説明

掃除機用取っ手組立体

【課題】コンパクトな掃除機用取っ手組立体を提供する。
【解決手段】本発明によれば、掃除機用取っ手組立体(100)が提供される。取っ手組立体は、摺動可能に伸長可能なワンド(104)と、連結部分(106)とを有する。連結部分は、取っ手組立体を掃除機の本体(12)に解除可能に固定する第1のロック構造体(128)と、ワンドを連結部分に対して所定の位置に解除可能にロックする第2のロック構造体(126)と、アクチュエータ(122)とを更に有する。アクチュエータは、第1のロック構造体及び第2のロック構造体をロック位置とロック解除位置との間で動かすよう構成されていると共に配置されており、また、第1のロック構造体は、アクチュエータとは独立して動くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除機の取っ手組立体に関する。特に、本発明は、真空掃除機の取っ手組立体に関するが、これには限定されない。
【背景技術】
【0002】
直立(アップライト)形真空掃除機が周知である。さらに、床掃除モードから「床上方」(above-the-floor :床よりも上の)掃除モードに変換可能な直立形真空掃除機も周知である。これら掃除モードの両方を実施するため、直立形真空掃除機は、床上方掃除に必要な場合に使用できるワンド及びホース構造体を備えた取っ手組立体を有することが通例である。幾つかの先行技術の構成、例えば、米国特許第4,519,113号明細書に記載された構成では、ワンド及びホース組立体は、掃除機ヘッドに取り付けられ、これらは、真空掃除機が床掃除モードで用いられているときに真空掃除機内の空気流路の一部を形成するようになっている。この場合、ワンドは、床上方掃除が必要な場合、掃除機ヘッドから取り外し可能である。これは、比較的簡単な構成であるが、到来空気は、真空掃除機が床掃除モードで用いられているとき、ワンド及びホースを通って流れなければならない。したがって、この構成は、必然的に、真空掃除機内におけるロス(効率的損失)を増大させる。
【0003】
別の構成が、米国特許第2,660,457号明細書に記載されている。この構成では、この特許文献に図示された真空掃除機の取っ手組立体の一部をなすワンドが、真空掃除機の残部から取り外し可能である。ワンドを床上方掃除目的で真空掃除機の前に配置されたホースに再び取り付けることができる。
【0004】
真空掃除機の一部を形成する取っ手組立体の別の公知の形式が、欧州特許第1265519号明細書に記載されている。この構成では、取っ手部分及びワンドは、キャッチによって真空掃除機の本体に解除自在に取り付けられている。取っ手部分及びワンドをホースの上端部から取り外し、ぐるりと回して再び連結することができる。このようにすると、取っ手組立体を床上方掃除に用いようとする場合、ホースを取っ手組立体に取り付け、この場合、ワンドは、ホースから遠ざかって突き出る。この構成は、到来空気を掃除機ヘッド中かホース中かのいずれかに選択的に差し向ける切り換え弁を含む。したがって、真空掃除機を床上方掃除に用いる場合、空気は掃除機ヘッドを通って引き込まれることはない。
【0005】
取っ手組立体の別の変形例が、国際公開第2006/008444号パンフレットに記載されている。この構成では、この特許文献に図示された真空掃除機は、収納位置と伸長位置との間で摺動できる管状ワンドを含む取っ手組立体を有している。取っ手組立体を真空掃除機の残部に固定したり、管状ワンドを伸長位置にロックしたり、管状ワンドを伸長位置から解除したりすることができる単一のロック機構体が提供されている。しかしながら、この特定のロック機構体は、作動のために管状ワンドの各側にスペースを必要とする。したがって、この構成は、スペースが少なくて貴重である小型の製品には好適であるとは言えない。
【0006】
本発明の目的は、先行技術の構成を改良した真空掃除機用の改良型取っ手組立体を提供することにある。本発明の別の目的は、先行技術の構成よりもコンパクトな真空掃除機用の改良型取っ手組立体を提供することにある。
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,519,113号明細書
【特許文献2】米国特許第2,660,457号明細書
【特許文献3】欧州特許第1265519号明細書
【特許文献4】国際公開第2006/008444号パンフレット
【発明の開示】
【0008】
