説明

排水トラップ

【課題】トラップ本体の流入出部の流入室に通じる導入部の形状を工夫することで、排水の流れを円滑して排出効率の良い排水トラップを提供する。
【解決手段】トラップ本体3が排水管A1の管端部に固定配置され、トラップ本体3は、流入出部34が流入室34bと流出室34cとに二分され、流入出部34の上端には接続管4を通じて導入される排水を流入室34bに導く導入部33が設けられ、接続管4に導入された排水が導入部33を通じて流入室34bに流入し、この流入室34bの下端から流出室34cに導かれて上方にUターンする形で流出室34cの上端に形成された排出口34dから排水管A1に排出されるように構成された排水トラップ1において、流出室34cの上方となる導入部33の部位33bが半円錐状に形成され、この半円錐状の部位33bの下端が仕切り壁34aに繋がっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば洗濯機の水を排水ホースを通じて排水する際に、床下に設けられた排水管と洗濯機の排水ホースとの接続部に配設される排水トラップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば洗濯機に設けられた排水ホースは、この洗濯機が配置される床面あるいは排水パンの下方に設けられた排水管に、その排水管に取り付けられた排水トラップを介して接続されており、洗濯機内の水が排水ホースから排水トラップを通じて排水管に排出されるようになっている。
【0003】
上記排水トラップは、一端が上記排水ホースに接続された接続管の他端にトラップ本体が連結されるとともに、これら接続管及びトラップ本体が上記排水管の管端部に当該トラップ本体を内部に挿入配置した状態で固定配置され、トラップ本体は、流入出部が仕切り壁によって流入室と流出室とに左右に二分されるとともに、流入出部の上端には接続管を通じて導入される排水を流入室に導く導入部が設けられてなり、接続管に導入された排水を導入部を通じて流入室に流入させ、この流入室の下端から流出室に導いて上方にUターンする形で流出室の上端に形成された排出口から排水管に排出すように構成している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−269959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の排水トラップのトラップ本体では、上記導入部の流出室側上方の部位は略水平な状態から湾曲されて仕切り壁に繋がっている。このため接続管を通じて導入部に流入する排水がこの略水平な部位に衝突して拡散される現象が生じ、これによって排水の円滑な流入が阻害されて排水効率を低下させるとともに、このような排水の流れの悪さがごみ詰まりの原因になるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、トラップ本体の流入出部の流入室に通じる導入部の形状を工夫することで、排水の流れを円滑して排出効率の良い排水トラップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明の排水トラップは、トラップ本体が床面に臨んで配設された排水管の管端部に当該トラップ本体を内部に挿入配置した状態で固定配置され、トラップ本体は、流入出部が仕切り壁によって流入室と流出室とに左右に二分されるとともに、流入出部の上端には接続管を通じて導入される排水を流入室に導く導入部が設けられてなり、接続管に導入された排水が導入部を通じて流入室に流入し、この流入室の下端から流出室に導かれて上方にUターンする形で流出室の上端に形成された排出口から排水管に排出されるように構成された排水トラップにおいて、前記流出室の上方となる前記導入部の部位が半円錐状に形成され、この半円錐状の部位の下端が前記仕切り壁に繋がっていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明の排水トラップは、前記流入出部は、前記流出室の排出口側が排水管の内壁との間隔が大きくなるように当該排水管に対して偏心した状態で配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、接続管に導入された排水は、導入部の半円錐状の部位を伝って滑らかに流入室に導かれて流出室に流入されるため、排水トラップ内における排水の流れが円滑になり、排水効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の排水トラップの全体構成を示している。
【0011】
この排水トラップ1は、上端が床面Aに臨んで配設された排水管A1の上端部に取付ける固定用筒体2と、この固定用筒体2内を挿通して排水管A1内に配置されたトラップ本体3と、トラップ本体3と排水ホース(図示せず)とを連結するように略L状に湾曲されたエルボ4とを備えてなり、例えば洗濯機の排水ホースを排水管A1に接続する際に使用される。
【0012】
