説明

振込装置、振込方法及びプログラム

【課題】振込箱を振動させて振込凹部に振込部品を装填する装置において、床が水平でないと部品箱内部に振込部品の片寄りを生じていた。また、偏芯ローラや偏芯カムを用いた振動発生機構では、振込部品にとって効率のよい振幅の調整が困難であった。
【解決手段】本来位置決め用のサーボモータを使用し、鋸歯状波になるようなサイクルで振動させることにより、振込率を格段に上昇させることができた。更に、振込部品を前後左右に強制的に移動させることができ、床面が斜めでも振込部品が片寄らず、振込効率を良くすると共に、振込部品に応じた振動サイクルを容易に設定できるようになった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振込パターンが形成された振込み凹部を備えた振込箱に多数の電子部品等の振込部品を投入し、当該振込箱を揺らすことにより振込パターンが形成された振込み凹部に振込対象の振込部品を振り込む振込装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品等の微小な部品は振込パターンが形成された振込み凹部を備えたトレイに整列させて運搬され、自動組立装置に設置して組み立てられることが多い。トレイの定められた位置に部品が整列されていると、自動組立装置が認識しやすく、組立作業を効率化することができる。
【0003】
トレイを回転運動又は往復運動で振動させてトレイに設けた複数の凹部に振込部品を落とし込んで整列させる方法としては、特開平6-312827や本願出願人の出願による特開平10―57892が提案されている。
【0004】
特開平6-312827は図7に示すように、モータ90に偏心カム91を取り付けて、ガイド93に沿ってパレット92を往復させ振動させる構成になっている。そして、シリンダ94を伸縮させることによりパレット92が支点95を中心に回転運動させる構成になっている。
更に、微小部品をトレイに整列させるために、トレイの凹部より大きいダミー部品を微小部品に混在させて振動させることで、微小部品をトレイの凹部に整列させるようにした方法も特開平6-312827には提案されている。
【0005】
また、特開平10-57892は図6に示すように、モータ80に偏心ローラ81を取り付けて、ガイド83に沿って振込箱設置台82を往復させ振動させる構成になっている。そして、モータ84を正逆回転させることにより振込箱85を一定角度回転運動させる構成になっている。
【0006】
なお、特開平10-57892では、吸着機能が付加された振込箱85を取り付け、振込部品が投入された振込箱85を振込凹部が下向きの状態で振込箱着脱機構に固定し、振込凹部が上向きになるように振込箱設置台82を回転スイング機構によって回転して、振込箱に投入された振込部品を吸着部によって振込凹部に吸着させた後、振込凹部が下向きになるように振込箱設置台82を回転機構によって反転させ、振込凹部に振込部品を吸着させたまま、振込箱85を振込箱着脱機構により着脱することができるように構成したことを特徴とする振込装置として提案されている。
【特許文献1】特開平6-312827
【特許文献2】特開平10-57892
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら従来機の振込装置では、振込部品の大きさによっては、全ての振込凹部に完全に振込部品を振り込ませることができず、振込率が大幅に低下することがあった。また、大きなダミー部品等を混入させると振込部品を破損させる可能性もあった。
【0008】
従来機のように偏心カム91や偏心ローラ81を回転させて振動する偏心機構方法は、モータでクランクを回転させて往復運動に変換しているので、図5の(4)の点Pが回転運動によってたどるようなサインウェーブ状のサイクルで振込凹部が振動する。その結果振幅の両端では振込箱がなめらかな加減速となるので、振込部品が効率よく振込凹部上を滑らず、振込率を低下させる原因になっていた。
【0009】