本発明によれば、掃除機の取っ手組立体であって、摺動可能に伸長可能なワンドと、連結部分とを有し、連結部分は、取っ手組立体を掃除機の本体に解除可能に固定する第1のロック構造体と、ワンドを連結部分に対して所定の位置に解除可能にロックする第2のロック構造体と、アクチュエータとを有し、アクチュエータは、第1のロック構造体及び第2のロック構造体をロック位置とロック解除位置との間で動かすよう構成されていると共に配置されており、また、第1のロック構造体は、アクチュエータとは独立して動くことができることを特徴とする取っ手組立体が提供される。
【0009】
かかる構成を提供することにより、ユーザが単一のアクチュエータを作動させると、第1のロック構造体と第2のロック構造体の両方を同時にロック解除することができる。これは、ユーザが例えば取っ手構造体を本体から解除し又はワンドを固定位置からロック解除するのにたった1つのボタンしか必要ではないので有利である。しかしながら、第1のロック構造体は、第2のロック構造体とは独立して動くことができるので、ワンドをロック位置に保った状態で取っ手組立体を掃除機の本体に固定することが可能である。これは、ユーザがワンドを畳み込まないで(中へ入れ子式に押し込まないで)掃除機を床掃除モードに戻したいと思った場合に有益である。
【0010】
好ましくは、第1のロック構造体は、掃除機の本体との係合によりアクチュエータとは独立して動くことができる。かかる構成を提供することにより、取っ手組立体を掃除機の本体に再び取り付けた場合、第1のロック構造体は、掃除機の本体の一部によってロック解除位置に変位可能であり、次に、第1のロック構造体をロック位置に戻して取っ手組立体を掃除機の本体に固定できるようになる。アクチュエータが、2つのロック状態を提供するよう追加の移動距離を備えることは必要ではなく、2つの別々のアクチュエータを備えた2つの別々のキャッチも不要である。したがって、この構成により、ロック構造体は、先行技術の構造体よりもコンパクトになることができる。
【0011】
好ましくは、ワンドは、連結部分に対して引っ込み位置と伸長位置との間で摺動可能である。より好ましくは、所定の位置は、伸長位置である。ワンドを伸長位置にロックすることにより、ワンドの畳み込みが思いがけず生じる恐れなく、ワンドを床上方掃除に用いることができる。
【0012】
好ましくは、取っ手が、ワンドの一端に取り付けられていて、連結部分に対して動くことができる。この構成により、ワンドを床上方掃除に用いることができ、更に、掃除機が床掃除モードで用いられる場合につき伸長可能な取っ手として用いることができる。取っ手を備えた伸長可能なワンドを提供することにより、ワンド及び取っ手を収納のために畳み込むことができ、保管又は輸送目的で掃除機の大きさを減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、添付の図面を参照して本発明の実施形態につき説明する。
【0014】
本発明の取っ手組立体を備えた真空掃除機が、図1に示されている。図1は、本体12を有する直立(アップライト)形真空掃除機10を示しており、本体12は、モータ・ファンユニット(図示せず)及び一対の車輪14を有している。掃除機ヘッド16が、本体12の下端部に回動可能又は旋回可能に取り付けられ、汚れ空気入口18が、床面に向いた掃除機ヘッド16の下面に設けられている。本体12は、上方に延びていて、空気流を運ぶダクト22を備えた背骨20を更に有している。
【0015】
分離装置24が、背骨20に隣接して本体12に解除可能に取り付けられた状態で保持されている。図示の実施形態では、分離装置24は、サイクロン分離器から成るが、これに代えて、フィルタ、バッグ又は種々の公知の分離の装置の組合せを用いても良い。分離装置24の性状は、本発明にとって重要ではない。
【0016】
分離装置24の内部は、背骨20内のダクト22を通って汚れ空気入口18と連通状態にある。さらに、空にする目的で分離装置24を本体12から取り外すことができる。本体12は、空気を真空掃除機10から排出するための複数の出口ポート26を更に有している。出口ポート26は、分離装置24の下に配置されている。これらの特徴は、本発明のとって重要ではないので、これ以上説明しない。
【0017】
