説明

掃除機の吸引ノズルアタッチメント

【課題】パイルパッドが吸引ノズル本体から剥がれにくい構造の掃除機の吸引ノズルアタッチメントを実現する。
【解決手段】掃除機の吸引ノズルアタッチメントを構成するノズル本体(1)の底部にパイルパッド(3a〜3e)を固定する。パイルパッドは、基布(10)とパイル毛(11)とを有する。基布のパイル毛が植設されている部分の両側にパイル毛が形成されていない補強部(10b,10c)を設ける。基布の補強部は吸引ノズル本体に形成したスリット(23〜26)内に挿入して接着する。清掃中に床面とパイル毛との間に摩擦力が作用しても、基布のエッジに作用しないので、基布が本体から剥がれにくくなり、耐久性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除機の吸引ノズルアタッチメントに関するものであり、特に吸引ノズル本体と床面との間の間隔を規制するパイルパッドの剥がれ防止対策が施された吸引ノズルアタッチメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機は、掃除機本体と、吸引パイプを介して掃除機本体に交換可能に連結される吸引ノズルアタッチメントとを有する。吸引ノズルアタッチメントとして各種のアタッチメントが交換可能であり、床面等を清掃する場合回転ブラシ機構が装着されたアタッチメントが使用されている。回転ブラシ機構が装着された吸引ノズルアタッチメントを用いて床面を清掃する場合、ノズル本体は硬質のプラスチィック材料で構成されているため、ノズル本体が床面と直接接触すると、床面に損傷を与える不具合が生じてしまう。そのため、ノズル本体の床面と対向する外周面にはパイルパッドが装着され、パイルパッドによりノズル本体が床面と直接接触しないように構成されている。
【0003】
パイルパッドは、基布に柔軟なパイル毛が植設されているため、清掃中に柔軟なパイル毛が床面と当接するので、床面を拭き取る清掃力が発揮されると共にフローリング等の床面に傷を付ける不具合が解消される。しかしながら、清掃中にアタッチメントが前後に往復移動するため、床面とパイル毛との間にパイルパッドを引き剥がすように作用する摩擦力が作用する。この不所望な摩擦力により、接着剤や両面テープにより吸引ノズル本体に接着されたパイルパッドが徐々に剥がれ、最終的にノズル本体から剥がれ落ちてしまう。しかし、パイルパッドがノズル本体から完全に剥がれると、硬質樹脂のノズル本体が床面と直接接触し、床面に傷を付ける不具合が発生する。従って、パイルパッドがノズル本体からの剥がれを防止することは、電気掃除機にとって極めて重要である。
【0004】
パイルパッドのノズル本体からの剥がれを防止する対策として、パイルパッドをホルダに一体的に形成し、当該ホルダをノズル本体に取り付ける方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−169979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パイルパッドを吸引ノズル本体に接合する方法として、接着剤や両面テープを用いて固定する方法は、作業性が容易であり、比較的簡単な作業により接合できる利点がある。しかし、平面状のノズル本体の外周面上にパイルパッドを接着しただけでは、清掃中の往復移動により発生する床面とパイル毛との摩擦力により基布が徐々に剥がれてしまい、耐久性に難点がある。また、パイルパッドをホルダに一体的に形成し、ホルダを吸引ノズル本体に装着する方法は、基布を所望の形状に加工し、加工された基布をホルダと共に一体的に形成し、基布が取り付けられたホルダを吸引ノズル本体に装着しなければならず、作業工程が増大する欠点がある。また、ホルダと基布との間の接合力が弱い場合、清掃中に発生する摩擦力により基布がホルダから徐々に剥がれる問題点も指摘されている。
【0006】
本発明の目的は、上述した欠点を解消し、吸引ノズル本体にパイルパッドを比較的簡単な作業工程で装着することができると共に、固定されたパイルパッドが吸引ノズル本体から剥がれにくい構造を有する吸引ノズルアタッチメントを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による掃除機の吸引ノズルアタッチメントは、清掃中に床面と接触し、床面上に存在するゴミ等を除去する掃除機の吸引ノズルアタッチメントであって、
