説明

掃除機用床ノズルの回転ロータ

【課題】ロータ回転時の振動および騒音が小さく、フローリングなどの平滑な床面に使用したときに、拭き効果や磨き効果のある回転ロータを提供する。
【解決手段】この回転ロータは、駆動装置によって回転する軸12と、可撓性を有する材料からなり円柱部19の外方にブレード部20を複数有するブレード部材11と、これに付設された起毛布ブレード部27と、ブレード部材11の両端に係止され軸12へ固着するブラケット13,14を備えている。起毛布ブレード部27は、基部25と毛部26とからなる起毛布ブレード部材24を長方形に2枚裁断して基部25同士を重ね合わせるとともに幅方向の中央部に軸12を挟みこめるように縫い合わせたものである。起毛布ブレード部27は軸12を挟み込み、円柱部19の中央にインサート成形し、ブレード部材11を軸12の周りに所定の角度ひねり、ブレード部20および起毛布ブレード部27を螺旋状としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除機のアタッチメントとして使用される床ノズルの回転ロータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の掃除機用床ノズルの回転ロータは、例えば、特願平7−348495に記載されているように、筒状部の外方にブレードを有するブレード部材を、可撓性を有するゴムやプラスチック等の材料で押出し成形し、筒状部の中央穴に軸を貫通させて、ブレード部材を軸の周りにひねってブレード部を螺旋状とし、ブレード部材の両端にブラケットを係止して、これを軸に固着している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来の回転ロータは、可撓性を有するゴムやプラスチック等の材料で押出し成形されたブレード部材の筒状部の中空穴に、直線状の軸を挿入しているため、組立性等を考慮して、軸の外径と筒状部の中空穴の内径にはクリアランスを必ず設けなくてはならない。このため、軸とブレード部材の間にガタが生じて、精度が悪く、アンバランス量の大きな回転ロータとなり、ロータ回転時の振動も大きいという欠点を有していた。また、フローリングなどの平滑な床面に使用したとき、拭き効果や磨き効果といったものは期待できるものではなかった。
【0004】
本発明は、ロータ回転時の振動および騒音が小さく、フローリングなどの平滑な床面に使用したときに、拭き効果や磨き効果のある回転ロータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明の回転ロータは、次の手段を採った。すなわち、請求項1の発明は、内蔵した駆動装置によって回転する軸と、可撓性を有するゴムやプラスチック等の材料からなり円柱部の外方にブレード部を複数有するブレード部材と、基部と毛部とからなる起毛布ブレード部材を長方形に2枚裁断して基部同士を重ね合わせるとともに幅方向の中央部に該軸を挟みこめるように縫い合わせた起毛布ブレード部と、該ブレード部材の両端に係止され該軸へ固着するブラケットとを備え、該ブレード部材の円柱部の中央に該起毛布ブレード部を有する該軸をインサート成形し、該ブレード部を該軸の周りに所定の角度ひねりを加えて、ブレード部および起毛布ブレード部を螺旋状としたことを特徴としている。
【0006】
また、請求項2の発明は、内蔵した駆動装置によって回転する軸と、可撓性を有するゴムやプラスチック等の材料からなり円柱部の外方にブレード部を複数有するブレード部材と、基部と毛部とからなる起毛布ブレード部材を長方形に裁断し、該毛部が外側になるように折り返し、端部同士を縫い合わせて縫い目が該軸と重なるようにするか、または、端部それぞれを縫い目が該軸の外周付近になるように起毛布ブレード部材へ縫い合わせた起毛布ブレード部と、該ブレード部材の両端に係止され該軸へ固着するブラケットとを備え、該ブレード部材の円柱部の中央に、該起毛布ブレード部を有する該軸をインサート成形し、該ブレード部を該軸の周りに所定の角度ひねりを加えて、ブレード部および起毛布ブレード部を螺旋状としたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の回転ロータは、可撓性を有するブレード部材の円柱部に、起毛布ブレード部を有する軸がインサート成形されているため、後から軸を挿入するものに比べて、軸とブレード部材の間にガタのないものとなり、回転ムラによる振動や騒音が軽減され、さらに、フローリングなどの平滑な床面に使用したときには、拭き効果や磨き効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1および図2は掃除機用床ノズルを示し、1は底面に細長い横長の開口2を有する床ノズルの下ケース、3は上ケース、4は開口2の中央で下ケース1と上ケース3によって囲まれた吸気口、5は掃除機の延長管(図示せず)に接続される吸気パイプである。