上記固定用筒体2は、排水管A1の上端部(管端部)内に嵌合される円筒状の筒本体部21と、筒本体部21の上端全周に亘って外方に突設されたフランジ部22と、筒本体部21よりもやや径大でフランジ部22から上方に突出された上環状部23とで構成されている。
【0013】
フランジ部22は、その下面が排水管A1の周囲の床面21に突き合わされており、排水管A1の上端周囲を覆っている。フランジ部22には、周方向に等しい間隔を隔てて例えば3つの貫通孔が上下方向に貫通するように設けられており、各貫通孔にネジ24を挿入して床面Aにネジ込むことによってフランジ部22を床面Aに固設するようにしている。
【0014】
また、上環状部23の外周とフランジ部22の上面とは、図1及び図2に示すようにこれらに上方から嵌め込まれた環状の化粧カバー25によって被覆されている。
【0015】
前記トラップ本体3は、図3乃至図5に示すように、トラップ部31と、このトラップ部31の下端に当該下端開口を覆うように取付けられたキャップ部35とを備えている。
【0016】
トラップ部31は、上部が取付部32に、途中部が導入部33に、下部が流入出部34になされている。
【0017】
取付部32は、導入部33上端よりも外方に膨出した所定厚みを有する環状に形成されており、図1に示すように、この外周下端段部32aが前記筒本体部21の内周面下端全周に亘って形成された環状係止片26に上方から当接することによって筒本体部21から下方に垂下した状態で当該筒本体部21に保持されるように構成されている。
【0018】
流入出部34は、上記取付部32よりもやや小径に形成された筒状体であって、上記取付部32の軸芯に対して偏心させた状態で当該取付部32に導入部33を介して連結されている。従って、排水トラップ1を排水管A1に取付けた際には、流入出部34は当該排水管A1に対しても偏心状態になっている。
【0019】
この流入出部34の内部は、仕切り壁34aによって流入室34bと流出室34cとに左右に二分されており、これら流入室34bと流出室34cの下端開口が前記キャップ部35で覆われ、当該キャップ部35を通じて連通されている。
【0020】
そして、排水トラップ1を排水管A1に取付けた際に、流入出部34は、流入室34bを形成する周面が排水管A1の内周面に近接し、流出室34cを形成する周面が排水管A1の内周面から所定間隔(流入室34bを形成する周面と排水管A1の内周面との間の距離よりも大きい間隔)を隔てて配置されるように排水管A1内に偏心状態で配置されるようになっている。
【0021】
前記導入部33は、エルボ4を通じて流入する排水を上記流入室34bに導く部位であり、流入室34b側上方の部位33aが取付部32と当該流入室34bを形成する周面とに繋がる湾曲面に形成されるとともに、流出室34c側上方の部位33bが半円錐状(すり鉢状)に形成されて下端が仕切り壁34aに繋がっている。そして、上記部位33bと仕切り壁34aとの連通部分33c(図4参照)は滑らかな曲面を描いて連通されている。
【0022】
このように上記部位33bを半円錐状に形成して流入室34bに連通することで、この下方の流出室34cの上端は開口となり、この開口が排出口34dになっている。
【0023】
前記エルボ4は、垂直部41と水平部45とで前述したようにL字状に形成されている。垂直部41は、その途中部42が前記筒本体部21内に嵌入するように形成され、途中部42よりも薄肉に形成された下端部43がトラップ部31の取付部32内に嵌入するように形成されている。
【0024】
また、垂直部41の上部にはロックナット44が遊嵌されており、当該ロックナット44が前記筒本体部21の上環状部23内周に形成された雌ねじ部23aに螺入可能に構成されている。
【0025】
上記水平部45は、その開口端部46に前記排水ホースの先端が差込まれ、この状態で外周をクリップ47で締めつけることによって両者を連結状態で保持するようにしている。
【0026】
このように構成されたエルボ4はその材質がゴム製であって、後述する突起も含めて一体成型されている。そして、上記途中部42の外周面には、図示しないひだ状の突起が上下に所定間隔隔てて適数本が環状に突設されており、この突起が材質の持つ弾性作用によって途中部42と筒本体部22との間でシール機能を発揮している。
【0027】
このように構成された排水トラップ1は、次のように組み立てられる。
【0028】
まず、床面Aに設けられた排水管A1内に、固定用筒体2の筒本体部21を挿入し、この筒本体部21の外周面と排水管A1とを接着剤で固着するとともに、フランジ部22を排水管A1の周囲の床面A上面にネジ24によってネジ締め固定する。これによりフランジ部22が排水管A1の上端外周縁部を全周にわたって覆った状態で固定用筒体2が排水管A1に取付けられる。。
【0029】
