説明

据置型非接触通信端末

【課題】ワイヤ等の接続部品を接続して第三者による持ち去り等を防止することができる据置型非接触通信端末において、ユーザが接続部品を選択する上で自由度の大きい構成を提供することを目的とする。
【解決手段】据置型非接触通信端末1の構成要素となるケース2において、側壁部8a側から側壁部8b側に連通するように連通孔10が形成されている。また、ケース2に対して着脱可能な着脱部材20が設けられており、この着脱部材20の一端側に抜け止め部21が形成され、この抜け止め部21から延びるように延出部22が形成されている。更に、延出部22において抜け止め部21とは反対側に係合部23が形成され、この係合部23は、取付対象物体と接続するための接続部材と係合可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、据置型非接触通信端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、電子マネーやクレジットカード等を読取対象として電磁波を媒介とした非接触通信で読み取る非接触通信端末が提供されており、特に、店舗やオフィスなどでは、机などの載置面に載置して用いる据置型のものが広く提供されている。この種の据置型の非接触通信端末は、例えば店舗のレジ付近に常設するといった具合に、ある程度の時間、特定の場所付近に置き続けることが多く、管理者以外の第三者が持ち去ってしまうことが懸念されるため、このような持ち去り、盗難を防止しうる構造が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−217186公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
据置型の非接触通信端末を持ち去られないようにするには、ワイヤなどにより当該端末を移動困難な物体(例えば当該端末の設置場所に存在する机など)に取り外し困難な状態で接続しておく方法が考えられる。例えば、端末のケースに係合孔などを設け、この孔にワイヤを通してケースとワイヤを接続すると共に、このワイヤを机などの固定対象物に接続しておき、さらに、ワイヤが取り外されないように施錠しておけば、開錠し得る管理者のみが非接触通信端末を移動できるようになり、セキュリティ性を高めることができる。
【0005】
しかしながら、単にケースに孔を形成してこの孔に接続部品(ワイヤなどのセキュリティ部品)を通す構造では、端末を固定対象物に接続するために用いることのできる接続部材の形状、構成が限定されてしまい、汎用性に乏しいという問題がある。例えば、接続部材として細いワイヤを想定し、スペースや強度等を考慮して孔を小さめに設計した場合、ユーザが太めのワイヤを用いようとしたとき、或いは使用に伴ってこのようなワイヤに交換しようとしたときに対応できなくなってしまう。また、ユーザが、ワイヤ以外の係合部材や錠前などのセキュリティ部品を直接ケースに固定することを希望したとしても、ケースに形成された孔がこれらのセキュリティ部品に対応した形状でなければ取り付けることができない。このように単にケースに孔を形成するだけではセキュリティ部品を選択する上で自由度が低く、セキュリティ部品の選択の幅を狭めてしまうことになる。また、コスト的に有利な部品を選びにくいため、コスト面でも不利になる可能性が高い。
【0006】
なお、据置型の非接触通信端末ではないが、ノートパソコンの分野では、特許文献1で開示されるようなセキュリティワイヤスロットを接続する技術が用いられている。しかしながら、この特許文献1の技術も上記課題を解消しうる構成とはなっていない。即ち、ノートパソコンに接続する接続部品を専用のセキュリティワイヤスロット以外の部品(例えば、ワイヤや錠前など)に変更することが困難となっており、汎用性に乏しい点は否めない。また、取付可能となる接続部品が専用のセキュリティワイヤスロットに限定されてしまうため、安価な接続部品(ワイヤやチェーン等)を用いるような変更には対応できず、コスト面で制約が大きい。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、ワイヤ等の接続部品を接続して第三者による持ち去り等を防止することができる据置型非接触通信端末において、ユーザが接続部品を選択する上で自由度の大きい構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電子部品を収容するケースと、前記ケースに保持されるアンテナとを備え、前記ケースによって外郭が構成されてなる装置本体を載置面上に載置して用いる据置型非接触通信端末であって、当該非接触通信端末を外部の取付対象物体と接続するための接続部材と係合可能な係合部を有し、前記ケースに着脱可能に保持される着脱部材を備え、前記ケースは、前記装置本体が前記載置面に