説明

排水状のプールを利用した運動用又は遊戯用施設

【課題】シーズンオフ中のプールにつき、運動用又は遊技用として使用できるような構成を提供すること。
【解決手段】排水されているか、又は水が残留しているプール1の底部の全領域又は一部領域に、海綿状のゴムによる素材、発泡プラスチック、又はシートによって形成された複数本のパイプ又は複数個の容器などによるクッション性マットを敷設し、かつ必要に応じて防水可能シート又はプラスチックシートによる複数本のパイプに基づく仮設屋根を上側に形成したことに基づき、前記課題を達成することができる運動用又は遊戯用施設。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水によって、水が残留していないか、又は一部の残留によって貯溜状態にあるプールを遊戯用又は運動用として使用する施設を対象としている。
【背景技術】
【0002】
学校、幼稚園などに設置されている水泳用プールが使用されるのは、毎年7月上旬ないし9月上旬の2ヶ月であって、その余の期間は通常殆ど使用されていない。
【0003】
このような状態は、施設の使用効率上改善の余地があり、特に公共施設の場合には税金の有効利用という点から当然検討の対象とならざるを得ない。
【0004】
しかるに、これまでシーズンオフ中のプールを他の運動用又は遊戯用施設として使用することに関する基本的な構成は提唱されていない。
【0005】
辛うじて、特許文献1においては、プールの水面上にマット状の浮力体を浮上させ、その上側に防水性シートをカバーすることによって浮動を楽しむ遊戯として使用する構成が提唱されている。
【0006】
しかしながら、このような浮力体を使用する場合には、大勢の人間が浮力体を使用した場合には、浮動状態を維持することは不可能であり、たとえ浮動状態を実現したとしても、使用している人間が一部の領域に集中して移動した場合には、浮力体が水中に傾斜し、安定した状態を維持することができない。
【0007】
特許文献2においては、プールの大きさ以下の長方形又は円形の開口部分を有する屋根及びプールサイドの外側に設けられた側面などを設置することによって、プールの利用期間を延長する構成を提唱している。
【0008】
しかしながら、当該構成の場合には、あくまで水泳用の通常のプールとしての利用期間の延長であって、決して別の運動用及び遊戯用の施設の構成を提唱している訳ではない。
【0009】
何れにせよ、シーズンオフ中の公共プールなどに対しては、運動用又は遊戯用の施設として使用することの社会的意義、更には客観的必要性が極めて高い以上、当該意義及び必要性に対応した発明の構成を提供することは不可避の状況にある。
【0010】
【特許文献1】特開2004−232368号公報
【特許文献2】特開2000−310046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、シーズンオフ中のプールにつき、運動用又は遊技用として使用できるような構成を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の基本構成は、排水によって水が残留していないか、または残留によって貯溜いるプールの底部の全領域又は一部領域に、クッション性を有するマットを敷設したことによる運動又は遊戯用施設からなる。
【発明の効果】
【0013】
前記基本構成による本発明においては、シーズンオフ中のプールのスペース内において、クッション性を有するマットを敷設するという比較的簡単な作業に基づいて、当該マット上にて、使用者は、プールのスペースを利用して、安定した状態で、運動及び遊技を享受することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、図3(a)(b)に示すように、プール1の底部の全領域又は一部領域にクッション性を有するマット2を敷設することを基本構成としている。
図3(b)のうち、斑点によって示す領域は水が一部残留しかつ貯溜状態を示しているが、通常、マット2の太さは残留した水面よりも高い状態にて設けられている。
【0015】
クッション性を有するマット2の素材としては、海綿状のゴム素材、発泡プラスチックを採用したことを特徴とする実施形態、空気又は水を充満している変形自在であるプラスチックシート31による複数本のパイプ、又は複数個の容器を採用することを特徴とする実施形態を典型例として採用することができる。
【0016】
前記実施形態の内、発泡プラスチックによるクッション性マットとしては、ウレタンフォームがクッション性及び耐摩耗性において極めて優れている。
【0017】
特に、クッション性マットのスリップ事故を防止する必要性がある場合には、クッション材の上に、プラスチック製の起毛シートあるいは合板を敷設するとよい。
【0018】
クッション性を有するマット2が敷設されているプール1の底部に安全な状態で到達するためには、クッション性を有する素材による階段21をプールサイドの壁に接した状態にて設けるとよい。
特に使用者が老人であって、足腰が不自由な場合には、階段21に上下動可能なリフトを使用することも可能である。
【0019】
以下、実施例に即して説明する。
【実施例1】
【0020】
シーズンオフの場合に、使用しないプール1の殆どは、屋外プール1である。
【0021】
このような状況に対応して、実施例1においては、図1に示すように、プール1の外側周囲及び上方に、布、ゴム、プラスチックの何れかによるシートを配置し、かつ当該シートの下側に対し空気を送風し、かつ充満したうえで当該シートを上側に膨らんだ状態とすることに基づく仮設屋根を形成したことを特徴としている。
【0022】
即ち、実施例1においては、単に防水シート31を上側に膨らませたことによる屋根を採用しているに過ぎないため、台風などの被害に遭う直前に、撤去するか、又は送風を中止して防水シート31を縮ませて押さえ込むことによって、当該被害を避けることが可能である。
尚、防水シート31の素材としてはプラスチック又は布を採用することができる。