真空掃除機10は、ホース50及び取っ手組立体100を有している。取っ手組立体100の一部は、図1に示すように真空掃除機10に取り付けられると、ホース50の中を延びる。取っ手組立体100を真空掃除機10から外して床上方掃除を可能にするよう配置することができる。これらの特徴については後で更に説明する。取っ手組立体100は、図1では収納形態で示されている。取っ手組立体100が収納形態にあるとき、真空掃除機10は、コンパクトであり、保管し又は仕舞っておくことが容易である。
【0018】
取っ手組立体100は、図2及び図3に詳細に示されている。分かりやすくするために、図2は、真空掃除機10の取っ手組立体100の上端部及び背骨20の一部のみを示している。図3は、真空掃除機10の残部から取り外された取っ手組立体100及びホース50の全体を示している。取っ手組立体100は、図2及び図3では収納形態で示されている。
【0019】
取っ手組立体100は、取っ手102、管状ワンド104、連結部分106及び固定管108を有している。連結部分106は、真空掃除機10の背骨20に連結されるようになっている。固定管108は、連結部分106に取り付けられた状態でこの連結部分106から下方に延びている。固定管108は、内部が中空であり、下端部には開口部109が設けられている。
【0020】
管状ワンド104は、引っ込み位置(図2及び図3に示されている)と伸長位置(図4及び図5に示されている)との間で連結部分106に対して摺動することができる。管状ワンド104は、固定管108の直径よりも小さな直径を有し、したがって、管状ワンド104が引っ込み位置にあるとき、管状ワンド104の大部分を固定管108内に収納することができるようになっている。これは、図3に示されている。管状ワンド104と固定管108は、管状ワンド104が固定管108内で摺動することができるよう互いに対して同軸状に位置している。
【0021】
管状ワンド104は、その上端部110が開口している。開口上端部110は、床上方掃除が必要なときにホース50の端部を受け入れるようになったコネクタ112を形成する。管状ワンド104内に汚れやほこりが入るのを阻止し、しかも取っ手組立体100の見栄えを良くするために上端部110を覆ってカバー(図示せず)を設けるのが良い。
【0022】
取っ手102は、管状ワンド104の上端部110に取り付けられていて、管状ワンド104を引っ込み位置と摺動位置との間で摺動させると、連結部分106に対して動く。取っ手102は、掴み部分114及び支持部材116を有する。掴み部分114は、床面を横切って又は床上方掃除中に真空掃除機10を操作するときにユーザによって把持されるよう構成されている。支持部材116は、掴み部分114の機械的支持体となる。
【0023】
ホース50は、ホース50の第1の端部のところに設けられた第1のコネクタ52によって真空掃除機の本体12に固定されている。第1のコネクタ52は、ホース50をクリーニング又は交換のために取り外すことができるよう解除可能である。しかしながら、他の構成、例えば、真空掃除機10の本体12への永続的な連結が可能である。ホース50は、ホース50の第2の端部のところに設けられた第2のコネクタ54を更に有する。第2のコネクタ54は、床上方掃除が行われるとき、コネクタ112に連結されるよう構成されている。
【0024】
さらに、取っ手組立体100を真空掃除機10に取り付けて仕舞う場合、管状ワンド104及び固定管108の相当多くの部分は、ホース50内に位置する。これは、図3に示されている。ホース50は、固定管108の外部に沿ってこの周りに位置するが、これに密着するわけではない。管状ワンド104、固定管108及びホース50を互いに対して同軸状に収納することにより、取っ手組立体100は、コンパクトであり、仕舞い易い。
【0025】
図1及び図2に示す形態では、空気流は、ホース50によって運ばれない。これは、真空掃除機10が空気を掃除機ヘッド16に設けられた汚れ空気入口18中に又はホース50中に選択的に引き込む切り換え弁(図示せず)を有しているからである。切り換え弁は、固定管108の下端部によって作動される。取っ手組立体100を図1及び図2に示す形態で真空掃除機10に取り付けて仕舞う場合、固定管108は、切り換え弁を空気が汚れ空気入口18中に引き込まれる位置に動かすために、切り換え弁の一部に係合する。
【0026】
