かり防止を目的とする端面処理(面取り、R加工)が不要で、振動板の製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の振動発生装置を備えたベッドの構成を示す説明図である。
【図2】本発明のベッドで外力が作用したときの振動板の状態を示す説明図である。
【図3】スペーサを備えないベッドで外力が作用したときの振動板の状態を示す説明図である。
【図4】図2のA部詳細を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の最良の実施形態を図面に基づき説明する。
【0015】
図1は、本発明の振動発生装置10を備えたベッド1の構成を示す説明図である。ベッド1は、振動発生装置10と、振動発生装置10を内部に備えるマットレス20と、から構成される。
【0016】
振動発生装置10は、上下方向に振動する振動子11と、振動子11とボルト12(締結部材)(図2)で締結したABS樹脂製の振動板13と、から構成される。
【0017】
マットレス20は、ウレタン材料(弾性材料)から形成されるボトム21と、振動子11を収納する凹部22(収納部)と、振動板13を載置する上面部23とを有しボトム21と嵌合しウレタン材料から形成されるスペーサ24と、から構成される。ボトム21と振動板13にはエラスティックポリマー材料から成る複数の円柱形状の弾性体25を備えたキルト層26が載置され、使用者に適度な振動を付与する。
【0018】
図2は、本発明のベッド1で外力が作用したときの振動板13の状態を示す説明図である。使用者がベッド1に立ち上がったり、膝をついたり、飛び跳ねたりしてキルト層26を介して振動板13に外力が作用すると、振動板13は図2の下方に押される。振動板13が載置される上面部23には外力が作用し、スペーサ24はボトム21から独立して下方に移動(変位)する。このとき振動板13はスペーサ24に追従して、略水平状態を維持したまま下方に移動するため、振動板13に曲げ応力は発生しない。よって振動子11と振動板13を締結するボルト12の部分に応力集中は生じない。
【0019】
図3は、スペーサ24を備えないベッド1aで外力が作用したときの振動板13aの状態を示す説明図である。使用者がベッド1aに立ち上がったり、膝をついたり、飛び跳ねたりしてキルト層26を介して振動板13aに外力が作用すると、外力が作用した部分の振動板13aが図3の下方に押される。このとき振動板13aは外力が作用した部分と外力が作用していない部分で下方への移動量が異なるため、振動板13aは傾斜した状態になる。このとき振動板13aに曲げ応力が生じる。振動子11と振動板13aを締結するボルト12には曲げ応力及びキルト層26からの反力が作用し、応力集中が生じ、ボルト12の破損の原因になる。
【0020】
図4は、図2のA部詳細を示す説明図である。スペーサ24とボトム21の間には、スペーサ24が下方への移動が可能で、スペーサ24の一定以上の変形を制限する片側が5mm〜10mmの隙間Sが設けてある。また、振動板13の外形寸法Dtは、スペーサ24の上面部23の外形寸法Dsより小さい構成である。
【0021】
本発明のベッド1では、スペーサ24はボトム21から独立して移動(変位)し、振動板13はスペーサ24に追従するため、振動板13に外力が作用しても曲げ応力が抑えられ、振動発生装置10のボルト12に応力集中が発生するのを防止でき、振動発生装置10の信頼性が向上する。
【0022】
また、スペーサ24とボトム21の間には、スペーサ24が移動可能で且つスペーサ24の変形を制限する隙間Sを設けたため、スペーサ24とボトム21の嵌合部27にスペーサ24の移動を妨げる摩擦の発生を防ぐことができ、スペーサ24のスムーズな移動が可能になる。また、スペーサ24の一定以上の変形をボトムの嵌合部27であるボトム21の内径部29が規制するため、快適な寝心地を維持できる。
【0023】
また、振動板13の外形寸法Dtは上面部23の外形寸法Dsより小さいため、振動板13がスペーサ24に追従するときに、ボトム21の嵌合部27である内径部28との摩擦・引っ掛かりの発生を防ぐことができる。また、振動板13の外形面14にボトム21との摩擦・引っ掛かり防止を目的とする端面処理(面取り、R加工)が不要で、振動板13の製造コストを低減できる。
【符号の説明】
【0024】
1 ベッド
10 振動発生装置
11 振動子
12 ボルト(締結部材)
13 振動板
20 マットレス
21 ボトム
22 凹部(収納部)
24 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動子と、前記振動子と締結部材で締結する振動板と、を備える振動発生装置と、
弾性材料から形成されるボトムと、前記振動子を収納する収納部と前記振動板を載置する上面部とを有し前記ボトムと嵌合し前記弾性材料から形成されるスペーサと、を備えるマットレスと、から構成されるベッドであって、
前記振動板に外力が作用する場合、前記スペーサは前記ボトムから独立して変位し、前記振動板は前記スペーサに追従することを特徴とするベッド。
【請求項2】
前記スペーサと前記ボトムの間には、前記スペーサが変位可能で且つ前記スペーサの変形を制限する隙間を設けたことを特徴とする請求項1に記載のベッド。
【請求項3】
前記振動板の外形は、前記上面部より小さいことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のベッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−220952(P2010−220952A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74109(P2009−74109)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】