また、偏心カム91や偏心ローラ81を回転させる偏心機構方法では、作業を停止して偏心カム91や偏心ローラ81の偏心量を変更しなければならないため、振込率を検証しながら偏心量を調整して振幅を決定するのに時間がかかり、振幅の微調整が困難で、振込部品の大きさに応じた振幅で往復運動させて振動させることが容易にできなかった。
【0010】
また、偏心カム91や偏心ローラ81を回転させる偏心機構方法では、回転部に偏荷重が発生するため、ベアリングの焼き付きやクランク軸の折損等機械部品の故障が発生しやすく、更に偏磨耗による偏心機構のがたつきが生じるので定期的な部品交換が必要であった。
【0011】
また、特許文献2の構成ではモータ84等の質量の大きい部分を偏心機構によって往復運動させて振動させる方法なので、振幅距離を短くすると、機械全体が共振して振動してしまうので本体を大きくして全体を重いものにする必要があった。更に振幅距離を大きくすると騒音がひどくなり、機械全体が大きく振動してしまうことがあった。
【0012】
そして、従来装置を設置するには水平な床面に設置しないと振込部品が片寄ってしまうので、振込率低下の原因になっていた。
【0013】
更に、偏心カム91や偏心ローラ81を回転させる偏心機構方法によって振込凹部に往復運動方向の振動を発生させ、シリンダ94の伸縮やモータ84の駆動による回転運動によって、振込部品が振込凹部上を移動して振り込まれる構成になっているが、回転運動方向のみしか振込部品が強制的に移動しないので振込率の低下を招いていた。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで振込部品が振り込まれる振込凹部を備えた振込箱を装着した振込台と、前記振込台を往復運動及び回転運動させる回転軸とからなる振込装置であって、前記回転軸を正逆回転運動させる回転駆動手段と、
前記回転軸を回転可能に保持した往復板と、前記往復板を往復運動させるねじ軸と、前記ねじ軸を回転させる駆動モータとからなる往復運動手段と、前記往復動手段の駆動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は前記ねじ軸の回転が急加速及び急減速となるように前記駆動モータを制御することを特徴とする振込装置を提供し、更に前記制御手段は前記ねじ軸の回転運動の速度を鋸歯状波サイクルになるように正逆回転させ前記振込箱を往復運動するようにしたことを特徴とする振込装置であって、前記制御手段は前記ねじ軸の回転運動の速度を鋸歯状波サイクルになるように正逆回転させることにより前記振込箱を往復運動させ、正逆どちらか一方の振幅の回転方向が変化するときに一定時間回転運動を停止するように正逆回転サイクルを制御して、前記振込部品を前記振込台の往復運動方向に移動させることができるようにしたことを特徴とする振込装置を提供するものである。
【0015】
そして、振込部品が振り込まれる振込凹部を備えた振込箱を装着した振込台と、前記振込台を往復運動及び回転運動させる回転軸とからなる振込装置であって、前記回転軸を正逆回転運動させる回転駆動手段と、前記回転軸を回転可能に保持した往復板と、前記往復板を往復運動させるねじ軸と、前記ねじ軸を回転させる駆動モータとからなる往復運動手段と、前記往復動手段の駆動を制御する制御手段とを備えた振込装置における前記振込部品の振込方法において、前記ねじ軸の回転運動の速度を鋸歯状波サイクルになるように正逆回転させ前記振込箱を往復運動するようにした振込部品の振込方法を提供すると共に、
振込部品が振り込まれる振込凹部を備えた振込箱を装着した振込台と、前記振込台を往復運動及び回転運動させる回転軸とからなる振込装置であって、前記回転軸を正逆回転運動させる回転駆動手段と、前記回転軸を回転可能に保持した往復板と、前記往復板を往復運動させるねじ軸と、前記ねじ軸を回転させる駆動モータとからなる往復運動手段と、前記往復動手段の駆動を制御する制御手段とを備えた振込装置における前記振込部品の振込方法を実行するプログラムにおいて、前記ねじ軸の回転運動の速度を鋸歯状波サイクルになるように正逆回転させ前記振込箱を往復運動するように実行したプログラムを提供するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は振込台10と回転軸11と往復板12のみが制御部2で制御された振幅で往復運動により振動するように構成したので、直線運動して振動する機構部分の質量が小さく慣性力を小さくすることができたので、機械全体を共振させることがなくなった。同時に騒音を低減することができた。更に振込装置全体を軽量・小型化することができた。また、振込率を良くする為にダミー部品等の混入の必要もなくなった。
