説明

掃除口

【目的】 耐久性を高くすることのできる掃除口を簡単な構成によって提供すること。
【構成】 筒体10を、その上部内周縁に環状凹所12を形成したものとするとともに、蓋体20を、蓋体10の上端開口11を覆う蓋本体21と、この蓋本体21の裏面に端縁から内方に位置して筒状に形成されて筒体10の環状凹所12との間に所定の隙間40を形成する保持筒22と、この保持筒22の外周に形成した支持凹所23とを備えたものとして、この支持凹所23内に係合される係合部31と、この係合部31の下端に一体化した基部32と、この基部32に一体化されて筒体10の環状凹所12内に弾性当接する環状舌片33と、この環状舌片33と基部32との外側境界部に形成した折曲溝34とを有する環状パッキング30を、隙間40内に配置したこと。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、地中に埋没される排水路の適宜箇所に接続されて、排水路等の清掃を行う場合に開放される掃除口に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の掃除口は、図4に示すように、排水路50の合流点に接続された排水マス51上に点検筒52を接続し、この点検筒52上に配置されるものであり、排水マス51内や排水路50内を清掃する際に開放されるものである。
【0003】
このような掃除口としては、実開平3−76047号公報及び図5に示すように 「環状本体と、該環状本体上端に被着される蓋とからなり、該本体内側上部には環状リブが突設され、該環状リブの下半部は下方に向かって径が拡大するテーパー部となり、該蓋は周縁所定個所に挿入溝を形成した蓋本体と、該蓋本体の下面から突設され該蓋本体より小径にされている挿入部と、該挿入部外周に嵌着されている環状パッキングとからなり、該パッキングは環状帯状と、該環状帯体下縁から外側斜め上方に差出されているフィンとからなり、該パッキングの外径は該環状本体のリブの内径よりも若干大きく設定されていることを特徴とする掃除口」
が知られている。この図5に示した掃除口60は、蓋61を本体62から回転させずに簡単に開放できて便利なものであるが、次のような改善しなければならない点を含んでいるものである。
【0004】
すなわち、この従来の掃除口60においては、その蓋61と本体62との間に形成された空間内に環状パッキング63を配置して、この環状パッキング63によってシール効果を発揮するようにしているものであるが、この環状パッキング63の舌片64が経年変化し易いものとなっている。その理由は、この舌片64の外径が本体62側の環状リブ65の内径より大きく設定してあって、この舌片64は環状リブ65に対して屈曲した状態で当接しているからである。
【0005】
そこで、本考案者は、環状パッキングの耐久性を高めるためにはどうしたらよいかについて検討を重ねてきた結果、本考案を完成したのである。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は、以上のような実状に鑑みてなされたもので、その解決しようとする課題は、掃除口を構成している環状パッキングの耐久性を高めて、結果として掃除口の耐久性を高めるようにすることである。
【0007】
そして、本考案の目的とするところは、環状パッキング及びその環状舌片が当接する筒体側の部分を改良することによって環状パッキングの耐久性を高め、これにより結果的に耐久性を高くすることのできる掃除口を簡単な構成によって提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、本考案の採った手段は、実施例において使用する符号を付して説明すると、 「排水路50の適宜箇所に接続される筒体10と、この筒体10の上端開口11に嵌合される蓋体20とを備えた掃除口100において、 筒体10を、その上部内周縁に環状凹所12を形成したものとするとともに、蓋体20を、蓋体10の上端開口11を覆う蓋本体21と、この蓋本体21の裏面に端縁から内方に位置して筒状に形成されて筒体10の環状凹所12との間に所定の隙間40を形成する保持筒22と、この保持筒22の外周に形成した支持凹所23とを備えたものとして、 この支持凹所23内に係合される係合部31と、この係合部31の下端に一体化した基部32と、この基部32に一体化されて筒体10の環状凹所12内に弾性当接する環状舌片33と、この環状舌片33と基部32との外側境界部に形成した折曲溝34とを有する環状パッキング30を、隙間40内に配置したことを特徴とする掃除口100」
