排水材
【課題】排水材が早期に目詰まりしにくいようにする。
【解決手段】周壁部が、重ね合わされる第1・第2基材1,2を有し、各基材1,2に多数の貫通孔6,7が形成されると共に、各基材1,2の貫通孔6,7の位置が、他の基材1,2の貫通孔6,7の位置からずらされている。各基材1,2の形成時に各基材1,2に不作為的に形成された凹凸により、両基材1,2間に隙間が形成され、この隙間を介して、両基材1,2の貫通孔6,7が連通している。
【解決手段】周壁部が、重ね合わされる第1・第2基材1,2を有し、各基材1,2に多数の貫通孔6,7が形成されると共に、各基材1,2の貫通孔6,7の位置が、他の基材1,2の貫通孔6,7の位置からずらされている。各基材1,2の形成時に各基材1,2に不作為的に形成された凹凸により、両基材1,2間に隙間が形成され、この隙間を介して、両基材1,2の貫通孔6,7が連通している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排水材に関する。
【背景技術】
【0002】
土中に埋設される排水材としては、例えば、周壁部が不織布から構成され、この不織布がフィルター層とされたものがある(特許文献1参照)。上記排水材では、不織布に形成された孔よりも大きな土砂の粒子が、不織布により分離され、上記孔よりも小さな土砂の粒子が、土中の水と共に、外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−71308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の排水材では、周壁部を構成する不織布が、土中に直接露出し、不織布の周囲にある土砂が、不織布に対して、垂直方向に押圧されていた。このため、不織布に形成された孔に、この孔よりも大きな土砂の粒子が食い込み易く、これにより、不織布、即ち、排水材が早期に目詰まりし易いとの問題があった。
本発明は、上記問題を解決できる排水材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の排水材の特徴とするところは、周壁部が多数の貫通孔を有する排水材であって、周壁部が、重ね合わされる複数の基材を有し、少なくとも周壁部の最外側に位置する基材に、多数の貫通孔が形成されると共に、貫通孔が、隣接する基材間の隙間を介して、周壁部内部と連通した点にある。
尚、排水材が合成樹脂製とされることもある。
又、各基材に多数の貫通孔が形成され、各基材の貫通孔の位置が、隣接する基材の貫通孔の位置からずらされることもある。
更に、基材の形成時に基材に不作為的に形成された凹凸により、隣接する基材間に隙間が形成されることもある。
又、基材に、隣接する基材と当接して、隣接する基材との間に隙間を形成する突起が形成されることもある。
更に、周壁部が角筒状とされ、周壁部内部に、周壁部が押し潰されることを防止する内部補強体が備えられることもある。
又、周壁部が角筒状とされ、周壁部における、内部空間を挟んで対向する部分に、それぞれ、貫通孔を有する基材が備えられ、周壁部の最内側に位置する基材が、周壁部が押し潰されることを防止する補強材兼用とされると共に、この最内側の基材に、周壁部の上記対向する部分に突出する凸部が形成され、この凸部が、上記最内側の基材と隣接する基材における、貫通孔の周辺部と当接して、貫通孔を閉鎖状とすることもある。
更に、基材が螺旋状に捲回され、隣接する捲回部において、幅方向の対応する端部が重ね合わされて、固着されることで、周壁部が円筒状とされることもある。
又、周壁部に、A.径方向外方に突設された螺旋状の凸設部と、B.径方向内方に凹設された螺旋状の凹設部が軸心方向に交互となるように連設され、周壁部の最外側に位置する基材の貫通孔が、凸設部の天壁に配設され、周壁部の最内側に位置する基材の貫通孔が、凹設部の底壁に配設されることもある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、排水材が早期に目詰まりしにくい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す一部断面とした斜視図である。
【図2】図1の一部の分解斜視図である。
【図3】図1の一部の拡大断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の第2例を示す一部分解斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態の第3例を示す断面図である。