【0017】
本来位置決め用の第一のサーボモータ14を正逆回転することによってねじ軸16を正逆回転し、回転運動を直線運動に変更するようにねじ軸16に往復板12を係合してスライド方向Sに振込台10を振動させるように構成したので振幅や往復運動サイクルの制御が容易になった。
【0018】
第一のサーボモータ14は立ち上がりスピードが速く、図5の(1)のような鋸歯状波のサイクルで振込凹部17を振動するようにできるので、急加速と急減速によって振幅方向が短時間で変化し振込部品20が振込箱内を滑って移動しやすく、極小で軽量な振込部品20でも振込凹部17への振込率を格段に向上することができる。
【0019】
また、制御部2によって制御することにより、振込作業を継続したまま振幅や往復運動サイクルを変更できるので、振込率を検証しながら振込条件を変更することができる。従って振幅の微調整も容易なので、振込部品20の大きさに応じた振動を短時間で検討して設定することができる。
【0020】
往復板12がねじ軸16と係合するナット部121には、ボールねじ式のナットを採用することにより、焼き付きや磨耗を防止し長寿命化することができ、部品交換を大幅に軽減することができた。
【0021】
ねじ軸16の回転運動は図5の(3)のような鋸歯状波サイクルになるように、正逆どちらか一方の振幅の回転方向が変化する際に、一定時間回転運動を停止するように正逆回転サイクルを制御することにより、振込部品20を振込台10のスライド方向Sに強制的に移動させることができるようにした。その結果振込部品20が振込箱18内で片寄ってしまうことがなく、振込率を向上させることができた。
【0022】
第一のサーボモータ14と第二のサーボモータ15の正逆回転サイクルを制御することにより、振込部品20は振込箱18内をスイング方向Mとスライド方向Sに強制的に移動させることができるので、本体1が斜めに設置されたとしても、振込状況を確認しながらスイング方向Mとスライド方向Sに振込部品20を強制的に移動させて振込率を向上させることができる。
【0023】
また、吸着機能が付加された振込箱を取り付け、振込部品が投入された振込箱を振込凹部が下向きの状態で振込箱着脱機構に固定し、振込凹部が上向きになるように振込箱設置台を回転スイング機構によって回転して、振込箱に投入された振込部品を吸着部によって振込凹部に吸着させた後、振込凹部が下向きになるように振込箱設置台を回転機構によって反転させ、振込凹部に振込部品を吸着させたまま、振込箱を振込箱着脱機構により着脱することができるように構成したものであっても同様に振込率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は本来位置決め用のサーボモータを使用して振込箱18を振動と回転運動させることによって、振込部品20を振込凹部17に振り込むようにしたので、往復運動と回転運動の制御がしやすく微小な振込部品から大きな振込部品までさまざまな形状に応じて使用することができる。
【0025】
図1は本発明の上面図、正面図、側面図である。図2は本発明の正面図と斜視図を簡略して描いたものである。図3は本発明の正面図(図2の(1))の反対側から見た裏面図を簡略して描いたもので振込台10が傾いた状態を示している。図4は図3と同じ状態に振込台10が傾いた状態の斜視図である。図5は本発明の振込台10の振動サイクルと従来の振動サイクルをグラフ化した図である。図6は特許文献2に示した従来装置の図である。図7は特許文献1に示した従来装置の図である。
