説明

排水処理脱窒装置における予熱器の逆洗系統及びその洗浄方法

【課題】酸性の原水を用いて予熱器内に発生したスケーリングを溶解除去することで、排水処理脱窒装置における予熱器の清掃回数を低減し、この清掃回数減による労務費・パッキン購入費等の清掃費用を低減する。
【解決手段】排水された原水中に含まれる窒素成分を除去する排水処理脱窒装置において、予熱器4からアンモニアストリッパ3へ原水を送液する排水供給系統12の逆洗排水遮断弁19を閉じ、原水を逆洗用原水供給系統5から、アンモニアストリッパ3と予熱器4の間の排水供給系統12に送液し、予熱器4内に通水することにより、予熱器4に付着したスケールを逆洗する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火力発電所等の発電プラントにおける排水処理脱窒装置の洗浄技術に係り、特に予熱器を洗浄する排水処理脱窒装置における予熱器の逆洗系統及びその洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
排水処理脱窒装置は、発電所から排水される原水中に含まれる窒素成分を除去するために運転している。この脱窒を行う過程で装置内に、主成分がCa又はMg等のスケールが発生し、スケーリングと称される機器内部に付着する現象があらわれる。特に予熱器においては、単位面積あたりの処理水流量が多いため、スケーリングしやすい環境にある。そこで、排水処理脱窒装置を定期的に洗浄する必要がある。
【0003】
排水処理脱窒装置は、図6の系統図に示すように、主に排水(原水)を脱窒するpH調整槽(脱窒反応槽)1、沈殿槽(脱窒沈殿槽)2、アンモニアストリッパ3及び予熱器4とから構成される。更に、脱窒処理した排水(原水)を予熱器4で加熱した後、アンモニアストリッパ3へ供給する排水供給系統12と、アンモニアストリッパ3で処理された処理水を予熱器4で熱交換して貯水槽11に戻す処理水回収系統14が備えられている。
【0004】
なお、アンモニアストリッパ3で処理されたアンモニアガスは、詳細に図示していないが、その後の処理工程で、酸化分解塔、脱硝塔で酸化分解して、窒素ガスと処理水に分離処理し、大気に開放又は公共水域に放流する。
【0005】
次に、排水処理脱窒装置による通常運転状態を図7の系統図に示す。図示例で「太い実線」が送液されている状態を示す。例えば発電プラントにおける排水(原水)は、一旦E−貯水槽6に貯留される。このE−貯水槽6の排水は、原水ポンプ7によりpH調整槽(脱窒反応槽)1、沈殿槽(脱窒沈殿槽)2に送られて脱窒処理される。
【0006】
次に、送液ポンプ13で脱窒処理された排水は、予熱器4に送液され、この予熱器4で加熱され、排水供給系統12を経てアンモニアストリッパ3に供給される。このアンモニアストリッパ3には蒸気を吹き込み、排水中に含まれる高濃度のアンモニアを気相に放散することにより、アンモニアガスと処理水に分離する。この処理水は、処理水ポンプ10により処理水回収系統14に送液され、予熱器4で熱交換して冷却され、A/B貯水槽11に貯留される。
【0007】
このような排水処理脱窒装置、特に予熱器を洗浄する技術について、例えば特許文献1の特開2008−36497号公報「排水処理方法」に、石炭火力発電所の復水脱塩装置排水と脱硫排水にはアンモニアが比較的多く含まれており、排水を発電所外に放流するためにはこのアンモニアを分解する排水処理方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−36497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、アンモニアストリッパ3内は、多孔板が数段に配置された構造になる。また、予熱器4は熱交換効率を高めるために、処理水が流れる系統が細く、少量のスケーリングで閉塞に至りやすい。そのために、処理量が低下するため、装置を停止し、清掃工事を必要とした。このようなスケーリングが発生すると、予熱器4の分解清掃を必要とし、脱窒装置を2日間停止する必要がある。例えば、設置面積の都合でプレート式予熱器を使用しており、清掃の都度パッキンを全数取替える必要がある。パッキンは高価であり納期に時間を要するという問題を有していた。
【0010】
また、図8の従来の工業用水(工水)による予熱器4を洗浄する状態を示す概略系統図に示すように、予熱器4を閉塞して工水により逆洗して、スケーリングを除去する方法がある。この予熱器4を逆洗するときは、図8の系統図に示すように、先ず逆洗排水遮断弁19を閉じ、次に逆洗水遮断弁15、工水用弁16を開放して、逆洗水即ち工水を予熱器4に送液して、予熱器4内に発生したスケーリングを除去する。