掃除機本体に連結される吸引ノズル本体と、
吸引ノズル本体に回転自在に支持された回転ブラシ機構と、
前記吸引ノズル本体の床面と対向する外周面に装着され、吸引ノズル本体と床面との間の間隔を規定するパイルパッドとを具え、
前記パイルパッドは、基布と基布に部分的に植設されたパイル毛とにより構成され、
基布は、パイル毛が植設されたパイル毛植設部と、パイル毛植設部をはさんで両側に設けたパイル毛が植設されていない補強部とを有し、
前記吸引ノズル本体は、前記基布のパイル毛植設部を支持するステージ部と、ステージ部をはさんで両側に形成した互いに平行な2個のスリットとを有し、
前記基布のパイル毛植設部は吸引ノズル本体のステージ部に接着され、補強部は吸引ノズル本体のスリット内に挿入されていることを特徴とする。
【0008】
本発明者がパイルパッドの剥がれ易さについて解析した結果、床面とパイル毛との間に発生する摩擦力がパイルパッドのエッジ部に対して引き剥がすように作用することが主たる原因であることが判明した。そこで、本発明においては、吸引ノズル本体の底部の外周面にパイルパッドを固定するためのステージを設けると共に、ステージをはさんでその両側スリットを形成する。そして、パイルパッドの基布に補強部を設け、基布のパイル毛が植設されている部分はステージに接着し、補強部はスリット内に挿入してスリットの側壁に接着する。清掃中に発生する床面とパイル毛との摩擦力は、基布の面に対して斜めに作用するので、本発明においては、基布のエッジに対して引き剥がすように作用するのではなく、側壁に接着されている補強部に対して滑らす方向に作用する。この結果、基布がノズル本体の外周面から剥がれにくくなり、耐久性が一層改善される。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、パイルパッドの基布に補強部を設け、補強部を吸引ノズル本体のスリット内に挿入し側壁に接着しているので、パイルパッドに摩擦力が作用しても、基布が吸引ノズル本体から剥がれにくくなり、耐久性が大幅に改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明による吸引ノズルアタッチメントの一例を示すものであり、図1Aは吸引ノズルアタッチメントを床面と対向する裏側から見た平面図であり、図1Bは図1AのII線で切って拡大して示す部分断面図であり、図1Cはパイルパッドの一例を示す斜視図である。
【0011】
吸引ノズル本体1は、床面と対向する底面1aを有し、底面1aには開口1bが形成され、この開口1bを介して床面上のゴミや埃を吸引する。開口1bには、回転ブラシ2が回転可能に配置され、清掃中にユーザが矢印a及びb方向に往復移動すると、回転ブラシ2も対応して回転し、床面上の埃やゴミが吸引される。吸引ノズル本体1の内部通路は吸気パイプを介して掃除機本体(図示せず)に連結される。従って、吸引されたゴミや埃は吸気パイプを介して掃除機本体に移送される。吸引ノズル本体1の底面には、5個のパイルパッド3a〜3eを装着する。これらパイルパッドは、清掃中に床面と接触し、吸引ノズル本体と床面との間の間隔を規制する機能を果たす。従って、清掃中にパイルパッドが床面と直接接触するので、プラスチィックの吸引ノズル本体が床面と当接せず、フローリング等の床面に傷が付くのが防止される。
【0012】
図1Cに示すように、パイルパッド3は、基布10に柔軟なパイル毛11が植設された構造を有する。パイル毛11は、例えばナイロン等の柔軟な繊維で構成される。従って、床面に対して柔軟な繊維が接触するため、ユーザが掃除機を往復移動すると、床面は柔軟な繊維で拭かれ、埃等が拭き取られる。基布10は、パイル毛が植設されたパイル植設部10aと、パイル毛植設部10aの両側に形成され補強部材として作用する2個の補強部10b及び10cを有する。尚、本例では、パイル毛11は、斜毛構造に形成され、パイル毛は、清掃中に掃除機を往復移動する際の後退方向に傾斜するように植設される。
【0013】
図1Bは、図1AのII−II線で切って示す部分断面図であり、吸引ノズル本体の底面部を拡大して図示し、吸引ノズル本体に対するパイルパッドの取付け状態を示す。吸引ノズル本体の底部には、2個のステージ21及び22が形成され、これらステージにパイルパッドを接着剤又は両面テープにより固定する。各ステージの両側には、それぞれ2個のスリット(溝)23及び24と25及び26を形成する。これらスリットは、清掃中にノズル本体が往復移動する方向と直交する方向に延在する。スリットの幅はパイルパッドの基布の補強部が挿入される大きさに設定する。図1Bに示すように、ステージ21及び21の大きさは、パイルパッド3のパイル毛植設部10aの大きさにほぼ等しく設定する。基布の補強部10b及び10cは、各スリット内に挿入され、各スリットの側壁に接着剤又は両面テープを用いて固定する。