載置されるときに前記載置面側に配置される底壁部と、前記底壁部の反対側に配置される上壁部と、複数の側壁部とを備え、前記複数の側壁部において、いずれか一の側壁部側から他の側壁部側に連通する連通孔が形成されており、前記着脱部材は、当該着脱部材の一端側に形成される抜け止め部と、前記抜け止め部から延びる延出部とを備え、前記延出部において前記抜け止め部とは反対側に前記係合部が形成され、前記一の側壁部側を挿入側として前記係合部側から前記連通孔内に挿入されたときに前記抜け止め部が前記ケースに係止することで前記他の側壁部側への抜け止めがなされ、且つ少なくともその抜け止め状態のときに、前記係合部が前記他の側壁部側から露出して配されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、非接触通信端末の構成要素となるケースにおいて、いずれか一の側壁部側から他の側壁部側に連通するように連通孔が形成されている。また、ケースに対して着脱可能な着脱部材が設けられており、この着脱部材の一端側に抜け止め部が形成され、この抜け止め部から延びるように延出部が形成されている。更に、延出部において抜け止め部とは反対側に係合部が形成され、この係合部は、取付対象物体と接続するための接続部材と係合可能に構成されている。
そして、着脱部材は、一の側壁部側を挿入側として係合部側から連通孔内に挿入されたときに抜け止め部がケースに係止することで他の側壁部側への抜け止めがなされ、且つ少なくともその抜け止め状態のときに、係合部が他の側壁部側から露出して配されるようになっている。
この構成によれば、着脱部材を設ける必要のないときは着脱部材を取り外すことができ、例えば、ワイヤや錠前等の接続部材(即ち、ケースを取付対象物付近から離さないようにするためのセキュリティ部品)を直接連通孔に通すように用いることができる。また、必要に応じてケースに着脱部材を取り付け、この着脱部材の係合部に前記接続部材(セキュリティ部品)を取り付けるように用いることができるため、取付可能となる接続部材の種類が多くなり、ユーザが接続部品を選択する上で自由度が大きくなる。着脱部材は、ケースとは別部材として構成されているため、着脱部材の種類を増やすような対応をとりやすく、ケースを大幅に設計変更せずとも、取付可能となる接続部材の種類数を増やしやすくなる。
【0010】
請求項2の発明では、ケースの一の側壁部において、当該一の側壁部の壁面を開口端とする構成でケースの内側に向かって凹む凹部が形成され、凹部の開口領域が、他の側壁部における連通孔の開口領域よりも広くなるように構成されている。そして、連通孔は、凹部の内壁部から他の側壁部側に連通している。
この構成では、着脱部材の抜け止め部側を凹部内に収容するように着脱部材を取り付けることができるため、着脱部材の抜け止め部側がケース外で邪魔に成り難くなる。また、着脱部材を取り付ける際に、広めの開口領域からアクセスして着脱部材を連通孔に挿し込むことができるため、上記のようにスペース的に有利な構成を実現しつつ、着脱部材の挿入、取付作業を行いやすくなる。
【0011】
請求項3の発明では、連通孔における他の側壁部側の開口部が、他の側壁部と一の側壁部との間に形成された角部に設けられている。
このように電子部品やコネクタ等を配置し難い角部に開口部を形成すれば、スペースをより効率的に利用し得る配置が可能となる。
【0012】
請求項4の発明において、連通孔は、角部側の開口部に近づくにつれて幅が大きくなるように少なくとも一の側壁部側の内壁面が当該一の側壁部の外壁面に対して傾斜するテーパ状に構成されている。
この構成によれば、開口部において着脱部材の係合部側が当たりにくくなるように「逃がし」を設けることができ、開口部付近の劣化や消耗を効果的に抑えることができる。また、開口部付近がより広くなるため、着脱操作を行う際に係合部側にアクセスしやすくなる。
【0013】
請求項5の発明では、一の側壁部の外壁面と連通孔の内面との間の厚さが、他の側壁部の厚さよりも大きくなるように構成されている。
この構成によれば、接続部材からの荷重が加わりやすい部分を選択的に強化することができ、連通孔付近の破損や損傷を効果的に抑制できる。また、連通孔付近の破損や損傷に伴ってケースから接続部材が外れてしまうような事態が生じ難いため、セキュリティ面で一層有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、第1実施形態に係る非接触通信装置を概略的に例示する斜視図である。
【図2】図2(A)は、図1の非接触通信装置の平面図であり、図2(B)は、図1の非接触通信装置の右側面図であり、図2(C)は、図1の非接触通信装置の正面図である。
【図3】図3は、図2(B)の一部断面図である。
【図4】図4は、図2(A)の一部断面図である。