【実施例】
【0026】
図2、図4を用いて本発明の構成を説明する。
本体1に固着された保持板d34に第一のサーボモータ14が取り付けられており本体1に固着された保持板a30に第二のサーボモータ15が取り付けられている。
【0027】
各サーボモータ14,15にはロータリエンコーダが内臓されておりロータリエンコーダの発生するパルスによって各サーボモータ14,15の回転角度や回転速度、回転数、停止位置等が制御部2に送信されて制御される構成になっている。
【0028】
なお、制御部2は振動が伝達されにくくするために本体1以外の場所に設置することが望ましい。また、制御部2には制御プログラムを記憶するための操作パネルやキーボード(図示しない)を備えているものである。
【0029】
第一のサーボモータ14は第一のタイミングベルト25を経てねじ軸プーリ27を回転するようになっている。ねじ軸プーリ27はねじ軸16に固着されておりねじ軸プーリ27とねじ軸16は保持板a30と保持板c33によってS方向への往復運動はしないがM方向への回転運動は自在になるように保持されている。
【0030】
往復板12の下部をねじ軸16が貫通している。往復板12とねじ軸16が交差する部分はナット部121になっており、ねじ軸16の回転運動を往復板12がS方向に移動して往復運動するように、ボールベアリング機構等で回転運動を直線運動に変えるようになっている。
往復板12の上部にはスプライン回転軸11が挿入され回動自在に装着されている。つまりスプライン回転軸11は、往復板12のスライド方向Sへの直線運動に伴って同じく直線運動すると共にM方向への回転運動も可能なように取り付けられている。
【0031】
スプライン回転軸11は振込台10の回転中心に固着されている。振込台10の他方の回転中心には、回転軸111が固着されている。スプライン回転軸11は、保持板a30に挿入されてS方向に往復可能でかつM方向に回転可能なように取付けられている。
【0032】
回転軸111は保持板b31に挿入されて、スライド方向Sへの直線運動とスイング方向Mへの回転運動が可能になるように保持されている。従って振込台10は保持板a30と保持板b31にスプライン回転軸11と回転軸111によって保持され、スライド方向Sへの直線運動とスイング方向Mへの回転運動が可能になるように保持されている。
【0033】
スプライン回転軸11には軸方向(S方向)に溝が形成されており、スイングプーリ28の凸部が嵌合している。例えばスプライン回転軸11は外歯歯車のようになっており、スイングプーリ28の内周面は内歯歯車のようになってお互いに嵌合している。従ってスイングプーリ28が回転するとスプライン軸11も回転する。そしてスプライン軸11はS方向に形成された溝によって、スイングプーリ28に対してS方向に自在に直線運動できる構成になっている。
【0034】
なお、スイングプーリ28とスプライン回転軸11の直交する部分はスプライン回転軸11とスイングプーリ28にそれぞれキー溝を作成してキー構造によってスプライン回転軸11のS方向への自在直線運動とM方向への回転運動を伝達するように構成してもよい。
【0035】
スイングプーリ28は第二のタイミングベルト26を経て、第二のサーボモータ15によって回転するように構成されている。また、スイングプーリ28は、保持板a30に対してM方向に回動自在に装着されてS方向には移動しないように構成されている。
【0036】
スプライン回転軸11と回転軸111によって保持板a30と保持板b31の間に支えられた振込台10には、4つのシリンダ21が取り付けられており、伸縮することで固定具22を押引し振込箱18を固定したり開放したりする構成になっている。振込箱18には投入された振込部品20が振り込まれるように振込パターンが形成された振込凹部17が備えられている。
【0037】
以上のように構成された、振込装置の動作と振込作業について説明する。
通常は振込凹部17の数よりも多い数の振込部品20が振込箱18の中に投入され、振込箱18が振込台10にセットされる。
【0038】