【図6】図5の一部斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態の第4例を示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態の第5例を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態の第6例を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態の第7例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態の第1例を図1〜図3の図面に基づき説明する。図1は排水材を示している。尚、説明の便宜上、図1において、紙面の上下、左右を排水材の上下、左右として、説明するが、排水材は上下方向や水平方向等の種々の方向に配設されるので、上記「上下、左右」はあくまで説明の便宜のために決めているだけである。排水材は,断面が横長状の長方形の角筒状とされて、硬質(又は軟質)の合成樹脂製とされている。合成樹脂としては、EVA樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のオレフィン系合成樹脂、又は、塩化ビニール樹脂等が使用される。排水材は、上下にそれぞれ配設された第1・第2基材(基板)1,2と、左右一対の連結板3と、排水材の内部に配設される内部補強体4を有し、第1・第2基材1,2及び左右一対の連結板3が排水材の周壁部を構成している。尚、排水材やその構成部材は、屈曲可能とされたり、可撓性を有する場合があるが、そうされない場合もある。
【0009】
図2にも示すように、第1・第2基材1,2は、周壁部における、内部空間を介して対向する部分、即ち、周壁部の上下にそれぞれ配設されて、排水材の天壁及び底壁を構成するもので、軸心方向に細長い帯(又はシート)状とされている。各基材1,2には、上下(厚さ)方向に貫通する多数の貫通孔6,7が碁盤の目状に規則正しく配設されている。第1基材1の左右に隣接する貫通孔6間の中央部に、第2基材2の貫通孔7が配設されている。尚、第1基材1の軸心方向に隣接する貫通孔6間の中央部に、第2基材2の貫通孔7を配設したり、或いは、第1基材1における、左右方向と45度の角度をなす斜め方向で隣接する貫通孔6間の中央部に、第2基材2の貫通孔7を配設することもある。要するに、両基材1,2の貫通孔6,7の位置をずらせて、配設すればよい。
【0010】
両基材1,2は、第1基材1が周壁部の外側になるように、上下に重ね合わされ、マクロ的には、全面的に当接している。しかし、ミクロ的には、図3に示すように、両基材1,2の形成時にそれらに不作為的(無作為的、自然)に形成された微細な凹凸9,10により、両基材1,2間には微細な隙間11が形成されている。この隙間11はフィルター機能を有し、第1基材1の貫通孔6における、第2基材側の端部で開口11Aすると共に、第2基材2の貫通孔7における、第1基材側の端部で開口11Bしている。
【0011】
各連結板3は周壁部の各側壁を構成するもので、軸心方向に細長い帯(又はシート)状とされており、各連結板3の上下端部が、両基材1,2の各側端部に溶着(融着)されている。
【0012】
内部補強体4は周壁部の内部に軸心方向全長にわたって配設されて、周壁部の内部を区画乃至略区画している。内部補強体4は周壁部を補強して、周壁部の保形性を向上し、排水材が土中に埋設された際に、土中で受ける圧力により、周壁部が押し潰されないようにするもので、水平壁4Aと垂直壁4Bを一体成形して成る。水平壁4Aは水平に配設されて、その左右両端部が各連結板3と当接乃至は小隙を介して対向しており、当接させた場合には、各連結板3と溶着(融着)されることもある。垂直壁4Bは、水平壁4Aの上面及び下面に等間隔に垂直に配設されると共に、その先端部が第2基材2と当接乃至は小隙を介して対向しており、当接させた場合には、第2基材2と溶着(融着)されることもある。尚、水平壁4A及び垂直壁4Bを、連結板3や第2基材2と当接させた場合、これらの形成時にこれらに不作為的(無作為的、自然)に形成された微細な凹凸により、当接部分には、微細な隙間が形成されることもある。
【0013】
上記構成例によれば、排水材を土中に埋設した際には、土砂の粒子及び土中内の水が第1基材1の外面に当接したり、第1基材1の貫通孔6内に侵入する。この場合において、第1・第2基材1,2間に形成された隙間11が、第1基材1の貫通孔6における、第2基材側の端部で開口11Aしているので、この開口11Aが、第1基材1の貫通孔6内に侵入した土砂の粒子に対して、フィルター作用を行い、上記「開口11Aよりも大きな土砂の粒子」は隙間11内への侵入を阻止され、「開口11Aよりも小さな土砂の粒子」は、土中の水と共に、隙間11内に侵入する。この侵入した水及び土砂の粒子は、第2基材2の貫通孔7を介して、排水材内部に侵入し、外部に排出される。