管状ワンド104が引っ込み位置(図2及び図3に示されている)にあるとき、取っ手102は、連結部分106の真上に位置し、管状ワンド104は、固定管108内に収納される。この形態では、真空掃除機10は、コンパクトであり、保管が容易である。しかしながら、ユーザが真空掃除機10を快適に用いて床面を掃除するためには、取っ手組立体100は、伸長形態に移される必要がある。
【0027】
取っ手組立体100が、図4及び図5に伸長形態で示されている。図4は、真空掃除機10の取っ手組立体100の上端部及び背骨20の一部のみを示している。図5は、分かりやすくするために真空掃除機10の残部から取り外された取っ手組立体100及びホース50の全体を示している。伸長形態では、管状ワンド104は、連結部分106から上方に遠ざかって延びる。この形態では、取っ手102は、立っているユーザによって把持されるのに都合の良い高さのところに位置する。したがって、取っ手102を用いて床面を横切って真空掃除機10を容易に操作することができる。
【0028】
図3及び図5に示す位置相互間における管状ワンド104の伸長及び引っ込みを容易にするため、管状ワンド104は、長手方向溝118を有し(これは、図4に最も良く示されている)、この長手方向溝は、連結部分106に設けられた相補形状の出張り(図示せず)と協働する。長手方向溝118及び出張りは、管状ワンド104を連結部分106に対して引っ込み位置と伸長位置との間で直線経路に沿って案内する。さらに、長手方向溝118及び出張りは、管状ワンド104が連結部分106に対して運動軸線回りに回転するのを阻止する。
【0029】
連結部分106は、ロック機構体120を更に有している。ロック機構体120は、図1、図2及び図4に示すように取っ手組立体100を真空掃除機10の背骨20に固定するよう構成されている。ロック機構体120は又、管状ワンド104を伸長位置(図4及び図5に示されている)にロックするよう構成されている。
【0030】
ロック機構体120は、連結部分106に回動可能に取り付けられたアクチュエータ122を有している。アクチュエータ122は、取っ手組立体100を背骨20から解除したり管状ワンド104をロック解除したりするようユーザによって握り締められるよう構成されている。アクチュエータ122は、取っ手組立体100を真空掃除機10に連結したときにユーザから遠ざかって前方に向く連結部分106の一部に設けられている。それにより、アクチュエータ122は、ユーザによって掴みやすくなっている。アクチュエータ122の上端部は、ユーザにより操作可能なボタンを構成する複数の互いに平行なリブ124を備えている。
【0031】
ロック機構体120は、図6〜図8に詳細に示されている。図6は、ロック機構体120を第1の形態で示している。第1の形態では、取っ手組立体100は、真空掃除機10の背骨20に取り付けられ、管状ワンド104は、伸長位置にロックされる。ロック機構体120は、アクチュエータ122、ワンドキャッチ126及び本体キャッチ128を有する。
【0032】
アクチュエータ122は、連結部分106に設けられていて、ピボット箇所129回りに回動可能に連結部分106に取り付けられている。アクチュエータ122は、ワンドキャッチ126及び本体キャッチ128に係合するために、ユーザにより握り締められるとピボット箇所129回りに回動することができる。
【0033】
ワンドキャッチ126は、ピボット箇所130回りに回動可能に連結部分106に連結されている。図6では、ワンドキャッチ126は、ワンドキャッチ126が管状ワンド104に設けられた協働関係にある出張り132に係合する第1の位置で示されている。ワンドキャッチ126は、ワンドキャッチ126を第1の位置に付勢するばね(図示せず)を有している。アクチュエータ122は、握り締められると、ワンドキャッチ126によって支持されたレバー134に係合する。この係合により、ワンドキャッチ126が回動して第1の位置から外れてワンドキャッチ126が出張り132とのその係合状態から解除される。
【0034】
管状ワンド104は又、連結部分106の上端部寄りに設けられた肩127によって上方に動くのが阻止される。ワンドキャッチ126が第1の位置にあるとき、管状ワンド104は、出張り132とワンドキャッチ126と肩127との間の相互作用により連結部分106に対して摺動するのが阻止される。これら部品相互間の係合により、管状ワンド104は、図5に示すように伸長位置にロックされる。
【0035】