【0014】
図2A及びBは、パイルパッドの剥がれ易さを模式的に示す図である。図2Aは、従来のパイルパッドの装着状態を示し、図2Bは本発明によるパイルパッドの装着状態を示す。従来のパイルパッドは、基布が吸引ノズル本体の底部の外周面上に接着され補強部分が存在しないため、パイル毛と床面との間に作用する摩擦力は、基布のエッジ部を引き剥がす力として作用する。このため、基布が接着されていても、エッジ部から徐々に剥がれ始め、耐久性に問題があった。これに対して、本発明では、基布のパイル毛植設部の前後に補強部分として作用する補強部が形成され、補強部はスリット内に挿入され、スリットの側壁に接着されている。このため、摩擦力が作用しても、基布のエッジ部に対して作用するのではなく、スリットの側壁に接着されている補強部を滑らすように作用する。この場合、基布が側壁に接着されている面に対して作用するため、比較的強い摩擦力が作用しても、基布はノズル本体面から容易に剥がれにくく、格段に耐久性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による吸引ノズルアタッチメントの一例を示す図である。
【図2】パイルパッドの剥がれ易さを模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0016】
1 吸引ノズル本体
2 回転ブラシ
3a〜3e パイルパッド
10 基布
11 パイル毛
21,22 ステージ
23〜26 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃中に床面と接触し、床面上に存在するゴミ等を吸引除去する掃除機の吸引ノズルアタッチメントであって、
掃除機本体に連結される吸引ノズル本体と、
吸引ノズル本体に回転自在に支持された回転ブラシ機構と、
前記吸引ノズル本体の床面と対向する外周面に装着され、吸引ノズル本体と床面との間の間隔を規制するパイルパッドとを具え、
前記パイルパッドは、基布と基布に部分的に植設されたパイル毛とにより構成され、
基布は、パイル毛が植設されたパイル毛植設部と、パイル毛植設部をはさんで両側に設けたパイル毛が植設されていない補強部とを有し、
前記吸引ノズル本体は、前記基布のパイル毛植設部を支持するステージ部と、ステージ部をはさんで両側に形成した2個のスリットとを有し、
前記基布のパイル毛植設部は吸引ノズル本体のステージ部に接着され、補強部は吸引ノズル本体のスリット内に挿入されていることを特徴とする吸引ノズルアタッチメント。
【請求項2】
請求項1に記載の吸引ノズルアタッチメントにおいて、前記パイルパッドの基布の補強部は、吸引ノズル本体に形成されたスリットの側壁に接着されていることを特徴とする吸引ノズルアタッチメント。
【請求項3】
請求項1に記載の吸引ノズルアタッチメントにおいて、前記パイルパッドは、前記吸引ノズル本体の複数の部位に装着され、前記パイルパッドのパイル毛は、清掃中における吸引ノズルアタッチメントの往復移動方向の後退方向に斜毛していることを特徴とする吸引ノズルアタッチメント。
【請求項4】
掃除機の吸引ノズルアタッチメントの吸引ノズル本体に装着され、床面と吸引ノズル本体との間の間隔を規制するパイルパッドであって、
当該パイルパッドは、基布と基布に部分的に植設されたパイル毛とにより構成され、
前記基布は、パイル毛が植設されたパイル毛植設部と、パイル毛植設部をはさんで両側に設けたパイル毛が植設されていない補強部とを有することを特徴とするパイルパッド。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−119025(P2009−119025A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296190(P2007−296190)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000150774)株式会社槌屋 (56)
【Fターム(参考)】