振込箱18は振込台10に取り付けられた4つのシリンダ21を伸長させて左右の固定具22を押し出し、振込箱18をしっかりと振込台10に固定する。このときの状態は図2の(1)(2)のように振込台10は水平に保持された状態になっている。
なお、振込部品20が振込作業中に振込箱18から飛び出す可能性がある場合は、振込箱18に蓋(図示しない)がされる。
【0039】
振込箱20が投入された後、第一のサーボモータ14が図5の(1)のようなサイクルで正逆回転をあらかじめ定められた回数繰り返す。第一のサーボモータ14の制御は制御部22で行われ、制御部2内の操作盤(図示しない)もしくは外部に取り付けたキーボード等によって正逆回転の振幅やサイクルの回数等が指定され制御される。
各モータ14,15の制御は振込作業の状態によってそのつど操作盤やキーボード等によって変更できるものである。
【0040】
第一のサーボモータ14の正逆回転は第一のタイミングベルト25によってねじ軸プーリ27に伝達され、ねじ軸16を正逆回転する。ねじ軸16の正逆回転の回転運動は往復板12のナット部121によって直線運動に変換され、往復板12をスライド方向Sに往復する。
【0041】
往復板12にスイング方向Mに回動自在に装着されたスプライン回転軸11も往復板12と同様にスライド方向Sに往復するので、振込台10も往復し、固定された振込箱18もS方向に往復運動し振込作業が開始される。
【0042】
第一のサーボモータ14が一定回数正逆回転し、振込箱18が一定回数往復運動すると、第二のサーボモータ15が駆動し第二のタイミングベルト26によってスイングプーリ28が回転する。
スイングプーリ28の凸部はスプライン回転軸11のS方向に作られた溝に勘合しており、スプライン回転軸11を回転する。それに伴って振込台10も回転し、図4のように振込台18aの方向に振込部品20を滑らせるように振込箱18内部を18d〜18aの方向に移動させながらS方向に往復運動を繰り返すことで振込作業を促進させる。
【0043】
なお、振込台10の回転は、例えば1〜30度程度の一定間隔の角度で停止しながら少しずつ回転運動して、振込部品20がこぼれ落ちない程度にスイング方向Mに正逆回転を繰り返しながら、往復板12の発生する往復振動との相乗効果で振込み作業を促進させる。
このときの往復板12の往復運動による振動は図5の(1)のような、鋸歯状波サイクルになるように往復運動する。
【0044】
図5のグラフは振込箱18の往復運動を表したものであり縦軸がS方向の移動距離、横軸が時間を表している。
図5の(1)において、サーボモータ14,15は立ち上がりスピードが速く急加速と急減速を繰り返すと共に、一定速度で駆動するので、振込箱18の点Fの位置から反転してすぐに点Gの方向へ移動する。つまりねじ軸16の回転は急加速及び急減速となるように正逆回転運動をする。そこで往復板12とスプライン回転軸11と振込箱18も図5の(1)のようなサイクルで往復運動する。振込部品20は振込箱18との接触によってS方向に往復運動するが慣性力があるので振幅の両端で急激な減速ができずしばらく振込凹部17上を滑り、いずれかの振込凹部17に装填される可能性が大きくなる。
従来の往復振動のサイクルは図5の(4)のようであり、点Pの軌跡はS1方向、S2方向の端では振込箱85の動きが滑らかな加減速となり、振込部品20も振込箱18と同様に移動し、振込部品20が振込凹部17上を滑る事が少なく、振込凹部17に装填される可能性が低くなってしまう。
【0045】
前述したようにサーボモータ14、15は本来位置決めのモータであり、立ち上がりスピードが速く短時間で反転し、一定速度で回転する構成になっている。従って往復運動のS1方向、S2方向の振幅の端において短時間で減速して、短時間で反対方向に加速することができるので、振込部品20が慣性力によって振込凹部17上を滑りやすく、いずれかの振込凹部17に装填される可能性が高い。
その結果従来方法では90%の振込率だったものが、本発明では99%以上の振込率となり、1桁上の振込率を達成することができるようになった。
【0046】