【図5】図5(A)は、着脱部材を概略的に例示する一部断面図であり、図5(B)は、図5(A)の正面図である。
【図6】図6(A)は、図5とは別の着脱部材を概略的に例示する平面図であり、図6(B)は、図6(A)の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明の据置型非接触通信端末を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、図1は、第1実施形態に係る非接触通信装置を概略的に例示する斜視図であり、着脱部材が取り付けられていない状態を示している。図2(A)は、図1の非接触通信装置の平面図であり、図2(B)は、図1の非接触通信装置の右側面図であり、図2(C)は、図1の非接触通信装置の正面図である。図3は、図2(B)の一部断面図である。図4は、図2(A)の一部断面図である。図5(A)は、着脱部材を概略的に例示する一部断面図であり、図5(B)は、図5(A)の正面図である。図6(A)は、図5とは別の着脱部材を概略的に例示する平面図であり、図6(B)は、図6(A)の右側面図である。
【0016】
(全体構成)
本発明に係る据置型非接触通信端末1(以下、単に「端末1」ともいう)は、例えば、ICカードリーダやその他のRFIDタグリーダライタ等として構成されるものであり、ICカード等の非接触通信媒体との間で非接触通信を行うものである。この据置型非接触通信端末1は、略直方形状に構成されたケース2を備え、このケース2によって外郭が構成されており、載置面上(例えばテーブルの上など)に載置して使用される。ケース2は、当該端末1が載置面に載置されるときに載置面側に配置される底壁部6と、底壁部6の反対側に配置される上壁部7と、4つの側壁部8a、8b、8c、8dとを備えている。また、ケース2は、主に上ケース3と下ケース4とから構成され、これらが結合した箱状形態をなしており、例えば樹脂材料などから形成されている。なお、本実施形態では、ケース2の厚さ方向を上下方向とし、後述するガイド部33や表示部34が設けられている側を上方側とし、載置面に載置される側を下方側としている。そして、このケース2の内部に各種部品(各種電子部品等)が収容されている。
【0017】
上ケース3には、電磁波を媒介として非接触通信媒体と非接触通信を行うためのアンテナ(図示略)を搭載したアンテナ基板31が上壁部7に固定される態様で保持されている。アンテナは、例えば、導線を多数回巻回して構成されたループアンテナなどからなり、アンテナ基板31に固定されている。そして、所定の通信エリア内に存在する非接触通信媒体と電磁波による通信を行えるようになっている。
【0018】
そして、上ケース3の外面には、図1及び図2に示すように、ユーザに非接触通信媒体を所定の通信エリア内に誘導させるためのガイド部33が設けられている。このガイド部33は、上ケース3の内面側に設けられるアンテナと対応した位置に形成されている。そして、ユーザがこのガイド部33上に非接触通信媒体を置いたり翳したりすることで、当該端末1と非接触通信媒体との間で非接触通信が行われるようになっている。
【0019】
さらに、上ケース3の外面には、表示部34が設けられており、非接触通信に応じたメッセージを表示するように構成されている。例えば、当該端末1が、電子マネー機能等を有した非接触通信媒体の決済処理を行う決済端末として用いられる場合には、表示部34は、非接触通信媒体の金銭情報(例えば、記録媒体に記録されている残金額など)や、「有り難うございました。」などのメッセージ、当該端末1の動作状態や非接触通信媒体の読み取りの可/不可等を表示するようになっている。
【0020】
下ケース4には、図3に示すように、回路基板30が底壁部6に固定される態様で設けられている。この回路基板30は、非接触通信媒体との間で行われる非接触通信に関する制御等を行う制御部(図示略)や、制御部の制御に応じて非接触通信媒体と非接触通信を行う通信回路(図示略)、非接触通信に応じて生成された情報などを記憶するメモリ(図示略)などを実装して構成されている。そして、この回路基板30には、当該端末1と各種信号ケーブル(例えばLANケーブルなど)や電源ケーブルとを電気的に接続するためのコネクタ36a、36b、36cが設けられている。
【0021】
ケース2の側壁部8aには、この側壁部8aの壁面を開口端とする構成で、ケース2の内側に向かって凹む凹部9が形成されている。そして、回路基板30に設けられるコネクタ36a〜36cは、この凹部9の開口領域αから外部に被接続部が露出するように配置されており、各種信号ケーブルや電源ケーブル等をこの開口領域αから当該コネクタ36a〜36cに接続可能となっている。なお、側壁部8aは、「一の側壁部」の一例に相当する。
【0022】
(特徴的構成)
次に、本実施形態の特徴的構成について詳述する。