また、6はモータ7の回転を回転ロータ8に伝えるベルトで、モータ7の駆動プーリ9と、回転ロータ8の従動プーリ10に掛けられている。
【0009】
回転ロータ8は、ブレード部材11、直線状の軸12、従動プーリ10を有する従動側ブラケット13(以後ブラケット13という)、遊び側ブラケット14(以後ブラケット14という)より構成され、その両端に軸受15、16がはめられ、下ケース1に設けられた軸受取付用凹部17、18に取付けられて、回転自在に保持されている。
【0010】
軸12は、直線状の丸鋼であり、表面が非常に滑らかに作られている(図5参照)。また、ブレード部材11は、円柱部19の外方に突出するブレード部20を有し、可撓性を有するゴムやプラスチック等の材料で作られている。
【0011】
そして、軸12は、この円柱部19の中央にインサート成形され(図6参照)、軸12を固定した状態で、ブレード部材11のみを軸12の外周に所定の角度にひねりを加えて螺旋状としている。軸12は、表面が非常に滑らかであるので、ブレード部材11は、円柱部19も含めてひねられる。
【0012】
図7に示すように、ブラケット13、14の中央部には、軸12の外径寸法に合った穴21と、ブレード部材11側には、ブレード部20の先端22を入れて位置決めをするための凹部23が設けられている。そして、ブラケット13、14の凹部23を、ブレード部20の先端22に合わせて、ブラケット13、14を軸12に固着する。これにより、図3および図4に示すように、ブレード部20は螺旋状に保たれる。
【0013】
本発明の回転ロータ8は、上記の可撓性を有するブレード部材11に、起毛布ブレード部27を備えている。起毛布ブレード部27は、図10に示す起毛布ブレード部材24を用いて作られ、起毛布ブレード部材24は、基布に単繊維を密植したもので、基部25と毛部26とで構成されている。
【0014】
請求項1の実施の形態は、図10に示す、長方形のシート状に裁断した起毛布ブレード部材24を2枚用いて、図11および図12に示すように、起毛布ブレード部材24の基部25同士を重ね合わせて毛部26が外側になるようにして、軸12を起毛布ブレード部材24の幅方向の中央部に挟みこんで、基部25同士をミシン等で縫い合わせている。これにより、軸12から外方に起毛布ブレード部27が構成される。そして、この起毛布ブレード部27を有する軸12を、可撓性を有する材料で作られたブレード部20を有するブレード部材11の円柱部19の中央にインサート成形する。
【0015】
そして、軸12を固定した状態で、外方にブレード部20と起毛布ブレード部27とを有するブレード部材の円柱部19を、軸12の外周に所定の角度にひねりを加え、ブラケット13、14の凹部23を、ブレード部20の先端22に合わせて、固着する(図15参照)。これにより、図8および図9に示すように、ブレード部20および起毛布ブレード部27が螺旋状に保たれた回転ロータ8が完成する。
【0016】
次に、請求項2の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、起毛布ブレード部以外の構成は上記と同じであるので説明は省略する。
長方形のシート状に裁断した1枚の起毛布ブレード部材24を、図16に示すように、毛部26が外側になるように端面で袋縫いして、袋の内側で、軸12と縫い目28とが重なるように位置決めしたものを、ブレード部20を有する円柱部19に一体成形して、ブレード部20と起毛布ブレード部27を形成する。
【0017】