【0014】
ところで、排水材の周囲にある土砂は、周壁部の外面に対して、垂直方向に押圧される。それ故、第1基材1の貫通孔6内に侵入した、上記「開口11Aよりも大きな土砂の粒子」も、第2基材2の外面における、第1基材1の貫通孔6と対応する部分に対して、垂直方向に押圧され、隙間11の開口11Aに対しては、殆ど押圧されない。従って、上記「開口11Aよりも大きな土砂の粒子」は、隙間11の開口11Aに食い込む惧れが少ない。これにより、隙間11、即ち、排水材が早期に目詰まりしにくい。
【0015】
図4は本発明の実施の形態の第2例を示し、第1基材1、第2基材2、第1基材1の3枚の基材を重ね合わせることで、周壁部の天壁及び底壁を構成している。
【0016】
図5及び図6は本発明の実施の形態の第3例を示し、第2基材2における、貫通孔7間に、湾曲状(半球状)に突出する突起13を作為的に形成し、これを第1基材1と当接させることで、第1・第2基材1,2間に、上記第1例よりも大きな隙間11を形成している。尚、突起13は、第2基材2における、左右、軸心方向、又は、左右方向と45度の角度をなす斜め方向で隣接する貫通孔7間の中央部に配設されている。第3例によれば、第1例よりも大きな土砂の粒子を、土中の水と共に、外部に排出できる。
【0017】
図7は本発明の実施の形態の第4例を示し、上下一対の第1基材1を、第2基材2を介して、重ね合わせることで、周壁部の天壁及び底壁を構成している。又、第1基材1における、貫通孔6間に、第1基材1の長手方向に間歇的又は連続状に形成された突条タイプ、角錐状、又は、円錐状の突起13を形成し、この突起13を第2基材2と当接させている。
【0018】
図8は本発明の実施の形態の第5例を示し、周壁部の天壁及び底壁が、上下一対の第1基材1と単一の第2基材2から構成されている。第2基材2は補強材(内部補強体)兼用とされて、周壁部を補強すると共に、周壁部内部を区画乃至略区画しており、第2基材2には貫通孔は形成されていない。尚、第2基材2に、上記各例のように、貫通孔を形成してもよい。第2基材2には、上方に台形状に突設された凸部2Aと下方に台形状に突設された凸部2Bが交互に左右方向(水平方向)に連設されると共に、第2基材2の左右両端部が、下側の凸部2Bの頂壁と上下方向に関して同一位置となる水平壁2Cとされている。第2基材2の上側の凸部2Aの頂壁が、上側の第1基材1における、貫通孔6の周辺部と当接して、貫通孔6の下端を閉鎖(閉塞)状としている。又、第2基材2の下側の凸部2Aの頂壁及び水平壁2Cが、下側の第1基材1における、貫通孔6の周辺部と当接して、貫通孔6の上端を閉鎖状としている。尚、第1例と同様に、両基材1,2の形成時にこれらに不作為的(無作為的、自然)に形成された微細な凹凸により、両基材1,2の当接部間には、微細な隙間が形成され、第1基材1の貫通孔6は、上記隙間を介して、周壁部内部と連通している。尚、両基材1,2の一方に、突起を作為的に形成することもある。
【0019】
図9は本発明の実施の形態の第6例を示すもので、重ね合わせた第1・第2基材1,2が下記のように円筒状の周壁部とされている。即ち、上記各例の第1基材1を帯状として、成形用回転軸上に螺旋状に捲回し、隣接する捲回部において、幅方向の対応する端部を重ね合わせて、一体に溶着(融着)又は接着し、円筒状としている。又、上記各例の第2基材2も帯状として、円筒状の第1基材1上に螺旋状に捲回し、隣接する捲回部において、幅方向の対応する端部を重ね合わせて、一体に溶着(融着)又は接着することで、円筒状とし、これにより、周壁部を円筒状としている。周壁部の内外面は滑らかな湾曲面とされて、その内径及び外径は、軸心方向全長にわたって、(略)一定とされている。
【0020】
図10は本発明の実施の形態の第7例を示すもので、第6例の変形例とされている。第7例では、重ね合わせた第1・第2基材1,2により、円筒状の周壁部が構成されると共に、周壁部に、径方向外方に突設され且つ横断面が長方形状とされた螺旋状の凸設部15と、径方向内方に凹設され且つ横断面が凸設部と同一とされた螺旋状の凹設部16が軸心方向に交互となるように連設されることで、周壁部が蛇腹状とされている。周壁部の最外側に位置する第1基材1の貫通孔6は、凸設部15の天壁に配設され、排水材の最内側に位置する第2基材2の貫通孔7は、凹設部16の底壁に配設されている。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、土中に埋設される排水材に適用できる。