【0011】
図9は従来の工業用水による予熱器を洗浄する運転時間と通水流量の関係を示すグラフである。この逆洗するときの運転時間と通水流量との関係は、図9のグラフに示すように1日に1回の逆洗が必要であった。原水由来のマグネシウムスケールによる予熱器4の閉塞で、処理水量が定格水量の半分になった。予熱器4のスケールを分析した結果、約90%が水酸化マグネシウム(Mg(OH))であった。このように予熱器4の清掃回数が多いと、清掃費用が高騰し、多くの工水を消費するという問題を有していた。また、そのための労務費も高騰するという問題を有していた。
【0012】
図10のスケール成分のpHによる溶解性特性を示すグラフに示すように、マグネシウム,カルシウムのスケール成分について低pH値は溶解領域で,高pH値は析出領域である。そこで、本発明の発明者は、マグネシウム、カルシウムのスケール成分については、酸性の原水を用いて溶解除去が可能であることに着目した。
【0013】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、酸性の原水を用いて予熱器内に発生したスケーリングを溶解除去することで、排水処理脱窒装置における予熱器の清掃回数を低減し、この清掃回数減による労務費・パッキン購入費等の清掃費用を低減することができ、更に脱窒装置を安定運転できる排水処理脱窒装置の予熱器逆洗系統及びその洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の排水処理脱窒装置は、排水された原水中に含まれる窒素成分を除去する排水処理脱窒装置であって、原水中に含まれる高濃度の窒素化合物をpH調整することにより脱窒するpH調整槽(1)と、脱窒処理した処理物を沈殿させ、処理水と分離する沈殿槽(2)と、原水中に含まれる高濃度のアンモニアを気相に放散することにより、アンモニアガスと処理水に分離するアンモニアストリッパ(3)と、前記アンモニアストリッパ(3)で処理された処理水で、原水を加熱する予熱器(4)と、前記予熱器(4)に原水を送液し、該予熱器(4)から前記アンモニアストリッパ(3)に送液する排水供給系統(12)と、前記アンモニアストリッパ(3)で処理された処理水を前記予熱器(4)に送液し、該予熱器(4)から処理水を回収する処理水回収系統(14)と、前記アンモニアストリッパ(3)と前記予熱器(4)の間の排水供給系統(12)に接続され、該予熱器(4)に付着したスケールを逆洗するために、該予熱器(4)内に原水を供給する逆洗用原水供給系統(5)と、を備えた、ことを特徴とする。
【0015】
更に、前記アンモニアストリッパ(3)と前記予熱器(4)の間の排水供給系統(12)の途中に、前記逆洗用原水供給系統(5)から逆洗する原水が前記アンモニアストリッパ(3)への戻りを阻止する逆洗排水遮断弁(19)を、更に備えた。
前記逆洗用原水供給系統(5)は、前記アンモニアストリッパ(3)と前記予熱器(4)の間の排水供給系統(12)と、原水を貯留するE−貯水槽(6)との間に接続され、その途中に原水ポンプ(7)を備えた。
【0016】
本発明の洗浄方法は、排水された原水中に含まれる窒素成分を除去する、pH調整槽(1)と、沈殿槽(2)と、アンモニアストリッパ(3)と予熱器(4)とから構成された排水処理脱窒装置における予熱器の逆洗方法であって、前記予熱器(4)からアンモニアストリッパ(3)へ原水を送液する排水供給系統(12)の逆洗排水遮断弁(19)を閉じ、原水を前記逆洗用原水供給系統(5)から、前記アンモニアストリッパ(3)と前記予熱器(4)の間の排水供給系統(12)に送液し、該予熱器(4)内に通水することにより、該予熱器(4)に付着したスケールを逆洗する、ことを特徴とする。
【0017】
前記予熱器(4)内に通水する原水は、pH値2〜4の酸性の原水を利用することが好ましい。
前記予熱器(4)内に原水を通水する前に、先ず、工水を該予熱器(4)内に通水し、次に、原水を該予熱器(4)内に通水し、最後に、再度工水を該予熱器(4)内に通水することが好ましい。
例えば、前記予熱器(4)を逆洗する際に、前記工水の通水時間を5分程度とし、次の原水の通水時間を40分程度とし、最後の工水の通水時間を5分程度とする。
【発明の効果】
【0018】