本実施形態に係る据置型非接触通信端末1は、図1に示すように、側壁部8a側から、この側壁部8aに隣接した側壁部8b側に連通するように連通孔10が形成されている。この連通孔10は、後述する着脱部材20を、挿入可能な大きさに構成されており、ケース2の幅方向(ケース2を平面視したときの短手方向)に延びている。そして、連通孔10における側壁部8b側の開口部11は、側壁部8bと側壁部8aとの間に形成された角部(即ち、ケース2の角部)に設けられている。なお、側壁部8bは、「他の側壁部」の一例に相当する。
【0023】
また、側壁部8aには、当該側壁部8aの外壁面から内側(対向する側壁部8c側)に向かって凹む凹部が形成されている。この凹部9の開口領域αは、側壁部8bにおける開口領域βよりも広くなるように構成されており、図4に示すように、連通孔10は、凹部9の内壁部13から側壁部8b側へ連通している。
【0024】
また、側壁部8aの外壁面と連通孔10の内面との間の厚さW1は、側壁部8bの厚さW2よりも大きくなるように構成されている。更にこの厚さW1は、側壁部8dや側壁部8cの壁の厚さよりも大きくなっており、上壁部7や底壁部6の壁の厚さよりも大きくなっている。
【0025】
さらに、連通孔10は、角部側の開口部11に近づくにつれて幅が大きくなるように側壁部8a側の内壁面が当該側壁部8aの外壁面に対して傾斜するテーパ状に構成されている。より具体的には、図4に示すように、連通孔10は、角部側の開口部11が略曲面状に構成されており、このような形状にすることで、当該連通孔10にワイヤ等を取り付けた際に、このワイヤからケース2に加わる力を効率よく分散することができる。
【0026】
また、図4の破断線内に示す断面のように、ケース2の厚さ方向所定位置において当該厚さ方向と直交する平面方向に切断した切断面(図4の例では、ケース2の厚さ方向における連通孔10の中央位置で前記平面方向に切断した切断面)において、連通孔10の幅(ここでは、ケース2の長手方向を連通孔10の幅方向とする)は、当該連通孔10の形成方向中央付近において所定領域に亘り一定とされており、側壁部8b側では、側壁部8bに近づくにつれて次第に幅が広くなるように末広がり形状で構成されている。具体的には、連通孔10における側壁部8a側の内壁外縁は側壁部8b側に近づくにつれて側壁部8a側に位置するような傾斜形状となっており、他方、側壁部8a側の内壁外縁とは反対側の内壁外縁はケース2の短手方向に沿って直線状に延びている。また、連通孔10における凹部9側についても、凹部9に近づくにつれて幅が広くなるように末広がり形状で構成されている。具体的には、連通孔10における凹部9側の内壁外縁は凹部9側に近づくにつれて側壁部8a側に位置するような傾斜形状となっており、他方、側壁部8a側の内壁外縁とは反対側の内壁外縁はケース2の短手方向に沿って直線状に延びている。
【0027】
次に、ケース2に着脱可能に保持される着脱部材20について説明する。
着脱部材20は、例えば樹脂材料などによって構成され、ケース2に取り付けられるアタッチメントとして機能しており、図5及び図6に示すように、当該着脱部材20の一端側に形成される抜け止め部21と、抜け止め部21から延びる延出部22とを備えている。延出部22は、所定方向に延びる長手形状とされており、抜け止め部21は、延出部22の長手方向と直交する方向に突出した形態となっている。延出部22の幅は、連通孔10の幅よりもわずかに小さい幅とされており、延出部22の部分が連通孔10に挿入され当該延出部22における抜け止め部21とは反対の端部側が連通孔10の外部に抜け出るようになっている。
【0028】
抜け止め部21は、連通孔10の形状に沿うように構成されており、抜け止め部21の部分の幅は、延出部22の幅よりも大きく、連通孔10の幅よりも大きくなっている。このように抜け止め部21の幅が大きくなっているため、当該着脱部材20がケース2に取り付けられた際に、この抜け止め部21が連通孔10に係止するようになっている。具体的には、延出部22を一端側(抜け止め部21とは反対側)から連通孔10に挿し込み、所定の深さまで挿し込んだときに抜け止め部21が連通孔10の開口端付近に係止して抜け止めがなされ、それ以上延出部22を一端側(抜け止め部21とは反対側)から引っ張っても当該着脱部材20が連通孔10から離脱しないようになっている。
【0029】
更に、延出部22の一端側(延出部22における抜け止め部21とは反対側)にはワイヤなどの接続部材と係合可能な係合部23が形成されている。延出部22の形成する係合部は様々な形状とすることができ、図5に示す係合部23は、延出部22の一端側の端部に長孔が形成され、この長孔よりも奥の位置に長孔の幅よりも幅の広い収容空間が構成されている。このように構成される着脱部材20では、T字状などに構成される引掛部(図示略)などを有するワイヤなどを取り付けることができる。例えば、挿入口が長穴に構成される係合部23に引掛部を挿入し回転させ、ワイヤに設けられる専用の鍵などで固定することで施錠されるケンジントンロックなどを取り付けることができるようになっている。