【符号の説明】
【0022】
1,2 第1・第2基材
2A,2B 凸部
4 内部補強体
6,7 貫通孔
9,10 凹凸
11 隙間
11A,11B 開口
13 突起
15 凸設部
16 凹設部
【技術分野】
【0001】
本発明は排水材に関する。
【背景技術】
【0002】
土中に埋設される排水材としては、例えば、周壁部が不織布から構成され、この不織布がフィルター層とされたものがある(特許文献1参照)。上記排水材では、不織布に形成された孔よりも大きな土砂の粒子が、不織布により分離され、上記孔よりも小さな土砂の粒子が、土中の水と共に、外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−71308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の排水材では、周壁部を構成する不織布が、土中に直接露出し、不織布の周囲にある土砂が、不織布に対して、垂直方向に押圧されていた。このため、不織布に形成された孔に、この孔よりも大きな土砂の粒子が食い込み易く、これにより、不織布、即ち、排水材が早期に目詰まりし易いとの問題があった。
本発明は、上記問題を解決できる排水材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の排水材の特徴とするところは、周壁部が多数の貫通孔を有する排水材であって、周壁部が、重ね合わされる複数の基材を有し、少なくとも周壁部の最外側に位置する基材に、多数の貫通孔が形成されると共に、貫通孔が、隣接する基材間の隙間を介して、周壁部内部と連通した点にある。
尚、排水材が合成樹脂製とされることもある。
又、各基材に多数の貫通孔が形成され、各基材の貫通孔の位置が、隣接する基材の貫通孔の位置からずらされることもある。
更に、基材の形成時に基材に不作為的に形成された凹凸により、隣接する基材間に隙間が形成されることもある。
又、基材に、隣接する基材と当接して、隣接する基材との間に隙間を形成する突起が形成されることもある。
更に、周壁部が角筒状とされ、周壁部内部に、周壁部が押し潰されることを防止する内部補強体が備えられることもある。
又、周壁部が角筒状とされ、周壁部における、内部空間を挟んで対向する部分に、それぞれ、貫通孔を有する基材が備えられ、周壁部の最内側に位置する基材が、周壁部が押し潰されることを防止する補強材兼用とされると共に、この最内側の基材に、周壁部の上記対向する部分に突出する凸部が形成され、この凸部が、上記最内側の基材と隣接する基材における、貫通孔の周辺部と当接して、貫通孔を閉鎖状とすることもある。
更に、基材が螺旋状に捲回され、隣接する捲回部において、幅方向の対応する端部が重ね合わされて、固着されることで、周壁部が円筒状とされることもある。
又、周壁部に、A.径方向外方に突設された螺旋状の凸設部と、B.径方向内方に凹設された螺旋状の凹設部が軸心方向に交互となるように連設され、周壁部の最外側に位置する基材の貫通孔が、凸設部の天壁に配設され、周壁部の最内側に位置する基材の貫通孔が、凹設部の底壁に配設されることもある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、排水材が早期に目詰まりしにくい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す一部断面とした斜視図である。
【図2】図1の一部の分解斜視図である。
【図3】図1の一部の拡大断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の第2例を示す一部分解斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態の第3例を示す断面図である。
【図6】図5の一部斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態の第4例を示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態の第5例を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態の第6例を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態の第7例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態の第1例を図1〜図3の図面に基づき説明する。