上記構成の発明では、排水処理脱窒装置に予熱器(4)内に原水を供給する逆洗用原水供給系統(5)を備えたことにより、原水でスケールを酸溶解することができ、予熱器(4)内に付着したスケールを容易に逆洗することができる。大掛かりな装置を必要としないで、逆洗による効果を高めることができる。
【0019】
上記方法の発明では、酸性の原水を用いることにより、スケールを溶解除去することができるので、予熱器(4)の清掃回数を低減することができる。通水流量の低減を回避できるため排水処理脱窒装置の安定運転が可能になる。
また、この原水による逆洗は、工水のみの逆洗に比べて原水のスケール溶解作用により効率良く逆洗でき、予熱器(4)の著しい流量低下を抑えることができる。
更に、予熱器(4)の清掃回数を減らすことよる清掃費用を低減することができる。即ち、労務費・パッキン購入費を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の予熱器の逆洗系統を備えた排水処理脱窒装置を示す概略系統図である。
【図2】本発明の排水処理脱窒装置による脱窒処理する状態を示す概略系統図である。
【図3】予熱器を洗浄する状態を示す概略系統図である。
【図4】本発明の予熱器逆洗系統を用いて原水によるスケールの溶解試験結果を示すグラフである。
【図5】本発明の予熱器逆洗系統を用いた原水によるスケールの溶解と従来の工業用水による逆洗の効果の比較を示すグラフである。
【図6】従来の排水処理脱窒装置を示す概略系統図である。
【図7】従来の排水処理脱窒装置による脱窒処理する状態を示す概略系統図である。
【図8】従来の工業用水による予熱器を洗浄する状態を示す概略系統図である。
【図9】従来の工業用水による予熱器を洗浄する運転時間と通水流量の関係を示すグラフである。
【図10】スケール成分のpHによる溶解性特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の排水処理脱窒装置は、排水された原水中に含まれる窒素成分を除去する排水処理脱窒装置において、予熱器内を原水を用いて逆洗する逆洗用原水供給系統を備えた装置である。
本発明の洗浄方法は、排水された原水を排水供給系統から予熱器内に通水することにより、予熱器に付着したスケールを逆洗する洗浄方法である。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の予熱器の逆洗系統を備えた排水処理脱窒装置を示す概略系統図である。図2は本発明の排水処理脱窒装置による脱窒処理する状態を示す概略系統図である。図示例で「太い実線」が送液されている状態を示す。
本発明の排水処理脱窒装置は、排水された原水中に含まれる窒素成分を除去(脱窒)するpH調整槽(脱窒反応槽)1、沈殿槽(脱窒沈殿槽)2と、マンモニアを酸化分解するアンモニアストリッパ3と予熱器4とから構成された装置であり、これに予熱器4を逆洗する逆洗用原水供給系統5を備えたものである。
【0023】
E−貯水槽6に貯留された排水(原水)は、原水ポンプ7によりpH調整槽(脱窒反応槽)1で中和又は所定のpH値に調整し、脱窒反応させて窒素化合物として析出させる。次に、この窒素化合物は汚濁物質として沈殿槽(脱窒沈殿槽)2で沈殿させ水と分離する。
【0024】
アンモニアストリッパ3には、蒸気8を吹き込み、原水中に含まれる高濃度のアンモニアを気相に放散することにより、アンモニアガスと処理水に分離する。この処理水は、処理ポンプ入口ストレーナA−B9を経由して、処理水ポンプ10により処理水回収系統14に送液して、予熱器4で原水と熱交換して冷却され、A/B貯水槽11に回収させ、貯留される。
【0025】
排水処理中における排水供給系統12は、原水を脱窒処理するために、pH調整槽(脱窒反応槽)1、沈殿槽(脱窒沈殿槽)2に送液する系統である。次にこの処理された原水を予熱器4に送液し、予熱器4からアンモニアストリッパ3に送液する系統である。これらの脱窒処理を施した原水は、送液ポンプ13により予熱器4に送液される。
【0026】
予熱器4は、このアンモニアストリッパ3で処理された処理水で、原水を加熱する装置である。この処理水は蒸気処理されたもので高温なっている。一方、原水は常温であるため、この予熱器4の熱交換により加熱することで、アンモニアストリッパ3での処理を円滑に行うことができる。上述したように、予熱器4は、単位面積あたりの処理水流量が多いため、スケーリングしやすい環境にある。
【0027】
処理水回収系統14は、上述したように、アンモニアストリッパ3で処理された処理水を、処理水ポンプ10により予熱器4に送液し、予熱器4で熱交換に利用した後、その処理水をA/B貯水槽11に回収する系統である。