次に、トラップ部31の取付部32内にエルボ4の下端部43を嵌入してエルボ4とトラップ本体3とを連結した状態で、これを筒本体部21内に上方から挿入してエルボ4の途中部42を筒本体部21内に嵌入する。これによりエルボ4の途中部42は、その周面に形成されたひだ状の突起によって筒本体部21との間を水密シールした状態で配置される。また、トラップ本体3は、トラップ部31の取付部32下端が環状係止片26に当接して係止されることで下方への抜け落ちを阻止された状態で筒本体部21から排出管A1内に垂下される。
【0030】
この後、ロックナット44を上環状部23の雌ねじ部23aに螺入してネジ止めすることで、トラップ本体3及びエルボ4を固定用筒体2に一体的に組み付けることができる。この場合、固定用筒体2のフランジ部22の上面は化粧カバー25によって被覆されている。
【0031】
そして、このようにして組み付けた排水トラップ1では、エルボ4の開口端部46に例えば洗濯機の排水ホース先端を差し込んで連通状態で保持することで、洗濯機からの排水が排水ホースを通じて排水トラップ1に流入してこの排水トラップ1から排水管A1内に排出される
具体的には、洗濯機からの排水は、排水ホースを通じてエルボ4に導入され、このエルボ4からトラップ本体3の導入部33を通じて流入室34b内に流入した後、この流入室34bの下端から流出室34c内に流入してUターンする形で上方の排出口34dを越流して排水管A1内に排出される。
【0032】
このような経路で排水が排出されることから、トラップ部31の流入出部34には排水が常に溜まった状態になってトラップ機能を発揮しており、これにより排水管A1側の臭気がエルボ4側へ逆流するのを防止している。
【0033】
しかも、エルボ4に導入された排水は、導入部33の半円錐状の部位33bを伝って滑らかに流入室34bに導かれて流出室34cに流入されるため、排水トラップ1内における排水の流れが円滑になり、排水効率を高めることができる。
【0034】
さらに、トラップ部31の流入出部34を、その排出口34d側が排水管A1との間隔が大きくなるように排水管A1に対して偏心した状態で配置しているため、排水を排出口34dから排水管A1内へ円滑に排出することができ、これにより上述した半円錐状の部位33bによる作用と相まってさらに排水効率を高めることができるとともに、排水の流れが円滑であるためごみ詰まりの発生も極力防ぐことができる。
【0035】
また、ロックナット44を緩めてエルボ4を上方に引き抜くことで、固定用筒体2だけを残してエルボ4とともにトラップ本体3も容易に取り外すことができるため、もしもトラップ本体3がごみで詰まった場合でもごみを簡単に除去できるとともに、トラップ本体3や排水管A1内の清掃等のメンテナンスも容易に行うことができる。
【0036】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれに限定されることなく、その範囲内において種々設計変更可能である。
【0037】
例えば、本実施の形態では、排水トラップ1として排水ホースを通じてエルボ4を介してトラップ本体2に導入するものについて述べたが、排水ホースによらず排水管A1を配置した床面から排水をトラップ本体2に導入するいわゆる目皿タイプの排水トラップにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の排水トラップの全体構成を示す一部断面の側面図である。
【図2】同じく排水トラップの全体構成を示す正面図である。
【図3】排水トラップのトラップ本体を示す斜視図である。
【図4】同じくトラップ本体を示す側面から見た断面図である。
【図5】同じくトラップ本体を示す正面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 排水トラップ
3 トラップ本体
31 トラップ部
33 導入部
33b 部位
34 流入出部
34a 仕切り壁
34b 流入室
34c 流出室
34d 排出口
4 エルボ(接続管)
A1 排水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラップ本体が床面に臨んで配設された排水管の管端部に当該トラップ本体を内部に挿入配置した状態で固定配置され、トラップ本体は、流入出部が仕切り壁によって流入室と流出室とに左右に二分されるとともに、流入出部の上端には接続管を通じて導入される排水を流入室に導く導入部が設けられてなり、接続管に導入された排水が導入部を通じて流入室に流入し、この流入室の下端から流出室に導かれて上方にUターンする形で流出室の上端に形成された排出口から排水管に排出されるように構成された排水トラップにおいて、
前記流出室の上方となる前記導入部の部位が半円錐状に形成され、この半円錐状の部位の下端が前記仕切り壁に繋がっていることを特徴とする排水トラップ。
【請求項2】
前記流入出部は、前記流出室の排出口側が排水管の内壁との間隔が大きくなるように当該排水管に対して偏心した状態で配置されていることを特徴とする請求項1記載の排水トラップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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