本体キャッチ128は、真空掃除機10の背骨20の上端部のところに設けられた凹部136と協働する。本体キャッチ128は、ピボット箇所138回りに回動され、アクチュエータ122とは独立して動くことができる。本体キャッチ128の一部分は、アクチュエータ122に形成された孔を貫通している。本体キャッチ128のこの部分は、凹部136内に受け入れられている。図6では、本体キャッチ128は、これが凹部136と係合する第1の位置で示されている。第1の位置では、本体キャッチ128は、取っ手組立体100を真空掃除機10の背骨20に固定している。ばね140が、図6に示すように本体キャッチ128を凹部136内に付勢している。これにより、背骨20からの取っ手組立体100の取り外しが阻止される。
【0036】
本体キャッチ128は、アクチュエータ122に設けられた孔よりも大きなフランジ142を有している。フランジ142は、本体キャッチ128の全体がばね140の付勢力を受けて孔を通って動くのを阻止する。したがって、ばね140は、本体キャッチ128をアクチュエータ122に押し付けている。その結果、アクチュエータ122を内方に押すと、本体キャッチ128は、アクチュエータ122と一緒に内方に動く。
【0037】
図7は、ロック機構体120を第2の形態で示している。第2の形態では、アクチュエータ122は、ピボット箇所144回りに回動して内方位置に至っている。図6に示す位置からこの位置への移動の際、アクチュエータ122は、ワンドキャッチ126のレバー134に係合する。これにより、ワンドキャッチ126は、ピボット箇所130回りに動いて第2の位置に至り、この第2の位置では、ワンドキャッチ126は、図7に示すように協働する出張り132から間隔を置いて位置している。
【0038】
フランジ142とアクチュエータ122の係合により、本体キャッチ128も又、アクチュエータ122と一緒に内方に動いて第2の位置に至り、この第2の位置では、本体キャッチ128は、凹部136から間隔を置いて位置する。したがって、ロック機構体120の第2の形態では、ワンドキャッチ126と本体キャッチ126は、両方共、第2の又はロック解除位置にある。その結果、所望ならば床上方掃除のために取っ手組立体100を真空掃除機10から取り外すことができる。さらに、管状ワンド104は、伸長位置からロック解除され、連結部分106内で自由に動くことができる。
【0039】
図8は、ロック機構体120を第3の形態で示している。第3の形態は、ユーザが真空掃除機10の作動モードを床上方掃除モードから床掃除モードに変更する際に生じる。この形態では、アクチュエータ122は、外方位置(第1の形態の場合と同様)にあり、ワンドキャッチ126は、第1の位置にある。というのは、ワンドキャッチ126は、ばねによって第1の位置に付勢されるからである。したがって、管状ワンド104は、伸長位置ではロック状態のままであろう。
【0040】
しかしながら、取っ手組立体100を真空掃除機の本体12に再び取り付けると、本体キャッチ128は、凹部136の上方に位置する真空掃除機10の背骨20の上端部のところに設けられた突出部146に係合する。本体キャッチ128は、アクチュエータ122とは独立して動くことができるので、本体キャッチ128は、アクチュエータ122を変位させないで、ばね142の付勢力に抗して内方に動くことができる。これは、図8に示されている。本体キャッチ128が凹部136と整列した状態になると、本体キャッチ128は、ばね142の付勢力を受けて第1の位置に戻ることができる。したがって、ワンドキャッチ126をロック解除することなく、かくして、管状ワンド104を伸長位置からロック解除することなく、取っ手組立体100を真空掃除機10の本体12に解除可能に固定することができる。
【0041】
上述の構成は、利用可能なスペースが限られている小型真空掃除機に特に適している。上述の構成の利点としては、かかる構成により、ワンドキャッチと本体キャッチの両方を互いに近づけて配置できるということにある。これにより、ロック機構体は、よりコンパクトになることができる。
【0042】
上述の構成は、スティックバキューム(stick-vacuum)と通称されている小型の直立形真空掃除機に特に適している。スティックバキュームは、一般に、従来型直立形真空掃除機よりもサイズが非常に小さい。したがって、かかるスティックバキュームは、力強さが小さく且つ特徴が少ない傾向がある。しかしながら、上述の構成により、ワンドキャッチ及び本体キャッチは、小さいが、優れた機能性を備えることができる。アクチュエータに対して別個に動くことができる本体キャッチを提供することにより、2つのアクチュエータを設けることは必要ではなく、或いは、単一のアクチュエータが2つの別々の移動段階を備えることは必要ではない。したがって、上述の構成により、アクチュエータ及びロック機構体のサイズが減少し、それにより、真空掃除機のサイズを減少させることができる。