【0028】
この排水処理脱窒装置に、逆洗用原水供給系統5を更に設けた。この逆洗用原水供給系統5は、図1に示すように、アンモニアストリッパ3と予熱器4の間の排水供給系統12と、原水を供給し、又は貯留するE−貯水槽6と予熱器4の間の排水供給系統12とに接続した系統である。
【0029】
逆洗用原水供給系統5の下流は、アンモニアストリッパ3と予熱器4の間の排水供給系統12の途中に逆洗水遮断弁15を設けて接続する。逆洗水遮断弁15の上流には工水を供給するために逆洗用原水供給系統5を分岐して逆洗水としての工水用弁16を設けている。
【0030】
逆洗用原水供給系統5の上流は、原水ポンプ7とpH調整槽(脱窒反応槽)1の間に接続した。これは、本発明は原水が酸性にあるときに、予熱器4内に析出したスケールを溶解することが目的だからである。そこで、pH調整槽(脱窒反応槽)1に送液する前の原水を使用する。
【0031】
予熱器4の逆洗に使用された原水は、排水供給系統12に逆方向に送液し、送液ポンプ13の直前で分岐された、逆洗排水系統17、逆洗排水口弁18を経由して、A/B貯水槽11に回収され、貯留される。
【0032】
図3は予熱器を逆洗する状態を示す概略系統図であり、(a)は工水を通水する状態、(b)は原水で逆洗する状態、(c)は工水を通水する状態である。
上記のように構成された排水処理脱窒装置では、先ず、図3(a)に示すように、予熱器4からアンモニアストリッパ3へ原水を送液する排水供給系統12の逆洗排水遮断弁19を閉じる。この状態で、逆洗水として工水を供給する。この工水は、排水供給系統12から予熱器4内に通水され、この予熱器4を逆洗する。その後工水は、排水供給系統12を逆方向に送液され、逆洗排水系統17、逆洗排水口弁18を経由して、A/B貯水槽11に回収され、貯留される。
【0033】
次に、図3(b)に示すように、排水供給系統12の逆洗排水遮断弁19を閉じたまま、E−貯水槽6から原水ポンプ7を用いて、原水を逆洗用原水供給系統5から逆洗水遮断弁15を開け、原水を排水供給系統12から予熱器4内に通水し、この予熱器4を逆洗する。予熱器4内に発生したスケーリングをこの酸性の原水を用いて溶解除去する。その後原水は、排水供給系統12を逆方向に送液され、逆洗排水系統17、逆洗排水口弁18を経由して、A/B貯水槽11に回収され、貯留される。
【0034】
また、図3(c)に示すように、排水供給系統12の逆洗排水遮断弁19を閉じた状態で、逆洗水として同じく工水を供給する。この工水は、排水供給系統12から予熱器4内に通水され、この予熱器4を逆洗する。その後工水は、排水供給系統12を逆方向に送液され、逆洗排水系統17、逆洗排水口弁18を経由して、A/B貯水槽11に回収され、貯留される。
【0035】
本発明で用いる原水は、例えばpH値2〜4が好ましい、これより中性に近いとスケールを溶解する時間が長くなり、一方これより酸性に近い強酸性になると予熱器4内に損傷を与えるおそれがあるからである。
【0036】
予熱器4を逆洗する際に、例えば、表1に示すように、工水の通水時間を5分程度とし、次の原水の通水時間を40分程度とし、最後の工水の通水時間を5分程度とする。これらの時間は、一例であって、予熱器4のスケールの付着率が高いときは、その通水時間を長くする。逆に予熱器4のスケールの付着率が低いときは、その通水時間を短くする。また、原水のpH値が低いときは、その通水時間を短くし、逆に原水のpH値が高いときは、その通水時間を長くする。
【0037】
【表1】

【0038】
図4は本発明の予熱器逆洗系統を用いて原水によるスケールの溶解試験結果を示すグラフである。
このスケールの溶解試験結果を示すグラフに示すように、原水はスケールを約40mg/L・min溶解でき、これを実機に当てはめると、約10分間の原水逆洗を行えば、予熱器内のスケールは除去できるという結果が得られた。
【0039】
図5は本発明の予熱器逆洗系統を用いた原水によるスケールの溶解と従来の工業用水による逆洗の効果の比較を示すグラフである。
この逆洗の効果の比較を示すグラフに示すように、従来の工水逆洗と比較して、本発明の原水による逆洗では原水のスケール溶解作用により効率良く逆洗できた。これまでの著しい流量低下は確認されなくなった。このように、予熱器4の原水による逆洗によって、流量が回復することが可能になった。
【0040】