更に第一のサーボモータ14の正逆回転は、図5の(2)になるように制御することができる。点Hは点IよりもS1方向に大きく振幅させている。その結果振込部品20はS1方向に移動させられる量が多く、振込箱18の18bの方向に強制的に移動させることができる。
同様に点Iを点HよりもS2方向に大きく振幅するようにすれば、振込部品20はS2方向に移動させられる量が多く、振込箱18の18cの方向に移動させられる。このようにS方向つまり18b〜18cの方向に振込部品20が強制的に移動するので移動中に振込凹部17に装填される確立も高くなるものである。
【0047】
以上のような方法によれば、鋸歯状波サイクルの振幅の変更によって振込部品20は振込箱18の18b〜18cの方向へ強制的に移動することができると共に、スイング方向Mへの回転運動によって振込部品20を18a〜18bの方向へ強制的に移動することができるので、振込部品20が振込箱18内に片寄ることがなく、振込効率を格段に向上させることができる。
【0048】
次に、第一のサーボモータ14の正逆回転を図5の(3)になるように制御することができる。振幅が点Jに達したときに制御部2内のタイマーを作動させて、点J1〜点J2までの間第一のサーボモータ14を停止させるように制御部2によって制御するものである。
【0049】
振込部品20は、振込箱18と共にS1方向に移動させられた後、振込箱18が停止するので、振込部品20は慣性力で振込凹部17上を滑りS1方向に移動する。このとき振込部品20が振込凹部17に装填される確立が高くなると共に、振込部品20はS1方向に移動させられる。以上のようなサイクルで振込箱を指定された回数振動させた後、今度は逆に振幅が点Kに達したときに一定時間停止し、点Jに達したときに短時間で反転するように第一のサーボモータ14の動きを制御すれば、振込部品20は振込箱18のS方向18b〜18cのS2方向に強制的に移動させられ移動中に振込凹部17に装填される確立が高くなる。
【0050】
以上のような往復振動サイクルを変更することによって、振込部品20は振込箱18内をスライド方向Sに強制的に移動することができる。また、スィングプーリ28を一定角度傾けることにより、振込部品20は振込箱18内を18a〜18dの方向に強制的に移動させることができる。
【0051】
このような方法によって振込率が格段に上昇すると共に、床面が斜めなところに本体1が設置されたとしても、従来機のように振込部品20が片寄る事無く、振込箱18内を広く分散させ、強制的に移動させることができ、振込効率を格段に上昇させることができる。
【0052】
また、図6に使用されたような吸着機能が付加された振込箱を取り付け、振込部品が投入された振込箱を振込凹部が下向きの状態で振込箱着脱機構に固定し、振込凹部が上向きになるように振込箱設置台を回転スイング機構によって回転して、振込箱に投入された振込部品を吸着部によって振込凹部に吸着させた後、振込凹部が下向きになるように振込箱設置台を回転機構によって反転させ、振込凹部に振込部品を吸着させたまま、振込箱を振込箱着脱機構により着脱することができるように構成したものであっても同様に振込率を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、さまざまな部品の振込み装置に応用することができるだけでなく、振動装置などにも応用することができる。

【図面の簡単な説明】
【0054】
図1は本発明の上面図、正面図、側面図である。図2は本発明の正面図と斜視図を簡略して描いたものである。図3は本発明の正面図の反端側から見た裏面図を簡略して描いたもので振込台10が傾いた状態を示している。図4は図3と同じ状態に振込台10が傾いた状態の斜視図である。図5は本発明の振込台10の振動サイクルと従来の振動サイクルをグラフ化した図である。図6は特許文献2に示した従来装置の図である。図7は特許文献1に示した従来装置の図である。
【図1】本発明の上面図、正面図、側面図である。
【図2】本発明の正面図と斜視図を簡略して描いたものである。