【0043】
使用にあたり、ユーザは、真空掃除機10が図1に示す形態にある状態で始める。この形態では、取っ手組立体100は、収納形態にあり、即ち、取っ手組立体100は、真空掃除機10の本体12に固定され、管状ワンド104は、引っ込み位置にある。床面の掃除が可能であるように真空掃除機10を構成するため、ユーザは、取っ手102を上方に引っ張ることにより管状ワンド104を伸長させ、ついには、管状ワンド104が図4に示す伸長位置にロックされるようにする。ロック機構体120は、今や、図6に示すような第1の形態にある。
【0044】
ユーザは、次に、真空掃除機10をオンに切り換えてモータ・ファンユニットが汚れた空気を汚れ空気入口18経由で真空掃除機10内に引き込むようにする。ユーザは、掃除作業を実施するために、取っ手102を巧みに操って床面を横切って真空掃除機10を操る。床面から汚れ及びほこりを運ぶ汚れた空気は、背骨20のダクト22を介して分離装置24内に引き込まれる。汚れ及びほこりは、分離装置24により空気流から分離されてこの分離装置内に保持される。次に、きれいになった空気は、分離装置24からモータ前置フィルタ(図示せず)を通り、冷却のためにモータを横切り、そしてモータ後置フィルタ(図示せず)を通って流れ、その後、出口ポート26を介して真空掃除機10から放出される。
【0045】
ユーザは又、床の上方に位置する表面を掃除したいと思う場合がある。これを行うため、ユーザは、アクチュエータ122を押す。これにより、ロック機構体120は、図7に示すような第2の位置に動く。すると、取っ手組立体100を真空掃除機10の本体12から取り外すことができる。というのは、本体キャッチ128は、凹部136から離脱するからである。ユーザが取っ手組立体100を本体12から取り外しているとき、固定管108は、ホース50から滑り出ることになる。固定管108が図2及び図3に示す収納位置から取り出されると、切り換え弁は、空気流路を切り換えて空気を汚れ空気入口18ではなく、ホース50中に引き込むようにする。
【0046】
取っ手組立体100を真空掃除機10の本体12及びホース50からいったん解除すると、ユーザは、取っ手組立体100の向きをくるりと変えてホース50の第2のコネクタ54を取っ手102に隣接して位置するコネクタ116に取り付ける。第2のコネクタ54は、キャッチ(図示せず)によりコネクタ116に取り付けられるが、変形例として、他の構成、例えば摩擦嵌め又はスナップ嵌めを用いても良い。真空掃除機10は、今や、床上方掃除が可能な形態になっている。この形態は、図9に示されている。ユーザは、次に、取っ手102の掴み部分114を掴み、そして取っ手組立体100を操って例えば壁、ドア又は天井を掃除する。オプションとして、付属ツール、例えば階段用ツール又は隙間用ツールを固定パイプ108の遠位端部に取り付けることができる。
【0047】
ユーザは、床上方掃除作業を終えると、真空掃除機10を床掃除モードに戻したいと思う場合がある。これを行うため、ユーザは、第2のコネクタ54をコネクタ116から切り離し、取っ手組立体100の向きをくるりと変えて固定管108をホース50の端部内に再び挿入して戻す。ユーザは又、アクチュエータ122を押すことなく、取っ手組立体100を真空掃除機10の本体12に再び取り付けるために連結部分106を真空掃除機10の背骨20と整列させる。
【0048】
連結部分106を背骨20に再び連結すると、本体キャッチ128は、凹部136の上方の突出部146に当接する。したがって、本体キャッチ128は、ばね142の付勢力に抗して内方に動いて第2の位置に至る。しかしながら、アクチュエータ122は、突出部146によっては変位せず、したがって、ワンドキャッチ126は、第1の位置にある状態のままである。ロック機構体120は、今や、図8に示すような第3の形態にある。
【0049】