なお、本発明は、酸性の原水を用いて予熱器内に発生したスケーリングを溶解除去することで、排水処理脱窒装置における予熱器4の清掃回数を低減し、この清掃回数減による労務費・パッキン購入費等の清掃費用を低減することができ、更に排水処理脱窒装置を安定運転できれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の排水処理脱窒装置における予熱器の逆洗系統及びその洗浄方法は、火力発電プラントや原子力発電プラントの排水処理脱窒装置などに利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 pH調整槽(脱窒反応槽)
2 沈殿槽(脱窒沈殿槽)
3 アンモニアストリッパ
4 予熱器
5 逆洗用原水供給系統
6 E−貯水槽
7 原水ポンプ
12 排水供給系統
14 処理水回収系統
19 逆洗排水遮断弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水された原水中に含まれる窒素成分を除去する排水処理脱窒装置であって、
原水中に含まれる高濃度の窒素化合物をpH調整することにより脱窒するpH調整槽(1)と、
脱窒処理した処理物を沈殿させ、処理水と分離する沈殿槽(2)と、
原水中に含まれる高濃度のアンモニアを気相に放散することにより、アンモニアガスと処理水に分離するアンモニアストリッパ(3)と、
前記アンモニアストリッパ(3)で処理された処理水で、原水を加熱する予熱器(4)と、
前記予熱器(4)に原水を送液し、該予熱器(4)から前記アンモニアストリッパ(3)に送液する排水供給系統(12)と、
前記アンモニアストリッパ(3)で処理された処理水を前記予熱器(4)に送液し、該予熱器(4)から処理水を回収する処理水回収系統(14)と、
前記アンモニアストリッパ(3)と前記予熱器(4)の間の排水供給系統(12)に接続され、該予熱器(4)に付着したスケールを逆洗するために、該予熱器(4)内に原水を供給する逆洗用原水供給系統(5)と、を備えた、ことを特徴とする予熱器逆洗系統を備えた排水処理脱窒装置。
【請求項2】
前記アンモニアストリッパ(3)と前記予熱器(4)の間の排水供給系統(12)の途中に、前記逆洗用原水供給系統(5)から逆洗する原水が前記アンモニアストリッパ(3)への戻りを阻止する逆洗排水遮断弁(19)を、更に備えた、ことを特徴とする請求項1の予熱器逆洗系統を備えた排水処理脱窒装置。
【請求項3】
前記逆洗用原水供給系統(5)は、
前記アンモニアストリッパ(3)と前記予熱器(4)の間の排水供給系統(12)と、原水を貯留するE−貯水槽(6)との間に接続され、その途中に原水ポンプ(7)を備えた、ことを特徴とする請求項1の予熱器逆洗系統を備えた排水処理脱窒装置。
【請求項4】
排水された原水中に含まれる窒素成分を除去する、pH調整槽(1)と、沈殿槽(2)と、アンモニアストリッパ(3)と予熱器(4)とから構成された排水処理脱窒装置における予熱器の逆洗方法であって、
前記予熱器(4)からアンモニアストリッパ(3)へ原水を送液する排水供給系統(12)の逆洗排水遮断弁(19)を閉じ、
原水を前記逆洗用原水供給系統(5)から、前記アンモニアストリッパ(3)と前記予熱器(4)の間の排水供給系統(12)に送液し、該予熱器(4)内に通水することにより、該予熱器(4)に付着したスケールを逆洗する、ことを特徴とする排水処理脱窒装置における予熱器の逆洗方法。
【請求項5】
前記予熱器(4)内に通水する原水は、pH値2〜4の酸性の原水を利用する、ことを特徴とする請求項4の排水処理脱窒装置における予熱器の逆洗方法。
【請求項6】
前記予熱器(4)内に原水を通水する前に、
先ず、工水を該予熱器(4)内に通水し、次に、原水を該予熱器(4)内に通水し、最後に、再度工水を該予熱器(4)内に通水する、ことを特徴とする請求項3の排水処理脱窒装置における予熱器の逆洗方法。
【請求項7】
前記予熱器(4)を逆洗する際に、
前記工水の通水時間を5分程度とし、次の原水の通水時間を40分程度とし、最後の工水の通水時間を5分程度とする、ことを特徴とする請求項6の排水処理脱窒装置における予熱器の逆洗方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−206056(P2012−206056A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75133(P2011−75133)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】