である。
【0009】
【考案の作用】
以上のように構成した本考案に係る掃除口100においては、次のよう作用がある。
【0010】
まず、この掃除口100においては、蓋体20側に環状パッキング30を取付なればならないが、蓋体20の保持筒22の外周には支持凹所23が形成してあるから、この支持凹所23内に環状パッキング30の係合部31を嵌入することによってその蓋体20に対する取付けが容易になされる。すなわち、この環状パッキング30自体は弾力性を有する材料によって形成されているとともに、当該環状パッキング30側の係合部31が蓋体20側の支持凹所23に対応する形状のものに形成してあるから、丁度茶筒に輪ゴムを嵌めるのと同様な操作を行なうことによって、この環状パッキング30の蓋体20に対する取付が完了するのである。このように取付けられた環状パッキング30は、その弾力性によって係合部31が蓋体20側の支持凹所23に喰い込んだ状態となっているから、確実に取付けられているのである。
【0011】
このように環状パッキング30を取付けた蓋体20を、排水路50に接続された筒体10の上端開口11内に嵌合するのであるが、蓋体20の蓋本体21は筒体10の上端開口11と略同径のものとして形成してあるから、図2に示したように、筒体10と蓋体20間に形成された隙間40内にてどの部分においても同じ状態となるものである。この蓋体20の嵌合に際して、環状パッキング30はその係合部31によって蓋体20側の支持凹所23にしっかりと固定されているから、蓋体20に対して環状パッキング30が位置ズレすることはない。
【0012】
以上のように蓋体20を筒体10の上端開口11に嵌合した場合には、環状パッキング30は図3に示したような状態となる。すなわち、環状パッキング30の環状舌片33は、これが筒体10側の環状凹所12内に完全に納まるまでの間は、係合部31に向けて撓むのであるが、この撓みは一時的なものであって、しかも環状舌片33と基部32間には折曲溝34が形成してあるから、良好な状態で行われるものである。そして、環状舌片33が環状凹所12内に完全に位置し得る状態となれば、環状舌片33と基部32間の折曲溝34によって環状舌片33が図3中の仮想線にて示した無負荷状態に近い状態にまで確実に復帰して、この環状舌片33は筒体10側の環状凹所12に密着するのである。つまり、この図3に示した状態においては、環状パッキング30の環状舌片33が自然状態(無負荷状態)に近い状態に広がって環状凹所12に密着した状態を維持するのであり、当該環状パッキング30の経年変化が非常に小さいものとなるのである。
【0013】
勿論、この図3に示した状態においては、環状パッキング30の係合部31及び環状舌片33によって筒体10と蓋体20間の隙間40が完全に埋まったものとなっているから、排水路50側からの臭気を掃除口100外に出すことがなく、また環状舌片33が筒体10側の環状凹所12に密着していることから、筒体10の上端開口11と蓋体20の蓋本体21間に生じる隙間から入った雨水や砂等を排水路50側に流下させることがないのは言うまでもない。また、環状パッキング30と係合部31と環状舌片33間には、上方にのみ開口する隙間が形成されているから、この掃除口100は、上側から流下してまた砂等をこの隙間内に貯めておくものである。
【0014】
さらに、この環状パッキング30を有した蓋体20を筒体10から外す場合も、環状パッキング30の環状舌片33は十分な可撓性を有しているから、この環状パッキング30が損傷することなく蓋体20の取り外しを行えるものである。
このようにして筒体10の上端開口11を開放させて必要な清掃を行った後には、前述したように蓋体20を上端開口11内に嵌合すればよいのであり、その場合には前述したのと同様な作用を環状パッキング30はなすのである。
【0015】
【実施例】
次に、本考案に係る掃除口100を、図面に示した実施例に従って詳述すると、まずこの掃除口100は、排水路50の適宜箇所に接続される筒体10と、この筒体10の上端開口11内に嵌合される蓋体20と、この蓋体20の保持筒22に取付けられて蓋体20と、筒体10との間に形成される隙間40を埋める環状パッキング30とからなっているものである。
【0016】
筒体10は、排水路50に接続されるようにしてあればどのような形状のものであってもよいが、図2及び図3に示したように、その上部内周縁に環状凹所12を有していることが必要である。この環状凹所12は、後述する環状パッキング30の環状舌片33を自然状態に近い状態で密着させるものだからである。