本体キャッチ128が凹部136に入ると、本体キャッチ128は、ばね142の付勢力を受けて第1の位置に戻る。取っ手組立体100は、今や、管状ワンド104が伸長位置にロックされたままの状態で、真空掃除機10の本体12に解除可能に固定される。取っ手組立体100を真空掃除機10に取り付けて戻すことにより、切り換え弁が作動し、それにより、空気流路が逆に切り換えられて空気が汚れ空気入口18中に引き込まれる。真空掃除機10は、今や、床掃除が可能であるように再構成され、この場合、ユーザは、管状ワンド104を伸長位置に戻すかどうかについて気にする必要はない。また、管状ワンド104は、怪我を生じさせる場合があり又はいらいらさせる場合のある思いがけない畳み込みが生じるのが阻止される。
【0050】
ユーザが掃除作業を終えると、真空掃除機10をオフに切り換える。真空掃除機10を図1に示すような保管形態に戻すため、ユーザは、アクチュエータ122を押す。この行為により、管状ワンド104がロック解除され、管状ワンド104を伸長位置から収納のための引っ込み位置に畳み込むことができる。また、この行為により、本体キャッチ128は、凹部136から離脱するが、連結部分106の幾何学的形状により、取っ手組立体100は、ユーザが取っ手組立体100を取り外すことを望まない場合、真空掃除機10から外れて落ちることはない。真空掃除機10は、今や、図1に示す形態に戻っている。
【0051】
本発明は、上述の詳細な説明には限定されない。変形例が当業者には明らかであろう。例えば、ワンドキャッチ及び本体キャッチの他の形態及び構成、例えば、電子式又は磁気式キャッチを用いることができる。機械式キャッチを用いる場合、回動可能なキャッチ以外の構成、例えば、摺動キャッチ又は変形可能なキャッチを用いることができる。
【0052】
別の形態のアクチュエータを用いても良い。アクチュエータは、回動可能である必要はなく、これがユーザにより操作可能なボタンを備える必要もない。アクチュエータは、電子式であっても良く、或いは、滑り又は変形可能なコンポーネントを有しても良い。重要なことは、アクチュエータがワンドキャッチと本体キャッチの両方を作動させることができるが、本体キャッチがアクチュエータとは独立して作動可能であるということである。換言すると、本体キャッチは、アクチュエータとは別個に動くことができる。
【0053】
取っ手は、管状ワンドの一端部に取り付けられる必要はない。このことが好ましいが、取っ手を取っ手構造体の連結部分に取り付けて管状ワンドと一緒には動くことができないようにしても良い。また、固定管を設ける必要はない。これに代えて、管状ワンドが、連結部分に設けられた取っ手部分に対し伸長位置と引っ込み位置との間で動くことができるようにしても良い。
【0054】
加うるに、管状ワンドは、単に引っ込み位置及び伸長位置よりも多くの位置を有しても良い。ワンドを多くの互いに異なる伸長位置にロックすることができるようにするために長手方向溝に切欠きを設けても良い。重要なことは、管状ワンドが、摺動可能に伸長でき、収納位置及び管状ワンドをロックすることができる少なくとも1つの伸長位置を備えているということである。
【0055】
掃除機は、直立形真空掃除機である必要はない。本発明は、他形式の真空掃除機、例えばスティックバキュームに利用できる。さらに、本発明は、他形式の掃除機、例えば乾湿式機械又はカーペット洗浄機に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の取っ手組立体を備えた直立形真空掃除機を示す図であり、取っ手組立体を収納形態で示す図である。
【図2】本発明の取っ手組立体の等角図であり、取っ手組立体を収納形態で且つ図1の直立形真空掃除機の一部に取り付けられた状態で示す図である。
【図3】取っ手組立体を収納形態で示す図2の取っ手組立体の側面断面図である。
【図4】取っ手組立体を伸長形態で示す図2の取っ手組立体の等角図である。
【図5】取っ手組立体を伸長形態で示す図2の取っ手組立体の側面断面図である。
【図6】ロック機構体を第1の形態で示す図2の取っ手組立体の一部の拡大側面断面図である。
【図7】ロック機構体を第2の形態で示す図6に類似した図である。
【図8】ロック機構体を第3の形態で示す図6に類似した図である。
【図9】取っ手組立体を真空掃除機から解除した状態で且つ床上方掃除向きに構成された状態で示す図1の真空掃除機の側面図である。
【符号の説明】
【0057】
10 掃除機(真空掃除機)
12 本体
14 車輪
16 ヘッド
18 汚れ空気入口
20 背骨
22 ダクト
24 分離装置