図1は排水材を示している。尚、説明の便宜上、図1において、紙面の上下、左右を排水材の上下、左右として、説明するが、排水材は上下方向や水平方向等の種々の方向に配設されるので、上記「上下、左右」はあくまで説明の便宜のために決めているだけである。排水材は,断面が横長状の長方形の角筒状とされて、硬質(又は軟質)の合成樹脂製とされている。合成樹脂としては、EVA樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のオレフィン系合成樹脂、又は、塩化ビニール樹脂等が使用される。排水材は、上下にそれぞれ配設された第1・第2基材(基板)1,2と、左右一対の連結板3と、排水材の内部に配設される内部補強体4を有し、第1・第2基材1,2及び左右一対の連結板3が排水材の周壁部を構成している。尚、排水材やその構成部材は、屈曲可能とされたり、可撓性を有する場合があるが、そうされない場合もある。
【0009】
図2にも示すように、第1・第2基材1,2は、周壁部における、内部空間を介して対向する部分、即ち、周壁部の上下にそれぞれ配設されて、排水材の天壁及び底壁を構成するもので、軸心方向に細長い帯(又はシート)状とされている。各基材1,2には、上下(厚さ)方向に貫通する多数の貫通孔6,7が碁盤の目状に規則正しく配設されている。第1基材1の左右に隣接する貫通孔6間の中央部に、第2基材2の貫通孔7が配設されている。尚、第1基材1の軸心方向に隣接する貫通孔6間の中央部に、第2基材2の貫通孔7を配設したり、或いは、第1基材1における、左右方向と45度の角度をなす斜め方向で隣接する貫通孔6間の中央部に、第2基材2の貫通孔7を配設することもある。要するに、両基材1,2の貫通孔6,7の位置をずらせて、配設すればよい。
【0010】
両基材1,2は、第1基材1が周壁部の外側になるように、上下に重ね合わされ、マクロ的には、全面的に当接している。しかし、ミクロ的には、図3に示すように、両基材1,2の形成時にそれらに不作為的(無作為的、自然)に形成された微細な凹凸9,10により、両基材1,2間には微細な隙間11が形成されている。この隙間11はフィルター機能を有し、第1基材1の貫通孔6における、第2基材側の端部で開口11Aすると共に、第2基材2の貫通孔7における、第1基材側の端部で開口11Bしている。
【0011】
各連結板3は周壁部の各側壁を構成するもので、軸心方向に細長い帯(又はシート)状とされており、各連結板3の上下端部が、両基材1,2の各側端部に溶着(融着)されている。
【0012】
内部補強体4は周壁部の内部に軸心方向全長にわたって配設されて、周壁部の内部を区画乃至略区画している。内部補強体4は周壁部を補強して、周壁部の保形性を向上し、排水材が土中に埋設された際に、土中で受ける圧力により、周壁部が押し潰されないようにするもので、水平壁4Aと垂直壁4Bを一体成形して成る。水平壁4Aは水平に配設されて、その左右両端部が各連結板3と当接乃至は小隙を介して対向しており、当接させた場合には、各連結板3と溶着(融着)されることもある。垂直壁4Bは、水平壁4Aの上面及び下面に等間隔に垂直に配設されると共に、その先端部が第2基材2と当接乃至は小隙を介して対向しており、当接させた場合には、第2基材2と溶着(融着)されることもある。尚、水平壁4A及び垂直壁4Bを、連結板3や第2基材2と当接させた場合、これらの形成時にこれらに不作為的(無作為的、自然)に形成された微細な凹凸により、当接部分には、微細な隙間が形成されることもある。
【0013】
上記構成例によれば、排水材を土中に埋設した際には、土砂の粒子及び土中内の水が第1基材1の外面に当接したり、第1基材1の貫通孔6内に侵入する。この場合において、第1・第2基材1,2間に形成された隙間11が、第1基材1の貫通孔6における、第2基材側の端部で開口11Aしているので、この開口11Aが、第1基材1の貫通孔6内に侵入した土砂の粒子に対して、フィルター作用を行い、上記「開口11Aよりも大きな土砂の粒子」は隙間11内への侵入を阻止され、「開口11Aよりも小さな土砂の粒子」は、土中の水と共に、隙間11内に侵入する。この侵入した水及び土砂の粒子は、第2基材2の貫通孔7を介して、排水材内部に侵入し、外部に排出される。
【0014】
ところで、排水材の周囲にある土砂は、周壁部の外面に対して、垂直方向に押圧される。それ故、第1基材1の貫通孔6内に侵入した、上記「開口11Aよりも大きな土砂の粒子」も、第2基材2の外面における、第1基材1の貫通孔6と対応する部分に対して、垂直方向に押圧され、隙間11の開口11Aに対しては、殆ど押圧されない。従って、上記「開口11Aよりも大きな土砂の粒子」は、隙間11の開口11Aに食い込む惧れが少ない。これにより、隙間11、即ち、排水材が早期に目詰まりしにくい。