【0017】
蓋体20は、図1に示したような平面形状を有する蓋本体21と、この蓋本体21の下面に一体的に形成した保持筒22を有しているものである。この保持筒22は、蓋本体21の端縁から所定寸法、つまり環状パッキング30の収納のための隙間40を形成し得る寸法で内方に位置しているもので、環状のものとなっているものである。この保持筒22の外周面には、環状パッキング30の係合部31を嵌合するための環状の支持凹所23が形成してある。なお、この蓋体20の蓋本体21の上面には、図1に示したように、滑り止め等の目的で所定の模様が付してあるものであり、中でも表示部24を形成することによって、種々な表示が行えるようにしてある。
【0018】
環状パッキング30は、合成ゴムあるいは合成樹脂等の可撓性を有する材料(本実施例においてはポリエチレン)によって環状のものに一体成形したものであり、蓋体20の支持凹所23の外径より僅かに小さい内径を有する係合部31を有している。勿論、この係合部31の断面形状は蓋体20側の支持凹所23の断面形状と同じものにしてある。また、この環状パッキング30は、係合部31の下端に一体化した基部32と、この基部32に一体化されて上端が係合部31の上部にまで達する長さの環状舌片33と有しており、この環状舌片33と基部32との境界部下面には折曲溝34が形成してある。
【0019】
【考案の効果】
以上説明した通り、本考案にかかる掃除口100においては、上記のように構成したので、環状パッキング30の耐久性を高め、結果的に耐久性を高くすることのできる掃除口を簡単な構成によって提供することができるのである。
【0020】
すなわち、この掃除口100によれば、■筒体10側の環状凹所12内に環状舌片33が広がった状態で密着するよにし たので、環状パッキング30自体の耐久性を高めて、結果として掃除口100 の耐久性を高めることができる。
■基部32と環状舌片33との境界部下側に折曲溝34を形成したので、環状舌 片33の可撓性を十分なものとすることができて、環状パッキング30自体の 耐久性を高めることができる。
■環状舌片33が十分な可撓性を有していて筒体10側の環状凹所12内に密着 するようにしたから、排水路50側からの臭気の外部への洩出を防止すること ができるとともに、逆に雨水や地表の砂等を排水路50内に流下させることが ない。
■筒体10及び蓋体20は勿論のこと、環状パッキング30も一体成形できるの で、掃除口100自体の構成を簡単にすることができて、これらの製造を容易 に行うことができる。
といった優れた効果を発揮するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る掃除口の平面図である。
【図2】同掃除口の縦断面図である。
【図3】図2の要部拡大断面図である。
【図4】掃除口と排水路との関係を示す斜視図である。
【図5】従来の掃除口を示す縦断面図である。
【符号の説明】
100 掃除口
10 筒体
11 上端開口
12 環状凹所
20 蓋体
21 蓋本体
22 保持筒
23 支持凹所
30 環状パッキング
31 係合部
32 基部
33 環状舌片
34 折曲溝
40 隙間
50 排水路

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 排水路の適宜箇所に接続される筒体と、この筒体の上端開口に嵌合される蓋体とを備えた掃除口において、前記筒体を、その上部内周縁に環状凹所を形成したものとするとともに、前記蓋体を、前記蓋体の上端開口を覆う蓋本体と、この蓋本体の裏面に端縁から内方に位置して筒状に形成されて前記筒体の環状凹所との間に所定の隙間を形成する保持筒と、この保持筒の外周に形成した支持凹所とを備えたものとして、この支持凹所内に係合される係合部と、この係合部の下端に一体化した基部と、この基部に一体化されて前記筒体の環状凹所内に弾性当接する環状舌片と、この環状舌片と前記基部との外側境界部に形成した折曲溝とを有する環状パッキングを、前記隙間内に配置したことを特徴とする掃除口。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【公開番号】実開平6−24035
【公開日】平成6年(1994)3月29日
【考案の名称】掃除口
【国際特許分類】
【出願番号】実願平4−27450
【出願日】平成4年(1992)4月24日
【出願人】(000010054)岐阜プラスチック工業株式会社 (108)