【0023】
プールの周辺における防水シート31の固着としては、末端にチューブ4を設け、当該チューブ4内に水を収容し、かつ当該使用した水の重量によって末端を動かないようにするという簡単な構成を採用すると便利である。無論、水を収容したチューブ4に替えて、鉄鋼材や石を防水シート31の端部に乗せる実施形態も採用可能である。
【0024】
空気の注入及び充満に際し、特に冬季の場合には、暖房した空気を送ることによって、快適なプール内の使用及び運動を行うことが可能となるが、防水可能なシート31の仮設屋根による放熱を防止するために、断熱材を上側にカバーするか、もしくは積層するか又は下側に吊着すると良い。
【実施例2】
【0025】
実施例2においては、実施例1の場合と同様の要請に基づき、図2に示すように、変形自在のプラスチックシートによる複数本のパイプ32をプール1の外側周囲及び上方に配置したうえで、当該パイプに注入口から空気を注入し、かつ充満したうえで上側に湾曲した複数本のパイプによる仮設屋根を設けたことを特徴としている。
【0026】
実施例2の仮設屋根は、単にプラスチックシートによって構成されたパイプ32に空気を注入し、かつ充満させた場合には、当該充満に基づくパイプ形状による膨張した状態を維持するために、自動的にプール1の外側周囲から、図2に示すように、アーチ型に立ち上がった形状を呈し、仮設屋根を形成することになる。
【0027】
実施例2においても、実施例1の場合と同様に、容易に撤去することが可能であって、台風などの被害を避けることができる。
【0028】
更には、末端に前記パイプ32の方向と異なる方向の(実際には直交する場合が多い)チューブ4を設け、実施例1の場合と同様に、当該チューブ4内に水を収容し、当該収容した水の重量によってパイプ上の屋根を動かないようにするという簡便な構成を採用することも可能である。
【0029】
実施例2の場合には、実施例1のように、仮設屋根の下側空間全体に対し、空気の注入及び充満を行う必要はないが、当該空間を暖房する際には、実施例1の場合と同様、断熱材を上側にカバーするか、もしくは積層するか、又は下側に吊着すると良い。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の基本構成は、室内プール1及び屋外プール1の双方に適用可能であり、実施例1,2による構成は、特に屋外プール1に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施例1の構成を示す側断面図である。
【図2】実施例2の構成を説明する側断面図であって、(a)はチューブ内に空気の注入及び充満が行われていない状態を示しており、(b)は空気の注入及び充満によってパイプ状の仮設屋根が形成された状態を示す。
【図3】本発明の基本形態を示す側断面図であり、(a)はクッション性を有するマットを底部の全領域に敷設した場合を示しており、(b)は当該マットを底部の一部領域に敷設した場合を示す。
【図4】クッション性を有する素材による階段をプールサイドの壁に接した状態にて設けた場合の実施形態を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 プール
2 クッション性を有するマット
21 階段
31 防水シート
32 プラスチックシート製のパイプ
4 チューブ
5 断熱シート
6 ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水によって水が残留していないか、または残留によって貯溜しているプールの底部の全領域又は一部領域に、クッション性を有するマットを敷設したことによる運動又は遊戯用施設。
【請求項2】
水が貯溜している場合、マットの高さが水面よりも高いことを特徴とする請求項1記載の運動又は遊戯用施設。
【請求項3】
クッション性を有するマットの素材として、海綿状のゴム素材、発泡プラスチックを採用したことを特徴とする請求項1記載の運動又は遊戯施設。
【請求項4】
クッション性を有するマットの素材として、空気又は水を充満しており、かつ変形自在であるプラスチックシートによる複数本のパイプ、又は複数個の容器を採用することを特徴とする請求項1記載の運動又は遊戯施設。
【請求項5】
クッション性を有するマットの上に、プラスチック製の起毛シート又は合板を敷設したことを特徴とする請求項1記載の運動又は遊戯施設。
【請求項6】
クッション性を有する素材による階段をプールサイドの壁に接した状態にて設けるか、又は上下方向に移動するリフトをプールサイドの壁に近接した状態にて設けたこと特徴とする請求項1記載の運動又は遊戯施設。
【請求項7】
プールの外側周囲及び上方に、布、ゴム、プラスチックの何れかによるシートを配置し、かつ当該シートの下側に対し空気を送風し、かつ充満したうえで当該シートを上側に膨らんだ状態とすることに基づく仮設屋根を形成したことを特徴とする請求項1記載の運動又は遊戯施設。
【請求項8】
変形自在のプラスチックシートによって構成された複数本のパイプをプールの外側周囲及び上方に配置したうえで、当該パイプに注入口から空気を注入し、かつ充満したうえで上側に湾曲した複数本のパイプによる仮設屋根を設けたことを特徴とする請求項1記載の運動又は遊戯施設。
【請求項9】
仮設屋根に対し、断熱材を上側に配置するか、もしくは積層するか、又は下側に吊着したことを特徴とする請求項7、8記載の運動又は遊戯施設。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−202662(P2007−202662A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−22768(P2006−22768)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(599051890)株式会社風船工房匠 (13)
【出願人】(501370370)三菱重工環境エンジニアリング株式会社 (175)