26 出口ポート
50 フレキシブルホース
52,54 コネクタ
100 取っ手組立体
104 伸長可能なワンド
106 連結部分
108 固定管
120 ロック機構体
122 アクチュエータ
126,128 キャッチ
142 フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機の取っ手組立体であって、摺動可能に伸長可能なワンドと、連結部分とを有し、前記連結部分は、前記取っ手組立体を前記掃除機の本体に解除可能に固定する第1のロック構造体と、前記ワンドを前記連結部分に対して所定の位置に解除可能にロックする第2のロック構造体と、アクチュエータとを有し、前記アクチュエータは、前記第1のロック構造体及び前記第2のロック構造体をロック位置とロック解除位置との間で動かすよう構成されていると共に配置されており、また、前記第1のロック構造体は、前記アクチュエータとは独立して動くことができる、取っ手組立体。
【請求項2】
前記第1のロック構造体は、前記掃除機の前記本体との係合により前記アクチュエータとは独立して動くことができる、請求項1記載の取っ手組立体。
【請求項3】
前記ワンドは、前記連結部分に対して引っ込み位置と伸長位置との間で摺動可能である、請求項1又は2記載の取っ手組立体。
【請求項4】
前記所定の位置は、前記伸長位置である、請求項3記載の取っ手組立体。
【請求項5】
取っ手が、前記ワンドの一端に取り付けられていて、前記連結部分に対して動くことができる、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の取っ手組立体。
【請求項6】
前記第1のロック構造体は、前記掃除機の前記本体に形成された凹部に係合するよう構成された回動可能なキャッチを有する、請求項1〜5のうちいずれか一に記載の取っ手組立体。
【請求項7】
前記回動可能なキャッチは、前記アクチュエータと一緒に動くことができるよう前記アクチュエータと係合するよう構成されると共に配置されたフランジを有する、請求項6記載の取っ手組立体。
【請求項8】
前記回動可能なキャッチは、前記アクチュエータに形成された孔を貫通している、請求項6又は7記載の取っ手組立体。
【請求項9】
前記第2のロック構造体は、前記ワンドに形成された出張りに係合するよう構成された回動可能なキャッチを有する、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の取っ手組立体。
【請求項10】
前記回動可能なキャッチは、前記アクチュエータに係合するレバーを備えている、請求項9記載の取っ手組立体。
【請求項11】
前記アクチュエータは、回動可能である、請求項1〜10のうちいずれか一に記載の取っ手組立体。
【請求項12】
前記アクチュエータは、ユーザにより作動可能なボタンを含む、請求項1〜11のうちいずれか一に記載の取っ手組立体。
【請求項13】
前記連結部分は、固定管を支持し、前記ワンドは、前記固定管に対して摺動するよう構成されると共に配置されている、請求項1〜12のうちいずれか一に記載の取っ手組立体。
【請求項14】
前記ワンドは、前記固定チューブ内で摺動する、請求項13記載の取っ手組立体。
【請求項15】
前記取っ手組立体は、前記取っ手に隣接して配置されたコネクタを更に有し、前記コネクタは、フレキシブルホースの一端に連結されるよう構成されると共に配置されており、前記フレキシブルホールの他端は、前記掃除機に連結されるよう構成されている、請求項1〜14のうちいずれか一に記載の取っ手組立体。
【請求項16】
前記ワンドの少なくとも一部は、前記取っ手組立体が前記掃除機の前記本体に解除可能に固定されると、前記フレキシブルホース内に収納されるよう構成されている、請求項15記載の取っ手組立体。
【請求項17】
前記掃除機は、真空掃除機である、請求項1〜16のうちいずれか一に記載の掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−39542(P2009−39542A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206704(P2008−206704)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(508032310)ダイソン テクノロジー リミテッド (286)
【Fターム(参考)】