【図3】本発明の正面図の反対側から見た裏面図を簡略して描いたもので振込台が傾いた状態を示している。
【図4】振込台が傾いた状態の斜視図である。
【図5】本発明の振込台10の振動サイクルと従来の振動サイクルをグラフ化した図である。
【図6】特許文献2に示した従来装置の図である。
【図7】特許文献1に示した従来装置の図である。
【符号の説明】
【0055】
1
本体
2
制御部
10
振込台
11
スプライン回転軸
111
回転軸
12
往復板
121 ナット部
14 第一のサーボモータ
15 第二のサーボモータ
16 ねじ軸
17 振込凹部
18 振込箱
20 振込部品
21 シリンダ
22 固定具
25 第一のタイミングベルト
26 第二のタイミングベルト
27 ねじ軸プーリ
28 スイングプーリ
30 保持板a
31 保持板b
33 保持板c
34 保持板d
80 モータ(従来装置)
81 偏心ローラ(従来装置)
82 振込箱設置台(従来装置)
83 ガイド(従来装置)
84 モータ(従来装置)
85 振込箱(従来装置)
90 モータ(従来装置)
91 偏芯カム(従来装置)
92 パレット(従来装置)
93 ガイド(従来装置)
94 シリンダ(従来装置)
95 支点(従来装置)
S スライド方向
M スイング方向



【特許請求の範囲】
【請求項1】
振込部品が振り込まれる振込凹部を備えた振込箱を装着した振込台と、前記振込台を往復運動及び回転運動させる回転軸とからなる振込装置であって、
前記回転軸を正逆回転運動させる回転駆動手段と、
前記回転軸を回転可能に保持した往復板と、
前記往復板を往復運動させるねじ軸と、
前記ねじ軸を回転させる駆動モータとからなる往復運動手段と、
前記往復動手段の駆動を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は前記ねじ軸の回転が急加速及び急減速となるように前記駆動モータを制御することを特徴とする振込装置。
【請求項2】
前記制御手段は前記ねじ軸の回転運動の速度を鋸歯状波サイクルになるように正逆回転させ前記振込箱を往復運動するようにしたことを特徴とする請求項1記載の振込装置。
【請求項3】
前記制御手段は前記ねじ軸の回転運動の速度を鋸歯状波サイクルになるように正逆回転させることにより前記振込箱を往復運動させ、正逆どちらか一方の振幅の回転方向が変化するときに一定時間回転運動を停止するように正逆回転サイクルを制御して、前記振込部品を前記振込台の往復運動方向に移動させることができるようにしたことを特徴とする請求項1及び請求項2記載の振込装置。
【請求項4】
振込部品が振り込まれる振込凹部を備えた振込箱を装着した振込台と、前記振込台を往復運動及び回転運動させる回転軸とからなる振込装置であって、前記回転軸を正逆回転運動させる回転駆動手段と、前記回転軸を回転可能に保持した往復板と、前記往復板を往復運動させるねじ軸と、前記ねじ軸を回転させる駆動モータとからなる往復運動手段と、前記往復動手段の駆動を制御する制御手段とを備えた振込装置における前記振込部品の振込方法において、
前記ねじ軸の回転運動の速度を鋸歯状波サイクルになるように正逆回転させ前記振込箱を往復運動するようにした振込部品の振込方法。
【請求項5】
振込部品が振り込まれる振込凹部を備えた振込箱を装着した振込台と、前記振込台を往復運動及び回転運動させる回転軸とからなる振込装置であって、前記回転軸を正逆回転運動させる回転駆動手段と、前記回転軸を回転可能に保持した往復板と、前記往復板を往復運動させるねじ軸と、前記ねじ軸を回転させる駆動モータとからなる往復運動手段と、前記往復動手段の駆動を制御する制御手段とを備えた振込装置における前記振込部品の振込方法を実行するプログラムにおいて、
前記ねじ軸の回転運動の速度を鋸歯状波サイクルになるように正逆回転させ前記振込箱を往復運動するように実行したプログラム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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