【0030】
また、図5に示すような着脱部材20に追加して或いはこの着脱部材20に代えて、図6に示すような着脱部材20’を用意してもよい。この着脱部材20’は、係合部付近の形状のみが着脱部材20と異なっており、この着脱部材20’では、延出部22’が図5の構成よりもやや長く構成されており、当該着脱部材20’がケース2に取り付けられた際に、係合部23’の全体がケース2から突出するように構成されている。この図6の着脱部材20’では、係合部23’は、略円形状の貫通孔として構成されており、この係合部23’に挿通可能な接続部材(例えば、ワイヤや錠前等)であれば、様々な種類のものを取り付けることができるようになっている。
【0031】
本実施形態では、このように構成される着脱部材20或いは着脱部材20’が、図1に示すケース2の側壁部8a側を挿入側として係合部23側或いは係合部23’側から連通孔10内に挿入されたときに、抜け止め部21がケース2の連通孔10に係止することで側壁部8b側への抜け止めがなされることとなる。そして、着脱部材20は、このような抜け止め状態のときに、係合部23或いは係合部23’が側壁部8b側から露出して配されるようになっており(図3、図4等参照)、これにより、側壁部8b側において係合部に対して接続部材(ワイヤ、錠前、ケンジントンロック等のセキュリティ部品)を接続することができ、当該接続部材を移動困難な物体に接続することで持ち運ばれないようにすることができる。
【0032】
また、本実施形態では、このように種類の異なる着脱部材20、20’をケース2に着脱することができ、ユーザが用いようとする接続部材の種類に応じて取り替えたり、取り外したりすることができるようになっている。例えば、場合によっては、着脱部材20、20’等を取り付けずに連通孔10に対して直接接続部材を挿し通すように用いることも可能である。
【0033】
(本実施形態の主な効果)
以上説明したように、本第1実施形態に係る据置型非接触通信端末1では、当該非接触通信端末1の構成要素となるケース2において、側壁部8a側から側壁部8b側に連通するように連通孔10が形成されている。また、ケース2に対して着脱可能な着脱部材20が設けられており、この着脱部材20の一端側に抜け止め部21が形成され、この抜け止め部21から延びるように延出部22が形成されている。更に、延出部22において抜け止め部21とは反対側に係合部23が形成され、この係合部23は、取付対象物体と接続するための接続部材と係合可能に構成されている。
そして、着脱部材20は、側壁部8a側を挿入側として係合部23側から連通孔10内に挿入されたときに抜け止め部21がケース2に係止することで側壁部8b側への抜け止めがなされ、且つ少なくともその抜け止め状態のときに、係合部23が側壁部8b側から露出して配されるようになっている。
【0034】
この構成によれば、着脱部材20を設ける必要のないときは着脱部材20を取り外すことができ、例えば、ワイヤや錠前等の接続部材(即ち、ケース2を取付対象物付近から離さないようにするための部材)を直接連通孔10に通すように用いることができる。また、必要に応じてケース2に着脱部材20を取り付け、着脱部材20の係合部23に前記接続部材を取り付けるように用いることができるため、取付可能となる接続部材の種類が多くなり、ユーザが接続部品を選択する上で自由度が大きくなる。着脱部材20は、ケース2とは別部材として構成されているため、着脱部材20の種類を増やすような対応をとりやすく、ケース2を大幅に設計変更せずとも、取付可能となる接続部材の種類数を増やしやすくなる。
【0035】
また、ケース2の側壁部8aにおいて、当該側壁部8aの壁面を開口端とする構成でケース2の内側に向かって凹む凹部9が形成され、凹部9の開口領域αが、側壁部8bにおける連通孔10の開口領域βよりも広くなるように構成されている。そして、連通孔10は、凹部9の内壁部13から側壁部8b側に連通している。
この構成では、着脱部材20の抜け止め部21側を凹部9内に収容するように着脱部材20を取り付けることができるため、着脱部材20の抜け止め部21側がケース2外で邪魔に成り難くなる。また、着脱部材20を取り付ける際に、広めの開口領域αからアクセスして着脱部材20を連通孔10に挿し込むことができるため、上記のようにスペース的に有利な構成を実現しつつ、着脱部材20の挿入、取付作業を行いやすくなる。
【0036】
また、連通孔10における側壁部8b側の開口部11が、側壁部8bと側壁部8aとの間に形成された角部に設けられている。
このように電子部品やコネクタ等を配置し難い角部に開口部11を形成すれば、スペースをより効率的に利用し得る配置が可能となる。