【0015】
図4は本発明の実施の形態の第2例を示し、第1基材1、第2基材2、第1基材1の3枚の基材を重ね合わせることで、周壁部の天壁及び底壁を構成している。
【0016】
図5及び図6は本発明の実施の形態の第3例を示し、第2基材2における、貫通孔7間に、湾曲状(半球状)に突出する突起13を作為的に形成し、これを第1基材1と当接させることで、第1・第2基材1,2間に、上記第1例よりも大きな隙間11を形成している。尚、突起13は、第2基材2における、左右、軸心方向、又は、左右方向と45度の角度をなす斜め方向で隣接する貫通孔7間の中央部に配設されている。第3例によれば、第1例よりも大きな土砂の粒子を、土中の水と共に、外部に排出できる。
【0017】
図7は本発明の実施の形態の第4例を示し、上下一対の第1基材1を、第2基材2を介して、重ね合わせることで、周壁部の天壁及び底壁を構成している。又、第1基材1における、貫通孔6間に、第1基材1の長手方向に間歇的又は連続状に形成された突条タイプ、角錐状、又は、円錐状の突起13を形成し、この突起13を第2基材2と当接させている。
【0018】
図8は本発明の実施の形態の第5例を示し、周壁部の天壁及び底壁が、上下一対の第1基材1と単一の第2基材2から構成されている。第2基材2は補強材(内部補強体)兼用とされて、周壁部を補強すると共に、周壁部内部を区画乃至略区画しており、第2基材2には貫通孔は形成されていない。尚、第2基材2に、上記各例のように、貫通孔を形成してもよい。第2基材2には、上方に台形状に突設された凸部2Aと下方に台形状に突設された凸部2Bが交互に左右方向(水平方向)に連設されると共に、第2基材2の左右両端部が、下側の凸部2Bの頂壁と上下方向に関して同一位置となる水平壁2Cとされている。第2基材2の上側の凸部2Aの頂壁が、上側の第1基材1における、貫通孔6の周辺部と当接して、貫通孔6の下端を閉鎖(閉塞)状としている。又、第2基材2の下側の凸部2Aの頂壁及び水平壁2Cが、下側の第1基材1における、貫通孔6の周辺部と当接して、貫通孔6の上端を閉鎖状としている。尚、第1例と同様に、両基材1,2の形成時にこれらに不作為的(無作為的、自然)に形成された微細な凹凸により、両基材1,2の当接部間には、微細な隙間が形成され、第1基材1の貫通孔6は、上記隙間を介して、周壁部内部と連通している。尚、両基材1,2の一方に、突起を作為的に形成することもある。
【0019】
図9は本発明の実施の形態の第6例を示すもので、重ね合わせた第1・第2基材1,2が下記のように円筒状の周壁部とされている。即ち、上記各例の第1基材1を帯状として、成形用回転軸上に螺旋状に捲回し、隣接する捲回部において、幅方向の対応する端部を重ね合わせて、一体に溶着(融着)又は接着し、円筒状としている。又、上記各例の第2基材2も帯状として、円筒状の第1基材1上に螺旋状に捲回し、隣接する捲回部において、幅方向の対応する端部を重ね合わせて、一体に溶着(融着)又は接着することで、円筒状とし、これにより、周壁部を円筒状としている。周壁部の内外面は滑らかな湾曲面とされて、その内径及び外径は、軸心方向全長にわたって、(略)一定とされている。
【0020】
図10は本発明の実施の形態の第7例を示すもので、第6例の変形例とされている。第7例では、重ね合わせた第1・第2基材1,2により、円筒状の周壁部が構成されると共に、周壁部に、径方向外方に突設され且つ横断面が長方形状とされた螺旋状の凸設部15と、径方向内方に凹設され且つ横断面が凸設部と同一とされた螺旋状の凹設部16が軸心方向に交互となるように連設されることで、周壁部が蛇腹状とされている。周壁部の最外側に位置する第1基材1の貫通孔6は、凸設部15の天壁に配設され、排水材の最内側に位置する第2基材2の貫通孔7は、凹設部16の底壁に配設されている。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、土中に埋設される排水材に適用できる。
【符号の説明】
【0022】
1,2 第1・第2基材
2A,2B 凸部
4 内部補強体
6,7 貫通孔
9,10 凹凸
11 隙間
11A,11B 開口
13 突起
15 凸設部
16 凹設部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁部が多数の貫通孔を有する排水材であって、
周壁部が、重ね合わされる複数の基材を有し、
少なくとも周壁部の最外側に位置する基材に、多数の貫通孔が形成されると共に、