または、図17に示すように、長方形のシート状に裁断した1枚の起毛布ブレード部材24を、毛部26が外側になるように折り返して端部を起毛布ブレード部材24へそれぞれ縫い合わせる。このとき、2ケ所の縫い目28が、軸12の外周付近に位置するように構成する。そして、これをブレード部20を有する円柱部19に一体成形して、ブレード部20と起毛布ブレード部27を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態の回転ロータを収納している床ノズルの、上ケースを除いた斜視図。
【図2】床ノズルの横断面図。
【図3】回転ロータの一部を断面にした正面図。
【図4】同、回転ロータの斜視図。
【図5】同、軸の斜視図。
【図6】同、ブレード部材に軸をインサート成形した状態を示す斜視図。
【図7】同、ブレード部材と軸を一体成形後、ブラケットを挿入する前の状態を示す斜視図。
【図8】請求項1の実施例を示す、一部を断面にした回転ロータの正面図。
【図9】同、回転ロータの斜視図。
【図10】同、起毛布ブレード部材の斜視図。
【図11】同、起毛布ブレード部材で軸を挟みこんだ状態を示す斜視図。
【図12】同、図11のA−A断面図。
【図13】同、ブレード部材の円柱部に、起毛布ブレード部材で挟みこんだ軸をインサート成形した状態の斜視図。
【図14】同、図13のB−B断面図。
【図15】同、ブレード部材と、起毛布ブレード部および軸をインサート成形後、ブラケットを挿入する前の状態を示す斜視図。
【図16】請求項2の実施例を示す、回転ロータの横断面図。
【図17】同、別の実施例を示す、回転ロータの横断面図。
【符号の説明】
【0019】
1 床ノズルの下ケース
2 開口
3 上ケース
4 吸気口
5 吸気パイプ
6 ベルト
7 モータ
8 回転ロータ
9 駆動プーリ
10 従動プーリ
11 ブレード部材
12 軸
13 ブラケット
14 ブラケット
15 軸受
16 軸受
17 軸受取付用凹部
18 軸受取付用凹部
19 円柱部
20 ブレード部
21 穴
22 先端
23 凹部
24 起毛布ブレード部材
25 基部
26 毛部
27 起毛布ブレード部
28 縫い目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内蔵した駆動装置によって回転する軸と、可撓性を有するゴムやプラスチック等の材料からなり円柱部の外方にブレード部を複数有するブレード部材と、基部と毛部とからなる起毛布ブレード部材を長方形に2枚裁断して基部同士を重ね合わせるとともに幅方向の中央部に該軸を挟みこめるように縫い合わせた起毛布ブレード部と、該ブレード部材の両端に係止され該軸へ固着するブラケットとを備え、該ブレード部材の円柱部の中央に該起毛布ブレード部を有する該軸をインサート成形し、該ブレード部を該軸の周りに所定の角度ひねりを加えて、ブレード部および起毛布ブレード部を螺旋状としたことを特徴とする掃除機用床ノズルの回転ロータ。
【請求項2】
内蔵した駆動装置によって回転する軸と、可撓性を有するゴムやプラスチック等の材料からなり円柱部の外方にブレード部を複数有するブレード部材と、基部と毛部とからなる起毛布ブレード部材を長方形に裁断し、該毛部が外側になるように折り返し、端部同士を縫い合わせて縫い目が該軸と重なるようにするか、または、端部それぞれを縫い目が該軸の外周付近になるように起毛布ブレード部材へ縫い合わせた起毛布ブレード部と、該ブレード部材の両端に係止され該軸へ固着するブラケットとを備え、該ブレード部材の円柱部の中央に該起毛布ブレード部を有する該軸をインサート成形し、該ブレード部を該軸の周りに所定の角度ひねりを加えて、ブレード部および起毛布ブレード部を螺旋状としたことを特徴とする掃除機用床ノズルの回転ロータ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−34996(P2006−34996A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299808(P2005−299808)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【分割の表示】特願平8−175406の分割
【原出願日】平成8年5月31日(1996.5.31)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】