【0037】
また、連通孔10は、角部側の開口部11に近づくにつれて幅が大きくなるように少なくとも側壁部8a側の内壁面が当該側壁部8aの外壁面に対して傾斜するテーパ状に構成されている。
この構成によれば、開口部11において着脱部材20の係合部23側が当たりにくくなるように「逃がし」を設けることができ、開口部11付近の劣化や消耗を効果的に抑えることができる。また、開口部11付近がより広くなるため、着脱操作を行う際に係合部23側にアクセスしやすくなる。
【0038】
また、側壁部8aの外壁面と連通孔10の内面との間の厚さが、側壁部8bの厚さよりも大きくなるように構成されている。
この構成によれば、接続部材からの荷重が加わりやすい部分を選択的に強化することができ、連通孔10付近の破損や損傷を効果的に抑制できる。また、連通孔10付近の破損や損傷に伴ってケース2から接続部材が外れてしまうような事態が生じ難いため、セキュリティ面で一層有利となる。
【0039】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0040】
上記実施形態では、着脱部材20の構成として、図5及び図6の構成を例示したが、着脱部材20の構成(特に係合部23の形状)は上記構成に限定されず、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0041】
1…据置型非接触通信端末
2…ケース
3…上ケース
4…下ケース
6…底壁部
7…上壁部
8a、8b、8c、8d…側壁部
9…凹部
10…連通孔
11…開口部
13…内壁部
20…着脱部材
21…抜け止め部
22…延出部
23…係合部
30…回路基板
31…アンテナ基板
33…ガイド部
34…表示部
36a、36b、36c…コネクタ
α、β…開口領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を収容するケースと、
前記ケースに保持されるアンテナとを備え、
前記ケースによって外郭が構成されてなる装置本体を載置面上に載置して用いる据置型非接触通信端末であって、
当該非接触通信端末を外部の取付対象物体と接続するための接続部材と係合可能な係合部を有し、前記ケースに着脱可能に保持される着脱部材を備え、
前記ケースは、
前記装置本体が前記載置面に載置されるときに前記載置面側に配置される底壁部と、前記底壁部の反対側に配置される上壁部と、複数の側壁部とを備え、
前記複数の側壁部において、いずれか一の側壁部側から他の側壁部側に連通する連通孔が形成されており、
前記着脱部材は、
当該着脱部材の一端側に形成される抜け止め部と、前記抜け止め部から延びる延出部とを備え、前記延出部において前記抜け止め部とは反対側に前記係合部が形成され、
前記一の側壁部側を挿入側として前記係合部側から前記連通孔内に挿入されたときに前記抜け止め部が前記ケースに係止することで前記他の側壁部側への抜け止めがなされ、且つ少なくともその抜け止め状態のときに、前記係合部が前記他の側壁部側から露出して配されることを特徴とする据置型非接触通信端末。
【請求項2】
前記一の側壁部には、当該一の側壁部の壁面を開口端とする構成で前記ケースの内側に向かって凹む凹部が形成され、
前記凹部の開口領域が、前記他の側壁部における前記連通孔の開口領域よりも広くなるように構成されており、
前記連通孔は、前記凹部の内壁部から前記他の側壁部側に連通していることを特徴とする請求項1に記載の据置型非接触通信端末。
【請求項3】
前記連通孔における前記他の側壁部側の開口部は、前記他の側壁部と前記一の側壁部との間に形成された角部に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の据置型非接触通信端末。
【請求項4】
前記連通孔は、前記角部側の開口部に近づくにつれて幅が大きくなるように少なくとも前記一の側壁部側の内壁面が当該一の側壁部の外壁面に対して傾斜するテーパ状に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の据置型非接触通信端末。
【請求項5】
前記一の側壁部の外壁面と前記連通孔の内面との間の厚さが、前記他の側壁部の厚さよりも大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の据置型非接触通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−47898(P2013−47898A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186144(P2011−186144)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)