貫通孔が、隣接する基材間の隙間を介して、周壁部内部と連通した排水材。
【請求項2】
合成樹脂製とされた請求項1記載の排水材。
【請求項3】
各基材に多数の貫通孔が形成され、
各基材の貫通孔の位置が、隣接する基材の貫通孔の位置からずらされた請求項1〜又は2記載の排水材。
【請求項4】
基材の形成時に基材に不作為的に形成された凹凸により、隣接する基材間に隙間が形成された請求項1〜3の何れかに記載の排水材。
【請求項5】
基材に、
隣接する基材と当接して、隣接する基材との間に隙間を形成する突起
が形成された請求項1〜3の何れかに記載の排水材。
【請求項6】
周壁部が角筒状とされ、
周壁部内部に、周壁部が押し潰されることを防止する内部補強体が備えられた請求項1〜5の何れかに記載の排水材。
【請求項7】
周壁部が角筒状とされ、
周壁部における、内部空間を挟んで対向する部分に、それぞれ、貫通孔を有する基材が備えられ、
周壁部の最内側に位置する基材が、周壁部が押し潰されることを防止する補強材兼用とされると共に、
この最内側の基材に、周壁部の上記対向する部分に突出する凸部が形成され、
この凸部が、上記最内側の基材と隣接する基材における、貫通孔の周辺部と当接して、貫通孔を閉鎖状とする請求項1〜5の何れかに記載の排水材。
【請求項8】
基材が螺旋状に捲回され、
隣接する捲回部において、幅方向の対応する端部が重ね合わされて、固着されることで、
周壁部が円筒状とされた請求項1〜5の何れかに記載の排水材。
【請求項9】
周壁部に、
A.径方向外方に突設された螺旋状の凸設部と、
B.径方向内方に凹設された螺旋状の凹設部
が軸心方向に交互となるように連設され、
周壁部の最外側に位置する基材の貫通孔が、凸設部の天壁に配設され、
周壁部の最内側に位置する基材の貫通孔が、凹設部の底壁に配設された請求項8記載の排水材。
【請求項1】
周壁部が多数の貫通孔を有する排水材であって、
周壁部が、重ね合わされる複数の基材を有し、
少なくとも周壁部の最外側に位置する基材に、多数の貫通孔が形成されると共に、
貫通孔が、隣接する基材間の隙間を介して、周壁部内部と連通した排水材。
【請求項2】
合成樹脂製とされた請求項1記載の排水材。
【請求項3】
各基材に多数の貫通孔が形成され、
各基材の貫通孔の位置が、隣接する基材の貫通孔の位置からずらされた請求項1〜又は2記載の排水材。
【請求項4】
基材の形成時に基材に不作為的に形成された凹凸により、隣接する基材間に隙間が形成された請求項1〜3の何れかに記載の排水材。
【請求項5】
基材に、
隣接する基材と当接して、隣接する基材との間に隙間を形成する突起
が形成された請求項1〜3の何れかに記載の排水材。
【請求項6】
周壁部が角筒状とされ、
周壁部内部に、周壁部が押し潰されることを防止する内部補強体が備えられた請求項1〜5の何れかに記載の排水材。
【請求項7】
周壁部が角筒状とされ、
周壁部における、内部空間を挟んで対向する部分に、それぞれ、貫通孔を有する基材が備えられ、
周壁部の最内側に位置する基材が、周壁部が押し潰されることを防止する補強材兼用とされると共に、
この最内側の基材に、周壁部の上記対向する部分に突出する凸部が形成され、
この凸部が、上記最内側の基材と隣接する基材における、貫通孔の周辺部と当接して、貫通孔を閉鎖状とする請求項1〜5の何れかに記載の排水材。
【請求項8】
基材が螺旋状に捲回され、
隣接する捲回部において、幅方向の対応する端部が重ね合わされて、固着されることで、
周壁部が円筒状とされた請求項1〜5の何れかに記載の排水材。
【請求項9】
周壁部に、
A.径方向外方に突設された螺旋状の凸設部と、
B.径方向内方に凹設された螺旋状の凹設部
が軸心方向に交互となるように連設され、
周壁部の最外側に位置する基材の貫通孔が、凸設部の天壁に配設され、
周壁部の最内側に位置する基材の貫通孔が、凹設部の底壁に配設された請求項8記載の排水材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−46871(P2012−46871A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186940(P2010−186940)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000114994)エバック株式会社 (41)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000114994)エバック株式会社 (41)
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